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確証バイアス [2022年07月22日(Fri)]

数週間前、外務省から外交青書をいただき、太平洋島嶼国の部分だけでなく、全体を読ませていただきました。


その中で頭に残っているのは、「確証バイアス」に対する注意。

10年前に比べても、ましてや20年前に比べれば、玉石混合、大変膨大な数の情報が手に入る世の中になっています。

確証バイアスとは、人が思い込んでいる内容に合う情報ばかりを集めてしまい、自分の思い込みが正しいとますます信じていってしまうもの。

不確定要素が多く、常に動いている状況である外交を担っている方々は、常に俯瞰する視点と客観性を保たなければならず、この確証バイアスに注意が必要なのだと思います。

確証バイアスの厄介なところは、その情報の中に何割かの真実を含んでいる場合が少なくないことです。10の話のうち3つが正しいようなイメージ。

太平洋島嶼国だけではないでしょうが、太平洋島嶼国は確証バイアスの罠に陥りやすい対象だと思います。

現地の報道に限らず、例え地位の高い方々であっても、人の良い人が多く、相手を否定することを避ける方々も多いので、聞き方次第でこちらが求める発言をしてしまうことが少なくありません。

自分の場合は、彼らとのべ10年弱生活してきたし、別の10年も何度も現地を訪問し、彼らのコミュニティに入り込む経験をしてきたので、自然と押しではなく引きの対話や交渉を行うクセがついています。

昨年11月ごろから、さまざまな国の研究者が太平洋島嶼国に目を向け、いろいろなことを書いているのですが、その中で実際に現地で暮らし、仕事をしたり、国を背負って本当の外交の経験がある人はどれだけいるのか。何のために物を書いているのか。疑問が湧きます。

外からの視点で内容が偏ったものも少なくなく、そこには現地の人々が見えないというか、正しいと思える部分もあるものの、現地の空気感を踏まえると何か違う。

自分の場合は、表に出すものと、本気の人たちとの非公開の対話には、違いがあり、表に出す場合にはタイミングを変えたりします。本当の人たちに迷惑がかかり日本の国益を損することは本末転倒。
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