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クジラ!魚!酒! [2021年02月11日(Thu)]

フィジーにいた頃には、ほぼ毎週末、朝早く市場で魚を買い(素人なので失敗も多かったのですが)、素人なりにさばいていましたが、5年前に帰国してからはほとんどさばくことはありませんでした。


でも、いつかうまく魚をさばけるようになりたい、包丁をうまく使えるようになりたい、料理もちゃんとできるようになりたい、という気持ちがどこかにあったのでしょう。気づくと昨年末ごろからYouTubeで魚をさばく動画を見るようになりました。

そうなると、今度はAIが似たようなジャンルをすすめるようになり、きれいな魚屋の女性がさばいて料理してお酒を飲みながら食べるシリーズを見るように。調べると鮮魚を取り扱っており、この時代、おそらく魚の流通も滞り気味だと思い、鮮魚や(南側や欧米系の友人には言えませんが)鯨の赤身や皮を購入して、さばいて食べるようになりました。

まとめて1週間分程度の鮮魚が届きますが、やはりプロの魚屋さんが調達するだけあって、味が近所のスーパーで買っていたものと違います。忘れかけていた魚の味を思い出しました。単なる食物ではなく、生物を食べる感覚。

鯨はキロ単位で買えるのですが、それもザンビアやフィジーの肉屋で、牛フィレをキロ単位で買って以来で、何かこう獲物を分けてもらった野獣のような感覚。

そうそう。送られてきたダンボールにこんなメッセージがありました。このような時代、少しでも人間的感覚が伝わってくるととても嬉しい。

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届いた魚を美味しくいただくべく、ちょっと調べて、久しぶりに塩焼きにしたり、イカは自家製塩辛にしたり、鱈をフライにしたり、片栗粉をまぶして多めの油で揚げ気味にしたり、初めて煮付けを作ったり、で、それぞれが美味い。

普段魚というと刺身ばかりでしたが、火をうまく通した魚の美味しいこと。本当に美味しい。カマス、アジ、タラ、タイ、サケ、サバ、サワラ、キンキ。ちょっと下処理して。全部美味い。酒だけでなく、ご飯も進んでしまい、走らなければなりません。

クジラの赤身は刺身、土手鍋、レアステーキで。1キロを4日くらいに分けて。

クジラの肉は不思議な肉です。魚でもなく陸上の哺乳類とも異なる。おそらく生きている環境の温度が違うせいか、血がすごい。その血をうまく処理しないと匂いが気になるようになります。おそらくクジラの肉が臭いとか良い思い出がない場合は、解凍した後の血の処理がうまくできていなかったせいかもしれません。

そして今日は、意を決して、クジラの皮で、おすすめのおでんを、おでん自体生まれて初めて作りました。脂ですが、魚屋さんが言うとおり、やはり冷たい環境での脂なので人の体温で融けます。

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しっかり鰹節と昆布で出汁をとり、味はまあ良い感じ。クジラの皮はまず蒸して、下処理をして。具は、味が濁らないように、クジラの皮と大根のみ。これでお酒をくいっと。今日は三重の作。一番好きなのは高知の酔鯨なのですが、近所の酒屋になかったのでザク。

鯨の脂も良い出汁になり、狙いどおり大根も美味い。一瞬、自分は天才かと錯覚しました。

何かこう、生物として生きている実感が戻ってきます。

早く次の魚、届かないかなあ。
サブリージョナルな枠組みなど [2021年02月11日(Thu)]

2/9付で出されたミクロネシア連邦、キリバス、マーシャル、ナウル、パラオの大統領によるミクロネシア大統領サミット(2/8開催)の共同宣言(コミュニケ)では、事務局長ポストのサブリージョンによるローテーションについての紳士協定を含む合意を尊重しない機関に参加する価値はないと述べ、5カ国大統領が一致してPIF事務局長選定プロセスに強い失望を表明し、太平洋諸島フォーラム設立協定12条に応じてPIFからの正式な脱退プロセスを開始することに合意したとあり、さらに、5カ国大統領はミクロネシア大統領サミットなどサブリージョナル機関の活動強化を期待していると表明しています。
http://www.naurugov.nr/government-information-office/media-release/micronesia-unified-in-forum-withdrawal.aspx


こちらは、内外の主に非公開の会合などで地域秩序を構成するレイヤーを説明するときに使っている図の一つです(笹川平和財団太平洋諸島マップをもとに作成しました)。

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サブリージョンとして、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに分けられていますが、上記図は独立国のみが対象となっています。

独立していない地域を含めると、文字ばかりで見ずらいですが以下のようになります(同じく、笹川平和財団太平洋諸島マップをもとに作成しました)。

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ミクロネシア地域ではミクロネシア諸島フォーラム(MIF)とミクロネシア大統領サミット(MPS)、メラネシア地域ではメラネシアン・スピアヘッドグループ(MSG)、ポリネシア地域ではポリネシアン・リーダーズ・グループ(PLG)があります。

ミクロネシア地域だけを見ると、独立国首脳によるものがMPS、5カ国首脳に加えてミクロネシア連邦の4州の州知事、北マリアナとグアムの知事を含む行政長によるものがMIFになります。いずれも長らく米国系の国々と地域が参加していましたが、2016年頃からナウル、キリバスも参加するようになりました(当初から対象国だったが、米国系の集まりという空気があったものと思われます)。


それで、現在、パラオが今月末でフィジーにあるパラオ大使館を閉鎖することは事実でPIF脱退も確度が高いように聞きます。残り4国も2/8の共同声明で明確に脱退プロセスを始めると言っているので、簡単には収まらないし、今後関係国がどう動くかということなのかと思います。

別の流れで起こったUSPの副総長(Vice Chancellor)の強制退去問題も、特に総長がナウル大統領であったことから、少なからず影響しているのではないかという人もいました。

PIFに関しては、これは明示的に言われていないと思いますが、豪州もしくはNZなど大国の意向で紳士協定が破られたという見方もあり、USPについては地域機関の一つであるUSPにフィジーが国として介入してきたという見方もあるそうで、このように地域機関・地域枠組みの重要な場面で加盟国の協調ではなく大きな国の意向で合意も何も変えられてしまうというところに失望と怒りがあるのだと思います。

中国の影響と捉える向きもありますが、影響があるにせよ、同様に大国の意向で島嶼国を押さえつけるという動きであれば、中国だろうが日本だろうが豪州だろうが島嶼国は反対するということなので、基本的には島嶼国側の立ち位置から物を見た方が良いように思います。

大国がお金を持って無理に意見を押し付け同意を求めるというのは違うということです。そのために、島嶼国各国は外交関係や開発パートナーの多様化を進めてきたというところがあります(国によって進み方が違いますが)。


また、特にPIF事務局と仕事をした経験があったり、仕事をしている現地の友人(日本人ではない)は、数人に個別に連絡を取っていましたが、皆、ミクロネシア5カ国の人ではないのですが、今回の件に関してミクロネシア諸国をそれぞれ支持していました。それだけPIF事務局の仕事のやり方や枠組みに不満があったのだと思います(官僚的だとか、ペーパーワークばかりで実質が伴わないとか、レポートが出ても見た目はきれいだが中身が欠けているとか、反応が遅いとか、上から介入してくるとか)。

さて。このような先がいくつも想定されるとき、自分の場合は、まず基本に返ります。基本というのは合意文書や協定があるのであれば、それに返るというものです。観念とか友人関係とか感情とかではなく、そこに書いてあるものに合わせて物を観察していくといった感じです。


日本にとっては、豪州、NZ、米国、中国、台湾、フランス、イギリス、そして太平洋島嶼国14カ国との関係があるため、現在の過程の段階の動きで、表に情報が出てしまうようにあからさまにどこかの国に肩入れしたり、煽ったりすること(そのように思われること)はリスクがあります。

皆さんそうしていると思いますが、まずは熱や感情に巻き込まれないように、引いて、事実関係を集め、冷静に動向を見守ることが大切だと思います。

例えば、心情的にミクロネシア諸国を支援したいからと言って、表に出る形で5カ国の動きを支持すれば、豪州、NZ、太平洋島嶼国の中でPIFの結束を重視する国々にケンカを売る形になり、敵を作ることになり、(いずれどこかで地域の別の安定期が来ると思いますが)次の安定期での立場が悪くなるでしょう。

日本は幸い、全ての太平洋島嶼国と二国間関係を築いているので、そちらで粛々と関係を強化していくということかと思います。二国間ベースでは、日本からも本音で言えることもあるでしょう。

バイアスの無い情報をしっかり見極めることが大事な時期かと思います。
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