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バヌアツの変化? [2020年10月06日(Tue)]

バヌアツに関する興味深い記事がありました。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/427449/vanuatu-to-exclude-foreigners-from-some-types-of-businesses

トンガにいる民間部門のトンガ人の友人は、中国とトンガの関係が深くなるにつれ、中国系移民が増え(ここまでは良い)、最近は中国系トンガ人が経営する小売店(キオスクのような規模のものを含む)が増えた。それらの小売店は、現地の人々の小売店のすぐ近くに開かれ、商品の数も多く値段も安いことから、客が奪われることで、トンガ人経営の小売店がどんどん駆逐されていくと不満を言っていました。

バヌアツでは、これは2年前だったと思いますが、やはり現地のバヌアツ人の友人と話していると、バヌアツでは中国系住民の経営する小売店は首都ポートビラ市内とか第2の都市ルーガンビル市内が主だったのが、最近は村落部にも中国系小売店がみられるようになった。何か嫌らしいと話してくれたことがありました。

この2つの話を頭において、上記の記事を読むと、意味が深まるかと思います。


上記記事では、政府が2重国籍を認めたことを受け、バヌアツ人(Ni-Vanuatu、先住民系バヌアツ人ということになるでしょうか)の権利を守るため、外国人による新規の小売店・卸売り店を認めないというものです。コロナによる経済面の影響が背景にあるとは思いますが、今の政権の下で、空気が少し変わっているのかもしれません。
ニューカレドニア2回目の住民投票 [2020年10月06日(Tue)]

結果が報じられています。差は縮まりましたが、反独立派が勝ちました。

https://www.rnz.co.nz/national/programmes/middayreport/audio/2018766933/new-caledonia-narrowly-rejects-independence-in-2nd-referendum

前のエントリーで、ここまで書きました。

”太平洋島嶼国は、その独立経緯から、国連を重視しています。

例えば、先般行われたニューカレドニアの住民投票も、元をたどれば、人口4割強の先住民系カナックの人々の独立意志を背景として、1986年の国連非自治地域リストへの再掲(メラネシアン・スピアヘッドグループ設立年)があり、それにより国際社会の目の下で、フランスが住民の意思を確認する義務が生じました。

その後、フランス、ニューカレドニアの間で、1988年マティニョン合意(Matignon Agreements)、1998年ヌーメア協定(Noumea Accord)があり、後者のヌーメア協定に基づき、20年後の2018年、今年と独立を問う住民投票が行われました。2年後を目途に、3回目の投票が行われると思われます。”

続きになります。

ニューカレドニアでは、現在40%台の先住民系住民の人口が55%を超えるか、欧州系住民に先住民系住民の強い支持者が現れないと、独立はかなり厳しいでしょう。仮に独立できれば、ニッケル鉱と観光業(今はコロナ禍にありますが)があるので、バヌアツ以上に発展する潜在性はあると思います。数字上はそうですが、以前バヌアツの友人と話したときには、ニューカレドニアは発展しているように見えるが、先住民系住民はその繁栄を享受できていないと言っていました。それが確かならば、国としての一面の数字ではなく、人口統計学を踏まえた分析が必要だと思います。

仮に、独立した場合、まず先進国ODAや南南協力(途上国間協力)の援助対象国になります。コロナ後の社会がどうなるのか読めませんが、コロナ前の世界情勢から考えれば、他の太平洋島嶼国と同様に、中国の民間部門への資金や南南協力による援助が入ることになるでしょう。日本も、現在フランス領ということで扱いが難しかったところ、欧州部門ではなく、大洋州部門が担当し、ODAを行わなけばならなくなります。

隣国の豪州も、現状でさえ、メラネシア諸国との関係維持や調整に苦労しているところ、もう1つ国が増えてしまいます。

非常にざっくりと言えば、先進国にとっては現状維持がベター。先住民の権利という視点で言えば、独立を支持したい、という難しいところがあります。


ちなみにメラネシアン・スピアヘッドグループ(本部:バヌアツのポートビラ)ですが、僕はこのグループが結構好きでロゴ入りグッズを買ったことがあり、何度か本部に行き、話を聞いたことがあります。2014年頃、当時の事務局長の話では、設立当初は主権確保(特にニューカレドニアの先住民)のために宗主国・旧宗主国と戦うために結束することが主な目的である政治的組織でしたが、近年は経済枠組みとしての性格が中心になっているとのことでした。パプアニューギニアがあるため、地域経済・人口の9割がメラネシア地域に含まれています。PICTAという地域貿易協定に先んじて、MSGFTAが施行されています。ただ、近年はインドネシアの西パプア問題(自由独立運動、人権問題)に関して、パプア系住民を支持するバヌアツ・ソロモン・FLNKSと、インドネシアの立場を尊重するフィジー・パプアニューギニア間で意見の不一致が見られます。
太平洋島嶼国首脳が国連で結束 [2020年10月06日(Tue)]

このような記事がありました。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/427172/pacific-leaders-united-on-climate-ocean-and-security-issues-at-the-unga

先日の国連総会で、太平洋島嶼国首脳が、それぞれ、気候変動、海洋、気候変動に関する文脈での安全保障に言及したようです。

太平洋島嶼国は、その独立経緯から、国連を重視しています。

例えば、先般行われたニューカレドニアの住民投票も、元をたどれば、人口4割強の先住民系カナックの人々の独立意志を背景として、1986年の国連非自治地域リストへの再掲(メラネシアン・スピアヘッドグループ設立年)があり、それにより国際社会の目の下で、フランスが住民の意思を確認する義務が生じました。

その後、フランス、ニューカレドニアの間で、1988年マティニョン合意(Matignon Agreements)、1998年ヌーメア協定(Noumea Accord)があり、後者のヌーメア協定に基づき、20年後の2018年、今年と独立を問う住民投票が行われました。2年後を目途に、3回目の投票が行われると思われます。

ニューカレドニアの話は、次のエントリーで触れたいと思います。

2012年のリオ+20、2014年の第3回小島嶼開発途上国(SIDS)会議(サモア、SAMOA Pathwayがまとめられた会議)ごろから、地域ではいろいろな摩擦はあるものの、国連の場では結束する場面が増えました。今回もその方向性は変わっていないようです。

上記の記事で1点気になるのが、ミクロネシア連邦パニュエロ大統領の声明。中国と米国による大国間の競争について唯一言及したそうです。この点は、表に出るか分かりませんが、数週間前にある原稿に書いた懸念・関心に繋がるものです。間接的に、中国・台湾・米国関係がにじみ出ています。

結束というのは、共通課題ということかと思います。各国にとって気候変動は重要な現実的リスクなので、地域ブロックがあろうがなかろうが各国首脳は気候変動に対する懸念を表明したことでしょう。
フィジー社会経済への新型コロナの影響−UN Pacificレポート [2020年10月06日(Tue)]

来年の太平洋・島サミットを考える上で、短期視点と中長期視点の現地社会経済への影響を踏まえることが重要だと思います。

これまで、ANZ銀行、ADBなどがレポートを出していますが、先月UN Pacific(フィジーにある国連地域事務所=正式名はUN resident coordinator officeかと思います)から出された「Socio-Economic Impact Assessment of COVID-19 in Fiji(フィジーにおける新型コロナウィルス感染症の社会経済影響調査)」(リンク先からレポートのダウンロードができます)が自分の感触に近いので、自分へのメモの意味も込めて、気になるポイントを残します。

まず、ざっくりとフィジーの社会経済指標(コロナ前, 2017)は次のとおりとなります。数値は、ADBのKey Indicator Databaseを参考にしています(https://kidb.adb.org/kidb/)。
・人口約89万人
・名目GDP約5200百万米ドル(約6,000億円)
・一人当たりGDP 5900ドル
・高中所得国
・政府支出約1400百万米ドル(約1,600億円)
・政府支出の対GDP比 26%台
・民間部門:観光、建設業、農業(砂糖含む)、林業、鉱業、製造業(衣料など)、漁業、ミネラルウォーター(産業ではないですが)


今回のUN Pacific レポートで気になった点は次のとおりです。ここでは短期視点のみ書きます。

まず、コロナ前の経済。
・観光部門:GDPの38%に相当
・経済成長率:2018年3.5%(20年で2倍のペース)、2019年1.3%(災害の影響等)
・債務比率:GDP比65.6%(2019)*非常に高いが対外債務は13%と低い。

コロナ後の経済予測
・2020年GDP:21.7%減
・債務比率:GDP比83.4%(2021年7月まで)*極めて高い。

緊急経済対策(外部からの資金調達)数字はGDP比
・フィジー 8.7%
・マーシャル 3.1%
・パラオ 2.4%
・トンガ 5.3%

新型コロナの雇用に関する影響
フィジーでは求人広告数を景気動向を把握する指標の一つとしています。これが、フィジー準備銀行によれば、前年比48.8%減。大きな景気後退といえます。

貧困率(コロナ前)
フィジーは高中所得国であるので、1日あたり7.1フィジードル(約360円)を貧困線としています。

全体 24.2%(2019)(2002が39.8%、2015が28.4%と改善が続いていた)
都市部 16.76%
村落部 31.9%

貧困率(コロナ後)UN Pacificでは4つのシナリオがあり、予測幅は次のとおり。
全体 26.5% 〜 37.5%
都市部 19.3% 〜 28.8%
  村落部 33.8% 〜 46.3%


大昔、2008年頃、UNFPA地域代表がマーシャルを訪問し、マーシャルの貧困率について説明したところ、当時のマーシャル政府は、大統領、閣僚、議員、政府職員に至るまで「マーシャルには貧困は存在しない。彼らは島嶼国のことを何も知らず数字だけ見ている」と憤慨したことを思い出します。

地域コミュニティの繋がりが残っている小島嶼国では、相互扶助の文化があり、収入がなくとも助け合い生活していく文化があります。また、村落部(マーシャルの場合は主に離島部)では、現金収入よりも自家消費の経済活動が主であるので、収入の数値に反映されないというところがあります。

フィジーの場合、インド系、先住民系、都市部、村落部でやや見方が異なってきます。

都市部は観光業が壊滅的であるので民間部門は大きく縮小していると思いますが、政府機関・地域機関・国際機関関連の労働者が多いため、貧困率悪化はある程度抑えられます。

景気のいい時には、村落部から特に先住民系のフィジー人が都市部に出てきますが、景気が悪化するとこれらの人々が生活できなくなります。村落部では相互扶助で生活できますが、都市部ではお金が必要であり、故に犯罪が増え、治安が悪化する可能性があります。このコロナ禍でそれらの人々が村に戻るのか否かが気になるところです。民間部門のインド系住民の生活については、国内消費の下落幅次第だと思います。

村落部では、農業・漁業ができていれば、貧困率が低くともある程度生活は維持できるでしょう。また先住民系の村落では、伝統的な繋がりもあり、景気に関係なく、生活は維持できます。一方、村落部のインド系住民は、そのような確固としたセーフティネットが無いので、厳しくなる方々が増えるかもしれません。

今後、より実態に近い、各国の社会経済指標が出てくるでしょうから、国レベルの関係で言えば、各国の経済構造、政府財政、債務健全性悪化などを踏まえ、状況に合致する協力が求められるのではないかとい思います。
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