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新型コロナウィルスと太平洋島嶼国の対応(2) [2020年02月02日(Sun)]

そのイベントですが、1/28にマーシャル諸島からグアム経由でティミー・ラングリン災害管理局長が来日する予定でした。

彼には、昨年末にサモアで発生した麻疹大流行からマーシャル諸島共和国が素早く行った対応について紹介してもらうこととなっていました。当時、マーシャル諸島共和国政府は航空会社、各船舶に対し、麻疹ワクチンを接種していない場合入国を認めないという緊急の通達を出し、麻疹ウィルスがマーシャル諸島に到達することを遅らせる一方で、国際機関から4億円ほどの資金を調達し、首都マジュロの全世帯を回り、ワクチン接種状況を確認、未接種者には無償でワクチンを接種していきました。マジュロから離島への移動も、ワクチン接種が前提とするとの制限を設けました。

災害=気候変動という視点からはずれますが、住民の生命を守ることが安全保障であるならば、同国の安全保障上の現実的な対応例だと考えました。

ところが、ラングリン氏が1/27にグアムに到着すると、1/28朝、マーシャル政府から同氏に対し、中国、韓国、日本を含む新型コロナウィルス感染国に滞在した場合、感染者が出ていない別の国で2週間滞在しなければ国に戻ってはならないとの通達が届きました。

何かある可能性を踏まえ、午前便ではなく午後便にしていたことで救われました。

恐らくマーシャルの対応(1/27に決定)が最も早かったのではないでしょうか。

同じ頃、パラオでは香港、マカオからのフライトを止め、北マリアナ、キリバスなどでも対応が進みました。サモアでも中国人観光客がフィジーに送り返されたという話もありました。昨日はミクロネシア連邦でマーシャルと同じ対応が導入されたようです。

小島嶼国では、開拓時代に水疱瘡がもたらされ、コスラエやパラオでも先住民が激減(1割ほどに減った?)した歴史があります。死に至る新しい感染症は人々の生命の脅威であり、国の存続に関わる非常に危険なものです。

何かと遅いと思われがちな太平洋島嶼国ですが、今回の新型コロナウィルスに対しては、万一のリスクを想定し、日本よりも早い段階から対応を進めました。

サモアでの麻疹の件もあり、1/19の週から招聘を取りやめるべきか悩みましたが、ニュースではそこまで深刻ではなく、島嶼国側も何も対応する様子はなかったため、取りやめる理由にはなりませんでした。

1/27にはフィジーからの招聘者が中国の状況を国際放送で知り、出発前に「日本は大丈夫なのか?」との問い合わせがありましたが、報道されている内容を伝達し、来日することになりました。

翌日にはマーシャル政府の決定があり、パラオも措置を決定し、キリバスもと、どんどんと状況が変わっていきました。

1/29の公開イベントで、マーシャル政府の決定でラングリン氏の来日が取りやめとなったことをお伝えすると、会場は「少しの驚き」と「そこまでしなくとも」という空気になりました。しかし、翌日の非公開イベントでは、真剣に捉える空気が強くなっていました。

今回イベント開催を通じて、現地の真剣な空気感、状況が現実的な危機感をもって捉えられていくさまを知ること、日本とのギャップを確認できたことは、大きな経験だと思います。

緩やかな変化の過程にいると認識しにくいものですが、太平洋島嶼国の対応のお陰で、目が覚めたように思います。
新型コロナウィルスと太平洋島嶼国の対応(1) [2020年02月02日(Sun)]

先週開催した公開、非公開のイベントのキーワードは、地域秩序の構造、地域安全保障、気候変動、災害でした。
一昨年の地域安全保障ボイ宣言では、豪州としては、伝統的安全保障を背景としてIUU対策を含む海洋管理協力を主目標にしていたように思います。島嶼国側は対中国の匂いを感じた面もあるでしょうが、安全保障といえば住民の安全、すなわち健全な日常生活・保健・教育・食料・経済が守られるべきで、それを壊す最大の脅威は気候変動であるため、同宣言では気候変動が最上位に位置づけられました。

当時、予定時間を8時間以上超える首脳と豪州外相の議論が行われましたが、決定後、バヌアツの代表団の1人が興奮気味に「気候変動を最上位に位置づけることができた!」と話していました。

そして島嶼国側が気候変動を抑える即時行動を求めようとした昨年8月のツバルPIF総会以来、気候変動に関して、「先進国と島嶼国の対立」「島嶼国と中国の接近」が明確になりました。個人的な感触では、PIF事務局の変質もあります。

もう一度整理すると、太平洋島嶼国にとって安全保障上の最大の脅威は気候変動です。


気候変動については、緩和と適応があります。

緩和というのは長期視点のもので、平均気温上昇を産業革命以前の2度以内に抑える、島嶼国は気温上昇による海面上昇が生存に関わるものであるので、1.5度以内抑えなければならないと強く主張しているものです。そのため温室効果ガスの排出を減らせ。同ガスを排出し繁栄を享受してきた先進国は責任を取れという空気感があります。

個人的には二酸化炭素の排出を抑えるだけで平均気温上昇を抑えられるとは思えないのですが、今の島嶼国側は、まるで国際捕鯨委員会(科学委員会ではない方)で日本が責められるように、感情的に豪州を責めている状況。先般の豪州での森林火災でも、島嶼国側が支援をしましたが、SNSを通じ、一方でモリソン首相に「分かったか?」というようなメッセージも出されていました。

この緩和の部分については先進国側は、世界経済を維持しなければならない責務があるので、どのように遷移させていくのか、島嶼国側と腹を割って率直に話す、ごまかしではなく、ロジカルに客観的資料を使った話ができる関係性を構築する必要があります。非公式で良い。

適応については、今、どうするのかという部分で、その中に自然災害への対応が含まれます。

自然災害など産業革命以前から起こっているもので、何でもかんでも気候変動に結びつけようとすることに強い疑問がありますが、気候変動如何に関わらず、先進国側は島嶼国に社会強靭化支援、防災、減災、復旧支援を行ってきています。

気温上昇や気象パターンの変化に関連するものならばわからなくもないですが、例えば、島嶼国側には、地震も気候変動だという人もいる。

ともかく、島嶼国側は自然災害は気候変動と関連しているとし、先進国側は気候変動との関連にかかわらず防災減災復旧支援を行っている。

これが島嶼国側と先進国側が真に腹を割って話す関係性を作るための結節点だということが、今回の公開・非公開イベントを開催した理由でした。

(前置きが長くなったので一旦切ります)
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