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ソロモン諸島、ちょっとひどい。 [2019年09月17日(Tue)]

SNSを見ています。
台湾大使館閉鎖の際、住民レベルでは中華民国国旗を振る人や、36年に渡る支援への感謝を示す方々もいたようです。

住民は台湾が好きだが、議員が決めたことで、自分たちには何もできないという声もあるようです。

今日、台湾の外交官がソロモンを去りましたが、ソロモン政府からは誰一人として見送りはなかったとのこと。

36年間も住民に近い真面目な支援をしていた国に対するこの仕打ちは、正直怒りが込み上げてきます。

日本もソロモンに対する支援を続けていようが、その場その場の感謝だけで、本音はどうなのでしょう。そんなに中国が良いのであれば、すべて中国に任せてみるのも一つの手ではないでしょうか。

実際にソロモンと断交すべきと主張する米国高官もいるようです。

ソロモンは一人当たりGDPが2500ほどで、地域ではキリバスに次いで下から2番目、人口は60万人を超えるフィジーに次いで地域では3番目に大きな国です。

駐ソロモン台湾大使は、帰国前に、「中国はソロモンのインフラに5億ドルの支援を約束している。ソロモンはそれをどうやって返すのか」とコメントしていました。

ソロモンに関しては、「債務の罠」が十分に考えられるでしょう。

ソガバレ首相はフィジー云々と発言していましたが、フィジーは債務がGDPの50%未満、対外債務だけを見れば20%未満、さらに対中債務を見ると10%台であり、かなり戦略的に資金を調達してきたことがわかります。そもそもインド系住民が全人口の4割程度いるため、どれほど中国が入ってきても、中国だけ、とはなりません。

ソロモン諸島は確かに中国から得るものは大きいでしょうが、同時に失うものも多いはずです。先進国側は、審査を緩めることなく、毅然と対応していくべきでしょう。
ソロモン諸島、台湾と断交のニュース [2019年09月17日(Tue)]

ソロモン諸島が中国と外交関係を結び、台湾と断交したとのニュースがありました。

先日来の現地の報道などを見ると、一番は思うように経済発展が進まないことや、2017年まで豪州主導で行われてきた地域ミッションRAMSI終了、押さえつけられていた感覚からの脱却があるように思います。

数年前から、林業や鉱業やインフラ整備について、中国民間の動きが報じられており、既に流れはできていたのでしょう。

さらに近隣のフィジーやバヌアツが、中国との関係を背景に、豪州などにものを言えるようになっていること、経済が発展していることも影響していそうです。

債務の罠、ということには少し疑問を感じます。フィジーはうまく管理しているし、トンガ、サモアではギリギリGDP比5割内を維持、バヌアツは債務を増やさないために(日本、豪州、世銀からも多額の借金がある)贈与があり同じような時期に民間の土地ディールが成立しています。

例えば、ソロモン諸島が経済発展に向けてインフラへの投資が必要だとして、先進国がリスクを踏まえて、なかなかお金を貸さなかったり時間がかかるところ、中国がハイリスクでも金を貸します。トンガ財務省資料を見ると管理費(利子含む)は年4%弱で、投資側としては返済がなくとも良いリターンがあります。

途上国が発展してきて、自立し、次のレベルに成長しようとするとき、旧宗主国や伝統的開発パートナーとの関係に加える選択肢として、特に資源がある場合は、中国の経済力と市場は魅力的であり、台湾では太刀打ちできません。

数年前、パラオでは「米国や日本と同じような関係を、中国、台湾と結びたい」という声がありました。

台湾の支援は、住民に近く、より小さな国ほど有効に見えます。(例えば、ミクロネシア連邦では経済面で突破できておらず、中国の手法が合っていないように見えます)

台湾はリソースを残りの国々に手厚く当てれば良いでしょう。ソロモン諸島の人々も違いを感じるかもしれません。

一方で、中国としては本気を出して、ソロモン諸島の経済発展を実現することができれば、他の台湾承認国をさらに揺さぶることになるでしょう。
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