11月11日(金)
11月9日、10日に実施されたPacWave11に関心があり、公表されている資料を見ています。
http://itic.ioc-unesco.org/index.php?option=com_content&view=article&id=1686&Itemid=2333&lang=en太平洋島嶼地域で地震が起こるのは、メラネシアからトンガまでプレート境界の周辺であるため、ミクロネシア地域ではそれほど大きな関心はない状況にあります。
実際にはマニラ海溝、九州パラオ海嶺、マリアナ海溝があるため、北マリアナ、グアム、パラオ、ヤップでは揺れを感じる、すなわち体感地震が発生することはあるとは思いますが、大地震になることはほとんど無いと考えられています。
ポンペイより東側では、海底火山もないし、プレート境界からも離れているので、静かなものだと思います。
一方、津波については、どうかというと、通過する可能性は十分にあります。
かつてマーシャルで、1960年代に、建物の2階に達する高波が通過していったという話を、2005年ごろ、現地在住のアメリカ人の先輩に教えていただいたことがあります。
そこで、今回のPacWave11でミクロネシア地域に1メートルを超える津波が到達する可能性を探してみました。
一つは、南米チリでマグニチュード9クラスの津波発生させる型の地震が発生した場合です。
↓右下の赤い線が、地震が発生する場所(実際はより南米大陸に近いところ)、矢印は津波のおおよその方向です。
もう一つは、フィリピン東側のフィリピン海溝でやはりマグニチュード9クラスの津波発生させる型の地震が発生した場合です。
↓左の赤い線が、地震が発生する場所、矢印は津波のおおよその方向です。
昨日少し触れましたが、津波は波というよりも、海水が海底から盛り上がるような、周期の長い海水の塊の変動であるので、津波が沿岸部に到達したときに波が崩れるということにはなりません。そのため沿岸地形によって、1メートルの津波が局地的に何倍にも増幅されてしまいます。
マーシャルやキリバスなどの低環礁島は、リーフの端から急激に海底まで落ち込む地形にありますが、入り江のような地形が無いため、津波はそれほど増幅されないと言われています。しかし、標高が低いため、1メートルの津波が来れば、場合により陸地を波が通過していくことになることがあると思います。
一方、パラオからコスラエまでの範囲では、陸地周辺のサンゴ礁リーフがどのような作用をもたらすのかは分かりませんが、局地的に津波が増幅する可能性があるかもしれません。
太平洋島嶼国に津波が到達する際に恐ろしいことは、地域によって津波を発生させる震源から非常に遠いため、揺れを感じないことです。通信設備がしっかりしていない場合、何ら警戒もしていない時に、突然海面が盛り上がることになります。
上記の1960年代のマーシャルの話は、当時の状況では警報もなく、住民は訳も分からず高波に襲われたと記憶されていますが、僕自身は、チリ地震で引き起こされた津波なのではないかと疑っています。
3月の東日本大震災の時、太平洋全域に津波警報が出されました。例えば、マーシャルでは米国海洋大気庁(NOAA)がマーシャルにある気象観測所および政府機関に警報と津波到達時間を伝達しました。しかし、ほとんどの一般市民に、その情報は届かず、環境系の仕事をしている知り合いは、翌日になって津波警報を知ったと言っていました(実際には数10センチの津波であり、増幅されることもなかったため、何ら影響はなかったようです)。
さまざまな可能性を考慮して、改善する余地はまだまだあるのではないかと思います。