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太平洋持続可能な観光サミット・ライブ [2022年11月03日(Thu)]

日本では早朝ですが、今から始まります。
Pacific Data Hub [2020年12月03日(Thu)]

非常に長い間、太平洋島嶼国では信頼できる社会経済データを入手することが難しい状況が続きました。
ADBは現地に入っているので信頼できますが、物によっては比較資料が必要。世銀は小さな国にはフィットしないことがあります。IMFは各国に4条協議調査団が現地に入り、現地当局と綿密に協議し調査を行うので経済データの信頼度が高いのですが、カバーできないところもあります。

これらの信頼できるデータの不足やアクセスの悪さは、開発パートナー、とりわけ先進国のプロジェクト立案にとって障害となり、検討や採択に時間がかかったり、効果的な実施内容の構築に影響があったと思います。

そこで、つい先日、ニュージーランド政府の支援で太平洋共同体(SPC)に作られたPacific Data Hub。


こういった基礎的な基盤の整備が、結果的に開発協力の実効性強化、効率化、議論のフォーカス、に繋がるものと思います。
中国ー太平洋諸島フォーラム奨学金プログラム [2018年03月14日(Wed)]

太平洋島嶼地域には太平洋諸島フォーラム(PIF)という枠組みがあり、事務局(PIFS)がフィジーのスバにあります。

加盟国は太平洋島嶼国14カ国、豪州、NZ、仏領ポリネシア、ニューカレドニア、準メンバーにトケラウ、その他オブザーバーステータスや開発パートナーのステータスがあり、日本や中国、台湾など17か国・地域が開発パートナーにあります。ステータスの違いにより、会合に出られたり、発言できたりなどの違いがあります。

加盟国ステータスには、実は独立国という暗黙の了解があったため、仏ポリとニューカレドニアの加盟は、PIFを変える大きな変化だという声がフィジーやバヌアツの政府関係者から聞いたことがあります。

1971年の7カ国による会合から始まり、事務局化され、ミクロ3国が独立せず加盟していない時代まで、南太平洋フォーラム(SPF)と言われ、ミクロ3国が独立し、最後にパラオが加盟、90年代末に北太平洋も入ったので太平洋地域全体としてPIFに名称が変わりました。

性格としては、地域の安全保障政策や経済政策が主な対象分野であり、個別の課題に対してはCROP機関(太平洋地域機関評議会、事務局はPIFS)に振って、対応したりします。

何を書こうとしたんでしたっけ。
話はずれましたが、タイトルについて。

www.csc.edu.cn/studyinchina

PIFSを通じて、中国が奨学生を20名募集しています。

中国が国交を持つ太平洋島嶼国に対しては、人口にもよると思いますが、それぞれ年間20名程度の奨学生枠があるので、PIFSを通じてのプログラムは、おそらく国交のない台湾と外交関係を持つ6カ国(パラオ、マーシャル、ソロモン、キリバス、ナウル、ツバル)を対象にしているのではないかなあ、と思いました。

またフィジーの南太平洋大学本校には、中国政府による孔子学院があり、南太平洋大学のメンバー国で台湾と外交関係を有する国(マーシャル、ソロモン、キリバス、ナウル、ツバル)はここでも中国との接点を持つことができます(米国自由連合国のパラオ、ミクロネシア連邦はメンバーではない。マーシャルは80年代に初代大統領アマタ・カブアが米国の反対を押し切って加盟)。

南太平洋大学の卒業生は、将来、政府高官や政治家、閣僚、首脳になる人がいるし、横の繋がりがずっと続きます。


戦略的だなあ、と思っていたら、台湾もPIFSを通じて奨学金を出していました。まあ、でも中国と国交がある国から台湾というのと、台湾と国交がある国から中国というのでは、後者の方が需要が高いような気がします。
国際社会の中の太平洋島嶼国 [2017年12月27日(Wed)]

先週金曜、口を開けて眠り過ぎたせいか、薄着で寝ていたせいか(薄着でないと眠れない…)、喉から風邪気味になってしまいました。土日は死んだように眠り続け、今週はもう大丈夫。来年に向けて仕込みを進めています。

月曜からは、ピロリ菌除菌を始めました。7月のドックでかなりな量のピロリ菌がいる可能性がわかり、出張がなく、1週間飲酒しないタイミングを考えていたら、今年最後の1週間となりました。年末ですがプチ禁酒。


さて太平洋島嶼国については、ドメスティックなレベルでもさまざまな動きがありますが、俯瞰して見ると、その取り巻く環境も変化して来ています。変化といっても突然のものではなく、もともと何年も前から伏線があるものばかりだと思いますが。

東アジア情勢の影響や経済もさることながら、先日の国連における米国のエルサレム首都認定撤回決議案の採択。太平洋島嶼国12カ国(クックとニウエは加盟できていない)のうち、賛成(米国に反対)したのはパプア・ニューギニアのみ。明確に反対(米国に賛同)した米国自由連合国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル)とナウルに加え、7カ国は棄権か欠席でした。

フィジーは先住民系を中心にキリスト教徒が多いですが、イスラム教徒もヒンズー教徒も多数いる多民族・多文化国家への改革途上にあり、この件については一歩引いて棄権したのかもしれません。

サモアは、これも推測ですが、外交的に中立な立場を取ることが多いので、今回は欠席したのかもしれません。

ミクロ3国は仕方なく米国に同調したという見方もあるかもしれませんが、それぞれイスラエルとの二国間関係は良好です。自分のマーシャル時代の高校の教え子は、数年前イスラエルの奨学金で現地に留学していたということもありました。

先日、10月か11月か、産経新聞大阪版の取材があり、地域情勢についてコメントさせていただきましたが、一時的な動きの場合もあるのですが、地域で目立つ国としてトルコなど中東諸国の名前をあげました。

「目立つ」という意味が目に見える「開発援助・経済協力」として理解されることが一般的かもしれません。しかし、経験上、表面には出てこない外交的な動きが目立つ場合もあります。また、現地では急な動きではなく通常の動きでもあるため特に目立つわけでもない国々の動きもあり、それらの国々については上記の取材では話しませんでした。インドネシアとか東ティモールとかタイとか。

イスラエル外交官も地域会議に出席していることもあり、自分も外交官として出席していた時には何度か場外で意見交換をしていたこともあります。(イスラエルだけでなく、トルコやタイやロシアの外交官とも個別に話していたりしましたが)

自分がフィジーにいた時期(2012-2015)、現地では地域会合や国際会合が度々開催されました。

そこで自分が目撃し、実感し、確認したのは、太平洋島嶼国が明確に国際社会のメンバーであり、大国に意見を押し付けられ同調を強要されるということではなく、各国が当然ながら主権国家として堂々と意思を表明しているという状況でした。

これが2016年9月から笹川平和財団でカッティングエッジ・シリーズを始めた動機の一つになります。
国連機関の大洋州支援強化の動き [2016年07月01日(Fri)]

フィジーのスバに駐在しているオスナット・ルブラニUN太平洋地域事務所代表・UNDP太平洋地域事務所代表が、国連の高官とともにキリバスを訪問しているというニュース。

「UN to begin Pacific Strategy Consultations in Kiribati 」
http://www.pina.com.fj/index.php?p=pacnews&m=read&o=1185432242577598d1dbb4cf99ecae
(6月30日付UNDP/PACNEWS)

詳細は引きませんが、目的は国連による新太平洋戦略開発のための現地政府との協議とのことで、太平洋島嶼国の開発目標を達成するためには、資金協力なのか、技術協力なのか、その他の支援方法なのか、何を使うことが最良なのかを見極めるための現地訪問のようです。この新太平洋戦略は2018年から2022年を対象期間とし、14の太平洋島嶼国で活動している21の国連機関の方針を定めるものとのこと。

今回のキリバスの前にはサモアとトケラウを訪問し、この後は、トンガ、マーシャル、ミクロネシア連邦、パラオを訪問する予定とのこと。さらにフィジーとは8月に協議を行う予定のようです。

自分がフィジーにいた時、確か自分の2年目くらいの時にフィジーに赴任されたと思いますが、ルブラニさんと何度か一緒に仕事をさせていただくことがありました(現地ではオスナットと呼ばれていましたが、自分は恐れ多くてルブラニさんです)。

ルブラニさんはイスラエル出身の小柄な女性で、自分は、それまで会ったことのある大洋州を対象にしている国連機関の方(日本人を除く)とは異なる印象を持っています。

国連に限らず、先進国の太平洋島嶼国支援のアプローチは、最近は減っていると思いますが、現地との対話プロセスを省いてしまったり(もしくは形式的に行う)、現地の人たちと距離が近くならないまま、自分たちの先入観というか考えを押し付けるような場合があります。

しかし、ルブラニさんは、赴任当初、2013年の終わり頃だったでしょうか、まさにフィジーが選挙を本当に実施するのか否かとか、憲法の話とか、バイニマラマ首相(暫定で軍司令官だった)の軍司令官退任だとか、フィジー国内で先進国側とフィジー政府との緊張感が高いかった時期ですが、先入観にとらわれず、現地の人々の話を良く聞き、寄り添うような姿勢を取られていたと思います。

ルブラニさんの赴任当初、国連および先進国側は、バイニマラマ政権に対して、同政権がどのような改革、取り組みを示しても、選挙の約束についても、豪・NZの影響を受け、豪・NZの視点からの批判的な見方を取り、そのような態度をフィジー政府側に見せていました。

その後、それほど多くはありませんが(フィジーではどの機関の人も、外交ミッションも本当に忙しく時間が取れないし、自分は気軽にルブラニさんに会える立場ではない)、何度か話をする機会があり、自分は島側の視点からものを見る傾向があるので、豪・NZの影響を排したフィジー政府側の視点(事情)から見た現状分析をルブラニさんに共有させてもらっていました。特に2014年の選挙の1年ほど前からの民主化支援協議などを思い出します。

2014年のフィジー総選挙が無事終わり、民政復帰がなったのちには(次には議会支援などがあるのですが)、2015年に戦後70年を迎えるにあたり、国連としてミクロネシア地域への支援を厚くしたいと考えているという話を聞きました(日本とミクロネシア3国の関係を考慮されていた印象があります)。

初めてあいさつしたときに、自分がマーシャルに長くいたことや、パラオなどでも仕事をした経験があることを伝えていたこともありますが、忙しい中、ミクロ3国の違いや、国民性、ニーズなどについて、長い時間、話を聞いていただきました。何より、ルブラニさんの英語はきれいで可愛らしいんです。

今回のニュースを見ると、より実効性を考えて、南だけではなくミクロ3国への支援も視野に入っているようなので、国連の新太平洋戦略がどのようなものになるのか、楽しみですね。

フィジーに赴任した2012年10月から2年間、ブログ記事は書きませんでしたが、現地ではいろいろなことがありました。折を見て、触れていきたいと思います。
フィゲレス気候変動枠組条約事務局長が国連事務総長候補になるか? [2016年06月30日(Thu)]

クリスティーナ・フィゲレス気候変動枠組条約事務局長(コスタリカ)が、7月に2期目の任期満了を迎えますが、次期国連事務総長選に出馬するのではないかというニュース。

「Christiana Figueres set for UN secretary general race」
http://www.pina.com.fj/index.php?p=pacnews&m=read&o=58206670357732c1b7ad1b9afd1c43

あれは確か2013年3月、フィジーのスバにフィゲレスUNFCCC事務局長が訪問しました。当時はまだ民政復帰前で日本はフィジーとの関係改善の地ならしをしている段階だった時期、豪・NZとフィジーは双方が厳しい姿勢を見せていた時期でした。

フィゲレス事務局長は、フィジーがG77+中国の2013年議長国に選出されたことへの祝意とフィジーの国レベルの取り組み(特に気候変動分野)について確認するためにスバを訪問したとのことでした。当時のフィジー外務次官は、ヤウボリさん(現気候変動大使でメラネシアン・スピアヘッドグループ事務局長)。

当時フィジー外務省2階会議室に現地外交団を集め、フィゲレス事務局長がヤウボリさんと共に会議を進め、フィジーの国内の取り組みへの評価と、G77議長という大きな役割を担うヤウボリさんへのエールを我々に示していました。ちょうど自分もその場におり、立ち話ですがフィゲレス事務局長に日本の大洋州における気候変動分野の支援について説明したことを覚えています(先方は覚えていないと思います)。

フィゲレスさんは、若い時にフィジーをフィールドにして環境分野の研究をしていたと言っており、確かによそ者感がなく、フィールドに帰ってきたような雰囲気がありました。

次期事務総長選は、全体的には東欧かクラーク元首相かという雰囲気だと思いましたが、フィゲレスさんが出馬すれば、気候変動、途上国、女性という視点からも面白いことになると思います。

太平洋島嶼国では、NZのヘレン・クラーク元首相を推すグループとフィゲレスさんを推すグループに分かれるでしょう。太平洋島嶼国が直面している状況への真の理解があるかどうか、対話が可能な相手か否か、距離感などがおそらく影響するように思います。

単純に考えれば、フィジーはフィゲレスさん、NZと関係の深いサモアはクラーク元首相という感じでしょうか。フィジー国連大使の次期国連総会議長選出の背景には、G77+中国や気候変動を中心にという考え方があるのではないかと思うので、興味深い動きになるかもしれません。

しかし、まだフィゲレスUNFCCC事務局長は否定していないだけで、正式な出馬表明しているわけではないので、同事務局長退任後の動きを見ていきたいところです。
パラオで第1回SIS首脳会議開幕 [2016年06月24日(Fri)]

昨年PNGで開催されたPIF総会でのSIS(Small Island States)設立合意に基づき、昨日23日、パラオでSIS首脳会議が開幕しました。

「Small Island States Leaders gather In Palau for Inaugural Meeting」
http://www.pina.com.fj/index.php?p=pacnews&m=read&o=1766931175576c60f1eb33b4f783a3
(6月23日付)

SISメンバーは、太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国(14島嶼国+豪・NZ)のうちパラオ、マーシャル、キリバス、ナウル、ツバル、クック、ニウエの7か国で、より小さな国の共通課題を協議・集約し、PIFおよび国際社会につなげることを目的としているようです(ミクロネシア連邦が入っていないのは、人口が10万人を超えているからだという人もいますが、キリバスも超えているし、おそらく土地面積や人口両方が関係しているものと考えられます)。

首脳レベルの参加は、マーシャルのヒルダ・ハイネ大統領、キリバスのタネシ・ママウ大統領で、そのほかPIF事務局からデイム・メグ・テイラー事務局長、オブザーバーとして、今年のPIF総会開催国であるミクロネシア連邦のピーター・クリスチャン大統領が参加しているそうです。

今回はSIS設立のための会議と銘打っているようですが、太平洋地域の枠組みを考えると興味深いものだと思います。

長い間、自分の感覚では2008年頃まで、大洋州は赤道を境に北部ミクロネシア地域(米系)と南半球側(南部ミクロネシア、メラネシア、ポリネシア)(英系)にギャップがありました。それが世界経済の影響、気候変動、米系ミクロネシア諸国のコンパクト2への移行、フィジーのクーデタを端緒とする島主導の動き等が影響し、地域間のつながり、特に北部と南部のつながりが強まってきているようです(それぞれの国に温度差はあります)。

また、先進国が使い続けているミクロネシア、メラネシア、ポリネシアという地域分けは、たとえばミクロネシアではミクロネシア3国とナウル・キリバスに線引きがあったりしますが、課題によってはそれらの地域分けによるサブリージョナルグループでは対応できないものになります。そのため、このSISの枠組みというのは、今後どのように発言力をつけていくのか注目されます。

パラオの視点からいえば、今年、MCES(ミクロネシア行政首長サミット)がMIF(ミクロネシア諸島フォーラム)に発展しました。MIFの特徴は、ミクロネシア連邦のヤップ、チューク、ポンペイ、コスラエの4州政府もパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャルの国家政府、北マリアナとグアムの自治政府と同じステータスを持つことにあると思います。

中国やロシアによって作られたとレッテルが張られがちなPIDFは、太平洋共同体(SPC)のように未独立地域も独立国も同じステータスを持っています(SPCと異なるのは太平洋島嶼国・地域のみがメンバーであること)。

以前フランス外交団の方や、ニューカレドニア外務省の方と話した時に、「独立していなくとも、自治権は強くあり、現地で生活している人々には太平洋島嶼地域共通の課題がある。それらの課題を共有し、住民の生活改善や安全保障のために取り組む枠組みがあることが望ましい。PIDFはその可能性があるため、期待を込めて、好意的に見ている」と言われたことがあります。

MIFもPIDFも(パラオ国務省の人は、MIFはPIDFのミクロネシア版だと言っていました)SISも、住民の現実的視点に立つ枠組みになるように思われます。

地域では、環境、政治、経済、安全保障、漁業などなど様々な切り口があり、それぞれに適した枠組みがあります。いずれこれらを整理し、効率化する必要が出てくるかもしれません。


(記事ではSmall Island Statesとありますが、パラオ政府の友人もマーシャル政府の友人も、PNG以外の太平洋島嶼国はSmall Island Statesなので、SISはSmaller Island Statesだと言っています。)
ミクロネシア・アイランズ・フォーラム [2016年02月26日(Fri)]

2/23、24、パラオのコロールで、第21回Micronesia Chief Executive Summit(MCES、ミクロネシア行政首長サミット)が開催されました。
MCESは、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャルの各大統領と、北マリアナ、グアム、ヤップ、チューク、ポンペイ、コスラエの各州知事が参加するサミットで、年に2回程度の割合でローテーションで開催されてきました。ですので10年程開催されてきたようです。また年2回のうち1回程度は、3カ国によるミクロネシア大統領サミット(MPS)が開催されてきており、今回は2/22に開催されました。

MPSの主な話題はパラオとヤップの光ケーブル計画、UNDPのミクロネシア3国支援強化がテーマとして、目立っていました。

そして、MCES。自分も今別件ロジ、サブロジでヘロヘロになっていますが、パラオ政府職員、特に国務省の方々は更に大変な状況を過ごしています。自分も日本政府の国際会議の裏方でその大変さを肌で経験しているので、皆さんの状況がよくわかります。特に政府主催の国際会議は、プロトコル(入国、出国、移動、食事の場合など)を慎重に配慮しなければなりません。

パラオ国務省(日本でいえば外務省)の友人らの大変さが非常によくわかるので、差し入れしたり、彼らの邪魔にならないように配慮していました。すると、狙っていたわけではないですが、「これが成果だ!」として9者署名のMCESコミュニケ原本を見せてくれました。

そしてパラオの新聞やラジオでミクロネシア諸島フォーラム(MIF)は設立の話が注目されています。

パラオ国務省の友人によれば、PIDFのミクロネシア版みたいなものとのこと。

太平洋諸島フォーラム(PIF)は、政策機関で、14太平洋島嶼国+豪州・NZ。

太平洋諸島開発フォーラム(PIDF)は気候変動などをテーマとし全太平洋島嶼国・地域。

ミクロネシア諸島フォーラム(MIF)は、米国系ミクロネシア地域(北太平洋島嶼地域)の3独立国、2地域、4州で、気候変動などがテーマ。

PIFやPIDFは南太平洋が多数を占めることと、抱える問題に米系ミクロネシアとそれらとは異なるものが多いこと、独立国のように強いミクロネシア連邦の4州が入らないことなどがMCESからMIFへの発展は、理解できるもので、興味深いですね。



第12回ミクロネシア大統領サミット [2012年07月10日(Tue)]

7月10日(火)

毎年1回開催されているミクロネシア大統領サミットの結果について報道がありましたので紹介します。今回のサミットは7月3,4,5日にマジュロで開催されたそうです(6日はフィッシャーマンズ・デイという祝日だったので、トローリングにでも行ったのでしょうか)。

ミクロネシア地域では、いわゆる米国圏の国と地域が首長会合を定期的に開催しています。

1つはMicronesia Chief Executives' Summit(MCES)。ミクロネシア行政首長サミットで、これにはパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャルの大統領とグアム、北マリアナの知事、ミクロネシア連邦のヤップ州、チューク州、ポンペイ州、コスラエ州の知事が参加し、年2回開催されます。開催地は、これら3か国2地域(グアム、北マリアナ)を巡回し、第17回MCESはこの3月にグアムで開催されました。

もう1つは、Micronesia Presidents' Summit(MPS)。これは年1回、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャルで巡回し、通常MCESに合わせて開催されます。想像ですが、今年はパラオが9月25日に大統領予備選、11月6日に大統領本選と総選挙があるため、分離して開催したのではないでしょうか。

わかりやすい記事は、こちらです。
http://pidp.eastwestcenter.org/pireport/2012/July/07-09-04.htm

MPSは、特に国際社会に向けて、3か国の共通事項を協力して訴えていこうという目的があります。

この記事を読むと、気候変動対策に絡めて、マーシャルがクワジェリンに開発しよう企図している海洋温度差発電(OTEC)を地域のプロジェクトとしようとしている点や、まだ全く調べていませんが”debt swap initiative“というカリブ諸国が導入しているものをミクロネシア地域でも取り入れようという点が注目されます。

その他、PNAに関連した漁業や、当財団もかかわっていたコーストガードに関する話もあります。

個人的に変わったなと思えるのは、これまでマーシャルはミクロネシア地域でも漁業国であり、たとえば海洋保護区を例とすると、パラオが生物多様性保全の環境寄りだとすれば、マーシャルは資源の持続的利用の水産業寄り、つまり、日本に近い感じでした。しかし、パラオにならってサメサンクチュアリを導入したり、PNAの仕組みを活用した、資源を守りつつ利益を上げる手法が成功しつつあることから、環境寄りになってきています。

象徴的なのは、今回の大統領サミットでは、米国の環境NGOであるThe Nature Conservancyが背後で活躍していることで、マーシャル政府との距離がかなり近くなったことが感じられます。4〜5年前までは、環境NGOを毛嫌いしている雰囲気がありましたので、これは大きな変化かもしれません。