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太平洋島嶼国の債務に関する考え方 [2018年04月04日(Wed)]

太平洋島嶼国について開発援助・経済協力という視点で見ると、ついつい経済の観点を忘れてしまうかもしれません。自分は2012年から15年までフィジーにいましたが、当時、現地準備銀行副総裁やADB事務所長、PIF事務局の友人らと話すことで、専門の方からすれば当たり前じゃないか、と叱られそうですが、債務は投資であるという見方を持つようになりました。

2012年10月、フィジーに赴任しましたが、当時の日本側から得るフィジーの印象は債務過多(GDPの5割弱)で、資金を貸している中国に操られてるんじゃないか、というものでした。しかし中身を見てみると、対外債務は全体の債務の6割程度で、中国からのものはさらにその3割程度で、現実と印象のギャップを感じたものです。

フィジーでは、でも、やはり債務がGDPの5割ということで問題となっており、当時の暫定政府に反対する人々がこれを減らすべきだと主張していました。

いくつかポイントがあるので、1つずつ書いていきます。

1.債務の目的
暫定政権以前の政権が作った対外債務には、政府人件費の赤字補填が大きな割合で含まれていました。暫定政権では、経済成長を促進するための道路、港、空港など経済インフラへの投資が目的でした。

2.GDP比を減らす方法
2012年13年当時、フィジーの反政府側は、債務を減らすべきだと主張していました。一方、政府側は、経済成長を促進するとしました。すなわち債務額が同額でも、GDPがあがれば債務割合は減るという考えです。

例えば、GDPが100で債務が50、年3%の成長とすると、当初の債務はGDPの50%となりますが、5年後にはGDPが116になるのでGDP比は43%に減少します。


現地準備銀副総裁やADB事務所長と話していた時には、やはり投資という観点で資金を投入することで、経済成長が促進され、さらに資金投入も可能になる、健全な資金のフローができていくというイメージができました。

しかし、2012年半ばまでは、フィジーの暫定政権ではまだそのような健全な段階の手前にあったと思います。ある段階から、民政復帰の雰囲気もでき始め、中国以外のドナーも少しずつフィジーとの関与が増えてきた中で、当時のフィジー政府はGDPを上向き基調にするため、いくつかの政策を実施しました。

GDPは支出面からみるとC+G+I+(X-M)であり、フィジー政府はCの消費とX(観光サービス)の拡大を図ることとしました。特にCについては人口の多くを占める中位の所得以下が所得税免税、必需品の付加価値税免除、高校までの授業料免除などで、内需を刺激しました。海外からの投資促進のための税制改革も行いました。また建設部門が継続的に活発です。

2013年、2014年と国内経済が上向きになり、民政復帰により中国以外のドナーからの資金も投入されるようになり、今や、チャレンジではありますが、20年でGDP4倍を目指すというくらいまでに成長してきました(年7%成長の継続を目指す)。フィジーは必要な投資分野やエリアが残っており、健全な投資があるのであれば、まだまだ伸びしろがあるといえるでしょう。

太平洋島嶼国により、現地経済レベルや構造(生産的なのか政府財政依存、財政支援(贈与)依存なのか)が異なるため、各国の債務状況を見る場合には、当然ながら個別の評価が必要かと思います(過去5年で見れば、ナウルやキリバスを含め、各国とも経済成長を続けています)。

例えばナウル協定締約国が導入したVDSという資源国が得る入漁料を増大させる方法により、援助に頼らない大きな財源ができ、国の経済が固着傾向から活性化に向かい、民間の経済活動が活発化し、経済成長傾向に転じ、外部からの投資を得て、さらに経済成長につなげるというモデルができるのかもしれません。一方で、必要になるのは財政マネージメント能力で、SDGs達成にどれだけ近づけるのか、ということになるでしょうか。
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