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中国の太平洋島嶼地域進出、レベルが上がった。 [2018年03月20日(Tue)]

昨日のトンガ国王と習近平国家主席の合意内容に、明らかにレベルが上がり、中国の自信を強く感じています。他方、フィジーのサンドラ・タート博士は日本の自由で開かれたインド太平洋戦略と太平洋・島サミットに関する考え方を現地新聞紙に寄稿しています。

http://www.fijitimes.com/story.aspx?id=438628

内容は日本の言うインド太平洋が、従来のアジア太平洋に代わる言葉であるのかということ、果たして日本と太平洋島嶼国の関係、太平洋島嶼地域の秩序が変化している中で、太平洋・島サミットの枠組みは日本と太平洋島嶼国の戦略的な枠組みなのか、などと触れられています。

自分が見る太平洋島嶼地域への中国の進出については、大きく3つあったと考えています。
1.中台関係(支持国の奪い合い)
2.アイソレートな拠点確保(経済や軍事)
3.地域機関での影響力強化

昨日紹介したトンガと中国の合意では、1.についてはすでに中国の勝利で、特に触れる必要はないとしていると感じられます。

3.については、すでに太平洋諸島フォーラムで、仏領ポリネシアとニューカレドニアが加盟したことで、豪、NZを除く加盟国数は16カ国、中国:台湾とすると10対6で中国が圧倒的多数を持つ状況になりました。

2.の拠点確保については、1950年頃に米国のJohn Foster Dullesが提唱した、もともとソ連・中国の共産主義と西側資本主義の文脈での、列島線の考え方が関係していると思います。第1列島線は太平洋向きでは台湾が南端、第2列島線ではパラオが南端、第3列島線ではトンガが南端になります。第3列島線はあまり知られていませんが、アリューシャン列島、ハワイ、トンガ、NZを繋ぐラインになり、日本などは全く関係ない対米国とのせめぎあいのラインです。かつて話題になった太平洋を米国と中国で2分割する際のラインと考えられるでしょうか。着々と布石を打っている印象です。

https://matangitonga.to/2016/02/29/tonga-grappling-security-vast-ocean-area

パラオやトンガというのは、中台関係だけでなく、面的戦略的に重要といえるでしょう。

現在、太平洋島嶼国は台湾と国交がある国を含め、経済成長のポテンシャルがあり、実際に観光や貿易投資により、これまでの固定観念から離れた経済成長を目指す国が大変増えています。

それらの国々は、Look East Policyなどといって、アジアを見ています。そしてアジアの大市場というと中国になります。

中国市場にアクセスするには、観光ではADS(Approved Destinatioin Status)が必要であり、中国は国交のない国にはこのステータスを与えないとしています。貿易投資については、貿易投資協定を結ぶ場合、やはり国交のない国とは結ばないとしています。パラオでのアプローチは、まず貿易投資協定を結び、国交を結ぶという順番のようで、他の台湾と外交関係のある国にも同じ風を送っているかもしれません。

サンドラさんの寄稿記事は、太平洋島嶼国側には選択肢が増えており、太平洋島嶼国の判断でそれらから選ぶことができるという状況にあると読み取れます。

太平洋・島サミットは、日本の戦略を押し付けるという形ではなく、相互理解と相互信頼関係を深めるために、大変重要な機会になるでしょう。
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