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トンガ:サイクロン・ジータによる被害 [2018年02月28日(Wed)]

2月12日にトンガを直撃したサイクロン・ジータですが、現在日本・JICAを含む国際社会からのさまざまな支援活動が行われているようです。

UNITAR(2月9日現在)(衛星画像による被害状況調査)
http://unosat-maps.web.cern.ch/unosat-maps/TO/TC20180209TON/UNOSAT_A3_Nukualofa_Tongatapu_Landscape_TC20180209TON.pdf

reliefweb(2月26日現在)
https://reliefweb.int/report/tonga/tonga-tropical-cyclone-gita-26-feb-2018

UNOCHAの情報(上記)では、205世帯が避難所におり、303の家屋が全壊、1945の家屋、85の学校、タロなどの穀物の50%、果樹の80%が被害を受けているそうです。

また日米英独、世銀などによる太平洋災害リスク保険により、3.5百万ドルの保険金が支出されたとのニュースもありました。同保険は民間保険会社も参加しており、確か2012年に試行されたものと思いますが、地域では大変重要な枠組みだと思います。トンガでは2014年のサイクロン・イアン以来となります。

被害総額がまだ出ていませんが、近年のバヌアツやフィジーでのサイクロン被害を考えると、被災者の住居や学校施設の復旧に時間がかかる可能性があり、また国内の主食タロなど農作物の被害が物価を押し上げる可能性があり、不足分を輸入に頼ることになるかもしれません。

マクロ経済的には、トンガは対外債務のGDP比を抑えるために非譲許的ローンを借りない政策をとりGDPの安定的成長を目指しており、2019年から中国への債務返済が始まるものの、今年1月のIMF4条協議スタッフレポートのベーシックなシナリオでは、順調に健全な経済の形になることが予測されていました。他方、同レポートでは、The 2016 World Risk Indexでトンガが自然災害に最も脆弱な国の2位に位置付けられているため、2018年に自然災害がある場合の代替シナリオが述べられています。そこでは過去の例から、GDPが4%ほど押し下げられるとのこと。ほぼゼロ成長となると思われます。

今後、住民の生活、住居や学校の復旧、食料・食糧の安定確保に加え、マクロ経済的な支援(例えばローン返済を遅らせるとか、借り換えさせるとか)が必要になるかもしれません。
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