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頼もしいマーマウ/キリバス大統領の発言 [2017年05月29日(Mon)]

今日はさえない1日でした。


さて、昨日の記事で少し話したキリバスのマーマウ大統領の発言についてです。マーマウ大統領は対外的関係よりも内務・内政重視の大統領との印象があります。

先週ですが、5月22日〜26日、メキシコのカンクンで、国連防災グローバルプラットフォーム会合(2017 Global Platform for Disaster Risk Reduction)が開催されました。

一昨年でしたか、気候変動への適応と軽減を目的とした緑の気候基金(GCF)が設立され、日本は1500億円を投入しました。これは途上国が対象となっていますが、特に気候変動の影響を顕著に受けている太平洋島嶼国に目を向けています。申請国には、無償やローンの形で資金が提供されます。一方、その申請手続きや審査手続きの面倒さ(必要な手続きだと思いますが)から、例えばいくつかの太平洋島嶼国(下記ではフィジーやサモア)が資金へのアクセスに対し、不満を持っています。

そこで、キリバスのマーマウ大統領の発言
http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/331680/kiribati-using-trust-fund-for-short-term-climate-financing

簡単に言えば、
・キリバスは水不足に直面する恐れが高いが、その資金をGCFに頼んでもいつ資金が導入されるかわからない。
・援助資金が決まるまでに国民の生活は状況は厳しくなる。
・自国の信託基金(運用益が6%程度)を担保に民間の銀行から1〜2%の低利の譲許的ローンで資金を調達し、直近の危機に対応する。(淡水化装置調達を想定している)
というものです。

民間の銀行(どこかの国ではないと良いが)がローンを提供する確証があるような発言です。

僕自身はキリバスを2014年前後、4〜5回訪問し、さまざまな協議をいろいろな方と行ってきました。今バヌアツやミクロネシアにいるオーストラリアの友人も含みます。その時の印象は、衛生環境が悪い、土地がマーシャルよりも平たく、もんじゃ焼きの土手のよう、というややネガティブなものがありました。

一方、住民は質素で贅沢を求めていない、働き者、内需が伸びているなどという印象もありました。
キリバスは酋長制度があるわけではなく、土地への自身の根っことしてのこだわりはマーシャルなどより弱い(売ることで資金を得たり、移住することも選択肢にある)、あれだけ島が離れているのに同じ言語を話す、などの発見もありました。

2014年でしたか。当時の財務次官がドナー会議の場で、「皆さんは笑うだろうが、キリバスは急激な経済成長による伝統社会の崩壊を警戒している。経済成長のポテンシャルがあることは理解しているが、年3.5%を超える成長は望まない。」などと発言していました。それも印象的でした。(年3.5%増が20年で2倍、7%増が10年で2倍)

キリバスはマーシャルとは異なり、自由連合ではなく、英国政府からの資金で信託基金を設置(資金を毎年得るのではなく、一括で基金を設立)し、1979年に独立しました。ある日本人専門家の友人は、キリバス経済はマーシャルの米国の資金援助が無くなったものと考えて良いと話していました。そのくらい、質素な生活をしています。一方で、外部の資金に頼らず、自分たちで何とかしようという基本的な考え方があるようです。

そういえば、自分がマーシャルで時々お世話になっていたキリバス人の友人は、「マーシャルは毎年米国からの資金を得るから自立できないんだ。」と話していたのを思い出します。その友人は今、ツバルで議員をしているんだったか、兄弟はキリバスで議員をしているんだったか、地域をまたにかけている家族でした。


上記の信託基金は、名前を失念しましたが、国の財政が赤字になった場合に、歳入を補てんするための基金で、確か運用用の口座と、取り崩し可能な口座がありますが、目的外の使用(取り崩し)も含め、国会の承認が必要となります。また贅沢する人々ではなく、過度な経済成長を求めないため、将来のために基金をできるだけ使わないという基本姿勢を持っています。

数年前まではキリバス経済(一人当たりのGDP)はパプアニューギニアにも抜かれ、地域で最低レベルにありました。しかし、ナウル協定の取り組みが成功し、過去4〜5年は国家財政が大幅な黒字となり、余剰分は信託基金に積み上げるという取り組みをしています。(GDPが180億円程度のところ、黒字が20〜30億、50億というときもあったでしょうか。。)

国民の生活レベルは、質素で、過度な成長を求めていませんが、マクロ経済は好調で、無駄遣いせず、国の将来のために積み立てているという状況です。大変賢いと思います。

例えば、数年前に世銀、ADB、豪州などがローンや無償資金を組み合わせ90億円超の資金を投入し、首都タラワの道路整備事業を実施しました。その際、キリバス政府も5億円程度ですが、資金を投入していました。


今回の話は、近年の太平洋島嶼国に見られる太平洋島嶼国の自立の動きとみることもでき、他の太平洋島嶼国にも影響を与えるかもしれません。ドナーもそのような気概のある国を見ていると思います。


お金の流れの見方ですが、かつては無償資金協力を受け、一方で漁業資源を安く提供していたものが、資源の値段を引き上げることで、それがたとえ無償資金協力を減少させたとしても、入漁料収入が増大し、資金利用の自由と共に、必要な国内投資が可能となったとみることもできるかもしれません。

また日本の間接的支援と言いたいと常々言っているのですが、キリバス、マーシャル、パラオ、ツバル、(ナウルはADBの支援を得て5年くらい前に設立したばかりで規模が小さいはず)などは、国の財政規模が35億〜160億円程度のところ、いずれも200億とか300億とかの信託基金を設置しています。日本経済が好調となることが世界市場の成長を招き、彼らの信託基金の運用益が増大し、全体で年数十億の資金増をもたらしています。さらに間接的に、世界経済が好調であればADBの資金が増大し、島嶼国にはさらに無償や譲許的ローンで資金が流れるようになります。

ちょっとブラックな言い方になりますが、仮に日本が温室効果ガス排出量の急激な削減を行った結果、海面上昇がわずかに抑制される一方で、日本経済が停滞し、世界市場が停滞することになれば、運用益がインフレ率を下回り、実質的に元本割れとなり、財政難に陥る国が出てくるかもしれません。要はバランスというか。。。

つらつらと取り留めもなく書いてしまいましたが、太平洋島嶼国側の視点を少しですが感じていただけたでしょうか。


では、また明日!明日は良い1日になりますように。。。
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