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中国がパラオ旅行を販売禁止?(現地報道) [2016年08月07日(Sun)]

時間が経ってしまいましたが、7月25日、突如パラオの現地紙で下記の報道が流れました。
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"China Bans Packed Tourists To Palau"

中国では人民が海外旅行できる国を決めており、台湾を国家承認しているパラオは元々その「旅行可能国リスト」には含まれていないそうです。これまで特にこの2年弱、パラオ旅行パッケージが不採算レベルの値段設定を含め中国国内で大量販売されていたとのことですが、今回突如として「パラオ行きのパック旅行は販売してはならない。販売した場合、処罰の対象。」との通達があったとの報道です。

こちらでいろいろな人に話を聞きましたが、この動きの背景には、次の3つがあるだろうとの声が多数でした。
・フィリピンとの南シナ海問題に対するオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の判断
・台湾の政権交代
・中国国内経済の変化

(意外とパラオの一般の人は台湾を中国の一部と思っていたりして、国内の中国人旅行者の問題の不満の矛先が台湾人旅行者に向かったりもする)

そして、その目的は、中国が民間経済から引くことで、台湾を承認しているパラオに嫌がらせをしようと試みるものとの見方が多数あります。中国が民間経済を容易にコントロールできることを示してしまったとも言えます。

大洋州で、台湾を国家承認している国は、中国との外交関係がないわけですが、一方で民間の投資を含む経済活動は活発であり、小さな島の国内経済に少なからず影響力を持つようになっています。

さて、これを受け、例えば日本政府関係者や民間の日本人の方は、中国の観光客が激減すればパラオ経済は厳しくなるとの懸念があると述べていました。

また今回の通達は国ではなく北京市によるものなので、香港からは変わらず観光客が来るのではないかとの声もありました。

一方で、自分が会って話した(この話題について話したわけではないが、相手側から勝手に言ってきたもの)10人以上のパラオ人の政府職員やタクシーの運ちゃんや地方の方々は、全員「良かった。これで様々な問題が解消される。」と言っていました。

この反応の違いには、まさに前の記事に書いたパラオ経済の特殊な構造が関係しているのだと思います。

もう一つ、中国人観光客が急増したのは、たかだかこの2年弱の話です。2012年、まだ中国人観光客がほとんどいない時期、徐々に訪問者数が伸びて年間12万人を超えていました。

その時でさえ、上下水道や電力など基本インフラが整わない現段階で観光客の増加ペースが速すぎるとの議論が国内にあったんです。それがあり、下水の処理能力を強化するために、ADBからローンを調達する目的で、当時15ドルだったグリーンフィーを下水道整備目的15ドルを加え30ドルに引き上げられました。(グリーンフィーについても、この引き上げについても、当時から日本人関係者は「安易に外国人から金を取ろうとするもので、けしからん」と話していたことを思い出します。一方で、観光客数が増えないとパラオ経済は持たないと批判するという…。)

中国人観光客が激増したことで、元々の懸念が現実化したとも言え、この2年弱で様々な負の変化を経験した観光産業から直接の恩恵を受けていない多くのパラオ人は、今回の報道が本当で、中国人観光客が減少するなら、「ホッとする」というのが本音のようです。

中国はおそらくパラオに対し、「台湾との外交関係を変えないならば」「南シナ海についての中国の立場を支持しないならば」、「観光客を引き上げて、パラオ経済を悪化させるぞ」とプレッシャーを与える意図があるのかもしれませんが、多くのパラオ人にとっては願ってもないことで、「どうぞ、どうぞ、どうぞ〜^ ^」という状況と言えます。
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