• もっと見る

«国連機関の大洋州支援強化の動き | Main | フィジーと豪・NZの関係回復、道遠く。。。»
ADB、フィジーに対し50百万米ドルを融資 [2016年07月01日(Fri)]

「ADB provides US$50 million for Fiji cyclone relief」
http://www.pina.com.fj/index.php?p=pacnews&m=read&o=189102392457759c69f3d28533789f
(6月30日付、ADB/PACNEWS)

フィジーは今年2月20日、21日に発生したサイクロン・ウィンストンによる大災害からの復興途上にあります。この災害では44名が亡くなり、およそ90万人の国民のうち62%が災害の影響を受けたと言われています。また、495の学校、88の保健医療施設も被害を受けました。被害総額は国内総生産の31%にあたる14.2億米ドルに上るそうです。

これを受け、ADBは50百万米ドルの緊急援助ローンを返済期間20年、返済猶予期間5年、年利1.3%で提供し、フィジー政府はこれをサイクロンに対し強靭な学校や家屋建設費用に充てるようです。また、すでに世銀も同じ目的で50百万米ドルのローンを提供したとのこと。

フィジーにあるADB地域事務所のロバート・ジョンシー代表は、世銀から移ったオーストラリアの方で、やはりフィジーをはじめとする島嶼国の人々との対話を大切にし、バイアスなしで冷静に状況を分析し理解されている人物です。

2年ほど前に話した時には、ADBの投資実績が好調であり、太平洋島嶼国への資金提供を強化する旨話していました。日本から見ると、「お金を与える」という見方になりがちですが、ADBは銀行なので(無償資金協力もありますが)、当然ながら「優良な投資先を見つけ投資する」という考えが根底にあり、太平洋島嶼国の好調な経済成長見込み(3%以上)から、太平洋島嶼国は優良な投資先であるとともに、通信を含むインフラ整備への投資がさらなる経済成長につながると考えているようでした。

日本国内ではアベノミクスの成果に対する議論がありますが、怒られてしまうかもしれませんが、日本が安倍政権になり、世界市場が活性化し、ADBの投資向け資産が増えたという話も聞いたことがあります。見方を変えれば、日本が間接的に太平洋島嶼国への支援を増やしているともいえるのではないかなあと思うこともあります。

フィジーですが、やはり災害からの復興とともに、国の強靭化が重要であることから、洪水対策などに大規模な資金が必要な状況のようです。上記記事では、ADBと世銀による融資が書かれていますが、先日はAIIBへの加盟を考えているとの報道がありました。

「Fiji Looks At Becoming Full Member Of Asian Infrastructure Investment Bank」

http://www.pireport.org/articles/2016/06/27/fiji-looks-becoming-full-member-asian-infrastructure-investment-bank

(6月27日付、Fiji Times Online/PIR)

AIIB加盟の話の背景には、政治云々よりも、フィジーはとにかく資金が必要ということなのだと思います(昨年ADB中野総裁がスバを訪問した際、現地中国大使館の外交官の質問に対し、AIIBとの協調融資も視野にあるというような話をしていましたので、フィジー側も幾分その話を参考にしていると思います)。
コメントする
コメント