国連機関の大洋州支援強化の動き [2016年07月01日(Fri)]
フィジーのスバに駐在しているオスナット・ルブラニUN太平洋地域事務所代表・UNDP太平洋地域事務所代表が、国連の高官とともにキリバスを訪問しているというニュース。
「UN to begin Pacific Strategy Consultations in Kiribati 」 http://www.pina.com.fj/index.php?p=pacnews&m=read&o=1185432242577598d1dbb4cf99ecae (6月30日付UNDP/PACNEWS) 詳細は引きませんが、目的は国連による新太平洋戦略開発のための現地政府との協議とのことで、太平洋島嶼国の開発目標を達成するためには、資金協力なのか、技術協力なのか、その他の支援方法なのか、何を使うことが最良なのかを見極めるための現地訪問のようです。この新太平洋戦略は2018年から2022年を対象期間とし、14の太平洋島嶼国で活動している21の国連機関の方針を定めるものとのこと。 今回のキリバスの前にはサモアとトケラウを訪問し、この後は、トンガ、マーシャル、ミクロネシア連邦、パラオを訪問する予定とのこと。さらにフィジーとは8月に協議を行う予定のようです。 自分がフィジーにいた時、確か自分の2年目くらいの時にフィジーに赴任されたと思いますが、ルブラニさんと何度か一緒に仕事をさせていただくことがありました(現地ではオスナットと呼ばれていましたが、自分は恐れ多くてルブラニさんです)。 ルブラニさんはイスラエル出身の小柄な女性で、自分は、それまで会ったことのある大洋州を対象にしている国連機関の方(日本人を除く)とは異なる印象を持っています。 国連に限らず、先進国の太平洋島嶼国支援のアプローチは、最近は減っていると思いますが、現地との対話プロセスを省いてしまったり(もしくは形式的に行う)、現地の人たちと距離が近くならないまま、自分たちの先入観というか考えを押し付けるような場合があります。 しかし、ルブラニさんは、赴任当初、2013年の終わり頃だったでしょうか、まさにフィジーが選挙を本当に実施するのか否かとか、憲法の話とか、バイニマラマ首相(暫定で軍司令官だった)の軍司令官退任だとか、フィジー国内で先進国側とフィジー政府との緊張感が高いかった時期ですが、先入観にとらわれず、現地の人々の話を良く聞き、寄り添うような姿勢を取られていたと思います。 ルブラニさんの赴任当初、国連および先進国側は、バイニマラマ政権に対して、同政権がどのような改革、取り組みを示しても、選挙の約束についても、豪・NZの影響を受け、豪・NZの視点からの批判的な見方を取り、そのような態度をフィジー政府側に見せていました。 その後、それほど多くはありませんが(フィジーではどの機関の人も、外交ミッションも本当に忙しく時間が取れないし、自分は気軽にルブラニさんに会える立場ではない)、何度か話をする機会があり、自分は島側の視点からものを見る傾向があるので、豪・NZの影響を排したフィジー政府側の視点(事情)から見た現状分析をルブラニさんに共有させてもらっていました。特に2014年の選挙の1年ほど前からの民主化支援協議などを思い出します。 2014年のフィジー総選挙が無事終わり、民政復帰がなったのちには(次には議会支援などがあるのですが)、2015年に戦後70年を迎えるにあたり、国連としてミクロネシア地域への支援を厚くしたいと考えているという話を聞きました(日本とミクロネシア3国の関係を考慮されていた印象があります)。 初めてあいさつしたときに、自分がマーシャルに長くいたことや、パラオなどでも仕事をした経験があることを伝えていたこともありますが、忙しい中、ミクロ3国の違いや、国民性、ニーズなどについて、長い時間、話を聞いていただきました。何より、ルブラニさんの英語はきれいで可愛らしいんです。 今回のニュースを見ると、より実効性を考えて、南だけではなくミクロ3国への支援も視野に入っているようなので、国連の新太平洋戦略がどのようなものになるのか、楽しみですね。 フィジーに赴任した2012年10月から2年間、ブログ記事は書きませんでしたが、現地ではいろいろなことがありました。折を見て、触れていきたいと思います。 |