• もっと見る

«1年が経ちましたが。。。 | Main | 太平洋島嶼国留学生会議 ISA2012 (2) »
太平洋島嶼国留学生会議 ISA2012 (1) [2012年03月13日(Tue)]

2012年3月13日(火)

先週3月7日、日本財団ビル2階で第4回太平洋島嶼国留学生会議(ISA: Island Students Assembly)が開催されました。

これまでの経緯は次の通りです。
・2008年、太平洋地域出身の大学院生らによる太平洋島嶼国研究者フォーラム(PIRF: Pacific Islands Researcher’s Forum)設立。
・2009年5月、第5回太平洋島サミット(PALM5)への提言を目的として、PIRFとその他の太平洋地域出身留学生による第1回太平洋島嶼国留学生会議開催。
・2010年10月、太平洋諸島フェスタにあわせ、第2回太平洋島嶼国留学生会議開催。
・2011年3月、第3回太平洋島嶼国留学生会議開催。PIRF新執行部による新生ISAに向けた会議であったが、開催直前に福島原発第3号機が爆発したため、日程を短縮。

昨年3月の新生ISAが不完全燃焼で終わったため、今回はその仕切り直しという意味合いがありました。

これまで単なる交流会と見られがちだったISAですが、今回の会議をきっかけとして、自主性を持ち、日本と太平洋島嶼国を繋ぐ意味のある組織となることを期待して開催を支援しました。

太平洋島嶼国で仕事をすると、すべての国で共通というわけではありませんが、人々は忍耐強く、揉め事や口論を避ける傾向にあると感じることが多くあります。別の見方をすれば、声が大きく、上から指示を出す人物に対して、表面上は従うように見え、指示をする側から見れば、自分の意見を言わない(=何も考えていない、やる気がない)人々だと思われる傾向があります。

僕個人の感覚では、その意見を言えないシャイに見えるところは日本人も似ているところがあり、それ故に、現地では相手の気持ちを汲み取ることができていると思います。

たとえばマーシャルの高校で教員をしていたとき、日本人を含めた外国人の間では、マーシャルの学生も教員も「自分の意見を言わない」、「やる気が感じられない」などということが言われていました。

しかし、一人ひとりの目を見て名前を言って、押し付けるのではなく促すようにすれば、しっかりと意見をいうようになり、意見を言って良い場面なのだと認識されれば、活発な話し合いがされるようになります。

日本でも共通だと思いますが、参加者がお客さんではないのだという状況にすること(参加者自身が気づくこと)が重要だと思います。

さて、今回の会議の準備段階では、僕の方から、
・当基金の下にあるという考えではなく、自立した組織であると認識してほしい。我々としては自立した組織をバックアップする形を考えている。
・当基金の顔色をうかがうことなく、積極的にイニシアティブをとってほしい。当基金がすべてを認めることはないだろうが、是々非々で対応する。
・単なる交流会は認めない。
・たとえば大学院生は、各国で政府機関などでの社会経験があるものもいるので、単なる学生であるとは考えていない。学部生も含めて、意味のある情報共有とネットワークづくりをしてほしい。ほにゃらほにゃら。
・日本学生会議所UNISCと良い関係を構築してほしい。ほにゃらほにゃら。。
と伝えました。

前置きが長くなりましたが、結果、次のようなプログラムとなりました。
1)留学生OBの講話+質疑応答
2)留学生による日本での研究内容のプレゼンテーション+質疑応答
3)グループディスカッション(日本での生活についてなど)+グループによるプレゼン+質疑応答
4)メラネシア、ポリネシア、ミクロネシア、日本に分かれて、各地の風習(特に婚姻など)についての発表+質疑応答
5)総括

↓留学生OBスエナガ氏(チューク出身、ミクロネシア大使館)
1Kunio.JPG
ISAの前代表として、留学生に対する期待が述べられました。島サミット関連会合で超多忙な中、フリッツ大使のご厚意で、ご協力いただきました。

↓留学生OBカッジェン氏(パプアニューギニア出身、民間金融機関)
1Ronald-san.JPG
日本滞在20年の経験について、面白い話を聞けました。特に、日本のNGOなどからの草の根レベルのPNGへの支援に対する仲介役としての役割など、留学生には非常に興味深いものでした。

↓留学生エモシさん(フィジー出身、九州東海大学)
emosi.JPG
再生可能エネルギーに関する研究についての発表でした。

風力、波力発電などが紹介されていました。ただフィジーには3,400万フィジードルの大規模風力発電プロジェクトでたくさんの風車が建設された地域があるが、風が少ないために回らず、当初期待していた電力を生み出していないという失敗例も紹介していました。

ちなみにフィジーにおける安定的な発電方法は水力だそうです。


↓留学生ルシラさん(フィジー出身、琉球大学)
Rusila.JPG
防災、特に河川の氾濫・洪水の予測に関する研究についての発表でした。

Rusila2.JPG
写真では、グニャグニャッと蛇行している河川の20年間の形の変化が示されています。日本であれば、ショートカットさせる水路を作るなり、護岸工事をするなりして治水を行うのでしょうが、フィジーではそれだけの資金はないとのことでした。


(つづく)
コメントする
コメント