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太平洋島嶼国におけるパスポートの話など。 [2025年06月17日(Tue)]

昨日来、バヌアツ、トンガ、ツバルが、米国入国制限追加対象国36か国に含まれているとして話題になっています。

バヌアツは居住実勢のない人々に香港にあるバヌアツの出先機関などを通じて名誉パスポートを販売しており(1件1千万円以上、それが実際に使用されているケースがある)、それが引っかかっているように思います。

トンガについては、80年代から主に政治状況を背景とする中国からの移住者を受けいれることを目的としたパスポートが販売されたことがありますが、今は売られていないと思います。現在は販売ではなく市民権の取得に関して、懸念されるものがあるのかもしれません。

ツバルはパスポート販売はしていないので、理由はパスポート発行に関する不明な部分があるのでしょうか。

米国コンパクトの下で、パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦のパスポート保有者は、米国領内で米国市民と同等の権利を持つことができます(市民権ではない)。そのため、かつて、第1次コンパクト(〜2003)の時に、マーシャルではフィリピンや中国の方々がマーシャル市民権を取得し、マーシャルパスポートを持つことで米国に移住するという流れがありました。マーシャルでは5年現地で生活していれば市民権取得を申請できました(今はわかりません)。当時パスポート1冊3万ドルという話も聞いたことがあります。もしくはマーシャル人と結婚したり子供ができると市民権を得やすいという話もありました。パラオは現地の血筋でない人は基本的に市民権をとることはできません(ミクロネシア連邦については確認していません)。

この米国自由煉獄国というのが一つの米国移住ルートになっていたわけで、第2次コンパクト以降、米国の要請に基づき、米国自由連合国出身でない人が米国自由連合国のパスポートを持っていたとしても米国ビザ必要というように協定の内容が変わりました。

上記の36か国には、カリブのセントキッツ・ネービスも含まれていますが、この国でもかつてパスポート販売が行われていたそうです。セントルシアも含まれ得ており、4月に訪問した際に、やはり投資と引き換えに市民権を得られる仕組みがあるとのことでした。

現在、サモアでは2億円前後の投資をする人には優先的に市民権を与える法律があると聞いたことがあり、ナウルではパスポート販売を開始していたと思います。パスポート販売が理由であれば、この2国も今後調査対象になるのかもしれません。


少し話は変わりますが、この数年の太平洋島嶼国では、気候変動、環境、被害者としての先住民といった文脈で声を上げる方々が増えているように見えます。背景には大国に抑えられてきた状況に対する反発、主権確保、といった要素もあります。個人的に気持ちはわかりますが、ただここ数年それが行き過ぎているように感じる場面もあります。気候変動活動家として活動している人が、実は現地ではなく米国に住んでいたり、国際会議で目立つことが目的になっていたり、そういった人々も目に入るようになりました。彼ら自身、先進国の経済成長がなければ自らの首を絞めることになるし、理想とは離れて、そもそも石油燃料なしには安定した生活を送ることはできません。
 そういった国々が対等な国として声を上げることは妨げるべきではないし、真剣なものであれば真剣に伝えるべきであると思います。しかし、その結果として、これまで被援助国、小さな国々として、心理的に優しめに見られてきたこれらの国々が、しっかりと主張することにより対等な国として対等に扱われるようになる、その厳しい環境に置かれることになります。
 先日、ある会合で、「地政学的競争について被害者として批判を続けている一方で、太平洋島嶼国の中には自らのメリットを拡大するために地政学的競争を煽っている国がある。日本など開発パートナーの国民・納税者の気持ちをもてあそんでいる国がある。そのようにシビアに見られ始めている。」という話をしました。

これも各国が独立国家として真に自立していく過程の一つとみることもできるのでしょう。
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