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いくつかのポイント [2025年05月11日(Sun)]

先ほど、台湾につきました。今回は発表ではなく、招待していただいたアジア太平洋関係の民間研究所のイベントへの参加が目的となります。

毎年、年度初めの4月から5月中旬までは各事業の試運転の時期であるため、事業遂行のための準備、情報収集、人的ネットワークの構築、新たな課題の発掘などを目的として動いています。そして、たいてい5月下旬以降、各事業が本格的に走り出します。

今回は例年よりも出張が多くなっていますが、そのような中、この数か月で、大きく3つのポイントが見えてきました。それぞれ特に新しい話ではないのですが、辻占のようにさまざまな場面で耳に入ってくる言葉によるものだったりします。

1つは、太平洋島嶼地域の安全保障に関する捉え方。自分は2016年頃から対外的に多層的な地域秩序構造の話をするようになり、その最も底にあるレイヤーが伝統的秩序になります。このレイヤー自体がいくつかのレイヤーに分かれてきました。それは、もともとあったものが見えてきたという面もありますが、この5年間のさまざまな要因により作られてきたとみることもできます。

もう1つは、首脳レベルの意思と実際の現場における課題に対する行動の間にあるギャップをいかに埋めることができるのか。これは今に始まったことではなく、自分の記憶では少なくとも12〜3年前には存在していた課題です。よくポストMDGs、現在のSDGsの議論でThink Globally, Act Locallyという言葉がうたわれたように、太平洋島嶼国では強い関心事項でした。
 そこから派生して、どうやって厳しいODA基準を緩和させ、あるいは新たなスキームを作り、資金を獲得し、課題への対応に繋げるかという議論になりました。これは少しずつ実現されています。

さらに3点目は2点目と関係しますが、開発途上国、特に小島嶼開発途上国と言われる国々の経済発展レベルによる違い。これまで少なくとも自分としては、太平洋島嶼国では人口、陸域の大きさ、GDPの官民比率、旧宗主国の違い、サブリージョンなどを意識してグループ分けをしていましたが、各国を回っていると、やはりOECD-DACの基準は重要だと実感するようになりました。
 その基準では後発開発途上国、低中所得国、高中所得国(ここまでがODAの対象)、そして高所得国となり数字上はODA卒業となります。これに対し、人口の少ない小島嶼国では数値が実態に合わずに高く出ることが援助へのアクセスという面で課題となり、例外的措置が取られるようになっています。しかし、やはり一人当たりのGNIが10000ドルを超える国と4000ドル以下の国では、課題について話をしていく上での土台というか社会基盤というか、ガバナンスというか、そういったものが違うことが多いと感じます。そのため、仮に複数国を相手に何かの取り組みを行う場合、その違いによってグループ分けした方がより効果的な活動ができるように思います。

雑多な書き方になりましたが、こういったことを頭に入れておくことで、不正確な部分が修正されつつ、数週間後には頭の中でまとまることになるでしょう。

出張が続いているところですが、これから3週間の間に、内部の作業とは別に、外部でのプレゼンなど4〜5件発表等の機会があるので、その準備も進めていきます。
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