PIFの中台関係 [2024年08月31日(Sat)]
8/28にTaiwan Plusというメディアの取材で答えましたが、PIFの枠組みでは、島嶼国・地域には、フルメンバー、準メンバー、オブザーバーの地位があり、域外のパートナーには域外対話国の地位があります。
域外対話国の数は現在20を超えており、今回のサミットでは戦略的パートナーと開発パートナーに分けるという話になったようです。 台湾は1990年代から中国の主張を受け、域外対話国にはなっておらず、PIFの伝統的なパートナーとして、PIFサミットの期間に別途台湾承認国とサミットを開くことができる特別な地位が認められています(1992年のコミュニケ)。 実際の扱いは、台湾は、議長国が台湾承認国であれば、議長の権限で、域外対話国と同レベルで会議に参加できたり、中国の強い支援を得ている場合は会議から排除されたりしてきました。 PIF事務局には年間の拠出金があり、中国は年間1-2億、台湾はその7割程度を90年代から毎年払っています(日本は中国の1割程度)。中国も台湾も、PIFを通じて国交のない国をプロジェクトに加えられる利点があります。 今回、トンガでは会場にどでかいCHINA AIDのサインがあったり、会場内で中国の外交官が運営に関わっているような様子がありました。おそらく10億円単位で支援したのだと思います(あるトンガ人は質や維持管理の懸念を述べていた)。我々が皇太子殿下や首相、バヌアツ外交官に挨拶しようとした際に、(勘違いして?)ブロックしようとする動きも見えました。 そういった状況なので、台湾排除は今回優先度の高い話だったのでしょう。 過去にも、台湾承認国にもかかわらず、中国の抗議で会場で台湾の国旗が隠されたり、PIFのパートナー会議(サミットではない)で、議事録にTaiwan/Republic of Chinaと記載するのをやめさせたりしていました。常にあるもので、正直島嶼国側は両者の争いに辟易しています。 今回、最初に公開されたコミュニケの第66パラには、首脳が1992年の台湾をパートナーとして確認したものを再確認したことが記載されていましたが、その後、中国の抗議で消されました。 これは、ソロモン諸島と中国が、今回の首脳間の合意事項に介入したことになり、特に台湾承認国に喧嘩を打ったことになります。2019年ー2022年のミクロネシア諸国(特にパラオ)のPIF脱退の動きの原因がPIF事務局長による中国重視・台湾軽視発言であることを踏まえれば、地域の結束を壊す動きと見られかねません。 中国側から見れば、表記がTaiwan/Republic of Chinaというのは到底受け入れられず、台湾承認国からみれば当然の表記なので記載すべきとなるのでしょうが、現在の台湾承認国3カ国では声が弱い。そもそもPIFメンバーの豪州、NZも中国の抗議を受け入れた形なので、現地ではさまざまな駆け引きがあったものと思われます。 来年のPIFサミットは9月にソロモン諸島となるので、台湾が外交団として入国することも難しくなるかもしれません。 ちなみにフィジーとPNGは台湾を開発パートナーとして認識し、協力関係を有しており、台湾ICDFを通じて農業や保健医療などの協力を受けています。 |
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