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米国民主党政権・豪州労働党政権時代の太平洋島嶼地域 [2022年06月04日(Sat)]

自分は米国政治や豪州政治については素人なので、細かなことはわかりませんが、2003年から太平洋島嶼国に関わり、2006年から政治・外交に関わってきた経験から、いろいろ思うことがあります。

オバマ政権時代(2008〜2016)、米国自由連合国(マーシャル、ミクロネシア連邦、パラオ)と米国の関係はあまり良いものではありませんでした。

援助国側の立場からみると米国側の言うことはもっともなのですが、現地の視点では、端的言えば、現地の人々が下に見られているような、そんな感情が現地にはありました。

マーシャルとミクロネシア連邦は2003年にコンパクト改定を終えていましたが、パラオはオバマ政権時代に部分改定が行われ2010年にパラオのトリビオン大統領と米国大使が署名したものの、米国議会の承認がなく、トランプ政権が発足するまで塩漬けされました。いずれも、米国に突き放されたようなところがあります。

結果、それぞれ他のドナーに経済的関係を求め、民間レベルや有力者レベルで、中国との関係も深くなっていきました。パラオが台湾から中国に国交が変わりそうな議会の動きがあったのが、2013〜2017。2017年は米国共和党政権発足半年後ほどのタイミングであり、パラオでは危険な状況でした。

米国民主党政権は、北半球の米国自由連合国の安全保障上の重要性を軽視して関係が悪く、一方、南半球の島嶼国側には、環境、気候変動、社会保障などを重視する姿勢が歓迎されていたというのが、自分の印象です。

トランプ政権は一般にはいろいろ言われていましたが、私自身は、共和党政権となったことで米国自由連合国との関係や日本との関係も改善すると期待し、実際にそのように変化していきました。


豪州については、2007年12月〜2013年9月が労働党政権(ラッド2007.12-2010.6、ギラード2010.6-2013.6、ラッド2013.6-2013.9)、2013年9月〜2022年5月が自由党(アボット2013.9-2015.9、ターンブル2015.9-2018.8、モリソン2018.8-2022.5)。

2009年まで自分はマーシャルにおり、その当時は豪州はPIF総会の時まで全くと言っていいほど印象がありませんでした。少し関係していたのが、マーシャルの豪州アドバイザーがいるワラビー村やANZACデーの時くらいでした。

一方、南太平洋、特にフィジーと関わり始めた2009年後半以降、2012年10月から2015年10月はフィジーに赴任していましたが、その時期の豪州の印象はあまり良くありませんでした。島嶼国側から見ると、全く対話にならない。日本に対しても失礼極まりない、という印象でした。

当時の米国民主党政権時代かつ豪州労働党時代というのは、はっきり言えば、日本にとっては、まるで現在の中国に対するような態度が日本に対して取られていた悪い時代だったと思います。

例えば、日本が太平洋島嶼国への影響力を高めようとすれば、「日本はまた太平洋を取ろうとしているのか」と、疑念を抱く発言があった時期です。

豪州は、フィジーの2006年12月の無血クーデター以降、ニュージーランドと共にフィジーに対して非常に強い態度で臨んでいました。一つは、フィジーの労働党が支援を求めていたこと、二つ目は軍司令官であったバイニマラマ現首相に対する悪感情があったのだと思います。

そのような時期、西側諸国とフィジーの関係は凍りついていた一方で、隙間を埋めるように中国の影響力が高まっていた時期ですが(感覚的には親中と親日の割合が9:1)、例えば、2013年頃、当時、フィジーをこちら側につけることの重要性を踏まえ、米国、豪州、NZ、英国、フランス、EUなどの大使館で個別の意見交換を行うなどしていました。そのような動きをしている中で、例えば、当時の豪州側からは、中国は日本の問題、日本と中国のライバル関係であり、気にしていないという反応がありました。

とにかく、労働党政権下の豪州については、中国との関係よりも、むしろ日本に対する距離感が開いていた印象です。今では全く考えられない関係性。

昨年、米国で民主党政権が誕生し、今回豪州で労働党政権が発足しました。個人的には、上述の経験があるため、日本は素直すぎず、油断せず、重層的に強かに立ち回るべきだと警戒している部分があります。

ただし、中国が習近平政権となって以降、戦略的に地域で動いていること、米国も豪州も、安全保障面では前政権の流れを踏襲していること、ウクライナ情勢など世界情勢が変化の時期にあることで、2008年〜2014年頃とは状況が異なります。

一方、中国と豪州の関係では、中国としてはモリソン政権打倒と労働党政権誕生を期待していたでしょうから、3月から5月のソロモンとの安全保障協定に関する動きは効果的だったと思います。協定締結については、豪州メディアが自由党政権批判に繋げ、3月時点ではまだ可能性は半々だったところが、政権交代となりました。中国にとっては、米国共和党政権・豪州自由党政権よりもやりやすい、米国民主党政権・豪州労働党政権の状況に変化しました。

さらに、太平洋島嶼国側は最大の脅威である気候変動について、過去4〜5年ほど豪州に対して強い不満を抱えていました。気候変動という切り口で見れば、太平洋島嶼国側にとっても豪州労働党政権、米国民主党政権は歓迎されます。

これ以上書くと陰謀論に近くなるのでやめますが、豪州選挙結果とその後の地域での動きには、いろいろなことを考えされられます。
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