太平洋島嶼国を含む太平洋島嶼地域安全保障条約を結べないのか? [2022年05月25日(Wed)]
太平洋島嶼地域に関する安全保障条約は、豪州・NZ・米国安全保障条約(1951, ANZUS条約)、自由連合盟約(ミクロネシア連邦・マーシャル1986−2003改定、パラオ1994:米国が自由連合国の安全保障・防衛について責務と権限があるとするもの)、AUKUS(2021、豪州、英国、米国の軍事同盟)があります。
地域としては、PIFをプラットフォームとして、例えばビケタワ宣言(2000)、ボイ宣言(2018)という安全保障協力に関する宣言がありますが、あくまでも何かあったら協力していこうという宣言であり、法的拘束力のある条約ではありません。 そもそも地域では軍を有するのはPNG、フィジー、トンガのみで、いずれも国内の治安維持や国際社会における平和維持活動、災害対応、海洋監視(一部警察権に類する)が主目的であり、潜在的にはあり得ますが外部の敵対勢力からの防衛という考えは薄いです。 これまで、外部の敵対勢力を想定した安全保障という考え方は、太平洋島嶼国側にはありません。戦時中は日本と連合国の対立、戦後は冷戦構造における西側諸国対共産主義諸国、近年は西側諸国対中国という構図は、あくまでも大国間の敵対構造として太平洋島嶼国側には認識されています。 この状況を踏まえ、さらに中国の動きを本気で抑えるという考えがあるのであれば、軍の無い太平洋島嶼国と共に、拘束力のない宣言ではなく、条約を結ぶ必要があるのではないでしょうか。そういったものがないので、中国であろうが他の国であろうが、太平洋島嶼国側は自国の利益を優先していろいろなものを歓迎していきます。中国ソロモン安全保障協定も主権国家間の協定であり、違法性はありません。 コンパクトがある限りにおいては、例えば米国が結ぶ太平洋島嶼地域を含む安全保障条約には、自動的に自由連合国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島)が含まれます。これら3国に加え、本気で西側諸国と共に戦う国を見つけ、防衛・安全保障面で信頼できる国々の間での条約を検討する時期に来ているのかもしれません。 |