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最近の島嶼地域のキーワード [2021年10月18日(Mon)]

最近の地域ニュースを読んでいると、言葉がいくつか頭に残ります。

1つは核関連。

地域は戦後の核実験に対する強い怒りが残っており、多くの太平洋島嶼国も地域としても核物質について非常に厳しく対応してきています。1985年にはラロトンガ条約(南太平洋非核地帯条約)が結ばれました。

現在進行中のALPS汚染処理水海洋放出に関係する動きや、先般のAUKUSにより、改めて地域では核について敏感になっていることが感じられます。(ALPS汚染処理水とロンドン条約については、専門の学者が明確に関連性がないとメディアで解説されていました。)

日本は油断せず、様々なレベルで現地の声を丁寧に聞くことが大事だと思います。


次にあげられるのは気候変動関連。
11月に英国グラスゴーで気候変動枠組条約COP26が開催されますが、これに向け、太平洋島嶼国が声を強めています。緩和、適応、そして気候ファイナンス(気候変動資金)の3点に分けられ、特に太平洋島嶼国は緩和と適応を支える気候ファイナンスをより強調しています。

私の経験からは、その背景には単に援助を得ようとするということよりも、温室効果ガス排出量が少ない太平洋島嶼国各国が、世界の産業国の活動により影響を受けた被害者であるという認識があると感じられます。「援助」ではなく、「産業国は責任を取れ」という感覚と言えばよいでしょうか。

ちなみに、マーシャルの担当特使はティナ・ステギさんと何かで読みました。確かティナさんは、父親が米国人、母親がマーシャル人(元教育次官で、マーシャルの教員として働いていた時代の私の上司でもあった)。米国スタンフォード大学を首席で卒業し(と誰かに聞いたことがある)、大学院はフランスのどこかだったと思います。10数年前、私や他の現地を知る研究者の間では、ティナさんはマーシャルの将来の秘密兵器として大切に育てられ、いずれ米国とのコンパクト改定交渉などで活躍するだろうと想像していましたが、今回気候変動に関して前面に出るようです。非常に優秀な人材であり、将来的にマーシャルという国をリードする方だと思うので、注目しています。

改めて、この2週間程度の記事や話で頭に残ったキーワードは、「核」、「気候変動」、「気候ファイナンス」。
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