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ミクロネシア大統領から菅首相への書簡/汚染処理水の海洋放出決定について [2021年04月29日(Thu)]

昨日、ミクロネシア大統領府が、日本が決定した福島原発汚染処理水の海洋放出に関する4/26付のパニュエロ大統領発、菅首相宛の書簡を公開しました。

https://gov.fm/files/DFA-KAE-110-21_cleared_for_dissemination.pdf?fbclid=IwAR1PNpdsj-NsRkXb1uew3c8H2LH1xXiqfEyBZYbZ4HDAMoOArngsM3Vs_ko

日本との歴史的人的つながりや親しい関係がある中、できるだけ丁寧な言葉を選びながら、不満と怒りが感じられる書簡です。経験上、このような抑制した怒りが最も恐ろしいです。


1枚目は口上書で、2枚目、3枚目が書簡になります。全体は読んでいただくとして、気になる点をあげてみます。

まず、その2枚目、第2段落2行目から、汚染処理水について、「ーbut still, to our understanding, contaminatedーwater into the Ocean」とあり、IAEAの基準を満たしていたとしても、疑念があるということ。すなわち、説明が足りていないとも言える。

次に、同じく2枚目第2段落最後の3行に「the decision was not made in consultation with parties outside of Japan, particularly those close to Japan (politically, historically, and geographically)」とあります。政治的、歴史的、地理的に近い国々との事前協議はなかったということ。

そして、同じく2枚目第3段落2行目から「, and frustration that other countries which share the same Pacific Ocean were not consulted over this decision or at least prior to the decision being made」とあります。日本政府は決定前に太平洋を共有する島嶼国と協議していない。


科学的には問題ないとされていても、関係国に疑念が生まれることは事前に想定できたわけで、それに対して、日本は何もしていなかったかのように見えます。島嶼国は、日本が自分たちを軽視していると捉えるでしょう。

特に太平洋島嶼国とは、6月に太平洋・島サミットを控え、これまでも仲間として関係を作り、日本の自由で開かれたインド太平洋構想への支持を広げようとしているタイミングです。

疲れるので細かい内容は書きませんが、日本が本当に事前に何も協議していないとすれば、一言で言えば、ゾッとします。


面倒な要求が出されることを避けるためかもしれませんが、当然話しても反対する国が多いでしょうが、日本が事前に苦渋の決断であったり、科学的に大丈夫である旨説明したり、相談する形で話すことで状況は変わったはずです。事前に仁義を切ったか否かで、その後の展開が変わります。

この件は、ヘタをすると、これまで官民で積み上げてきた日本と太平洋島嶼国の関係そのものを崩す可能性があります。地域で環境NGOなどを中心に(現地では環境NGOは政府と同じ側に立つことが多く、関係が良い)キャンペーンを張られてしまえば、地域に関わっている日本人は辛い立場に置かれるかもしれません。

現地で日本人が環境問題、海洋環境、自由で開かれたインド太平洋、海洋資源、持続可能な開発、保健医療などの話をしても、「日本は汚染処理水を海洋放出するのだろ?」と突き上げられることもありえます。マイナスの立場からの話になります。これは現場レベルから政策レベルまで、どのレベルでも起こりえます。


本来ならば、この1か月で、各地で二国間ベースで現地首脳だけでなく関係部門に対してワークショップを含め、丁寧な説明を行う必要があるでしょう。少しでも理解者を増やし、その上で、6月の太平洋・島サミットで疑念を払拭する。そうでなければ相当厳しい。


3年前の第8回太平洋・島サミット直前、やはり事務レベルの情報伝達上の問題で、半数近くの島嶼国が日本に不信感を抱き、出席を取りやめるといった動きが起こりました。サミットが5月下旬で、その2か月前だったと思います。その状況を解消するため、サミットの1か月前に当時の堀井政務官がPIF事務局のあるフィジーとサモアを急遽訪問し、丁寧な説明をし、サミットの成功につながったということがありました。


本当に、ゾッとするという言葉しか思い浮かびません。

地域の結束には共通の敵が必要と、いろいろなところで話してきましたが、日本がその共通の敵になりかねません。
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