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PIFの件の先を、少し考えてみる。 [2021年02月18日(Thu)]

PIFの件で、昨日PNGのマラペ首相が、ミクロネシア諸国の脱退の意向を支持した上で、島嶼国の結束を求める、との報道がありました。

PIF総会コミュニケは1971年の第1回総会から公開されているので、第1回から現在までの50超のコミュニケを読むと、PIFとは何か、PIFと豪・NZ、PIFと日本・中国・台湾、域外国との関係性が見えてきます。そうするとよくわかると思いますが、今回の件については、中国の要素を一旦消した上で、冷静に観察した方が良いでしょう。

PIFの枠組みでは、2000年代初頭までは豪・NZは島嶼国が上からではなく横から包む感じで自立の動きを支援していたものの、同時多発テロ、イラク戦争、フィジーのクーデターなどを経て、2009年のケアンズコンパクト以降、上から押さえつけるような雰囲気に変わってしまったといわれています。

太平洋島嶼国側から見ると、特に南側諸国から見ると、豪州・NZは切っても切れない関係にあり(ある現地の外交官は日米関係に似ていると言っていましたが)、押さえつけられることに不満がありながらも、気持ちを抑えていたというところがあるようです。

その点、フィジーはクーデター後に資格停止処分を受けたことに対し、ひるむどころか、かえって国際社会で目立つようになりました。そもそもフィジーは豪州の植民地であったのではなく、英国の植民地であったわけで、植民地という言葉に否定的な響きを感じてしまいますが、実際には英国の一部であったことを誇りに思っている人々が少なくないということが言えます。例えばフィジーの国旗を変えるという動きがあったとき、ユニオンジャックを消すべきではないという議論が現地でありました。

そういったこともあり、自分がいた頃のフィジー政府高官(かなり上の人)は、「フィジーは英国との関係では豪州、NZと変わらない。むしろ我々の方が伝統社会を有しており、国として根を張っている」ということを何度もしてくれたことがあります。その上で、フィジー政府は、PIFに復帰する条件として、豪・NZのPIFメンバーからの離脱を求めていました。

そういった背景もあり、2015~16年頃から、豪州・NZの太平洋島嶼国への対応は、上からではなく対等なメンバーといった雰囲気に変わりました。ところが、トランプ政権以降、感覚的には2018年頃から、中国の台頭をより強く意識するようになり、豪・NZは強く出なければならない状況になったように見えます。島嶼国側の視点では「開発パートナーはいずれも国の発展に必要」「大国の争いに巻き込まないでくれ」というように乖離ができ、さらに気候変動をめぐっては豪州とのギャップが大きくなりました。

整理すると、豪州・NZが横から支えるー>豪/NZ上から管理するー>フィジーの強さ・豪/NZのPIF離脱要求ー>豪/NZ対等なPIFメンバーー>大国の争いの中のPIFという変化があり、今回の事務局長選出で、豪/NZの影響で紳士協定が破られた=結局PIFは島嶼国主導のパシフィックウェイの枠組みではない、となり、現在に至るというように見えます。


そこで、仮の話ですが、もし自分がPIFの枠組みに不満があり、豪/NZの立場をPIFメンバーから開発パートナーに変えたいという国かつミクロネシア諸国ではない国の政府の人間であれば、この機会を利用して、PIFの大改革を進めようと考えると思います。

大改革というのは、かつてフィジーが主張していたように、太平洋島嶼国は独立後、人材も育ち、国として自立できるようになったため(途上国として当然ながら経済援助は必要)、PIFを太平洋島嶼国のみの枠組みとすること。そして、豪・NZは開発パートナー(といっても他の開発パートナーとは位置づけは異なるはず)に移行し、島嶼国だけの議論を外側から観察し、時に支援する関係にすること、です。


ミクロネシア諸国がPIFから離脱した後に、改めて太平洋島嶼国が結束するためには、このような改革が求められるのではないでしょうか。

そのような議論が出てくると、今度は太平洋島嶼国によって色の違いが見えてくると思います。


一方、豪, NZが一歩引いたとして、太平洋島嶼国だけでまとまることができるのかという疑問も生じます。そのようなときには、パシフィックウェイでは仲介者が必要になります。

悪役を買って出る面もあったと思いますが、これまでは力のある豪、NZがその仲介役というかまとめ役というか、そういった役割を担っていたと思います。恐らく将来もそうなのだとは思いますが、豪、NZでも仲介できなくなったときに、新たな仲介者が必要になるでしょう。

それは米国では難しい。強すぎるので。

中国は、台湾承認国もあるし、米豪との関係もあるし、現時点ではまだ仲介できるところには到達していないように思います。

そうすると、日本が最も適しているのではないでしょうか。日本は太平洋島嶼国とそれぞれ良好な二国間関係があり、島国としてニュアンスも分かり、米豪NZとも関係は良いし、中国、台湾ともパイプがあります。日本は、究極的な安全保障を除いては、Yes/Noではなく、まあまあと中道を歩きながら平和にまとめていく面白い性質があるようにも思います。

地域の結束=これまでのPIFの維持、ということでないことを前提とすれば、日本が太平洋島嶼国の結束、太平洋島嶼国と豪・NZの関係の維持、に期待される役割があると考えられます。


追記
フィジー議会では、2005年の太平洋諸島フォーラム(PIF)設立協定を確認するという話がでているようです。やはり、これを機に変革を進めようという声があるのでしょう。

感覚的には、サモアが強力なPIF保守派、フィジーが強力なPIF改革派。NZ系の国は保守派側。メラネシア諸国は消極的な改革派。ここに一歩引いていたミクロネシア諸国が強硬な改革派に転じたと見ることもできます。極めて、豪・NZと島嶼国の問題。

これで、フィジーが改革を提案し、認められなければ離脱という話を出してくれば、PIFは完全に求心力を失います。2019年、ツバルでのPIF総会にフィジーの首脳(バイニマラマ首相)が10数年ぶりに復帰した際に考えられたシナリオの1つが動いているようにも思います(バイニマラマ首相は戦略家)。
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