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«将来の太平洋島嶼国の観光を考えてみる | Main | PIFの件の先を、少し考えてみる。»
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PIFの分断, ミクロ3国に限ってみると [2021年02月17日(Wed)]

さまざまな変化の中、1年が経過し、コロナ以前の記憶があいまいになる中、現在の太平洋島嶼国の関心事項で優先度が高いものは、新型コロナへの直接の対応(ワクチン接種、水際対策、陽性者判明時の対応など)、新型コロナに起因する問題(経済・財政、民間部門の落ち込み・観光含む)、災害対応、対外的に気候変動だと思われます。

特により小さな国々では、ワクチン接種、政府財政(財源確保)の優先度が非常に高いものと思います。

そして、何よりも、現在は平時ではなく非常時です。

このような状況下で太平洋島嶼国を見ると、米豪NZなど旧宗主国との関係が改めて重要になってきます。

太平洋島嶼地域では大きく見れば北部のミクロネシア3国(パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦)が米国系、その他が英連邦系であり、この非常時の中で特に米国と自由連合国として特別な関係にあるミクロネシア3国と英連邦系諸国との空気感の違いが際立っているように感じられます。
図1伝統的安全保障枠組みv2.png


米国系諸国は米領と共にいち早くCOVID-19のワクチン接種が進んでいます。南側諸国とは半年以上の違いがあり、スピード感も異なります。財政面でも、米国との関係があることで一定の安心感があります。少なくとも政府部門はサバイブ可能。

このような非常時における、旧宗主国との関係に基づくより現実的な喫緊の課題への対応が、地域の結束に影響を及ぼしているのではないか。


また、最近の地域での報道では、PIFの分断が、国際社会における気候変動分野での太平洋島嶼国のリーダーシップに影響を及ぼすというものがありました。しかし、フィジーがPIFから資格停止処分を受けていた時期に、フィジーは独自に外交関係の多角化を進め、2013年にはG77+の議長国となり、基本的にフィジーはPIF枠組みに復帰したもののPIFの影響なしで2017年には気候変動COP23議長国となりました。

むしろ、「気候変動」に限って言えば、PIFの枠組みは島嶼国と対立している豪州が加盟国であることで、PIFの枠組みで国際社会に訴えるには制約が生じます。故に、太平洋島嶼国は国連枠組みではPacific SIDSとして島嶼国のみで結束してきています。

PIF事務局が島嶼国を取りまとめて国際社会で発言しているという見方もあるでしょうが、PIF事務局は独立国である各島嶼国の上に立つことはできず、実際には各国首脳や国連大使などが活躍しています。

また中国の影響によりPIFが分断したという人もいるようですが、それは一つの意見として尊重しつつも、豪州であれNZであれ中国であれ、太平洋島嶼国は大国に上から押さえつけられることを容認することはあり得ない話であり、ちょっと飛躍があるように感じます。自分が中国側の人間であれば、すでに影響力を高めていたPIF事務局の枠組みを利用して台湾承認国にも教育や経済部門を通じて影響力を高めようとするでしょう。分裂してしまうと、折角高めた影響力が弱まってしまいます。

豪州の地域での影響力を落とすという意味では、中国にメリットがあるかもしれませんが、それでも豪州は各国とバイの関係が強いため、手間はかかりますが実際の影響力を維持することは可能でしょう。

親台湾の事務局長を避けたいということはあったかもしれません。しかし、それがPIFの弱体化と天秤にかけてどうか。むしろ事務局長が少数派の親台湾であるならば、反対に中国側に取り込むことが可能だったのではないか。

そう考えていくと、もともとあった北部ミクロネシア諸国と南側諸国の温度差の違い、ミクロネシア側の候補者の印象の薄さ、NZもしくは南側諸国の新事務局長下でのPIFの将来に対する危機感が大きな要因ではないかと思わざるを得ません。(PIFがあろうとなかろうと、地域の安全保障は米豪NZが担います。米豪NZはPIF事務局と協定を結んでいるのではなく、国と国の関係にあります。)

ただ、PIFの枠組みを離れた場面でも、例えばパラオとクック、パラオとサモアには、クックとサモアが紳士協定破りを支持したりミクロネシア地域を軽視しているとして、不信感を持ち、軋轢が続く可能性もあります。そういった意味では国際社会における結束は是々非々でしょう。

これまで通り、共通の敵である気候変動が相手であれば同じ方向を向くし、中台関係、中東関係では、各国が判断するでしょう。

もっとも紳士協定破りをNZ、豪州、中国などのせいにしてしまえば、軋轢は修復され易いかもしれません。
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