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PIFの件、一旦整理(2) [2021年02月13日(Sat)]

(続きです)

2009年にフィジーがPIF資格停止となったときには、豪州、NZの関与しない地域機関が必要として、フィジー主導で地域エンゲージメント会合を経て、2013年にPIDFが設立されました。この動きはSPCから飛び出してPIFができたケースと似た動きでした。

その際、多くの議論がありましたが、その中でPIFとは何ぞや?という根本的な議論もありました。PIFは首脳が地域政策の方向性に合意するものですが、そこに国際条約のような法的縛りはないとのことでした。パシフィックウェイで、全体の方向性に合意し、その方向で各国の政策を進めていけたらいいねというものです。

例えば、国際機関で統一候補を結束して支持するという場合でも、紳士協定のようなもので、実際は各国の判断に委ねられます。その際、通常、候補者を出している国は、票を持つ国から口上書による支持を得るようにしますが、PIF事務局から支持の口上書が取れたとしても、PIF事務局には各国の決定の上に立つ力はありません。

島嶼国によって違いはありますが、今の時代、通信環境も整ってきており、人材も増えていることから、少なくとも国連においてはほとんどの島嶼国が地域機関の力を借りなくとも意見を出すことができます。そもそも国連枠組みでは、豪州・NZは西欧グループにいるため、島嶼国とは結束できないという話もあります。そこで実務上はPacific SIDSの枠組みで島嶼国のみで話し合ったりします。

そうすると、PIFの役割は何かということになりますが、地域機関評議会(CROP)機関(いわゆる分野ごとの地域機関)の総元締めではありますが、実際は各地域機関が独自に取り組んでいます。PIF事務局以外のCROP機関では場合によっては、開発パートナーからの資金がPIF事務局で間引きされて届くことに不満もあると聞いたこともあります。

PIFはもともと首脳が課題について率直に話す場で、そのアイデアを事務局として対応するのがPIF事務局の役割。特に地域貿易協定(PICTA)や経済緊密化協定(PACER Plus)などは、PIFが無いと進みませんでしたが、結局はメンバー国がそれぞれの判断で協定に参加するか否かを決めるので、PIFは単なる場ということかもしれません。

やはり最も大きな役割は、同じ加盟国である豪、NZが彼らの地域政策を取りまとめるため、それに島嶼国を取り込むための場、ということかもしれません。


南側の国々はパラオのことをよく知らないようですが、自分がパラオと10年超、50回以上現地に入って仕事をしてきた経験上、パラオは勇敢な闘士であり、戦略家であるということが言えます。他の島嶼国とは異なり、義理人情が響く人たちで、演歌が似合い、仁義なき戦いなどがぴったりはまるような雰囲気のある国であり人々であると思います。嘘や誤魔化し、言い訳を嫌うところもあります。

パシフィックウェイというのは、時間がかかるとかハッキリ意見を言わないということではなく、物事を決めるときに、相互に考え方や意見を尊重し、角が立たないように、相手に恥をかかせないように、対話を粘り強く続け、コンセンサスを形成していくということが1つのはずです。

その観点から言えば、今回は明らかにパシフィックウェイを逸脱し、パラオの怒りを買う事象が発生したのであり、これを修復することは一筋縄ではいかないと思います。


そして、次に太平洋・島サミットですが、1997年の第1回会合から日本はPIF事務局を太平洋島嶼国側の事務局としてきました。

2012年だったか、2015年だったか、フィジーがPIFから資格停止されていた時には、島サミット首脳宣言では太平洋島嶼国ではなく、PIF事務局の意向(加盟国の意向?)を飲む形で、PIF諸国という表現をしていたそうです。それに対し、フィジーは日本に対し怒りと不信感を持つわけですが、当時はPIFの枠組みが優位に立つ構造だったため(フィジーの意思ではなくPIFの意思でフィジーのメンバー資格を停止していた)、今回とは状況が異なります。

今回はパラオです。太平洋島嶼国においては、日本にとって、歴史的にも人的にも特に重要な国であり、そのパラオが自らの意思でPIFから脱退する強い意志を示しています。

そこで、太平洋・島サミットを考えると、PIF事務局は、少なくともパラオの事務局を兼ねることはできないため、太平洋島嶼国全体を束ねる事務局としての正当性を失うことになります。

少なくとも、首脳宣言で、「PIF諸国」と言えば、パラオははじかれてしまいます。このことは日本は認めることはできないでしょう。仮に認めれば、我々パラオ親派は黙っていません。また、パラオ自身、PIF事務局が島嶼国を代表する事務局として存在するならば、サミットに参加しないといったケースも考えられます。これも我々は見過ごすことはできません。


現地に大使館を置いていない国々にとってはPIF事務局は使い勝手が良いでしょう。一方、日本はほとんどの国に大使館があり、直接各国とやり取りができるので、PIF事務局が無くとも何とかなります。そのため、PIF事務局がかえって面倒な存在になる場合があります。

例えば、PIF事務局は、島サミットに関しては島嶼国側の事務局であると主張することで、日本と島嶼国間の連絡調整に介入し、中継地点となることで、日本から島嶼国へ、島嶼国から日本への情報を都合よくマニピュレート(操作)している疑いもあります。自分がフィジーを離れて以降、2016年以降ですが、そういった不満を何度か島嶼国側から耳にしています。

例えば、PIF事務局が島嶼国側からの意向として日本政府に伝えた内容が、必ずしも各島嶼国から意見を吸い上げたものでなかったり、島嶼国が知らないうちにPIF事務局が勝手に日本側に伝えているというケースもあったと聞きます。日本からの意向も、PIF事務局のフィルターを通してレターや回覧の形などで伝えられます。直接説明されるわけではありません。

そのため、国によってはPIF事務局に不信感があり、なぜ日本政府は直接島嶼国に連絡しないのかと疑問視する声もあります。


PIF事務局が各島嶼国に職員を置いているわけではないので、情報伝達ルートは、
「日本外務省本省」ー「駐フィジー日本大使館」ー「PIF事務局」ー「駐フィジーの島嶼国大使館」ー「各国外務省」
となります。

例えば、
「日本外務省本省」ー「駐フィジー日本大使館」ー「PIF事務局」ー「駐フィジーのパラオ大使館」ー「パラオ外務省」
と連絡するのであれば、

「日本外務省本省」ー「駐パラオ日本大使館」ー「パラオ外務省」
の方が効率的だし正確です。


そもそも日本と島嶼国間の公的外交に外部機関が関与すること自体おかしな話だと思います。その外部機関が中国など他国の影響を受けていたらどうするのでしょうか。ニュアンスを変えられるかもしれないし、外交情報も漏れてしまいます。PIF事務局職員は各国外務省職員のような忠誠心もないでしょう。守秘義務もどこまで徹底されているか疑問だし、情報の取り扱いも緩いでしょう。秘情報以上は渡せません。あくまでも調整事務局の職員ですし。


PIF事務局は依然として大切だとは思いますが、太平洋島嶼国と日本の関係を考えるならば、より工夫が必要になってくるものと思います。
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