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PIFの件、一旦整理(1) [2021年02月12日(Fri)]

PIF事務局長選出とその後の分断の動きをちょっと整理します。

PIF事務局長職は任期3年で2期6年までと規定があり、2014年に就任したメグ・テイラー事務局長は2020年までとなっていました。近年の事務局長を見ると、スレード氏(サモア、ポリネシア地域)、テイラー氏(PNG、メラネシア地域)と続いたことで、次はミクロネシア地域からというのが明文化されていない首脳のコンセンサス(=紳士協定)とされていました。

これを受け、2019年のミクロネシア大統領サミット(パラオ、ミクロネシア、マーシャル、ナウル、キリバス)において、統一候補を擁立することとし、マーシャルのザキオス駐米大使(元外相)が候補となりました。

2020年の9月頃にバヌアツで予定されていたPIFサミットで、次期事務局長が決まる手はずでしたが、コロナにより延期となり、首脳が直接話し合ってコンセンサスを作る場がなくなりました。

一方で、ザキオス駐米大使は、南側の国々ではほぼ無名であり、リーダーシップが未知数。特に南側諸国はPIF事務局を切り盛りするのが大変であること、あくの強い首脳や事務レベルを取りまとめる強さが必要なこと、基本的に英国系の組織であることなどから、本当にザキオス大使で大丈夫なのか、PIFが弱体化するのではないかという不安の声がじわじわと広がっていました。

そのような空気を察したのか、何らかの工作があったのか、昨年6月、クックの現職のプナ首相が事務局長選に出馬すると発表しました。そして、それに追随するように、紳士協定はなかったかのように、フィジー、トンガ、ソロモンから候補者が表れました。

ミクロネシア諸国からすれば、ミクロネシア5カ国で統一候補を出せば、首脳間の合意により(おそらく投票という形もなしで、パシフィックウェイで)その候補者で決まりと理解していたところ、ポリネシア、メラネシアから相次いで候補者が出たことで、不信感が高まったと思います。

その後、パラオのレメンゲサウ大統領を筆頭に、「次はミクロネシア地域の番だ。それが守られなければ脱退する。」と明確なメッセージを出し、ミクロネシア大統領サミットを通じて、コンセンサスを作り、PIF側に意志を伝達していました。

そのような状況が背景にあるのか、他の要因のためか、いつまでも次の事務局長を選ぶ首脳会議が開かれず、一方でテイラー氏は任期延長もしくは例外的に3期目を期待する考えを見せるようになり、これはこれで首脳側の考えとは合わないのですが、ようやく今年の2月3日に臨時のバーチャルの首脳会議が開かれました。

2月3日の首脳会議では、14時間の首脳間の投票により(キックアウト制)、最後にプナ前首相とザキオス大使が残り、9対8でプナ前首相が選出されました。14島嶼国、2仏領、豪、NZの18票のうち17票というのは、秘密投票なので、どの国が棄権したのかは分かりませんが、NZは外相が出席していたとのことです。それが関係しているかは分かりませんが。

しかし、ミクロネシア側としては、そもそも首脳クラスの投票に、なぜ仏領の首長が同レベルで投票できるのかに疑問もあるし、おそらく空気感から豪州はプナ前首相を押したのではないかと見られているようで、結局、大国の意思で紳士協定が破られたと理解されたと思います。

2月4日、パラオ政府はフィジー政府への口上書(外交ルートの公文書)で、「今回の結果を受け、PIFから脱退することとなった(will be terminating)。今回の事務局長選出のプロセスが、PIFの枠組みがもはや結束(unity)、地域主義(regionalism)、パシフィックウェイを指針としていないことを示した。そして、現在の厳しい世界経済情勢とPIFから脱退することから、フィジーに大使館を開設しておく正当性が無くなった。」とし、駐フィジーのパラオ大使館を2/28付で閉鎖すると通達しました。一方で、フィジーとの二国間関係は変わらずよろしくと。

次いで、2月8日に臨時のミクロネシア大統領サミット(前述の5カ国による)が開催され、5カ国が結束して、PIF設立協定第12条に則りPIF脱退プロセスを始めること、今後はサブリージョナルの枠組みを強化していくことをコミュニケの形で発表しました。

2月9日には現在のPIF議長であるツバルのナタノ首相がPIF事務局ウェブサイトでミクロネシア5カ国の脱退意向に驚き、ブラザーフッドとパシフィックウェイにより、脱退意向を思いとどまる方法はないかという懇願に近い訴えを述べています。議長としては、PIFを崩壊させた形となるので恥になってしまいます。

他方、今日のニュースでは、サモアのトゥイラエパ首相が、ミクロネシア諸国などどうでもいいというニュアンスで、米領サモアを加盟させればいいなどと分断を煽るような発言をしているニュースもありました。

ここにきて、各国の性格が如実に表れており、興味深いところです。


ここで一旦立ち止まって、そもそもPIFとは何ぞや、と、考えた方が良いでしょう。


もともとは、戦後まもなく、1947年に当時の宗主国(米英仏蘭豪NZ)により設立された太平洋共同体(SPC)があり、1960年の国連の植民地独立付与宣言後、1962年のサモア(当時は西サモア)を皮切りに少しずつ島嶼国が主権を獲得し独立していきました。

1970年前後、特に依然として核実験を継続していたフランスを対象に国際社会に訴えて抗議し停止させようとしたところ、唯一の地域枠組みであるSPCは米英仏がメンバーであり機能しないといった問題がありました。そして、1971年、当時独立していたナウル、サモア(当時は西サモア)、フィジー、トンガ、クックにより米英仏を外した別の地域枠組としてのフォーラム(SPF, 後のPIF)の最初の会合が開かれ、ここに豪、NZが参加しました。初回会議では豪だけ閣僚クラスで、他は首脳クラスです。

1971年、初回会議の主要テーマは、
1.フランス核実験停止をアピール(仏ポリでの実験に対し)。NZ政府に対し、フォーラムのアピールを仏政府に伝達するよう要請
2. 豪州、NZと島嶼国の貿易
3. 地域輸送ライン、UNDP調査
4. 観光、UNDP調査
5. 海洋資源と領海:UN海底委員会
6. 海底資源クックで調査(Hawaii Oceanic Institute for Research and Economic Development of Fisheries)
7. USPへの支援 
8. 地域協力(PIPAとSPC)

その後も、主要テーマは貿易投資、地域貿易協定、国際海洋法条約の議論に合わせた地域としての準備、未独立国の独立支援などがあり、1988年に貿易を主業務としていたBureauをフォーラム事務局に格上げし、ほぼ現在の形ができました。

その後、90年代にソロモンでの部族紛争があり、地域安定・安全保障がテーマに加わり、島嶼国も現在の独立国が出そろい、正式メンバーとなっていきました。

一方で、次第に日本、中国、台湾が域外国として関与するようになり、域外国の開発パートナーが拡大し、現在に至ります。


(長くなったので、一旦切ります)
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