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ランブカ元首相とソデルパ [2021年01月19日(Tue)]

※フィジーのサイクロン・ヤサ救済基金アピール
http://fijiembassy.jp/tropical-cyclone-yasa-relief-appeal/
https://blog.canpan.info/spinf_shio/archive/1785

少し前になりますが、フィジーの野党第一党ソデルパ内で内紛があり、結局ランブカ元首相がソデルパを去ることで収まったというニュースがありました。

2006年12月の無血クーデター以降、先進国側からの民政復帰圧力に屈せず、当時の暫定政権は、国内の村落部まで情報を伝達し国を改革させるという時間のかかる作業を行った後、2013年に新憲法公布、2014年3月バイニマラマ軍司令官の退任(暫定首相のまま)を経て、2014年9月に民政復帰となる総選挙が行われました。

新選挙制度では政党政治を推進する意図があり、全国区の比例代表制の仕組みとなりました。政党所属の候補者が獲得した票が党の票として積み上げられ、党の中では各投票により順位が決まり、割り当てられた議席数に応じて当選者が決まる仕組みです。総得票数の5%以上という閾値という、実数では大政党の最下位やブービーに計算上割り当てられる得票数より多くの票を獲得した政党が当選者を出せない仕組みがあるため、小規模政党は排除される仕組みになっています。

ただこの選挙制度は、カリスマ的人気を持つ候補者がいる政党が有利な仕組みであり、2014年の選挙ではバイニマラマ首相が圧倒的人気を誇り、フィジーファースト党(先住民系インド系アジア系が平等に機会を得て、国として結束するという考えの政党)が躍進しました。

他方、ソデルパ党(先住民系の伝統的権威を守る、インド系の躍進に警戒、ある意味保守政党)は、小選挙区では勝てる候補者でしたが、全国区の知名度や人気がある候補者が少なく、全体的な得票は伸びず、惨敗となりました。ソデルパ党支持者には急進的なインド系住民排斥思想を持つグループもあり、インド系住民にとってイメージが良くありませんでした。

フィジーでは最近の国勢調査では数字を出していませんが、概ね、先住民系5割超、インド系4割弱、アジア系・欧州系等が1割弱という民族構成になっています。ソデルパは先住民系の7~
8割の支持、フィジーファーストは先住民系の2~3割、インド系の6割前後、その他の人々の5割以上の支持といったイメージです。(他に、インド系インテリ層・先住民系インテリ層のNFP、インド系労働者を支持母体とする労働党などがあります)

要は、フィジーファーストに勝つには、ソデルパ党はインド系住民とも上手くやっていくこと、カリスマ性のある候補者を立てることが必須ということです。


そこで、2018年の選挙では、ソデルパ党はランブカ元首相を招くこととなりました。

ランブカ元首相は元陸将、80年代のインド系政権を転覆させたクーデターの首謀者であり、2000年のクーデター(やはりインド系政権を転覆し、先住民系優遇への変化を招いた)の情報を探るとどこかで名前が出てきたりもします。

一方で、バイニマラマ首相は元海将、2000年のクーデターを軍司令官として納め、暗殺未遂事件を経て、2006年には先住民系優遇の偏った国の形を民族関係なく国民として結束するものに変えるとして、1年間の交渉の後、無血クーデターが行われました。

ランブカ元首相は、先住民系住民にとってカリスマ的存在であり多くの票が獲得できる一方、ソデルパ内ではかつてのクーデターの件から、その思想を危険視し、またバイニマラマ首相を批判しにくくなるとして問題ありと懸念を持つ人々もいました。(自分は、実際にランブカ氏や支持者とカバを飲み、そのような話の中に座ってしまったことがありました)

そのような懸念はあったものの、2018年の選挙では、ランブカ元首相のカリスマ性により、フィジーファースト支持であった先住民系がソデルパ支持に移り、感覚的には先住民系のフィジーファースト支持は2014年の3割弱が2割弱に減じました。結果、ソデルパ党は躍進し、与野党の議席数の差がわずかとなりました。

本来であれば、ソデルパ党は次の選挙では政権奪取となるところでしたが、ランブカ元首相をめぐり内紛が生じ、ランブカ元首相を追い出す形となりました。自滅です。

これで2022年の選挙では、フィジーファーストに首相の引退など致命的問題が発生しない限り、ソデルパが勝てる見込みは限りなく低くなりました。一方、ランブカ元首相は出馬すれば5議席以上獲得できる集票力があるため、別の政党を立てるという可能性はあるでしょう。その場合、フィジーファーストから離れた先住民票は依然としてランブカ元首相側に付くので、現在の3政党体制から4政党体制となり、フィジーファースト単独政権から、連立政権という道もあるかもしれません。ただ、その場合は、NFPがインテリ層だけではなく、労働系・貿易系のインド系住民の票を獲得しなければなりません。
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