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米国政権とコンパクト改定交渉 [2020年11月05日(Thu)]

現在の米国大統領選挙の大勢が見えてきた中で、もう1つ気になることがあるので、あらためてここに書いてみます。米国政権とコンパクト改定交渉についてです。

パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島は、米国信託統治領から独立する際に、米国と自由連合協定(または自由連合盟約、コンパクト、COFA: Compact of Free Associatioin)を結び、地位を確保しました。端的に言えば、住民は米国準市民的権利を有し(米領内でビザ免除)、経済援助を受けることができ、外交は独自だが、安全保障・防衛は米国が責任と権限を有するという協定です。

マーシャル諸島とミクロネシア連邦は、70年代末に憲法制定・自治政府樹立を達成し、1986年に独立、同時にコンパクトが発効しました。そのコンパクトは1986年から2001年まで15年間をカバーするもので、期限前に改定交渉を行うこと、2年まで延長可能であることが定められていました。そのため、その第1次コンパクトは1986年〜2003年まで(会計年度が10月始まりなので、1986年10月から2003年9月まで)の取り決めになります。この2カ国については、コンパクトそのものは期限が定められておらず、いずれかが正式な破棄の手続きを踏まない限り、関係性(ビザフリー、外交や安全保障・防衛)は継続するようです(※2008年当時、駐マーシャル米国大使談)。

一方、パラオは1994年に独立し、コンパクトは同年から50年間有効とされていますが、経済援助関連については、15年毎に見直すことになっています。


いずれの国も、コンパクト改定交渉が過去に1度行われ、現在、マーシャル諸島とミクロネシア連邦は改定コンパクト(いわゆる第2次コンパクト)、パラオについては第1次コンパクト(経済援助関連の見直し済み)という状況にあります。

その改定交渉ですが、マーシャル諸島とミクロネシア連邦については、2001年頃から行われましたが、当時の米国はブッシュ・ジュニアの共和党政権でした。第1次コンパクト下の経済援助が現地の腐敗を招いたことから、米国側は経済援助部分の管理を強化したものの、安全保障上の両国の重要性を鑑みて、最終的に妥結したものと聞いています(クワジェリン基地の土地使用料問題は、マーシャルの内政も絡み、その後も尾を引いていましたが)。

一方、パラオの経済部門の経済部分の見直し(改定)交渉は、2009年までに行わなければならず、これら2国の後、米国共和党政権下で進みました。しかし、パラオも大統領が代わり、米国も民主党政権に代わったため、2009年に両者が署名したものの、実にトランプ政権が成立するまで議会が承認せず、パラオと米国の関係(コンパクトは継続だが経済協力部分で)に何かよからぬ状況が続いていました。考えてみると、そのような背景があり、パラオはより自立した経済を目指し、そこに中国民間の経済活動が浸透していったのだと思います。


長くなりましたが、感覚的には、共和党は安全保障を重視するため、コンパクト改定交渉は比較的うまくいく。民主党の場合には、安全保障よりも社会福祉に焦点が移り、宙ぶらりんな状態になる、といったイメージがあります。

今回、マーシャルとミクロネシア連邦については第3次コンパクトへの改定交渉。特に2023年9月に終了することになっている経済援助について、代替案が得られるかどうか。共和党政権下では、安全保障重視のため、これら2国の意向を飲む方向でしたが、民主党政権下になると、ゼロベースの交渉になるかもしれません。(頼るな、自立しろと)パラオについては、今後15年間の協力関係の内容がどうなるか。民主党政権になると、厳しそうです。

他方、民主党政権は気候変動を重視する立場であるので、これら3国は、気候変動を安全保障上の脅威として交渉に臨むのも良い手になるでしょう。なぜなら、安全保障に対する責任と権限は米国が有しているため、気候変動が安全保障上の脅威と認識されれば、米国が気候変動に対して責任と権限を有するためです。

議会の承認のハードルはあるものの、年内に交渉がまとまれば良いですが、新政権との交渉となれば、拗れる可能性もあり、その場合、トランプ政権下で強まったミクロネシア地域の安全保障上の結束が一気に弱まる可能性もあります。
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