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ニューカレドニア2回目の住民投票 [2020年10月06日(Tue)]

結果が報じられています。差は縮まりましたが、反独立派が勝ちました。

https://www.rnz.co.nz/national/programmes/middayreport/audio/2018766933/new-caledonia-narrowly-rejects-independence-in-2nd-referendum

前のエントリーで、ここまで書きました。

”太平洋島嶼国は、その独立経緯から、国連を重視しています。

例えば、先般行われたニューカレドニアの住民投票も、元をたどれば、人口4割強の先住民系カナックの人々の独立意志を背景として、1986年の国連非自治地域リストへの再掲(メラネシアン・スピアヘッドグループ設立年)があり、それにより国際社会の目の下で、フランスが住民の意思を確認する義務が生じました。

その後、フランス、ニューカレドニアの間で、1988年マティニョン合意(Matignon Agreements)、1998年ヌーメア協定(Noumea Accord)があり、後者のヌーメア協定に基づき、20年後の2018年、今年と独立を問う住民投票が行われました。2年後を目途に、3回目の投票が行われると思われます。”

続きになります。

ニューカレドニアでは、現在40%台の先住民系住民の人口が55%を超えるか、欧州系住民に先住民系住民の強い支持者が現れないと、独立はかなり厳しいでしょう。仮に独立できれば、ニッケル鉱と観光業(今はコロナ禍にありますが)があるので、バヌアツ以上に発展する潜在性はあると思います。数字上はそうですが、以前バヌアツの友人と話したときには、ニューカレドニアは発展しているように見えるが、先住民系住民はその繁栄を享受できていないと言っていました。それが確かならば、国としての一面の数字ではなく、人口統計学を踏まえた分析が必要だと思います。

仮に、独立した場合、まず先進国ODAや南南協力(途上国間協力)の援助対象国になります。コロナ後の社会がどうなるのか読めませんが、コロナ前の世界情勢から考えれば、他の太平洋島嶼国と同様に、中国の民間部門への資金や南南協力による援助が入ることになるでしょう。日本も、現在フランス領ということで扱いが難しかったところ、欧州部門ではなく、大洋州部門が担当し、ODAを行わなけばならなくなります。

隣国の豪州も、現状でさえ、メラネシア諸国との関係維持や調整に苦労しているところ、もう1つ国が増えてしまいます。

非常にざっくりと言えば、先進国にとっては現状維持がベター。先住民の権利という視点で言えば、独立を支持したい、という難しいところがあります。


ちなみにメラネシアン・スピアヘッドグループ(本部:バヌアツのポートビラ)ですが、僕はこのグループが結構好きでロゴ入りグッズを買ったことがあり、何度か本部に行き、話を聞いたことがあります。2014年頃、当時の事務局長の話では、設立当初は主権確保(特にニューカレドニアの先住民)のために宗主国・旧宗主国と戦うために結束することが主な目的である政治的組織でしたが、近年は経済枠組みとしての性格が中心になっているとのことでした。パプアニューギニアがあるため、地域経済・人口の9割がメラネシア地域に含まれています。PICTAという地域貿易協定に先んじて、MSGFTAが施行されています。ただ、近年はインドネシアの西パプア問題(自由独立運動、人権問題)に関して、パプア系住民を支持するバヌアツ・ソロモン・FLNKSと、インドネシアの立場を尊重するフィジー・パプアニューギニア間で意見の不一致が見られます。
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