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いろいろな状況の繋がり [2020年09月12日(Sat)]

先日のエスパー長官のパラオ訪問では、これまで公の場で出すことを控えていた「中国の脅威」という言葉が出されたことが大きな出来事だったと思います。


太平洋島嶼地域では、現時点でも中国の軍事的脅威があるわけではなく、中国の地域への関与は南南協力としての開発援助や、貿易投資観光を通じた経済活動で、基本的に違法性はなく(環境面で問題がある場合もある)、太平洋島嶼国の視点では、伝統的開発パートナー(旧宗主国、日本など)に加えた新たな選択肢としての開発パートナーとしての位置づけになります。

そのため、違法性のない行為を非難することは、かえって反発をくらうことになるため、島嶼国側も、例えば日本側の懸念を理解しつつ、公の場では言ってくれるな、という空気感があります。

エスパー長官の発言は、太平洋島嶼地域での中国の活動ではなく、広く国際秩序の視点での言及でしたが、「中国の脅威」という言葉がそのレベルで公に出たということは大きな意味を持つと思います。感覚的には、通常の外交では動かしにくい状況を一歩も二歩も進めたように思います。

ここでさらに気になるのは、他の自由連合国、ミクロネシア連邦とマーシャル、とりわけミクロネシア連邦です。両国ともパラオとは異なり、コンパクトのフル改定の交渉が始まっています。

パラオに対するメッセージは、おそらく両国にも伝わっているでしょう。

ミクロネシア連邦は、パラオ、マーシャルとは異なり、中国と国交があり、台湾を承認していません(マーシャルの場合は、独立後10年以上中国と国交がありましたが、90年代末に台湾を承認し、中国とは断交しました)。

ミクロネシア連邦と中国の関係は、ソロモン諸島と台湾の関係のように、何十年にもわたる関係です。中国はミクロネシア連邦の開発支援を長年にわたり行ってきました。故に、ミクロネシア連邦においては、あくまでも個人的感想ですが、台湾の話や中国の立場を落とすような発言は避けなければなりません。

今回のパラオでのエスパー長官の発言と直接伝えられたであろうメッセージ、ミクロネシア連邦と米国のコンパクト改定交渉、今後の動向が気になります。

そして、もう一つ。個人的には、昨年のソロモン諸島とキリバスの台湾との断交は、少なくともStatus quoを維持したい地域秩序に重大な変更を与える動きであり、一線を越えてしまったと思っています。

台湾を孤立化させようとする動きであることに加え、例えば、キリバスは周囲に米国の領土である小島嶼が点在しているように、米国に対する挑戦と捉えられている可能性もあるのではないか。

これらのことが、火をつけてしまったのではないか。

本当に物が動くときには、感情ではなく、淡々と冷静にスススっと進んでいくように思います。
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