ADB Pacific Economic Monitorの表記(続き) [2020年09月10日(Thu)]
先日、ADBのPacific Economic Monitor上の表記に関して、Taiwanではなく、Taipei, Chinaと記載されているとの内容を書きました。https://blog.canpan.info/sec/blog/article/edit/input?id=1564078
過去の同レポートを2012まで遡りましたが、いずれもTaipei, Chinaでしたので、ADBはメンバー国の立ち位置を尊重し、以前から標記を統一されているようです。反対に、これをTaiwanに変えることはいらぬ論争を招くことになるでしょう。 2013年頃にある台湾承認国の財務省高官とフィジーで会った時、このPac Monitorに対し、「数字がおかしい。現地を知らないのではないか。」と不満を持っていたことがあったのですが、この件も薄く関係していたのかもしれないなと、今になって思います。 話をずらしますが、台湾承認国も加盟している太平洋諸島フォーラム(PIF)では、さまざまな会合のコミュニケや報告書では、中台関係ではなく、各国の経済や開発援助の観点から台湾についても記載されています。 台湾は80年代においては漁業関係で島嶼国と関わりがあり、92年のフォーラムでは台湾と台湾承認国間の対話(日本、中国、米国など開発パートナーとの域外対話とは別)の重要性が述べられているなど、PIFと台湾の関係はおよそ30年あります。 そのPIFが出す公式文書では、ROC(Republic of China)やTaiwanと書かれており、時に中国外交団がこれに気づけば、標記を変えるように申し入れることは当然で、落としどころが必要になります。 中国側としてはTaipeiとしたい、特にROCは認められないということになりますが、PIFは太平洋島嶼国首脳の会合であり、太平洋島嶼国に台湾承認国がある限りは変更は慎重になるだろうと思います。多数決ではないので。確かに、事務局は本来の議論すべき内容ではないところで論争が始まるので、苦慮していたといったことがありましたね。。。 ADBにおいては、Taipei, Chinaとの表記が標準であり、近年変えたということではありません。 |
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