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ちょっとした総理・元総理の思い出(2) [2020年08月30日(Sun)]

つづきます。

3つ目は、2013年6月の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)。僕は応援出張で2か月ほど裏方で準備・実施に関わりました。裏方も本当に怒涛の日々で、特に会議までの最後の2週間が鬼日程でしたが事務方は成功させるという意識で皆結束していました。その中で1つは、安倍総理のマラソン会談。実に50を超える首脳・事務局長クラスとの会談を会議と並行し3日間で行いました。

事務方も直前にブリーフィングし、総理が確認し、会談という繰り返しです。形式的に会談する(あって、ちょっと言葉を交わし、写真を撮るだけ)ということも可能かと思いますが、担当の事務方はこんなチャンスは逃したくないし、必死。相手も単に形式的なものであれば、そのニュアンスに気づきますが、安倍総理は本気でした。事務方が必死こいて会議成功のために寝ずに取り組めた裏には、安倍総理のその本気の姿勢が伝わっていたことも大きな要素にあったと思います。「総理がそこまで本気でやるなら、我々は当然成功させる」といった熱い感覚でした。あの安倍総理のマラソン会談には本当に感動しました。

4つ目。TICAD Vにはもう1つあります。森元総理が共同議長を務めました。通常、このような会議はスムーズに進行させるために、ある程度のシナリオがあります。どの順番で、どの国を指し、幾つかの場合は、どのような話が出るかまで調整したりします。しかし、アフリカ諸国の首脳は、本気で会議をしたい、議論をしたいと伝えてきました。幹部の方が森元総理にその旨伝えると、総理は「よし、分かった。しっかり話を聞いて議論しよう。」とアフリカ首脳の意見を全面的に飲みました。これで、会議は成功したようなものです。森元総理のその懐の広さというか、結果、素晴らしい会議になりました。

非政府組織として参加されていた日本財団笹川会長の怒涛のスピーチもありました。(会議中は自分は会場班に回り、議場内で裏方業務を行っていました。)

そして、最後、5つ目は、2015年3月仙台で開催された第3回国連防災世界会議。このときは、2週間ほどの短期で応援出張し、首脳会談を担当する班に加わりました。当時バヌアツ代表団と同じフライトでフィジーから出たので、ナンディから都内のホテルまで急遽バヌアツ代表団をアテンドしたことを思い出します。

仙台では会談の会場を整えたり、エレベーターをスムーズにオペレーションしたり、細かな役割でした。TICAD Vに比べれば、その数は少ないですが、多くの首脳会談が組まれました。首脳の滞在先と会談の会場が離れていたこともあり、事務方はスケジュールと、各国首脳の動きを無線で共有しながらの対応でした。

例えば、当時のジンバブエ・ムガベ大統領。他の首脳に比べて、前後に多くのバッファ時間を組み込んでいました。ホテルから会場まで車で20分はかかります。ホテル待機組からは「ムガベ大統領でました」「戻りました」「病院を視察されていたようです」「出ました」「戻りました」「まだ出ません」などあっという間にバッファ時間が無くなります。そのたび、安倍総理は会場に向かったり待機したり。我々事務方はやばいやばいと焦るところ、織り込み済みのような雰囲気が伝わってきました。そして、確か90分遅れでムガベ大統領一行が到着し、エレベーターを操作し、会場に送ったとき、一仕事終えたような気になりました。その結果、キリバス大統領の時間が少し削られてしまいましたが、同年5月の島サミットでまた会いましょうとということで、トン大統領は受けてくださったということもありました。

全ての会談が無事終了し、我々会談班は撤収作業を進めていたところ、安倍総理が事務局に来られ、我々全員を労ってくれました。当然、このときもメディアなどなく、その強さと共に、本当に感動したものです。

普通に表に出てくる情報ではない、外交の人間臭さ、人、というものが本気の外交にはあるのだということを、いろいろな場面で勉強させていただきました。結果は文書になりますが、その過程も大事で、そこには決まりきったやり方だけではない、人間臭さがあるということだと思います。そして、トップが本気だと、事務方も支えようと、成功させようと燃えます。

どのレベルであっても、外交では本気の相手には本気で対応してくるし、勉強不足ではなめられて終わります。相手が親日だとか反日だとかは関係なく、それぞれがどれだけ本気で自分の国を背負っているか、本気で相手の国のことを考えているかが読まれており、お互いにそれを理解した上での対話、交渉、戦いだと思います。
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