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太平洋島嶼地域の捉え方の例として [2020年08月22日(Sat)]

もう10年以上言い続けていることですが、太平洋島嶼国は他の開発途上国、先進国と同様に主権国家です。人口が少なかろうが、経済規模が小さかろうが、主権を有しています。

世界秩序の視点で見れば、
1. 1920〜 第1次世界大戦後の秩序
2. 1945〜 第2次世界大戦後の秩序
3. 1960〜 国連植民地独立付与宣言

その後の太平洋島嶼国を見ると(※ここからは私の主観です)
4. 1962〜1994 太平洋島嶼国の主権確保
5. 1994〜2000年代 旧宗主国の協力・太平洋島嶼国の基盤強化(人材含む)
6. 2010年代〜 太平洋島嶼国の自立

太平洋島嶼地域の脱植民地主義(ポストコロニアリズム)という見方で言えば、
4. 1962〜1994 太平洋島嶼国の主権確保=ポストコロニアリズム第1期
5. 1994〜2000年代 旧宗主国の協力・太平洋島嶼国の基盤強化=ポストコロニアリズム第2期
6. 2010年代〜 太平洋島嶼国の自立=ポストコロニアリズム第3期

このような背景があり、太平洋島嶼国各国は主権を確保し、現在も主権国家として堂々と自国の発展と繁栄・国際社会への関与に取り組んでいます。


4.の主権確保の部分で言えば、国連の枠組みで言えば、非自治地域リストというのが今も存在します。現在も、太平洋では6地域(グアム、米領サモア、ニューカレドニア、仏領ポリネシア、トケラウ、ピトケアン)が掲載されています。

これは極めて私個人の捉え方になりますが、宗主国との関係を、旧宗主国との近さから順に次のようにイメージしています。
(1) 州(ハワイ)
(2) 準州(グアム)
(3) コモンウェルス(北マリアナ)
(4) 自由連合国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島)
(5) 独立国

例えば、自由連合というのは海外領土と完全な独立国の間に位置するということになります。

マーシャル諸島でいえば、戦後、米国信託統治領時代を経て、自治政府樹立(1979)→ コンパクトを結び米国自由連合国として独立(1986)という過程を経験しました。この過程を経験していた故トニー・デブルム外相などは、10年以上前になりますが、「当時、なかなか米国はマーシャルを手放そうとしなかった」とも話していました。

自由連合関係を規定するコンパクトで見れば、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島とも、独自の外交権がありますが、防衛・安全保障は米国が権利を有しています。それでも、独立当初はあらゆる基盤を米国が管理していたものの、航空管制、通信、危機管理などが徐々に米国から自由連合国側に移っていることが分かります。


とはいっても、「軍も持たず、自力で自国を守れない小国は、大国の言いなりだろう」という考え方も少なくないのではないでしょうか。


では、これらの国々はどうするかというと、国では大国には対抗できないため、まず地域、共通の課題を有する小島嶼国、開発途上国などの枠組みで、グループを作ります。そして、国連など国際社会の枠組みを活用します。有事であれば状況は異なるかもしれませんが、平時であれば、まっとうな国は、何十カ国ものブロックを無視できないでしょう。


太平洋島嶼国の旧宗主国である米国、豪州、NZ、英国、フランスは、島嶼国が小さい国々であるとしても、主権を尊重しているため、拙速に考え方を押し付けるのではなく、丁寧な対話により相互理解を高め、相手が納得することで様々な条約や協定を結ぶというプロセスをとります。あからさまに「金をやるから、サインしろ」ということはやりません(島嶼国側から見て、「金を出せ、そしたらサインしてやる」というのは今もあるかもしれません)。

有事でない場合は、このようなプロセスは時間がかかるため、外からは、小さな国相手に何をもたついているのだ、という批判も出るかもしれません。しかし、慌てて押し付けるようなやり方をすれば、積み上げた関係が水の泡になります。10年前ならいざ知らず、大変危険な相手の主権やさまざまな権利を無視した議論は、もう行われてはいないものと思いますが。


豪州による昨年のフィジーとのブバレ協定や先日のPNGとの総合的戦略経済パートナーシップ協定(CSEP)などは、相手を対等な国家として尊重している姿勢がよくわかります。


最後に、これはかつて、外務省で第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の準備チームに加わっていたときのこと。あるアフリカ諸国の日本大使館から応援出張で帰国していた幹部の方が、「アフリカ諸国の事務方は、若くとも国際会議の経験も豊富であり、優秀で、当然ながら本気だ」というようなことを話していました。これは日頃、太平洋島嶼国でも感じていたことと同じで、国の大小に関わらず、相手に対する押し付けではなく、真剣で丁寧な対話・交渉が必要ということだと思います。
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