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ちょっと昔話を。 [2020年05月29日(Fri)]

これは前職の時代の話です。名前を出しても大丈夫かと思うのですが、日本とフィジーの関係が最も悪い時期に奮闘され、改善の端緒を作られたのが、当時の大嶋英一駐フィジー大使(2012〜2014)でした。

当時、自分は太平洋島嶼国の経験があるだけの民間から来た素人外交官であり、経済協力に関しても現場の実務経験はあるものの、知識量も少なく、広い視点でものを見たり(いまだに苦手ですが)書類を作成することが下手なため、大使に教えを請う日々でした。

いくつかエピソードがありますが、あるとき、フィジーではないある国と、海洋調査関係のやり取りがあるときに相談に行くと、「それはUNCLOSの第~条で、〜ページにあったな」と、一直線に大きな本棚のその場所に行き、本を取り、一発で該当箇所を開いて見せてくれたということがありました。

このような経験だけではないですが、自分はこれまで2人の大使と3人の臨時代理大使の下で働いた経験がありますが、大使の凄さと、他にも同室のボスで同年代の幹部候補の方の仕事量と的確なポイント把握と全体的なスピード感を見ていて、日本の官僚の能力と、自分が到底届かない差を感じ、自分は官僚の人が避けるような泥臭い仕事をすることで、優秀な方々に適切な情報を提供できるようにしよう、と考えるようになったものです。

2012年末か2013年だったと思います。大使は中国関係の専門家でもあり、ある時、「台湾承認国が中国と国交を結ぶ可能性があるのではないか?」とおっしゃられたことがありました。自分は太平洋島嶼国側の視点を理解していると思っており、台湾の支援は中国の支援の方法とは異なるし、旧宗主国との関係もあるし、マーシャルでは政府中枢部に親中派がいるのを見ていたものの、中台でバランスを取っているように見えたので、「2000年前後にはスイッチするケースが多数あったが、現状安定しており、島側は援助を引き出すカードとして台湾を揺さぶることはあると思うが、中国にスイッチする可能性があるようには見えない。」と答えていました。

しかし、中国専門家の視点は正しく、やがてマーシャルでは多額の支援を受けたと噂される現職閣僚が台湾の立場を落とすような行動をとり、中国を訪問するといった話も出てきたり、パラオでは民間部門で中国の影響が高まったり、キリバスとソロモン諸島については、昨年実際に中国に国交を切り替えました。

中台関係を考えるたびに、当時の大嶋大使の話を思い出します。
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