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フィジー・JICA災害復旧スタンドバイ借款(2/21, 4/10) [2020年04月11日(Sat)]

これ!

https://www.jica.go.jp/press/2019/20200221_11.html

今年の2月21日にJICAとフィジー財務省との間で調印された、円借款「災害復旧スタンドバイ借款(the Stand-by Loan for Disaster Recovery and Rehabilitation)」の最大50億円の貸付契約。フィジーに対する円借款は22年ぶりだそうです。

”本借款は、あらかじめ借款契約を締結して、同国の防災に関わる政策の推進を支援しながら、災害発生後の復旧時に増大する資金需要に備えるもので、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11、13に貢献します。”

先見性があり、適切なタイミングで備えていたということですね。すごい。

現在、フィジーは以下の3つの複合災害に直面しているところです。
1.新型コロナ(既に感染者が16人判明、3つのクラスター有、都市封鎖、夜間外出禁止等)
2.経済(世界共通の新型コロナ原因、インバウンド観光、建設業、一般経済活動の低下等)
3.サイクロン・ハロルド(広範囲に被害発生、カンダブ島、オノイラウが特に被害大)

フィジー政府は、これらに加え、今年グローバル債200百万米ドルの償還期限を迎えるので、次を目的とする資金が必要になります。
1.グローバル債(200百万米ドル)借り換え
2.新型コロナ感染拡大防止対策費
3.経済対策費
4.サイクロン・ハロルド災害からの復旧・復興費

コロナ前のフィジーGDP約5500百万米ドル(約6000億円)、政府歳入は約1700百万米ドル(約2000億円)のところ、上記4件は、4についてはまだ被害額が出ていませんが、全体で、最低でも政府財政の20%(400億円)は必要になるでしょう。

グローバル債はフィジー政府が国際金融市場から資金を調達するために2006年から5年毎に発効している米ドル建ての公債で、最新の2015年のものは利率6%台(確か6.75とあったような)。このうち、10月にADBが65百万米ドル、世銀が35百万米ドル貸し付ける契約を結んでおり、さらにADBから100百万米ドルを調達すべく調整中という話でした。(さらに100百万米ドルを新型コロナ対策費としてADBから調達したい意向)。

https://blog.canpan.info/spinf_shio/archive/1539

フィジー政府としては、グローバル債、新型コロナ、経済対策で資金調達に苦労しているところ、サイクロン・ハロルド災害が発生した状況で、まさにこのJICAによる災害復旧スタンドバイ借款の金利は考えられないくらい低い。


例えばJICAの所得階層別分類を見ると、フィジーは一人当たりGDPが中進国にあたるため(世銀、ADBも同様。多くの太平洋島嶼国はLDC(貧困国)から脱し、低中所得国にある。パラオはコロナ以前は高所得国になった)、利率がそれなりにあります(上記ADBに関するフィジー財務大臣のコメントでは3%程度とある。ちなみに中国の元ベースローンは、”トンガ”の財務省資料を見ると、利率が2%台、管理費を含むと3.75という数値が出ていました)。

話がずれますが、先進国はODAを通じて、開発途上国が経済発展し、LDC(貧困国)から卒業し、低中所得国、高中所得国、高所得国(先進国)へ成長し、経済的に自立するよう支援しています。

LDCから卒業すると、国際機関や開発パートナーからの支援が、より責任を持つ形になるので、無償資金協力の対象外となったり、借款の利率が高くなったりします。これが何年か前に話題となっていた中所得国の罠の要因の一つになっています。

先進国はこの考え方があるので、中所得国にはLDCsとは異なり、相手の更なる成長を促す意味もあり、より責任を求める一方、被援助国としては、資金や援助を受けにくくなるため先進国に嫌がらせを受けているという印象があったりします。そのためLDCsから卒業したくない、そのために経済成長を抑えるという国もあります。一方、中国は中国自身が先進国ではないため、そんなことは気にせず、どんどん資金供与(有償も無償も)し、途上国との関係深化に繋がりました。

数字だけで見るとそうなんですが、太平洋島嶼国は人口が少ないため、一人当たりの所得が高く出がちです。乱暴ですが、一時的にプロジェクトで人口1万人の国に10億円資金が海外から入り、直接国内所得に繋がるとすると、それだけで一人当たりの所得は10万円(約1000ドル)あがります。島嶼国の多くは、所得(GNI)ではなく、生産(GDP)の方が、実態に近いと思います(GDPも大きくなりがちですが)。


で、何を書きたかったかというと、このJICAの災害復旧スタンドバイ借款の凄さ。高中所得国に入っているフィジーは、資金を調達するにもLIBORとかの利率を参考に、少なくとも2%は金利がつくところ、このJICAの借款は、
・償還期限:40年
・グレースピリオド(措置期限:資金返還開始猶予期間):10年
・金利:0.01%

円建てだからできるとも言えますが、日本の強さの表れでもあるのではないでしょうか。

2月の現地報道はこちらです。フィジーは上記のように資金調達に苦慮するところ、JICAからの資金調達が可能というのは、大きいでしょう。
https://fijisun.com.fj/2020/02/22/100m-available-from-japanese-agency-for-disaster-rehab/


興奮して長くなってしまいました。

明日は日曜ですね。外出自粛ですから、家で料理や読書やジグソーパズルなど楽しみましょう。

追記:
書き忘れていました。
日本政府は、2015年の開発協力大綱で、中所得国の罠に対応するため、例えば太平洋島嶼国など小島嶼国に対して、単純に国民一人当たりの所得ベースが高くとも、支援を行うことを記しています。
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