CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

«サイクロン・ハロルド(フィジー)(4/8) | Main | 月が丸い»
新型コロナウィルス対策PIF外相会議(4/7) [2020年04月08日(Wed)]

4/7、新型コロナウィルス対策について議論するため、太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国・地域の臨時外相会議がオンラインで行われました。

PIF事務局のプレスリリースは、下記のとおりです。
https://www.forumsec.org/pacific-islands-forum-foreign-ministers-agree-to-establish-a-pacific-humanitarian-pathway-on-covid-19/

太平洋島嶼国はそれぞれ独立国であり、本来、国内の問題については、PIF事務局や他の加盟国は介入しないことが基本でした。しかし、1990年代後半に発生したソロモン諸島における部族紛争(主にマライタとガダルカナル間)のエスカレーションを受け、PIF首脳が1997年にアイトゥタキ宣言、2000年にビケタワ宣言に合意し、PIFが受け入れ国(この場合、ソロモン諸島)の要請に基づきRAMSI(ソロモン諸島地域支援ミッション)派遣が実現しました。実際には、豪州軍を中心とする加盟国の軍と警察がRAMSIに参加し、ソロモン諸島で武装解除を行い、和平と安定を図るものでした。これは2003年7月から2017年6月まで続きました。

その2000年ビケタワ宣言ですが、きっかけはソロモン諸島の部族紛争でしたが、これにより、受け入れ国の要請があることを前提に、PIFの枠組みで介入することが可能となったとも言えます。

今回の外相会議は、「このビケタワ宣言に則り、新型コロナのパンデミックをブルー・パシフィック(住民、幸福、経済)への主要な脅威であるとして、加盟国が協調して対応する方法を議論」するものでした。

結果的に、「Pacific Humanitarian Pathway on COVID-19(PHP-C)をまとめ、例えば、医療支援の促進、医療物資の税関処理の迅速化、チャーターフライトや商業輸送に対する外交通関手続きの迅速化」が含まれるようです。


ここから私見になります。

今回の議長はツバルですが、新型コロナウィルスに関して、現実の脅威としての認識が、加盟国間で大きく異なるものと思います。

既に感染者が現れ追跡・管理に苦慮しているフィジー、早期の入国制限でコロナを遠ざけているマーシャル、関係の深いニュージーランドによる感染拡大の影響を水際で押さえているサモアとトンガ、グアムの感染拡大で脅威が近づいているパラオとミクロネシア連邦、そしてフィジー以外のメラネシア諸国、現実的な危機感が異なるでしょう。そして、それぞれが開発パートナーとの1対1の関係で、状況に応じて支援を受けています。

PIF事務局がその間に入ることで、果たして情報が整理され、支援が適切に届くようになるのか。PIF事務局と仕事をした経験上、大いに疑問があります。

支援する側からすれば、窓口が一本化されるので、やりやすいように見えますが、果たしてしっかりと迅速に必要とするところに届くのかどうか。

例えば、10億円のプロジェクトをPIF事務局を介して実施しようとします。地域機関、国際機関は同じかもしれませんが、20〜25%が管理費としてPIF事務局に取られます。残り7.5億円。プロジェクト実施のためにPIF事務局が人材を雇うので、その人件費が1人あたり年500万から3000万円、そして実施の中身よりもペーパーの体裁を重視するため、実行力が低く、遅く、受け入れ国側の事務負担も増大する。出てくる報告書は、一見きれいに、長々とまとめられているが、肝心な数字がかけていたりする。だらだらと言い訳されているよう。

こんなことであれば、開発パートナー側が、しっかりと現地情報を集約し(日米豪NZなどはそれぞれ各地に大使館があるので可能)、地域全体ではなく必要な国に対し、適切な資金・物資を送れば良いでしょう。仮に現地機関が管理費を取るとしても、この場合は、その国に落ちるお金なので、現地財政にも寄与します。手続きには時間がかかるかもしれませんが、必要とするところに届くし、開発パートナー側と受入国側の関係も深化します。PIF事務局が間に入ると、この直接的な各国とのチャンネルが閉ざされます。(太平洋・島サミットにも似た問題がある)

実際に危機に直面し、対応に追われている太平洋島嶼国にとっては、自国で対応できるので、PIF事務局はいちいち介入してくるな、邪魔だ、という面もあるでしょう。

権威のありそうな会議、一見きれいなレポート、プレゼン資料、言葉がありますが、そこにリアリティがない場合があるので、どうしても地域機関を通じて〜という場合には、開発パートナー側が主導権を常に握るよう周到な準備が必要となるでしょう。まあ、各国との二国間関係がしっかりしている国であれば、無駄な仕事が増えるだけ。

PIF事務局は運営費がかさんでいることで、財政危機に陥りがちなところがあり、常に資金源を探している面があります。豪州、NZが多くの資金を出しているので、PIF事務局の財政が安定することはこの両国の希望でもあるかもしれませんが、人件費を中心とするコストがかかりすぎるように思います。

反対に、中国はこのような状況で、しっかりと毎年安定的に拠出金を提供したり(日本の10倍以上)、貿易投資促進支援をしたりして、がっちりとPIF事務局を掴んでいます。

注意が必要なのは、上記のような地域枠組みでという場合には、外交関係のない国にも浸透する窓口として使えるという点です。民間部門についても同様。


全体的に疑った視点で見てしまいましたが、今後このPHP-Cによって、何か実効性のある取り組みが行われるのか、見ていきましょう。
コメントする
コメント