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新型コロナウィルスによるパラオ観光部門への影響 [2020年03月05日(Thu)]

3/2付パラオ大統領府フェースブックから。

概要は「新型コロナウィルスの影響で、12月の訪問者数が前年同期比43%減。観光部門からの政府収入が減少することから、大統領は全閣僚に対し、注意深く支出を管理するよう求めた。」

ここからは私見になります。

パラオは1月27日に国家緊急事態委員会を開き、当時こちらのイベントで招聘中だったウェイミン国家緊急事態管理局長も日本からオンラインで参加しました。そこで、まず中国本土、香港、マカオからの入国を制限し、香港、マカオからの直行便を停止しました。

パラオのGDPは、規模として約300億円、官民比率が1:2、GDPの7割が観光部門に関係しています(ADB資料より)。

パラオの人口は約21,000人、内訳はパラオ人約13,000人、フィリピン人約5,000人、バングラデシュ人約2,000人、その他(日本人、欧米人、台湾人、中国人含む)となります。パラオ人以外の方々は主に民間部門に従事しています。

ちょっと古くなりますが、2014年のパラオ統計局の世帯収支報告書によれば、パラオ人労働力は約8,000人、その8割程度が政府部門とのことです。政府部門には中央政府や州政府が含まれます。

簡略化すれば、GDPの政府部門が100億円、それにパラオ人家計の8割が関係していることになります。

民間部門200億円を見ると、そのほとんどが観光関連になります。昨年のパラオ政府観光局(PVA)資料に基づく訪問者数(100人台以下切り捨て)は(左から、FY2008、FY2015、FY2018, FY2019| パラオの会計年度は10月から9月)以下のとおりです。*国の順番はパラオ政府のママ。

   FY2008 FY2012 FY2014 FY2015 FY2018 FY2019
日本 29,000人  38,000人、 38,000人、 31,000人、 24,000人、19,000人
韓国 14,000人  18,000人、 15,000人、 12,000人、 12,000人、11,000人
台湾 22,000人、 40,000人、 31,000人、 15,000人、 11,000人、14,000人
中国 634人、 3,715人、 21,000人、 91,000人、 50,000人、28,000人
   (香港、マカオ含む)
欧米 11,000人、 13,000人、 14,000人、 13,000人、 12,000人、11,000人

全体 83,000人、118,000人、125,000人、168,000人、115,000人、89,000人


2012年までは、シェアは日本、台湾がトップを争い、韓国と欧米が安定して12,000人前後というところでしたが、さらに観光部門を発展させるために官民が中国市場を開拓したことで、2012年以降、中国が増え、2015年からトップシェアを占める形となりました。中国がトップシェアを取る一方で、台湾が大きく減り、日本も減少気味になり、現在に至るというところです。

新型コロナウィルスにより、パラオ政府が中国からの渡航を制限したことで、一時的だとは思いますが、まず中国の部分が大減少し、他の国々も渡航者数は減ります。昨年2月は春節も関わっていたので前年比減少率は大きくなるのは当然でもあります。

先ごろ、韓国からの渡航も制限がかかっているため、頼りは台湾、米国、日本。ただ日本がいつまで制限なしで渡航できるのかは今後の日本国内の状況次第となるでしょう。米国が強い対応を示せば、少なからず影響があるものと思います。

民間部門は、かなり厳しい状況に直面することになり、特に中国、韓国の観光客に依存している業者は体力勝負となるでしょう。

パラオ政府・コロール州政府は観光に関わる税収・入域料が減少することになり、さらにPPEFという環境フィーが大きく減収となることで、州政府としては入漁料の代替財源・保護区ネットワーク登録保護区維持管理財源が厳しくなりそうです。

マリンサンクチュアリについては、EEZをクローズしたことで、7億円前後の入漁料収入が減っており、これをPPEFでカバーするという体制の維持が厳しくなる可能性があります。

世界的に新型コロナウィルスの流行がいつ収束するのか、あるいは予防ワクチンや治療薬が開発されるのかによるでしょうが、開発パートナー側には現地経済・現地政府財政に注目し、必要な支援を求められるようになるかもしれません。

パラオに限らず、今後、太平洋島嶼国各国では政府財政・国内経済(政府部門が強い国が多い)が危うくなる国が出てくると思います。しかし、開発パートナー側も経済インパクトがどこまで行くのか不明なところもあり、対外支出は、より戦略的なものにならざるを得ないでしょう(台湾は昨年2国減ってより集中できるので良かったかもしれないですね)。

そのため、今後、先進国側(米国、豪州、NZ、日本、台湾)が水面下で戦略を練り、中国の出方に注意しながら、手分けして先進国側の影響力を強化する必要が出てくると思われます。
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