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The Australian紙記事(7/13) [2019年07月15日(Mon)]

7/13日付 The Australian紙に、「Is this the end of a beautiful Pacific Islands relationship?」という記事が掲載されていました。豪Lowy Institute, non-resident fellow, Jenny Hayward-Jones氏の論説からのものです。
*有料記事なのでリンクは載せませんが、上記のタイトルで検索していただければ、FBなどに見つかるかもしれません。

豪州から見た太平洋島嶼国との関係の変化と要因が述べられており、先日紹介した自分のOPRI Newsletter記事(下記)と共通する太平洋島嶼地域に対する認識が基盤にあるようにうかがえます。

豪州の視点であるため、上記のThe Australian紙記事には、日本については述べられていませんが、中国の動向について島嶼国側の視点を踏まえた冷静な分析がなされており、英国の関与拡大を豪州が求めていたことも述べられています。

ーー記事の話はここまで。

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先日の米国防総省の自由で開かれたインド太平洋レポートでは太平洋島嶼国に対する丁寧な理解が読み取ることができ、上記の記事も冷静に現状を把握しています。

個人的に危惧するのは、「日米豪が手を組んで太平洋島嶼国に支援すれば、太平洋島嶼国は我々の陣営に従う」かのような、考え方が日本側にあるのではないかということです。

当然ながら、自分も含めて、個々人がそのような考え方を根底に持っていて良いと思うのですが(おそらく米豪の関係者にも同じ理解がある)、日本側には、その考え方を太平洋島嶼国側に直接的に見せてしまう危うさがあるのではないかと思います。

もしかすると、太平洋島嶼国は大変な親日国で、いつも日本の言うことをすぐに支持している(あるいは熟考せずに支持する)という固定観念があるのではないか。日本(および米豪)が資金や経済関係を握っているから、言うことをきくという考えがあるのではないかと恐れます。

いまどきそんなことないだろうと、笑われるかもしれませんが、自分が話す太平洋島嶼国側の人には、そのような感触を持ってしまっている場合があります。日本側が意図していなくとも、態度か、段取りか、そのような言葉以外の部分で、「太平洋島嶼国(またはその国)のことをわかっていない」と思われてしまっているのかもしれません。


もしくは、日米豪が、もしくは日本側が独りよがりになってしまう可能性すらあります。例えば、日本が自由で開かれたインド太平洋構想の文脈で、どこかで研修や能力強化事業を進めるとしても、果たして島嶼国側はこれを真に歓迎するのか。基本的に太平洋島嶼国各国は相手を尊重するため、表立って批判はしませんが、その複層的なからの第2層、第3層で話ができる関係になると、シビアな評価が伝えられる場合があります。

この場合、日本側が「我々は約束どおり(日本側が主張した通り)、これだけの予算で、このように支援した!これで太平洋島嶼国側は日本の自由で開かれたインド太平洋構想を支持する(もしくは支持からブレない)」と考え、一方、島嶼国側では「なぜこれだけの予算をかけて、上から教えるようなプロジェクトを進めるのか。本当に効果があるのか。もう少し内容について太平洋島嶼国側と対話して決められないのか。」などと、認識の違いが生まれることがあります。

例えば、豪州の太平洋安全保障カレッジ計画についても、歓迎よりも、太平洋島嶼国側には懸念の声があるとも耳にしました。

相手とやりとりする場合には、自分たちの軸はぶれさせず、相手の立場をしっかり聞き理解した上で、相手に十分に考える時間を渡した上で、丁寧に自信を持って自分たちの立場を説明することが必要だと思います。

また上記のような懸念がある場合でも、実際にものを動かし、相手が「これはやってよかった」「国の能力向上にプラスとなった」「国際社会に関与する上で、プラスになる」と思うような、実践的な成果を示していくと、懸念は払拭され、支持が得られるでしょう。(長くなるので省きますが、そのような事例が実際にあります。)


例えば日本の自由で開かれたインド太平洋構想に対する支持を拡大するためには、一方的に「日本側の考え方が正しいのだから、支持しろ」というのではなく、太平洋島嶼国側が主張している考え方、太平洋島嶼国側の言葉を踏まえて、太平洋島嶼国側が公式に合意している文脈で、丁寧に説明していくことが有効だと思います。

その鍵(彼らがNoと言えないもの)が、ブルーパシフィック・アイデンティティであったり、SDGsであったりします。
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