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パプアニューギニア、新型コロナ [2021年03月03日(Wed)]

ここ数日のRNZ記事を読むと、パプアニューギニアでの新型コロナ感染者数が増加傾向にあるように見えます。

例えば、
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/437473/in-brief-news-from-around-the-pacific

昨日のニュースですが、コロナ関連で2名(49歳男性、60歳男性)が亡くなり、これまで14名が死亡。

先の土曜に20名、日曜に21名、月曜には49名の感染が確認され、月曜の49名中31名がブーゲンビル自治州とのこと。これまで累積感染者数は1365名にのぼります。年末には900名台でした。

フィジーの場合は水際対策、感染者の行動追跡を徹底的に行うことで市中感染を防ぎ、今では300日間感染者が出ていないなど、上手く封じ込めています。

一方、パプアニューギニアは規模が非常に大きな国であること、水際対策にが限界があること、インドネシアの西パプアと陸で国境を接していることから、市中感染を抑えることはかなり難しいのではないかと思います。

感染者数については、検査数次第という面もあるはずで、症状が現れた人を検査しているのか、感染者の接触者可能性のある人を検査しているのか、感染者が表れた集落を対象に検査しているのか、いずれにせよ検査数が増えれば感染者数も増える状況のように思われます。

パプアニューギニアでは、これまで比較的感染拡大を抑えてきた印象ですが、その反動か、世界での動きから半年以上遅れた感染拡大の動きが表れ始めているようで、注視していく必要があるかもしれません。
マットレス・レス [2021年02月28日(Sun)]

迂闊でした。土曜の朝、古くなったマットレスを粗大ごみで出したのですが、新しいマットレスの注文が遅れてしまい、マットレスなし。そのため、昨日からハンモック生活です。

ハンモック。かつて最初の協力隊でザンビア(東部チパタ州)に赴任していたころ、国内旅行で南部のマザブカに赴任していた先輩宅を訪問したとき、庭にあったハンモックで気持ちのいい風の中で、リラックスして眠った思い出が蘇ります。マザブカはサトウキビ栽培が有名で、自分はシュガーランドと呼んでいました。犬も気持ちよさそうに寝ていて、自分の赴任先の緊張感(マラリアや部屋に出たコブラや、泥棒などなど)から解放された時間でした。

しかし、ハンモック生活とはいったものの、思ったより寝方が難しい。しばらくバランスを取れずに恐らくインナーマッスルが鍛えられたのか、今朝は筋肉痛でした。それで、日中、いろいろ試していた中で、やっとコツをつかめてきました。今日はしっかり眠れるでしょう。きっと。


先ほど、玄関から外に出ると、月が美しい。
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その気持ちのまま、今月最後のラン。今月14回目で合計82キロ。結構忙しくなりましたが、思ったよりも走れました。ただ、感覚的には1カ月100キロを超えないと、体の締まりが悪くキレがなくなります。来月も怪我なく、頑張れれば。

現在、毛色の違う作業を同時並行で行っています。冷静さとロジカルな感覚を維持しないとミスを連発しそうな状況です。

明日から1週間、頑張りましょう。
まずは健康で。
一歩前進 [2021年02月23日(Tue)]

今日は休日でしたが、パラオの友人と昨日やり残したことに再チャレンジしました。結果、午後2時過ぎにクリア。遠隔で通信環境が限られた中ですが、お互いに行間の意味を捉え、どのような環境で動いているかを想像でき、友人もこちらの意図することを汲み取ってくれるので、少しずつ進むことができます。感謝。

土曜に届いた魚は、今日でほぼ食べてしまいました。自家製イカの塩辛は、明日あさってにはなくなりそう。魚をさばくのが下手な人の利点は、アラが肉付きが良く、おいしいこと。塩焼きや煮つけ、素揚げでいけます。自分の場合、アラはごちそう。

そして、課題だった走り。4回目のチャレンジで壁を破ることができました。土、日、月となかなか調子が上がらず、体全体に疲労物質が行きわたる感覚があり、いずれも5キロ超、30数分しか走れませんでした。理想は1日目5キロ30分超、2日目8キロ50分超、3日目5キロ30分超、4日目休息ですが、恐らく気持ちの問題でなかなか越えられない壁がありました。

今日、目標5マイルで走り出しましたが、結果10キロ超、60分超。ときどき好きな食べ物を聞かれることがありますが、この壁を越えた後に飲む水がベスト3に入ります。

今日の要因は、パラオの友人のおかげでストレスが一つ減ったことと、気温が1ケタ(6〜7度)だったこと。一つ先の交差点まで、一つ坂を越えるまでと、前向きに考えることができました。ただ52分が最適なところ走り過ぎたので、明日の疲労具合で、1日か2日休息を取ります(仕事はします)。

走り終えて夜9時過ぎ、家に帰ると、ワシントンDCの友人から連絡がありました。ポジな話で良い感じです。

夕食は、美味しい水と、大根、ニンジン、キャベツ、カボチャの千切りで作ったスープ。シンプルに塩味。

課題を1つクリアしましたが、まだまだ10数個の課題があります。時間との戦いもありますが、明日も何とか1つ先に進みたい。
ニツケ [2021年02月22日(Mon)]

PIF関連では、ミクロネシア連邦も口上書(外交書簡)を発出し、正式にPIF脱退手続きに入るとの政府広報がありました。規定により1年かけてプロセスを進めるとのことで、正式には来年の2月に脱退となるとのこと。

マーシャルも議会で脱退が合意されたとのことなので、米系のミクロネシア3国は足並みがそろいました。PIFに関する決定は尊重しつつも傍観しつつ、日本と米国で3国を支える時が来たのでは。

今、書いていて思いましたが、日本の国際捕鯨委員会脱退、英国のEU離脱、(政権が代わり取り消しになりましたが)米国のパリ協定離脱とWHO脱退の動きなど、国際枠組みや地域枠組みに絶対はないということでしょう。流動性のある時代に生きている。

ミクロネシア連邦はPIFは脱退しますが、その他のいわゆるCROP機関(分野別の地域機関)には留まるとのこと。

例えば、CROP機関は、漁業、航空安全、観光、電力などさまざまな分野を対象としていますが、いずれも最上位は閣僚級です。

他方、PIFは唯一首脳クラスの枠組みであるので、首脳は関与しないと見ることもできるでしょう。

その他、いろいろなニュースがありますが、本音と建前を使い分けている言葉が報じられるでしょうし、一歩引いて観察する段階だと思います。ポイントは正式な動き(外交文書など)があるか否か。


と、少し書きすぎました。今日は休みを取ったので、島嶼国とは関係ない話。

あ、今日はパラオの協力者とやりとりしていましたが、1枚の紙を出してもらうのに6回やりとりをしてもうまくいきませんでした。気をきかせてくれるのですが、全て裏目に出てしまい、申し訳ない。現地に入れない難しさです。


関係のない話では、今日は人生で2回目の煮つけを作りました。黒ムツで。砂糖は家にないので、以前、パラオのトビ出身の友人からもらったヤシの木のめしべを切ったところから出てくる樹液?を溜めて煮詰めて作ったというシロップを使ったおそらく日本でここだけの味。

そのシロップは、マーシャルではジャカマインというもので(ジャカロ、ジャカルー、ジャカマインと変化する)、パラオの友人からもらったのはもっと濃い感じ。

魚の煮つけがこんなに美味しい食べ物だとは。頭も目玉も美味しかった。パラオの友人(何人も)が好きな魚料理はニツケ(パラオ語)と言っていましたが、やっとその気持ちが分かりました(理解するまで10年かかった)。


走りに関しては、今日は昨日を超えられませんでした。体に疲労物質が回るような疲労感があり、怪我を避けるために自重。

それでも先程見直したら、昨日60〜70キロと書いた走行距離ですが、1月は80キロ超、今月は、これまで11回走って60キロ超でした。

あまり出来ていない印象でしたが、意外と粘っていました。記録を取ることは大事ですね。
何とか挽回した一日。 [2021年02月21日(Sun)]

今年に入ってから、走る量が減ってしまいました。昨年9月末〜12月は月100キロ前後でしたが、1月、2月は60〜70キロ。極めて気持ちの問題。

週に2〜3回は走るようにしているものの、仕事の疲労度と宿題と食事のタイミングなどで間隔が開き気味。理想は3日連続で走り、1〜2日休息(回復)の繰り返しですが、3日以上あけてしまうと、再度の立ち上げが難しいです。

まさに昨日がその1日に当たり、走るのはつらいし、体中に疲労物質が回るような感覚がありました。昼間に新しい街を歩き回ったり(徘徊ではない)、フライパンを探し回ったり、掃除したり、魚をさばいたりで、普段とは違う疲れも重なったのかもしれません。

一晩たち、今日は本当に体がきつく、ダメダメな一日でした。食べて寝るだけ。

それでも、日がすっかり沈んでから、やっと転機があり、シャワーを浴びなおし、コーヒーを淹れ、深呼吸し、気を取り直して、少し走りました。最近は気温5度前後の冷たさの中で走るのが心地よいのですが、今日は少し温かめ。昨日よりは少しマシで、上り坂を含めて500メートルだけ長く。今日ぎりぎり走ったことで複数ある選択肢の中から、1つ良い方に進めたかもしれません。

走った後には、黒ムツのカマの塩焼き。フィジーにいた頃には、良いハタの仲間が手に入ると、ヒレとカマの部分を塩焼きにして食べていました。筋肉質で味が濃厚でしたが、魚の種類は違いますが、久しぶりに再現できました。また、昨日作ったイカの塩辛は絶品で癖になります。


さて、明日は有給消化の一日なので、山積みの宿題に取りかかります。電話に出なくともお許しを。

1週間、元気に頑張りましょう。無理しすぎず、まずは健康で。
魚!イカ︎︎! [2021年02月20日(Sat)]

確かフィジー語では、魚のことをイカ、二枚貝のことをナ・カイと言います。

今日は、前に書いた魚屋さんが販売している魚屋さんが選ぶ鮮魚ボックス(何が入っているかはお楽しみ)の、魚捌き体験用の、前処理していないボックスセット(何が入っているかはお楽しみ)が届きました。プロの魚屋さんが選ぶものなので、ものは確かです。

自分が魚を買いに行っても、所詮素人なので、何が良いのかわかりません。それに取捨選択ができない。

そして楽しみに待っていたボックスを開けてみると、ジャーン!

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︎ でかい?思わず笑ってしまいました。

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なんと、高知産のカツオ、青森のマサバ、長崎の黒ムツ、そしてスルメイカ。

みんなキレイで美味しそう。サバもかなり良い感じ。

なによりもカツオ。カツオ一本を開いていくのはフィジーにいたとき以来なので6年ぶり。鮮度が良い。きれい。

このために買っておいた包丁を使い。本当に下手で情けないのですが、何とか全て捌いて下処理をしました。

カツオは捌いているうちに、すぐに食べたくなり、一切れ口にすると、これまでスーパーで買っていたものと異なり、いつかマーシャルで食べたのに近い味がしました。そう、近所のスーパーのものは味が感じられない(ものは良いように見えるが味がしない)。忘れていた感覚、こう本気で魚を食べている、魚を生命をいただいている動物的な感覚が蘇ってきます。

フィジーでは、フィジーのスバ市の魚市場(露店)に行ったことがある方にはわかっていただけると思いますが、魚を芋のように扱っているため、せっかくの良い魚の鮮度を保つことができず、大変残念な状況でした。基本的に蒸し焼きやスープなどで食べるのでそれで良いのでしょう。

その点、マーシャルの人たちは魚を大切にして、鮮度を保つ意識があり味がわかり、工夫をしているので新鮮で良い魚を食べることができます。

フィジーでは、生で食べられる魚は別途イカ・ショップなどの魚屋さんなどで買っていました。しかしカツオは魚市場にしかなく、早朝はまだ鮮度が良いとマーシャル人の友人に教わり、朝5時とか6時とかに行っていたものです(暗いと危険なので、明るいが気温が上がる前)。

ただ、カツオがある時でも、質に問題があり、まだ何とかいけるのは5回に1〜2回でした。開いてみると酷かったり、残念なこともありました。

それを考えても、日本の流通網、コールドチェーンの凄さを実感しました。高知で水揚げされたカツオが三重県の市場に届き、名古屋の魚屋さんが買い付け、東京の一般家庭に鮮度を出来るだけ落とさずに届けることができる。

食生活における現地の人々の魚の位置付けに起因するのでしょうが、コールドチェーンの改善(構築?)は、生活の質を上げるという意味でも必要なのではないかと思います。


カツオを捌くと、キッチンが血まみれになり、ものすごく苦労していた印象がありましたが、今回はユーチューブで予習していたので、少しましでした。

捌きながら、どこで割り切るか、どこを救ってどこを捨てるかの判断が常に求められます。

一人暮らしなので、消費できる量は限界があり、そういったキャパシティを踏まえて、割り切りました。

今日のところはカツオの刺身とたたき、鯖の竜田揚げ、イカの自家製塩辛。鯖も美味いし、イカも美味い。肝がたっぷりあったし。全部食べた後の後味が明らかに違いました。後味まで美味い。酒も美味い。イカの自家製塩辛でお茶漬けが最高。

そうそう。今日、格闘したことで、新しく買った包丁が少し手に馴染むようになってきました。やはり道具は使い込まなければ和解できないですね。

これから数日、食事が楽しみです。
PIFの件の先を、少し考えてみる。 [2021年02月18日(Thu)]

PIFの件で、昨日PNGのマラペ首相が、ミクロネシア諸国の脱退の意向を支持した上で、島嶼国の結束を求める、との報道がありました。

PIF総会コミュニケは1971年の第1回総会から公開されているので、第1回から現在までの50超のコミュニケを読むと、PIFとは何か、PIFと豪・NZ、PIFと日本・中国・台湾、域外国との関係性が見えてきます。そうするとよくわかると思いますが、今回の件については、中国の要素を一旦消した上で、冷静に観察した方が良いでしょう。

PIFの枠組みでは、2000年代初頭までは豪・NZは島嶼国が上からではなく横から包む感じで自立の動きを支援していたものの、同時多発テロ、イラク戦争、フィジーのクーデターなどを経て、2009年のケアンズコンパクト以降、上から押さえつけるような雰囲気に変わってしまったといわれています。

太平洋島嶼国側から見ると、特に南側諸国から見ると、豪州・NZは切っても切れない関係にあり(ある現地の外交官は日米関係に似ていると言っていましたが)、押さえつけられることに不満がありながらも、気持ちを抑えていたというところがあるようです。

その点、フィジーはクーデター後に資格停止処分を受けたことに対し、ひるむどころか、かえって国際社会で目立つようになりました。そもそもフィジーは豪州の植民地であったのではなく、英国の植民地であったわけで、植民地という言葉に否定的な響きを感じてしまいますが、実際には英国の一部であったことを誇りに思っている人々が少なくないということが言えます。例えばフィジーの国旗を変えるという動きがあったとき、ユニオンジャックを消すべきではないという議論が現地でありました。

そういったこともあり、自分がいた頃のフィジー政府高官(かなり上の人)は、「フィジーは英国との関係では豪州、NZと変わらない。むしろ我々の方が伝統社会を有しており、国として根を張っている」ということを何度もしてくれたことがあります。その上で、フィジー政府は、PIFに復帰する条件として、豪・NZのPIFメンバーからの離脱を求めていました。

そういった背景もあり、2015~16年頃から、豪州・NZの太平洋島嶼国への対応は、上からではなく対等なメンバーといった雰囲気に変わりました。ところが、トランプ政権以降、感覚的には2018年頃から、中国の台頭をより強く意識するようになり、豪・NZは強く出なければならない状況になったように見えます。島嶼国側の視点では「開発パートナーはいずれも国の発展に必要」「大国の争いに巻き込まないでくれ」というように乖離ができ、さらに気候変動をめぐっては豪州とのギャップが大きくなりました。

整理すると、豪州・NZが横から支えるー>豪/NZ上から管理するー>フィジーの強さ・豪/NZのPIF離脱要求ー>豪/NZ対等なPIFメンバーー>大国の争いの中のPIFという変化があり、今回の事務局長選出で、豪/NZの影響で紳士協定が破られた=結局PIFは島嶼国主導のパシフィックウェイの枠組みではない、となり、現在に至るというように見えます。


そこで、仮の話ですが、もし自分がPIFの枠組みに不満があり、豪/NZの立場をPIFメンバーから開発パートナーに変えたいという国かつミクロネシア諸国ではない国の政府の人間であれば、この機会を利用して、PIFの大改革を進めようと考えると思います。

大改革というのは、かつてフィジーが主張していたように、太平洋島嶼国は独立後、人材も育ち、国として自立できるようになったため(途上国として当然ながら経済援助は必要)、PIFを太平洋島嶼国のみの枠組みとすること。そして、豪・NZは開発パートナー(といっても他の開発パートナーとは位置づけは異なるはず)に移行し、島嶼国だけの議論を外側から観察し、時に支援する関係にすること、です。


ミクロネシア諸国がPIFから離脱した後に、改めて太平洋島嶼国が結束するためには、このような改革が求められるのではないでしょうか。

そのような議論が出てくると、今度は太平洋島嶼国によって色の違いが見えてくると思います。


一方、豪, NZが一歩引いたとして、太平洋島嶼国だけでまとまることができるのかという疑問も生じます。そのようなときには、パシフィックウェイでは仲介者が必要になります。

悪役を買って出る面もあったと思いますが、これまでは力のある豪、NZがその仲介役というかまとめ役というか、そういった役割を担っていたと思います。恐らく将来もそうなのだとは思いますが、豪、NZでも仲介できなくなったときに、新たな仲介者が必要になるでしょう。

それは米国では難しい。強すぎるので。

中国は、台湾承認国もあるし、米豪との関係もあるし、現時点ではまだ仲介できるところには到達していないように思います。

そうすると、日本が最も適しているのではないでしょうか。日本は太平洋島嶼国とそれぞれ良好な二国間関係があり、島国としてニュアンスも分かり、米豪NZとも関係は良いし、中国、台湾ともパイプがあります。日本は、究極的な安全保障を除いては、Yes/Noではなく、まあまあと中道を歩きながら平和にまとめていく面白い性質があるようにも思います。

地域の結束=これまでのPIFの維持、ということでないことを前提とすれば、日本が太平洋島嶼国の結束、太平洋島嶼国と豪・NZの関係の維持、に期待される役割があると考えられます。


追記
フィジー議会では、2005年の太平洋諸島フォーラム(PIF)設立協定を確認するという話がでているようです。やはり、これを機に変革を進めようという声があるのでしょう。

感覚的には、サモアが強力なPIF保守派、フィジーが強力なPIF改革派。NZ系の国は保守派側。メラネシア諸国は消極的な改革派。ここに一歩引いていたミクロネシア諸国が強硬な改革派に転じたと見ることもできます。極めて、豪・NZと島嶼国の問題。

これで、フィジーが改革を提案し、認められなければ離脱という話を出してくれば、PIFは完全に求心力を失います。2019年、ツバルでのPIF総会にフィジーの首脳(バイニマラマ首相)が10数年ぶりに復帰した際に考えられたシナリオの1つが動いているようにも思います(バイニマラマ首相は戦略家)。
PIFの分断, ミクロ3国に限ってみると [2021年02月17日(Wed)]

さまざまな変化の中、1年が経過し、コロナ以前の記憶があいまいになる中、現在の太平洋島嶼国の関心事項で優先度が高いものは、新型コロナへの直接の対応(ワクチン接種、水際対策、陽性者判明時の対応など)、新型コロナに起因する問題(経済・財政、民間部門の落ち込み・観光含む)、災害対応、対外的に気候変動だと思われます。

特により小さな国々では、ワクチン接種、政府財政(財源確保)の優先度が非常に高いものと思います。

そして、何よりも、現在は平時ではなく非常時です。

このような状況下で太平洋島嶼国を見ると、米豪NZなど旧宗主国との関係が改めて重要になってきます。

太平洋島嶼地域では大きく見れば北部のミクロネシア3国(パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦)が米国系、その他が英連邦系であり、この非常時の中で特に米国と自由連合国として特別な関係にあるミクロネシア3国と英連邦系諸国との空気感の違いが際立っているように感じられます。
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米国系諸国は米領と共にいち早くCOVID-19のワクチン接種が進んでいます。南側諸国とは半年以上の違いがあり、スピード感も異なります。財政面でも、米国との関係があることで一定の安心感があります。少なくとも政府部門はサバイブ可能。

このような非常時における、旧宗主国との関係に基づくより現実的な喫緊の課題への対応が、地域の結束に影響を及ぼしているのではないか。


また、最近の地域での報道では、PIFの分断が、国際社会における気候変動分野での太平洋島嶼国のリーダーシップに影響を及ぼすというものがありました。しかし、フィジーがPIFから資格停止処分を受けていた時期に、フィジーは独自に外交関係の多角化を進め、2013年にはG77+の議長国となり、基本的にフィジーはPIF枠組みに復帰したもののPIFの影響なしで2017年には気候変動COP23議長国となりました。

むしろ、「気候変動」に限って言えば、PIFの枠組みは島嶼国と対立している豪州が加盟国であることで、PIFの枠組みで国際社会に訴えるには制約が生じます。故に、太平洋島嶼国は国連枠組みではPacific SIDSとして島嶼国のみで結束してきています。

PIF事務局が島嶼国を取りまとめて国際社会で発言しているという見方もあるでしょうが、PIF事務局は独立国である各島嶼国の上に立つことはできず、実際には各国首脳や国連大使などが活躍しています。

また中国の影響によりPIFが分断したという人もいるようですが、それは一つの意見として尊重しつつも、豪州であれNZであれ中国であれ、太平洋島嶼国は大国に上から押さえつけられることを容認することはあり得ない話であり、ちょっと飛躍があるように感じます。自分が中国側の人間であれば、すでに影響力を高めていたPIF事務局の枠組みを利用して台湾承認国にも教育や経済部門を通じて影響力を高めようとするでしょう。分裂してしまうと、折角高めた影響力が弱まってしまいます。

豪州の地域での影響力を落とすという意味では、中国にメリットがあるかもしれませんが、それでも豪州は各国とバイの関係が強いため、手間はかかりますが実際の影響力を維持することは可能でしょう。

親台湾の事務局長を避けたいということはあったかもしれません。しかし、それがPIFの弱体化と天秤にかけてどうか。むしろ事務局長が少数派の親台湾であるならば、反対に中国側に取り込むことが可能だったのではないか。

そう考えていくと、もともとあった北部ミクロネシア諸国と南側諸国の温度差の違い、ミクロネシア側の候補者の印象の薄さ、NZもしくは南側諸国の新事務局長下でのPIFの将来に対する危機感が大きな要因ではないかと思わざるを得ません。(PIFがあろうとなかろうと、地域の安全保障は米豪NZが担います。米豪NZはPIF事務局と協定を結んでいるのではなく、国と国の関係にあります。)

ただ、PIFの枠組みを離れた場面でも、例えばパラオとクック、パラオとサモアには、クックとサモアが紳士協定破りを支持したりミクロネシア地域を軽視しているとして、不信感を持ち、軋轢が続く可能性もあります。そういった意味では国際社会における結束は是々非々でしょう。

これまで通り、共通の敵である気候変動が相手であれば同じ方向を向くし、中台関係、中東関係では、各国が判断するでしょう。

もっとも紳士協定破りをNZ、豪州、中国などのせいにしてしまえば、軋轢は修復され易いかもしれません。
将来の太平洋島嶼国の観光を考えてみる [2021年02月14日(Sun)]

現在、地域枠組みの中で、持続可能な観光を大テーマとして、今後の太平洋島嶼国・地域の議論が行われています(パラオ除く)。
自分自身は、ウィズコロナ社会の日本にいる立場から言いたいことは言っていますが、基本的にはオブザーバーとして参加しています。

これまでのところ気になる点を挙げると
・コロナが広がる社会を経験している国(日本など)と経験していない国(多くの島嶼国)では感覚が違う。
・コロナフリーを維持するのか、ある程度のコロナ侵入を許容できるのか、この2つには大きな違いがあるが、その方向性が定まっていない(もしくは少なくともこの2つの立場でシナリオ作りが必要だが、そこまでいっていない)
・コロナが無力化することを前提としているかもしれない。
・住民全員にワクチン接種が行われ、渡航者が全員ワクチン接種済みなら、コロナの危険性がなくなると思われている可能性がある。ーこの場合、ある程度のコロナ侵入を許容できるのであれば、あり、の考え方ですが、「コロナフリー」を維持するということであれば、ワクチンによりリスクは減るでしょうが、油断できない。

コロナをある程度許容しつつ、観光を復興させるということであれば、ある程度のマスツーリズムの回復が期待できるでしょう。しかし、その場合、感染者が出た場合の対応能力が整っていなければなりません。またその感染が、訪問者だけで収まるのか、現地住民も対象になるのかで、その対応準備も異なるでしょう。

観光客の到着後14日間はある限られたエリアで観光を楽しめるようにし、そのエリアには現地住民は接触しないようにするとか。その期間に感染者が出た場合には、その国が対応しなければならず、観光客にとっては重症化した際の死のリスクがあることを理解した上で訪問するということになるのではないか。

ワクチンについては、現在のものは生ワクチンでマイナス70度で保管する必要があり、米系の国や地域(グアム、北マリアナ、パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦、米領サモア)で接種が進んでいるようです。

一方、最近のニュースでは、日本の企業が不活化ワクチンを開発中との事なので、日本は数カ月から1〜2年ウィズコロナで粘りつつ、完成を待つということかなあと思います。

ワクチンはワクチンで接種が広がることで感染率が下がるとして、やはり期待したいのは治療法の確立や治療薬の完成です。そうなれば、COVID-19はデング熱よりもリスクの低い感染症になり、コロナフリーにこだわらずに、観光産業の復興に向かうことができるのではないかと思います。


そして、もう一つ。

日本は不思議と厳しいロックダウンや行動制限もなく感染者数をコントロールできていますが、東京に暮らしていて、自分自身に無意識に心理的に制約を課しているように思います。すでにコロナ前の社会の常識が分からなくなりました。

例えば、20年ほど前までは、電車でも飛行機でもタバコを吸うことができ、何も疑問を持ちませんでした。しかし、今、当時を考えると「何て非常識なのだと」信じられない事です。

同じような心理的変化がすでに起こっているものと思います。

それは例えば、ヒューマンタッチとかハグや握手だとかそういった人と人の距離感や繋がりの変化。極端な話、人がヴァーチャルになりホログラムでもアバターでもロボットでも何でもコミュニケーションをとれるようになり、一方でリアルなコミュニケーションが減少した(あるいは多くの場合、不要となった)と言えるかもしれません。

また例えば、自然との繋がりも心理的な行動制限により、変化しているかもしれません。

そこで太平洋島嶼国。PNGを除き、コロナフリーを維持しているか、水際対策により感染拡大を防いでいます。コロナのない社会と自然がそこに残っています。きっとそのような土地で時間を過ごすことができれば、コロナ以前の感覚を経験できるかもしれません。

そういった意味で、太平洋島嶼国の観光(どちらかというと長期滞在型、ワーケーション)は非常に価値の高いものになるかもしれません。

もしかすると、日本国内でも、コロナフリーを宣言できるエリアを作ることが出来れば、訪問者は到着後14日間は隔離されるとしても、長期滞在型の観光スポット(ワーケーション先)として、(フリーの意味が違うが)コロナがない社会・環境を思い出させる、再び経験できる観光スポットとして、売ることができるのではないか、などと思ったりします。


ただ、島嶼国の場合は、観光産業をマスツーリズムを前提としたマクロ経済の視点ではなく、地域住民の生活を反映するミクロ経済の視点で捉えることが大切かもしれません。
地震 [2021年02月14日(Sun)]

先程、福島沖を震源とする地震がありました。自分のいる都内では緊急地震警報があってから数十秒経ってから地震があり、最初の波と2番目の波の境目がはっきりせず、その2波が気持ち悪い揺れ方で20〜30秒以上続いたと思います。すっきりしない嫌な揺れ方でした。
実家の日立は5弱でまず大丈夫でしょう。

震源の深さが60キロと深いため、広い範囲で大きく長い揺れが発生したようですが、皆さん同じでしょうが、自分も311の時を思い出しました。

最大震度6強、マグニチュード7.1は、311以前であれば大地震です。今でも大地震。

311の時は、確か前日に今回のような嫌な長い揺れの地震があり(もっと長かったと思います)、翌日が311でした。


これまで見てきた地震やサイクロン災害を思い出すと、災害発生時はショックと情報の少なさで、直接的な被災者ではないため、被害の実態が掴めず過小評価してしまうことがありました。

今は深夜で実態がまだまだ掴めていないと思います。油断せず、防災グッズを確認し、安全を確保し、しっかり睡眠をとりましょう。

心配が杞憂で終わることを願います。
PIFの件、一旦整理(2) [2021年02月13日(Sat)]

(続きです)

2009年にフィジーがPIF資格停止となったときには、豪州、NZの関与しない地域機関が必要として、フィジー主導で地域エンゲージメント会合を経て、2013年にPIDFが設立されました。この動きはSPCから飛び出してPIFができたケースと似た動きでした。

その際、多くの議論がありましたが、その中でPIFとは何ぞや?という根本的な議論もありました。PIFは首脳が地域政策の方向性に合意するものですが、そこに国際条約のような法的縛りはないとのことでした。パシフィックウェイで、全体の方向性に合意し、その方向で各国の政策を進めていけたらいいねというものです。

例えば、国際機関で統一候補を結束して支持するという場合でも、紳士協定のようなもので、実際は各国の判断に委ねられます。その際、通常、候補者を出している国は、票を持つ国から口上書による支持を得るようにしますが、PIF事務局から支持の口上書が取れたとしても、PIF事務局には各国の決定の上に立つ力はありません。

島嶼国によって違いはありますが、今の時代、通信環境も整ってきており、人材も増えていることから、少なくとも国連においてはほとんどの島嶼国が地域機関の力を借りなくとも意見を出すことができます。そもそも国連枠組みでは、豪州・NZは西欧グループにいるため、島嶼国とは結束できないという話もあります。そこで実務上はPacific SIDSの枠組みで島嶼国のみで話し合ったりします。

そうすると、PIFの役割は何かということになりますが、地域機関評議会(CROP)機関(いわゆる分野ごとの地域機関)の総元締めではありますが、実際は各地域機関が独自に取り組んでいます。PIF事務局以外のCROP機関では場合によっては、開発パートナーからの資金がPIF事務局で間引きされて届くことに不満もあると聞いたこともあります。

PIFはもともと首脳が課題について率直に話す場で、そのアイデアを事務局として対応するのがPIF事務局の役割。特に地域貿易協定(PICTA)や経済緊密化協定(PACER Plus)などは、PIFが無いと進みませんでしたが、結局はメンバー国がそれぞれの判断で協定に参加するか否かを決めるので、PIFは単なる場ということかもしれません。

やはり最も大きな役割は、同じ加盟国である豪、NZが彼らの地域政策を取りまとめるため、それに島嶼国を取り込むための場、ということかもしれません。


南側の国々はパラオのことをよく知らないようですが、自分がパラオと10年超、50回以上現地に入って仕事をしてきた経験上、パラオは勇敢な闘士であり、戦略家であるということが言えます。他の島嶼国とは異なり、義理人情が響く人たちで、演歌が似合い、仁義なき戦いなどがぴったりはまるような雰囲気のある国であり人々であると思います。嘘や誤魔化し、言い訳を嫌うところもあります。

パシフィックウェイというのは、時間がかかるとかハッキリ意見を言わないということではなく、物事を決めるときに、相互に考え方や意見を尊重し、角が立たないように、相手に恥をかかせないように、対話を粘り強く続け、コンセンサスを形成していくということが1つのはずです。

その観点から言えば、今回は明らかにパシフィックウェイを逸脱し、パラオの怒りを買う事象が発生したのであり、これを修復することは一筋縄ではいかないと思います。


そして、次に太平洋・島サミットですが、1997年の第1回会合から日本はPIF事務局を太平洋島嶼国側の事務局としてきました。

2012年だったか、2015年だったか、フィジーがPIFから資格停止されていた時には、島サミット首脳宣言では太平洋島嶼国ではなく、PIF事務局の意向(加盟国の意向?)を飲む形で、PIF諸国という表現をしていたそうです。それに対し、フィジーは日本に対し怒りと不信感を持つわけですが、当時はPIFの枠組みが優位に立つ構造だったため(フィジーの意思ではなくPIFの意思でフィジーのメンバー資格を停止していた)、今回とは状況が異なります。

今回はパラオです。太平洋島嶼国においては、日本にとって、歴史的にも人的にも特に重要な国であり、そのパラオが自らの意思でPIFから脱退する強い意志を示しています。

そこで、太平洋・島サミットを考えると、PIF事務局は、少なくともパラオの事務局を兼ねることはできないため、太平洋島嶼国全体を束ねる事務局としての正当性を失うことになります。

少なくとも、首脳宣言で、「PIF諸国」と言えば、パラオははじかれてしまいます。このことは日本は認めることはできないでしょう。仮に認めれば、我々パラオ親派は黙っていません。また、パラオ自身、PIF事務局が島嶼国を代表する事務局として存在するならば、サミットに参加しないといったケースも考えられます。これも我々は見過ごすことはできません。


現地に大使館を置いていない国々にとってはPIF事務局は使い勝手が良いでしょう。一方、日本はほとんどの国に大使館があり、直接各国とやり取りができるので、PIF事務局が無くとも何とかなります。そのため、PIF事務局がかえって面倒な存在になる場合があります。

例えば、PIF事務局は、島サミットに関しては島嶼国側の事務局であると主張することで、日本と島嶼国間の連絡調整に介入し、中継地点となることで、日本から島嶼国へ、島嶼国から日本への情報を都合よくマニピュレート(操作)している疑いもあります。自分がフィジーを離れて以降、2016年以降ですが、そういった不満を何度か島嶼国側から耳にしています。

例えば、PIF事務局が島嶼国側からの意向として日本政府に伝えた内容が、必ずしも各島嶼国から意見を吸い上げたものでなかったり、島嶼国が知らないうちにPIF事務局が勝手に日本側に伝えているというケースもあったと聞きます。日本からの意向も、PIF事務局のフィルターを通してレターや回覧の形などで伝えられます。直接説明されるわけではありません。

そのため、国によってはPIF事務局に不信感があり、なぜ日本政府は直接島嶼国に連絡しないのかと疑問視する声もあります。


PIF事務局が各島嶼国に職員を置いているわけではないので、情報伝達ルートは、
「日本外務省本省」ー「駐フィジー日本大使館」ー「PIF事務局」ー「駐フィジーの島嶼国大使館」ー「各国外務省」
となります。

例えば、
「日本外務省本省」ー「駐フィジー日本大使館」ー「PIF事務局」ー「駐フィジーのパラオ大使館」ー「パラオ外務省」
と連絡するのであれば、

「日本外務省本省」ー「駐パラオ日本大使館」ー「パラオ外務省」
の方が効率的だし正確です。


そもそも日本と島嶼国間の公的外交に外部機関が関与すること自体おかしな話だと思います。その外部機関が中国など他国の影響を受けていたらどうするのでしょうか。ニュアンスを変えられるかもしれないし、外交情報も漏れてしまいます。PIF事務局職員は各国外務省職員のような忠誠心もないでしょう。守秘義務もどこまで徹底されているか疑問だし、情報の取り扱いも緩いでしょう。秘情報以上は渡せません。あくまでも調整事務局の職員ですし。


PIF事務局は依然として大切だとは思いますが、太平洋島嶼国と日本の関係を考えるならば、より工夫が必要になってくるものと思います。
PIFの件、一旦整理(1) [2021年02月12日(Fri)]

PIF事務局長選出とその後の分断の動きをちょっと整理します。

PIF事務局長職は任期3年で2期6年までと規定があり、2014年に就任したメグ・テイラー事務局長は2020年までとなっていました。近年の事務局長を見ると、スレード氏(サモア、ポリネシア地域)、テイラー氏(PNG、メラネシア地域)と続いたことで、次はミクロネシア地域からというのが明文化されていない首脳のコンセンサス(=紳士協定)とされていました。

これを受け、2019年のミクロネシア大統領サミット(パラオ、ミクロネシア、マーシャル、ナウル、キリバス)において、統一候補を擁立することとし、マーシャルのザキオス駐米大使(元外相)が候補となりました。

2020年の9月頃にバヌアツで予定されていたPIFサミットで、次期事務局長が決まる手はずでしたが、コロナにより延期となり、首脳が直接話し合ってコンセンサスを作る場がなくなりました。

一方で、ザキオス駐米大使は、南側の国々ではほぼ無名であり、リーダーシップが未知数。特に南側諸国はPIF事務局を切り盛りするのが大変であること、あくの強い首脳や事務レベルを取りまとめる強さが必要なこと、基本的に英国系の組織であることなどから、本当にザキオス大使で大丈夫なのか、PIFが弱体化するのではないかという不安の声がじわじわと広がっていました。

そのような空気を察したのか、何らかの工作があったのか、昨年6月、クックの現職のプナ首相が事務局長選に出馬すると発表しました。そして、それに追随するように、紳士協定はなかったかのように、フィジー、トンガ、ソロモンから候補者が表れました。

ミクロネシア諸国からすれば、ミクロネシア5カ国で統一候補を出せば、首脳間の合意により(おそらく投票という形もなしで、パシフィックウェイで)その候補者で決まりと理解していたところ、ポリネシア、メラネシアから相次いで候補者が出たことで、不信感が高まったと思います。

その後、パラオのレメンゲサウ大統領を筆頭に、「次はミクロネシア地域の番だ。それが守られなければ脱退する。」と明確なメッセージを出し、ミクロネシア大統領サミットを通じて、コンセンサスを作り、PIF側に意志を伝達していました。

そのような状況が背景にあるのか、他の要因のためか、いつまでも次の事務局長を選ぶ首脳会議が開かれず、一方でテイラー氏は任期延長もしくは例外的に3期目を期待する考えを見せるようになり、これはこれで首脳側の考えとは合わないのですが、ようやく今年の2月3日に臨時のバーチャルの首脳会議が開かれました。

2月3日の首脳会議では、14時間の首脳間の投票により(キックアウト制)、最後にプナ前首相とザキオス大使が残り、9対8でプナ前首相が選出されました。14島嶼国、2仏領、豪、NZの18票のうち17票というのは、秘密投票なので、どの国が棄権したのかは分かりませんが、NZは外相が出席していたとのことです。それが関係しているかは分かりませんが。

しかし、ミクロネシア側としては、そもそも首脳クラスの投票に、なぜ仏領の首長が同レベルで投票できるのかに疑問もあるし、おそらく空気感から豪州はプナ前首相を押したのではないかと見られているようで、結局、大国の意思で紳士協定が破られたと理解されたと思います。

2月4日、パラオ政府はフィジー政府への口上書(外交ルートの公文書)で、「今回の結果を受け、PIFから脱退することとなった(will be terminating)。今回の事務局長選出のプロセスが、PIFの枠組みがもはや結束(unity)、地域主義(regionalism)、パシフィックウェイを指針としていないことを示した。そして、現在の厳しい世界経済情勢とPIFから脱退することから、フィジーに大使館を開設しておく正当性が無くなった。」とし、駐フィジーのパラオ大使館を2/28付で閉鎖すると通達しました。一方で、フィジーとの二国間関係は変わらずよろしくと。

次いで、2月8日に臨時のミクロネシア大統領サミット(前述の5カ国による)が開催され、5カ国が結束して、PIF設立協定第12条に則りPIF脱退プロセスを始めること、今後はサブリージョナルの枠組みを強化していくことをコミュニケの形で発表しました。

2月9日には現在のPIF議長であるツバルのナタノ首相がPIF事務局ウェブサイトでミクロネシア5カ国の脱退意向に驚き、ブラザーフッドとパシフィックウェイにより、脱退意向を思いとどまる方法はないかという懇願に近い訴えを述べています。議長としては、PIFを崩壊させた形となるので恥になってしまいます。

他方、今日のニュースでは、サモアのトゥイラエパ首相が、ミクロネシア諸国などどうでもいいというニュアンスで、米領サモアを加盟させればいいなどと分断を煽るような発言をしているニュースもありました。

ここにきて、各国の性格が如実に表れており、興味深いところです。


ここで一旦立ち止まって、そもそもPIFとは何ぞや、と、考えた方が良いでしょう。


もともとは、戦後まもなく、1947年に当時の宗主国(米英仏蘭豪NZ)により設立された太平洋共同体(SPC)があり、1960年の国連の植民地独立付与宣言後、1962年のサモア(当時は西サモア)を皮切りに少しずつ島嶼国が主権を獲得し独立していきました。

1970年前後、特に依然として核実験を継続していたフランスを対象に国際社会に訴えて抗議し停止させようとしたところ、唯一の地域枠組みであるSPCは米英仏がメンバーであり機能しないといった問題がありました。そして、1971年、当時独立していたナウル、サモア(当時は西サモア)、フィジー、トンガ、クックにより米英仏を外した別の地域枠組としてのフォーラム(SPF, 後のPIF)の最初の会合が開かれ、ここに豪、NZが参加しました。初回会議では豪だけ閣僚クラスで、他は首脳クラスです。

1971年、初回会議の主要テーマは、
1.フランス核実験停止をアピール(仏ポリでの実験に対し)。NZ政府に対し、フォーラムのアピールを仏政府に伝達するよう要請
2. 豪州、NZと島嶼国の貿易
3. 地域輸送ライン、UNDP調査
4. 観光、UNDP調査
5. 海洋資源と領海:UN海底委員会
6. 海底資源クックで調査(Hawaii Oceanic Institute for Research and Economic Development of Fisheries)
7. USPへの支援 
8. 地域協力(PIPAとSPC)

その後も、主要テーマは貿易投資、地域貿易協定、国際海洋法条約の議論に合わせた地域としての準備、未独立国の独立支援などがあり、1988年に貿易を主業務としていたBureauをフォーラム事務局に格上げし、ほぼ現在の形ができました。

その後、90年代にソロモンでの部族紛争があり、地域安定・安全保障がテーマに加わり、島嶼国も現在の独立国が出そろい、正式メンバーとなっていきました。

一方で、次第に日本、中国、台湾が域外国として関与するようになり、域外国の開発パートナーが拡大し、現在に至ります。


(長くなったので、一旦切ります)
クジラ!魚!酒! [2021年02月11日(Thu)]

フィジーにいた頃には、ほぼ毎週末、朝早く市場で魚を買い(素人なので失敗も多かったのですが)、素人なりにさばいていましたが、5年前に帰国してからはほとんどさばくことはありませんでした。


でも、いつかうまく魚をさばけるようになりたい、包丁をうまく使えるようになりたい、料理もちゃんとできるようになりたい、という気持ちがどこかにあったのでしょう。気づくと昨年末ごろからYouTubeで魚をさばく動画を見るようになりました。

そうなると、今度はAIが似たようなジャンルをすすめるようになり、きれいな魚屋の女性がさばいて料理してお酒を飲みながら食べるシリーズを見るように。調べると鮮魚を取り扱っており、この時代、おそらく魚の流通も滞り気味だと思い、鮮魚や(南側や欧米系の友人には言えませんが)鯨の赤身や皮を購入して、さばいて食べるようになりました。

まとめて1週間分程度の鮮魚が届きますが、やはりプロの魚屋さんが調達するだけあって、味が近所のスーパーで買っていたものと違います。忘れかけていた魚の味を思い出しました。単なる食物ではなく、生物を食べる感覚。

鯨はキロ単位で買えるのですが、それもザンビアやフィジーの肉屋で、牛フィレをキロ単位で買って以来で、何かこう獲物を分けてもらった野獣のような感覚。

そうそう。送られてきたダンボールにこんなメッセージがありました。このような時代、少しでも人間的感覚が伝わってくるととても嬉しい。

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届いた魚を美味しくいただくべく、ちょっと調べて、久しぶりに塩焼きにしたり、イカは自家製塩辛にしたり、鱈をフライにしたり、片栗粉をまぶして多めの油で揚げ気味にしたり、初めて煮付けを作ったり、で、それぞれが美味い。

普段魚というと刺身ばかりでしたが、火をうまく通した魚の美味しいこと。本当に美味しい。カマス、アジ、タラ、タイ、サケ、サバ、サワラ、キンキ。ちょっと下処理して。全部美味い。酒だけでなく、ご飯も進んでしまい、走らなければなりません。

クジラの赤身は刺身、土手鍋、レアステーキで。1キロを4日くらいに分けて。

クジラの肉は不思議な肉です。魚でもなく陸上の哺乳類とも異なる。おそらく生きている環境の温度が違うせいか、血がすごい。その血をうまく処理しないと匂いが気になるようになります。おそらくクジラの肉が臭いとか良い思い出がない場合は、解凍した後の血の処理がうまくできていなかったせいかもしれません。

そして今日は、意を決して、クジラの皮で、おすすめのおでんを、おでん自体生まれて初めて作りました。脂ですが、魚屋さんが言うとおり、やはり冷たい環境での脂なので人の体温で融けます。

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しっかり鰹節と昆布で出汁をとり、味はまあ良い感じ。クジラの皮はまず蒸して、下処理をして。具は、味が濁らないように、クジラの皮と大根のみ。これでお酒をくいっと。今日は三重の作。一番好きなのは高知の酔鯨なのですが、近所の酒屋になかったのでザク。

鯨の脂も良い出汁になり、狙いどおり大根も美味い。一瞬、自分は天才かと錯覚しました。

何かこう、生物として生きている実感が戻ってきます。

早く次の魚、届かないかなあ。
サブリージョナルな枠組みなど [2021年02月11日(Thu)]

2/9付で出されたミクロネシア連邦、キリバス、マーシャル、ナウル、パラオの大統領によるミクロネシア大統領サミット(2/8開催)の共同宣言(コミュニケ)では、事務局長ポストのサブリージョンによるローテーションについての紳士協定を含む合意を尊重しない機関に参加する価値はないと述べ、5カ国大統領が一致してPIF事務局長選定プロセスに強い失望を表明し、太平洋諸島フォーラム設立協定12条に応じてPIFからの正式な脱退プロセスを開始することに合意したとあり、さらに、5カ国大統領はミクロネシア大統領サミットなどサブリージョナル機関の活動強化を期待していると表明しています。
http://www.naurugov.nr/government-information-office/media-release/micronesia-unified-in-forum-withdrawal.aspx


こちらは、内外の主に非公開の会合などで地域秩序を構成するレイヤーを説明するときに使っている図の一つです(笹川平和財団太平洋諸島マップをもとに作成しました)。

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サブリージョンとして、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに分けられていますが、上記図は独立国のみが対象となっています。

独立していない地域を含めると、文字ばかりで見ずらいですが以下のようになります(同じく、笹川平和財団太平洋諸島マップをもとに作成しました)。

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ミクロネシア地域ではミクロネシア諸島フォーラム(MIF)とミクロネシア大統領サミット(MPS)、メラネシア地域ではメラネシアン・スピアヘッドグループ(MSG)、ポリネシア地域ではポリネシアン・リーダーズ・グループ(PLG)があります。

ミクロネシア地域だけを見ると、独立国首脳によるものがMPS、5カ国首脳に加えてミクロネシア連邦の4州の州知事、北マリアナとグアムの知事を含む行政長によるものがMIFになります。いずれも長らく米国系の国々と地域が参加していましたが、2016年頃からナウル、キリバスも参加するようになりました(当初から対象国だったが、米国系の集まりという空気があったものと思われます)。


それで、現在、パラオが今月末でフィジーにあるパラオ大使館を閉鎖することは事実でPIF脱退も確度が高いように聞きます。残り4国も2/8の共同声明で明確に脱退プロセスを始めると言っているので、簡単には収まらないし、今後関係国がどう動くかということなのかと思います。

別の流れで起こったUSPの副総長(Vice Chancellor)の強制退去問題も、特に総長がナウル大統領であったことから、少なからず影響しているのではないかという人もいました。

PIFに関しては、これは明示的に言われていないと思いますが、豪州もしくはNZなど大国の意向で紳士協定が破られたという見方もあり、USPについては地域機関の一つであるUSPにフィジーが国として介入してきたという見方もあるそうで、このように地域機関・地域枠組みの重要な場面で加盟国の協調ではなく大きな国の意向で合意も何も変えられてしまうというところに失望と怒りがあるのだと思います。

中国の影響と捉える向きもありますが、影響があるにせよ、同様に大国の意向で島嶼国を押さえつけるという動きであれば、中国だろうが日本だろうが豪州だろうが島嶼国は反対するということなので、基本的には島嶼国側の立ち位置から物を見た方が良いように思います。

大国がお金を持って無理に意見を押し付け同意を求めるというのは違うということです。そのために、島嶼国各国は外交関係や開発パートナーの多様化を進めてきたというところがあります(国によって進み方が違いますが)。


また、特にPIF事務局と仕事をした経験があったり、仕事をしている現地の友人(日本人ではない)は、数人に個別に連絡を取っていましたが、皆、ミクロネシア5カ国の人ではないのですが、今回の件に関してミクロネシア諸国をそれぞれ支持していました。それだけPIF事務局の仕事のやり方や枠組みに不満があったのだと思います(官僚的だとか、ペーパーワークばかりで実質が伴わないとか、レポートが出ても見た目はきれいだが中身が欠けているとか、反応が遅いとか、上から介入してくるとか)。

さて。このような先がいくつも想定されるとき、自分の場合は、まず基本に返ります。基本というのは合意文書や協定があるのであれば、それに返るというものです。観念とか友人関係とか感情とかではなく、そこに書いてあるものに合わせて物を観察していくといった感じです。


日本にとっては、豪州、NZ、米国、中国、台湾、フランス、イギリス、そして太平洋島嶼国14カ国との関係があるため、現在の過程の段階の動きで、表に情報が出てしまうようにあからさまにどこかの国に肩入れしたり、煽ったりすること(そのように思われること)はリスクがあります。

皆さんそうしていると思いますが、まずは熱や感情に巻き込まれないように、引いて、事実関係を集め、冷静に動向を見守ることが大切だと思います。

例えば、心情的にミクロネシア諸国を支援したいからと言って、表に出る形で5カ国の動きを支持すれば、豪州、NZ、太平洋島嶼国の中でPIFの結束を重視する国々にケンカを売る形になり、敵を作ることになり、(いずれどこかで地域の別の安定期が来ると思いますが)次の安定期での立場が悪くなるでしょう。

日本は幸い、全ての太平洋島嶼国と二国間関係を築いているので、そちらで粛々と関係を強化していくということかと思います。二国間ベースでは、日本からも本音で言えることもあるでしょう。

バイアスの無い情報をしっかり見極めることが大事な時期かと思います。
慌ただしい一日 [2021年02月09日(Tue)]

今日は、早朝からSDGs関連のフィジーでの会合にバーチャルで参加したのを皮切りに、かつての上司と1時間近く話し(かつて部下の時を含めても初めてこんなに話したように思いますが)、何かこう言葉が通じる人と話せてよかったというか。

そして、パラオの海保関係の協力者(というか友人)とあれやこれや連絡し、冗談を言い合いながら、次いでパラオの観光関係の協力者と現地ツアータイトルを出し合い(炎の弾丸ツアーとか、ローリングサンダーとか、ネバーエンディングツアーとか)つつ、フィジーにいる現地の友人とも意見交換し(以前は、自分が上司のような位置づけの同僚でしたが、そういった関係ではなくチームとして共に戦っていたイメージでした。今回いろいろ教えていただきました。先生と呼びたい。)その後、国内の友人やシドニー在住の方とのやり取りがあり、気づくと夕方になっていました。

急に忙しくなった感じです。炎の弾丸ツアー。

そういえば、祈りが通じたのか、プライベートな部分ではちょっとした奇跡もありました。正直諦めていました。コロナできっともう会えないでしょうが、心穏やかに、安らかに。


地域秩序変化、バイとマルチの使い分けについては、確か2018年の第8回太平洋・島サミットの後に何かに何度か書いてきた覚えがあります。そのはるか以前から現地に入り、変化の過程というか渦に巻き込まれていた肌感覚で、感じているものを書いてきたもので、全て繋がっているように見えます。

このような変化の時には、自分のような中からの視点と、もっとクールに事象を見る外からの視点の両方が重要になります。近年、この大きな変化の渦の中で、PIF事務局と外交官として直接週に何度も3年間も通って雑談や議論をしてきた経験があり、かつ、現在民間で発言できる立場の人はあまりいないはず(自分が特別と言いたいわけではなく、肌感覚て知っている人は他にもいるはずですが、立場上言えない場合が多いと思います)。チョコレートを持って行って、お茶を飲みながら喧々諤々議論や調整をしたり、時に厳しい交渉になったり。あの時のお茶は楽しみでした。今、その時の友人の一人はNZのオークランドに、別の友人はカナダのトロントにいます。あの時間が戻ればいいのに。

そんなこんなで、自分の場合は、国のお金で経験を積ませていただいたので、国のためにその時得た知見を使うというのは当然のこと。故に、自分はあえてそういった経験から得た中からの視点を強調することで、国内の情報としてはバランスがとれ、広く情報を掴む人が全体像を把握できる、もしくは変化に驚かずに対応できるようになるものと思います。クラウンでも良いし、自分の役割はそんなところでしょう。


今日ちょっと、古くからの日本の友人から言われて思い出したことがあります。

かつてフィジーがクーデターによりPIFから資格停止処分を受け、いろいろあり、日本とも関係が悪化したとき、2012年頃ですが、自分のフィジールートの情報では、駐日大使館を閉鎖し駐中大使館が兼轄しかねない深刻な状況でした。一方で、国内のフィジーをよく知る先輩方は「フィジーなんて、ほっとけば折れるよ」などと軽視する意見が主流でした。それに怒りを覚えたことが、自分が一度SPFを離れ、たまたま公募ポストがあり、運よく採用されて、フィジーに赴任ということに繋がりました。

その時の怒りというのは、何というか、自分が青過ぎたのか、ゾッとしたというか、愕然としたというか、なぜそこまで他人事でいられるのかと。本気で理解していなければ、外交当局も影響を受けてしまうレベルの方々。

それでも、現地では、日本とフィジーのオフィシャルな関係がぎごちなかったにもかかわらず、マタイトンガ大使を始めとする駐日フィジー大使館の皆さんのおかげで、空港到着時から丁寧に温かく迎えていただいたといったことがありました。そして、最初は同僚や現地職員に笑われながらも、最終的に山は動いたと、勝手に美化しています。

話がずれましたが、今回の地域で起こっているざわめきですが、ブラフか本気かという点では、現地の友人からは本気度が高いと捉えられているとのことでした。ここに至るまでの伏線がいくつもあります。それは中国関連がかすむほどのもの。

例えば、小さい国だからと頭のどこかにあるのかもしれませんが、5カ国首脳が正式に署名した文書の意味はどれだけ重いものか。それを覆すのが、どれだけ大変なことか。首脳が署名して公式文書を発出するという行為そのものが、強い決意の表れだったということ。

この一連の動きでダメージを受けてしまうのは豪州、次いでNZになります。

かつてフィジーがPIFからはじかれたとき、豪州・NZおよび2国に近い島嶼国と、フィジーの間を繋ぐ役割を日本は期待されていました(フィジーや豪州・NZに不満があったいくつかの島嶼国から)。しかし、先進国であり民主主義陣営の日本は豪州・NZ側に立ちました(その後、何とか修復し2015年に至るといった感じですが)。

今回は、そういった繋ぐ、仮に脱退した国があるとして復帰を促すという意味ではなく、脱退した国々と豪州・NZの間を取り持つ役割も日本にはあるかもしれません。そのためには、日本は日本で各島嶼国との関係(二国間関係)を改めて大事にする必要があるでしょう。頑張りどき。豪州・NZの地位を落とすことなく、日本の影響力を高めることができるかもしれません。

それにしても。
やっぱり頭に浮かんでくるのは、「リセット」という言葉です。
ミクロネシア5カ国、PIF脱退か? [2021年02月09日(Tue)]

これは予想を超える動きです。自分自身、ブラフもあると考え、過小評価していました。

本気だったのですね。

ミクロネシア5カ国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、キリバス、ナウル)が、正式にPIF脱退手続きを開始するというニュースです。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/436039/five-micronesian-countries-leave-pacific-islands-forum

自分の理解では3段階+1ありました。
1.南側諸国と元々距離感があったパラオの脱退
2.米国コンパクト諸国(パラオ、ミクロネシア、マーシャル)の脱退
3.ミクロネシア5カ国の脱退
+1:台湾承認国(パラオ、マーシャル、ナウル)の脱退

特にキリバスとナウルについては、豪州との関係もあり、抜けにくいかと思っていましたが、これは相当な怒りがあるということなのでしょう。キリバスも骨のある国だし、ナウルも中央太平洋国として誇り高い国ですが、ここまでとは。なめるなよということか。

長年、地域協調のために妥協し、我慢に我慢を重ね、蓄積してきたものが、紳士協定破りにより爆発したのかもしれません。そのような印象を受けます。

ザキオス大使は、これらの国々の動きに対して、熱い気持ちを感じているのではないでしょうか。

ザキオス大使を担ぎ出すために5カ国が相当な努力をしたのかもしれません。この点についても自分は過小評価していました。(適任者が見つからず、最終的に落ち着いたものと...)

ミクロネシア地域は、2016年にMIF(Micronesia Islands Forum,
事務局はパラオ)というミクロネシア行政チーフサミット(MCES)を発展させたサブリージョナルな枠組みがあり、ミクロネシア諸国の課題により直接的にアプローチする形がよりフォーマライズされつつあります。

PIFがSPFに変わる日も近いのか。そうなるとMIFと旧PIF(SPF?)の2つの地域機関枠組みとなるのかもしれません。


日本国内や欧米シンクタンクは、中国の影響を絡めて分析しようとするでしょうが、今回の件に関しては、極めて島嶼国間の問題だと思います。既にPIF事務局では、中国は正当なアプローチ(貿易投資促進、奨学金など)で影響力が高い状態にあり、そこに親台湾の事務局長は合わないという見方はあったかと思います。

PIF自体、南側主導で豪・NZの地域秩序を確保するための枠組みとなっているところ、米系およびミクロネシア地域が主導権を握るのは好ましくないという理由の方が強かったものと思います。


今年、太平洋・島サミット(PALM)を控える日本にとっては、実はチャンスでもあります。PIFが太平洋島嶼国を取りまとめる枠組みでなくなるのであれば、必然的にPALMプロセスの構造を変えなければなりません。関係者は大変になるかもしれませんが、対PIFではなく、14カ国と個別に対応する必要が出てくるでしょう。なぜなら、PALM首脳宣言を太平洋島嶼国を代表すると称するPIF事務局と日本政府で取りまとめたとしても、事実としてPIF事務局は太平洋島嶼国を代表していないことが明らかとなるからです。PIF事務局は太平洋島嶼国を取りまとめる事務局としての正当性を失います。

二国間(バイ)のアプローチではなく、地域としての枠組みに対してアプローチするのであれば、PIF事務局だけではなく、MIF事務局(パラオ)のアプローチが必要になるでしょう。



やはり今年のキーワードは「リセット」。固定観念を取っ払って、再構築。

日本の国益となるよう、皆で知恵を出し合い、それぞれの持ち場を理解した上で相互に隙間を埋め、実質的成果を得るために活動するときが来たのかもしれません。
パラオと地域の関係(少しだけ) [2021年02月07日(Sun)]

パラオは駐フィジー大使館も今月末で閉鎖するようです。理由は政府支出の節約のため。すなわち費用対効果が低いという判断のようです。

そもそも、自分が現地に赴任したころ、2012〜15年時点で、ミクロネシアとマーシャルの大使館はあったものの、パラオ大使館はありませんでした。フィジーで地域関連の打ち合わせをセットしようとしたときに、パラオ大使館がなく、直接パラオの国務省の友人に連絡していた記憶があります。

パラオ側は、南側の国々と地域枠組みで協力することで、どのような実質的成果があるのかを見ていたように思います。意味のない地域の話し合いのために時間と資金と労力は使わないということでしょう。

今後の展開については、いくつか想定されることがありますが、このブログに書くことはやめます。


表の情報からだけ言えば、PIF(旧SPF)は1947年に旧宗主国が設立したSPC(太平洋共同体)から、SPCの枠組みでは米英仏の核実験に対する抗議を国際社会に訴えられないとして、当時の独立国5カ国が新たな枠組みを作ろうと相談して1971年に会議体を作り、事務局化したものです。その際、核実験を行っていない豪、NZが加わり、側面支援している関係性がありました。

その後、独立国が増え、加盟国が増えていき、2000年にPIFと名称が変わり、米国同時多発テロ、イラク戦争、地域ではソロモンの部族紛争やフィジーのクーデター(2006)を経て、2009年にケアンズコンパクトがまとめられ、豪NZの位置づけが島嶼国を側面で支えているものから、島嶼国側から見れば上から押さえつけられるように感じられるものに変化しました。

島嶼国間で言えば、英連邦系の南半球諸国の独立が早く、北半球の米国系諸国は独立が遅かったこと、南側の島嶼国から見れば、北半球の3国はコンパクトにより75%独立のようなイメージ(グアムよりも独立しているが他の島嶼国ほど独立はしていない)があり、財政面でも米国から手厚い支援を得ていることから開発課題を共有できないとか、「彼らは米国の一部になりたいのだ」と口にする人も少なくありませんでした。赤道を挟んで心理的にギャップがありました。

ミクロネシア3国間では、パラオは自立心が強く、米国と共に戦う意志の強さがある一方で、マーシャルは核実験に関わる問題から、国際社会を味方につけるために地域の支援が必要であり、感情的に米国とは非常に近いものの、課題によってはケンカをしなければならない関係性があり、ミクロネシア連邦も米国とさまざまな交渉事で意見を通すために仲間が必要という背景があるため、それぞれ米国との距離感、地域枠組みの利用価値が異なります。

ただ、2012年頃から2015年、フィジーが豪NZとのケンカを上手くやりくりし、外交関係の多様化や国際社会との直接的な繋がりを強くすることで島嶼国の自立意識を高めることに成功し、共通の課題を持つようになった太平洋島嶼国が赤道を越えて結束するようになりました。

PIFはというと、事務局の慢性的な財政問題(はっきり言って人件費が高く、出張などの旅費規定も贅沢)、議論やペーパーワーク、形は整うが、その努力に比べて、それぞれの国が得る実質的成果が少ないことなど大きな構造的問題を抱えています。その過程で、メンバーが増えることで加盟料が増えるという意味もあり、本来核実験の問題があるため距離を置かなければならない仏領の加盟を認めました。仏ポリにとっては核賠償問題、ニューカレドニアにとっては先住民の権利や独立問題について地域の支持を得られるという考えがあったものと思いますが、フランスにとっては、豪・NZに続き、旧宗主国として正式に加盟した形になる=すなわち地域の中の情報を直接取れるし、過程の議論にメンバーとして加われるメリットがありました。

以前、フィジーがPIF加盟資格を停止された一方で、島嶼国のみの枠組みとしてPIDFを設立しました。そちらは現在国連の南南協力に関する地域フォーカルポイントのような役割が確立されてきており、開発パートナーと島嶼国の各地の課題を繋ぐプラットフォームとして地道に活動を続けているようです。


これらを踏まえると、今後の可能性が見えてくるかと思います。
パラオPIF脱退か? [2021年02月05日(Fri)]

先ほど、フィジーFBCでパラオPIF脱退意向とのニュースがあったようです。

パラオは地域機関の南太平洋観光機構(SPTO)のメンバーではなく、南太平洋大学(USP)にも加盟していません。実質的な効果で判断される方々なので、SPTOがなくとも観光振興はできるし、USPが無くともパラオの方々は米国で教育を受けて成功してるし、そういうことでしょう。

PIFとの関係では、例えば2014年、パラオがPIFサミット開催国となったことがありました。当時自分はフィジーで書記官としてPIF事務局も担当していましたが、PIF事務局から開催国パラオへの詰問に近い細かな注文が多く、当時のパラオ国務省にいた友人と直接的にも間接的にもやり取りし、PIF事務局にも友人がいたので、こっそり間に入り調整したことがあります。その時に、苦労ばかりでメリットが少ないという強い印象が残ったものと思います。

また、近年はPIFサミットにパラオからは大統領が出席していないと思います。国務大臣(外相)か副大統領に抑えていました。


パラオがPIFに加盟したのは1995年9月の第26回サミット(PNG)(当時は南太平洋フォーラムだったのでSPF)でした。

これにより、米国系(自由連合国)の3国が正式にメンバーとなったことで、南太平洋フォーラム(SPF)からPIFに名称を変更しようという話が出始め、2000年10月(ツバル)の第31回サミットで、ミレニアムを記念する意味もあり、正式に太平洋諸島フォーラム(PIF)に名称が変わりました。

マーシャルは核実験の件があり、ミクロネシア連邦は漁業や国の開発課題が大きいので簡単には脱退は難しいでしょうか、可能性はあるかもしれないですね。トランプ政権のままであれば、コンパクトの枠組みで、ミクロネシア3国との関係を再強化という方向だったので、3国まとめて離脱もあったように思いますが、果たしてどうなるのか。


これは日本に風が吹いてきたかもしれません。島サミットの際、かつてフィジーがPIF資格停止とされていたとき、難しいやり取りをしていました。しかし、今回はPIFから外されたのではなく、パラオから離脱するとなれば状況は変わります。

日本はパラオとの関係が強く、パラオを島サミットで外すわけにはいきませんから、内外に、明確に、島サミットは、PIFとのサミットではなく、太平洋島嶼国とのサミットだと主張し、この機会に大きく色を変えることができるかもしれません。

また、PIFとは関係なく、北太平洋部分で、ミクロネシア3国と日本が関係を再強化できる機会にもなります。さらに、バイデン政権下ではどうか不安ですが、米国とも連携し、日米ミクロ3国の特別な枠組みを作ってしまっていいように思います。その時期が来たかもしれません。面白い。


さて、パラオが脱退する場合、PIFの名称はどうなるでしょうか。PIFになったきっかけがパラオなので、元に戻す?しかし、SPFは我々が使っているので、別の名称にして欲しいですね。
PIF事務局長選出、追記 [2021年02月05日(Fri)]

まず、PIFの加盟国・地域ですが、豪、NZ、太平洋島嶼国14カ国(ミクロネシア5,メラネシア4、ポリネシア5)、仏領2(ニューカレ、仏ポリ)の18になります。

昨日の現地報道や、ミクロネシア連邦の広報がアップしたパニュエロ大統領のインタビュー書きおこしなどを読むと、少し空気感が分かるように思います。

今回の特別オンライン首脳会議は、パニュエロ大統領によれば「マラソン」会議で、朝9時から14時間行われたそうです。昨年年次総会が開催できなかったことから、さまざまな議論すべく課題があったこと、さらに新事務局長選出というものがありました。

選出自体は、恐らくキックアウト形式で行われたものと思います。秘密投票の形だそうで、5人の候補者から始まり、最後にはプナ前首相とザキオス大使(元外相)の決選投票となり、9対8でプナ前首相が選ばれたということです。

ザキオス大使は残念ですが、メンツはギリギリ保たれたのではないでしょうか。しばらく、ミクロネシア諸国(特に米系3国)は疎外感を感じるかもしれませんが、PIF自体が基本的に南側のルールによるものなので、変わらないと言えば変わらない。


しかし、今回はCOVID-19のせいで異例の形となったものと思います。通常、年1回のPIF総会(サミット)では、サミット、域外国対話があり、さらに別日程で首脳のリトリートがあります。そして、このリトリートが非常に重要な機会となります。

サミットや域外国対話は、正式な会議として、事務方も含め多くの目の中で行われます。

リトリートは、離島やサマーハウス的なリラックスできる場所に移動し、基本的に首脳同士が事務方を交えずに直接率直な話をする場です。そこで信頼関係や友人関係が築かれるし、本音の話し合いができ、例えば2者間にわだかまりがある場合でも、その場で仲介する首脳が表れ、解決されたりします。リアルなパシフィックウェイの場です。

本来、事務局長選出の時には、事前にこのようなリトリートを行い、合意形成を図ります。全会一致にはならないので、最後は投票で決められますが、それでも事前のリトリートの話し合いがあるので、対立が深まることは基本的に避けられます。


しかし、今回はオンライン会議であるため、そのような肩を抱きながら話すような機会、魚を取ってビールを飲みながら談笑する機会が無かったことで、選出の仕方が尖ったものになってしまったかもしれません。

一時的に分断が進むかもしれませんが、COVID-19で対面の会合は当面難しいでしょうし、つかず離れず(課題によっては結束し、課題によっては離れるなど)といった風になるのではないでしょうか。それよりも、ものすごく官僚的なPIF事務局がプナ元首相の腕力で柔軟性のある組織に変わって欲しいと思います。


前の記事と重複しますが、1年半前、PIF首脳は「次の事務局長はミクロネシア地域から」ということで暗黙の了解=紳士協定ができていました。しかし、そこにはPIF事務局長は名誉職ではなく(癖のある首脳、豪、NZ、さまざまな開発パートナーなど、野獣の世界で切り盛りできるような)強いリーダーシップが必要という暗黙の注釈がありました。

期待していたところ、ミクロネシア5カ国の首脳が推薦したのはザキオス大使。ザキオス大使は外相経験もあり、弁護士でもあったと思いますし、実績もありますが、いかんせん地域では名が知られていない。ある南側の国のハイレベルの方は自分に対し「ザキオス氏はどんな人だ。南側ではほとんど知られていないぞ。PIFのことを理解しているのか」などと話してきたこともあります。

2001年から2007年頃までマーシャルの外相としてPIF総会にも大統領に同行し出ていたと思いますが、当時、次のリトクワ大統領(顧問はツバル人2名)になるまで、PIF総会では当時のマーシャル代表は、ニコニコして頷いて、意見を言わないと見なされていたという話もそのツバル人顧問から聞いたことがあります。

それで、2008年にリトクワ大統領が英連邦系の島嶼国が豪・NZに対しハッキリ意見を言わないところ、ズバッと「例えば日本は〜の支援を約束したが、あなた方は考え方を押し付けるだけで、具体的にどのような支援を考えているのか」と発言し、他の出席者を2つの意味(ただニコニコしていたマーシャルが、そして豪・NZに)で驚かせたと、いつかの食事の席で大統領と顧問2人が話してくれたことがありました。そのころから、マーシャルは様々な場で、はっきりものを言うようになったと思います。

ザキオス大使が外相の時には、PIF総会ではほとんど目立たなかったということです。


ということで、要するに、ミクロネシア地域にチャンスが回ってきたが、人選がうまくいかなかったということでしょう。そして、南側の国々が危機感を感じていたところ、プナ首相が勇敢に出馬を宣言し、今回の結果に繋がりました。

パラオのレメンゲサウ前大統領やキリバスのトン元大統領(キリバスは米系ではなくかつて元大統領が事務局長になっているので現実的ではなかったし、マーマウ大統領は支持しなかったでしょうが)が候補となっていれば、プナ前首相が立つこともなかったかもしれないし(それでも立つという場合は、要素は米系にはまだ任せたくないとか、親台湾という要素が強く関わったはず)、ミクロネシア地域から事務局長が誕生したかもしれません。

タイミングの問題もあります。1年以上前、ミクロネシア地域の候補者をまとめるときに、レメンゲサウ大統領は現職バリバリだし、他に出られる立場のキャリアがある人がいなかったともいえます。

でも、PIF事務局長職は本当に大変な立場だと思うので、今回の結果で良かったのではないかと個人的には思います。

南太平洋大学副総長、強制送還 [2021年02月04日(Thu)]

今日はPIF新事務局長の他に大きなニュースがありました。

地域機関(CROP)の1つである南太平洋大学(USP)の副総長(Vice Chancellor。総長=Chancellorは加盟国の首脳が持ち回りで就任するため、実務上のトップにあたる)がフィジーの入管法違反との理由で国籍のある豪州に強制送還となりました。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/435776/head-of-pacific-university-to-be-deported-by-fiji

自分の資料を見ると、昨年3/23付で、同副総長に不正疑いが報じられ、その後、副総長擁護派と反対派でUSP内が不安定な状況となっていたようです。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/412386/usp-vice-chancellor-investigated-over-alleged-material-misconduct

その後、停職措置、6月初旬に解任され、学問の自由に対する制約という問題提起もあり、臨時の理事会を経て、6/19には疑惑が晴れて復職したとの報道がありました。

しかし、その後も問題はくすぶり続け、年始にUSPで教員をしている現地の友人からの連絡では、まだ混乱が続き、その友人のポジションも不安定な状況という話でした。

そして、今日のニュースで、フィジー政府として入管法違反、労働許可に違反する行為があったとのことですが、24時間以内の強制送還が決定され、副総長は出国した、ということのようです。


元の問題はUSPにおける予算執行上の問題だったようですが、ホスト国のフィジーが、国の法律に則り、強制送還措置を取ったという形になります。

自分が現地にいた頃も、迷惑な外国人はビザが更新されず、帰国ということがあったように思います。

次に誰がVCになるのか、これでUSPが安定するのか、注視していきましょう。
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