自殺予防団体-SPbyMD-は、2025年3月23日(日)『認定こころの通う対話のできるゲートキーパー養成講習@新ひだか』を、新ひだか町コミュニティセンターにて開催しました。参加申込者数11名・うち2名キャンセルにて、9名がこのたび新たに「SPbyMD認定こころの通う対話のできるゲートキーパー」として加わりました。

講師陣は前日のうちに札幌市から苫小牧市を経由して新ひだか町まで移動し、地域観光を兼ねて「道の駅ウトナイ湖」にて野鳥観察およびランチ、「道の駅サラブレッドロード新冠」にて新冠町を360度展望およびレコード視聴、新冠温泉入浴を満喫しました。ホテルチェックインまでまだ時間があったことから、講師の提案にて当日の会場施設視察を行いました。

ホテルチェックイン後は夕食まで約2時間の自由行動タイムとして、内田・蓬生・宮澤の3名は近くの「新ひだか町博物館&図書館」へ行き、アイヌ民族の文化芸能特別展示のほか、新ひだか町を含む日高管内の郷土資料を見てまわりました。併設の図書館は綺麗・超広い・蔵書数も半端なく多い・読むコーナーもあちこちに多々ある!という立派なものでした。それぞれ関心のある本を見てまわり、筆者(内田)は社会問題のコーナーで自殺予防に関するこれまで読んだことのなかった本を数冊読み、付け焼き刃程度の学びでしたが翌日の「GK新ひだか」でも講義でその内容をお伝えできました。
夕食はホテルの食堂にて。これまた食べきれないほどの充実ボリューム!かつ家庭の味という感じで大変美味しくいただきました。夕食の際には講師陣で翌日の簡単な打合せを行いました。

当日は朝6時半から同じく食堂にて美味しい朝食をいただきました。筆者は早起きして、会場設営時の各役割・動きなどを紙に書き出す作業を行い、朝食にて講師陣と情報共有しました。本来であれば準備期間中にやっておくべきことでしたが、うっかり失念していましたので…。
では、ここに受講者アンケートを抜粋して掲載したいと思います。
★講義『グラフで学ぶ若者自殺の深刻さ』
(講師/自殺予防団体-SPbyMD- 理事長 竹内典彦)●社会的背景から「自殺」についてアプローチ・表現されていて分かりやすかったです。現状が分かりやすく伝わりました!今の私はストレス過多だということに気がつきました。気づくことが「スタートラインに立った」ということだと思うので向き合いたいです。
●高度な医療があるにもかかわらず日本で自ら死を選ぶ、選ぶより他ならない状況にある方々に少しでも多くの周囲の関わりや、必要な支援に繋げられるか、異変に気づける人を増やすことが大切だと感じました。他者との関わりが薄く、また、支え手が不足しているため、より広く普及が必要と思いました。ありがとうございました。
●映画「SAVING10,000」見てみます!周囲にも紹介したいです。詳細な統計データの元となっている複雑な資料をとても分かりやすく表にまとめて下さりありがとうございます。
●自殺者数は年々少なくなってきてるとはいえ、今も後追い自殺や若者の自殺者は減らない。そして北海道でも自殺が多い。私は「北海道を開拓してくれ」という遺言を祖父から託されているので、自分の住んでいる街だけでも、守りたいと思います。ストレスを溜めないようにするには、、、自分一人ではできないこともあるから。愛がほしい。
★講義『子どものSOSを大人が察知する方法と繋げ方』
(講師/自殺予防団体-SPbyMD- 会員 伊藤道明)●子どもの世界は大人が思っているより狭く、強大な力を持っていることが判りました。子どものことだから…と甘く見ずに大人がお節介を焼いてあげることが大事なんだなと思いました。
●心理の先生の視点のお話がとても参考になりました。ただ話を聴くだけではなく、それはカタルシスだと意識したり、相手に説明することも大事だと思いました。無意識への迫り方はいつも悩みます。自己防衛機制という心理的働きは感情のコントロールに必要だと思いましたが、過剰となると自殺の原因となり得るのかな?とも思いました。
●社会や大人の影響を強く受ける未成年者を、どれだけ地域や社会で守れるか。気軽に子どもに話しかけることが難しくなった現代(※「おはよう」と挨拶しただけで通報される事例多々)で、日頃から顔の見える関係性のある方々に「自殺」を身近なところで起きる物事と捉えてもらい、タブー視せずに対応・関わりが持てる地域づくりが大切と感じました。個々や専門機関との繋がりや、日頃の情報提供を大切にして、気づく視点を今後も学んで行きたいです。ありがとうございました。
●私も若い時、摂食障害を患ったことあるので、ダイエットしたい気持ち分かります。特に今はK-POPとかでスリムな女性が人気で、そういう影響もあるのでは?と思いました。思春期の「性」に関しては、今やネット等で間違った認識や知識が充満しているので、こういった講義で正しいことを言ってくれる大人が必要。認識を間違った大人がいるから、子ども間違った方向へ育つ。性に関しては学校等で今一度、正しいことを教えることが大切だと思う。そのためには伊藤さんのように専門家が、まず教師を対象に正しい「性」の認識を持ってもらうための研修をやって欲しいと思いました。
★講義『自殺未遂当事者から学ぶ自殺心理と支え方』
(講師/障害当事者団体ベクトルズ 会員 宮澤範生)●「言うと自殺の方向に追い込む危険性のある言葉(NGワード)」の中で「その程度なら大丈夫」「考えすぎだよ」「あなただけじゃないよ」を私も他者に言われて傷ついている自分に気がつくことができました。
●宮澤さんの当事者の事例として「そうなんだ!」と目からウロコなお話でした。ありがとうございました。死人に口なしという中で、宮澤さんの助かった命と現在の活動に応援します。フレーフレー!宮澤さーん!!
●大勢の前に出ることを大変と感じながらも本日は貴重な講演を頂きありがとうございました。家族が自殺しようとし、あの時どんな気持ちだったのかを本人に全てを訊くことはできませんでしたが、宮澤さんの講演にて当事者としての思いを聴くことができて、他者からの意見を押し付けず、本人の思いや話したい・やりたい気持ち・やりたくない意志を大切にしたいと思いました。
●宮澤さんは、これからも悩める若者の1人として、また患っている障害の正しい理解を一人でも多くの方々に語り伝え続けることが、宮澤さんのこれからの勇気や希望、そしてチカラになると思います。頑張ってください!そして、私の代役を務めてくれて、ありがとうございました!次回は、一緒に頑張りましょう!
★講義『希死念慮と自己肯定感に対する正しい認識』
(講師/障害当事者団体ベクトルズ 会員 宮澤範生)●当事者だからこその視点が学びになりました。私自身も重なる部分が多いので、分かるなあ…と思って聴いていました。きっとお話している以上にたくさんの苦しさと向き合ってこられたのかなと感じました。私も少しずつできるようにはなっていますが、重ね過ぎずにバウンダリーを引ける自分になりたいです。
●当事者の方からお話を聴くことができて非常に貴重な体験ができたと思います。自己肯定感を上げることは難しいですが、そこで周りが見捨てず何とか持ち直す方向に行けたら良いな…と考えました。当事者の心理状態がどうなのか、本人しかわからない事を聴くことができ、良い学びとなりました。自殺企図時の感情・気持ち・考え、実は夫も宮澤さんと同じような言葉を実際に発していたことを思い出しました。
●自己肯定感の低さに対して、どのようにしたら改善されていくのか知りたかったです。もしくは、カウンセリング等で地道に向き合うことしか方法はないのかとも思いました。
●人前に出るの苦手と言いつつも、わかってほしいという一心で、勇気を持って声をあげてお話してくれて、ありがとうございました。お疲れ様でした!宮澤さんにとって今の時代は生きづらい世の中だと思いますが、それでも悩み苦しみながらでも、一生懸命生きている今この時に「ありがとう」と声援を送ります。
★講義『こころの通う悩みの聴き方〈対話法〉』
(講師/日本対話法研究会 理事 内田貴之)●確認型応答と反応型応答を考えることに時間がかかるので、関係性を丁寧につくっていない段階の相手だと練習も難しく苦痛と感じました。「相手に何か言わなきゃ」「黙っていちゃダメだ」という焦りが先行してしまいました。ファシリテーションにおけるアイスブレイク的な、練習相手との関係性を深めるワークの導入を検討していただきたいです。しかし、〈対話法〉の練習を重ねていくうちに緊張がとけ、少しずつ話しやすくなりました。もっと練習をして傾聴力を上げたいです♪
●対話をしながら確認型応答と反応型応答とを意識的に切り替える練習は難しかったですが、面白く取り組むことができました。当事者の方に話しやすく、ご自身の気持ちに気づいてもらうことができる対話理論だと感じました。日頃、業務の中で多くの方と話を伺いますが、意識して対応していたつもりが、なかなか出来ないものだと思いました。相手の考えや思いをくみ取る姿勢を今後も心がけたいです。本当にありがとうございました。
●普段特に考えずに喋っている自分を痛感しました。確認型応答は意識していないと慣れていないうちは難しいですが、コミュニティセンター方法として非常に大切なことだと思いました。私は近所に住んでいた親戚のおばあちゃんを自殺で亡くしました。家族との間でもあまりそのことを話題に上げることはなくなりました(※本人のエピソードなどは話しますが「自殺」についてはあんまり…)。講習を終えた今、どういう思いだったのかをやっぱり聴いてみたいな、という気持ちになりました。既に亡くなっているため”たられば”の話ではありますが…。
●午前の部がかなり押してしまったことによって、当初90分間のところが60分間に短縮せざるを得なくなってしまったことで、講義内の練習時間・解説時間も省略しなければならなくなりましたね。いつもの講義と比べるとやっぱりちょっと物足りなさがあったかな?と感じました。私は〈対話法〉に苦手意識がまだ捨てきれませんが、今回は運良く、隣の方が話しやすい人だったので、練習も楽しかったです。確認型を学ぶと今度は反応型が難しくなってしまい、脳内がごっちゃになってしまいました。ペア練習をした隣の方とはお互いに興味深い話からスタートだったので、確認型・反応型に関係なく単なる会話をしてしまいましたが、途中から道を反れずに楽しく練習できたと思います。反応型から確認型へ切り替える練習は、ちょっと難しかった。でも楽しかったです。〈対話法〉について入門者向けに書かれた浅野良雄さん(※〈対話法〉考案者)の著書が5冊も売れて、みんな勉強する姿勢が素晴らしかったです!
★今後「フォローアップ研修」でやって欲しい要望●伊藤講師による「無意識へのアプローチ法」をリクエストします。
●講習内容とは無関係ですが、私も北海道情報大学の人間でした。世間せまいな〜と思いました♪
●何に対しても「やだ」「ムリ」といった否定の考えや発言ばかりで対話にならない相手との対話のコツを知りたいです。
●〈対話法〉の実践をとにかく続けたいです!参加されている方の体験なども聴いてみたいです。
以上が、抜粋した受講者アンケートです。
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【収入の部 計 61,500円】
・受講料 9,000円
・本売上 2,500円
・助成金 40,000円
・協賛金 10,000円
【支出の部 計 94,430円】
・会場費 6,270円
・宿泊費 28,750円
・交通費 2,510円
・車両費 15,180円
・観光費 2,000円
・集客費 36,639円
・雑出費 3,081円
【支出補填の部 計 35,430円】
(※収支見積時に赤字予想分を主催共催で経費負担したもの)
・自殺予防団体-SPbyMD- 16,090円
・障害当事者団体ベクトルズ 19,340円
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【各講義の時間割のズレ 当初の予定】
10:00「開演挨拶・オリエンテーション」
10:05「グラフで学ぶ若者自殺の深刻さ」
11:05「子どものSOSを大人が察知する方法と繋げ方」
11:25「昼休憩」
12:00「Onちーずミニライブ」
12:10「自殺未遂当事者から学ぶ自殺心理と支え方」
12:45「希死念慮と自己肯定感に対する正しい認識」
13:05「トイレ休憩」
13:15「こころの通う悩みの聴き方〈対話法〉」
14:45「集合写真撮影」
14:50「質疑応答」
15:10「閉演挨拶」
15:20「受講者からの活動PR」
15:30「アンケート用紙記入・書籍販売・講師との交流」
16:00「終了」
【各講義の時間割のズレ 実際】
10:00「開演挨拶・オリエンテーション」
10:05「グラフで学ぶ若者自殺の深刻さ」
11:00「子どものSOSを大人が察知する方法と繋げ方」
11:55「昼休憩」
12:20「Onちーずミニライブ」
12:30「自殺未遂当事者から学ぶ自殺心理と支え方」
13:05「希死念慮と自己肯定感に対する正しい認識」
13:25「トイレ休憩」
13:35「こころの通う悩みの聴き方〈対話法〉」
14:50「集合写真撮影」
14:55「質疑応答」
15:10「閉演挨拶」
15:20「アンケート用紙記入・書籍販売・講師との交流」
15:30「終了」
※「子どものSOSを大人が察知する方法と繋げ方」で大幅に押した
※「こころの通う悩みの聴き方〈対話法〉」を時間短縮した
※「受講者からの活動PR」を希望する方がいなかったため無し
※「アンケート用紙記入」を各講義の合間に自主的にやっていただけていたため短縮した
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以上、「GK新ひだか」の活動報告でした。
(執筆/自殺予防団体-SPbyMD- 事務局長 内田貴之)