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ようこそ信州まちづくり研究会へ
私たちは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンに行きエコヴィレッジとその要素であるコウハウジング、そして循環形社会のモデルを勉強しました。アメリカ、カナダでは,”サステイナブル・コミュニティ”の理念で創られた町と住宅地とデュレ夫妻が北欧から学び帰った”コウハウジング”を視察しました。そして今里山の資源活用研究と、「田舎暮らしコミュニティ」創りの推進を始めました。
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サステイナブル・コミュニティとアワニー原則[2012年01月29日(Sun)]

1.町づくりの理想

カルフォルニア州デービス市

「町づくり」という言葉の持つ内容は非常に大きく多岐にわたる。生活の質の向上であったり、文化づくりであったりする。他にもいろんな内容の「町づくり」があると思われるが、ここでは生活の場づくりとしての「町づくり」を考えている。この「町」という概念を高めていくとサスティナブル・コミュニティーにたどり着くと思う。

聞き慣れない「サスティナブル・コミュニティー」と言う言葉は、'86年にアメリカの建築家ピーター・カルソープが初めて使った言葉で、「半永久的に持続可能なコミュニティー」と言う意味である。この半永久的に持続可能というところに特徴がある。

自然環境をできるだけ損なわず、エネルギーを浪費せず、資源をリサイクルすることを考え、そこに住む人々が人間性豊かな生活が実現できる町。更に、現代技術を生かすだけではなく、伝統に根ざしたローカル技術も取り入れ、生活に必要な物が身近で揃えられ、車を使わなくても用が足せるようにコンパクトにデザインされている。何よりもそこの住人が、その町に住んでいることを誇りに思える、そんな町である。

サスティナブル・コミュニティーは設計者の意図によって幾つかのタイプがある。エコロジー面を強調した田園都市型、他地域との連携を意識した交通体系重視型、ニューアーバニズムタイプ、そして強いコミュニティづくりのためのアイデンティティに重点をおいたもの等がある。このほかにも規模により、都市との位置関係により、住む人により、連帯感の強弱により、いろんなタイプのサスティナブル・コミュニティーがあると思う。
 
自然との共生や人間性の涵養は、日本にとっても世界にとっても重要課題である。「家は人間をつくる場所である」ということはよく考えればあたりまえのことだが、今までないがしろにされてきたことである。最近の少年たちの何とも痛ましく恐ろしい犯罪は、コミュニティーの欠如による犯罪と言えるのではないだろうか。被害者同様、犯行を犯した少年たちもある意味では被害者であると言えるのではないだろうか。

もしサスティナブル・コミュニティーがつくれたならば、快適で健康的な生活が営まれ、子供たちものびのびと育ち、そこに建てられた家々は自然環境と調和し、よく管理され、何よりも大切にされ、結果として80年、100年経っても資産価値を失わないことになるだろう。その結果、物心両面にわたり本当に豊かな生活が実現するはずである。

一般の住宅でも、北米では80年、100年も経った家が実際に売買されている。そして、家が長持ちする環境にあり、大事にされているが故に、家に対する支出が日本より遙かに安くすんでいるのは事実である。他にも要因はあると思うが、その差が彼らの生活のレベルを高くしているのは間違いない。

サスティナブル・コミュニティーは更に高い付加価値を家とコミュニティーに付ける訳だから、より高い資産価値と、より豊かな家庭生活と人生を実現させてくれるに違いない。


2.アワニー原則

サスティナブル・コミュニティーの「サスティナビリティー」の定義は、「千年後でもこの地球の上で生きていけるような町づくりをし、千年後でもこの地球で生きていけるような生活をする」というものである。

更に「物質文明が進展する中で民主主義の礎であるコミュニティーが失われつつあるという反省にたって、そして将来に立ちはだかる資源の有限性や地球環境の維持という壁に気が付いて、新しい町づくりをはじめなければならない」ということである。

1991年の秋、カルフォルニア州にあるヨセミテ国立公園のホテル・アワニーに地方自治体の幹部が集まり、その会議で発表されたのが「アワニー原則」である。この原則を起草したのが、ピーター・カルソープ、マイケル・コルベットを含む志の高い新進気鋭の建築家6名であった。

彼らは80年前後から、自分たちの考えに基づいて新しい町を建設し、高い評価を受けるとともに、開発事業としても成功を収めていた。彼らの成功を見て、模倣した町が各地に造られるようになったが、彼らの目的や意図とは異なる不完全なコミュニティーが次々と出現した。この状況を見た彼らは、自分たちの意図する町づくりの全体像を明確にする必要性を痛感し、6人連名で町づくりにおいて遵守すべき諸原則をとりまとめた。これがアワニー原則である。

アワニー原則は、
@序言
Aコミュニティーの原則
Bコミュニティーを包含するリージョンの原則
C実現のための戦略
という4つの部分から構成されている。



1.序言(Preamble)
 
現在の都市及び郊外の開発パターンは、人々の生活の質に対して重 大な障害をもたらしている。従来の開発パターンは、以下のような現象をもたらしている。

・自動車への過度の依存によってもたらされる交通混雑と大気汚染
・誰もが利用できる貴重なオープンスペースの喪失
・延びきった道路網に対する多額の補修費の投入
・経済資源の不平等な配分
・コミュニティーに対する一体感の喪失

過去及び現在の最良の事例に依拠することによって、そのコミュニティーの中で生活し、働く人々のニーズにより明確に対応するようなコミュニティーをつくりだすことが可能である。そのようなコミュニティーをつくりだすためには、計画書策定の段階で以下のような原則を遵守することが必要である。


2.コミュニティーの原則
(Community principles)
 
すべてのコミュニティーは、住宅、商店、勤務先、学校、公園、公共施設など、住民の生活に不可欠なさまざまな施・活動拠点を合わせ持つような多機能で、統一感のあるものとして設計されなければならない。できるだけ多くの施設が、相互に気軽に歩いて行ける範囲内に位置するように設計しなければならない。

できるだけ多くの施設や活動拠点が、公共交通機関の駅・停留所に簡単に歩いて行ける距離内に整備されるべきである。

様々な経済レベルの人々や、様々な年齢の人々が、同じ一つのコミュニティー内に住むことができるように、コミュニティー内では様々なタイプの住宅が供給されるべきである。

新たにつくりだされるコミュニティーの場所や性格は、そのコミュニティーを包含する、より大きな交通ネットワークと調和のとれたものでなければならない。

コミュニティーは、商業活動、市民サービス、文化活動、レクリエーション活動などが集中的になされる中心地を保持しなければならない。

コミュニティーは、広場、緑地帯、公園などの用途の特定化された、誰もが利用できる、かなりの面積のオープンスペースを保持しなければならない。場所とデザインに工夫を凝らすことによって、オープンスペースの利用は促進される。

パブリックスペースは、日夜いつでも人々が興味を持って行きたがるような場所となるように設計されるべきである。

それぞれのコミュニティーや、いくつかのコミュニティーがまとまったより大きな地域は、農業のグリーンベルト、野生生物の生息環境などによって明確な境界を保持しなければならない。またこの境界は、開発行為の対象とならないようにしなければならない。

通り、歩行者用通路、自転車用自動車道路などのコミュニティー内の様々な道路は全体として、相互に気密なネットワークを保持し、かつ興味をそそられるようなルートを提供するような道路システムを形成する物でなければならない。それらの道は、建物、木々街灯など周囲の環境に工夫を凝らし、また、自動車利用を減退させるような小さく細かいものであることによって、徒歩や、自転車の利用が促進されるようなものでなければならない。

コミュニティーの建設前から敷地内に存在していた、天然の地形、排水、植生などは、コミュニティー内のグリーンベルトの中をはじめとして、可能な限り元の自然のままの形でコミュニティー内に保存されるべきである。

すべてのコミュニティーは、資源を節約し、廃棄物が最小限になるように設計されるべきである。自然の排水利用、干ばつに強い地勢の造形、水のリサイクリングの実施などを通して、すべてのコミュニティーは水の効果的な利用を追求しなければならない。

エネルギー節約型のコミュニティーをつくりだすために、通りの方向性、建物の配置、日陰の活用などに充分な工夫を凝らすべきである。


3.コミュニティーを包含するリージョンの原則
(Regional principles)
 
地域の土地利用計画は、従来は自動車専用の高速道路との統合性が第一に考えられてきたがこれからは、公共交通路線を中心とする大規模な交通輸送ネットワークとの統合性がまず第一に考えられなければならない。

地域は、自然条件によって決定されるグリーンベルトや野生生息の生息境界などの形で、他の地域との境界線を保持し、かつこの境界線を常に維持していかなければならない。

市庁舎やスタジアム、博物館などのような地域の中心的施設は、都市の中心部に位置していなければならない。

その地域の歴史、文化、気候に対応し、その地域の独自性が表現され、またそれが強化されるような建設方法および資材を使用するべきである。


4.実現のための戦略(Implementation strategy) 

全体計画は、前述の諸原則に従い、状況の変化に対応して常に柔軟に改訂されるべき物である。 特定の開発業者が主導権を握ったり、地域のそれぞれの部分部分が地域全体との統合性もないままに乱開発されることを防ぐために、地元の地方公共団体は、開発の全計画が策定される際の適正な計画策定プロセスの保持に責任を負うべきである。全体計画では、新規の開発、人口の流入、土地再開発などが許容される場所が明確に示されなければならない。

開発事業が実施される前に、上記諸原則に基づいた詳細な計画が策定されていなければならない。詳細な計画が策定されることによって、事業が順調に進歩していくことが可能となる。

計画の策定プロセスには誰でも参加できるようにするとともに、計画策定への参加者に対しては、プロジェクトに対する様々な提案が視覚的に理解できるような資料が提供されるべきである。

文責:安江高亮

<参考図書>
 川村健一著「サステイナブル・コミュニティ」
この記事のURL
https://blog.canpan.info/smk/archive/60
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