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私たちは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンに行きエコヴィレッジとその要素であるコウハウジング、そして循環形社会のモデルを勉強しました。アメリカ、カナダでは,”サステイナブル・コミュニティ”の理念で創られた町と住宅地とデュレ夫妻が北欧から学び帰った”コウハウジング”を視察しました。そして今里山の資源活用研究と、「田舎暮らしコミュニティ」創りの推進を始めました。
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コウノトリが問いかけるもの[2013年10月30日(Wed)]

国特別天然記念物コウノトリが今年9月29日上田市の姉妹都市・兵庫県豊岡市(出石町)から上田市塩田平の溜池に舞い降りました。

1706年に上田藩主の仙石政明が出石城にお国替えになって以来307年ぶりの里帰りだと地元の人々は驚き喜んでいます。松枯れ防止運動で活動しているヤマンバの会事務局長村山隆氏がこの奇跡のできごとを東信ジャーナルに投稿しました。村山氏からいただいたメール添付の記事を読んで感動致しました。すばらしいので転載させて頂きました。

まずメールの挨拶文を。
続いて投稿の文章を上・中・下の順序で掲載いたします。

関係のある皆々様方へ

 拝啓 日頃、お世話になっております。地域に依拠して生活しておりますと、しばしばドラマティクな出来事に見舞われることがあります。今回の事象は考えれば考えるほどに奇跡的だと思えてくるのです。

そんな「件」を地元の新聞社に投稿し、全文掲載されましたのでお気軽にお目通し下さい。…久々に執筆中も胸が高鳴ってきました。こんな経験はそうあるものではないと自分自身で思いました。まあ、自由にお読み下さい。

地元ではこの話題でもちきり、その中でこの文章は読まれて、少なくない感想が私にも届いております。上田市長が兵庫県豊岡市でのお祭りに招待され、「写真」と「掲載文」を持参するとの連絡が市役所から入りました。何はともあれ、良いことが広がることは嬉しい限りです。この事件は、私たちの「環境世紀の行く末」を暗示しているようです。
敬具


2013年10月30日 信州上田市塩田平住民 村山 隆



姉妹都市・兵庫県豊岡市(出石町)から上田市に飛来
コウノトリが問いかけるもの

【上】上田藩からお国替えの仙石氏が保護
 
307年ぶりの回帰


何もかも閉塞感のある時代状況の中、国特別天然記念物のコウノトリ1羽が上田市に飛来した事実を知り、目の前に光が射し込めたように感じました。兵庫県豊岡市から遥か何百キロ、幾多の山河を超えて信州上田に辿り着いた軌跡に思いをめぐらせ、私は「良くぞ、御無事で舞い降りて下された!」と感慨無量になりました。

一昨年5月に巣立った雌鳥は、今年9月14日頃に豊岡を飛び立ち、29日に到着したらしいので、約半月かけての飛翔旅でした。おりも折、「姉妹都市」の信州上田の地に舞い降りたわけですから、これはもう奇跡だと思わざるを得ません。

姉妹都市・豊岡市(出石町)との因縁は、宝永3年(1706)に上田藩主の仙石政明が但馬国出石城にお国替えになり、出石藩主の松平忠周が上田城に入封したことに始まります。この際に交替・交流が様々なされましたが、その代表格の「出石そば」は、信州上田の蕎麦職人が伝えた技法として広く知られています。

だが、実はそればかりではないのです!今や世界に注目されている『コウノトリと共生する豊岡市の野生復帰への挑戦』のルーツの所に、信州上田から転勤した仙石様が深く関与していたのです。私はこの事情を6年前の第32回「地域と教育の会」兵庫但馬大会(2007年夏)で知って非常に驚きました。日本の中で、何故に「コウノトリ保護運動」が兵庫県豊岡市で興ったのか納得できたのです。

信州上田から但馬の出石に移った仙石様はコウノトリの多さに驚いたはずです。この鳥は吉兆を表わしますが、当時は百姓から田植え後の苗を踏み荒らす「害鳥」として嫌われていたようなのです。

記録によると延享元年(1744)、三代藩主の仙石政振(まさとき)公がコウノトリを捕獲し家臣たちに振舞ったとあります(『仙石家譜』)。また、天保7年(1836)の『御用部屋日記』には出石藩主がコウノトリを飼育していたとの記述があります。

更に、七代藩主の仙石久利(ひさとし)公は、藩内の桜尾山に営巣するコウノトリを瑞鳥と喜び、「鶴山」と名付け禁猟区にして保護を加えました。

この仙石様のコウノトリ保護政策が、それ以後も継承され、後々には日露戦争の勝利と相まって、繁殖は吉兆であるとする「瑞鳥ブーム」(明治37年)が巻き起こりました。そして大正10年(1921)に、繁殖地の出石「鶴山」が名勝天然記念物に指定されるに至りました。

この様に豊岡のコウノトリ保護の大本に歴代の仙石様の思い入れがありますので、今度の飛来は将に「里帰り」でした。これは又、307年ぶりの「回帰」だとも言えます。


【中】塩田平の溜め池の価値を再認識

コウノトリが舞い降りたのが塩田平の溜め池(「北の入池」と「舌喰池」)でした。きっと、餌が豊富で安心できる場所だったのでしょう。降下した「北の入池」の直ぐ北東に「名勝・鴻の巣」があるので偶然とは思えません。

しかも、「第1回信州うえだ塩田平ため池フェスティバル」(7・14,15)が成功裏に終えた後に会場であった「舌喰池」に飛来したのですから極めて象徴的です。飛来コウノトリは「塩田平の溜め池の価値」を尚一層、私たちに教えてくれました。

恐らく「近代農法」以前の塩田平にはコウノトリが頻繁に飛来し、村人たちと共存していたはずです。私宅の裏山の下之郷東山には「鶴の沢」と愛称される谷さえあるからです。

今、私は鮮明な記憶があります! それは55年前の小学生の時分、下校途中に唐臼山の松の頂に大きな白い鳥が止まっているのを目撃。近づくと、ゆったりと大きな羽を広げて上空に逃げ去りました。翼の先端が黒かったので「何だ、鶴じゃないのか」と失望した覚えがあります。あれはどうも、紛れもないコウノトリだったと思うのです。

日本野鳥の会の方は、「ここ30年、上田市でコウノトリが確認されていない!」と言いますので、それ以前には度々飛来し、私が目撃した鳥はコウノトリの可能性が高いのです。

因みに、但馬地方ではコウノトリ(鸛)をツル(鶴)と呼ぶのが一般的で、全国的にも混同されている例が多いのだそうです。

余りに蓋然性の高い今回の飛来は、私たち信州上田にどんな「赤児」を運んで来たのでしょうか?この事件を契機にして、改めて『自然と共生した地域づくり』を考えた人は、私だけではないと思います。

何と言っても塩田平の溜め池に舞い降りたので、まだまだ地域の「自然」が健在であることを物語っています。ですから、もうこれ以上、「里山景観」を破壊する愚挙を戒めたいものです。全国的に注目された「予防原則」を貫いて、里山への空中散布を中止させた上田市行政の英断・快挙は、コウノトリの飛来を促したようで継続させたい施策です。


【下】近代農法見直し「有機の郷 塩田平」へ

ここで私は、コウノトリ飛来に触発されて若干の提言をしてみます。結論を言えば、『コウノトリが常時飛来し、生息可能な地域づくり』を目標に置くということです。こういう自然が豊かで、コウノトリと共に生きられる社会は、私たちにとっても安全・充実した生活が永続的に保障される地域でもあるのです。

具体的には、《コウノトリ飛来可能な有機の郷・信州上田塩田平》を掲げたいのです。この為には、必然的に「近代農法」の見直しが問われ、地域に根ざした新たな創造的仕組みづくりが必要です。私は、最近の塩田平における有機農業への関心の高まりや、熱心な有機農民の存在などから、諸条件は既に備わっていると確信します。

それに立脚して、自然にやさしい「農法」については創意工夫が必要ですが、先発地「豊岡市の地域づくり」を謙虚に学ぶことから創めたらと思います。それが姉妹都市との真の友好・連携であり、コウノトリが信州上田に運んで来た「赤児」なのだと思います。

最後に俄かには信じられない事実を紹介したいと思います。私たち「ヤマンバの会」は今夏、「地域と教育の会」と共催で、『地域づくりと教育を考える信州上田大会』を地元の方々の御援助を頂き企画・成功させました。

この民間教育研究団体の前代表の森垣修先生は豊岡市の方で、地域教育で全国的に高名な教育者です。先生は信州上田大会を気に掛けておられましたが、昨年に惜しくも旅立たれました。私には、その故森垣先生の魂がコウノトリに乗って、上田大会を見届けに訪れたのではないかと思えてならないのです。

豊岡を飛び立ったのは9月14日で、それは丁度、大会初日でした。そんな偶然の重なり合いを知るにつけ、これは必然だと思えてくるのです。地域と教育の会が目指す「自然と人間、人間と人間のあるべき関係」を求めて、足元で真摯に実践することを誓って筆を置きます。

(「地域と教育の会」共同代表/2013・10・10記)
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