【解説】公選法改正のポイントとLM型公開討論会について
[2007年03月09日(Fri)]
【07/03/09ポイント解説】
公職選挙法改正のポイントと
ローカル・マニフェスト型公開討論会について
■公職選挙法改正(H19.2.21改正)のポイント
・H19.4.8の統一地方選から、首長選挙において、 告示後のビラの配布が可能になります。
ビラは、A4裏表(二つ折り可)までのサイズで2種類以内。
枚数に上限があります。
(知事選:10〜30万枚、政令市長選:7万枚、一般市区長選:16,000枚、町村長選:5,000枚)
顔写真、名前、公約などを記載できます。=マニフェストとして使用可能。
・告示前は配布できません。
・配布場所は、選挙事務所、個人演説会会場、街頭演説の場所、新聞折り込みなどに限られます。
(街頭配布、郵送、ポスティング等は禁止です。)
・ホームページにこのビラを掲載することはできません。
・地方議員選挙には認められません。
Q:これまではどうなっていたのですか?
A:これまでの地方選挙では、告示後に選挙運動として配布できる文書(文書図画(ぶんしょとが))
として認められていたのは、ハガキだけでした。これに上記のビラが追加されました。
なお、国政選挙の通常選挙では、さらに政党における冊子の配布が認められています。
Q:冊子のローカル・マニフェストはどうなるのですか?
A:冊子のローカル・マニフェストは、選挙運動のために配布することができません。
そこで、これまでも、「選挙を特定しない、投票依頼をしない」といった条件を守ることで、
選挙運動の文書ではなく、政治活動の政策討議資料として、冊子のローカル・マニフェストが
作成されてきました。このような条件を守った冊子のローカル・マニフェストであれば、
これまでどおり配布することができます。
Q:これまでのいわゆる「法定ビラ」とはどこが違うのですか?
A:これまでのいわゆる「法定ビラ」は、選挙運動の文書ではなく、政治活動の文書として
認められていました。したがって、これまでの「法定ビラ」には、顔写真や氏名等の掲載が
できませんでした。今回の公職選挙法の改正によって、これまでの「法定ビラ」に加えて、
あらたに顔写真、名前、公約などを記載した選挙運動用のビラが使用できるようになりました。
Q:公職選挙法の中で、「ローカル・マニフェスト=ビラ」と規定されたのですか?
A:いいえ、そうではありません。法律で「ローカル・マニフェスト=ビラ」と規定され、
ビラが認められた一方で、ビラ以外のすべてのローカル・マニフェストが禁止された
と思われている場合がありますが、そうではありません。
法律の中に、「マニフェスト」「ローカル・マニフェスト」の規定があるわけではありません。
公職選挙法が制限しているのは、選挙運動の文書です。選挙運動の文書としては、
定められたビラ以外のローカル・マニフェストを配ることはできません。
しかし、政治活動の文書としてのローカル・マニフェストは、これまでどおり配布する
ことができます。
■ローカル・マニフェスト型公開討論会について
Q:「ローカル・マニフェスト型公開討論会」とは何ですか?
従来型の公開討論会と何が違うのですか?
A:「ローカル・マニフェスト型公開討論会」とは、ローカル・マニフェストをもとに討論を
行う形式の公開討論会です。従来型の公開討論会は、決められたテーマについて、
決められた時間で、出演者が順番に、一方的に演説する形が一般的でした。
「ローカル・マニフェスト型公開討論会」では、ローカル・マニフェストをもとに、
各出演者が政策の中身を具体的に述べ合い、コーディネーターが論点を整理
しながら、参加者に政策の違いをわかりやすく伝える点が特徴です。
また、コーディネーターが各政策の実現性や有効性をチェックしていく点も
重要なポイントです。これらの立候補表明者とコーディネーターのやり取りが、
事後の達成度の検証にもつながっていきます。
Q:公職選挙法の改正で、ローカル・マニフェスト型公開討論会は
違法になったのではないですか?
A:いいえ、そうではありません。ローカル・マニフェスト型公開討論会は、
告示前と告示後で分けて考える必要がありますが、いずれも合法的に開催が可能です。
告示前に行うローカル・マニフェスト型公開討論会では、選挙運動の文書
としてのローカル・マニフェストは配布できません。しかし、あくまでも政治活動の
文書としての政策討議資料を使用して行えば、合法的に開催することができます。
これには主に2つの方法があります。一つは、選挙運動性のない冊子やビラを
配布する方法です。もう一つは、政策を具体的に書き込める統一書式をあらかじめ
用意し、出演者にその書式に沿って政策を記入してもらったものを配布する方法です。
これらの2つの方法は、個人的な政治信条を述べたものを配布するという点で、
公職選挙法をクリアしています。このようなローカル・マニフェスト型公開討論会は、
全国30か所以上で開催された実績があります。
一方、告示後に行うローカル・マニフェスト型公開討論会は、合同個人演説会方式で
行います。この場合は、今回の公職選挙法の改正で認められたビラを配布して
実施することが可能です。
■地方議員選挙との関係について
Q:地方議員選挙では、ローカル・マニフェスト型公開討論会は
開催できないのではないですか?
A:いいえ、そうではありません。地方議員選挙においても、参加者の前で、
各立候補表明者が政策について具体的に述べ合うことは重要であり、必要です。
今回の公職選挙法の改正では、首長選挙に限って、ビラの配布が認められました。
地方議員選挙においては、ビラを配布することはできません。
しかし、ローカル・マニフェスト型公開討論会は、選挙運動の文書(ビラ)を配布する
のではなく、政治活動の文書としての政策討議資料を使用して行う討論会です。
したがって、地方議員選挙においても、合法的に開催することができます。
Q:地方議会には予算編成権、執行権がないため、地方議員には
ローカル・マニフェストは書けないのではないですか?
A:地方議会には議決権、条例制定権があります。政策を実行するのは
首長・執行部の役割ですが、政策を決定するのは地方議会の役割です。さらに、
政策の立案と提案は、首長・執行部のみならず地方議会も行うことができます。
地方議会は政策に対する明確な責任を負っています。
地方議員も、政策に対する考え、スタンスを明確に示すべきです。
地域の細かなニーズを掘り起こして政策につなげたり、議員提案による条例制定を
行ったりすることへの期待も高まっており、地方議員が具体的な政策を提示する
必要性は高いといえます。
ただし、議会は合議制であるため、多数派を形成しなければ実現が難しい面
があります。そこで、特に個人や少数会派でローカル・マニフェストを作成する
場合には、実現に向けたプロセスを明らかにすることに留意する必要があります。
また、事後に達成度を検証する際にも、目標達成に向けていかに活動をしたか、
というプロセスに対する評価も重視されることになります。
→ファイルはこちらから
公職選挙法改正のポイントと
ローカル・マニフェスト型公開討論会について
■公職選挙法改正(H19.2.21改正)のポイント
・H19.4.8の統一地方選から、首長選挙において、 告示後のビラの配布が可能になります。
ビラは、A4裏表(二つ折り可)までのサイズで2種類以内。
枚数に上限があります。
(知事選:10〜30万枚、政令市長選:7万枚、一般市区長選:16,000枚、町村長選:5,000枚)
顔写真、名前、公約などを記載できます。=マニフェストとして使用可能。
・告示前は配布できません。
・配布場所は、選挙事務所、個人演説会会場、街頭演説の場所、新聞折り込みなどに限られます。
(街頭配布、郵送、ポスティング等は禁止です。)
・ホームページにこのビラを掲載することはできません。
・地方議員選挙には認められません。
Q:これまではどうなっていたのですか?
A:これまでの地方選挙では、告示後に選挙運動として配布できる文書(文書図画(ぶんしょとが))
として認められていたのは、ハガキだけでした。これに上記のビラが追加されました。
なお、国政選挙の通常選挙では、さらに政党における冊子の配布が認められています。
Q:冊子のローカル・マニフェストはどうなるのですか?
A:冊子のローカル・マニフェストは、選挙運動のために配布することができません。
そこで、これまでも、「選挙を特定しない、投票依頼をしない」といった条件を守ることで、
選挙運動の文書ではなく、政治活動の政策討議資料として、冊子のローカル・マニフェストが
作成されてきました。このような条件を守った冊子のローカル・マニフェストであれば、
これまでどおり配布することができます。
Q:これまでのいわゆる「法定ビラ」とはどこが違うのですか?
A:これまでのいわゆる「法定ビラ」は、選挙運動の文書ではなく、政治活動の文書として
認められていました。したがって、これまでの「法定ビラ」には、顔写真や氏名等の掲載が
できませんでした。今回の公職選挙法の改正によって、これまでの「法定ビラ」に加えて、
あらたに顔写真、名前、公約などを記載した選挙運動用のビラが使用できるようになりました。
Q:公職選挙法の中で、「ローカル・マニフェスト=ビラ」と規定されたのですか?
A:いいえ、そうではありません。法律で「ローカル・マニフェスト=ビラ」と規定され、
ビラが認められた一方で、ビラ以外のすべてのローカル・マニフェストが禁止された
と思われている場合がありますが、そうではありません。
法律の中に、「マニフェスト」「ローカル・マニフェスト」の規定があるわけではありません。
公職選挙法が制限しているのは、選挙運動の文書です。選挙運動の文書としては、
定められたビラ以外のローカル・マニフェストを配ることはできません。
しかし、政治活動の文書としてのローカル・マニフェストは、これまでどおり配布する
ことができます。
■ローカル・マニフェスト型公開討論会について
Q:「ローカル・マニフェスト型公開討論会」とは何ですか?
従来型の公開討論会と何が違うのですか?
A:「ローカル・マニフェスト型公開討論会」とは、ローカル・マニフェストをもとに討論を
行う形式の公開討論会です。従来型の公開討論会は、決められたテーマについて、
決められた時間で、出演者が順番に、一方的に演説する形が一般的でした。
「ローカル・マニフェスト型公開討論会」では、ローカル・マニフェストをもとに、
各出演者が政策の中身を具体的に述べ合い、コーディネーターが論点を整理
しながら、参加者に政策の違いをわかりやすく伝える点が特徴です。
また、コーディネーターが各政策の実現性や有効性をチェックしていく点も
重要なポイントです。これらの立候補表明者とコーディネーターのやり取りが、
事後の達成度の検証にもつながっていきます。
Q:公職選挙法の改正で、ローカル・マニフェスト型公開討論会は
違法になったのではないですか?
A:いいえ、そうではありません。ローカル・マニフェスト型公開討論会は、
告示前と告示後で分けて考える必要がありますが、いずれも合法的に開催が可能です。
告示前に行うローカル・マニフェスト型公開討論会では、選挙運動の文書
としてのローカル・マニフェストは配布できません。しかし、あくまでも政治活動の
文書としての政策討議資料を使用して行えば、合法的に開催することができます。
これには主に2つの方法があります。一つは、選挙運動性のない冊子やビラを
配布する方法です。もう一つは、政策を具体的に書き込める統一書式をあらかじめ
用意し、出演者にその書式に沿って政策を記入してもらったものを配布する方法です。
これらの2つの方法は、個人的な政治信条を述べたものを配布するという点で、
公職選挙法をクリアしています。このようなローカル・マニフェスト型公開討論会は、
全国30か所以上で開催された実績があります。
一方、告示後に行うローカル・マニフェスト型公開討論会は、合同個人演説会方式で
行います。この場合は、今回の公職選挙法の改正で認められたビラを配布して
実施することが可能です。
■地方議員選挙との関係について
Q:地方議員選挙では、ローカル・マニフェスト型公開討論会は
開催できないのではないですか?
A:いいえ、そうではありません。地方議員選挙においても、参加者の前で、
各立候補表明者が政策について具体的に述べ合うことは重要であり、必要です。
今回の公職選挙法の改正では、首長選挙に限って、ビラの配布が認められました。
地方議員選挙においては、ビラを配布することはできません。
しかし、ローカル・マニフェスト型公開討論会は、選挙運動の文書(ビラ)を配布する
のではなく、政治活動の文書としての政策討議資料を使用して行う討論会です。
したがって、地方議員選挙においても、合法的に開催することができます。
Q:地方議会には予算編成権、執行権がないため、地方議員には
ローカル・マニフェストは書けないのではないですか?
A:地方議会には議決権、条例制定権があります。政策を実行するのは
首長・執行部の役割ですが、政策を決定するのは地方議会の役割です。さらに、
政策の立案と提案は、首長・執行部のみならず地方議会も行うことができます。
地方議会は政策に対する明確な責任を負っています。
地方議員も、政策に対する考え、スタンスを明確に示すべきです。
地域の細かなニーズを掘り起こして政策につなげたり、議員提案による条例制定を
行ったりすることへの期待も高まっており、地方議員が具体的な政策を提示する
必要性は高いといえます。
ただし、議会は合議制であるため、多数派を形成しなければ実現が難しい面
があります。そこで、特に個人や少数会派でローカル・マニフェストを作成する
場合には、実現に向けたプロセスを明らかにすることに留意する必要があります。
また、事後に達成度を検証する際にも、目標達成に向けていかに活動をしたか、
というプロセスに対する評価も重視されることになります。
(埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 西尾真治)
→ファイルはこちらから
![]() 070307point.pdf |