第5回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料) [2025年05月31日(Sat)]
第5回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料)(令和7年5月9日)
議題. ・障害者雇用率制度等の在り方について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57674.html ◎資料1:事務局説明資料 障害者雇用率制度等の在り方について: 常用労働者数が100人以下の事業主への障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲の拡大 令和7年5月9日 厚生労働省職業安定局 ○これまでの制度・議論の経緯│ 制度・議論の変遷→「昭和51年(納付金制度創設時)」「平成20年法改正(100人超300人未満の企業に納付金制度導入)時」「令和4年法改正時の議論: 100人以下の企業における法定雇用率達成企業割合の改善状況等を踏まえるなど、一定の雇用環境が整った場合に 検討すべきとの意見があった。」 参照のこと。 ○障害者雇用納付金制度の適用範囲について→適用範囲を設けた趣旨、適用範囲の変遷 参照のこと。 ○これまでの制度・議論の経緯│ 本研究会の関係者ヒアリングにおいて出された意見→4意見あり。• 納付金制度が雇用率制度と対を成すこと、これまでも納付金義務の適用により障害者雇用が促進されてきたこ と、100人以下の事業所でも良い環境で働いている方がいること、法定雇用率の対象事業所の規模が縮小して いることを踏まえれば、納付義務の適用範囲を拡大すべき。 ○これまでの制度・議論の経緯│ 本研究会において構成員から出された意見→4意見あり。• 強引に障害者雇用を進めるのではなく、個別の事情に応じて、きめ細やかな支援が重要。支援とセットで納付金 制度の適用を行うことが必要であり、令和6年度に開始した障害者雇用相談援助事業の進捗状況も確認しな がら検討していくことが必要。 ○100人以下企業の雇用状況│ 企業規模別実雇用率・達成企業割合推移→•実雇用率については、令和6年6月1日現在で、常用労働者数が100人未満の企業が他の企業規模と比して最も低くなっているものの、 全体として増加傾向にある。 •法定雇用率達成企業割合については、常用労働者数が100人未満企業の達成割合は企業規模全体を下回るものの、現在納付金義務が 課せられている300〜500人未満企業や500〜1,000人未満企業と同水準かそれを上回る割合となっている。 ○100人以下企業の雇用状況│ 令和3年検討時以降の雇用状況→• 令和3年以降の常用労働者数が100人未満企業における実雇用率は、令和6年までの4年間で0.15%ポイント増加。 • これまで1人も障害者を雇用していないいわゆる「障害者雇用ゼロ企業」の割合は、令和3年から、法定雇用率改定前の令和5年までで 1.8%ポイント低下。 • 法定雇用率達成企業割合は、雇用率改定前の令和5年までで2.0%ポイント増加。 ○中小企業への支援制度・環境│ 中小企業向けの主な支援施策のまとめ→• 中小企業での取組の遅れの課題を踏まえ、ハローワークでの支援や中小企業等への助成金、障害者雇用相談援助助成金、事業協同組合等 算定特例等、中小企業や障害者雇用ゼロ企業に対して、重点的な支援施策を実施⇒A・B・C・D施策 参照のこと。 ○中小企業への支援制度・環境│Aハローワークでの支援の概要→•ハローワークは、障害者雇用促進法に基づく職業リハビリテーション機関として、障害者に対する専門的な職業相談・職業紹介や、就職後の定 着支援等を行っている。 •また、事業主に対しては、障害者雇用状況報告に基づく雇用率達成指導を行うとともに、各種助成金制度も活用しながら、雇入れに向けた支 援や、継続雇用の支援等を行っている。 •いずれにおいても、地域の関係機関と連携し、必要に応じて支援チームを結成して取り組んでいる。 ○中小企業への支援制度・環境│A ハローワークでの中小企業への支援事例→•ハローワークにおいて、職員を中心に障害者雇用への取組を実施した結果、雇用率未達成の状態から障害者雇用に関する課題の解決や新た な職域の開発などにより、雇用率達成につながった事例あり。 •100人以下企業でも、実際に障害者を1人も雇用していなかった企業が、ハローワーク等の働きかけにより、障害者の雇用につながり、法定雇 用率の達成に至っている事例もある。⇒事例1A社、事例2B社 参照のこと。⇒いずれも雇用義務達成。 ○中小企業への支援制度・環境│A ハローワーク等における企業向けチーム支援の概要→障害者の雇用経験や雇用ノウハウが不足している雇用ゼロ企業に対して、ハローワークが中心となって各種支援機関と連携し、企業ごとのニーズに合わ せて、求人ニーズに適合した求職者の開拓等の準備段階から採用後の定着支援まで障害者雇用を一貫して支援する。⇒2事業の概要・スキーム・実施主体等、3事業実績 参照。 ○中小企業への支援制度・環境│A ハローワーク等における企業向けチーム支援の実績→•企業向けチーム支援の実施件数は、令和5年度で4,860件(うち新規雇用した企業は52.6%)で、平成30年度の1,165件から4.2倍に 増加。 •その中でも100人以下ゼロ企業においては、令和5年度の実績が1,334件で、うち新規雇用企業は23.8%であった。 ○中小企業への支援制度・環境│ B中小企業等への助成金の種類及びその金額→企業規模別に支給額を設定している助成金一覧 参照。 ○中小企業への支援制度・環境│C 障害者雇用相談援助事業の内容と実績→全体的な事業の流れ、支給額等、障害者雇用相談援助事業の実績(令和6年4月~令和7年3月)参照。 ○中小企業への支援制度・環境│C 障害者雇用相談援助事業の利用状況(2/2) →<障害者雇用相談援助事業利用事業主からのアンケート結果(求人提出後)> 参照。 ○中小企業への支援制度・環境│C 障害者雇用相談援助事業の利用事例(3/3) ・事例@A社(医療機器商社、従業員48名、東京都)→月1回程度訪問×9か月間の一気通貫・細やかな支援によって、初めての障害者雇用につながった事例 ・事例AB社(福祉・介護事業、従業員約70名、福岡県)→動画視聴等による社員の理解醸成や、働き方への助言によって、定着の課題に取り組んでいる事例 ・事例BC社(卸売業、従業員約100名、福岡県)→日々の細かな相談や他企業の見学等の支援によって、障害者雇用の認識が変化し、人材活用できている事例 ○中小企業への支援制度・環境│D 事業協同組合等算定特例制度→•中小企業が事業協同組合等を活用して共同事業を行い、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の認定を受けたものについて、その事業協同組合等とその組合員である中小企業(特定事業主)における実雇用率を通算することができる⇒特定事業主の要件、事業協同組合等の要件 参照。 ○中小企業への支援制度・環境│D 事業協同組合等算定特例の実績→事業協同組合等算定特例の認定組合数は、平成23年度の1件から、令和6年度は9件まで増加。 ○中小企業への支援制度・環境│ (参考)中小企業を取り巻く経済状況→•中小企業景況調査における企業規模別の業況判断DIの推移を見ると、令和5年第2四半期における中小企業における景況認識は、平 成6年以降過去最高水準となっている。第3四半期・第4四半期ではわずかに悪化しているものの高い水準を維持 •法人企業統計調査季報における企業規模別の売上高推移をみると、中小企業の売上高は、令和3年第1四半期を底として増加傾向にある。 ○納付金制度適用による雇用促進効果→•障害者雇用納付金について、200人超300人以下の企業については平成22年度から、100人超200人以下の企業については平成27年度 から、それぞれ納付金納付義務の対象に拡大している。 •これらの企業規模においては、特に納付金納付義務の対象拡大の時期の直前期に、納付義務のかからない100人以下の企業等と比べると、 実雇用率、法定雇用率達成割合がより改善する傾向が見られた。 ○論点→雇用義務の対象ではあるものの、暫定措置として納付金制度の適用からは除外されている常用労働者数が 100人以下の事業主について、納付金納付義務の対象とすることをどう考えるか。↓ ・ 常用労働者数が100人未満の企業においては、達成企業の割合が半数を下回り、かつ長期的に見ると改善 傾向が乏しい状態が続いていることから、障害者雇用の更なる促進が求められている。 ・ 100人以下の企業を含む中小企業の障害者雇用を支援する施策も拡充・強化されていることも踏まえ、こうし た状態の改善や企業間の公平性の確保の観点から、これら100人以下の企業についても納付金の納付義務の 対象とすることについてどう考えるか。 ・ 一方、100人以下企業の中でも企業規模が小さい企業ほど雇用に係る負担が大きいと考えられるところ、次期 改正において、100人以下企業全体 に納付金納付義務を拡大することをどのように考えるか。 ・ また、平成20年法改正時に、300人以下企業に納付金納付義務の適用拡大を行った際には、企業規模及 び納付金額の経過措置を設けたが、今回経過措置を設けることについてどのように考えるか。 ※なお、納付金及び調整金の対象となる企業数は約6.5万社で、現在当該企業規模で雇用されている障害者数 は約7.8万人(詳細は次頁)。 ○(参考)新たに納付金制度の対象となる企業数等→•納付金制度の対象を100人以下企業に拡大した場合、新たに約6.5万社・約7.8万人の障害者が対象となると想定される。 •納付金財政としては、未達成企業からの納付金収入の増加と、報奨金から調整金に代わることによる調整金支出の増加が想定される。 ○(参考)100人未満企業の法定雇用障害者の過不足別の企業数→• 100人未満の企業のうち、3.6万社(55.7%)は障害者の雇用数が不足しており、1.3万社(20.4%)は過不足なし、1.5万社 (23.9%)は法定雇用義務を超えて障害者雇用に取り組んでいる。 ○(参考)障害者雇用納付金制度→•全ての事業主は、社会連帯の理念に基づき、障害者に雇用の場を提供する共同の責務を有する。 •障害者の雇用に伴う経済的負担を調整するとともに、障害者を雇用する事業主に対する助成・援助を行うため、事業主の共同拠出による納付金制 度を整備。⇒・雇用率未達成企業(常用労働者100人超)から納付金(不足1人当たり月5万円)を徴収。 ・雇用率達成企業に対して調整金(超過1人当たり原則月額2万9千円)・報奨金を支給。 ◎参考資料1:これまで構成員から出された意見 (今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会) 今後の議論の円滑化及び明確化に資する観点から、第1回(令和6年12月3日)から第4回(令和7年4月14日) までの本研究会において、構成員から出された意見等を、事務局において整理した。 【障害者雇用の質について】↓ ・雇用の質の評価の必要性→4意見。・ 雇用の質を図る客観的指標が必要。例えば障害者活躍推進計画の進捗を図る満足度調査のような調査を民間部門でも定期的に行い、 質の向上の客観的指標とすることや「もにす認定」を援用すること、定着率を向上させていくために必要なこと、働いている障害者が 感じる質の内容を指標とすることも一案。 ・既存施策等の運用の改善による質の向上→1意見。・ 雇用の質の向上には、適切な職業訓練の受講を可能とすることが重要。また、職業能力開発の体制及び内容の見直しや、労働者の能力 が正当に評価され、処遇に反映される仕組みが重要。 ・いわゆる障害者雇用ビジネス→3意見。・ 実態把握によって、障害者雇用ビジネスで就労している障害者の経緯や傾向の現状・課題を整理し、ビジネス事業者及び利用企業に 対するガイドラインの作成や、規制の要否の検討が必要。 【障害者雇用率制度等の在り方について】↓ @手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけについて ・難病患者、精神・発達障害者共通→6意見。・ 雇用率制度の算定基礎を手帳の所有者とする枠組みは維持した上で、難病患者など、現在手帳を所持していない方についても、一定 の要件のもとで、法定雇用率の対象とすることも選択肢とし、幅広い検討が必要。 ・難病患者→3意見。・ 疾患を持っていることと障害があることは必ずしも同じではないため、医療証をもって雇用率への算入を可能とすることは違和感。 就労困難性があるのであれば、障害者雇用率制度の対象とすべきだが、その評価方法や基準は、本研究会ではなく別途検討会を設け て検討すべき。 ・精神・発達障害者→・精神障害者については、手帳を保有していても、途中で対象外となることはある。一定期間実雇用率算定できる仕組みは必要。 A就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけについて→5意見。・ 事業協同組合等算定特例のうち有限責任事業組合(LLP)に、A型事業所が入ってしまうと、他の事業所が雇用しなくとも法定雇用率 を達成可能となる。LLPの対象からはA型事業所は除外すべき。 B精神障害者において「重度」区分を設けることについて ・重度区分→3意見。・ 精神障害者の就労困難性について客観的指標があれば重度区分を考えても良いが、状態が回復したり悪化したりと波がある中で、「重 度認定」の可否は疑問。十分な検討が必要。 ・週所定労働時間20時間以上30時間未満の精神障害者の雇用率算定特例→2意見。・ 精神障害者は特に短時間労働の必要性は高い。特例制度のままとするのではなく、維持・恒常化していただきたい。 C常用労働者数が100人以下の事業主への障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲の拡大について→4意見。・ 強引に障害者雇用を進めるのではなく、個別の事情に応じて、きめ細やかな支援が重要。支援とセットで納付金制度の適用を行うこ とが必要であり、令和6年度に開始した障害者雇用相談援助事業の進捗状況も確認しながら検討していくことが必要。 Dその他障害者雇用率制度全体について→1意見。・ 雇用率制度を採用していることで生じている派生的な問題も含めて、議論が必要。労使双方が、雇用率制度を前提とした雇用である との認識ゆえに生じる問題もあり、障害者雇用率制度の在り方次第で、障害認定やその他の領域でも影響を生じさせることに留意す べき。 【その他】→3意見。・ 手帳の交付の基準が、都道府県によって異なっている部分があるため、統一化が必要。 ・ 除外率については、引き下げのスケジュールを早期に示すことが重要。 ・ 企業に籍を置きながら福祉制度を利用できる仕組みの検討が必要。以前設置されていたような障害者雇用・福祉施策の連携強化に関 する検討会の設置が必要ではないか。 ◎参考資料2:今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会参集者→14名。 次回は新たに「第1回福祉人材確保専門委員会 資料」からです。 |