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第4回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料 [2025年03月31日(Mon)]
第4回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料(令和7年3月12日)
議題 労災保険制度の在り方について(適用関係等)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_54195.html
◎資料1 第1回研究会における主な意見(要約版)(「適用範囲・特別加入」、「家事使用人」 及び「暫定任意適用事業」関係)
【適用範囲・特別加入】→ ○ フリーランス全般が特別加入制度の対象となり、新たなフェーズに入ったと認識。保険 料が自己負担となる特別加入は、加入が進まないとの声もあるものの、特定フリーランス の特別加入団体は、加入のハードルを下げ、積極的に取り組んでいると思う。 ○ 建設業では、かねてから労働災害防止のために発注者に安全経費(一人親方等の労災保 険の特別加入に必要な費用)の積算を求めている。こうした保険料相当額の上乗せを業界 が自主的に取り組んでいくことにより、フリーランスあるいは一人親方に、安心して仕事 をしていただけるのではないかと思われる。この点、労災保険本体の適用拡大をするとい う意見もあるかとは思うが、特別加入の促進と保険料の支援が現実的な方策である。 ○ 「今後の労働安全衛生対策について(報告)」をみると労働安全衛生法での議論について、 個人事業者の保護にこれまでより一歩踏み込んで、考えている印象。 労働安全衛生法の議論を踏まえると、フリーランスや個人事業主に対する労災保険の適 用については、中長期的に見た場合にどのような在り方が考えられるかという点に関心が ある。 ○ 労災保険は労基法との結び付きが非常に強固であり、労基法の適用対象でない者につい ては、保険料が完全自己負担であるにもかかわらず、一定の要件を課して加入を制限して いる特徴。現行法を前提とすれば、整合的な体系であり、一定の合理性のある制度だと評 価できる一方、フリーランスや個人事業主の働き方の実態、ニーズに合った制度かという ことについては改めて検討の余地がある。非常に慎重な検討が必要であるが、労基法の適 用対象ではない者についても、労災加入の必要性が高いものについては、現行の特別加入 ではなく、何らかの特別な手段を採っていく、あるいは端的に強制加入とすることが論点 となり得る。 同時に、例えば民間保険の役割であるとか、必ずしも現行制度を前提とした強制加入の 拡大に限られない様々な選択肢もあり得る。あるいは特別加入としたときには、保険料負 担が一番問題になってくるが、フリーランスなどの保険料について、その一部を業務の委 託者が負担する可能性をいかに開いていくか、諸外国の取組も参考にしつつ検討してはど うか。 ○ 労災保険制度の対象者を労基法上の労働者に限定する必要性を再検討し、働く人がその 働き方にかかわらず労災保険に強制加入して補償を受けられるようにするという、抜本的 な制度改革も長期的な視点としては考え得るのではないか。特に、労働基準法上の災害補 償と労災保険制度は別の制度であることを強調するのであれば、なおさら労災保険独自の 適用対象者というものも観念し得るのではないか。 ○ 一人親方等と特定作業従事者の間での振り分けがどのようになされているのか判然とし ない。近年の特別加入の対象拡大が、その時々にアドホックな対応であったことの表れの ように感じられる。 ○ 従来から特別加入の対象については、労働者に準じた保護を必要とする者、それについ て一定の着眼点から、その業務の危険度や、あるいは技術的な観点を含めて、業務の範囲 の明確性、特定性といった観点から、具体的な対象を省令で定めるという形で対応してき たと理解。一方、今般の特定フリーランスを特別加入の対象とする改正については、特定 フリーランスの働き方に対応して、その労災リスクも非常に多様であることから事業や作 業の特性に着目するという従来の拡大の仕方とは相当異なった面がある印象を受ける。 就労形態の変化、多様化を受けて、特別加入の対象に関しての基本的な考え方について、 今一度整理しておくことにも意義があるのではないか。
【家事使用人】 ↓
○ 家事使用人に関して、労働基準法の適用が除外されていることについては、労働基準関 係法制研究会で取りまとめられた報告書案では、家事使用人の働き方の変化などを踏まえ、 家事使用人のみを特別視して労基法を適用除外すべき事情に乏しくなってきたとし、適用 除外を見直す方向の意見が示されている。 今後、家事使用人について、労基法の適用が除外されるのであれば、労災保険による補 償を受けられる前提で議論するべきだが、その一方で、家事使用人を雇用する私家庭の労 災への加入、保険料負担については、監督指導の在り方を含めて丁寧な議論が必要。 ○ 個人家庭に雇用される家事使用人は、事業に使用される者ではないことから、適用除外 の対象にはしないとしても、当然に労災保険の適用対象とすることも課題が大きい。労災 保険による保護を及ぼすべきだというような判断をした場合に、具体的にどのような仕組 みが必要なのかという点は重要であり、難しい課題と認識。事業に使用される者ではない ということを踏まえ、現行の特別加入の枠組みの更なる活用といった方向の議論の可能性 も残されているのではないか。
【暫定任意適用事業】↓
○ 労災保険の暫定任意適用事業は、全面適用の方向で進めるべき。同じ労働保険である雇 用保険にも同様の問題がある。雇用保険では、農林水産の事業は事業所の把握が困難な場 合が多く、雇用関係や賃金支払関係が明確でない場合が多いため、全面適用は事務的に困 難であり、実行を期し難いなどと説明されるが、IT 社会において情報関係の整備が進む中、 全面適用する環境が整いつつある。社会・経済の動きに応じ、当然適用事業化を全面的に 推し進めるべき。


◎資料2 労災保険法の適用範囲について(総論)
○労災保険法の適用範囲について論点案→【論点】
労災保険法等の適用対象(強制適用)の範囲をどう考えるか。⇒労働基準法が適用される労働者以外の就業者で、強制適用とすべき者はいるか。また、その保険料の負担は誰 が負うべきか。
○【論点】労災保険法の適用範囲(強制適用)について→・労災保険法は、労働基準法の適用対象たる労働者を保護の対象とし、当該労働者を使用する事業を適用事業(強制適用 の対象)としている。 ・強制適用の対象となる事業に従事しない者については、特別加入制度を設けている。
・(参考)第2種(一人親方その他の自営業者・特定作業従事者)の対象業務→19業務あり。

○(参考)諸外国の労災保険制度→日本・ドイツ・フランス・イギリスについての比較。


◎資料3 特別加入について
○特別加入について
→論点案⇒【論点】一人親方等の労災補償を適切に運用していくため、特別加入団体にどのような役割を担わせるべきか。
○特別加入制度について↓
・趣旨
→・特別加入制度は以下のような趣旨で創設され第1種(中小事業主等)、第2種(一人親方その他の自営業者・特定作業従事者)及び第3種(海外派遣労働者)の3類型。・このうち、第2種特別加入は、労働政策審議会建議(令和元年12月23日第83回労災保険部会)において、「昭和40 年当時にはなかった新たな仕事(例えばIT関係など)が創設され・・・社会経済情勢の変化も踏まえ、特別加入の対象範囲や運用方法等について、適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要がある。」とされたこと等を踏まえ、特別加入制度の対象を拡大し てきた。
・近年の特別加入対象となった事業又は作業→令和3年4月1日〜令和6年11月1日までの業務⇒・芸能従事者及びアニメーション制作従事者 ・柔道整復師及び創業支援措置に基づく事業を行う高年齢者、・自転車配達員・情報処理に係る作業、・あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師、・歯科技工士、・特定フリーランス事業
・対象者→@第1種:中小事業主等 A第2種:(一人親方その他の自営業者:12業務)(特定作業従事者:8業務) B第3種:海外派遣者
○(参照条文)第2種特別加入について→【労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)】 第33条。【労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)】第46条の17 法33条第3号の厚生労働省令で定める種類の事業、第46条の18 法第33条第5号の厚生労働省令で定める種類の作業一〜八まで。

○【論点】一人親方等の労災補償を適切に運用していくため、特別加入団体に どのような役割を担わせるべきか。↓
・現状→・第2種特別加入は、一人親方等又は特定作業従事者の団体(以下「特別加入団体」)を事業主としてみ なして労災保険を適用している。・特別加入団体については、労災則第46条の23第2項に基づき、業務災害防止に関して講ずべき措置を定める等の義務が ある。これは、一般の労働者であれば、労働安全衛生法等に基づき、事業主が業務災害防止の措置を講ずるものとされているが、 一人親方等又は特定作業従事者は、一部の法令を除き業務災害防止の措置を義務付ける法令が存しないことから、一 般の労働者との均衡を考慮して定められたもの。・労災保険法第35条第1項の承認にあたっては、特別加入団体は下記5点の要件(ア〜オ参照)を満たす必要がある。(昭和40年11月1 日付け基発第1454号「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律第2条の規定の施行について」)
・最近の見直し→オの要件(地域要件)については、令和3年4月より、近隣の都道府県の区域を超えるブロックにおいて、災害防止等 に関する研修会等を実施する場合には、当該ブロックにおいて事務処理を認めることとし、事務処理区域の柔軟化を行った(令和3年3月9日付け基発0309第1号「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令及び労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料 の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について」)。 ・また、特定フリーランス事業に係る特別加入団体については、上記の要件に加え、下記4点(@〜➃参照)も要件としている。

○(参考)特別加入制度の状況↓
・中小事業主等→事業主数65万640人、 家族従事者又は役員等数43万3,542人。
・一人親方等→加入者数…63万7,287人、 団体数…3,539団体
・特定作業従事者→加入者数…9万9,585人、 団体数…1,154団体
・海外派遣者→加入者数…8万241人、 事業場数…9,871事業場
○(参考)特別加入者の労災保険給付に係る新規受給状況(令和5年度実績)↓
・中小事業主等→新規受給者数 …1万1,287人
・一人親方等→新規受給者数 …1万4,373人
・特定作業従事者→新規受給者数 … 2,272人
・海外派遣者→新規受給者数 … 31人


◎資料4 家事使用人に係る災害補償・労災保険適用について
○家事使用人に係る災害補償・労災保険適用について
→論点案⇒【論点@】労働基準法における災害補償責任を家庭が負うことをどう考えるか。また、労災保険法等を適用する場合、事業主として責任を負うのは誰か。 【論点A】仮に、労災保険法等を強制適用する場合、どのようなことに留意して制度設計をすべきか。

○「家事使用人」について
・労働基準法、労災保険法の適用が除外されている「家事使用人」→・「家事使用人」については労基法の適用除外とされており、この「家事使用人」とは、個人宅に出向き、私家庭において家事使用人を 使用する私人と直接労働契約を結び、その指示のもと家事一般に従事する者のことをいう。ただし、法人に雇われ、その役職員の家庭に おいて、その家族の指揮命令の下で家事一般に従事している者を含む。(労働基準関係法制研究会報告書(令和7年1月8日公表))。・労災保険法は、労基法の適用対象である労働者を使用する事業を適用対象。 ・労基法の適用がない家事使用人については、労災保険法の特別加入による補償を行っている。

○家事サービスの提供形態と労働基準法・労災保険法の適用関係→家事使用人については、これまで労基法の適用除外とされてきたが、今般、労働基準関係法制研究会でとりまとめら れた報告書(令和7年1月8日公表)において、労働基準関係法制をどのように適用するかについて、履行確保の在 り方も含めた具体的な制度設計の検討に早期に取り組むべきとされた。⇒労働基準関係法制研究会報告書(令和7年1月8日公 表)の概要  参照。
○【論点@】労災保険法等を適用する場合、事業主として責任を負うのは誰か。 【論点A】仮に、労災保険法等を強制適用する場合、どのようなことに留意して制度設計をすべきか。↓
1.労働保険徴収法に規定する事業主の責任→◆徴収法の規定による徴収金(労働保険料、追徴金等)の納付をしない者に対して、政府は督促及び滞納処分を行う。(徴収法第27条) ◆督促による納期限の翌日からその完納又は財産差押えの前日までの期間の日数に応じ、政府は延滞金を徴収する。(徴収法第28条1項)
2.労災保険法に規定する事業主の責任→事業主からの費用徴収、
・その他の関連する義務→使用者の報告・出頭、立入検査あり。
◆上記の規定(その他の関連する義務)に反し、報告せず若しくは虚偽の報告等をした場合、または当該職員の質問に対して答弁せず若しくは検査の 拒否等を行った場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(労災保険法第51条)

○(参考)労働保険事務組合→労働保険事務組合制度:中小零細事業主が、事務負担を軽減するため、労働保険料の申告・納付や各種届出等の労働保険事務を厚生労働 大臣の認可を受けた事業主の団体(商工会、事業協同組合等)に委託できる制度
○(参考)家事使用人に係る業務上災害の状況→2023年のJILPT「家事使用人の実態把握のためのアンケート 調査」によれば、 ・「はい(業務中の病気やけがなど の経験がある)」と回答した者は15.2%。 ・それらの者のうち「病気やけがなどの内容」(複数回 答)は、「骨折・ヒビ」( 「腰痛」 27.1%)、「切傷」(26.4%)、 (26.4%)、「打撲」(24.4%)が他と比べ高い割合。 ・「けがの発生時点」(複数回答)は、「掃除中」 (29.7%) が最も高く、次いで「通勤時」 (23.8%)、「調理中」(18.8%) などとなっている。
○(参考)家事使用人に係る特別加入の状況・業務上災害の補償状況について→→<特別加入の状況>⇒・令和5年度で1,714人(令和4年度1,848人)。 ・労災保険に特別加入している割合は34.3%。 <業務上災害・通勤災害の補償状況>⇒・「介護作業従事者及び家事支援従事者」について「療養補償 給付」「休業補償給付」「障害補償一時金」「年金等給付」の給付実績が見受けられる。
○(参考)労災保険に加入しない理由と民間保険の加入状況→2023年のJILPT「家事使用人の実態把握のためのアンケート調査」⇒・労災保険に特別加入していない理由として最も多いのは「民間保険に入っているから」(57.0%)、次いで「制度を知らなかったから」(19.3%)となっている。 ・民間保険のうち「業務中の自身のけが等の手術・入院費等の補償(傷害補償制度)」に加入しているものは 30.8%、「自身のけが等の医療費の補償(共済(医療費)助成制度)」に加入しているものは25.6%となっている。
○(参考)家事使用人に係る保険料の負担→「家事使用人の実態把握のためのアンケート調査」によると、一般に本人が負担している特別加入の保険料 について、「職業紹介所」が負担していると認識している者は35.3%であった。・家事使用人については、職業安定法及び同施行規則により、有料職業紹介事業者が求人者(雇用する個人家庭)から特別 加入の保険料に充てるべきものを別途徴収できることとなっている。 ○これは有料職業紹介事業者に求職登録されている家事使用人については、職業紹介により個人家庭に雇用されるものであ り、労基法の適用は除外されているが、雇用主である個人家庭から特別加入の保険料に充てるべきものを徴収できるよう措 置を講じたもの。
○(参考)家事使用人に係る保険料の負担(職業安定法等の規定)→・職業安定法(昭和22年法律第141号) (手数料) 第32条の3   ・職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号) (法第32条の3に関する事項) 第20条
・別表抜粋(第20条関係)→第2種特別加入保険料に充てるべき 手数料⇒・手数料の最高額→徴収方法:1000分の5.5 支払われた賃金額の1000分の5.5に相当する額。 徴収方法:徴収の基礎となる賃金が支払われた日以降 求人者から徴 収する 。


◎資料5 暫定任意適用事業について
○暫定任意適用事業をめぐる論点について→論点案
⇒【論点】昭和50年以降、農林水産業の一部のみが労災保険の暫定任意適用となっており、その理由は、「労働実態の把握が困難であること等」とされているところ、現代において、暫定任意適用となっている農林水産業の事業についても強制適用とすべきか。
○暫定任意適用事業の概要→・労災保険は、原則として労働者を使用する全ての事業に適用される(国家公務員、地方公務員(現業の非常勤を除く。)は適用されない)。 ・ただし、農林水産業の一部については、暫定任意適用事業」として強制適用の例外となっている。
⇒概要、暫定任意適用事業関係法令の主な条文構造 参照。
○暫定任意適用事業に係る特例(整備法第18条関係)→・暫定任意適用事業の事業場においては、労災保険に係る保険関係の成立前に発生した業務上の傷病についても、 後刻、事業主の申請により、労災保険法の規定による保険給付が行うことができることとしている。ただし、労働 者が療養を経ずに死亡した場合は対象外となる。(整備法第18条第1項) (本特例により保険給付を行った場合、事業主は所定の期間、労働保険料のほかに特別保険料を納付しなければならない(整備法第19条第1 項))。 ・当該申請は、事業場で使用する労働者の過半数が希望する場合には、事業主は申請しなければならない。(整備 法第18条第3項)
○暫定任意適用事業の関係条文@➁→・労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)(抄) 第3条 労働者を使用する事業を適用事業。 ・失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和44年法律第83号)(抄) 附則(抄)(労働者災害補償保険の適用事業に関する暫定措置) 第12条 ・失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令 (昭和47年政令第47号)(抄)(労災保険暫定任意適用事業) 第17条
・労働省告示第35号(昭和50年4月1日)(抄) 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令 (昭和47年政令第47号)第17条の規定に基づき、労働大臣が定める事業を次のように定める。
・失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する 法律(昭和44年法律第85号)(抄) (労災保険に係る保険関係の成立に関する経過措置) 第5条、(労災保険の保険給付の特例に関する経過措置)※ P3で詳解 第18条、第18条の3、 第19条 政府は、第 18条第1項若しくは第2項、第18条の2第1項若しくは第2項又は前条第1項若しくは第2項の規定により保険給付を行うこ ととなつた場合には、厚生労働省令で定める期間、当該事業主から、労働保険料のほか、特別保険料を徴収する。

○暫定任意適用事業に係る改正経緯等→昭和22年〜 昭和40年・・・・・平成3年 昭和44年改正法の改正⇒・強制適用事業の範囲を拡大 (農業の事業のうち、事業主が農業について特別加入している事業も強制適用事業) (平成3年4月1日施行) ◎依然として暫定任意適用事業とされているのは、常時5人未満の労働者を使用する個人経営の農林、 水産業の事業(特別加入者が行う農業の事業を除く。)の一部のみとなり、現在に至っている。

○暫定任意適用事業が存置されている理由@➁↓
・「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第三次分)等について」(平成3年3月1日 発労徴第13号基発第123号)(抜粋) 1 改正の趣旨及び概要 (1) 改正の趣旨 イ 全面適用の困難性→この暫定任意適用事業の範囲も、昭和50年4月1日から、個人経営の労働者5人未満の農林水産業の一部にまで縮小が図られた (昭和50年政令第26号)が、農業については、適用拡大の必要性が比較的高い(注1)ものの、 その事業場における労働実態の把握 が困難であること等の理由(注2)から、その後の特段の適用拡大の措置は講じられてこなかった。
・「今後の労災補償法制のあり方 労働基準法研究会(災害補償関係)の中間的な研究内容について」 (労働省労働基準局編 財団法人労災保険情報センター 昭和63年8月25日第1刷)(抜粋) V 参考(個別検討結果) 第11 労働基準法第8章と労災保険法との関係 2.検討の方向 (2) 暫定に適用事業の廃止について→・・・・・これらの事業が当分の間、暫定任意適用事業とされたのは、小規模の農林水 産業は、家族労働を中心とする自営業に近く、かつ、広範囲な地域に散在するなど事業の性質上実態把握が困難であること、労働者性が明確でないこと、その対象数が膨大であること(あ わせて災害が多発していないこと)等のためといわれている。

○暫定任意適用事業のうち、保険関係を成立している事業の被災状況の調査結果→令和6年6月19日時点において、任意適用事業場として保険関係を成立している事業場(25,602事業場)を対象に、令和3年度から令和5年度までの期間に支給決定された重大事故(※1、2)の内容は以下のとおり。⇒障害(補償)等給付、遺族(補償)等給付 参照。


◎参考資料 第3回研究会における委員ご発言の概要
1.給付基礎日額
○労災則9条1項各号および労働基準法12条では、
同条1項にいう平均賃金の特例となるのはおおむね「労働基準法の平均賃金では労働者にとって不利になる場合」が挙げられていることから、平均賃金 を用いて不利でないにもかかわらずこれを用いないときには、労災保険法8条2項にいう「適当でない」理由があるかが説得的に説明されるべき。そのような説得的理由がないときには、労働基準法12 条 1 項の原則どおり(発症時の賃金)とするのが法の趣旨に沿うのではないか。ケース1(ばく露時 よりも発症時の方が賃金が高い場合)は原則として発症時の賃金を使い、ケース 1 でもばく露時よりも今の方が賃金が低くなるケースや、ケース2(発症時に職に就いていない場合)では労働者が不利益にならないように、ばく露時等の適当な時点における賃金を用いるのが基本的な改正の在り方では ないか。 ○社会保障的性格を強調するなら、ケース1(ばく露時よりも発症時の方が賃金が高い場合)については、発症直前の生活水準を補償する趣旨で現在(発症時)の事業場の賃金をもとに給付基礎日額を算定するという方法もあり得る。退職した事業場の賃金を現在の事業場の賃金が下回るとか、現在の賃金が以前よりも下がっているという場合には、労働基準法の「災害補償責任」に戻って最終ばく露事業場の賃金に戻って最低保障をする。ケース2(発症時に職に就いていない場合)の支給については、 退職後の高齢者で年金生活に移行している者も、働ける年齢で休職している者も様々あり得、難しいが、参考にすべき直前の水準がない場合は、最終ばく露事業場の賃金で算定するしかないのではないか。 ○労災保険制度の趣旨に照らして検討をするにあたっては本来であれば、過去の給付基礎日額の例外 (556 号通知)がどのような趣旨だったかの検証が必要だと思うが、労働基準法に基づく事業主の災害補償責任の考え方が基本にあるのではないかと思う。労災保険の補償は、原因となる有害業務に従事させたことに関する事業主の補償と考えられるところ、有害業務への従事に着目すべきで、その後の働き方の違いや退職のタイミング、発症時期のタイミングなどで給付基礎日額の扱いが異なるのは、かえって公平ではない。 ○556号通達は労災の原因を作った事業主との関係を特定した上で補償内容を考える趣旨と理解。一方、 法令の規定では「疾病の発生が確定した日」とされており、疾病の発症に危険因子へのばく露から一 定の時間的ラグがあるのは法の予定した範囲であり、原則(法律の規定)に戻るのが妥当ではないか。 ケース1(ばく露時よりも発症時の方が賃金が高い場合)については、現在(発症時)の賃金水準を 元に給付基礎日額を算定することでいいのではないか。その理由・趣旨については、生活保障の役割 という社会保障的なものを重視していくべきではないか。 ○過去に働いていた事業場へのメリット制の適用については、当時(ばく露時)の賃金水準の限度にと どめるという方法も採り得る。この部分だけ基準法の災害補償責任より拡大して生活保障的な給付を 行うという考え方もあるのではないか。 賃金水準が下がってから、あるいは離職してからの発症に係る給付については、556号通達を使う場面 もあってもいいが、理論的な整理が必要。 ○ケース1、2の問題は、障害補償年金の給付内容の定型化によって生じる不合理な側面が顕在化した ものと捉えることができる。支給額について被災時の賃金をもとに給付水準を設定し、支給期間について大抵は稼得能力を喪失している老齢期にも支給を継続している。これがケース1では過小に見え、 ケース2では過剰にも思える給付となっているように見える。解決・是正方法として検討の余地があるのではないか。 ○給付基礎日額の算定方法について、若年だったらその後の昇給が期待できた、中年だったらその後、 低下が見込まれているが現在の賃金スライドを発展させ、年齢別の賃金水準を考慮したスライドを検討できないか。それができれば、若年労働者には賃金水準の上昇を考慮した給付の充実を図ることができ、高年齢の被災労働者に対しては本来であれば生じるはずであった賃金水準が反映され、過剰な 給付を抑制できる。損害の填補という制度趣旨により沿ったものになり抜本的な解決となるのではな いか。ただし、全ての労働者に妥当する年齢に応じた賃金変動というものを想定するのは難しく、年 功的要素が後退している現状においては年齢に応じてスライドをするということは齟齬があるとの反論は想定されるが、1つの可能性。 ○支給期間との関係では、老齢期になっても障害補償年金等を支給継続していることは被災労働者の保護等の観点からも妥当とは思うが、一方で稼得能力の喪失を前提としている老齢厚生年金、老齢基礎 年金との関係では検討の余地はあるのではないか引退した被災労働者については、老齢年金を支給さ れていると思うが、現行法の障害補償年金は、同一障害による障害厚生年金、障害基礎年金とののみ 調整が想定されている。したがって障害補償年金と老齢年金が出されることになるが、障害補償年金 が稼得能力の減退喪失に着目して損害の填補を図る給付であることに鑑みると、稼得能力の喪失を前 提にしている老齢厚生年金等との間で併給調整することも合理的ではないか。
≪現時点における議論の確認≫→◎給付基礎日額について、556 通達の取扱いをケース1とケース2で一貫させていくのか、区別して対 応するのか、あるいは抜本的にいじるかという意見がある。

2.社会復帰促進等事業
【特別支給金について】
→○社会復帰促進等事業特別支給金特別支給金 特別支給金は、創設当初は流動的なものだったかもしれないが、今となっては必要性や補償内容は恒常的・固定的なものとなっており、法定の保険給付化が考えられても良いのではないか。 過去の最高裁判例を踏まえると、特別支給金を保険給付にすることで社会保障的な性格が後退すると 指摘する人もいるであろうし、また、特別支給金が民事上の損害賠償の調整対象となり労働者側に不利になるかもしれないが、補償の安定の観点から、法定化して保険給付として扱うのが良いのではないか。 ○H8の最高裁判決では、特別支給金は保険給付と異なるとして損害賠償額から控除する対象とはしていないが、特別支給金は保険給付の上積みであり、実務としても一体的に行っている。事業主は社会 復帰促進等事業費も含めて保険料を払っており、保険料を負担しているにも関わらず、特別支給金が 損害額から控除されないために事業主は二重の負担を負っていると言える。労働者側からすれば、その部分については損害賠償を受け取れなくなるので一見すると不利益であるが、特別支給金については保険給付として法定化することが本来的な制度の在り方であると思う。 ○ボーナス特別支給金は、算定方法が直近1年間の特別給与をもとにしている。この金額は夏・冬のボ ーナスが中心であり不確定要素に左右される。特別支給金を保険給付とした場合、適切なボーナス特 別支給金の算定が非常に難しいのではないか。
【アフターケアについて】→○リハビリの給付化については、リハビリについては保険給付の内容に含まれており、アフターケアが 事業として扱われており、その具体的内容は保健指導など比較的柔軟な対応が必要なもので、保険給 付として定型化することが必要なものではないと認識した。現在の保険給付とアフターケアの区分は 合理的と考えている。 ○アフターケアについて、給付の要件は治癒、症状固定までとしているが、医療の進歩を鑑みると、医 療というものが治癒・症状固定にとどまることがなくなってくる。アフターケアが治癒・症状固定に 続く段階で提供されるものであり、医学的アプローチとして相応の役割が客観的に評価できるのであ れば、保険給付に位置づけることも議論の余地はあるのではないか。○ボーナス特別支給金については、算定方法や給付設計について疑義が生ずる余地があり、紛争を生じさせる可能性は相当程度あるのではないかと思われる。その点を踏まえれば、長期にわたる給付内容の事項に関して審査請求の機会を認めるのは意義のあることと思われ、特別支給金について処分性を認めることが適当。 ○審査請求のありかたについて、労働者が審査請求をしようとしても手間がかかるのは、申請を断念さ せてしまう大きな要因になるのではないかと思われる。審査請求手続は、保険給付と一本化・改善した方がいいのではないか。 ○保険給付と社会復帰促進等事業の不服申立が二つに分かれているのは国民に分かりにくく、コストも考えると一本化するのがいい。その上で、労災保険法40条で、保険給付の処分取消しの訴えについて 審査請求前置を定めている。他方で、行審法の審査になっている社会復帰促進等事業は審査請求前置 となっていないところ、労審法への移管により処分に対して直接に取消訴訟を提起できなくなるのは 留意すべきである。 ○社会復帰促進等事業の審査請求を労審法の対象とすることは、国民に分かりづらいという理由による べきと思料。総務省からの指摘を踏まえれば、変更する方向で検討するのが妥当であろう。 ○社会復帰等促進事業の処分性を広く認める契機となった最高裁判決の影響はすごいが、その上で特別 支給金に処分性を認めていない特別支給金ことは理由に乏しく、認めることが妥当。
≪現時点における議論の確認≫ ◎社会復帰促進等事業について審査請求を保険給付と一本化することが妥当であることは総意。 ◎特別支給金の在り方については実際の機能を踏まえて法定化を検討するべき。

3.生計維持要件

○労災保険法の生計維持要件は生計維持者と被生計維持者の依存関係を相互的なものと捉えている。遺族の労働者に対する経済的依存性というよりは両者の経済的基盤の共通性に着目するもの。従って生 計同一とその内容が類似している。これに関して、労基法施行規則42条2項で定める配偶者以外の遺 族について、生計維持に並んで生計同一も対象となっていることを踏まえても労災保険法は「生計維持」を年金各法と異なり、労働基準法施行規則と足並みを揃え生計同一の意味合いを含んだ、より広 い独自のものとしてきたと考える。労災保険法が労働基準法と異なるのは、生計維持要件というよりは年齢や障害によって制限している点であり、これらの要件によりなぜ労働基準法よりも支給対象者 が絞られるのかが検証されるべき。 ○年齢と障害の要件については男女格差が問題になるがこのことは遺族としての女性だけでなく、労働基準法上の労働者としての女性としても検討されるべき。労働基準法では女性の勤務に制限をかけてきた経緯がある。遺族補償給付の年金化時点では女性が危険労働から保護されやすかった分、女性が労災で死亡することは相当少なかったところ。男性労働者の死亡による補償が典型的な事例として想定されていたのではないか。労働基準法上の制限が撤廃され、業務上の危険の質が男女同等となった 今日では、女性労働者の死亡損害の金銭的評価をむしろ男性労働者の評価の在り方に合わせるという 道筋もあり得る。 ○昭和41年当初から、主たる生計維持者だけでなく、従たる役割を果たしていた者が死んだ場合でも被 扶養利益の喪失の補償の対象にしていたことが明らかになった。平成2年の通知改正でも、親子や配 偶者の間の生計維持の扱いは基本的には変化していない。したがって、妻を亡くした配偶者について も行政実務が念頭に置く被扶養利益の喪失は認められると思われる。提示されたデータからも、妻が パートタイムで働く共働き世帯は増えている状況であり、フルタイムだけでなく、パートタイムで働 く妻を亡くした男性についても妻の死亡による遺族補償年金の支給の必要性が認められるだろう。 ○遺族補償年金の支給目的・支給期間について、労働者を亡くした後の生活激変を一定期間支えるもの と考え、有期給付化していくとの考えについては我が国では労災補償と損害賠償の併存が認められて おり、遺族補償年金の給付が縮小することに伴って損害賠償訴訟をしなくてはならなくなり、労働者 や遺族の生活の安定が図られなくなるという点が指摘される。しかし、一方で、20代の男女間につい ては、賃金差はほぼない状況。したがって、将来の世代に向かって、夫を失った妻だけが一生の補償 を受け続けられるという、現代の仕組みを改めていくことは考え得るのでは。 ○生計維持要件の変遷については、見直し前提ではないが、既に年金化から50年も経過しており、この ままでいいのかという視点は必要ではないか。例えばS41年の通知2(2)については、婚姻直後に 配偶者が亡くなったケースを想定しているものと思料するが、今の離婚率を考えたら同じことが言えるか。以前の説明が今も可能なのかは検証をした方がいいのではないか。
≪現時点における議論の確認≫ ◎制度創設当初から色々な意味で変化があったことを踏まえてさらに検討していく必要
がある。               (以上)

次回は新たに「成育医療等分科会(第5回)」からです。

令和7年第2回経済財政諮問会議 [2025年03月29日(Sat)]
令和7年第2回経済財政諮問会議(令和7年3月10日)
議事(1)マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議) (2) 賃金向上に関する特別セッションA
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0310/agenda.html
◎資料1植田議員提出資料
○2025年1月金融政策決定会合での決定内容
→経済・物価は、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移、先行き、見通しが実現していく確度は高まってきている
○金融市場、預金・貸出金利→短期金利、長期金利、預金・貸出金利、為替・株価 参照。
○(参考)雇用者所得・物価→雇用者所得、消費者物価  参照。

◎資料2 マクロ経済基礎資料(内閣府)
○経済の見通し
→・日本経済は、プラス成長が継続する見通し。マクロの需給バランスは、供給制約の局面に入っている。 ・ 今後の持続的な経済成長に向けては、潜在成長率の引上げに重点を置いた政策対応を進めることが必要。→<図1・図2> 参照。
○海外経済の動向→・IMF世界経済見通し(2025年1月)によると、直近の貿易政策の不確実性指数は急上昇。世界経済のリスクの一つとして、相互関税の賦課など保護主義の高まりが、貿易摩擦の悪化、投資の減少、サプライチェーンの混乱等をもたらす点を指摘。 ・海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響には、引き続き、細心の注意が必要。
○物価動向@(消費者物価上昇率)→・足元では、生鮮食品を含む食料品価格が上昇し、消費者物価(総合)を押し上げ。(※)2025年1月 総合4.0%、生鮮食品除く総合3.2%。
・民間エコノミスト予測では、消費者物価(コア)は、2025年春にかけて、徐々に上昇幅が縮小し、2025年度を通じてみると、2%程度の安定的な物価上昇になると見込まれている。(※)民間エコノミスト予測平均 2025年度:2.18%、2026年度:1.72%。 ・食料品価格の動向をみると、米類、キャベツ等の価格が上昇している。コメの先物取引価格は、昨秋から年末にかけ 上昇傾向で推移。先行きの注視が必要。
○物価動向A(予想物価上昇率/為替の推移・見通し)→・企業等の中期的な予想物価上昇率は、2%近傍となっている一方、家計の1年後の予想物価上昇率は、5%超の高い水準。 ・為替について、民間エコノミスト予測では、2025年度は、140円台半ばまで、徐々に円高方向で推移すると見込まれている。
○賃上げ@→・実質賃金は、ゼロ近傍まで上昇していたが、足元では物価上昇の影響もあり低下。 ・民間エコノミスト予測では、昨年度とほぼ同水準となる5%程度(ベア3%程度)の賃上げが継続することが見込まれている。 ・2025年の春季労使交渉では、労働組合側からは、前年と同水準以上の要求が行われている。
○賃上げA →・民間機関のアンケート調査によると、2025年度に正社員の賃金改善を見込む企業は61.9%、そのうちベースアップの 実施を見込む企業は56.1%(いずれも過去最高)。 ・ 総人件費は、前年比で平均4.50%の増加が見込まれている(過去最高)。 ・ ただし、企業規模別にみると、正社員の賃金改善を見込む小規模企業の割合は小さい。
○賃上げB→・中小企業を対象とした日商のアンケート調査をみると、2025年度も約半数の企業が賃上げを予定しているが、引き続き、業績が改善していない中での防衛的賃上げと回答する者の割合が高い。・中小企業庁の「価格交渉促進月間フォローアップ調査」では、発注企業からの申し入れによる交渉が浸透しつつある 一方で、受注企業の意に反して交渉が行われなかったと回答する者も残る。・引き続き、生産性向上支援とともに、2次以降の下請を含め、価格転嫁の円滑化に向けた取組を強化することが必要。
○賃上げC→・取引先との共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言を行う企業は年々増加。直近の1年間では2万社程度増加。 ・多くの取引先を抱える大企業の宣言も増加してきているものの、全体の22%程度に留まっている。また、業界によって、取組の浸透に差がみられる。 ・価格転嫁を更に進める観点から、引き続き、宣言拡大とその実効性確保に向けた取組を強化していくことが必要。


◎資料3 マクロ経済運営について(有識者議員提出資料)
2025年3月10日  十倉雅和  中空麻奈  新浪剛史  柳川範之
賃上げと投資がけん引する成長型経済への移行に向けた動きが進んでいるが、足元で物価 上昇率が高まり、長期金利も徐々に上昇している。また、通商政策などアメリカの政策動向も刻々 と変化するなど世界経済の不確実性は増しており、急激な変動への備えを万全にする必要があ る。石破総理が「賃上げこそ成長戦略の要」との考え方を示したが、今が、力強い賃上げモメンタ ムの「定着」や国内投資拡大等を通じ、長年にわたり染みついたデフレマインドを払拭し、成長型 経済への移行を進めるチャンスでもあるとの認識のもと、以下、提言する。
1. 経済動向に対応したマクロ経済運営
→消費者物価は今年1月に前年比4.0%増と高い伸びとなり、また、長期金利は15年ぶりの水準まで上昇している。食料品の価格高騰等によるコストプッシュの物価高が消費を下押しするリスクや、金利が今後急激に上昇した場合に企業・家計の投資マインドを悪化させるリスクなど、景気回復が後戻りする可能性に十分注意すべき。また、国債利払い増加などが財政に影響を及ぼす影響にも注意が必要。⇒・物価高対策については、物価動向を注視するとともに、閣僚懇談会(物価高への当面の対応、2月4日)において整理された取組をしっかりと検証すべき。 ・金利上昇下にあっても財政への信認を維持し、長期金利の急激な上昇など不測の事態 が生じないよう、政府は来年度予算修正案に関わる安定的な財源確保に取り組むととも に、早期のプライマリーバランス黒字化実現を含む今後の財政健全化に向けた道筋を提 示すべき。また、全世代型社会保障構築の改革工程に沿って取り組み、社会保障の持続 可能性を確保し中長期的な財政への信認が維持されるようにすべき。その下で、国債の 安定的な発行に向け、市場参加者と丁寧に対話すべき。

2.力強い賃上げと生産性向上による好循環拡大→消費マインドの改善に向けて、賃上げが一時的でなく今後も続くと見通せることが重要。一昨 年・昨年に続き、本年も力強い賃上げを実現し、我が国に賃上げモメンタムを定着させるととも に、それに見合った生産性の向上等を実現することにより、消費の活性化、経済の好循環につな げる。物価、賃金、金利といった動き始めている価格を活用した資源配分を行い、人手不足の程 度に沿った賃金上昇を実現させるなど、成長型経済への移行を実現すべき。⇒・ 力強い賃上げモメンタムを定着させるためにも、我が国が中長期的に目指す経済の姿の 全体像(成長率、生産性2、物価上昇率、賃金上昇率等)を分かりやすく提示し、関係者が 納得できるようにすべき。また、政府の最低賃金引き上げ目標3について、目標到達まで の道筋と生産性向上を含めた政策対応を明確化し、丁寧な議論を行い、多様なステーク スホルダーが取り組める環境を整備すべき。力強い賃上げモメンタムの定着に向けて、労 務費を含む適正な価格転嫁が重要であり、民間での転嫁対策に加え、エッセンシャルワーカーが多い公共調達においても予定価格の算定等に労務費上昇を適切に反映すべ き。 ・ 賃上げを起点に経済のダイナミズムを回復させるためには、賃金を通じて適切な資源配 分が促されることが重要。今後、賃上げの原資を活用しながら、人手不足が深刻な職種に は手厚く配分するなど需給を反映してメリハリある賃上げ4が期待されるが、合わせてリスキ リングと労働移動の円滑化によって労働供給のボトルネックを解消し、賃上げと雇用増が 同時に進む経済を構築すべき。また、賃上げを起点とした成長型経済への構造変化をデ ータで確認するため、行政保有データの活用5を推進すべき。 ・ これまでは女性・高齢者などの労働参加が進み、非正規雇用の割合が上昇してきたが、その過程で労働分配率が低下した。今後は労働参加のペースが鈍化すると見込まれることから、多様な働き方を促進して正規化を進めるとともに、リスキリングの支援など非正規 労働者の賃上げ・処遇改善・能力開発を後押しし、現在、非正規で働いている方の意欲と能力を最大限発揮できるようにすることが重要。・こうした賃上げ・処遇改善に合わせて、省力化投資等の投資拡大による生産性向上が極 めて重要。特に今後我が国経済の成長に大きく寄与する可能性のあるサービス業は人手不足が深刻であり、DX活用による生産性向上のポテンシャルは高い。中小企業の後継者 不足もあって事業継承・M&Aが重要であり、中堅企業は今後の成長のけん引役として期 待されている中で、経営の大規模化を図りながらDX投資を推進するとともに、労働者のAI 実装等のリスキリングを推進すべき。


◎資料4 マクロ経済運営について(参考資料)(有識者議員提出資料)
○経済動向に対応したマクロ経済運営
→・消費者物価は今年1月に前年比4.0%増と高水準となり、食料品の価格高騰等によるコストプッシュの物価高が消 費を下押しするリスクに留意が必要。物価高対策については、物価動向を注視するとともに、政府の取組をしっ かりと検証すべき。 ・金利上昇下にあっても財政への信認を維持し、長期金利の急激な上昇など不測の事態が生じないよう、政府は 来年度予算修正案に関わる安定的な財源確保に取り組むべき。また、全世代型社会保障構築の改革工程に 沿って取り組み、社会保障の持続可能性を確保すべき。

○力強い賃上げによる好循環拡大・成長力強化→・一昨年・昨年に続き、本年も力強い賃上げを実現し、我が国に賃上げモメンタムを定着させるとともに、それに見合った生産性の向上等を実現することにより、消費の活性化、経済の好循環につなげることが重要。・賃上げを起点に経済のダイナミズムを回復させるには、賃金を通じた適切な資源配分の促進が重要。今後、賃上げの原資を活用しながら、人手不足が深刻な職種には手厚く配分するなど需給を反映してメリハリある賃上げが期 待されるが、合わせてリスキリングと労働移動の円滑化を進め、賃上げと雇用増が同時に進む経済を構築すべき。・これまでは女性・高齢者などの労働参加が進んでいたが、今後は労働参加のペースが鈍化すると見込まれる中で、 リスキリングの支援など非正規労働者の賃上げ・処遇改善を後押しすべき。・賃上げ・処遇改善に合わせて、省力化投資等の投資拡大による生産性向上が極めて重要。経営の大規模化を図 りながらDX投資を推進するとともに、労働者のAI実装等のリスキリングを推進すべき。
○(参考)中長期試算等に基づいた実質GDP成長率の産業別分解(イメージ)→・過去10年(2012→22年度)と将来期間(2022→34年度成長移行ケース)の実質GDP成長率を産業別に寄与度分解。 ※2034年度の産業別GDPについては、過去のトレンド及びGX、DX、科学技術・イノベーション等の投資の効果を踏まえた 産業別の需要推計(JILPT)をもとに、2025年1月の中長期試算における実質GDPを分割して算出。 ・ 将来期間は、製造業、医療・福祉、研究開発、専門・技術サービス業等、情報通信業がGDPの伸びを牽引(図1)。 ・ 製造業の内訳をみると、一般機械器具・電気機械器具・その他の製造業が成長を牽引する見込み(図2)。
○(参考)産業別成長率の要因分解(イメージ)→・製造業、医療・福祉、研究開発、専門・技術サービス業等、情報通信業を中心に経済成長が高まっていくものの、 ・製造業、研究開発、専門・技術サービス業等は、労働生産性の上昇が大きく寄与する一方で、 ・医療・福祉、情報通信業は、就業者数の増加が大きく寄与している。 ・ 医療・福祉等、就業者数が大きく増加する産業の労働生産性を高めていくことが課題。 GX、DX、科学技術・イノベーション等への投資を通じて、経済全体のより一層の生産性向上、賃金向上を目指していくことが重要。


◎資料5賃金・物価・金利の正常化〜第1ステージから第2ステージへ〜
(渡辺努氏提出資料)東京大学大学院経済学研究科経済理論専攻 株式会社ナウキャスト創業者・技術顧問 https://sites.google.com/site/twatanabelab/ 2025年3月10日
○日米のモノ価格、サービス価格、賃金
→日米の格差違いあり。
○健全な循環への移行→日本版は成長に関する目標は?
Q1:正常化はなぜ始まったのか? Q2:正常化の過程で政府が果たしてきた役割、今後果たすべき役割は何か? Q3:正常化の仕上げに向けて今後何が必要か? Q4:正常化の実現で何が得られるのか?
→PDCAサイクルを視野に。

○民間予測機関によるCPI予測(2023年1月時点)
○This Time Is Different! 消費者のインフレ予想→1年後の物価は現在と比べてどうなると思いますか?  参照。
○This Time Is Different! 春闘での賃上げ→図の参照。
○経済財政諮問会議・特別セッション(2023年4月18日)議事要旨→最賃の計画化必要。
○正常化の仕上げに向けて今後何が必要か?→• 消費者のインフレ予想を2%程度の水準でアン カーさせる • 春闘での賃上げ要求のindexation • 政府の管理する価格・賃金のindexation
○賃金・物価・金利の正常化→第1ステージ:2022年春から現在まで⇒「名目」賃金、「名目」金利、物価という、3つの重要な「名目」変数の変調が修復される過程。
第2ステージ:先行き10年またはそれ以上⇒名目変数の修復が生産性など「実質」の変数へと波及する過程。 ・ 慢性デフレ期に機能不全に陥った「価格メカニズム」 が修復される過程。
○日米の労働生産性と実質賃金→日本では開差あり、アメリカでは開差なし。
○賃金・物価・金利の正常化が 財政に及ぼす影響↓
• 前提
– 政府債務は1100兆円ですべて名目債務  – 残存期間は9年
– 物価・賃金の上昇率がゼロ%から2%に上昇 
– 金利は2%ポイント上昇、新発債の利払いも同じだけ増加。
– 政府の歳出と歳入は2%だけ増加。
• 政府債務の実質減額の計算
– 物価・賃金の上昇率がゼロ%のときの残高は1100×1/(1+r)^9であり、物価・賃金の
上昇率が2%のときの残高は1100×1/[(1+r)^9×(1.02)^9] となる。したがって、政
府債務は両者の比である16%だけ減少(金額にして180兆円)。
– インフレ率ゼロ%の異常な経済では政府債務が過大になっていた。イ ンフレ率2%の
正常な経済への移行により、本来のあるべき水準まで 減ったと解釈すべき。

○インフレ税のタックスベース→7か国中0.215で最も高い。

次回は新たに「第4回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料」からです。

第9回 子ども・子育て支援等分科会 [2025年03月28日(Fri)]
第9回 子ども・子育て支援等分科会(令和7年3月4日)
議題 (1)子ども・子育て支援関係制度改正の状況(資料1)(2)こどもまんなか実行計画2025の策定(資料2)(3)令和7年度子ども・子育て支援関係予算案(資料3) (4)子ども・子育て支援施策関係の最近の動向について(資料4〜13)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_kosodate/2c06860e
◎参考資料7 令和6年度私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況等調査の結果  令和7年1月15日
○令和6年度私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況等調査について
1 .調査の趣旨→私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への円滑な移行等に資するよう、新制度への移行状況や移行の見込みを把握するとともに、一時預かり事業(幼稚園型)の実施状況等を把握する。
2 .主な調査項目及び調査方法↓

・私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況(施設型給付を受ける園の割合等)(P2~P5) →調査対象:令和6年4月1日時点で存在する、再開する見込みのない園を除く私立の @幼稚園 A幼稚園型認定こども園 B幼保連携型認定こども園 (@、Aはともに新規に設置された園を含む。)(Bはいずれも@又はAから移行した園に限る。)合計7,705園(施設型給付を受ける園5,124園、施設型給付を受けない園2,581園)
・市区町村における一時預かり事業(幼稚園型)の実施状況(P6~P13)→調査対象:47都道府県、全ての市区町村(1,741市区町村)(うち、1,720市区町村より回答:回収率98.8%)
○私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況↓
(1)施設型給付を受ける幼稚園等の割合
・施設型給付を受ける幼稚園(R6年) 1,764園(22.9%)
・幼稚園型 認定こども園(R6年) 1,380園 (17.9%)
・幼保連携型 認定こども園(R6年) 1,980園(25.7%)
(2)都道府県別施設型給付を受ける幼稚園等の割合
(3−1)施設型給付を受ける幼稚園等における移行のメリット(複数選択)→職員の処遇改善を図ることができた3,342園84.6%。その他あり。 参照。
(3−2)認定こども園における移行のメリット(複数選択)
(4)施設型給付を受ける幼稚園等における新制度関連の懸案(複数選択)
(5)施設型給付を受けない幼稚園における移行の懸案(複数選択)   
以上参照のこと。

○市区町村における一時預かり事業(幼稚園型)の実施状況
1.一時預かり事業(幼稚園型T)について→ 一時預かり事業(幼稚園型T)は、子ども・子育て支援法に位置付けられた、地域子ども・子育て支援事業(13事業)の一つである 「一時預かり事業」の一類型であり、公立・私立の幼稚園又は認定こども園において主に在籍園児を対象に実施する預かり保育に対して市 区町村が支援を行うもの。
@ 一時預かり事業(幼稚園型T)の実施市区町村→実施 1,019市区町村 59.2%
A 一時預かり事業(幼稚園型T)及び私学助成による預かり保育の実施園数
B 一時預かり事業(幼稚園型T)の補助単価額及び加算の設定↓
@ 平日の基本分の単価  A 長時間加算分の単価  B 長期休業日の基本分の単価
C 就労支援型施設加算D 保育体制充実加算 E特別な支援を要する子どもの特別単価
F 非在籍園児単価
C 一時預かり事業(幼稚園型T)に係る事務負担の軽減について
@ 補助・委託申請様式の統一化(国が示した統一様式の使用状況)
A 施設所在市区町村による事務処理の一括化
D 市区町村が一時預かり事業(幼稚園型T)を実施していない理由
E 一時預かり事業(幼稚園型T)を実施する上で、課題と感じていること(複数回答可)

2.一時預かり事業(幼稚園型U)について→一時預かり事業(幼稚園型U)は、子ども・子育て支援法に位置付けられた、地域子ども・子育て支援事業(13事業)の一つである「一時 預かり事業」の一類型であり、公立・私立の幼稚園において保育を必要とする0〜2歳児を対象に実施する定期的な預かりに対して市区町村が 支援を行うもの。
@一時預かり事業(幼稚園型U)の実施市区町村
A一時預かり事業(幼稚園型U)における自治体独自の上乗せ補助等
B 私立幼稚園における一時預かり事業(幼稚園型U)の実施上の課題→担当職員確保困難。


◎参考資料8 委員提出資料
○こども家庭審議会 子ども・子育て支援等分科会(第9回)への意見書
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 認定NPO法人びーのびーの 理事長 奥山千鶴子
子育て家庭の現状を踏まえ、以下、4点意見を提出いたします。
1. 妊婦等包括相談支援事業について
→伴走型相談支援のガイドラインが今年度中に配布予定とのことですが、3 回の面談のうち妊娠後期(妊娠 8 か月頃)の面談については給付金との連携がないため、全数面談ができず希望者に限定している自治体がほとんどです。産休に入るタイミング前後の妊娠後期の面談は、産前産後の準備期間として非常に重要であることから、「地域子育て相談機関」等を活用した全数面談を希望します。
2. 出産前教室(両親学級等)の100%受講体制の整備
3. 産後ケア事業に加え、生後1歳までの家庭へのレスパイト機能を充実させる 里帰り出産が減っています。
横浜市港北区においても、コロナ前に約半数だった里帰り出産が約3割になっています。しかも、里帰りなし・親族の手伝いなしの家庭が2割となっています。夫婦だけで産前産後を乗り切るこ とは非常に困難です。産後ケア事業は、出産家庭の約1割の利用率であり、まだ希望すれば誰でも利用できる体 制、身近な場所で利用できる状況ではありません。 産後ケア事業の普及促進とともに、産後ケア事業を補完できる、地域の産前産後の支援サービス、一時預かり 事業、ショートステイ事業、家事・育児支援ヘルパーの拡充をお願いいたします。これは、「幼児期までのこどもの 育ちの5つのビジョン」の方向性に合致するものだと考えます。
4.子育て支援型共同住宅整備の促進→高齢者に向けた多様な住宅施策(介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け 住宅等)に公費が活用されていますが、子育て支援型の住宅施策は十分ではありません。住宅にかかる費用も都 市部では非常に高額となっており、居住面積も減少傾向にあり、希望するこども数への影響も考えられます。 こどもの安全確保に資する設備の設置や交流施設の設置をする共同住宅(分譲マンション及び賃貸住宅)に対 する補助を行っている国土交通省の子育て支援型共同住宅推進事業等に対して、こども家庭庁からも後押しい ただき、さらに住宅確保がしやすい環境整備をお願いします。

○2025年3⽉4⽇ ⼦ども・⼦育て⽀援等分科会 御中
今回の要望は、以下のとおりです。
NPO法⼈ 全国⼩規模保育協議会 理事 全国医療的ケア児者⽀援協議会 顧問
認定NPO法⼈フローレンス 会⻑ 医療法⼈社団マーガレット 理事⻑ 駒崎弘樹

◎⼩規模保育事業に定員2〜9名の定員区分を設け、新たにS型を創設することを提案します。
◎妊婦等包括相談⽀援事業で、チャット相談やAIを積極的に活⽤できる ようにしてください
◎「こども誰でも通園制度」を、家族に事情をかかえるこども、移動が 難しいこどもも利⽤しやすくなる制度にしてください
◎⼀時預かり事業に、こども誰でも通園制度のように、医療的ケア児に 対する加算を創設してください
◎⼩規模保育事業で、⼀定の条件下で施設⻑の兼任を認めることで、こ どもの安全を守りながら保育⼠の労働環境を改善してください。
◎⼩規模保育事業で、1歳児配置加算の要件(3)を対象外とする例外 を認め、園の配置改善を後押ししてください。

○こども家庭審議会子ども・子育て支援等分科会 意見書
公益社団法人全国私立保育連盟 常務理事 谷俊英
1 処遇改善等加算の一本化について

処遇改善等加算の一本化への方向性をお示しいただきましたが、制度詳細について現段階で不 明なため、令和7年4月から遅滞なく職員に配分するための給与規程等の改正手続きができませ ん。ぜひ早急に自治体や保育関係団体にお示しをお願いします。同時に、複雑な内容を自治体から 各園への説明に多くの時間を要したり誤った運用を避けるために、例えば国主催で WEB 活用(オ ンデマンド研修動画等)による説明の機会を設ける等、制度改正にあたり円滑に事務が進む取組み をお願いします。
2 1歳児の職員配置の改善について
1歳児についての配置改善に向けた第1歩を踏み出したことについては、大変ありがたいこと ではありますが、基準そのものの改正が見送られたこと、さらには加算取得のために各種条件が付 されたことについては残念であります。条件の内容についても、平均勤続年数が10年以上の施設 にも増して経験年数が少ない施設こそ配置改善をすべきであると考えますし、また、ICT活用は今 後の優先課題ではありながら、少人数施設等にまで登降園管理機能が必須なのかどうかとも思い ます。
3 公定価格における定員超過減算の見直しについて これまで待機児童解消のため、各自治体は施設に対し定員を超過しての児童受入れを求めてき ました。その結果、ここ数年継続して待機児童ゼロを宣言している自治体も多くあります。自治体 とともに待機児童解消につとめてきた施設に対し、十分な周知期間をとり、公定価格上のマイナス の影響がでないような制度改正をお願いします。
4 公定価格における定員区分の細分化について 定員区分の細分化の方向性は長年保育団体として要望をしてきた事項であり、大変ありがたく 存じます。しかしながら、地方自治体の中には、独自のルールを設け定員変更を困難にしている自 治体も依然として見受けられます。今回の改正にあたり、あらためて国から自治体に対し独自ルー ルの制限・禁止を徹底していただきたいと思います。
5 保育DXの推進に向けた取組みについて 今般、国から保育現場におけるICT化を推進し保育DXを進めていくという大きな方向性が打ち 出されました。この方向性に従い各施設はICTを活用した補助金申請、保育記録、監査事務等を進 めていく必要があり、これまでの職場におけるデジタル環境から一歩進んだものに変わっていか なければなりません。そのため今後継続して、ICT機器やソフトの導入費用・維持管理・更新経費、 データ入力等、相当な経費が継続して必要となるという新たな段階に入っており、ぜひ公定価格上 でもそのための初期投資にとどまらない維持管理・更新経費についてもご配慮をお願いします。

○令和7年3月4日  意見書    全日本私立幼稚園PTA連合会 寺尾 康子
<「幼稚園」というキーワードを入れていただきたい>
→ 資料全体が保育所のイメージとなっていると思います。「保育所等」の中に「幼稚園」とい うキーワードを埋没させてないでいただきたいです。 昨今、保育所でも幼児教育に力を入れている施設もありますが、幼児教育は幼稚園の強み であります。保護者が、大切なわが子を預ける先に「幼稚園」も選択肢に入れてもらえるよ うな施策を考えて下されば、待機児童数も更に減少するのではないかと思います。
<数字だけでなく実態の調査と研究>↓
今後も調査結果や数字に捉われることのない実態調査や研究を行なっていただきたいです。 子供の自殺は過去最多、こちらに関しては、自殺リスクの統計・要因分析だけでなく、相談 窓口などでの会話内容をもとに心理学者に協力依頼・研究をしていただき一人でも多くの命 を救っていただきたいと思います。 また、厚生労働省が公表した令和6年の人口動態統計速報によると出生数も過去最低とな ってしまいました。20代・30代の男女を対象にどうしたら結婚・出産したくなるのかに加え て、どうすれば結婚後のお金の不安がなくなると思うか、また子育てや将来への不安がなく なるのかなど、その実態を様々な角度から突き詰め、更なる改善に注力していただきたくお 願い申し上げます。
<働かずして子育てに向き合っている家庭にもご支援を>↓
第7回の会議での意見書と重複しますが、低年齢での長時間保育が当たり前にならない『子育て社会』を作っていただきたいです。茨城県城里町の在宅育児手当(2万円/月)のよう な事業が全国においても実施していただき、保護者負担軽減のご支援をいただけますよう、 引き続きご検討いただきたくお願い申し上げます。 子どもと親の時間を大切にし、長時間保育を行わず運営を行っている幼稚園もございます。 そうした実態にも目を向けていただき、手厚いご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申 し上げます。 以 上

○第9回子ども・子育て支援等分科会 意見書
滋賀県知事 三日月 大造 (全国知事会子ども・子育て政策推進本部本部長)
今般の児童福祉法等の改正や、「こどもまんなか実行計画2025」の策定に当たって は、具体の施策の多くを担う地方と丁寧な調整を行っていただくとともに、地方が実 効性ある取組を円滑に展開できるよう、特に以下の項目について意見を提出する。
1 児童福祉法等の一部を改正する法律案について
→○ 保育所等の職員による虐待に関する通報義務等の創設については、子どもの安全 を守り、保護者が不安を抱えることなく安心して保育所等に預ける上で不可欠であ り、早急に整備する必要があるという法改正の趣旨には賛同するところ。 ○ 一方で、改正法施行に当たっては、事実確認や訪問調査、審議会への報告等地方 公共団体に相当の事務の増加が見込まれる中、現時点で都道府県や市町村、保育所 等に求められる役割や生じる実務の詳細が明らかにされておらず、法改正に適切に 対応するための予算や組織体制、周知等の所要の準備ができないことに不安の声も 上がっている。 ○ ガイドラインの作成に当たっては、地方の声を聴きながら実態に即した内容とし ていただくとともに、都道府県と市町村の役割分担や事実確認の在り方等必要な事 項を早期に明示いただきたい。 ○ 現場に混乱が生じないよう、本改正に伴い新たに被措置児童等虐待の対象となる 施設等に対して十分な周知・広報の期間を確保するため、早期に制度の詳細を明示 いただきたい。 ○ また、虐待に適切に対応するための専門人材の確保等の人的体制の整備を含め、 法改正に伴い生じる都道府県の財政負担について、国の責任において必要な支援を 講じていただきたい。

2 「こどもまんなか実行計画2025」の策定について→○ 幼児教育・保育の質の向上のため、「保育政策の新たな方向性」に掲げられた各種 施策を適切に盛り込んでいただきたい。特に、地域の課題に応じたきめ細やかな待 機児童対策、人口減少地域における保育機能の確保・強化、職員配置基準の改善、 保育士等の更なる処遇改善、保育人材確保について、実効的な取組をお願いしたい。 ○ こども性暴力防止法の施行に向けた体制・環境整備について明記いただき、法の 実効性が担保されるよう、国において対象施設・事業者の実態や、自治体の指導監 督の実態等を把握した上で、下位法令やガイドライン等の整備を丁寧に進めていた だきたい。 ○ 本実行計画は、施策の実施状況やこども大綱に掲げる数値目標・指標等の検証・ 評価結果を踏まえ、毎年改定することとされており、PDCAサイクルを回しなが らより良い施策に強化・改善していくため、「こどもまんなか実行計画2024」のフ ォローアップ状況をお示しいただくとともに、検証・評価結果を次期計画に反映し ていただきたい。
3 令和6年度保育対策総合支援事業費補助金について→○ 令和6年度保育対策総合支援事業費補助金について、令和7年3月中旬に予定さ れている交付決定に向けた事前手続として、再三にわたって交付申請額の経費精査 の依頼が来ており、交付決定額が大きく減少するのではないかと、全国の自治体に おいて不安が広がっているところ。 ○ 令和7年2月末時点において、令和6年度分の所要額を大きく精査することは相 当困難である。結果的に、交付決定額が少なくなれば、総事業費の見合いに応じて 地方で財源補填せざるを得なくなり、多大な影響が生じることとなる。 ○ 本補助金は、待機児童の解消や保育の質の向上のための予算として、極めて重要 なものであり、令和6年度交付決定および令和7年度予算において、所要額を十分 に確保いただきたい。 ○ なお、自治体としても、経費精査の必要性は認識しており、不断の改善が必要と 考えている。経費精査の精度を高めるために、事務負担の大きさや、国、都道府県、 市町村、各施設間でのやり取りが必要な中で、十分な時間的余裕をもって照会して ほしいとの趣旨の意見も多数寄せられたので、併せて申し添える。

○令和6年3月5日  第8回子ども・子育て支援等分科会 御中  
          意 見 書
特定非営利活動法人 全国認定こども園協会
1.1歳児の職員配置の改善について
→令和7年度予算案において、1歳児の職員配置の改善を進めるため、公定価格上の加算措 置として、新たに「1歳児配置改善加算」を措置いただいたことに感謝申し上げる。 具体的には、人材確保や保育の質の向上の観点も踏まえ、職場環境改善を進めている施設・ 事業所において、1歳児の職員配置を5:1以上に改善し、かつ、3つの要件を満たしたと きに加算されることとなっているが、この3つの要件が必要なものであるのか。特に(2) のICT の活用を進めている点については、何をどこまで行っていることが「進めているこ と」になるのか。また、(3)の平均勤続年数が10年以上の事業所のみに限定する理由は何 なのか。根拠のある説明をお願いしたい。 また、「こども未来戦略」を踏まえ、3歳児の配置を15:1、4・5歳児の配置を25:1に 改善されたものの、3歳児配置改善及びチーム保育加配を含めれば、既に多くの施設で15: 1 及び25:1は実現されていることに加え、チーム保育加配加算を取得している事業所は公 定価格上の金額に変更がなく、事実上改善がなされたとは言い難い。 「こどもが権利の主体」であるという、こども基本法の趣旨及び幼保連携型認定こども園 教育・保育要領が掲げる「子どもの最善の利益を守り、園児一人一人にとって心身ともに健 やかに育つためにふさわしい生活の場であること」を実現するためには25:1は十分ではな い。令和7年度以降の早期に1歳児の配置を5:1に配置基準上から改善いただくとともに、 4・5歳児の配置基準をユニセフのイノチェンティ研究所レポートカード8(2008年12月 発行)に記載されている、配置基準のベンチマーク(評価基準)が15:1であることを踏ま え、これに相当する配置を配置基準上で定めて頂きたい。

2.子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)について→今年度の財務状況等を事業終了後 5 か月以内に、入力することが求められている「ここ de サーチ」であるが、現在の時点で、自治体や事業者などに対する説明が行われていない。 また、事業者側が何をどのように入力したものが、どのように公開されるのか、特に人件費 を入力した場合に、どのような区分でどのような粒度で公表されるのかについての説明がな されていないことに大変懸念を感じている。事業者に過度な負担がかかることのないよう、 適切な実施スケジュールで進めて頂きたい。また、経営情報の見える化が推進されることは重要なことではあるが、本来の趣旨から逸 脱することがないよう、継続的な見える化の目的である「公定価格の改善」の道筋を示して いただきたい。 更に、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やすため、公的価格の在 り方を検討する「公的価格評価検討委員会」が2022年12月15日以降開催されておらず、 最終とりまとめも未だ公表されていない。最終とりまとめがいつ頃報告されるかについても お示しいただきたい。 加えて、令和5年8月28日に出された「子ども・子育て支援制度における継続的な見え る化に関する有識者会議報告書」では、「継続的な見える化の主たる目的は」「公定価格の改 善を図ることである。」とされている。本来の趣旨を見失わず、運用されていくことを強く 要望する。

3.処遇改善等加算の一本化について→公定価格の処遇改善等加算T・U・Vの一本化についてご検討いただいていることに感謝 申し上げる。とはいえ、来月からの運用変更となるため、自治体と事業者への詳細な説明を 行っていただき、特にキャリアアップ研修会の取得方法、時間の計算方法など、丁寧な説明 に努めていただきたい。また、処遇改善加算については、効果的な職員処遇の向上が図れる よう、より柔軟な法人の裁量を認めて頂きたい。 以上

○第9回 こども家庭審議会 子ども・子育て支援等分科会 意見書
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会
1. 保育に携わるすべての職員の配置や処遇改善について(資料5)
(1) 保育に携わるすべての職員の配置基準について
→• 近年、子どもの発達においては個人の差が大きく、個別に対応する必要性が増しています。配慮が必要な子ども、気になる子どもも増えています。子どもたちにきちんと向き合うため、基準以上の職員の配置については、各施設の努力により対応してきた現状があります。 • 今回、1歳児の配置基準の改善が示されたことに感謝申しあげます。しかし加算であるうえに、要件が課され、例えば要件(2)であれば、ICTによる登降園管理とさらに1機能を活用していなければ加算を取得できないということになります。子どもに きちんと向き合うための配置基準の改善であるはずなのに、要件を課す必要があるの でしょうか。1歳児の配置基準についてさらなる改善をお願いします。 • 4・5歳児の配置基準の改善についても、改善された配置基準(3歳児15:1、4・5 歳児25:1)にとどまらず、OECD加盟諸国における就学前施設の配置基準をめざすことを要望します。また、今回の配置基準の改善は、「チーム保育推進加算(略)を取得している施設は、25対1以上の配置が実現可能となっているため、引き続き、当該加算のみを適用」とされました。しかし、チーム保育推進加算は、チームリーダーの位置づけ等、チーム保育体制を整備し、職員の平均経験年数(12年以上)やキャリアを積んだ保育士が若手保育士とともに保育する体制を整備することで得られる加算です。配置基準の改善とは根本的に主旨が異なるものです。今後、配置基準の改善に 加えてチーム保育の体制を整備している場合などには、別途チーム保育推進加算が獲 得できるよう整理していただくことを要望します。 • もちろん、応答的な関りが求められる2歳児の保育士の配置基準の改善も必要です。 • また、配置基準については、保育士・保育教諭はもちろん、看護師や栄養士、調理員、事務員等の保育士以外の職員の配置基準が適当なのか、しっかり精査してください。
(2) 保育士が長きにわたってキャリアを積み上げ、専門性を高めるために→ • 保育士の平均勤務年数が年々伸びているなか、現在の処遇改善等加算Tは11年で加算率が頭打ちとなります。経験が豊富で専門性の高い職員は、現場に必要不可欠な存在です。 • 保育士のさらなる定着をめざして、加算のあり方を見直すとともに、福祉職俸給表における格付の見直しも含めた公定価格の基本単価の引き上げ等、さらなる処遇改善を進めてください。 (3) 主任保育士の役割について→•「こども誰でも通園制度」の試行的事業の前に実施されていた「保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業」の中間評価集計結果では、担当職員の約63%が保育の経験年数が11年以上となっています。 • 時間的な制約等のある「こども誰でも通園制度」を進めるにあたっても、経験や専門性のある主任保育士が果たす役割が重要であり、期待されることは明白です。 • 主幹保育教諭の配置が公定価格上の配置基準に含まれている一方で、主任保育士の配 置については、要件を満たした場合に加算により措置されるという、果たしている役 割の重要性に比べて非常に不安定な状況です。 • 主任保育士がその専門性を十分に発揮し、保育の質をさらに向上させるため、加算で はなく、公定価格上の配置基準に含み、専任必置化としてください。 (4) 施設長の資質向上のために→•保育者がやりがいを持って働き続けられるような風通しのよい職場をつくり、園をマネジメントする役割を担うのは施設長です。施設長がその責任を果たすために、減算措置ではなく必置化するとともに、必修研修や資格等の要件などを的確に定めること が必要です。

2. 社会福祉施設職員退職手当共済制度について(資料8)
3. 令和6年度末までに結論を得るとされていた「社会福祉施設退職手当共済制度におけ る保育所等に対する公費助成の継続」については、継続されるとなりましたが、「令和 8年度までに改めて結論を得ることとする」とされました。•保育人材確保難が深刻化しているなか、日本の将来を担う子どもの健やかな育ちを保障し、国が策定する「誰でも通園制度」などを着実に実施するためには、保育人材確保が欠かせません。 •保育人材を確保し、子どもの健やかな育ちを保障するため、社会福祉施設職員等退職手当共済制度については、その公費助成を堅持・継続してください。

3.処遇改善等加算T〜Vの一本化について(資料5)
3.処遇改善等加算T〜Vの一本化については、令和 7 年度 4 月から開始されますが、現 時点で詳細な説明がなく、自治体も分かっていない状況です。 5.保育現場の混乱は、子どもたちの保育への影響も出かねません。現場が混乱を来さぬ よう、自治体、保育園・認定こども園等に対し、わかりやすく、丁寧な説明を早急に お願いします。

4.子どもの育ちをまんなかに据えた政策の実施(資料1)→ •「児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要」(資料1)において、「3〜5歳児の こどものみを対象とする小規模保育事業の創設」が、令和8年4月1日に施行される ことが説明されました。 •3〜5歳の子どもたちは、身体活動が活発になるとともに、集団としての保育の重要 性も増す時期です。 •設備・面積基準や園庭の設置の基準などは今回の資料だけではわかりませんが、小規模保育事業所で3〜5歳の子どもの育ちを保障できるのか疑問です。 •国の規制改革という視点だけで判断するのではなく、日本の将来を担う子どもの育ち という視点からご検討・ご判断いただくことが必要だと考えます。

5.保育現場での DX の推進について(資料10)
6.保育現場での DX の推進にあたっては、現実としてまだまだ ICT 化されていない自治 体や施設があるとの声があります。
7.保育現場のDXを実現するにあたっては、実際に使用する自治体・施設においてIC Tが拡充されることがまず必要です。全国的に拡充が進むよう、自治体にさらなる働 きかけをしてください。
8.また、一律の運用を進めるにあたっては、各施設で必要な環境性整備等、具体的にお 示しいただくことで取り組みやすくなると考えます。

6. 「こどもまんなか社会」を実現するための日本の働き方改革(資料2)→•安心して子どもを産み育てる環境を整えるとともに、家族で過ごす時間を大事にしな がら子育てができる社会とし、保護者の働き方も「こどもまんなか」にすることが、 少子化反転につながると考えます。 •そのためには日本の長時間労働を是正する施策をすすめることが必要であり、資料2 の「こどもまんなか実行計画2024(概要)」の「こども施策に関する重要事項」の1 つに「子育て当事者への支援」とあり、「柔軟な働き方の推進」「長時間労働の是正」 が挙げられています。 •その一方、保育所等においては11時間開所や土曜開所が求められています。保護者の就労の関係で、開所時間のすべてを園で過ごす子どもたちもいます。それは、国がめざす「こどもまんなか」の社会なのでしょうか。 •働き方改革は早急に行うべき課題です。日本の長時間労働を是正する施策を進めると ともに、子どもたちの育ちとその家庭を支える側である保育士の働き方を改善するた めにも、11時間開所が求められる保育所等の開所時間のあり方等についても検討してください。このことは保育士の人材確保・定着に直結する問題でもあると考えます。

次回は新たに「令和7年第2回経済財政諮問会議」からです。

第9回 子ども・子育て支援等分科会 [2025年03月27日(Thu)]
第9回 子ども・子育て支援等分科会(令和7年3月4日)
議題 (1)子ども・子育て支援関係制度改正の状況(資料1)(2)こどもまんなか実行計画2025の策定(資料2)(3)令和7年度子ども・子育て支援関係予算案(資料3) (4)子ども・子育て支援施策関係の最近の動向について(資料4〜13)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_kosodate/2c06860e
◎参考資料4 放課後児童対策パッケージ2025
○放課後児童対策パッケージ2025新規・拡充事項のポイント
→喫緊の課題となっている放課後児童クラブの待機児童の解消に向けた受け皿整備等に関し、引き続き「場の確保」「人材の確保」「適切な利用調整(マッチング)」に取り組みつつ、浮かび上がってきた3つの課題に 対応した6つの対応策を追加して整理。
・3つの課題→@待機児童発生状況の偏り(対応策:1〜3) 
A補助事業の未活用等(対応策:4〜5)
B関係部局間・関係者間の連携(対応策:6)         
・6つの対応策↓
1.夏季休業期間中等の開所支援。
2.特に入学前の不安が大きい小学校新1年生の待機の解消。
3.待機児童数の多い自治体に向け、民間の新 規参入支援、人材確保策の実施、待機児
童 に対する預かり支援を行う等のモデル事業等を 展開。
4.待機児童数の多い自治体について、補助事業の丁寧な周知を図るとともに、補助事業
の活 用状況を含めた取組状況や待機児童の状況 の詳細を公表。
5.緊急的に受け入れ増に至った場合の安全対 策について更なる方策の検討等。
6.運営委員会や総合教育会議の活用促進、学校施設活用に際し教師の負担を生じさせる
ことのない管理運営等の好事例の共有。


○放課後児童対策パッケージ2025(令和6年12月)概要→・「新・放課後子ども総合プラン」「放課後児童対策パッケージ2024」の実施により、受け皿確保は目標としていた152万人分をほぼ達成(151.9万人)。 一方で、待機児童数は令和6年5月1日時点で1.8万人と、令和5年度の同時期(1.6万人)に比べて増加。 ・待機児童対策の一層の強化と放課後の児童の居場所確保に向け、こども家庭庁と文部科学省が連携し、予算・運用等の両面から令和6〜7年度に集中 的に取り組むべき対策として充実を図り、パッケージを改訂するものである。
1.放課後児童対策の具体的な内容について→放課後児童クラブの実施状況(R6.5.1)登録児童151.9万人待機児童1.8万人
(1)放課後児童クラブにおける待機児童の解消策
1)放課後児童クラブを開設する場の確保→@〜Gまで。
2)放課後児童クラブを運営する人材の確保→@〜Gまで。
3)適切な利用調整(マッチング)→ @〜Aまで。
4)時期的なニーズ等への対応→ @〜Bまで。
5)自治体へのきめ細かな支援とコミュニティ・スクールの 仕組みの活用推進
→ @〜Aまで。
(2)全てのこどもが放課後を安全・安心に過ごすための強化策
1)多様な居場所づくりの推進→@〜Fまで。
2)放課後児童対策に従事する職員 やコーディネートする人材の確保→ @〜Bまで。
3)質の向上に資する研修の充実等→ @〜Eまで。
2.放課後児童対策の推進体制について
(1)市町村、都道府県における役割・推進体制→ @〜Aまで。
(2)国における役割・推進体制→ @〜Aまで。
3.その他留意事項について
(1)放課後児童対策に係る取組のフォローアップについて→ @〜Bまで。
(2)子ども・子育て支援事業計画との連動について
(3)こども・子育て当事者の意見反映について


◎参考資料5―1 こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会におけるとりまとめ(概要)
第1こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討の背景
→・全てのこどもの育ちを応援し、全ての子育て家庭に対する支援を強化するものとして「こども誰でも通園制度」を創設。 ・令和7年度の制度の在り方、令和8年度からの本格実施に向けた検討の方向性について、検討会で議論し、取りまとめ

第2令和7年度の制度の在り方について
@令和7年度の利用可能時間
→・制度の本格実施を見据えて、都市部を含め全国で提供できる体制を確 保できるようにすること、保育人材確保の状況等を踏まえ、月10時間。 A対象施設及び認可手続→・多様な主体の参画を認める観点から、対象施設自体は限定しない。認可基準を満たしており、適切に事業を実施できる施設であれば認める。 B対象となる子ども→・伴走型相談支援等が実施されていることや、安全配慮上の懸念にも鑑み、保育所等に通っていない0歳6か月〜満3歳未満とする。 C利用方式→・こども・保護者のニーズは様々であること等を踏まえ、利用方式については 法令上の規定を設けない。 D実施方式→・一般型、余裕活用型を法令上位置付けた上で、こどもの居宅へ保育従事者 を派遣することについては運用上認める。 E人員配置基準→・「こどもの安全」が確保されることを前提に、一時預かり事業と同様の人員配置基準とする。 F設備基準→・試行的事業の実施状況等を踏まえ、一時預かり事業と同様の設備運営基準。 G安定的な運営の確保→・令和7年度予算案※取りまとめ後追記。 0歳児:1,300円1歳児:1,100円2歳児:900円。 Hその他の事項(手引、総合支援システム)→・実施に当たっての手引について、自治体や検討会の構成員等の関係者 の意見を聴いてとりまとめ、年度末までに示す。 ・予約管理・データ管理・請求書発行機能を有するシステムについて、令和7年度から運用開始を予定。運用開始後も運用状況や関係者の意 見等を踏まえ、必要な改修を行っていく。

第3令和8年度の本格実施に向けて
@令和8年度以降の利用可能時間
→・令和7年度における制度の実施状況、全国的な提供体制の確保状況、保育人材の確保状況等を踏まえ、引き続き検討。 A給付化に伴う公定価格の設定→・令和8年度からの給付化に伴い、必要な人材を確保し、しっかりと運営できるものとなるよう公定価格を設定する必要。 Bこども誰でも通園制度の従事者に対する研修→・安全性や専門性を担保するため、従事者向けの研修を開発するべきであり、 その内容や実施方法について、引き続き検討。 C市町村による提供体制の整備と広域利用の関係→・市町村は子ども・子育て支援事業計画に量の見込みを記載した上で、提 供体制を確保。広域利用の在り方も含めて整理が必要。 D令和8年度の全国実施に向けた市町村や事業者の準備等→・全ての市町村が量・質両面から提供体制を確保等できるよう、こども家庭庁・都道府県による支援が必要。

第4おわりに
令和8年度の本格実施に向けて、引き続き、学識経験者、保育所・認定こども園・幼稚園などの関係事業者、地方公共団体と意見交換や議論を重ねながら検討していくべきである。


◎参考資料5−2 こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会におけるとりまとめ  令和6年12月26日 こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会
○目次のみ↓

第1 こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討の背景
第2 令和7年度の制度の在り方について
1 令和7年度の利用可能時間について
2 対象施設及び認可手続について
3 対象となるこどもについて
4 利用方式について
5 実施方式について
6 人員配置基準について
7 設備基準について
8 安定的な運営の確保について
9 その他の事項について(手引、総合支援システム)
第3 令和8年度の本格実施に向けて
1 令和8年度以降の利用可能時間について
2 給付化に伴う公定価格の設定について
3 こども誰でも通園制度の従事者に対する研修について
4 市町村による提供体制の整備と広域利用の関係について
5 令和8年度の全国実施に向けた市町村や事業者の準備等について
第4 おわりに


◎参考資料6−1 こども誰でも通園制度の実施に関する手引(素案)(概要)
○こども誰でも通園制度の実施に関する手引(素案)
→ 実施事業者はもとより従事する保育者や自治体の担当者が、この制度の趣旨目的を理解するとともに、年齢ごとの関わり方の留意点や利用方法など、適切に事業を実施する上で参考となる事項をお示しする。
目次
T 基本的事項
@制度の意義 1.基本的な考え方 2.こどもの成長の観点からの意義 3.保護者にとっての意義 4.保育者にとっての意義 5.事業者にとっての意義 6.制度の意義を実現するための自治体の役割
A令和7年度の制度の概要 1.制度の概要 2.事業の全体像
U 事業実施の留意事項
@共通事項 A通園初期の対応 B年齢ごとの関わり方の特徴と留意点 C特別な配慮が必
要なこどもへの対応 D計画と記録 E保護者への対応 F要支援家庭への対応上の留意点 Gその他
V その他の留意点等
@個人情報の取扱いについて A他制度との関係 1 B職員の資質向上等

○T基本的事項-1.制度の意義↓
・基本的な考え方
→こどもの成長の観点から、「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備する」ことを目的としている制度。
・こどもの成長の観点からの意義→・家庭とは異なる経験や、地域に初めて出て行って家族以外の人と関わる機会が得られる。 ・同じ年頃のこども同士が触れ合いながら、家庭だけでは得られない様々な経験を通じて、ものや人への興味や関心が広がり、成長していくことができる。 ・年齢の近いこどもとの関わりにより、社会情緒的な発達を支えるなど成長発達に資する豊かな経験をもたらす。等
・保護者にとっての意義→・専門的な知識や技術を持つ人との関わりにより、ほっとできたり、孤立感、不安感の解消につながるとともに、育児に関する負担感の軽減につながる。 ・こどもへの保育者の接し方を見ることにより、こどもの成長の過程と発達の現状を客観的に捉えられるなど、保護者自身が親として成長することができる。 ・様々な情報や人とのつながりが広がり、保護者が子育てにおいて社会的資源を活用することにもつながる。等
・保育者にとっての意義→・これまで接する機会の少なかったこどもや家庭と関わることで、保育者として有する専門性を地域のこどもの育ちのためにより広く発揮できる。 ・在宅で子育てする保護者に対して、家庭の中だけでは気づかないこどもの姿や育ちについて伝えたりすることで、こどもや子育てへの肯定感を支えるとともに、 子育ての孤立感や不安感の解消につなげていったりするなど、保護者に対してもその専門性を発揮することができる。等
・事業者にとっての意義→・定員を満たすことが難しくなりつつある保育所等において、キャリアを重ね、高い専門性を有する保育者などの人材を手放すことなく、事業を継続したり、 発展させていく可能性が広がる。 ・地域の様々な関係者との連携が新たに生まれたり、関係が深化するなど、地域社会とのつながりをより感じられるようになる
・制度の意義を実現するための自治体の役割→・広くこどもの育ちを支える制度であるとともに、要支援家庭等を早期に把握したり、適切なサポートにつなげたりする新たな機会としての意義も含め、関係 者間で認識を共有していくことが求められる。 ・各施策の担当者のみならず首長や教育長をはじめ、関係する職員が部局横断的に、制度の意義について共通理解をもって取組を進めることが重要。 ・各市町村において、受入れに必要な定員数を算出し、必要整備量の見込みの把握を行うとともに、地域でどのように提供体制を整備していくのか、主体的に検討する必要がある。

○T基本的事項-2.令和7年度の制度の概要→・全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない 形での支援を強化するため、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付。 ・ 0歳6か月から満3歳未満で保育所等に通っていないこどもが対象。⇒事業の全体像 参照。

○U事業実施の留意事項-1.共通事項→・乳幼児期は、安全が守られ、安心して過ごすことができる環境のもと、周囲の人やものとの相互的な関わりを通して、心身が成長・発達していく時期。この時期は、とりわけ、身近な人との応答的な関わりの中で、その後の発達の土台ともなる自己肯定感や他者への信頼感などが育まれていくことが大切。 ・「はじめの100か月の育ちビジョン」で述べられているように、幼児期までのこどもの育ちにおいては、安定した「アタッチメント(愛着)」を安心の土台として、多様な人やモノ・環境と関わる豊かな「遊びと体験」を通して外の世界へ挑戦していく「安心と挑戦の循環」が重要。 ・こども誰でも通園制度において、こうしたこどもの育ちを支えていくための関わりや保育の環境を提供するにあたっては、「保育所保育指針(平成29年3 月厚生労働省告示第117号)」を理解した上で、以下の内容に留意すること。
1.共通事項→安全確保に必要な情報の共有、重大事故の防止、乳幼児突然死症候群(SIDS)について、食事の提供について、低年齢児の受入れを初めて行う事業所について、こども誰でも通園制度の特性に応じた運営

○U事業実施の留意事項-2.通園初期の対応↓
・システムによる情報共有
→利用者の同意に基づき、家族の状況、こどもの状況、発達の状況について、事前面談や利用予約の対象となる事業所にシステム上で共有。
・事前面談→初回利用の前に、保護者(利用こどもも同席することを基本)と事前の面談を行い、利用に当たっての基本的事項の伝達を行うとともに、こどもの特 徴や保護者の意向等を把握。オンライン実施も可。
・親子通園について→・慣れるまでに時間がかかるこどもに対する対応として、「親子通園」を取り入れることで、こどもも親も不安を感じずに通園するとともに、保育者も親子の様 子を確認しながら保育を行うことができ、親子にとっても保育者にとっても安心につながることが期待される。 ・ただし、こどもの育ちの観点から、親子通園が長期間続く状態になることがないよう留意が必要。また、親子通園を利用の条件とすることは適当では ない。
・利用こどもの保護者とのコミュニケーション→通園の送り迎えの機会を捉えた保護者とのやりとりや、保護者連絡アプリ、連絡帳によるやりとり等を通じ、施設でのこどもの様子や、家庭でのこどもの 様子について共有を行うことが重要。定期的な面談の機会を設定することも考えられる。
・短時間からの利用について→慣れるのに時間がかかるこどもへの対応として慣らし保育を導入する(段階的に1回の利用時間を延ばしていく)場合、こどもの様子を保護者と共有 しながら、こどもが園で過ごす時間をどのように調整するか、保護者の意向も踏まえ検討する。

○U事業実施の留意事項-3.年齢ごとの関わり方の特徴と留意点↓
・0歳児との関わり方について
→この時期の発達の特徴を理解し保育所保育指針第2章1に示すねらい及び内容を参考にしつつも、こどもの成長・発達には個人差がある ことから、一人一人のこどもの状況をよく把握した上で、柔軟に関わっていくことを基本としながら、0歳児の受け入れを行うこと。
<乳児期の発達について>※保育所保育指針第2章1(1)より一部引用→視覚、聴覚などの感覚や、座る、はう、歩くなどの運動機能が著しく発達し、特定の大人との応答的な関わりを通じて、情緒的な絆が形成されるといった特徴がある。これらの発達の特徴を踏まえて、乳児保育は、愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要である。
・1・2歳児との関わり方について→この時期の発達の特徴を理解したうえで、保育所保育指針第2章2に示すねらい及び内容を参考にしつつも、こどもの成長・発達には個 人差があることから、一人ひとりのこどもの状況をよく把握した上で、柔軟に関わっていくことを基本としながら1・2歳児の受入れを行う。
<1歳児から2歳児との関わりについて>※保育所保育指針第2章2(1)より一部引用→・この時期は、歩き始めから、歩く、走る、跳ぶなどへと、基本的な運動機能が次第に発達し、排泄の自立のための身体的機能も整うように なる。つまむ、めくるなどの指先の機能も発達し、食事、衣類の着脱なども、保育士等の援助の下で自分で行うようになる。発声も明瞭になり、 語彙も増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる。 ・このように自分でできることが増えてくる時期であることから、保育士等は、こどもの生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに愛情豊かに、応答的に関わることが必要である。

○U事業実施の留意事項-4.特別な配慮が必要なこどもへの対応↓
・障害のあるこども
→・市町村及び事業者はあらかじめ障害のあるこどもの受入れ方針について検討し、関係部局や保護者へ周知。 ・事業者は、障害のあるこどもの保護者から利用の相談や申込みを受けた場合、面談や文書等によりこどもの特性・状態や保護者の状況等について丁寧に把握し、受入れ可能性について検討。正当な理由により受入れが困難である場合は、具体的な理由とともに市町村に報告。 ・障害のあるこどもに関する研修受講や緊急時の対応についての認識の共有など、受入れに必要な体制整備を行った上で、利用開始となるよう市町村、 事業者、保護者及び関係機関が連携して準備を進めることが必要。
・医療的ケアを必要とするこども→障害のあるこども受け入れと同じ。
・居宅への派遣→・「通園」を基本とする制度だが、保育所等で過ごすことや、外出することが難しい状態にあるこども(医療的ケア児や障害のあ るこどもを想定)に対応するために当該こどもの居宅へ保育従事者を派遣することについて運用上可能としている。 ・利用方法が居宅を訪問する形に固定されてしまうことで、通園できる状態に回復しているにもかかわらず、その機会を逸してしまうことがないよう、こどもの 状態に留意しながら対応する必要。

○U事業実施の留意事項-5.計画と記録について、6.保護者への対応↓
5.計画と記録

・こども誰でも通園制度における計画→・発達に応じたこどもの育ちに適した安全な環境を整え、こどもが楽しく過ごせるように見通しを持つことは重要であるため、こどもの育ちに関する長期的見 通しをもった全体的な計画及び一人ひとりのこどもの実態に応じた指導計画を作成することが必要。 ・各事業所の方針に従い、その目標を達成するために、どのようにこどもの育ちを支援するのかを示した全体的な計画の作成が必要。ただし、保育所 等に併設されている事業所においては、既に作成されている全体的な計画を活用することも可能。 ・こどもの利用状況に応じて期間を設定した個別の指導計画の作成が必要。
・こども誰でも通園制度における記録→・以下を参考に記録を作成。 ➀事業の実施内容確認の記録:活動やこども、保護者に関するトピック等、職員間で共有すべき事項を簡潔に記録 A利用児童の育ちに関する記録:利用児童の特性や育ちの経緯 B自治体が把握し、円滑な利用につなげるための情報:総合支援システムを活用した、事業者間で共有するこどもの過ごし方等に関する情報。 ・多様な利用形態のある本制度において、各事業所が一人ひとりのこどもに応じた関わりや遊びを通じた育ちの支援を行っていくためには、関わる職員が認識や見通しを共有していくことが重要。 ・保護者に関する受け止めや支援に関する振り返りも同様に、一体的に行っていくよう努める。 ・振り返りの際、本制度は実施形態や利用児童の利用の仕方により、こどもや保護者と保育従事者や事業者との関係性が多様であることを踏まえることが大切。
6.保護者への対応→・こども誰でも通園制度は、こどもの育ちの支援とあわせて、子育ての相談ができる場としての役割が期待。 ・保育の専門家である保育士からの支援を通じて、保護者の養育力を向上させ、家庭におけるこどもの育ちを充実させることにもつながることが期待。 ・こども誰でも通園制度における子育て支援に関する基本として、 ・各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、自己決定を尊重すること ・保育者の専門性や、同年代のこどもが一緒に過ごしている環境などの特性を生かし、保護者がこどもの成長に気づき子育ての喜びを感じられるように 努めること  が大切。

○U事業実施の留意事項-7.要支援家庭への対応上の留意点、8.その他↓
7.要支援家庭への対応上の留意点

・市町村における保護者へのアプローチ→要支援家庭への市町村によるアプローチとして、下記のような対応が考えられる。 ・制度を知らない段階からのアプローチとして、例えば、伴走型相談支援事業や乳児家庭全戸訪問事業といった事業の中で、全ての保護者に対してこども誰でも通園制度について周知 ・伴走型相談支援事業や乳児家庭全戸訪問事業等の中で要支援家庭等を把握した場合に、必要に応じてこども誰でも通園制度に繋げる ・要支援家庭の支援を行っている部署から、こども誰でも通園制度の担当部署に対して、気になるこどもや家庭の申請状況や利用状況を確認等
・事業者における気になるこども・保護者を把握した場合のアプローチ→・事業者において、気になるこどもや保護者を把握した場合には、保育所等と併設している事業所では保育所の園長や主任保育士に相談することや、 子育て支援センターや地域子育て相談機関を併設している事業所ではそれらの機関と連携して保護者が心配事を話せる機会を設けてみるなど、組織的 な連携の下、保護者との信頼関係を構築。 ○事業所や併設する保育所等のみでこどもや家庭を支援することが難しいと判断した場合には、速やかに市町村(こども家庭センター等)や地域子育 て相談機関、保健所等へ情報共有を行い、必要な対応について相談。
8.その他
・令和7年度における広域利用の取扱い→広域利用については、令和7年度は、自治体間で協定が結ばれているなど調整が行われていることを前提に利用可能。
・地域の実情に応じた実施→・待機児童が生じている地域においては、保育の受け皿に与える影響を考慮したうえで、保育所等の定員外(一般型)での整備を中心に進めていく ことが考えられる。 ・人口減少地域においても、地域内に対象となるこどもが存在する限り、こども誰でも通園制度を利用できる体制整備が必要。定員充足率が低下して いる地域においては、既存の保育所等を活用して、実施を積極的に進めていくことが考えられる。・必ずしも保育所を中心とした整備を進める必要はなく、それぞれの地域資源を活用した、地域の実情に応じた体制整備を進めることが大切。 ・こども誰でも通園制度の実施に当たっては、更なる保育人材の確保が必要。都道府県を中心として、保育士・保育所支援センター等を活用して域内 の人材確保に努めることが重要。

○Vその他の留意点等↓
・個人情報の取り扱いについて
→・アレルギーなど、こどもの安全を確保するために必要不可欠な情報は事前に把握しておくことが重要。・利用者の同意を得るにあたりどの範囲で、いつまで共有されるのかということを明確にした上で利用者に誤解の無いように伝えることが必要。・個人情報は、利用の認定をした市町村において適切に管理を行うこと。他の自治体に情報提供する場合は、利用者から個人情報の提供の同意を得て行う。 ・総合支援システム上では、プライバシーポリシーや利用規約に則り記録や共有を行うこと。
・他制度との関係→・こども誰でも通園制度と一時預かり事業は、主に、@目的・定義面の違い、A給付制度と事業といった制度的な建付けの違いがある。 @一時預かり事業が、「保護者の立場からの必要性」に対応するものであるのに対して、こども誰でも通園制度はこどもの育ちを応援することが主な目的。 A一時預かり事業は「事業」である一方で、こども誰でも通園制度は令和8年度から「給付制度」として実施。 ・こども誰でも通園制度と一時預かり事業を、同一事業所内において一体的に実施する場合、利用者にその利用目的に応じて適切に使い分けていただ くことが大事であり、自治体はその点について十分理解した上で、両制度について案内する必要。 一方で、こども誰でも通園制度と一時預かり事業を併用するこどもについて、利用する制度が切り替わることにより支援の内容が大きく変わること、担当する保育者が変わること等は望ましいことではなく、こどもの育ちを支える視点から、利用制度が切り替わったとしても一貫した支援を提供できるよう心掛ける 必要。
・職員の資質向上→・管理者は、その責務として、「制度及び事業の目的・意義を正しく理解すること」、「本事業実施における目標の設定を行い、定期的に業務管理を行 うこと」等の事項を行う必要。 ・保育士資格を有しない従事者については、こども誰でも通園制度に従事する前に、子育て支援員研修等を受講することで、必要な知識や技能等を習 得する必要。保育士を含めた従事者が、制度の理解を踏まえた専門性が発揮できるよう、市町村・実施事業所は適切に研修等の機会を設ける必要。 ・職員のメンタルヘルスへの配慮として、保育者への定期的なヒアリングを実施する、特に経験の浅い保育者には管理職等がしっかりと伴走する、といっ た対策を講じることが重要。


◎参考資料6−2 こども誰でも通園制度の実施に関する手引(素案)
はじめに↓

○ 乳幼児期のこどもは様々な人やもの、環境との初めての出会いを繰り返しながら育っていきます。 だからこそ、こどもが人生の最初の一歩を健やかに踏み出せるよう、社会全体で支え、応援していく ことが大切です。 ○ 0〜2歳児の約6割が未就園児ですが、そうしたこどもを持つ子育て家庭には「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えている保護者がおり、そうした保護者への支援の強化が求められています。 ○こうした中、全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、保護者の多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、「こども誰でも通園制度」が創設されることとなりました。 ○この制度は、現行の幼児教育・保育給付とは別に、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できるものとして、児童福祉法において「乳児等通園支援事業」を規定(令和7年4月1日施行)するとともに、子ども・子育て支援法に「乳児等のための支援給付」 として規定(令和8年4月1日施行。令和7年度は地域子ども・子育て支援事業として実施。)され、 制度の本格実施により、@給付制度となることで一定の権利性が生じること、A全国どの自治体でも 共通で実施することとなります。 ○また、こども誰でも通園制度では、認定の申請をしている人としていない人や、認定を受けた上でどの程度利用しているかについて、自治体が状況の把握をすることができるため、支援が必要な家庭の把握などにつなげていくことができます。こども誰でも通園制度の趣旨は、いわば、ポピュレーシ ョンアプローチ(リスクの大きさにかかわらず、集団全体に対して働きかけて全体のリスクを下げる取組)であるとともに、ハイリスクアプローチ(リスクの高い対象を明らかにして、そこに集中的な働きかけを行うこと)へのつなぎの役割も含まれるものです。 ○ こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けては、令和6年度に試行的事業を実施するとともに、令和7年度の制度化、令和8年度の本格実施に向けて検討が必要な各論点について検討するため、 学識経験者、保育所・認定こども園・幼稚園などの関係事業者、自治体から構成される「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」を開催しました。 ○この検討会での議論を踏まえ、こども誰でも通園制度の意義や、実施の在り方等について、各事業者はもとより、対応に当たる保育者、制度を地域全体で具体化していく自治体等の参考となる資料として、また、利用するこどもの保護者にも制度の意義や基本的な仕組み等が伝わるように、この手引を作成しました。 ○関係者がこどもをまんなかに考え、この制度がこどもにとってよりよいものとなるよう連携しながら、各地域において提供体制の確保と取組の実施を進めるとともに、各施設の実情に応じて創意工夫を図り、質の向上に努めていく際の参考として、本手引を活用していただきますようお願い申し上げます。
T 基本的事項 ↓
1.制度の意義
(1) 基本的な考え方
→社会の様々な人が関わり、社会全体で子育てを支えることが求められ、こどもの成長の観点から、「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備する」ことを目的。⇒4点の考え。○こども誰でも通園制度は、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず保育所等に 通園できる仕組みとして創設。その意義は、一時預かり事業のように、いわば「保護者の立場からの必要性」に対応するものとは異なり、こどもを中心に考え、こどもの成長の観点から、「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備する」ことを目的として おり、まさに「こどもまんなか」の政策であると考えています。
(2) こどもの成長の観点からの意義→家庭とは異なる経験や、地域に初めて出て行って家族以外の人と関わる機会、同じ年頃のこども同士が触れ合いながら、年齢の近いこどもとの関わりにより、社会情緒的な発達を支えるなど成長発達に資する豊かな経験をもたらす。⇒こどもについて新たな気づきを得たり、こどもとの関わりに対して自信を回復することにもつながったりするなど、こどもの育ちや保護者とこどもの関係性 にも良い効果があること
(3) 保護者にとっての意義→専門的な知識や技術を持つ人との関わりにより、ほっとできたり、孤立感、不安感の解消、育児に関する負担感の軽減につながり、こどもへの保育者の接し方を見ることにより、こどもの成長の過程と発達の現状を客観的に 捉えられるなど、保護者自身が親として成長することができ、様々な情報や人とのつながりが広がり、保護者が子育てにおいて社会的資源を活用することにもつながる。⇒4点あり。○親子が地域の様々な社会的資源につながる契 機となり、これにより様々な情報や人とのつながりが広がり、保護者が子育てにおいてこうした 社会的資源を活用しやすくなることにもつながり得ると考えられます。
(4) 保育者にとっての意義→保育者として有する専門性を地域のこどもの育ちのためにより広く発揮でき、在宅で子育てする保護者に対して、家庭の中だけでは気づかないこどもの姿や育ちについて伝えたりすることで、こどもや子育てへの肯定感を支え、子育ての孤立感や不安感の解消につなげていったりするなど、保護者に対してもその専門性を発揮することができる。⇒意義と留意が必要。
(5) 事業者にとっての意義→地域の様々な関係者との連携が新たに生まれたり、関係が深化したり、地域社会とのつながりをより感じられるようになり、定員を満たすことが難しくなりつつある保育所等において、キャリアを重ね、高い専門性を有する保育者などの人材を手放すことなく、事業を継続したり、発展させていく可能性が広がったりする。⇒様々な関係者との連携が新たに生まれたり、関係が深化したりするなど、地域社会とのつなが りをより感じられるようになること・・・意義を感ずる。
(6) 制度の意義を実現するための自治体の役割→広くこどもの育ちを支える制度、要支援家庭等を早期に把握し適切な サポートにつなげたりする新たな機会としての意義も含め、関係者間で認識を共有していくことが求められ、各施策の担当者のみならず首長や教育長をはじめ、関係する職員が部局横断的に、制度の意義について共通理解をもって取組を進めることが重要。⇒6点あり。○現行の子育て支援事業や一時 預かり事業、市町村独自のこどもの受入れ等に関する事業や要支援家庭への対応など、こども誰でも通園制度の実施と連動させながら、地域の実情を踏まえた各事業の展開を行うことが望まれ、こうした地域全体で事業を発展させていくに当たっては、事業者同士がつながりを持ち、 情報交換をしながら地域の課題を解決していく当事者として連携を深めていくことが重要、そうしたネットワークの場づくりを行うことが自治体には求められます。
2.令和7年度の制度の概要
(1) 制度の概要
→全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付。0歳6か月から満3歳未満で保育所等に通っていないこどもが対象。⇒【こども誰でも通園制度の制度化】 【利用対象】→※1 認可外保育施設に通っている0歳6か月から満3歳未満のこどもは対象、企業主導型保育事業所に通っている0歳6か月から満3歳未満のこどもは対象外。 ※2 障害のあるこども、医療的ケアを必要とするこども、若しくは要支援家庭のこどもを受け入れる場合には、別に定める加算が適用。障害のあるこどもとは、市町村が 認める障害児とし、身体障害者手帳等の交付の有無は問いません。医師による診断書や巡回支援専門員等の障害に関する専門的知見を有する者による意見提出など、障害の事実が把握可能な資料をもって確認しても差し支えありません。 ※3 利用可能時間は、国の補助基準額上の上限として定められています。ただし、各 市町村の判断において、国の補助の対象となる「月 10 時間」を超えてこども誰でも通園制 度を実施する場合があります。
【事業者】→市町村が認可、基準は各市町村において条例を制定すること、
【指導監査等】→市町村は、設備運営基準を満た しているかどうかの指導監査、勧告、命令等を行います
(2) 事業の全体像
【事業の実施方法】
→認可手続、市町村児童福祉審議会等への意見聴取を経て、設置認可を受けた上で開所。⇒3つの方法。○ 市町村は、認可に当たり事業を行うために必要な経済的基礎の有無や事業を行う者の社会的信望、設備運営基準への適合状況について審査を行い市町村児童福祉審議会又は児童の保護者その他児童福祉当事者の意見を聴取。
【提供内容の検討】→@〜Gまで。⇒<➀実施方法>(余裕活用型)(一般型)、<A受け入れるこどもの年齢、時間枠等>(年齢)(開所日数や時間)、<B利用パターン>(定期利用)(柔軟利用)(利用パターンの組み合わせ)、<C食事の提供><D親子通園><E特別な支援が必要な場合の対応><Fこどもへの関わりや遊びの内容><Gその他>
【施設等類型に則した実施に当たっての創意工夫】【利用の流れ】@〜Iまで。
【こども誰でも通園制度総合支援システム】→@利用者が予約する(予約管理)、A事業者がこどもの情報を把握したり、市町村が利用状況を確認したりできる(データ管理)、B事業者から市町村への請求を容易にできること(請求書発行)、の3つの機能システム。
<システムを活用した場合の利用の流れ>@〜K支払い(自治体)まで。
【関係機関と連携した支援】→・認定の申請をする人としない人や、認定を受けた上でどの程度利用しているかを自治体が把握、こうした情報を活用して、支援が必要な児童等の把握につなげ関係機関とも連携し、 要支援児童等への対応を充実させていくことが期待。 ・こども誰でも通園制度の利用の仕方に着目して、支援の必要性を検討したり、継続的な状況 把握の対象に位置付け、こども家庭センターを中心に効果的な支援につなげていくことが考えられる。

U 事業実施の留意事項→○ 乳幼児期は、安全が守られ安心して過ごすことができる環境のもと、周囲の人やものとの相互的な関わりを通して、心身が成長・発達していく時期。この時期は、とりわけ、身近な人との応答的な関わりの中で、その後の発達の土台ともなる自己肯定感や他者への信頼感などが育まれていくことが大切。 ○「はじめの100か月の育ちビジョン」で述べられているように、幼児期までのこどもの育ちにおいては、安定した「アタッチメント(愛着)」を安心の土台として、多様な人やモノ・ 環境と関わる豊かな「遊びと体験」を通して外の世界へ挑戦していく「安心と挑戦の循環」 が重要。 ○こども誰でも通園制度において、こうしたこどもの育ちを支えていくための関わりや保育の環境を提供するにあたっては、「保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号 )」 を理解した上で、以下の内容に留意すること。↓
※こども誰でも通園制度と保育所保育指針→こども誰でも通園制度における事業の内容については、乳児等通園支援事業の設備及 び運営に関する基準で、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省 令第63号)第 35条に規定する内閣総理大臣が定める指針に準じ、乳児等通園支援事業 の特性に留意して、利用乳幼児及びその保護者の心身の状況等に応じて提供されなけれ ばならない。」とされています。 こどもと保育士が同じ顔触れで日々過ごす保育所とこども誰でも通園制度では、こど もとの関係性などの条件に違いがありますが、保育所保育指針が示す、第1章「1.保 育の基本原則」「2.養護に関する基本的事項」に関する記載、第4章「1.子育て支援 に関する基本的事項」のように共通に重要な記載や、第2章「保育の内容」のように関係性の違いに留意しつつ、こどもの経験、活動を考えていく上で十分参考となる記載があります。また、第3章「健康及び安全」については、こどもが過ごす場所としての安 全・安心の確保の観点から、併設施設の有無やその特性、事業の実施内容に応じ、参照すべき記載内容があります。 保育所保育指針のこうした相違点にも留意しながら、誰でも通園制度を実施していく ことが求められます。

1.共通事項
(1) 安全確保に必要な情報の共有
→緊急連絡先や食物アレルギー対応の有無など、こどもの安全を確保するために必要不可欠な情報は、実際にこどもを受け入れる全ての事業者において、事前に把握しておく必要がある。 こうした情報は、保護者の同意を得た上で、総合支援システムにおいて提供。⇒「こどもの安全」が確保保されることが大前提。
(2) 安全の確保→【安全管理】【重大事故の防止】【乳幼児突然死症候群(SIDS)について】
【事業所における虐待の防止と対応】(虐待等について)(虐待等の未然防止)(自治体の対応:窓口)【児童虐待対策】【災害への備え】【体調不良や傷害】【衛生管理】【食事の提供について】【低年齢児の受入れを初めて行う事業所について】【こども誰でも通園制度の特性に応じた運営】
2.通園初期の対応→新しい環境に慣れ、安心して過ごすせるように配慮した受入れを行うこと
(1) システムによる情報共有→家族の状況、こどもの状況、 発達の状況など。
(2) 事前面談→【面談時の説明及び確認内容の例】オンラインで実施することも可能。
(3) 親子通園について→慣れるまで
(4) 利用こどもの保護者とのコミュニケーション
(5) 短時間からの利用について
3.年齢ごとの関わり方の特徴と留意点(保育所保育指針第2章1(1)より一部引用)↓
【0歳児との関わりについて】→愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要
【1歳児から2歳児との関わりについて】
4.特別な配慮が必要なこどもへの対応
(1) 障害のあるこども→【障害のあるこどもの受入れに関する情報提供】【障害のあるこどもの受入れ可能性の検討】<事業者><市町村>、【障害のあるこどもの受入れのための体制整備】【こどもの特性を踏まえた関わりや家庭との連携について】
(2)医療的ケアを必要とするこども→・こども同士が安心・安全に交流できるよう、医療的ケアに配慮したこども相互の関わりや関係づくりを支援することが大切。・市町村及び事業者はあらかじめ医療的ケアを必要とするこどもの受入れ方針について検討し、その内容について関係部局や保護者へ周知。 ・市町村は、利用認定時に医療的ケアを必要とするこどもを把握した場合、面談や文書等によりこどもの特性・状態や保護者の状況等について丁寧に把握した上で医療的ケアへの対応、事業所における受入れ可能性を検討。 ・ 医療的ケアに関する研修受講や緊急時の対応についての認識の共有など、受入れに必要な 体制整備を行った上で、利用開始となるよう市町村、事業者、保護者及び関係機関等が連携 して準備を進めることが必要。⇒<医療的ケアを必要とするこどもの受入れに関する情報提供><医療的ケアを必要とするこどもの受入れ可能性の検討> (市町村)(事業者: 「居宅を訪問する形態」あり)<医療的ケアを必要とするこどもの受入れのための体制整備><医療的ケアを必要とするこどもの受入れのための体制整備: アセスメント・医療機関等の指示・安全><医療的ケアを必要とするこどもを含むこども同士の関わりについて>
(3)居宅への訪問〜通園が難しいこどもへの対応〜⇒<@居宅への訪問が想定されるこども><A居宅を訪問する場合の体制整備><B居宅を訪問する形態における留意事項>
5.計画と記録
(1) こども誰でも通園制度における計画
→○ 発達に応じたこどもの育ちに適した安全な環境を整え、こどもが楽しく過ごせるように見通しを持つことは重要、こどもの育ちに関する長期的見通しをもった全体的な計画及び一人ひとりのこどもの実態に応じた個別計画(※)を作成することが必要。 ※特に、こどもの成育歴や家庭における生活状況、本制度の利用頻度・間隔などは様々。そのため、こども一人ひとりの成長・発達の度合いに応じた見通しを持ち、 ・利用開始当初は、利用こども一人ひとりの家庭での生活リズムや心身の状態に十分配慮した上で、次回の具体的な活動の内容に関する個別計画を作成すること、 ・継続利用こどもの場合には、同様にこどもの実態に合わせつつ、中長期的なこどもの育ちを勘案し、具体的な活動の内容や展開に関する個別計画を作成することなどが こどもの育ちにとって大切。 ○各事業所の方針に従い、その目標を達成するために、どのようにこどもの育ちを支援するのかを示した全体計画の作成が必要。ただし、保育所等に併設されている事業所では、その全体的な計画の一部として位置付けることも可能。⇒5つの配慮あり。○こども誰でも通園制度で受け入れるこどもの成育歴や家庭における生 活状況、本制度の利用頻度・間隔などは様々であり、こども一人ひとりの成長・発達の度合いに 応じた見通しを持って受け入れることが重要であることから、個別計画を作成することが求めら れます。
(2)こども誰でも通園制度における記録→➀事業の実施内容確認の記録:活動やこども、保護者に関するトピック等、職員間で共有すべ き事項を簡潔に記録 A利用した児童の育ちに関する記録:利用児童の特性や育ちの経緯 B自治体が把握し、円滑な利用につなげるための情報:システムを活用した、事業者間で共有 するこどもの過ごし方等に関する情報。 ・多様な利用形態のある本制度において、各事業所が一人ひとりのこどもに応じた関わりや遊びを通じた育ちの支援を行っていくためには、関わる職員が認識や見通しを共有していくことが重要。 ・保護者に関する受け止めや支援に関する振り返りも同様に、一体的に行っていくよう努め、振り返りの際、本制度は実施形態や利用児童の利用の仕方により、こどもや保護者と保育従事者や事業者との関係性が多様であることを踏まえることが大切。⇒<➀事業の実施内容確認の記録><A利用こどもの育ちに関する記録><B自治体が把握し、円滑な利用につなげるための情報><C記録を活用した振り返り>
6.保護者への対応→保育の専門家である保育士からの支援を通じて、保護者の養育力を向上させ、家庭におけるこどもの育ちを充実させることにもつながることが期待。 ○ こども誰でも通園制度における子育て支援に関する基本として、 ・ 各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、自己決定を尊重すること ・ 保育者の専門性や、同年代のこどもが一緒に過ごしている環境などの特性を生かし保護者がこどもの成長に気づき子育ての喜びを感じられるように努めることが大切。→7つの対応。○一人ひとりの保護者の主体性を尊重し、傾聴する姿勢をもって寄り添い、ありのままを受け止める受容的な態度を保つことが求 められます。
7.要支援家庭への対応上の留意点→・制度を知らない段階からのアプローチとして、例えば、伴走型相談支援事業や乳児家庭全戸 訪問事業といった事業の中で、全ての保護者に対してこども誰でも通園制度について周知。・ 伴走型相談支援事業や乳児家庭全戸訪問事業等の中で要支援家庭等を把握した場合に、必要 に応じてこども誰でも通園制度に繋げる。・ 要支援家庭の支援を行っている部署から、こども誰でも通園制度の担当部署に対して、気に なるこどもや家庭の申請状況や利用状況を確認 等⇒(1)市町村における保護者へのアプローチ (2)事業者が気になるこども・保護者を把握した場合のアプローチ
8.その他→ (1) 令和7年度における広域利用の取扱い⇒令和7年度は、自治体間で協定が結ばれているなど調整が行われてい ることを前提に利用可能。⇒・ 一時的かつ一定期間の利用が困難になる場合 里帰り出産 など。・ 地理的な制約から居住自治体での利用が困難な場合 が考えられます。  (2) 地域の実情に応じた実施
V その他の留意点等
1.個人情報の取扱いについて→【事業における個人情報の取扱い】【システム上において記録・共有される情報の取扱い】
2.他制度との関係→【一時預かり事業との関係性】
3.職員の資質向上等 (1)管理者の責務 (2)研修 (3)職員のメンタルヘルスへの配慮
おわりに

次回も続き「参考資料7 令和6年度私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況等調査の結果」からです。

第9回 子ども・子育て支援等分科会 [2025年03月26日(Wed)]
第9回 子ども・子育て支援等分科会(令和7年3月4日)
議題 (1)子ども・子育て支援関係制度改正の状況(資料1)(2)こどもまんなか実行計画2025の策定(資料2)(3)令和7年度子ども・子育て支援関係予算案(資料3) (4)子ども・子育て支援施策関係の最近の動向について(資料4〜13)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_kosodate/2c06860e
◎参考資料1−1 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案の概要 →教員に優れた人材を確保する必要性に鑑み、公立の義務教育諸学校等における働き方改 革の一層の推進、組織的な学校運営及び指導の促進並びに教員の処遇の改善を図るため、 教育委員会に対する業務量管理・健康確保措置実施計画の策定及び公表等の義務付け、 主務教諭の職の新設、教職調整額の基準となる額の引上げ、義務教育等教員特別手当の 内容に関する規定の整備等の措置を講ずる⇒概要、施行期日参照。


◎参考資料1−2 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(新旧対照表)
≪目次≫のみ↓

○公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)(第一条関係 )
○学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)(第二条関係) ※現行部分は、学校教育法の一部を改正する法律(令和六年法律第五十号)(令和八年四月一日施行)による改正後の条文
○市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)(第三条関係)
○教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)(第四条関係)
○教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)(第五条関係)
○ 学校図書館法(昭和二十八年法律第百八十五号)(第六条関係)
○ 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法(昭和二十八年法律第二百三十八号)(第七条関係)
○ 義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法(昭和二十九年法律第百五十七号)(第八 条関係)
○ 農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当 の支給に関する法律(昭和三十二年法律第百四十五号)(第八条関係)
○ 女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律(昭和三十年法律第百二十五号)(第九条関係)
○ 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)(第十条関係)
○ 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)(第十一条 関係)
○ 公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)(第十二条関 係)
○ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)(第十 三条関係)
○ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年 法律第六十六号)(第十四条関係)
○ 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和六年法律第 五十三号)(第十五条関係)
○ 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和六年 法律第六十九号)(第十六条関係)


◎参考資料2 こどもまんなか実行計画2024
目 次 のみ↓

T はじめに
1 こども大綱の閣議決定、こどもまんなか実行計画の策定
2 こどもまんなか実行計画に記載する施策の範囲と改定頻度
3 こどもまんなか実行計画策定までの流れ
U こども施策に関する重要事項
1 ライフステージを通した重要事項
(1)こども・若者が権利の主体であることの社会全体での共有等
(2)多様な遊びや体験、活躍できる機会づくり
(3)こどもや若者への切れ目のない保健・医療の提供
(4)こどもの貧困対策
(5)障害児支援・医療的ケア児等への支援
(6)児童虐待防止対策と社会的養護の推進及びヤングケアラーへの支援
(7)こども・若者の自殺対策、犯罪などからこども・若者を守る取組
2 ライフステージ別の重要事項
(1)こどもの誕生前から幼児期まで
(妊娠前から妊娠期、出産、幼児期までの切れ目ない保健・医療の確保)
(こどもの誕生前から幼児期までのこどもの成長の保障と遊びの充実)
(2)学童期・思春期
(こどもが安心して過ごし学ぶことのできる質の高い公教育の再生等)
(居場所づくり)
(小児医療体制、心身の健康等についての情報提供やこころのケアの充実)
(成年年齢を迎える前に必要となる知識に関する情報提供や教育)
(いじめ防止) (不登校のこどもへの支援)(校則の見直し)
(体罰や不適切な指導の防止)
(高校中退の予防、高校中退後の支援)
(3)青年期
 (高等教育の修学支援、高等教育の充実)
(就労支援、雇用と経済的基盤の安定のための取組)
(結婚を希望する方への支援、結婚に伴う新生活への支援)
(悩みや不安を抱える若者やその家族に対する相談体制の充実)
3 子育て当事者への支援に関する重要事項
(1)子育てや教育に関する経済的負担の軽減
(2)地域子育て支援、家庭教育支援
(3)共働き・共育ての推進、男性の家事・子育てへの主体的な参画促進・拡大
(4)ひとり親家庭への支援
V こども施策を推進するために必要な事項
1 こども・若者の社会参画・意見反映
(1)国の政策決定過程へのこども・若者の参画促進
(2)地方公共団体等における取組促進
(3)社会参画や意見表明の機会の充実
(4)多様な声を施策に反映させる工夫
(5)社会参画・意見反映を支える人材の育成
(6)若者が主体となって活動する団体等の活動を促進する環境整備
(7)こども・若者の社会参画や意見反映に関する調査研究
2 こども施策の共通の基盤となる取組
(1)「こどもまんなか」の実現に向けたEBPM
(2)こども・若者、子育て当事者に関わる人材の確保・育成・支援
(3)地域における包括的な支援体制の構築・強化
(4)子育てに係る手続き・事務負担の軽減、必要な支援を必要な人に届けるための情報発信
(5)こども・若者、子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
3 施策の推進体制等
(1)国における推進体制
(2)数値目標と指標の設定
(3)自治体こども計画の策定促進、地方公共団体との連携(4)国際的な連携・協力
(5)安定的な財源の確保
(6)こども基本法附則第2条に基づく検討


◎参考資料3 EBPM関係資料
EBPM(Evidence・Based・Policy・Making/エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング)の略称、日本語では「証拠に基づく政策立案」と定義。政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです

○内閣府におけるEBPMへの取組(https://www.cao.go.jp/others/kichou/ebpm/ebpm.html)

○(予算要求における取組)を「課題データ」から事業→EBPM指標→目標へ↓
ここでは事業展開の当初予算のみを記す。↓

○令和7年度予算案のEBPM「こども基本法の普及啓発等」→令和7年度当初予算案:51百万円
○令和7年度予算案のEBPM「こども若者の意見のこども施策への意見反映」→令和6年度補正予算:37百万円  令和7年度当初予算案:2.3億円
○令和7年度予算案のEBPM「自治体こども計画策定支援事業」→令和6年度補正予算:69百万円 令和7年度当初予算案:86百万円
○令和7年度予算案のEBPM「こども政策に関する調査研究事業等」→令和6年度補正予算:22百万円 令和7年度当初予算案:66百万円
○令和6年度補正予算のEBPM「潜在的に支援が必要なこどもをプッシュ型・アウトリーチ型支援につなげるこどもデータ連携の取組の推進」→令和6年度補正予算:4.7億円
○令和7年度予算案のEBPM「地域少子化対策強化事業」→令和6年度補正予算:84億円 令和7年度当初予算案:10億円
○令和7年度予算案のEBPM「こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革」
→令和6年度補正予算:10億円 令和7年度当初予算案:1.7億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健衛生対策の推進に必要な経費」→令和7年度当初予算案:20百万円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健衛生医療費等」→令和7年度当初予算案:34億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健衛生対策推進事業委託費」→令和6年度補正予算:17億円 令和7年度当初予算案:2.8億円
○令和7年度予算案のEBPM「こども家庭科学研究費補助金等」→令和7年度当初予算案:9.5億円
○令和7年度予算案のEBPM「児童福祉実態調査費」→令和7年度当初予算案:36百万円
○令和7年度予算案のEBPM「旧優生保護補償金等支給諸費(都道府県事務取扱交付金)」
→令和6年度補正予算:3.5億円 令和7年度当初予算案:3.7億円
○令和7年度予算案のEBPM「保育対策の推進に必要な経費」→令和7年度当初予算案:18百万円
○令和7年度予算案のEBPM「就学前教育・保育施設整備交付金」→令和6年度補正予算:829億円 令和7年度当初予算案:245億円
○令和7年度予算案のEBPM「子どものための教育・保育給付に必要な経費」→令和6年度補正予算:1,151億円 令和7年度当初予算案:1兆8,934億円
○令和7年度予算案のEBPM「仕事・子育て両立支援事業」→令和7年度当初予算案:4,614億円
○令和7年度予算案のEBPM「ベビーシッターの研修機会の確保及び資質向上事業」→令和7年度当初予算案:35百万円
○令和7年度予算案のEBPM「「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」策定後の具体的な取組推進事業」→令和6年度補正予算:1.4億円 令和7年度当初予算案:36百万円
○令和7年度予算案のEBPM「国際幼児教育・保育従事者調査等」→令和7年度当初予算案:12百万円
○令和7年度予算案のEBPM「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」→令和6年度補正予算:4.3億円 令和7年度当初予算案:8.8億円
○令和7年度予算案のEBPM「児童手当等交付金に必要な経費」→令和7年度当初予算案:2兆1,666億円
○令和7年度予算案のEBPM「子ども・子育て支援体制整備総合推進事業」→令和7年度当初予算案:29億円
○令和7年度予算案のEBPM「子ども・子育て支援総合調査研究事業等」→令和7年度当初予算案:15億円
○令和7年度予算案のEBPM「児童福祉施設等整備費」→令和6年度補正予算:138億円 令和7年度当初予算案:72億円
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(1)利用者支援事業  令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→令和7年度当初予算案:2,138億円の内数(2)延長保育事業
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→令和7年度当初予算案:2,138億円の内数(3)実費徴収に係る補足給付を行う事業
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(4)多様な事業者の参入促進・能力活用事業 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(5)放課後児童健全育成事業令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(6)子育て短期支援事業 令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(7)乳児家庭全戸訪問事業 令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(8)養育支援訪問事業 令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(9)子どもを守る地域ネットワーク機能強化事業 令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(10)子育て世帯訪問支援事業 令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(11)児童育成支援拠点事業令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(12)親子関係形成支援事業令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(13)一時預かり事業 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(14)地域子育て支援拠点事業 令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(15)病児保育事業 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(16)子育て援助活動支援事業 (ファミリー・サポート・センター事業)令和6年度補正予算:4億円の内数 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(17)産後ケア事業 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(18)こども誰でも通園制度 令和7年度当初予算案:2,138億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「地域子ども・子育て支援に必要な経費」→(19)放課後児童クラブ及び病児保育施設に係る 施設整備費 令和6年度補正予算:13億円 令和7年度当初予算案:91億円
○令和7年度予算案のEBPM「災害共済給付事業」→令和7年度当初予算案:17億円
○令和7年度予算案のEBPM「こどもを取り巻く環境の整備に関する取組の推進」→令和7年度当初予算案:61百万円
○令和7年度予算案のEBPM 「こどもの事故防止に関する取組の推進」→令和7年度当初予算案:4百万円
○令和7年度予算案のEBPM「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリスト作成に係る審査業務等」→令和7年度当初予算案:20百万円
○令和7年度予算案のEBPM「地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進」→令和6年度補正予算:4.1億円 令和7年度当初予算案:14百万円
○令和7年度予算案のEBPM地域におけるこども・若者支援のための体制整備、人材育成」→令和7年度当初予算案:83百万円
○令和7年度予算案のEBPM「見守り体制強化促進のための広報啓発事業」→令和7年度当初予算案:10百万円
○令和7年度予算案のEBPM「児童虐待防止対策費」→令和7年度当初予算案:31百万円
○令和7年度予算案のEBPM「児童相談体制整備事業費」→令和7年度当初予算案:2.5億円
○令和7年度予算案のEBPM「児童虐待防止対策推進広報啓発事業」→令和7年度当初予算案:2.1億円
○令和7年度予算案のEBPM「ヤングケアラー相互ネットワーク形成推進事業」→令和7年度当初予算案:11百万円
○令和7年度予算案のEBPM「民間児童福祉推進助成事業」→令和7年度当初予算案:55百万円
○令和7年度予算案のEBPM「児童保護費等負担金」→令和6年度補正予算:84億円 令和7年度当初予算案:1,591億円
○令和7年度予算案のEBPM「要保護児童対策費の共通経費」→令和7年度当初予算案:6百万円
○令和7年度予算案のEBPM「里親制度等及び特別養子縁組制度等広報啓発事業」→令和7年度当初予算案:2.1億円
○令和7年度予算案のEBPM「養子縁組民間あっせん機関職員研修事業」→令和7年度当初予算案:46百万円
○令和7年度予算案のEBPM「社会的養護経験者等ネットワーク形成事業」→令和7年度当初予算案:22百万円
○令和7年度予算案のEBPM「社会的養護魅力発信等事業」→令和7年度当初予算案:20百万円
○令和7年度予算案のEBPM「こどもの貧困対策推進経費」→令和7年度当初予算案:19百万円
○令和7年度予算案のEBPM「児童扶養手当」→令和7年度当初予算案:1,530億円
○令和7年度予算案のEBPM「養育費確保支援事業委託費」→令和7年度当初予算案:84百万円
○令和7年度予算案のEBPM「母子父子寡婦福祉貸付金」→令和7年度当初予算案:14億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子家庭等自立支援対策費」→令和7年度当初予算案:3百万円
○令和6年度補正予算のEBPM「ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業」→令和6年度補正予算:19億円
○令和7年度予算案のEBPM「ひとり親家庭等自立促進基盤事業」→令和7年度額当初予算案:15百万円
○令和7年度予算案のEBPM「ひとり親家庭に対する就業支援プラットフォーム構築事業」→令和7年度当初予算案:27百万円
○令和7年度予算案のEBPM「障害児福祉の推進に必要な経費」→令和7年度当初予算案:25百万円
○令和7年度予算案のEBPM「障害児入所給付費等負担金等」→令和7年度当初予算案:4,925億
○令和7年度予算案のEBPM「大学等における修学支援に必要な経費」→令和7年度予算案:6,532億円
○令和7年度予算案のEBPM「こども政策DX推進体制強化事業」→令和7年度当初予算案:3.7億円
○令和7年度予算案のEBPM「里親支援センター人材育成事業」→令和7年度当初予算案:77百万円
○令和7年度予算案のEBPM「こどもの自殺対策推進経費」→令和7年度当初予算案:60百万円
○令和7年度予算案のEBPM「地域支援体制整備サポート事業【国実施分】」→令和7年度当初予算案:60百万円
○令和7年度予算案のEBPM「社会の意識醸成に向けた民間主導の取組支援」→令和6年度補正予算:2.7億円 令和7年度当初予算案:3.3億円
○令和7年度予算案のEBPM「こどもの福祉と保健に関する調査の充実」→令和7年度当初予算案:60百万円
○令和7年度予算案のEBPM「妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業」→令和7年度当初予算案 妊婦のための支援給付交付金:816億円 利用者支援事業(妊婦等包括相談支援事業型) :2,138億円の内数
○令和6年度補正予算のEBPM「放課後児童クラブ利用手続き等に関わるDX推進実証事業」→令和6年度補正予算:1.1億円
○令和6年度補正予算のEBPM「こどもホスピス支援モデル事業」→令和6年度補正予算:3億円
○令和7年度予算案のEBPM「地域における不登校のこどもへの切れ目ない支援事業」→令和6年度補正予算:2.6億円 令和7年度当初予算案:2百万円
○令和6年度補正予算のEBPM「こども家庭センター設置・機能強化促進事業」→令和6年度補正予算:1.1億円
○令和7年度予算案のEBPM「児童相談所の採用・人材育成・定着支援事業」→令和7年度当初予算案:1億円
○令和7年度予算案のEBPM「特定妊婦等支援機関ネットワーク形成事業」→令和7年度当初予算案:16百万円
○令和6年度補正予算のEBPM「困難を抱えたこども・若者意見反映推進事業」→令和6年度補正予算:50百万円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(1)〜(3)、(10)、(12)、(15)〜(19)産後ケア事業 令和6年度補正予算:7.6億円 令和7年度当初予算案:22億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(4)不育症検査費用助成事業 令和7年度当初予算案:2.5億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(5)産婦健康診査事業 令和7年度当初予算案:21億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(6)多胎妊娠の妊婦健康診査支援事業 令和7年度当初予算案:74百万円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(7)新生児聴覚検査体制整備事業 (13)新生児マススクリーニング検査に関する実証事業 令和6年度補正予算:15億円 令和7年度当初予算案:3.5億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(8)予防のためのこどもの死亡検証体制整備モデル事業 令和7年度当初予算案:1億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(9)低所得の妊婦に対する初回産科受診料支援事業 令和7年度当初予算案:92百万円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(11)母子保健対策強化事業 令和7年度当初予算案:5.3億円
○令和6年度補正予算のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業」→(14)「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業 令和6年度補正予算:10億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子保健医療対策総合支援事業→(20)乳幼児健康診査実施支援事業 (21)特別な配慮が必要な児に対する乳幼児健康診査のかかり増し経費支援事業
令和6年度補正予算:98百万円 令和7年度当初予算案:45百万円
○令和7年度当初予算案のEBPM「保育対策総合支援事業費補助金」→保育人材の確保・職業の魅力発信に関する事業 令和6年度補正予算:93億円の内数 令和7年度当初予算案:464億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「保育対策総合支援事業費補助金」→保育施設の整備や環境向上等に関する事業 令和6年度補正予算:93億円の内数 令和7年度当初予算案:464億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「保育対策総合支援事業費補助金」→待機児童の解消、支援が必要なこどもの受入体制整備、放課後の こどもの居場所提供、過疎地域における保育機能の確保に関する事業 令和6年度補正予算:93億円の内数 令和7年度当初予算案:464億円の内数
○令和7年度予算案のEBPM「児童虐待防止対策等総合支援事業」→令和6年度補正予算:111億円 令和7年度当初予算案:207億円
○令和7年度予算案のEBPM「母子家庭等対策総合支援事業」→令和6年度補正予算:4.5億円 令和7年度当初予算案:180億円
○令和6年度補正予算のEBPM「放課後児童クラブ待機児童への預かり支援実証モデル事業」→令和6年度補正予算:1.6億円
○令和6年度補正予算のEBPM「放課後児童クラブ職員確保・民間事業者参入支援事業」
→令和6年度補正予算:1億円
○令和6年度補正予算のEBPM「放課後児童クラブ等における性被害防止対策に係る設備等支援」→令和6年度補正予算:1.1億円
○令和6年度補正予算のEBPM「こどもの悩みを受け止める場の実態把握・広報事業」→令和6年度補正予算:1億円

次回も続き「参考資料4 放課後児童対策パッケージ2025」からです。

第9回 子ども・子育て支援等分科会 [2025年03月25日(Tue)]
第9回 子ども・子育て支援等分科会(令和7年3月4日)
議題 (1)子ども・子育て支援関係制度改正の状況(資料1)(2)こどもまんなか実行計画2025の策定(資料2)(3)令和7年度子ども・子育て支援関係予算案(資料3) (4)子ども・子育て支援施策関係の最近の動向について(資料4〜13)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_kosodate/2c06860e
◎資料6 保育所等における継続的な経営情報の見える化について
○保育所等における継続的な経営情報の見える化について
<継続的な見える化の意義>
→・更なる処遇改善等 を進める上で、費用の使途の見える化を 進めることが重要。  ・保護者が適切かつ円滑に教育・保育等を子どもに受けさせ る機会を確保するためには、 施設・事業所ごとの職員の処遇等 に関する情報が公表されることが重要 である。
<制度改正のイメージ>→・特定教育・保育提供者に、教育・保育施設の経営情報を都道府県知事に報告することを求める。 ・施設型給付・地 域型保育給付を受けるすべての施設・事業者を対象。 ・毎事業年度の経営情報について(収支計算書、職員給与の状況等)報告を求める。 ・ 都道府県知事には、特定教育・保育提供者から報告された 経営情報を公表 することを求める。 ・職員の処遇等に 関する情報であって、保護者の施設・事業者 の選択等に必要な情報を個別施設・事業者単位で公表(モデル賃金や人件費比率等を想定。) ※個別の施設・事業者単位での収支計算書等の公表は行わない。 ・経営情報の集計・分析とその結果の公表に努める。(施設・ 事業者の類型、経営主体の類型、地域区分の設定、定員規模などに応じて 集計した人件費や人件費比率の平均値や分布状況等を想定。)。・ 2024年通常国会(第213回国会)に上記制度改正に必要な 法案を提出し、成立したところ。(子ども・子育て支援法・ 令和7年4月1日施行)。 ・「ここdeサーチ」において、施設・事業者からの報告、都 道府県における確認・公表等の事務が簡便かつ効率的に実施できるよう、システム改修を実施。

○新たな継続的な見える化の制度における報告・公表の在り方について→・新たな制度の施行期日は令和7年4月1日 。令和6年4月1日以降に始まる事業年度について報告対象。 ・経営情報等の報告期限は事業年度終了後5月以内とする。事業年度が令和6年4月1日〜令和7年3月末日の場合 、同年8月末日までに報告。 ・ここ deサーチを経営情報等の収集・公表に活用。施設・事業者は報告内容を入力、自治体は報告内容を確認、ここdeサーチ画面で公表。⇒報告する経営情報等、グルーピングした集計・分析結果の公表、個別の施設・事業者単位での公表 参照。

○保育所等における継続的な経営情報の見える化に係る政令・府令改正について@➁
・第58条→1〜9まで。⇒内 閣府令で定めるところ【@】〜【G】 参照。
・子ども・子育て支援法施行令(改正イメージ)→第21条、第49条、第50条、第51条、
第52条、第53条 参照。
○報告様式のイメージについて(人員配置)→子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)内の施設詳細情報編集画面において、人員配置に関する事項として 公定価格基準に基づく職員配置と実際の職員配置を入力いただくための画面を追加します
○報告様式のイメージについて(職員給与)→子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)内の施設詳細情報編集画面において、職員給与に関する事項として 処遇改善等加算の取得状況、各職員の給与情報等を入力いただくための画面を追加します
○報告様式のイメージについて(収支の状況)→子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)内の施設詳細情報編集画面において、収支の状況に関する事項とし て事業収入(収益)、事業支出(費用)を入力いただくほか、広義の人件費に関する事項を任意で報告可能とするための 画面を追加します
○個別の施設・事業者単位での公表のイメージについて@(モデル給与)→モデル給与等について、各施設・事業者単位での公表画面が追加されます
○個別の施設・事業者単位での公表のイメージについてA(人件費比率)→人件費比率(狭義)・人件費比率(広義)について、各施設・事業者単位での公表画面が追加されます

≪参 考 資 料≫↓
○子ども・子育て支援制度における継続的な見える化の在り方について (令和5年8月 28日 目的 子ども・子育て支援制度における継続的な見える化に関する有識者会議報告書・(概要)
→・施設・事業者の経営情報の公表やデータベース化等の継続的な見える化の仕組みの構築を進め、 処遇改善や配置改善等の検証を踏まえた公定価格の改善を図ることを主たる目的。 ・ 加えて、行政機関においては、幼児教育・保育が置かれている現状・実態に対する国民の正確な理解の促進 変化を踏まえた的確な支援策の検討 、社会情勢や経営環境の 、経営情報の分析を踏まえた幼児教育・保育政策の企画・立案 等の実現を目的とする。 ・また、情報公表の充実を図ることにより、行政機関のみならず、 保護者や子育て家庭、保育士等の求職者の意思決定の支援や、施設・事業者の経営分析・改善の促進、また、研究者による学術研究や政策提言の活性化等、幅広い関係者の利益への波及的な効果も期待できる。⇒継続的な見える化の対象とする施設・事業者、報告・届出を求める情報、公表の方法 参照。
○対象施設について→・子ども・子育て支援法に基づく、施設型給付・地域型保育給付を受けるすべての施設・事業者を対象。 ・このほか、施設型給付を受けない幼稚園については個別施設・事業者単位で公表される項目に限り、任意で報告を行えるようにする。
○施設類型別の報告・公表対象情報について(一覧)→6つの情報項目毎公表。
○保育・幼児教育分野における継続的な見える化の促進→「こども未来戦略方針」(令和5年6月13日閣議決定)において、保育所・幼稚園・認定こども園の運営費の基準となる公的価格の改善について、費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係 を整理しつつ、取組を進める。⇒2事業の概要 参照。
○報告様式のイメージについて(施設の状況等に関する事項)→子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)内の施設詳細情報編集画面において、施設の状況に関する事項とし て決算月、経営主体、利用定員数等を入力いただくための画面を追加します
○報告様式のイメージについて(モデル給与)→子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)内の施設詳細情報編集画面において、モデル給与に関する事項とし て常勤保育士等のモデル化した給与額、給与・賞与の支給基準、昇給の判断基準等を入力いただくための画面を追加します
○報告様式のイメージについて(人的資本)→法定・法定外休暇の利用状況、ICT導入の取組状況等を入力いただくための画面を追加します
○グルーピングした集計・分析結果の公表のイメージについて→インターネット上で公表します
○任意的記載事項の入力イメージについて(人的資本)→人的資本に関する事項の入力画面が追加されます
○Q&A @➁→1〜12あり。
○今後のスケジュールについて(※あくまでも現時点のイメージであり、今後変更が有り得る。)→R6年度、R7年度のスケジュールあり。


◎資料7 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準等の見直しについて
1.概要↓
○文部科学省において、以下のとおり、幼稚園設置基準における学級編制の基準について、見直 しが検討されている。
1.学級編制基準見直しの必要性
→幼稚園設置基準において、1学級の幼児数は原則35人以下とされており、当該規定は、平成 7年に1学級の幼児数を原則40人から35人に引き下げて以降、改正されていない。 一方で、幼稚園における学級規模は徐々に縮小してきており、令和6年5月1日時点では、 幼稚園における1学級の幼児数が30人以下の割合は95.7%となっている。 また、近年、幼稚園において特別な配慮を必要とする幼児数は増加傾向にあり、こうした状 況を踏まえれば、より一層、子供一人一人の置かれた状況や発達の特性等に応じ、行き届いた 教育を推進するための環境整備が必要である。 特に、保育所における職員配置の最低基準が今年度76年ぶりに引き下げられたほか、公立小 学校についても令和3年に全学年の学級編制の標準を計画的に35人に引き下げる改正が約40 年ぶりに行われるなど、この数年の間で幼稚園を取り巻く教育・保育施設における学級編制や 職員配置に関する基準の改善も図られているところである。 こうした状況を踏まえ、幼稚園における学級編制の基準の見直しを行う。
2.改正内容  学級編制の基準を、原則35人以下から原則30人以下に引き下げる。
3.学級編制基準の引下げに伴い生じ得る影響
幼稚園設置基準においては、各学級に専任の教諭を配置することや、園舎及び運動場に必要 な面積を学級数に基づいて算出することなどが規定されているため、学級編制基準を引き下げた場合、各園において教諭の人材確保や園舎の増築・改築などを行わなければならない園が存在する可能性もあるところ、今年度実施した実態調査によると、こうした対応が発生する園の割合は全体の3.8%であった。 実態調査の結果も踏まえ、各園に対して過度な負担を課すことがないよう、経過措置等につ いても併せて検討を行う。
〇 認定こども園についても、幼稚園設置基準(昭和31年文部省令第32号)に準じ、幼保連携型 認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準(平成26年内閣府・文部科学省・ 厚生労働省令第1号)等において、1学級の園児数は原則 35 人以下とされているところ、幼稚 園設置基準の見直しを踏まえ、認定こども園に係る基準についても、30 人以下に引き下げるこ ととする。 ※ 幼稚園型認定こども園については、まず幼稚園設置基準に従う必要がある。

2.学級編制基準の引下げに伴い生じ得る影響 ↓
〇 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準等においては、園舎 及び運動場に必要な面積を学級数に基づいて算出することなどが規定されているため、学級編制 基準を引き下げた場合、各園において保育教諭等の人材確保や園舎の増築・改築などを行わなけ ればならない園が存在する可能性もあるところ、今年度実施した実態調査によると、こうした対 応が発生する園の割合は全体の3.0%であった。
〇 実態調査の結果も踏まえ、幼稚園と同様、各園に対して過度な負担を課すことがないよう、経 過措置等についても併せて検討を行う。

【参考1】幼保連携型認定こども園の学級規模の現状
【参考2】学級編制基準の引下げにより影響があると回答した園※の割合


◎資料8 社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続について
○社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続について
→保育所等に対する公費助成を一旦継続しつつ、公費助成の在り方について、他の経営主体とのイコール フッティングの観点及びこども未来戦略(こども・子育て支援加速化プラン)に基づく保育人材確保の状況等を踏まえて、 更に検討を加え、令和8年度までに改めて結論を得ることとする。
≪参考資料≫
○社会福祉施設職員等退職手当共済事業(児童福祉分野)
○こども未来戦略(抄) (令和5年12月22日 閣議決定)
→V 「加速化プラン」 〜今後3年間の集中的な取組〜 Vー1.「加速化プラン」において実施する具体的な施策 2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充 (3)全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充 〜「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設〜
○ 0~2歳児の約6割を占める未就園児を含め、子育て家庭の多くが「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある。全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、 全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、 現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる 新たな通園給付 (「こども誰でも通園制度(仮称)」)を創設する。○ 具体的には、2025 年度に子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業として制度化し、実施自 治体の増加 を図った上で、2026 「こども誰でも通園制度 年度から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付として全国の自治体において (仮称)」を実施できるよう、所要の法案を次期通常国会に提出。 ○ 2025年度からの制度化に向けて、2023年度から本格実施を見据えた試行的事業の開始を可能とすることとし、 2024年度も含めた試行的事業の実施状況を踏まえつつ、制度実施の在り方について検討を深める。 ○ 病児保育の安定的な運営を図る観点から、病児保育に係る保育士等の職務の特殊性等を踏まえた基本単価分の 引上げ等を、2024年度から行う。



◎資料9 保育政策関係の各種決定について(規制改革関係)
○国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策〜全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす〜 (令和6年11月22日閣議決定)(抄)
→(2)こども・子育て支援の推進⇒こどものための質の高い成育環境を提供する。保育士、幼稚園教諭等の処遇改善や保育士資格 の新規取得促進による人材の確保、保育所のICT環境整備、保育業務のワンスオンリーの実現を 含めた保育DXの推進による現場負担の軽減を進める。過疎地域における保育機能について、多機 能化を通じてその維持・確保に取り組む地方公共団体を支援するなど、質の高い保育を持続的に確 保する。(略)保育所への配置が求められる常勤の保育士及び短時間勤務の保育士の定義、保 育所を運営する株式会社が地方公共団体に提出する会計書類に企業会計基準を適用することを 可能とする運用方針について、2024年度内に、改めてそれらを周知するとともに、国の相談窓口を設 置する。

○規制改革推進に関する中間答申(令和6年12月25日規制改革推進会議決定)(抄)→ク 認可保育所における付加的サービスの円滑化⇒ 【a:令和6年度措置、 b:(前段)令和6年度措置、(後段)令和6年度着手、令和7年度措置、 c:令和7年 度措置】↓
「規制改革推進に関する第2次答申(平成29年11月)」を踏まえ、平成29年12月、厚生労働省の事務連絡(「規制改革推進に関する第2次答申」を踏まえた具体的な留意事項等について(平成29年12月21日厚生労働省子ども家庭局保育課事務連絡)が発出され、子ども・子育て支援制度上、保育所等が行う、保育所保育指針(平成29年厚生労働 省告示第117号)が示す基本原則を逸脱しない範囲での付加的保育について、保護者の同意が得られれば上乗せ徴収により実施することが可能である旨が明確化された。 しかしながら、認可保育所において付加的保育を上乗せ徴収により実施する場合、市町村との協議を要し、かつ、体操、体育、スポーツ、ダンス、音楽、絵画、造形、英語、文字、数等のプログラムが付加的保育として 認められるかや、選択制による実施が認められるかが上記事務連絡で示されておらず、保育所保育指針が示す基本原則を逸 脱しない範囲が不明確であること等の理由から、現状では、確認する限りにおいて、認めている市町村は少数であるとの指摘がある。また、現状では、選択制かどうかにかかわらず、付加的サービスを利用する児童の保護者と当該付加的サービスを提供する事業者との直接契約により実施する場合、当該契約内容を規制する保育関係法令上の 根拠規定は無いが、確認する限りにおいて、実施を認める市町村が少数であるとの指摘がある。 こうした現状は、保育所利用率が50%を超え、かつ、長時間保育が多い中、また、保護者の仕事と育児の両立が重要な社 会的課題である中、保育所に対するニーズは多様化し、保育(教育を含む。)の質の確保・向上が求められ、認可保育所における付加的サービス(付加的保育を含む。以下同じ。)に対するニーズが一定程度存在しているにもかかわらず、認可保育所のみが良質かつ多様な保育サービスの選択肢が限定されている状況といえる。さらに、認可保育所において、 付加的サービスが平日に実施されることにより、休日に児童とその家族が共に過ごす時間をより確保できるとの指摘や、保護者 の仕事と育児の両立支援につながるとの指摘がある。 こうした状況等を踏まえ、利用者起点に立ち、認可保育所における多様で良質な保育サービスの円滑化の観点から、認可 保育所において、上乗せ徴収、直接契約にかかわらず、付加的サービスが真に原則実施可能となるよう、以下の措置を講ずる。 ↓
a こども家庭庁は、市町村に対し、認可保育所における付加的サービスの実施に関して、

・ その内容が体操、体育、スポーツ、ダンス、音楽、絵画、造形、英語、文字、数等かどうかにか かわらず、・・・・市町村との協議を経て、上乗せ徴収により認可保育所を運営 する保育事業者の判断で実施可能であること
・次の@からDまでの事項に留意する必要があること→安全に配慮。
・実施する際には、児童及びその保護者に当該付加的サービスを利用するか否かに関する選択の自由があることや、児童の安全を確保する必要があること等に留意する必要があること
b こども家庭庁は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第58条第1項及び第2項の規定に基づき、施設 等による報告から都道府県知事による公表までを全国一律でインターネット上で実施するWEBシステムとして、独立行政法 人福祉医療機構が運営する「子ども・子育て支援情報公表システム(「ここdeサーチ」)」における施設ごとの付加的サービスの実施状況に関する公表について、引き続き、保育事業者に対して当該情報も含めた入力内容の更新を行うよう市町村を通じて依頼する。あわせて、全国の市町村において付加的サービスを円滑に実施できるよう、全国の市町村における付加的サービスの実態を把握するため、aの周知に併せて、次の@からKまでの事項について整理・明確化することを念頭に置い た市町村に対する調査に着手し、当該結果(具体的な実施事例を含む。)を市町村及び保育事業者に対して周知する とともに、こども家庭庁ホームページで公表する。 @実施される付加的サービスの内容(体操等、プログラムの内容を含む。)A配置基準を満たした保育体制の確保 B児童の安全管理(事故発生時の責任の所在を含む。) C保育の指導計画への位置付け D実施時間(コアタイム内・外) E保育所職員一人当たりの負担 F料金設定(保護者の経済的負担への配慮を含む。) G付加的サービスを利用するか否かに関する保護者の選択の自由 H保護者への説明及び同意取得(説明及び同意取得の範囲及び方法を含む。) I付加的サービスに参加しない児童への対応 Jその他不適切な事由(一定期間において、児童福祉法(昭和22年法律第164号)の規定に基づく不利益処分(勧告、改善命令、事業停止命令又は施設認可の取消し)又は子ども・子育て支援法の規定に基づく不利益処分(勧告、命令又は確認の取消し)を受けていること等)の有無及び内容 K認可保育所における付加的サービスの実施に当たっての市町村の対応(認めること、協議、行政指導等)の有無及び 内容
c こども家庭庁は、bの調査の結果も踏まえつつ、認可保育所における付加的サービスの実施の要件等の整理・明確化につ いて、更なる検討を行い、結論を得た上で、所要の措置を講ずる。


◎資料10 保育DXの推進について
○保育DXの進捗状況について(全体像)
→5項目毎の直近の取組、令和7年度以降の予定が整理されている。以下に詳細あり。↓

@保育所等におけるICT環境整備
○保育所等におけるICT化推進等事業@➁ 拡充
→事業の概要⇒(9) こども誰でも通園事業所におけるICT化を推進するため、(1)の対象となっていない乳児等通園支援事業を実施する事業所が、空 き枠の登録等を行うための ICT機器及びインターネット環境の整備、入退室管理を行うためのタブレット型端末の導入、キャッシュレ ス決済に係る機器の導入費用の一部を補助する。⇒実施主体等【補助基準額】、【補助割合】 参照。

A保育業務・保活の基盤整備
○5.2.1. システム概要案(全体)
→システム概要案(全体) 参照。
○保育業務ワンスオンリーに向けた施設管理プラットフォームの整備→給付・監査等の保育業務のワンスオンリーを実現により、保育士等の事務負担を軽減し、こどもと向き合う時間を確保するとともに、自治体担当者の事務負担を軽減し、保育の質の向上に関わる業務に注力できるような環境を整備する。
○保活ワンストップに向けた保活情報連携基盤の整備→保活に関する一連の手続(就労証明書の提出を含む。)のオンライン・ワンストップを実現し、保育施設への入所手続の円滑化並びに当該手続における保護 者及び自治体の負担の軽減を図る。
○1.2. 調査のスケジュール→本調査は2023年5月から2025年3月(予定)の期間で実施。
○3.1. 協議会、ワーキング・グループの構成→給付・監査・保活等の事務・手続の実態を踏まえた課題の検討や、標準的な事務プロセス や事務フロー等の検討等を行うため、協議会及びワーキング・グループを開催しました。
○4.1. 意見照会の概要→2024年10月18日より令和7年度以降の施設管理プラットフォーム及び保活情報連携基 盤の構築及び運用を円滑に実現すべく、全国意見照会を実施。⇒意見照会 結果、その他参照。
○5.3.1. 工程表案→令和7年度末以降に初期実装範囲にて運用を開始し、令和8年度以降にて運用状況等を踏まえ 改修を実施する想定。初期実装範囲事務の詳細は次頁以降に記載。

B就労証明書の項目の統一化・ オンライン化
○保育所等における就労証明書(標準的な様式)の 「追加的記載項目欄」の活用状況について→・標準的な様式については、必要不可欠な項目に限定した上で、追加的記載項目とすることも可能としておりますが、今般の調査により追加項目の精査を実施することとし、令和7年度入所事務からは、精査後の追加 項目のみ、ぴったりサービス上で選択可能とします。 ・現在、前頁の5項目を追加した新たな標準的な様式(R6改訂)の活用状況等について、自治体に調査を実施す る準備を進めており、年明けには取りまとめの予定です。また、当該様式について法令上も原則化すべく省令 改正に向けて準備中です。
○就労証明書の追加項目の精査・標準化について→令和6年9月には、改訂後の標準的な様式を原則使用す ることとする府令改正を実施・公布。
○保育所等における就労証明書の標準的な様式について→「令和7年度(5月以降)入所分から活用予定」「令 和8年度入所分から活用予定」「活用するか検討中」を加 えると98%が活用する予定、検討中と回答

C保育ICTのロールモデル創出
○保育ICTラボ事業
→ICT環境整備についてのロールモデルとなる事例の更なる創出とともに、横展開を行うことにより、負担軽減や保育の質の向上効 果を保育現場が実感をもって理解する環境を整備するとともに、働きやすい職場環境づくりを通した将来の保育士を目指す若者へ の魅力発信にも資する。
○事業概要のイメージ→事業スキーム、スケジュール(予定)、実施主体等(詳細) 参照。

D子ども・子育て支援システム
○子ども・子育て支援システムの標準仕様書改訂について
→・子ども・子育て支援システムについては、令和6年度の「地方公共団体におけるシステム(子ども・子育て支援)の標準化等に向け た調査研究」における検討を踏まえ、令和6年12月に1.2版を公開したところ。 ・並行して、保育業務施設管理プラットフォーム等の共通基盤の整備を進める中で、子ども・子育て支援システムと他システムとの連 携等についても検討を行い、今後、標準仕様書の見直しを行う必要がある。⇒令和7年度の検討事項、スケジュールについて参照。

≪その他≫↓
○こども誰でも通園制度の創設に向けたシステム構築
→こども誰でも通園制度の創設に向け、こども家庭庁においてシステム基盤を整備し、各地方公共団体・施設・利用者が利用できる ようにすることにより、制度の円滑な利用や、コスト・運用の効率化を図る。※令和7年度からの運用開始予定。 令和7年2月10日に市町村、事業者 の一部機能のリリースを行い、令和7 年4月に全機能のリリースを予定。
○こども誰でも通園制度総合支援システム画面イメージ→「負荷なく、気づく、すぐわかる。」というUI/UXコンセプトを基に、利用者、事業者、市区町村(都道府県、こども家庭庁職員利用含む)の開 発を進行中
○こども誰でも通園制度総合支援システムに係る運用保守業務 新規→全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルに かかわらない形での支援を強化するための新たな通園給付(こども誰でも通園制度)の創設に当たり整備する、こども誰でも通園制度総合支援 システムの運用保守及びコールセンターの設置を行う。⇒事業の概要、実施主体等 参照。
○子ども・子育て支援全国総合システム等情報公表事業→子ども・子育て支援法第58条に基づく特定教育・保育施設の情報公表及び幼児教育無償化の対象となる認可外保育施設等の情報公表について、 全国の施設・事業情報をインターネット上で直接検索・閲覧できる環境を構築し安定した運用を行うことを目的。 ・令和6年度補正は、認可外保育施設等に係る検索機能の改善(施設種別における絞り込み、絞り込んだ施設の地図表示、フリーワード検索 等)のための改修及び保育ワンスオンリー(施設管理プラットフォーム)・保活ワンストップ(保活情報連携基盤)との連携のための改修に要する費用を計上、国民が保育所等の情報をより簡単に検索・閲覧できるように。⇒事業の概要、実施主体等 参照。


◎資料11 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会について
○「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会
→・2040年に向けて、人口減少のスピードが地域によって異なる中、予防・健康づくり、人材確保・定着、 デジタル活用等を通じて、地域包括ケアを維持した上で、地域別のサービス提供モデルや支援体制を構築 する必要がある。また、地域の状況によっては、事業者間の連携等を通じ、人材確保を図りながら 将来の状況をみこした経営を行うことにより、サービス提供を維持していく必要がある。 ・上記を踏まえ、2040年に向けたサービス提供体制等のあり方について検討を行うため、本検討会を開催。 具体的な議論の進め方としては、まずは高齢者に係る施策を検討した上で、その検討結果を踏まえ、 他の福祉サービスも含めた共通の課題についても検討を行う(※)。 ※老健局長が参集する検討会。事務局は老健局(社会・援護局、障害保健福祉部、こども家庭庁が協力)。
【主な課題と論点】→・人口減少スピード(高齢者人口の変化)の地域差が顕著となる中、サービス需要の変化に応じた サービスモデルの構築や支援体制 ・介護人材確保・定着、テクノロジー活用等による生産性向上 ・雇用管理・職場環境改善など経営への支援 ・介護予防・健康づくり、地域包括ケアと医療介護連携、認知症ケア
【スケジュール】→・第1回は1月上中旬。その後ヒアリングを行いつつ議論し、春頃に中間まとめ(高齢者関係) ・中間まとめ以降、他の福祉サービスも含めた共通の課題について検討し、夏を目途にとりまとめ ※自治体等で先行的な取組みを進め、その状況報告を随時していただき、議論の参考に資するようにする

○経済財政運営と改革の基本方針2024 (令和6年6月21日閣議決定)(抄)
第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現 3.主要分野ごとの基本方針と重要課題 (1)全世代型社会保障の構築 (医療介護サービスの提供体制等)
•高齢者人口の更なる増加と人口減少に対応するため、限りある資源を有効に活用しながら、質の高い効率的な医療・介護 サービスの提供体制を確保するとともに、医療・介護DXの政府を挙げての強力な推進、ロボット・デジタル技術やICT・オンライン診療の活用、タスクシフト/シェア、医療の機能分化と連携など地域の実情に応じ、多様な政策を連携させる必要がある。 • 2040年頃を見据えて、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大や現役世代の減少等に対応できるよう、地域医療構想の対象範囲について、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制 全体に拡大するとともに、病床機能の分化・連携に加えて、医療機関機能の明確化、都道府県の責務・権限や市町村の役割、 財政支援の在り方等について、法制上の措置を含めて検討を行い、2024年末までに結論を得る。 • 人口減少による介護従事者不足が見込まれる中で、医療機関との連携強化、介護サービス事業者のテクノロジーの活用や 協働化・大規模化、医療機関を含め保有資産を含む財務情報や職種別の給与に係る情報などの経営状況の見える化を推進し た上で、処遇の改善や業務負担軽減・職場環境改善が適切に図られるよう取り組む。 • 必要な介護サービスを確保するため、外国人介護人材を含めた人材確保対策を進めるとともに、地域軸、時間軸も踏まえつつ、中長期的な介護サービス提供体制を確保するビジョンの在り方について検討 。


◎資料12 妊婦のための支援給付及び妊婦等包括相談支援事業の施行に向けた準備の状況について
○施行に向けた準備状況
【実施済】↓

●全国自治体に向けて説明を実施(R6/10/31説明動画配信) 令和 6年10月31日妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業の施行に向けた自治体説明(YouTube動画配信) ●妊婦のための支援給付事務処理様式(案)を自治体に発出(R6/12/20)
●自治体向けQ&Aを発出(R6/12/27・R7/2/27) 令和 6年12月27日妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業自治体職員向けQ&A(PDF/387KB)
●関係政省令(案)を自治体に発出(R7/1/24)
●産科医療機関への協力依頼及びQ&Aを発出したことを自治体に通知(R7/2/7) 令和 7年2月7日(妊婦のための支援給付に係る関係団体への協力依頼について 産科医療機関向けQ&A)(PDF/737KB)
実施予定】 ↓
●交付要綱等(案)を自治体に発出(R7/3月中)
●伴走型相談支援ガイドラインの発出(R7/3月中)


○子ども・子育て支援法及び児童福祉法の省令事項(案)→伴走型相談支援のガイドライン 現在調査研究を行っており、今年度中にガイドラインをお示しする予定。 現場での実践にあたり参考にしていただきたい。
〇主なポイントは以下のとおり。 ・給付金と効果的に組み合わせた総合的な支援 ・妊婦の他にその配偶者等の家族を含めた支援 ・面談者の専門性の担保とスキルアップ ・妊娠初期、妊娠後期、出産後の各時期に応じた面談のポイント ・特に妊娠後期を充実させるための取組みと工夫 ・出産後以降もヘルスケアだけでなく生活全般の相談支援が重要 ・面談は対面を基本にオンラインなどを効果的に活用 ・一貫した相談支援のための継続性の担保と面談の質の向上 ・流産等をした方へのグリーフケア ・様々な状況下にある要支援妊婦への配慮した相談支援
○妊婦のための支援給付交付金 新規→子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)において、子ども・子育て支援法に妊婦のための支援給付が創設され、令 和7年度から施行される。妊娠期からの切れ目ない支援を行う観点から、児童福祉法の妊婦等包括相談支援事業と効果的に組み合わせて、妊婦のため の支援給付を実施することにより、妊婦等の身体的、精神的ケア及び経済的支援を実施。⇒事業の概要、実施主体等 参照。
○利用者支援事業(妊婦等包括相談支援事業型)新規→妊婦等包括相談支援事業として、妊娠時から妊産婦等に寄り添い、出産・育児等の見通しを立てるための面談や継続的な情報発信等を行うと ともに、必要な支援につなぐ伴走型相談支援の推進を図る。⇒事業の概要、実施主体等 参照。
○妊婦のための支援給付事業費補助金 新規→子ども・子育て支援法の妊婦のための支援給付を実施するために必要な体制整備を行い円滑な給付や運用の効率化を図る。⇒事業の概要、実施主体等 参照。


◎資料13 産後ケア事業について
○産後ケア事業について
→市町村が、出産後1年以内の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、 産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う事業。
・R7年度(予定)→・「地域子ども・子育て支援事業」として、都道府県負担の導入(補助割合が国 1/2・都道府県1/4・市町村1/4に ※R6以前:国1/2・市町村1/2)。 ・兄姉や生後4か月以降の児を受け入れる施設への加算等を創設(予算案)
○産後ケア事業の提供体制の整備 【子ども・子育て支援法】→・産後ケア事業(※)について、支援を必要とする全ての方が利用できるようにするため次の課題への対応が急務。 (※)出産後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行う事業 @ 受け皿拡大に当たり、市町村の管内では委託先が確保できない場合 県が担う 必要 。 A 妊産婦のメンタルヘルスの対応 に、 市町村の区域を超えた広域的な調整を都道府 のための関係機関のネットワーク体制の構築 が重要 。 ・ 産後ケア事業を子ども に当たり、医療体制を担う都道府県との連携 ・子育て支援法の地域子ども・子育て支援事業として位置付けることで国・都道府県・市町村の役割分担を明確化し、計画的な提供体制の整備を進める。

○産後ケア事業(子ども・子育て支援交付金)拡充→出産後1年以内の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う産後ケア事業について、少子化 の状況を踏まえ、安心・安全な子育て環境を整えるため、法定化により市町村の努力義務となった当事業のユニバーサル化を目指す。こども家庭センターや伴 走型相談支援との連携により、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目ない支援の提供を行う。 ※「産後ケア事業」は、母子保健法の一部を改正する法律(令和元年法律第69号)により、市町村の努力義務として規定された(令和3年4月1日施行)

次回も続き「参考資料1−1 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案の概要」からです。

第9回 子ども・子育て支援等分科会 [2025年03月24日(Mon)]
第9回 子ども・子育て支援等分科会(令和7年3月4日)
議題 (1)子ども・子育て支援関係制度改正の状況(資料1)(2)こどもまんなか実行計画2025の策定(資料2)(3)令和7年度子ども・子育て支援関係予算案(資料3) (4)子ども・子育て支援施策関係の最近の動向について(資料4〜13)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_kosodate/2c06860e
◎資料4 保育政策の新たな方向性〜持続可能で質の高い保育を通じたこどもまんなか社会の実現へ〜 概要
○令和7年度から令和10年度末を見据えた保育政策は3つの柱を軸に推進する。
1.地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実
→【地域の課題に応じた提供体制の確保、職員配置基準の改善、虐待・事故対策強化等】⇒全国どこでも質の高い保育が受けられる
2.全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進→【こども誰でも通園制度、障害児・医療的ケア児等の受入強化、家族支援の充実等】⇒地域でひとりひとりのこどもの育ちと子育てが 応援・支援される
3.保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善→【処遇改善、働きやすい職場環境づくり、保育士・保育所支援センターの機能強化、保育DX等】⇒人口減少下で持続可能な保育提供体制を確保
⇒⇒待機児童対策を中心とした「保育の量の拡大」 参照。
※「はじめの100か月の育ちビジョン」を踏まえた保育内容の在り方、人口減少下における保育人材の在り方等の長期的な課題についても、今後、検討を進める。


○保育政策の新たな方向性 令和6年12月20日 公表→・人口減少に対応しながら、こどもまんなか社会の実現を図るため、保育政策について、今後は、待機児童対策を中心とした「保育の量の拡大」から、「地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実」と、「全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進」に政策の軸を転換。あわせて「保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善」を強力に進め、制度の持続可能性を確保。 ・全国各地域において、保育所等が専門的な保育の提供やこども・子育て支援の機能を最大限発揮し、全てのこどもの育ちの保障と、 安心して子育てできる環境の確保が実現されるよう、国・自治体・現場の保育所等の関係者が政策の基本的な方向性と具体的な施策について認識を共有し、緊密に連携・協働して取組を強力に推進。
1.地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実→「保育の量の拡大」から「保育の質の確保・向上」へ。人口減少を含めた地域の課題に応じた保育の量の確保を図る、こどもの育ちを保障するための保育の質の確保・向上の取組を進める。【地域で必要な保育の提供体制を確保し全国どこでも質の高い保育が受けられる社会へ】⇒地域の課題に応じたきめ細やかな待機児童対策、人口減少地域における保育機能の確保・強化、保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等)、保育の質の確保・向上、安全性の確保。
2.全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進→「保育の必要性のある家庭」への対応のみならず、多様なニーズにも対応しながら、全てのこどもについて適切な養育や健やかな成長・発達を保障していく取組や、家族支援・地域の子育て支援の取組を進める。【保育所等のこども・子育て支援の機能を強化し、全てのこどもの育ちと子育てが応援・支援される社会へ】⇒こども誰でも通園制度の推進、多様なニーズに対応した保育の充実、家族支援の充実、地域のこども・子育て支援の取組の推進
3.保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善→保育人材の確保を一層促進するとともに、テクノロジーの活用等による業務改善を強力に推進し、業務の効率化と保育の質の確保・向上を図る。【人材確保と効率的・効果的な業務基盤の整備を進め、持続可能な保育提供体制を確保】⇒保育士・幼稚園教諭等の処遇改善、保育DXの推進による業務改善、働きやすい職場環境づくり、新規資格取得と就労の促進、離職者の再就職・職場復帰の促進、保育の現場・職業の魅力発信
※「こども大綱」や「こども未来戦略」(加速化プラン)の対象期間(令和5年12月閣議決定・概ね5年等)を踏まえつつ、政策の方向性と具体的な施策を整理

○保育政策の新たな方向性→ここからは「主な施策」「具体的な取組」あり。
1.地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実→「主な施策」のみ。
(1)市区町村による地域のニーズ に応じた保育提供体制の確保 「具体的な取組」参照。
(2)保育提供体制の強化(職員配 置基準の改善等) 「具体的な取組」参照。
(3)保育の質の確保・向上、安全性の確保 「具体的な取組」参照。
2.全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進
(1)こども誰でも通園制度の推進 「具体的な取組」参照。
(2)多様なニーズに対応した保育の充実 「具体的な取組」参照。
(3)家族支援の充実、地域のこども・子育て支援の取組の推進 「具体的な取組」参照。
3.保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改 「具体的な取組」参照。
(1)保育士・幼稚園教諭等の処遇 改善 「具体的な取組」参照。 
(2)保育人材の確保のための総合 的な対策 「具体的な取組」参照。
(3)保育の現場・職業の魅力発信 「具体的な取組」参照。
(4)保育DXの推進による業務改 善 「具体的な取組」参照。

○1.(1) 市区町村による地域のニーズに応じた保育提供体制の確保:待機児童対策
・現状・課題等
→都市部中心に、要因は様々より待機児童を減少させるためには自治体及び国において地域の現状や課題を丁寧に分析し対応していくことが重要
・令和7年度以降の対応等→・地域の課題に応じたきめ細やかな待機児童対策  ・現状・課題の分析に基づく計画的な取組の支援  その他参照。
○1.(1) 市区町村による地域のニーズに応じた保育提供体制の確保:人口減少対策
・現状・課題等
→市町村が中心となり地域の保育所等と連携し将来を見据えた保育提供体制の計画的な整備や、保育所等の多機能化、法人間の連携等を進めること。 ・また、持続的な保育提供のため、必要な場合に、地域において法人の合併や事業譲渡等が円滑に進められるようにしていくことも重要。
・令和7年度以降の対応等→地域分析や支援の強化により、地域における統廃合や規模の縮小、 多機能化等の計画的な取組を促進し、人口減少地域等における持 続可能な保育機能の確保を進める
○1.(2) 保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等)
・現状・課題等
→4・5歳児の職員配置基準30対1→25対1への改善(3歳児の職員配置基準も20 対1→15対1へ改善)。4・5歳児、3歳児の職員配置の改善を進め るとともに、1歳児の職員配置基準の改善も早期に進めることが求められる
・令和7年度以降の対応等→保育の安全性と質を確保・向上させるため、職員配置基準の改善や、テクノロジーや幅広い人材の活用等、保育提供体制の強化を 進める
○1.(3) 保育の質の確保・向上、安全性の確保:保育の質の確保・向上
・現状・課題等
→・保育所等における保育の質の確保・向上を図るためには、各保育所等内の取組とともに地域全体で持続的に取り組 むことができる体制整備が求められる。・しかし、自治体において保育の質の確保・向上を中核的に担うべき、いわゆる保育指導職が十分に配置されておらず、また、保育の質の確保・向上に当たり大学や指定保育士養成施設と連携している市区町村は1割程度という状況。・第三者評価の実施が努力義務だが、第三者評価は、必ずしも保育そのものの改善に十分踏み込めていないといった指摘。・自己評価等に関する助言を行うために都道府県・市町村 において保育所等への巡回支援の取組を進めている、各地域における課題を踏まえた一層の効果的な実施を促進すること。
・令和7年度以降の対応等→地域の保育の質の確保・向上に向けた体制整備、研修内容の充実と機会の確保、巡回支援や第三者評価等の推進
○1.(3) 保育の質の確保・向上、安全性の確保:安全性の確保
・現状・課題等
→・保育所等の職員による虐待は、児童養護施設や障害児者施設、高齢者施設の職員による虐待と異なり、法令上の通報義務等がない状況。また、ガイドライ ンに示している「不適切な保育」について、その判断基準等が不明確であるとの指摘がある。・こどもへの性暴力防止の対策を推進するため、こども性暴力防止法が成立(R6.6)。・事故対策は、保育所等に安全計画の作成と対応 を義務付ける(R5〜)とともに、「教育・保育施設等に おける事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライ ン」(平成28年3月発出)を浸透させるため、アンケー ト調査や啓発資料を作成し、SNSによる周知等に取り組んできた。 ・一方で、教育・保育施設等における重大事故は、増加傾向にあり、特に誤嚥による死亡事故は、令和元年以降、8 件発生対策を強化していく必要。 ・地震や豪雨などの災害が発生する中で、こどもの命を守るための対策の強化を進めるとともに、発災後の保育機能 の確保や地域支援を進めていくことが求められている
・令和7年度以降の対応等→虐待や不適切な保育、事故等の防止・対応や災害への対応力を強化し、保育の安全性の確保を図る
【虐待・不適切な保育に係る相談窓口の設置割合(自治体):100% (令和8年度)】

○2.(1) こども誰でも通園制度の推進
・現状・課題等
→・0〜2歳児の約6割はいわゆる未就園児である中で、「保育の必要性のある家庭」への対応のみならず、全てのこどもの育ちの保障や子育て家庭への支援の強化が課題に。 ・子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律【R6.6成立】で、 全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に 利用できる「こども誰でも通園制度」を創設【R7.4 制度化R8.4 本格実施】
・令和7年度以降の対応等→令和7年度に制度化、令和8年度に給付化し、円滑な運用や利 用の促進により、就労要件を問わず全てのこどもの育ちと子育て 家庭を支援
【こども誰でも通園制度の実施割合(自治体):100%(令和8年度)】

○2.(2) 多様なニーズに対応した保育の充実@(障害児・医療的ケア児等)
・現状・課題等
→保育所等における障害のあるこどもや医療的ケア児の受入れは増加。多様 なニーズを抱えたこどもについて、インクルージョンの観点から保育所等 の受入れを推進するとともに、ニーズに応じた専門的な支援の確保・充実 が必要
・令和7年度以降の対応等→関係機関とも連携し、専門的支援も確保しながら保育所等における多様な支援ニーズを有するこどもの受入れを推進(インクルージョンの推進)
○2.(2) 多様なニーズに対応した保育の充実A(病児保育・延長保育・一時預かり等)
・現状・課題等
→病児保育、延長保育、一時預かりなど、多様な保育ニーズに 対応した保育の提供体制の確保・充実を図る必要がある
・令和7年度以降の対応等→働き方改革や加速化プランにおける「共働き・共育ての推進」の取組等も踏まえながら多様なニーズに対応した各地域における保育の提供体制を確保。
○2.(3) 家族支援の充実、地域のこども・子育て支援の取組の推進@
・現状・課題等
→・妊娠 届出時より妊婦や特に0歳から2歳児の低年齢期の子育て 家庭に寄り添い、全ての妊娠・子育て家庭が安心して出 産・子育てができるよう支援を進めることが求められている。・児童虐待相談対応件数は令和4年度21.5万件と過去最多。・こうした中で各自治体では地域の実情に応じた 支援体制の整備が進められているが、実施事業や地域資源 など、取組に差が生じている状況がある 一方、児童虐待が大きな課題となり、また、地域子育て 相談機関やこども誰でも通園制度が創設されるなど、保育 所等における家族支援や地域のこども・子育て支援への期 待は高まっており、地域の中で機能を発揮していくことが 求められる
・令和7年度以降の対応等→関係施策や関係機関と緊密に連携しながら、保育所等において、利用児童の保護者等に対する子育て支援や、地域のこどもや子育て家庭を支 援する取組等を進める
○2.(3) 家族支援の充実、地域のこども・子育て支援の取組の推進A (「はじめの100か月の育ちビジョン」に基づく施策の推進)
・現状・課題等
→・0〜2歳児の約6割は就園しておらず様々な人や環境に触れる機会が 家庭状況に左右されているほか、児童虐待で亡くなるこどもの約半数は 0〜2歳児であるなど、全てのこどもの育ちをひとしく切れ目なく保障 することが十分にできていない。・また、保護者から「子育てをしている親と知り合いたかった」「子育てをつらいと感じることがあった」といった声があるなど、孤立した育 児の実態がある。 ・そのため、「はじめの100か月」の育ちを保障するためのビジョン、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」(令和5年12月 22日閣議決定)を示し、社会全体でこどもや子育て世帯を支える気運醸 成を行うとともに、関連施策の強力な推進が必要。
・令和7年度以降の対応等→「はじめの100か月の育ちビジョン」の関連施策を継続的に推進し、 多様な分野で「はじめの100か月」の育ちを支える関係人口を増 やし、全国的なネットワークの形成を図るとともに、その取組を 促進
【「はじめの100か月の育ちビジョン」非常に大切だと思う人の割合:70%(令和8年度)】

○3.(1) 保育士・幼稚園教諭等の処遇改善
・現状・課題等
→・これまで人事院勧告を踏まえた改善 や累次の加算措置を講じてきており、令和6年度は、公定価格の保育士 等の人件費について過去最大の10.7%の改善を補正予算に計上。 ・引き続き、こども未来戦略(加速化プラン)を踏まえた更なる処遇改 善や費用の使途の見える化の取組が求められている
・令和7年度以降の対応等→民間給与動向等を踏まえた処遇改善に取り組むとともに、各保育 所等のモデル賃金や人件費比率等の見える化に取り組み、保育士 等の処遇の改善を進める。
・処遇改善を通じた他職種と遜色ない処遇を実現する 【保育士等の平均給与の増加(令和8年度)】
○3.(2) 保育人材の確保のための総合的な対策
・現状・課題等
→待機児童は大幅に減少してきているが、保育士の有効求人倍率は2.42 倍(令和6年4月)と全職種平均(1.18倍)と比べても高い水準の中で、配置基準の改善や「こども誰でも通園制度」の制度化に伴い、今後も保育士の確保は必要となる。
・令和7年度以降の対応等→働きやすい職場環境づくり、新規資格取得と就労の促進、離職者の再就職・職場復帰の促進、保育の現場・職業の魅力発信の取組を総合的に推進
○3.(3) 保育の現場・職業の魅力発信
・現状・課題等
→・SNS上では、保育に関する誤った情報や保育士・保育の現場へのネガ ティブなイメージが生じ得る内容の情報も存在。 ・正確な情報を発信することにより、保育 士が進路選択にあたっての選 択肢の一つとなること、現在保育士として従事する者が就業を継続する こと、一度現場から離れた者の復帰、を後押しすることが必要。
・令和7年度以降の対応等→保育の現場や保育士等の仕事の魅力の発信を進め、若者や保護者をはじめとする国民の理解を深め、保育人材の確保を図る
○3.(4) 保育DXの推進による業務改善
・現状・課題等
→保育現場におけるICT導入は限定的で、手書きやアナログの業務が存続しているため、給付・監査等で多くの書類作成が必要、自治体により異なる 書類の様式等による事務負担が課題。また、自治体でも、多くの書類管理 やシステムへの入力作業、煩雑な審査による担当者の事務負担が課題。 ・保護者にとっては、必要な情報収集に手間と時間が掛かる、施設見学は 開園時間中に電話で予約、申請書への手書きでの記入など、保活の手続に 係る負担が大きいという課題が存在。
・令和7年度以降の対応等→各種手続の標準化・簡素化を図るとともに、テクノロジーの活用による 業務改善を進め、効率化できた時間で保育の質の確保・向上に取り組む ことができる環境を整備する
・全ての保育所等におけるICT環境の整備【保育所等におけるICT導入率:100%(令和7年度)】
・保育業務ワンスオンリーによる業務効率化の実現【従来と比較した保育業 務施設管理プラットフォームの満足度:70%以上(令和8年度)】
・負担のない保活の実現【利用者の保活に関する満足度70%以上、参加施設 における施設見学予約のオンライン申請率:60%以上(令和8年度)】


◎資料5 子どものための教育・保育給付交付金の令和7年度予算案の主な内容について
○子どものための教育・保育給付交付金
→・子ども・子育て支援法に基づき、市町村が支給する施設型給付費等の支給に要する費用の一部を負担することにより、子どもが健 やかに成長するように支援することを目的。 ・教育・保育給付認定を受けた小学校就学前の子どもが、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育事業(小規模保育事業、家庭 的保育事業等)を利用する際に施設型給付費等を支給する市町村に対し、支給に必要な費用の一部を負担するため交付金を交付する。⇒令和7年度予算案の主な内容、実施主体等 参照。
○1歳児の職員配置の改善→2025年度以降、1歳児について、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に6対1から5対1へ の改善を進める。⇒令和6年度の対応:4・5歳児の配置基準の改善、令和7年度予算案等における対応 参照。
○保育士等の処遇改善→令和5年人事院勧告を踏まえた対応を実施するとともに、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善を進める。 ・くわえて、費用の使途の見える化に向けて、事業者が施設ごとの経営情報等を都道府県知事に報告することを求めるとともに、報告された経営情報等 の分析結果等の公表を都道府県知事に求めること等を法定化する。
⇒令和7年度予算案等における対応 参照。
○処遇改善等加算の一本化について(案)(令和7年度〜)→・現行の3加算の目的・趣旨を踏まえ、新加算の中に、「@基礎分」「A賃金改善分」「B質の向上分」の3区分を設定。
・このほか、関係者の意見等も踏まえ、配分ルールの統一化、柔軟化や賃金改善の確認方法の見直しを実施⇒【現行】と【見直し後】処遇改善等加算(仮称)参照のこと。

○公定価格における定員区分の細分化→・施設の運営に要する費用には、施設の規模に応じて変動する経費(例:保育士の人件費等)と変動しない固定的な 経費(例:施設長の人件費等)があり、定員規模によって費用の構造が異なることから、公定価格では、利用定員 10 人単位を基本として定員区分を設け、それぞれについて子ども1人当たりで単価を定めている。 ・ 具体的な各定員区分における単価の算定については、各定員区分の上限(例:51人〜60人の定員区分では定員60 人)の定員数を基に、子ども一人単価に置き直して算定していることから、利用子どもの数の増減による影響を受け やすい比較的小規模な定員規模の施設について、定員区分と利用子ども数との乖離を縮小させるため、定員 60人以下の幼稚園・保育所・認定こども園に係る定員区分の細分化を行う。⇒定員区分の細分化(案) 参照。
○公定価格における定員超過減算の見直し→定員超過減算は、平成28年の「待機児童解消に向けて緊急的に対応する政策について」を踏まえ、利用定員を超えている状態が一定期間継続する場合の減額調整の要件を、 @直前の連続する5年間(幼稚園及び認定こども園(1号認定)にあたっては2年間)常に利用定員を超え、かつ、 A各年度の年間平均在所率が120%以上であること としていた。待機児童数がピークであった平成29年から7年連続で減少し、令和6年の待機児童数は平成29年の10分の1以下となっている状況を踏まえ、@の5年間の期間を、令和7年度より2年間とする。 ※ただし、過去3年間に待機児童がいた地方公共団体は1年間を経過措置期間とし、令和8年度から実施。⇒留意事項通知記載(案)、対象施設 参照。
○災害時における主幹教諭等専任加算・主任保育士専任加算等の要件の見直し→・エッセンシャルワーカーが自ら被災しながら人命救助・災害復旧等に当たるためには、そのこどもの教育・保育の確保が重要。  ・災害等発災直後に出勤する必要のある保護者がこどもたちを預けられるよう、主幹教諭や主任保育士等の経験を有する保育士が 地域で災害時等にこどもの支援にあたることができるように、主幹教諭等専任加算や主任保育士専任加算等において評価を行う。⇒取組内容、改正案 参照。
○公定価格における冷暖房費加算の見直しについて→冷暖房費加算は施設(事業所)に対する加算であり、級地区分を国家公務員の寒冷地手当の地域に準拠していることから、 新たな級地区分に準拠することを基本としつつ、令和7年度においては、四級地から級地外となる市町村について、変緩和措置を講ずることとする。⇒告示単価表改正(案)参照。

次回も続き「資料6 保育所等における継続的な経営情報の見える化について」からです。

第9回 子ども・子育て支援等分科会 [2025年03月22日(Sat)]
第9回 子ども・子育て支援等分科会(令和7年3月4日)
議題 (1)子ども・子育て支援関係制度改正の状況(資料1)(2)こどもまんなか実行計画2025の策定(資料2)(3)令和7年度子ども・子育て支援関係予算案(資料3) (4)子ども・子育て支援施策関係の最近の動向について(資料4〜13)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_kosodate/2c06860e
◎資料1 児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要→保育人材の確保等に関する体制の整備及び虐待を受けた児童等への対応の強化を図るため、保育士・保育所支援センターの法定化、国家戦略特別区域 における関係する特例の一般制度化を行うほか、保育所等の職員による虐待に関する通報義務等の創設、一時保護委託の登録制度の創設及び児童虐待を 行った疑いのある保護者に対する一時保護中の児童との面会制限等に関する規定の整備を行う。⇒法案の概要、施行期日(令和7年10月1日)  参照のこと。
○保育士・保育所支援センターの法定化→・保育人材の確保は恒常的な課題であり、また、今後の保育士の職員配置基準の改善やこども誰でも通園制度の創設も見据え、保育人材確保策の強化を図る必要がある。 ・保育人材確保の取組のうち、潜在保育士の再就職の促進のため、再就職に関する相談・就職あっせん、求人情報の提供等を行う「保育士・保育所支援センター」(※)について、当該センターの設置及び運営に要する費用の一部を補助により、こどもを安心して育てることができるよう体制整備を行っている。(※)令和6年10月1日時点において46都道府県75か所で実施されている。⇒A改正内容(案) 参照。
○地域限定保育士の一般制度化→・地域における保育人材確保のため、平成27年度に、国家戦略特別区域法に基づく特例措置として、地域限 定で保育士と同様に業務を行うことを可能とする、いわゆる「地域限定保育士制度」を創設。  ・上記の制度が創設された当時は、通常の保育士試験の実施回数は年間1回だったが、その後年間2回実施 の取組みが広がり、平成29年度以降は全ての都道府県において年間2回試験を実施。 ・ 保育人材の確保は、全国的な課題であるが、その状況には地方公共団体間に差がある。特に不足するおそれが大きい地域について、集中的に保育人材確保に取り組むことができるようにすることが必要。⇒A改正内容(案) 参照。
○3〜5歳のこどものみを対象とする小規模保育事業の創設→・「小規模保育事業」とは、19人以下の利用定員で、0〜2歳のこどもを対象に、施行日:令和8年4月1日。ただし、3〜 5歳のこどもの保育の体制整備の状況その他の地域の事情を勘案して、3〜5歳児を受け入れることも可能。・平成29年からは、 国家戦略特別区域法に基づく特例措置として、国家戦略特区の事業実施区域(成田市、堺市、 西宮市)においては、事業者の判断により小規模保育事業の対象年齢を0〜5歳の間で柔軟に定めることが可能とされているところ、規制改革実施計画(令和5年6月16日閣議決定)において、 3〜5歳のこどものみを対象と する小規模保育事業を創設することについて、次の法改正のタイミングであり方を検討する。⇒A改正内容(案) 参照。
○保育所等の職員による虐待に関する通報義務等について→・保育所等における虐待等の不適切事案が相次いでおり、こどもや保護者が不安を抱えることなく安心して保育所等に通う・こどもを預けられるような環境を整備していく必要がある。 ・児童養護施設等や障害児者施設、高齢者施設については、職員による虐待等の発見時の通報義務等の仕組みが設けられているところ、保育所等における虐待等への対応についても、同様の仕組みを設ける必要がある。 (※)なお、保育所等や自治体において適切な対応が図られるよう「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライ ン」を策定し通知を発出(令和5年5月)するなどの対応を行っている。⇒A改正内容(案) 参照。
○一時保護委託の登録制度の創設について→児童相談所における一時保護施設については、令和4年の児童福祉法改正により、設備・運営基準が設け られた。 ・ 一方で、一時保護委託先については、法律上、児童相談所長又は都道府県知事が「適当と認める者」への 委託が可能な旨のみが規定され、制度上は特段の基準等が設けられていないことから、その質の担保が課題 となっている。⇒A改正内容(案) 参照。
○一時保護中の児童の面会通信等制限→児童虐待防止法第12条では、児童虐待を行った保護者についてのみ面会通信制限等ができるものとされており、児童虐待が行われた疑いがある段階については、対象となっていない。 ・こうした中、各児童相談所では、疑い段階の場合に行政指導等として面会通信制限等が行われているケースがある。 ・また、保護者と面会等ができなくなることは、対象となる児童への心理的影響が大きいことが想定され、面会等制限を行う場合等について、児童の意見を聴く仕組みを設ける必要がある。⇒A改正内容(案) 参照。


◎資料2 こどもまんなか実行計画2025の策定について
○「こどもまんなか実行計画2025」の策定について(案)
→基本政策部会では、こども大綱及びこどもまんなか実行計画に掲げられた施策の進捗状況や数値目標を含めた指標の動きを確認しながら、今後「こどもまんなか実行計画2025」の策定に向け、引き続き、こども・若者の意見聴取を行いながら、各分科会・部会においても審議を行い、春頃を目途にこども家庭審議 会としての意見を提出。その結果を踏まえ、政府において6月頃を目途に実行計画の改定を行う。
○「こどもまんなか実行計画」について(参考資料)↓
・概要(こども大綱より)→(こどもまんなか実行計画によるPDCAとこども大綱の見直し)毎年6月頃を目途に、こども政策推進会議において「こどもまんなか実行計画」を改定し、関係府省庁 の予算概算要求等に反映。おおむね5年後を目途に、こども大綱を見直す。
・こども大綱とこどもまんなか実行計画の関係→大綱の具体化が こどもまんなか実行計画

○「こどもまんなか実行計画2025」 の策定に関し参考となる資料→・「こどもまんなか実行計画2024」(令和6年5月31日公表) ・ EBPM関係資料 ・ 令和7年度子ども・子育て支援関係予算案の状況 ・「保育政策の新たな方向性」(令和6年12月20日公表) ・「放課後児童対策パッケージ2025」(令和6年12月27日公表) 等
○こどもまんなか実行計画2024(概要)@(令和6年5月31日こども政策推進会議決定)→・実行計画の概要(こども大綱の6つの基本方針)。・今後、こども家庭審議会において施策の実施状況や指標等を検証・評価し、その結果を踏 まえ、毎年、骨太の方針までに改定し、関係府省庁の予算概算要求等に反映。これらにより、継続的に施策の点検と見直しを図る。⇒新規・拡充施策を中心に具体的な工程表を示すとともに、すでにこども大綱で設定している数値目標 を含めた指標(75指標)に加え施策の進捗状況を把握するための288※の指標を提示。
○こどもまんなか実行計画2024(概要)AB↓
・こども施策に関する重要事項→ 1 ライフステージを通した重要事項(1)〜(7)、2 ライフステージ別の重要事項(1)〜(3)、3 子育て当事者への支援(1)〜(4)、
・こども施策を推進するために必要な事項→ 1 こども・若者の社会参画・意見反映 2 こども施策の共通の基盤となる取組 3 施策の推進体制等


◎資料3 令和7年度子ども・子育て支援関係予算案について ↓
○令和7年度こども家庭庁予算の全体像
→・令和7年度のこども家庭庁予算は、「こども未来戦略」に基づくこども・子育て政策の強化を本格的に実行、こど もや若者、またそれをサポートする方々のために、質の高い施策に取り組む予算。 ・予算の総額は、子ども・子育て支援特別会計の設置に伴い育児休業等給付関係の歳出が移管されることに伴う増を 除いた実質ベースで前年度比1.1兆円増(+17.8%)となる、約7.3兆円。主な増要因は、 ・児童手当の拡充(満年度化)+0.6兆円 ・高等教育(大学等)の負担軽減の抜本的強化+0.1兆円 ・育休支援の拡充+0.1兆円 ・保育の質の向上(処遇改善、配置改善等)+0.1兆円。 ・令和7年度予算編成から、EBPMを導入してエビデンス・データに基づく政策の質・効果の向上を図るとともに、政策の 検証・評価にこども・若者が参画するプロセスを創設し、こども・若者世代の視点に立った実効的な政策を推進。
⇒対前年度比+11,063億円


○令和7年度予算案の主なポイント→こども・若者、そしてそのサポートに携わる方々のために 質の高い、濃厚なこども政策を実行する予算↓
・こどものための保育の質の向上     1,933億(822億)
・仕事と子育ての両立支援        4,315億(3,549億)
・若い世代の生活と学びへの支援     6,540億(5,438億)
・妊娠期から子育て期の切れ目のない支援  72億(67億)
・発達に特性のあるこどもと家族への支援  25億(8億)
・医療的ケア児や被虐待児童等への支援を充実6,460億(6,157億)
・さらに寄り添った、貧困・ひとり親家庭支援1,567億(1,514億)
・児童手当の拡充の満年度化       2兆1,666億(1兆5,246億)

○令和7年度こども家庭庁予算案の概要↓
1 こども・若者世代の視点に立った政策推進とDXの強化
・こども・若者世代の視点に立った政策推進の強化等 3.3億円(2.9億円)
・DXによる政策を届ける力と現場負担の軽減 191億円の内数
2 若い世代のライフデザインの可能性の最大化と社会全体の意識改革等
・若い世代のライフデザインの可能性の最大化 11億円(11億円)
・妊娠期から子育て期の包括的な切れ目のない支援  3,072億円の内数
3 より良い子育て環境の提供
・ 誰でも無理なく安心して子育てができる社会への転換 3兆2,845億円の内数
・保育の質の向上等 2兆1,819億円の内数
・こどもの安心・安全の確保  2,165億円の内数(2,093億円の内数)
4 すべてのこどもの健やかな成長の保障
・こどもの自殺対策 0.6億円(0.6億円)
・こどもの貧困対策・ひとり親家庭の自立促進等1,939億円の内数 (1,854億円の内数)
・児童虐待防止・社会的養護・ヤングケアラー支援等 4,033億円の内数(3,829億円の内数)
・障害児支援・医療的ケア児支援等 5,204億円の内数(4,988億円の内数)

≪(参考)令和7年度予算案 (文部科学省)≫
○幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上
→1 幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上を支える自治体への支援 5.3億円(新規) 2 幼児教育の質の向上に関する調査研究等3.4億円(5.6億円) 3 幼児教育の質を支える教育環境の整備13億円(13億円)
○幼児教育推進体制等を活用した 幼保小の架け橋プログラム促進事業→小学校入学当初の教師の指導方法が子供の主体的な姿がより見られるようになってきているなどの成果あり。・ 一方で、全国的にみると幼保小の接続に関する取組は未だ不十分であり、設置 者や施設類型を問わず、各地域において幼保小の関係者が連携 ・協働し子供の発達や学びの連続性を確保したカリキュラムの実施や教育方法の改善などが必要。⇒事業内容等 参照。
○幼児教育の学び強化事業→生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもので幼児教育施設の有する機能を家庭や地域に提供することにより、 未就園児も含め、幼児期にふさわしい学びを深めていくことが重要。幼児教育施設入園後には、幼児教育が直面している課題 解決を図ることにより、幼児が園での活動を通して、学びを深めていくことが重要⇒事業内容@〜B 参照。
○大学等を通じたキャリア形成支援による 幼児教育の「職」の魅力向上・発信事業→幼稚園教諭等の人材は、養成校生の多くが他業種へ就職する平均勤続年数が少ない、 離職者の再就職が少ないなど、人材の需要の高止まりに供給が追い付いていない。 より多くの人材が幼児教育の道を志し、継続的に働き続けられる職場環境の中で体系的に資質能力を向上させていけるよう、また、幼稚園教諭免許状保有者が円 滑に復職できるよう、総合的なキャリア形成支援の取組を実施する必要がある。
・事業内容→@「職」の魅力向上のための園務改善実証事業⇒ 教育活動に集中できる職場環境整備に向けて、⺠間事業者等の専⾨的な知見を得つつ、 幼稚園教諭等が日々行う業務を効率化する実証事業を実施し、負担軽減効果の見える 化を図るとともに、業務改善を志向する園に対してアプローチの参考となる資料を取りまとめる。A大学等を拠点とする「職」の魅力発信モデル事業⇒ 地域の幼児教育人材の育成を担う大学等が拠点となり、地域イベント等を通じて、自治 体や域内の幼稚園、団体等と連携協働しつつ、地域における人材輩出のネットワークを形 成し、入学前からの現場の魅力発信、学生のキャリア観形成支援、現職教諭の職場定着や 離職者の円滑な復職支援等の総合的なキャリア形成支援を行う。これまでの事業の課題や 成果も踏まえつつ、地域の未来を担う幼児教育人材の確保・定着を推進する。
○幼児教育に関する大規模縦断調査事業→幼児教育の分野においては、長年にわたり、より良い教育を目指した実践等が積み重ねられてきたが、今後は 析によるエビデンスにも基づきながら、政策形成に取り組むことが重要 調査・研究から得られた実証データの分析によるエビデンスにも基づきながら、政策形成に取り組むことが重要。また、諸外国では、幼児教育の効果を示した長期追跡調査の研究成果はある が、各国の教育制度や文化等も異なることから、日本においても、大規模な追跡調査を実施することが必要。 ・ 本調査では、子供の成長に資する質の高い幼児教育を科学的に明らかにし 、今後の幼児教育の政策形成(幼稚園教育要領の改訂や指導資 料の充実等)に資するエビデンスを得るため、 令和6年度における5歳児を対象に5年間の追跡調査を行い、幼児教育が、子供の発達、小学校 以降の学習や生活にどう影響を与えるかについて検証 を行う。⇒調査の概要(1〜)(3) 参照。
○幼児教育の理解・発展推進事業→幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針の整合性が図られており、これらの正しい理解の下、幼児 教育施設が一体となって、幼児に対して適切な指導が行われることが求められている。 幼児教育施設を取り巻く現状を踏まえ、研究協議会の開催や指導資料等の作成を行い、先進的な実践や幼保小の架け橋プログラム 等の理解を深める。⇒事業内容 参照のこと。

○OECD ECEC Network事業への参加→・質の高い幼児期の教育の提供を基本理念とする「子ども・子育て支援新制度」の開始、幼児教育・保育の無償化の実施に加えて、令和2年9 月のG20教育大臣会合において質の高い幼児教育へのアクセスの重要性が宣言されるなど、 国内外で幼児教育の質に対する関心が高まっている。 ・ このため、OECDが実施する国際幼児教育・保育従事者調査等に参加し、質の高い幼児教育を提供するための ともに、これらの事業への参加により、国際比較可能な幼児教育 基礎データの整備に貢献 すると ・保育施設の活動実態に関するデータや、各国の好事例など 育の提供に向けた施策展開のための重要な基礎情報を得る こととする。
・事業内容→・「OECD国際幼児教育・保育従事者調査」⇒勤務環境や研修などの保育者の資質・能力の向上に関する状況等に関する第2期サイクルが 2021年から開始。 第1期調査(2018年)では、日本の保育者の研修等による 専⾨性向上への意識の高さ などが明らかになった一方、保育者の処遇や社会的評価 保育者の不足 等についての課題 もあり、調査結果を参考に施策立案に活用。 ・「質の高い包括的な幼児教育・保育を目的とした政策への研究の転換」⇒「幼児教育 ・保育を通じたより平等な機会と包括性の確保」に向けて、子供の発達、学習、福祉に関する最新の研究を基に、幼児教育・保育に関 する政策の改善、新しい政策の導入条件等を調査。2023 年から2024年にかけて調査、2025年公表予定。

○教育支援体制整備事業費交付金→子育て支援の更なる充実と幼児教育の質の向上を図るため、認定こども園の設置を支援するとともに、預かり保育や こども誰でも通園制度の実施も踏まえた幼児の学びに必要な環境整備、保育DXを推進し教員が幼児と向き合う時間を 確保するためのICT環境整備等を支援する。1〜4の参照。
○私立幼稚園施設整備費補助金→緊急の課題となっている国土強靱化の取組を推進する園舎や外壁等の非構造部材の耐震対策、子どもの命を守る防犯対策、 省エネルギーの推進に向けたエコ改修、バリアフリー化等の施設整備に要する経費を支援する。1〜8 参照。

次回も続き「資料4 保育政策の新たな方向性」からです。

第2回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料) [2025年03月21日(Fri)]
第2回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料)(令和7年2月27日)
関係者からのヒアリング ・一般財団法人 全日本ろうあ連盟 ・一般社団法人 障害者雇用企業支援協会 ・一般社団法人 日本発達障害ネットワーク ・特定非営利活動法人 全国就業支援ネットワーク
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53089.html
◎資料1−2(参考資料):一般社団法人 障害者雇用企業支援協会
○資料1「もにす認定制度」における評価項目の準用について(『(仮称)もにす準拠指標制度』) 25.02.28

・【提案】「もにす認定制度」における評価項目の一部をそのまま準用する(仮称:『もにす準拠指標制度』→アウトカムの小項目J〜M準用。本制度の適用は、障害者雇用納付金の対象 となる企業(現行は従業員数100人超)に ついては必須とし、それ以外の企業(同100 人以下)については任意とする。評価結果については、毎年のロクイチ報告に 向けた障害者雇用率実績等の申告と同時に 行うものとし、現行の「もにす認定制度」と 異なり、年1回の申請(更新)を必須とする。
・【Q1】なぜ「もにす認定制度」の成果(アウトカム)の項目のみを使用するのか→定量的な 測定が難しく、企業によって違いの大きい取り組み系項目よりも、定量化しやすく、また共通化しやすい成果系の項目にあえて絞ること。定量化しやすい項目に絞ることで、企業側、審査側(労働局orハローワーク)双方の手間、労力が最小化されること。 全公務部門で 義務化されている 「障害者活躍推進計画」における設定目標(※)項目と内容的に一致しており、関係者間の納得度が高いこと。
・【Q2】なぜ従業員数規模によって“必須”と“任意”に分けるのか→現行は従業員数100人超の企業が障害者雇用納付金の徴収対象となっているが、これと同じ基準を本制度についても適用することで、 必須となる企業においては、「雇用の量(数)」だけなく「雇用の質」の向上のさらなる動機づけが期待できること(なお、今後障害者雇用 納付金の徴収対象企業の見直しがなされた場合は、本制度の適用対象も同様に見直すべきと考える)。 また、障害者雇用率制度全般にかかる事務作業量の観点からも、対象企業を絞らない方法をとることは非現実的であり、何らかの基準で 仕分けをする必要があると考えること。
・【Q3】なぜ現行の「もにす認定制度」と異なり、年1回の申請(更新)を“必須”とするのか 本制度は「もにす認定制度」における評価項目の一部をそのまま利活用するものであるが、別紙(資料2)のとおり、その評価結果が障害者 雇用率制度における毎年の経済的なインパクト等(調整金、報奨金、納付金等)に直接影響を及ぼすものであるため、一度認定されれば 余程の事情がない限り取り消されることがない現行の「もにす認定制度」の考え方とは、一線を画す必要があること。 なお、上述の通り現行の「もにす認定制度」には認定取得後の更新審査などPDCAを回す仕組みがセットアップされいないため、いわゆる “認定された者勝ち”のような状態を容認せざるを得ず、制度自体の長期的な品質の担保が十分とは言えない。そこで、本制度の施行と 同時に「もにす認定制度」にも有効期限の考え方を導入することによって、より良い形にブラッシュアップできるのではないかと考える。
・Appendix(参考資料) 「障害者活躍推進計画の作成手引き」(厚生労働省2023/4)より→「障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標」の策定 要領に関する記述(抜粋)⇒@採用に関する目標A定着に関する目標B満足度、ワーク・エンゲージメントに関する目標Cキャリア形成に関する目標  参照。

○資料2 『(仮称)もにす準拠指標制度』の「障害者雇用率制度」への展開方法について
・【提案】「(仮称)もにす準拠指標制度」の「障害者雇用率制度」への展開方法・2つのイメージ →・〈イメージA付加倍率方式〉⇒もにす準拠指標の反映方法(イメージ)参照。
・〈イメージB分母調整方式〉⇒一般企業と特例子会社とでは、障害者雇用における様々な側面で特例子会社が 有利になるため、分母調整率に差を設けるべきではないか。

○資料3 障害者雇用人材移動の構造
・厚生労働省が公表しているデータを用いて、障害者雇用に関する人材マーケットの構造を想定してみる→2.7%を充足させるために不足する障害者の人数 G−C = ▲12,000人。 法定雇用率2.7%を実現するために雇用可能な障害者はどこにいるだろうか?

○資料4 高齢従業員の福祉的就労へのスムーズな移行実現↓
1企業等と就労継続支援事業所との間で必要な連携協力方法やそのためのルール→企業と支援事業所が連携する際の具体的な手順やルールを明文化したガイドラインを策定が求められる。このガイドラインには、情報共有の方法、アセスメントの実施手順、緊急時の対応方法などが含まれ、企業と支援事業所の双方がガイドラインを遵守することで、連携の質を向上を期待し得る。
2.雇用、及び福祉分野の関係機関の連携による適切かつ円滑な活用やサポート方法→障害者の福祉的就労への移行を円滑に進めるためには、雇用及び福祉分野の関係機関の連携 が不可欠。⇒以下具体化については参照のこと。
3.併用の期間や併用時の勤務形態等について、必要な条件やルール→一般就労と福祉的就労の併用期間を明確に設定すること。併用期間中は、個別支援計画を策定し、定期的にモニタリングし、併用期間の終了後も、支援を充実させるべく、障害者就業・生活支援センター等の支援機関が 定期的にフォローアップを行い、就労環境の改善や課題解決に取り組むことが望まれる。 また、企業での就労が週5日から減少し、福祉的就労、特にB型事業所で工賃となると、収入 減少への不安が、障害者本人にとって壁となる。この減少分を、一定期間、公費で補助するこ とも検討いただきたい。

○資料5 障害認定基準の統一化について→【知的障害者の認定基準等が都道府県で異なる現状に関する歴史的経緯に関する認識】 参照のこと。


◎資料1−3:一般社団法人 日本発達障害ネットワーク
ヒアリング報告者:副理事長 大塚 晃
<団体概要>

1.設立年月日:2005年12月3日 2.活動目的及び主な活動内容:(活動目的)発達障害者およびそのご家族の権利と利益の擁護を行うこと (主な活動)発達障害に関する理解啓発・人材育成・政策提言等 3.加盟団体数:61団体(親や本人の会、研究会や学会、職能団体、賛同する企業な ど) 4.会員数:約16万人(加盟団体の会員の総数) 5.法人代表: 市川宏伸(理事長)

○ヒアリング項目⑴ 前回の法改正においても、厚生労働省労働政策審議会障害者雇用分科会等の意見を踏ま え、事業主の責務として職業能力の開発及び向上に関する措置が追加される等、これまで も一定の措置が講じられているが、更なる雇用の質の向上に向けて、どのような対応が求 められるか。
<現状認識、課題等>↓
障害者雇用の数に加えて、障害者が個々に持てる能力を発揮して活き活きと活躍し、そ の雇用の安定に繋がるよう、障害者本人、事業主、関係機関が協力して障害者雇用の質を向上させることが求められている。発達障害者にとっての障害者雇用の質の向上について 意見を述べる。  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構・障害者職業総合センターの「発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究」(2015年4月)は、発達障害者の就業の現状では、賃金、賞与、就業形態(非正規割合)及び労働時間並びに勤続年数等の雇用形態・待遇等労働条件において、一般労働者と比較すると、厳しい状況に置かれており、離職率も高いことから雇用の安定という観点から様々な問題が生じていると報告している。雇用の質の指標である職業への満足度は必ずしも高くはない。職場への要望では、「分かりやすい指示をしてほしい」36.8%、「仕事が変更になる時は、前もって伝えて ほしい」35.8%、「仕事の優先順位を示してほしい」32.8%などとなっている。このような 記述は、改善策への要望とも捉えられ、発達障害の特性を理解し合理定配慮が適切に提供 されていない現状を示唆しているとも言える。 職業生活の満足度を構成する主要な要素として@ 「周囲の人たちの理解」、A 「仕事のやりがい」、B 「否定的な対応が少ない」の3因子が抽出されており、これらの要素を個々の 発達障害者の支援において、適切に配慮できるかが課題となっている。
<とるべき対応、対応の方向性等> ↓
上記の調査結果から今後の対応の方向性は、以下の事柄が考えられる。
1.より満足度を高める雇用の質を向上させていくために、
発達障害の特性や配慮の内容を職場の人に適切に伝えていくことが重要である。事業所のどのような立場の人に伝えるか、伝える者の専門性などにより、受入れる職場の対応や配慮に異りが生じている状況がある。そのため支援機関は、発達障害者の特性として課題を整理して捉えることが苦手で 言葉で表現しづらい当事者に替わって、困っていることや自身の特性や配慮してほしいことを事業所の雇用管理責任者に適確に伝える役割がある。職場適応援助者(「ジョブコーチ」)の活用を促進していくことが考えられる。その際、発達障害という障害種別に対応 できるジョブコーチの育成が急務であると考える。
2.事業主及び支援者は個々の発達障害者の特性について事前に把握し、職務遂行の指示や職場環境に関し、当該特性に応じた配慮を行うことが望まれる。アセスメントの機能強化が指摘されているが、発達障害に関しては、本人の就労能力や適性の客観的な評価のみならず、人間関係も含めた環境のアセスメントが重要である。本人と共同して就労に関するニーズ、強みを中心にしたストレングスの観点からのアセスメントが必要。その際、本人の就労に関する意思決定支援は、その後の定着の観点からも重要なものとなっている。
3.上記の調査研究によれば、「職場定着の促進のためには、職場内での配慮等受入体制 整備に向け、発達障害の特性に関する正しい知識習得や理解の促進等啓発、職場における 相談・援助者の配置や当該者の専門知識・支援技術の付与、向上が必要であり、専門支援 機関の支援を得ながら、個々の発達障害者の特性に合わせて配慮することが望まれる。」 とされている。専門支援機関のそれぞれの発達障害者に適切に配慮できる体制整備は喫緊の課題である。 また、「これら配慮等は、多様性かつ個別性が高いものであることから、発達障害者の個々の事情と事業主との相互理解の中で提供されることが重要で、事業主は発達障害者等との相談・話合いを踏まえ、発達障害者の特性、ニーズや意向を十分に尊重しつつ具体的な措置を検討し、講ずることが望まれる。」とも報告されている。多様で、かつ個別性が高い合理的配慮を適切に提供できる人材の育成が急務である。
4.発達障害者本人を中心とした多職種連携の支援体制の構築が重要である。行政機関、 専門支援機関、教育機関、医療機関等の関係機関、雇用主等が、発達障害者本人及びその 家庭に対し一層きめ細く、本人を真ん中に置き適時適確な支援により対応できる体制を構 築していく重要である。
○ヒアリング項目⑵ 障害者雇用率制度等について、合理的配慮等の障害者雇用の促進のための施策と併せ て、どのようにあるべきと考えるか。特に、労働政策審議会障害者雇用分科会等におい ては、以下の論点について、引き続き検討とされているが、どのように考えるか。 @ 手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけについて A 就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけについて B 精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて C 障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を、常用労働者数が 100 人以下の事業主 へ拡大することについて
<現状認識、課題等>↓

知的障害のある発達障害者であれば、療育手帳の取得ができる。現在、「療育手帳の全国的統一」にむけた動きは、療育手帳の範囲(特に知能指数70以上の取り扱い)の変更による影響を危惧するものである。障害者基本法の精神障害(発達障害を含む)にあるように、発達障害者も精神障害者保健福祉手帳の取得を促し、雇用に結びつく人も増えている。 一方、障害者雇用促進法における障害者の範囲、雇用義務の対象が、身体障害、知的障害又は精神障害(発達障害を含む)があるため、長期にわたり、職業生活に相当な制限を受け、又は所職業生活を営むことが著しく困難なものとされ、実雇用率算定の対象が 手帳所持者となっている。発達障害者の場合、療育手帳か精神障害者保健福祉手帳となるが、必ずしも手帳と結びつかない場合も多い。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用 支援機構・障害者職業総合センターの「発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究」2015年4月は、正社員の22.2%は障害者手帳等を所持していない者であり、手帳の取得や就職先への提示にためらいがあり、その背景には一般社会での理 解度・認識度が十分でないことが指摘されている。それまでに診断等に繋がらず、障害者本人の障害認識が無いまま就職後に職場での具体的な状況から困難が生じ、障害を理解・認知する必要性のある事例も報告されている。
<とるべき対応、対応の方向性等>↓
発達障害については、精神障害が発達障害を含むという規定から、発達障害者にも精神障害者保健福祉手帳を積極的に取得していくことを促進していく必要がある。そのためには精神障害者保健福祉手帳への認知を高めていることが想定されるが、それと同時に、その他の雇用への道を確保していく必要がある。その一つは、医師による診断(書)の取得である。医師の判断には、診断できる医師の数、その信頼性等さまざまな 課題が指摘されてきたが、発達障害者支援法が施行されて 20 年が経過し、地域の医師が、発達障がいの診療や治療や適切な対応などの専門的な研修である「発達障害かかりつけ医研修」が全国で行われている。このような成果から、発達障害の診断の信頼度は高まってきている。手帳を所持していない発達障害者に関して、医師による診断(書)の取得により、雇用制度に結びつく方策を検討すべきである。 また、早期から障害を理解・認知し、発達障害者本人の特性を本人や支援者が理解するための契機とするためにも、就職に当たっても可能な限り手帳の取得を促す支援が重 要であると考える。
○ヒアリング項目⑶ その他、障害者雇用を更に促進するため、どのような課題や対応が求められると考えるか。
<現状認識、課題等>↓

近年、高学歴発達障害の就労先が増えてきているのは喜ばしい。しかし、その多くは事務職です。理系の高学歴の人の専門職の障害者雇用はほとんどない。経済産業省はニューロダイバーシティの活用を企業に呼びかけている。高学歴で発達障害のある方の専門職の雇用が増えて欲しいと思う。手帳をもっている方で専門的な知識や技術を持っていても、障害者雇用でその知識等を生かせる職種がない、あるいは非常に少ないということである。 職種の幅がもっと広がるとよいと思う。
<とるべき対応、対応の方向性等>↓
発達障害者それぞれには、専門知識・技能等を持ちそれを活かせる、専門知識等はなく ても特定の分野であれば力を発揮できるなど、働くことにおいてはさまざまな可能性があ る。本人の努力や企業等からの配慮・サポートによってさらに技能が向上したり、従事で きる職務内容の幅が広がる可能性もある。職務内容は、障害の種類や程度を限定すること を前提に考えるのではなく、専門知障害者の持っているストレングス(強み)を活かせる 職務、企業にも貢献できる職務を新たに創出して選定するなど、柔軟に考えていただきた い。また、発達障害者の障害特性を考慮するとともに、職場環境の改善や就労支援機器の 導入、適切な教育訓練により、発達障害者も、職域を広げていくことができるのではないか。


◎資料1−4:特定非営利活動法人 全国就業支援ネットワーク
ヒアリング報告者:代表理事 藤尾 健二
<団体概要>

1.設立年月日:平成19年6月11日 2.活動目的及び主な活動内容 活動目的:運営理念を「地域で」「連携して」「実践に基づいて」「政策に関与して」とし、「能力開発施設」「障害者職業・生活支援センター」「就労移行」部会ごとに望ましい 職業指導や就業支援のあり方について研究・研鑽しています。また全国における就業支援 機関・組織運営の健全化などについて相互に意見や情報を交換し、わが国の障害のある人 が自立した生活を送れる環境の形成に寄与することを目的としています。 主な活動内容:・定例研究・研修会の開催 ・障害者職業能力開発施設連絡会の開催 ・就労系事業所からの一般就労への在り方を学ぶ研修会の開催 ・障害者就業・生活支援センター事業をより深く考えるための 全国フォーラムの開催 ・就業生活支援講座の開催 ・訪問型職場適応援助者養成研修の開催 ・国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成事業 ・地域における就業支援ネットワーク形成事業 3.加盟団体数(又は支部数等):なし 4. 会員数:270(障害者就業・生活支援センター186、能力開発施設 11、就労移行支援事業所41、就労継続支援A型事業所4、就労継続支援B型事業所 7、企業3、個人5、その他13)令和6年5月31日現在 5.法人代表: 代表理事 藤尾 健二

○ヒアリング項目⑴
<現状認識、課題等>
昨年度、民間企業において雇用率制度がスタートして以来、初めて雇用率を達成したこ とに象徴されるように、企業における障害者雇用の動きはかつてないレベルで進んでいる と言える。
特に納付金の対象となる従業員数が100人を超える企業において雇用の動き が顕著である。一方、納付金の対象となっていない従業員数が100人に満たない企業に おける雇用は、十分に進んでいるとは言えない。特に全く障害者を雇用していないいわゆ る「障害者雇用者数0人企業」においては、企業規模および業務内容の選定等、雇用に向 けた困難が多く取り組むべき課題が山積していると感じる。今年度からスタートした「障 害者雇用相談援助助成金」の活用状況および効果の分析が重要になると思われる。 障害者雇用が進んでいる企業においても多くの課題があると考える。知的障害者の雇用 義務化に伴い、障害者雇用のノウハウが蓄積されてきた。しかしながら、その目的は第一 に「雇用率達成」となっている場合が多く、結果として「人を活かす」「その人のやり甲斐や生きがいに直結する労働」と言った人間尊重の雇用という視点が二の次になってしまったのではと感じる。そのため、キャリアアップの視点の欠落や、経済活動に組み込まれていない業務での雇用等が散見される。更には障害者雇用代行ビジネスの台頭や、企業による安易なA型事業所の整備等、雇用促進法の改正によって追加された企業の責務である「能力開発」とはほど遠い「雇用の在り方」が拡がっていることについて、大いに課題を感じる。障害者雇用を「コスト」として捉えているこれらの雇用に従事する障害者は、やり甲斐や生きがい感じることが難しくなり、結果として本来の意味での「働く力」を失ってしまう可能性がある。
<とるべき対応、対応の方向性等> ↓
障害者雇用率達成を目的に進めて来た現在の施策の「良かった点」「課題となった点」を精査し、今後の方向性を検討することが重要だと考える。
その際に「法的には問題がない」「こちらの方がまだ良い」と言った消極的な姿勢ではなく、国として目指すべき方向性を明確に示す必要があるのではないだろうか。 上記のような姿勢で、先ず取り組むべきは「雇用の質」の見える化であると考える。中 小企業においては「もにす認定」があるが、大企業においても「雇用の質」を図る指標が 必要だと考える。ただし、企業において「障害者雇用」は必ずしも優先順位が高いとは限らないので、他の指標とリンクするような動きが必要ではないだろうか。企業規模が大きければ大きいほど、採用活動を左右するのはトップであり、方向性に影響を与えるのは株主や投資家の評価になるのではと考える。例えば近年企業においても意識が高まっている「ビジネスと人権」の視点から、障害者雇用の在るべき方向性を示す等、新たな動きが求められるのではないかと考える。その際に、企業におけるメリットが「障害者雇用率達 成」に直結しないような仕掛けが必要だと考える。「雇用率達成」がメリットになってし まえば、結局現状の打開にはつながらないと考える。 また、障害者就業・生活支援センターの支援対象として妥当か否か等の判断材料に出来 ると有難い。現状障害者就業・生活支援センターの登録者は増加し続けており、マンパワ ー不足が指摘されている。一方で支援機関への登録を必須としているような企業も増加傾 向にあり、本来支援が必要な対象者に十分な支援が行えていないのではと懸念される。 少なくとも雇用場面においては、「能力を発揮するため」「戦力として活躍するため」とい う前提のもとでの支援があるべきではないだろうか。 今年度スタートした「障害者雇用相談援助助成金」の認定事業者の選定および支援方針 にも今後精査が必要であると考える。現在、本事業の目的は「0人雇用企業から雇用企業 へ」という一点にあると考える。そのため、場合によって雇用後に「雇用の在り方の改 善」が必要になることが想定されるが、雇用後の対応は現実的に難しい。障害者雇用にお いては「入口」が重要であることを考えると、認定事業所のサポート内容はかなりの影響 力を持ち、支援企業の「障害者雇用の在り方」を決定すると言っても過言ではないと言え るのではないだろうか。 雇用率が今後も段階的に引き上げられるという事であれば、根本的な課題の整理が必要である。現状、都市部においては企業が障害者雇用を進めようと活動しても求職者からの応募がなかなか得られ無い、いわゆる「売り手市場」の状況にある。障害福祉サービスとの兼ね合いもあるが、引き上げられる雇用率に対して、実際に「働ける(現時点で)」とされる求職者が確保できるのか疑問が残る。生活困窮者、難病患者等「働きづらさがある方」を想定し、障害者雇用率の対象を検討するか、もしくはより重度の障害者の雇用促進 を図るか等の検討が必要であると考える。

○ヒアリング項目⑵
<現状認識、課題等> <とるべき対応、対応の方向性等>↓
@ 手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけについて
前段として、
どのような社会を目指すのかという大きなテーマがあり、このことに対 する国としての方向性(ビジョン)が必要だと考える。そのうえで、目指す社会に向け た手段が現時点では「障害者雇用率」であり、これを活用するか、あるいは新たな制度 によって進めるかという選択になるのではないだろうか。 前者である「障害者雇用率」を活用することを想定するのであれば、何をもってして 対象とするかという課題がある。医療機関の診断をもとに対応するという事であれば、 イメージを持ちやすい。また、目的を細分化した際に「雇用継続」と「新規雇用」によ っても若干アプローチが異なるのではと考える。雇用継続を考える際には、医療と就労 の連携が未だできていないことが多く、この連携強化が必要であると考える。配慮があ れば働き続けることが可能であるのに、「治療に専念」と言うことで離職されることが散 見され、医療機関(医師や MSW 等)との連携で、離職しない支援が必要ではないだと うか。就職支援においては、雇用率算定に含めると促進はすると思うが、明確な基準をどのように設けるか、しっかりとした議論が必要であると考える。 これらの取組みは、あくまでも「目指すべき社会」への過程であり、支援対象である か否かをジャッジするためのものではない。誰もが支援を受けて働くことが出来るよう になり、結果として、あえて手帳を取らなくても良い、社会モデルの移行につながるの ことが望まれる。
A 就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけについて
就労継続支援 A 型事業所においては、
様々な課題があると感じる。福祉サービスとし の課題、障害者雇用企業における課題と、検討すべき点は山積しているが、ここでは障害者雇用企業における課題について提示したい。 例えば、A 型事業所を含む事業協同組合により、障害者雇用をせずとも雇用率を達成する仕組みとなっているものもあることを把握している。国としてはLLPによる障害者雇用のグループ算定を認めているが、この例についても何ら問題無しというスタンスな のか問うてみたい。今後対象となる企業の事業規模が100人以下になることにより、 企業単体での障害者雇用は難しいという前提に立ち、LLP による障害者雇用のメリットを挙げる意見があることは承知している。しかしながら、これは「障害者は働けない」という前提に立ってのことであり、そのこと自体を認めることは望ましくないのではと考える。 福祉サービスの視点で考えると、就労継続支援A型事業は障害福祉サービスの中の一 つであり、就労が現時点では難しいという判断の中で選択されるものである。そこから一般就労を目指しステップアップしていくものであるので、晴れて一般就労に繋がった際に雇用率の対象とするのが良いと考える。雇用率算定が利用者の方の固定化を促し、 一般就労を希望する利用者の就労支援が停滞することが懸念される。訓練等給付事業で あることも雇用率の対象とすべきでは無いと考える要因である。
B 精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて
精神障害者の雇用においては、今年度から「特定短時間労働者」の雇用率へのカウントがスタート
し、障害特性に応じた制度が設けられたと感じる。そのうえで「重度」の取り扱いについて検討するということであれば、基本的には賛同する。雇用促進法における「職業重度」の考え方は、働くうえでより困難性が高いという視点であると理解しているので、精神障害者の働きづらさを考えれば、検討されることが自然であると考える。ただし、懸念されることとして、企業における精神障害者への理解の度合いにおいては、「重度=難しい」という誤った認識になる恐れがあるので、発信の仕方には留意が 必要だと考える。また、その判定基準および他の障害者の重度の在り方との整合性については検討が必要だろう。特に知的障害者においては「職業重度判定」そのもののあり様について再考が必要だと考える。現状では本当の意味での重度障害者の雇用は促進されていないと感じる。精神障害者の「重度」の取り扱いを検討する際には、「真に雇用に際して判定が必要な対象者」をしっかりと検証することが必須であると考える。
C 障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を、常用労働者数が 100 人以下の事業主 へ拡大することについて
これまでの議論の中で
、納付義務の適応範囲となることで、対象となる規模の企業において障害者雇用が促進されてきたことが確認出来ている。そのうえで、現在強化して いる「0人雇用企業」の対応としては、納付義務を課すことが最も有効な手立てである と考える。しかしながら、これは単に「雇用率達成」のみを念頭においた施策であり、 本来目指すべき障害者雇用の在り方には寄与しないのではという危惧がある。 今年度スタートした「障害者雇用相談援助助成金」は、先ずは支援策を講じて取り組む企業を支援することを優先した事業であり、本事業の検証が最優先になると考える。 また、これまで雇用が伸びて来た大企業等においても、雇用率達成至上主義の結果 様々な課題が生まれていることを鑑みると、単に「雇用率未達成=納付金納付義務」という制度の限界を感じる。 例えば、障害者雇用に向けてどのような取り組みをしたか等、別な評価軸も用意したうえで、全く何も着手しなかった場合のみ納付義務の対象とする等、新たな施策が必要ではと考える。 また、拡大し続ける雇用代行ビジネスやA型事業所を利用したグループ算定等への対応についてもしっかりと協議することが先ずは必要なのではないだろうか。

○ヒアリング項目⑶
<現状認識、課題等>
→ ○働ける人材の供給 現在障害者雇用は求職者が不足している状況であると感じる。(地域差はあると認識している)今後の障害者雇用促進においては、働き手をいかに増やすかが課題になる。 ○多様な働き方および生活保障 今年度からスタートした「特定短時間労働者」にも当てはまるが、働くことと生活保障が一体になっていないことが大きな課題であると考える。生活困窮者のうち障害が窺われる方への支援においては、週10時間以上の労働もハードルが高い方が少なくな い。しかし、短時間になればなるほど生活保障の観点から選択がむずかしく、結果とし て生活保護の申請に至るケースが散見される。 ○社会の理解促進 障害者雇用の促進には障害者に対する社会の理解が必須であるが、現状十分かという とそうとは言えない。
<とるべき対応、対応の方向性等>→○働ける人材の供給 現在福祉サービスを利用している障害者の一般就労に向けた支援が重要だと考える。 令和7年10月にスタートする新たな福祉サービス「就労選択支援事業」は、この点に おいて大きな役割を持つと考える。特に令和9年以降の役割は、長く障害福祉サービス を利用している障害者にとって、就職の機会を生む可能性があり、その事業実施には注 目している。 また、雇用する企業がこれまでの「雇用対象者像」を拡げることが求められる。これ までは雇用対象と考えていなかった配慮が必要な障害者の雇用を検討することが必要に なる。その際には、送り出す側である就労移行支援事業所を筆頭とした障害福祉サービ スの支援力向上がセットで必要になるので、一体となって進めることが求められる。○多様な働き方および生活保障「短時間であれば働ける」「ゆっくりで良ければ働ける」という対象者が働くことが出来る社会が求められる。そのためには、企業の努力のみではなく、公的な支援が必要だと考える。仮に「就業時間」「就業日数」「効率が著しく低い労働」によって、収入が生活を維持するに至らない場合、公的な援助が得られる仕組みになれば、より多くの方が 働けるのではないだろうか。 この場合、短時間や限られた就業日数に関しては取り扱いに大きな課題は無いと考えるが、効率が基準を満たさない方の取り扱いには大きな課題がある。現行法における 「最低賃金」である。現在、福祉サービスである就労継続支援B型事業所においても、 最低賃金が適応されていないことが「労働者性」を欠いているとの指摘があり、国際的にも問題視されている。これが企業就労となると、問題は更に深刻になると考える。 しかしながら、現在は効率が上がらないと働けないという状況にあり、何らかの対策を講じなければならないことも事実である。以前、積極的に重度の障害者を雇用する企業の経営者から、不足分を企業に預けて本人に給与として支払うという構想を聞いたこ とがあったが、今となると論外とは言いきれない感がある。 ○社会の理解促進 障害者雇用の促進において、最も有効なのは障害者に対する企業の理解だと考える。 そして、企業の理解促進に大きな影響を与えるのが、個々が受けて来た教育だと感じ る。現在、日本における児童生徒数は減少傾向にあるが、「特別支援学校」「特別支援学 級」「通級学級」等はいずれも増加傾向にある。それぞれに応じた学びの場をという方針 であると聞くが、結果としては「分離」を促進することになるのではないだろうか。 「何でも共に学ぶことが必ずしも正解ではない」という意見を耳にする。もちろんその ような側面もあるが、こと特別支援教育を受ける方以外に関しては、関わりの機会の喪失であることは間違いがない。「障害者=出来ない人」というメッセージを意図せず伝える機会になっていないか危惧するところである。

◎参考資料1:今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会参集者→14名。

次回は新たに「第9回 子ども・子育て支援等分科会」からです。

第2回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料) [2025年03月19日(Wed)]
第2回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料)(令和7年2月27日)
関係者からのヒアリング ・一般財団法人 全日本ろうあ連盟 ・一般社団法人 障害者雇用企業支援協会 ・一般社団法人 日本発達障害ネットワーク ・特定非営利活動法人 全国就業支援ネットワーク
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53089.html
◎資料1−1:一般財団法人 全日本ろうあ連盟
団体名:一般財団法人 全日本ろうあ連盟 ヒアリング
報告者:理事(福祉・労働委員会委員長) 大竹浩司  福祉・労働委員会 委員 市山小織
<団体概要>
1.設立年月日:1947年5月25日 2.活動目的及び主な活動内容: ろうあ者の人権を尊重し、文化水準の向上を図り、その福祉の増進を目的としており、具体的な行動としては、国政や地方自治体にろうあ者福祉事業の推進を要望し、 社会的には手話の普及などの活動を通してろうあ者の社会的自立の環境整備を図っている。 3.加盟団体数(又は支部数等):全国47団体 4.会員数:15,803名(2024年3月31日現在) 5.法人代表:理事長 石橋大吾
○ヒアリング項目⑴ 障害者の雇用者数は堅調に増加しているが、雇用者数のみならず、障害者の雇用の質に ついても、その向上を図ることが求められている。 前回の法改正においても、厚生労働省労働政策審議会障害者雇用分科会等の意見を踏まえ、事業主の責務として職業能力の開発及び向上に関する措置が追加される等、これまでも一定の措置が講じられているが、更なる雇用の質の向上に向けて、どのような対応が求 められるか。 ↓
<現状認識、課題等> ↓
事業主の責務として職業能力の開発及び向上に関する措置が追加されているが、きこえない・きこえにくい人が職場でスキルアップできる環境は十分とは言えず、以下のような 問題・課題がある。 @限定的な仕事しかできないと思われていて、研修対象から外されている。 A研修の機会は与えられていても、情報保障が文字だけで、理解しづらい。 B資格取得によって、昇級・昇格する制度設計になっている事業所があるが、手話通訳が 配置されている講座がほとんどないため、昇給や昇格することがない。 Cリスキニングに取り組む社員が増えているが、手話言語で学べるところの情報がなく、 取り残されている。
<とるべき対応、対応の方向性等>↓
@合理的配慮が適切に行われていれば、仕事の幅は格段に増え、さらに研修等でスキルア ップする機会が保障されていれば働きがいにつながる。 A効果的に学べる研修を企画する必要がある。特に、手話を第一言語とするきこえない・ きこえにくい人については、手話通訳者を配置して研修することが必須であり、その費 用についての助成金制度の活用促進、使いやすい助成金制度への見直しなどが必要。 B民間事業者の合理的配慮が義務化されたが、講座を運営している事業者の手話通訳等に 対する認識が低いため、周知・啓発が必要。情報保障費が事業者の過度な負担とならな いよう、きこえない・きこえにくい人からの受講申込があった場合の手話通訳費用につ いて、助成金等の創設が必要。Cきこえない・きこえにくい人のリスキニング推進のため、手話で学べる講座(対面・オ ンライン・ビデオ)の情報データベースの構築。

○ヒアリング項目⑵ 障害者雇用率制度等について、合理的配慮等の障害者雇用の促進のための施策と併せて、どのようにあるべきと考えるか。特に、労働政策審議会障害者雇用分科会等においては、以下の論点について、引き続き検討とされているが、どのように考えるか。 @ 手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけについて A 就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけについて C 障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を、常用労働者数が 100 人以下の事業主 へ拡大することについて B 精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて C 障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を常用労働者数が 100 人以下の事業主 へ拡大することについて
<現状認識、課題等>↓
@指定難病の患者や統合失調症・そううつ・てんかんの精神障害と発達障害者について は、診断書・意見書等によって雇用開発助成金の対象となっており、一定の雇用促進効果はあると思われる。クローズでの就職を希望される方が一定数あり、定着に課題 がある。手帳を所持していない難聴者は助成金も対象外で就職に苦労している。 A就労継続支援 A 型事業所の設置の意義をどのように考えるのかがあいまい。労働なのか福祉なのか、一般就労への移行を推進するべきなのか、一般就労が難しい人の受け皿となるべきなのかを整理する必要があるのではないか。ジョブコーチ支援ができな いため、戸惑いながら働いているきこえない・きこえにくい人もいる。 B現在、カウント方法や所定労働時間について、他の障害とは違う方法になっているた めわかりにくい。C100 人以下の事業所における障害者雇用に対する認識には大きな差がある。人手不足 から障害者雇用をしていても、合理的配慮がされていなかったり、指導人材が不足し ていたりして、定着に課題があるケースがある。
<とるべき対応、対応の方向性等> ↓
@クローズ就職ではなく、合理的配慮を受けて働けるようにするには、障害者雇用率制 度にカウントされるようにするのが良いと思われるが、手帳を所持している障害者の 雇用を圧迫しないような違いを設けるのも一案かと思われる。手帳を所持していない 難聴者についても、音声認識装置等に対する助成を行うことで働きやすい環境を整え られるので、それが可能な制度を作ってほしい。AA 型は一般就労が難しい人の受け皿であり、一般就労を目指す人の訓練の場であると 位置づけると、障害者雇用率制度には合わないと思われる。
B精神保健福祉手帳との兼ね合いがどのようになるのかを考えた上で、わかりやすい区 分にすると良いと思われる。 C一定期間集中的に障害者雇用についての啓発・指導を行い、雇用についての援助・助 成制度が整えば納付義務対象にすることも可能と思われる。


◎資料1−2:一般社団法人 障害者雇用企業支援協会
団体名:一般社団法人 障害者雇用企業支援協会
ヒアリング報告者:理事 澁谷 栄作 理事長 畠山 千蔭 専務理事 石崎 雅人
<団体概要>
1.設立年月日:2010(平成22)年12月17日 2.活動目的及び主な活動内容 【活動目的(設立目的)】 障害者が自らの労働により自立する環境が作られることはわが国の社会にとって望 ましい状態であるとの考えに基づき、その最も有効な手段である雇用の領域において、広く産業界に意識の浸透を求めるとともに、雇用を進めようとする企業に対し 民間の立場から支援することを目的とする。 【主な活動内容】 @ 障害者雇用に関する企業からの相談への対応 A ネットワーク構築事業 ・全国障害者特例子会社連絡会(主催)・首都圏障害者雇用企業連絡会(共催)・東京都区部、東京都多摩地域など地域企業連絡会(協力)など B 研修講座(初任者講座・就労支援講座)・企業見学会・会員セミナー・トップセ ミナー等の開催 C 障害者雇用に関する調査、情報提供 ほか 3.加盟団体数(又は支部数等):なし 4.会員数:237社(2025年2月1日現在) 5.法人代表: 理事長 畠山千蔭 6.役員・顧問名簿(2025年2月1日現在)参照。

○ヒアリング項目⑴→前出と同じ。
<現状認識、課題等>↓

障害者雇用に取組む企業の多くは、これまでも「雇用の質の向上」と「雇用率の向上・ 安定」を表裏一体のものとして捉え取組んできているが、前回の法改正でこのように明記 されたことにより、自らの責務を一層強く認識することとなった。
さて「雇用の質」に関しては明確な定義がある訳ではないため、ここでは仮に「障害を 有する従業員が自分の能力を発揮し、安心して生き生きと働くことのできる職場を実現すること」と定義する。その上で各企業の取組みを俯瞰してみると、「雇用の質」の向上を 目指して、障害を有する従業員のキャリアアップや責任ある役職への登用を実現する制度 設計を持つ企業は、既に少なくない。また、ICT 技術を活用した雇用管理サポートシステ ムの導入や、臨床心理士、公認心理師並びに精神保健福祉士などの専門職を配置するな ど、職場の環境整備を積極的に進める企業も多数存在する。 当協会としては、そのようにして「雇用の質」が着実に改善されていくことによって、 障害を有する人々が[安心して働ける、働きがいのある職場⇒喜びに満ち、充実した人 生]を実現するための基盤が着実に強化されていくものと信じている。同時にそれは、障 害者雇用に取組む企業においては、[職場定着率の向上⇒雇用率の安定・維持]をもたら すものと考える。
さて一方、近年我が国では、障害者雇用を代行する「障害者雇用ビジネス」と呼ばれる 事業を展開する企業が現れ、業容を拡大してきており、そのスキームを利用することにより“安易に”法定雇用率の達成を図ろうという企業があることも事実である。そもそも障害 者雇用の推進にあたっては高い専門性が求められるが、そうした「専門性」は一朝一夕に 備え得るものではなく、知見・経験が乏しいまま障害者雇用に取組むことを余儀なくされ る企業は少なくない。そのような困難に直面した企業の中には、障害者雇用と正面から向 き合うことを避け、「障害者雇用ビジネス」を利用するという“安易な道”を選択する者も現 れる。中には、懸命に努力したにもかかわらずあと一歩どうしても法定雇用率到達に届か せることができずやむなく「障害者雇用ビジネス」を利用し法定雇用率を達成させるとい う企業もあるだろう。 一方「障害者雇用ビジネス」は、地域によっては貴重な雇用機会創出の場にもなってお り、就労を目指す障害者並びにご家族や支援者からは、歓迎され好意的に受止められてい るという面があることも否めない。 こうした実状を背景として、「障害者雇用ビジネス」を利用する企業並びにそこで就労す る障害者の数は年々増加の一途を辿っており、「障害者雇用ビジネス」を展開する企業が 業容を拡大する趨勢に歯止めをかけることは、当面難しいのではないかと思われる。 しかしながら、企業の法定雇用率達成支援を事業目的とした「障害者雇用ビジネス」の 現場では、前述のような「雇用の質」の定義とは大きく乖離する実態が垣間見える例が少 なくないようである。「障害者雇用ビジネス」が、本来一体のものとして取扱うべき「雇 用率」と「雇用の質」を切離し、「雇用率」の追求だけにスポットを当て事業を展開して いるものであるとしたら、それは障害者雇用本来の理念に反するものという疑いが拭え ず、従って問題視しない訳にはいかない。当協会としては、この状況をこのまま放置すれ ば我が国における障害者雇用は本来の理念や目的から遊離したものとなり、形骸化してし まうのではないかと大変危惧している。 世界を俯瞰して見れば、近年「DE&I(Diversity Equity & Inclusion))という無視しえ ない大きな潮流があり、障害者雇用はそうした流れも踏まえ取組まれていくべきものと考 えられる。しかしその一方、アメリカ合衆国では新しい政権の発足とともにDE&Iを後退 させる動きも現れている。その一事だけでこの大きな潮流が失われるものとは思われない が、障害者雇用に携わる者の間ではこうした動きへの憂慮や懸念を共有する必要があるだ ろう。 当協会としては、社会全体が様々な面で複雑化し混沌を深めることを免れない情勢にあるいまだからこそ、我が国の障害者雇用がこの先目指すべき方向性をしっかり示すことが 求められているものと考える。そのためには、障害者雇用促進法の理念に基づいた共生社 会実現のために「雇用の質」の改善・向上が必達事項であり喫緊の課題であるという認識 を社会全体で共有し、取組みを加速することが求められる。
「雇用の質」を客観的に評価し得る指標の開発が急がれる所以である。
<とるべき対応、対応の方向性等>↓
我が国では、「雇用の質」に関して社会的にコンセンサスが得られている指標と見なし得 るものが、明確には存在しない。しかしながら、あらためて障害者雇用の世界を俯瞰して みれば、「雇用の質」を測る仕組みが既に運用されている例を見つけることができる。 その一つは、令和元年に公務部門に導入された「障害者活躍推進計画」の作成及び取組 状況報告の義務化であり、もう一つが令和2年よりスタートした厚生労働省主導の「もにす認定」制度(従業員300人未満の中小企業が対象)である。当協会としては、この2 つの取組みに示されている「雇用の質」に関わると思われる評価項目が、企業規模等を問 わず適用できる「質」の測定尺度として、なんらかの足掛かりとなりうるのではないかと 考える。 当協会では、例えば「もにす認定」で示されている評価項目、評価基準、評価尺度等を 援用しつつ、より簡便かつ定期的に「雇用の質」に関する評価を下すことができるような 「新たな仕組み」を研究開発することが急務と考えており、そのアイデアを別紙のとおり 提案する。実際の運用にあたっては、親会社並びにグループ全体での取組みを評価できる ような仕組みとすることが肝要と思われる。また、これにより「障害者雇用ビジネス」利 用の抑制につながることも期待される。 ☞資料1参照
 また当協会としては、その結果報告を毎年の「障害者雇用状況報告(ロクイチ報告)」に 義務付け、優れた評価が得られた企業に対しては、別に定めた一定のアドバンテージを実 雇用率に加味するなど新たなルールを設けることを提案する。当協会では、これによりそ れぞれの企業における障害者雇用の取組みの全体像を「雇用率」と「雇用の質」の両軸で 適切に評価できるような仕組みを作ることができ、我が国における障害者雇用のさらなる 推進に寄与することができるものと考える。この新しいルールに関するいくつかのアイデ アについても上記と併せて提案する。 ☞資料2参照
 一方、当協会としては、「雇用の質」を具体的な“事実”をもって表す事柄として、「長期継続雇用の実現」を一つの指標として取上げることを提案したい。長期就労が実現できている障害を有する従業員に関しては、それが本人の努力の賜物であることはあらためて言うまでもないが、一方就労する企業並びに支援スタッフが積重ねてきた努力にも無視しえない力があったことも想像に難くない。従って、当協会としては、企業が障害を有する従 業員の職場定着のために様々な努力を重ねていることを評価する項目として、前出資料1 における提案内容とは別に「長期継続雇用の実現」を測る指標を設けることを提案した い。それに応じてなんらかの奨励措置が講じられることにより、障害者雇用に取組む企業 の意欲のさらなる向上が期待される。具体的には、障害を有する従業員の長期就労に関し て一定以上の実績を示す企業に対して実雇用率面でのさらなるプラスアルファあるいは助 成金の対象化といった措置の導入が考えられる。
 また当協会では、上記とは別に、新たな表彰・認定制度の創設・拡充という手段で「雇用の質」を評価するという方策も考えてみた。
 障害者雇用関連の表彰制度は、これまでも自治体やJEED等で導入されているが、社会 的なインパクトが大きいとは言い難く、また選定表彰された企業にとってのメリットが大 きいとは必ずしも言えない。そこで、事業主の障害者雇用における質の向上への取組みが 加速され、障害者雇用に対する社会の理解や多様性の受容が促進されることを目指して、 「障害者雇用促進法」の理念に基づき優良な事業主を公的に表彰・認定する制度の導入を 提案したい。 例えば、女性活躍推進においては以下のような認定制度があり、認定を受けた企業は公 共入札の際、加点評価として扱われることもある。 ・女性の活躍推進に関する取組みの実施状況が優良である等の一定の要件を満たした事業主は、都道府県労働局への申請により厚生労働大臣の認定する「えるぼし認定」を受けることができる。 ・次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画 に定めた目標を達成し一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができる。
 また、事業主のDE&I推進のモチベーションアップを目的として、以下のような表彰制度も行なわれている。 ・経済産業省と東京証券取引所が共同で平成24年度より実施しており、「女性活躍推進」 に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄 として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取組みを加速化していく ことを狙いとした「なでしこ銘柄」認定がある。また、職場におけるLGBTQ+などの 性的マイノリティへの取組みを評価する「PRIDE指標」認定もある。 障害者雇用においてもこれらと同様の表彰・認定制度が導入されれば、事業主の取組み の促進につながり、社会全体の理解と受容の深化が促進されるものと考える。
我が国では、これまで法定雇用率に牽引される形で障害者雇用の進展が図られてきた が、それに伴う弊害が無視しえない大きさとなりつつあることを、障害者雇用に関係する 者は認識する必要がある。これからは、「雇用率」とともに「雇用の質」に関する指標を 社会全体で共有し、両者を併せて障害者雇用に関する取組みを評価することが欠かせない。つまり、「雇用率」一本の単線ではなく、「雇用の質」も加えた複線的な評価が、今後 我が国の障害者雇用を健全に発展させていく上で不可欠と、当協会としては考える。

○ヒアリング項目⑵→前出と同じ。
<現状認識、課題等> ↓

我が国では、障害者雇用に関する「法定雇用率」自体、あらかじめ掲げられた目標値 に向かって定められたものではなく、見直しの目途とされる5年ごとにその時点におけ る我が国の労働統計並びに障害者の就労(失業)状況に関する統計等に基づく数値を 「法定雇用率の算定式」にあてはめ算出された数値に基づき、労働政策審議会障害者雇 用分科会で慎重な検討を重ねた上で決定されている。そのようなプロセスを経て定めら れた法定雇用率を当協会としては厳粛に受止めており、その達成を目指して行なわれる 個々の企業の取組みを支援すべく日夜努力しているところである。 しかしながら、法定雇用率の推移を見れば近年引上げのペースが一段と上がっている ことは否めず、当協会としては、その影響により障害者雇用の中身に少なからず課題が 生じているのではないかと憂慮している。
そこで当協会としては、 ◎“今後一定程度の期間法定雇用率の改定を据え置く”もしくは“法定雇用率引上げ幅を 抑制・緩和する”などの措置を講じ、その間に障害者雇用の実態に生じた課題の解決 を図ることが中長期的な観点から必要ではないか と考える。
 さて、この先2026年7月より、民間企業に課せられる法定雇用率は2.7%に引上 げられることが決まっている。それを踏まえ、当協会では、これまで公表されてきている障害者雇用に関するデータ(2023年6月障害者雇用状況の集計結果・障害者雇用実態 調査)をベースとして、今後の展望を描いてみた。 ☞資料3参照
 それによると、2027年6月1日(2027年障害者雇用状況報告時点)におい て、法定雇用率達成に必要な人数に対して、少なくとも1万2千人下回る想定となっ た。 ※障害者雇用状況に関する最新データは2024年6月のものだが、2024年4月より法定 雇用率が2.5%に引上げられたことに伴い雇用義務のある会社は常用労働者40人以上の 規模まで拡大、雇用率の算定基礎労働者数も増大することとなった。法定雇用率が異な る年度間で数値を比較することは適切と思われないため、ここでは2023年の公表数値を 法定雇用率が同じであった2022年の公表数値と比較し考察を試みた さて、そのようなデータも踏まえつつ、障害者雇用における人材移動の構造を簡単に 図に表してみた。、
【障害者雇用 人材移動の構造】参照。
 図に見て取れる通り、今後障害者雇用をさらに推進していくためには、 ◎就労系障害福祉サービス利用者の一般雇用への移行をいま以上に促進すること  が不可欠であり、そのための施策の強化が望まれるところと考える。 ところで、我が国の障害者雇用制度において、「雇用率」にカウントできる「障害者」は、「障害者手帳」を所持する者に限定される。しかしながら「障害者手帳」は、福祉政 策推進上の必要性から導入されたものであり、その交付にあたって「就労困難性」が鑑みられることはない。従って、障害を有する人の「就労困難性」は「障害者手帳」所持 の有無をもって測りうるものとは言えず、その意味で現行の「障害者手帳」の所持を前 提とした障害者雇用制度は完全なものとは言えない。現状は、その不完全さに目をつぶ り“うまく運用されている”と捉え、今後改善に向けて検討を進めるべきではないだろう か。
 当協会としては、現行の手帳制度を所与のものとして捉えず、 ◎福祉制度の中で設けられている現在の手帳制度とは異なる「障害者雇用のための手 帳制度」といったものの創設  を検討することが求められているものと考える。
 障害を「医学モデル」で捉えるのではなく「社会モデル」で捉えることへの転換が叫ばれるようになって久しい。事業者に「合理的配慮」の提供義務が課せられ、それが常 識化しつつある以上、中長期的に見てこうした変革を避けて通ることはできないものと 当協会としては考える。
 さて一方、現行の法定雇用率の算定に関して、当協会としては従前より下記のような 疑問を持っている。 A 現行の法定雇用率算定式を、今後も用いることが適切なのだろうか? B 算定式にあてはめられている数値は適切なのだろうか?
【疑問Aに関して】 障害者雇用に関する「法定雇用率」を検討する際に用いられている算定式は、長年に わたり変更されていない。その間、時代の移り変わりとともに社会構造は変化し、人々 の意識にも少なからず変化が生じてきた。
 障害者雇用について振返ってみると、企業で就労する障害を有する人々は年々着実に 増加。なかでも、かつては就労が難しかった精神・発達障害を有する人々に就労の機会が広がり、近年就労する障害者の中に占める精神・発達障害者の割合が急速に増大して きているという大きな変化が見られる。その背景には、精神障害者の雇用の義務化だけ でなく合理的配慮の提供が急速に社会に浸透してきたということもあるのではないかと 想像される。 このように明らかな変化が見られる中、「法定雇用率」の算定式が変更なく用いられて きていることが、果たして適切と言えるだろうか。現行の算定式は先人が十分に討議を 重ねた上で作られたものであり尊重すべきものと当協会としても考えるが、たとえその算定式が優れたものであったとしても、この疑念を拭うことはできない。初めから変更ありきということではなく、社会並びに人々の意識の変化を踏まえ変更すべき点の有無 を確認するところから始めて見直しを検討するといったプロセスを経ること自体、極めて妥当な考え方ではないかと、当協会としては考える。
 【疑問Bに関して】 現行の算定式の分子には、“就労する障害者”と“失業している障害者”の人数の“和”が置 かれている。以前失業していた障害者が今次就労するようになった場合、現行の算定式 の分子部分でそのことによる“和”の数値は変化しないものと考えられる。しかし実際の ところ、法定雇用率改定に際し示された分子部分の“和”の数値は上昇している。それは 即ち、就労した障害者に後続する“失業している障害者”が新たに加わっていることを示 しているものと理解される。つまり分子部分の“和”の数値の上昇自体は、就労機会の拡 大と障害者の就労意欲の高まりを表わしているものと受止めることができ、当協会とし てもそれは喜ばしいことと考える。しかしながら、算定式に示される“失業している障害 者”の人数をどのように把握しているのかということについて、当協会としては疑問を抱 いている。
一般的に、障害を有する就労未経験者や就労中断者が「就労準備性」を整えるために は、少なくない時間を要するものと考えられる。従って、“失業している障害者”には、就労系障害福祉サービスでの訓練・経験等を重ね「就労準備性」に関する調整を図った上で就労するといったサービスが福祉の領域で用意されている。ところが、近年増加傾 向にある精神障害者の中にはそうしたサービスを経ず「就労準備性」未調整のまま就労に挑戦する人が少なくない。障害者の就労の特質を考えたとき、「就労準備性」が整わぬまま就労に挑戦しようという人々を“失業している障害者”として取扱うことが、果たして適切なのだろうか。当協会としてはその取扱いに疑問を呈さない訳にはいかない。従って、“失業している障害者”の計上にあたっては、「就労準備性」を測るなんらかのアセスメントを援用することが考えられないだろうか。障害を有する人々が就労するにあたっては、本人にとっても雇用する側にとっても「就労準備性」が整っていることが 望ましいと思われるため、 “失業している障害者”の計上に際して「就労準備性」の水準が一定程度以上であることの確認が要件化されるといった方策の導入が図られてもよい のではないかと、当協会としては考える。
<とるべき対応、対応の方向性等>
@ 手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけについて

「障害者手帳」の所持を前提とした制度となっている我が国ではあるが、「障害者手 帳」を所持しない「障害者」や「指定難病患者」の中にも、「障害者手帳」所持者と同様 に就労に際し困難に直面する人々がおり、そうした人々の就労促進が社会全体にとって の課題の一つであることは疑いようがない。当協会としては、それにより実現する「ノーマライゼーションの推進」は、社会全体が共有すべき目標であると捉えている。
【障害者手帳を所持しない指定難病患者について】↓
「障害者手帳」を所持しない「指定難病患者」に関しては、
「特定医療費受給者証」を「障害者手帳」に準ずる“証明”として用い「障害者」として雇用率カウントするといった方策が考えられる。
 しかし当協会としては、異なる目的で設けられている「受給者証」を本来の目的を超えて便宜的に利用することに関して賛同することはできない。何故なら、「受給者証」によって就労困難性を測ることはできないからである。 2024年4月1日現在、我が国の指定難病は341疾病あり、その領域と態様には かなりの幅がある。故に、ひと口に「指定難病患者」と言っても、就労に関する困難性 については大きな差異があるものと思われる。従って、「指定難病患者」全体をひと括り にして[「受給者証」の所持者=「障害者」]と見なすこと自体、適切な取扱いではないと考える。仮に、341ある指定難病の間で、就労に関する困難性の違いを明らかにし、それをもって取扱いに差異を設けようとしても、そこに至る合意形成を図ること自体が甚だ困難と思われる。 もし仮に、「指定難病患者」の雇用促進のために「指定難病患者」を「障害者」として捉えカウントすることが企図されているのであるなら、それはあくまで現行の障害者雇 用制度の枠組みの中で捉えることを前提とする、即ち「障害者手帳」の所持を前提として考えることが必要と、当協会としては考える。そのためには、就労を目指す指定難病 患者に対して障害者手帳の申請を促進する一方、行政サイドではできるだけ速やかに受理・審査し、障害者として認定すべき申請者への手帳交付がスムーズに行われるよう対 策を講ずることが求められる。 それとは異なるものとして、就労する指定難病患者のカウント枠を障害者雇用率とは異なるものとして設け、その人数が一定数を上回った場合に雇用する企業を表彰し、社会に向けてその企業姿勢を発信し共有する新たな制度を設けるといった方策も有効ではないだろうか。 以上のように、当協会としては、手帳不所持者の指定難病患者を、障害者手帳不所持 のまま現行制度の中に収容し雇用カウントすることに関しては、相応の整備・調整と合 意形成が必要であり現時点では時期尚早、と考える。
【障害者手帳を所持していない精神・発達障害者について】↓
「精神障害者保健福祉手帳」を所持していない精神・発達障害者について、当協会と しては大きく下記の2つに分けて捉えたい。 A (自らの意思・家族等の意思に基づき)精神障害者保健福祉手帳を取得しない人 B 2年ごとの手帳更新時に、精神障害者保健福祉手帳の更新が認められなかった人

<分類Aに関して>→ 精神・発達障害を有しながら精神障害者保健福祉手帳を所持せぬまま就労を目指す人々に関して、当協会としては、手帳を取得した上で、福祉制度に設けられている就労支援を適切に受けた上で企業就労を目指すことを求めたい。 精神障害者保健福祉手帳を取得することに対して、社会から偏見の目で見られるので はないかといった心理的な抵抗があり、それが手帳取得を阻んでいるのだとすれば、障害を有する人々がそのような心理に陥ることを防がなければならない。そのためには、 社会全体として偏見を取除くための取組みの強化が欠かせないものであることは、改めて言うまでもない。そのような取組みの推進と並行して、障害を有する人々並びにその家族に対しては、 精神障害者保健福祉手帳を取得することの効用に関する理解促進を図るための取組みを 継続することも欠かせない。 一方、就労先となる企業においては、ユニバーサルな業務遂行の在り方を探求し、精神・発達障害を有する人々も取組みやすい業務並びにその遂行の仕方の開発・創出に、 いま以上に貪欲に取組む必要があるものと考える。
<分類Bに関して>→ 精神障害者を雇用する企業では、職場定着を推進するために様々な施策を導入してい る。それにより就労継続を実現した精神障害を有する従業員は、生活が安定し、障害認定に至った精神疾患の状況にも改善が見られるようになるケースがある。そのようなケースでは、まさに[就労継続⇔症状改善]という連関が“正のスパイラル”として形成さ れていることが窺われ、精神障害を有する従業員にとっても、また企業にとっても、喜 ばしく望ましい状況が現出していると言える。 そのようなケースでは、2年ごとにやってくる精神障害者保健福祉手帳の更新時に、症状が緩和(寛解)しているという見立てにより手帳更新がなされない場合がある。そのような場合もその後一定期間手帳不更新となった該当者を実雇用率にカウントできる措 置を講ずる必要があるものと、当協会では考える。  ところで、企業で就労する人々の中には、(精神障害者ばかりでなく内部障害を抱える 人の中にも)「障害者手帳」を所持していながらそれを会社に申告することを憚る者が少 なくないという実状もある。そのような人々の雇用は障害者雇用の数値として反映され ない。いわば「潜在的障害者」(仮称・以下「潜在者」)とでも呼ぶべき存在となる。その結果、なんらかの困難に直面した場合にも合理的配慮を行なうことができず、「潜在者」本人そして職場において、なんらかの問題発生につながることが考えられる。 そのような「潜在者」が手帳所持をオープンにするようになれば、本人は合理的配慮 を受けることが可能となり、問題発生が少なく働きやすい職場の実現につながることが 期待される。企業としては、雇用率カウントが可能となる。 このように、既に障害者手帳を取得していながら、それをオープンにせずに就労する人々が少なからず存在する実状を変革することも社会全体で取組むべき課題の一つと考 えられる。 以上の通り、当協会としては、手帳不所持者の取扱いに関して、あくまで「障害者手 帳の所持を前提とした現行の制度」を踏まえ意見としてまとめたが、前述の通り、手帳 不所持者の就労促進が社会全体にとっての課題の一つであるということは十分認識している。繰返しとなるが、「障害者手帳」の所持不所持に関わらず、就労に際して困難に直面する方々もすべからく活躍できるような社会を創出することは、ノーマライゼーショ ンの観点からも目指すべき目標であることは間違いない。 ところで、企業によっては、手帳不所持で就労する人々を一定の条件の下で「障害 者」としてカウントすることができれば「実雇用率」を上げることができるので有難い という考えのところもあるかもしれないが、「障害者」としてのカウントが「障害者手 帳」という枠組みを超え広がることは、その先で早晩法定雇用率の算定時に計算式に組 込まれる人数が増えることになる(即ち法定雇用率は上昇する)ということを想定したとき、当協会としては慎重にならざるを得ない。 中長期的に「障害者雇用のための手帳制度」への転換が必要と考える当協会として は、現行制度をベースとして障害者の範囲を「なし崩し的に拡大」するのではなく、根本的な制度改革がなされることを願っており、その暁には、ここで取上げられた課題が 一掃されることを期待している。

A 就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけについて ↓
2024年4月に行なわれた「報酬改定」により
、経営の難度が増し廃業や就労継続支援B型事業所への転換を余儀なくされる就労継続支援A型事業所が全国で多数発生し、その結果多くの障害者が失業するといった事態が生じていることに関して、当協会 としても大変憂慮しており、失業となった障害者を救済する施策を講じることが急務と考える。 一方、当協会としては従前より、就労継続支援A型事業所の利用者を法定雇用率算定 時に「就労者」と位置付けることについて、疑問を抱いている。 就労継続支援A型事業所の利用者は事業所との間で雇用契約を結んでおり、常用労働者であることに異論はない。その一方、障害福祉サービスの対価として報酬を受給し事業を営む就労継続支援A型事業所の利用者が雇用率制度の上で「労働者」と位置付けられ ることに関しては、違和感を禁じ得ない。
当協会は、法定雇用率を算定する際に就労継続支援A型事業所を利用する人々が「就 労する障害者」としてカウントされている実状は早急に改められるべきであり、法定雇用率の算定式から外すべきと考える。これにより、法定雇用率は一定程度引き下がる方向に働くものと思われるが、それはとりもなおさず「障害者雇用」が目指すべき本来の 数値目標を表すことになるものと考える。 前述のとおり、就労継続支援A型事業所は、そもそも総合支援法から福祉報酬を得て 事業を成立させており、納付金制度における「報奨金」(一部では「調整金」も含む)を得ていることについても、雇用についての費用を自らが生み出すことを求められる民間 企業とは基本的に異質である。 従って当協会としては、障害者雇用の推進に関する経済的負担を調整することを目的 とした「納付金制度」の趣旨を鑑み、福祉報酬に支えられた形で事業を営む就労継続支援A型事業所を「納付金制度」の枠組みの中に組込み「報奨金」(一部では「調整金」も含む)を支給する実状は早急に改めるべきと、考える。 とはいえ、「報酬改定」により経営困難に直面している就労継続支援A型事業所にとっては、そのような変更が「追打ち」となる可能性が否めない。当協会としては、その結 果失業する「障害者」がさらに増える事態を招くようなことがあってはならないと考え る。従って当協会としては、雇用率制度並びに納付金制度における就労継続支援A型事 業所の取扱いの見直しに当たっては、その多様な運営実態を改めて調査することで把握・評価することが先決であると考える。 把握・評価すべき項目としては、 ・(支援のために専門スキルと時間を要する)重度障害者や精神障害者の雇用人数並びに その就労実績 ・事業所が営む事業への貢献及び戦力化の度合い、並びにその実現に必要な指導員や管理に関わるコスト などが想定される。 利用者が戦力化される運用が実現されているのか、それとも単なる居場所としての運用なのか、事業所による実態の違いが明らかになることが期待される。 その結果に即して経過的な措置を講じ、就労継続支援A型事業所の利用者(A型で就労する障害者)にネガティブな影響の発生を最小限に止めることを念頭に置いた対策の検 討が必要と考える。

B 精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて
2018年の精神障害者の雇用義務化以降、
企業で採用する「障害者」のうち精神障 害者の割合は一段と高まる趨勢にある。精神障害者に関しては、勤怠を安定させるとい った基本的な部分から企業における定着支援に要する労力が非常に大きい。そのような観点からも、精神障害者の短時間就労者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)のカウントを当分の間「1」と取扱うという措置に関しては、精神障害者の雇用を推進していく上で企業にとって大変恩恵の大きい措置であり恒常化されるべきである。 一方企業においては、精神障害を有する従業員が本人の意思に反して短時間労働者に留め置かれる(30時間の就労を希望する従業員を会社都合によって短時間労働者に留める)ことがあってはならないことを肝に銘じておく必要がある。 当協会としては、身体障害者並びに知的障害者に設けられている「重度」区分を精神 障害者にも設けることについても、精神障害者の雇用推進に役立つ施策の一つになりうるものと受け止めている。但しその際、何を指標として「重度」の区分を行なうのかということについて、当協会としては強い関心を持っている。 精神障害者保健福祉手帳には1級から3級までの等級が定められていることを踏まえ れば、1級のみを重度として取扱う、あるいは1級と2級を重度として取扱う、といった 着想があるかもしれない。しかしながら「級」の違いは必ずしも就労困難性の度合いと 一致するものではない。つまり「級」による区分は雇用労働の概念とは全く異質であり、「級」をもって重度認定を行なうこと自体に、当協会としては反対である。 当協会では、それに代わる方策として、知的障害者に関して各都道府県にある障害者職業センターが実施する「職業的重度判定」を参考として、同様の方法を精神障害者に関しても適用し運用することが可能なのではないかと考える。判定業務に伴う負担増は否めないが、これまで知的障害者の職業的重度判定業務で蓄積してきた知見・経験を活用することは、JEEDが保有する能力から考えて十分に可能ではないかと考える。

C 障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を、常用労働者数が 100 人以下の事業主へ 拡大することについて
当協会としては
、納付金制度が雇用率制度と対をなすものであることを踏まえれば、 本来納付金の適用範囲は(法定雇用率=2.5%として)従業員数40.0人以上の全ての企 業とすべきであり、従業員数100人以下の事業主へと適用拡大を図ることは当然の措置と考える。 雇用義務を果たせていなくても「納付金」の義務が課せられないことを、あたかもそれが「権利」であるかのように受止める事業者がいたとすれば、それを放置することは 適切とは言えない。従って、当協会としては、漸進的にでも障害者雇用納付金の納付義 務の適用範囲を拡大していくことが望ましいと考える。障害者雇用は社会連帯の精神に 則って進められるべきであり、その過程で生じる負担を平等化するために「納付金制 度」が設けられている、という納付金制度の趣旨を踏まえれば、従業員数100人以下 の事業主へと適用拡大を図ること自体、至極当然のことと思われる。 但し、当協会としては、100人以下の事業主に適用範囲を拡大するに際して、不足人数一人当たり月額5万円という現行の金額を引下げることも検討すべきではないかと 考える。常用労働者数100人以上の事業主と同じく障害者雇用に伴う負担感を相応に 感じてもらうことが必要である一方、新たに生じる納付金の負担が企業経営を過度に圧 迫することのないよう、具体的な負担額については適切な配慮が必要と考える。

○ヒアリング項目⑶ その他、障害者雇用を更に促進するため、どのような課題や対応が求められると考え るか。
<現状認識、課題等>

当協会では、障害者雇用に関して、ご提示いただいた項目の他にも様々な課題がある と考えている。その中から、下記4点を取上げたい。 A高齢従業員の福祉的就労へのスムーズな移行実現 B除外率引下げに関するスケジュールの明確化 C自治体によって異なる障害認定基準の統一化 D助成金制度の改善

<とるべき対応、対応の方向性等>
A 高齢従業員の福祉的就労へのスムーズな移行実現

企業の従業員の「就労卒業」時期は、人事制度に従いつつ、会社都合ではなく、本人 の意思と厚生を尊重し決定されるべきである。特に、障害のある従業員に関しては、福 祉と雇用の連携を考慮した枠組みが必要と思われる。当協会として具体的には、障害の ある従業員が企業に籍を置きながら福祉制度を利用できる仕組みが求められるものと考 える。 この点は、令和3年度に厚生労働省の社会保障審議会障害者部会と労働政策審議会障 害者雇用分科会で議論されたが、令和5年度の制度改正では見送られた。しかし、当協 会としては、障害のある従業員の加齢や障害進行の増勢を見据え、あらためて制度の具 体化を検討すべきと考える。 具体的な案を策定する上では、以下の点に留意することが肝要と考える 1 企業等と就労継続支援事業所との間で必要な連携協力方法やそのためのルール 2 雇用及び福祉分野の関係機関の連携による適切かつ円滑な活用・サポート方法 3 併用の期間や併用時の勤務形態等について必要な条件・ルール
いずれに関しても、当協会としては就労継続支援事業所を取りまとめる組織との協議並びに意見調整を行ないながら具体化を模索すべきと考える。別紙にて、具体的な検討事項を整理し提示する。 ☞資料4参照
 B 除外率引下げに関するスケジュールの明確化→ 2004年4月に廃止された除外率が、経過措置により現在も適用されている業種が あるが、2025年4月にその除外率が一律10%引下げとなることが決まっている。 これにより、今後除外率が適用されなくなる業種がある一方、それ以降も依然除外率適 用となる業種もある。そのような業種は、相対的に障害者雇用の困難度が高いと見なさ れるが、除外率の引下げは適用を受ける企業においては実雇用率の低下を意味するもの であり、経営計画上大きなインパクトを持つものである。従って当協会としては、当該 企業が経営を安定的に進めていくためには、除外率に関して廃止に至るスケジュールの 見通しを早めに明らかにすることが肝要と考える。
C 自治体によって異なる障害認定基準の統一化→ 療育手帳による管理は都道府県(政令指定都市)単位で行われており、そのため手帳 の名称並びに障害程度区分に関して都道府県による相違が生じ、それは長年放置された ままとなっている。その結果、雇用管理に関しても事業所によって取扱いがまちまちと ならざるを得ず、本人も転居等の際困惑する事態が生じるなど、改善が急務と考える。 当協会としては、療育手帳制度における、呼称、程度区分、判定基準などの全国統一化 を図る必要があるものと考える。 ☞資料5参照
D 助成金制度の改善→ 障害者雇用に取組む企業の多くでは、納付金制度における各種助成金の充実・強化に 対して大きな期待を寄せている。しかしながら、その制度設計に関しては、世の中の変化との間に乖離が広がっているのではないかと思われる点がある。時間の経過とともに 障害者雇用の中身に変化が生じている実状を踏まえ適宜見直しを図り、より実効の上が る適切な助成金の実現を目指すことが求められているものと考える。 納付金制度は、障害者雇用の推進に伴う企業の「経済的負担」の調整を目的として創設されたものであり、その運用は企業の障害者雇用人数に応じて行なうという仕組みである。一方、企業における実際の「経済的負担」は、時代とともに多様化し、同じ企業 規模においてもばらつきが見られるようになってきている。そしてそれは、対応する障 害種別の変化、即ち精神障害者の増加とそれへの対応、あるいは職場定着やキャリアアップなど質の向上への取組み、に関する相違に伴うものと想定される。
従って、当協会としては、今後「経済的負担」の調整に当たって、現行のような一律の調整(=定額の調整金のみ)に加えて、企業による取組みの実態の違いに即した柔軟な 調整措置が必要と考える。 具体的には、報奨金(調整金)に加えた付加的な調整措置として、 ●「質の向上」指標に基づく加算 ●精神保健福祉士の配置など、個別企業の取組みに即した加算を講ずることを提案したい。 近年、企業で雇用する障害者の中心が精神障害者にシフトしているという大きな変化が見られる。従来障害者雇用の中心であった身体障害者に関しては、一般的に言って就労時に働きやすい環境設定を整えることでスムーズな職場定着が実現できたのに対して、精神障害者に関しては職場定着を実現する上で継続的な支援が不可欠である、という違いがある。従って、企業に対する助成措置(支援)に関しても、時限的な措置やス ポット的な措置だけでは不十分なケースが増えていることを踏まえ、長期的な助成措置の導入が不可欠であることを訴えたい。また、助成措置の申請に関する事務手続きが煩雑なため、それを簡素化し申請しやすくする措置も講じていただきたいと考える。
【最後に】 以上、本ヒアリングに際し掲げられた課題に関して、当協会としての考えを縷々述べさせていただきました。 一方、当協会としては、2023年7月に、今後の障害者雇用に関して企業の立場から望ましい制度の在り方と具体策に関して、協会の役員全員を構成メンバーとした「検討委員会」を設置し、継続的に検討を進めております。本意見書は、その検討のこれまでの成果を踏まえたものとなっておりますが、当協会の「検討委員会」は今後も継続していき、検討が終わり次第中長期的な視点に立った提言として取りまとめる予定です。 その節には、貴省におかれましてもその内容を検討していただき、政策や制度へと反映されていくことを願ってやみません。    以上

次回も続き「資料1−2(参考資料):一般社団法人 障害者雇用企業支援協会」からです。

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