児童虐待防止対策部会(第5回) [2025年01月31日(Fri)]
児童虐待防止対策部会(第5回)(令和6年 12 月 26 日)
議題 (1)制度改正を要する事項について (2)児童相談所における児童福祉司等の人材確保等について (3)市町村の機能強化に向けた施策の方向性について https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/8267a354 ◎資料3 市町村の機能強化に向けた施策の方向性について ○市町村の機能強化に向けた施策の方向性について→説明の流れ⇒1.市町村の機能強化が求められる背景 2.市町村機能の現状と課題 3.都道府県による市町村支援の現状 4.国と研修センターによる市町村機能 強化に関する既存事業⇒⇒5.施策の方向性(案) ・審議いただきたいこと→• 市町村機能強化のための 都道府県の役割 に関するご意見 • 市町村機能強化のための 施策の方向性(案)に関するご意見 • こども家庭センター設置・機能強化促進事業 の効果的な実施のために必要な視点や留意点 ↓↓ 1.市町村の機能強化が求められる背景 (1)早期からの包括的支援による虐待予防の必要性→・児童相談所と同様、市町村への虐待相談件数も増加(平成25年度79,186件 → 令和4年度162,605件)。 ・ 虐待発生時の対応や支援だけでなく、早期から切れ目のない継続的支援による虐待の発生予防が必要。 ・ 虐待の背景には、予期しない妊娠、親の被虐待経験、貧困、疾病・障害、孤立など様々な状況があり、 各分野の支援事業や制度の活用、関係機関・地域資源との協働などニーズに応じた包括的支援が必要 (2)制度改正(児童福祉法・児童虐待防止法・母子保健法)→平成16、20、28年。令和4年 サポートプラン作成の義務化、こども家庭センター設置の努力義務化、 家庭支援事業の提供が必要な者への利用勧奨・措置(提供)の創設。 (3)市町村機能の特長 @ 児童相談所に比べると住民に身近な存在であり、妊娠届出や各種健診など全件把握の機会がある A 様々な子育て支援事業(家庭支援事業等のサービス)や保健・福祉等の各種制度を所管している B 様々な関係機関(医療機関・保育所・学校等)と業務的なつながりがあり、連携の仕組み(要対協)もある C 上記@〜Bを活かすことにより切れ目のない継続的・包括的な支援が可能である 2.市町村機能の現状と課題→組織体制、相談支援、支援事業・地域資源、多機関連携(要対協)⇒⇒【課題】@ こども家庭センターの設置など全ての市町村で必要な組織体制を整備する必要 A 家庭支援事業や地域資源など支援に資するサービス・資源の構築・開拓状況の市町村格差を埋める必要 B 家庭のニーズに応じた支援の計画・実施、多機関協働での計画的支援など相談支援機能を高める必要がある。 ・設置に向けた課題(こども家庭センター未設置市町村)→統括支援員を担う人材の確保・育成などグラフ参照。 ・都道府県や国から得たい情報や支援等(全市町村)→業務の課題整理や充実に向けた相談対応や助言 などグラフ参照。 ⇒⇒【課題】C 統括支援員や計画的支援に関する研修の充実が必要 D 組織・業務・事業の構築に役立つ相談対応や取組事例が必要 3.都道府県による市町村支援の現状 (1)都道府県の役割(制度的位置づけ)→市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、市町村職員の研修 その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと(児童福祉法第11条第1項第1号) (2)市町村支援児童福祉司の業務→54自治体/79自治体(都道府県・政令市・児相設置市区)に100人が配置され個別事例の助言や連絡調整を中心に実施 未配置9都府県・5政令市への配置や本庁部局と連携した市町村研修の企画・機能強化の相談対応の充実が課題。 (3)市町村機能強化のための情報提供・研修・相談対応・調整等の状況 ※都道府県向け簡易アンケート(回収率72.3%) 【研修】@ 児童福祉・虐待防止関連 平均5.6回 (中央値3回) A 統括支援員・こども家庭センター設置関連 平均2.1回 (中央値1回) 上記研修(@+A)の企画者: 本庁部門が企画 44.3% 児童相談所が企画 47.8% 両者が協働で企画 6.7% 【情報提供・相談対応等の実施状況】→ め 相談支援の流れや多機関連携などに関する相談対応は本庁担当者よりも市町村支援児童福祉司が行っている。・ 市町村から相談があった場合の対応は行っているが積極的な情報提供や調整までは行えていない場合がある。・ 組織運営や家庭支援事業について、市町村支援児童福祉司が情報提供や相談対応を行っている都道府県もある。 4.国と研修センターによる市町村機能強化に関する既存事業 (1)運営及び研修の財政支援→・ 利用者支援事業(こども家庭センター型) 統括支援員・両機能職員・地域資源コーディネーターの人件費等の運営経費、開設準備経費を補助。・ こどもSOS等相談支援体制整備事業 こども自身や保育所・学校等からの相談対応を行う職員や公認心理師等を追加配置する経費を補助。・ 市町村相談体制整備事業 スーパーバイズを行う職員、関係機関への助言等を行う虐待対応強化支援員や心理職の配置を補助。・ 児童虐待防止対策研修事業 要対協調整担当者研修、児童虐待に関する専門性を強化する市町村職員向け研修の実施経費を補助。 ・ 子どもを守る地域ネットワーク支援事業 要対協の調整機関や関係機関の専門性強化や連携強化の実施に必要な経費を補助 (2)研修の実施・支援→・ 統括支援員基礎研修(子どもの虹情報研修センター・西日本こども研修センターあかし) 統括支援員の任用要件である基礎研修(オンライン動画)を運営(こども家庭センター職員にも公開)。 ・ 設置運営に向けて助言を行うアドバイザーの自治体派遣(あかし「こども家庭センター支援事業」)。 ・ 市町村職員向け研修等に関する専門相談・助言(子どもの虹・あかし)。 (3)都道府県による市町村向け研修企画の支援→・ 統括支援員の育成(実務研修)を担う都道府県等の研修担当者などが研修企画に必要な内容や視点等を学ぶ「統括支援員指導者・研修企画者養成研修」を実施(子どもの虹はオンライン、あかしはアウトリーチ型)。 5.施策の方向性(案)→5施策の方向性あり。 目的、考えられる取組の参照。 ○こども家庭センター設置・機能強化促進事業→令和4年改正児童福祉法により設置が努力義務となった「こども家庭センター」について、未設置の市町村(全体の約5割)での設置を促すととも に、設置済み市町村においても、母子保健と児童福祉の一体的支援、サポートプランの活用、家庭支援事業等の構築・活用などの機能の充実を促し、 市町村における妊産婦・こども・子育て家庭への包括的・計画的な支援の円滑な実施を推進する。 これらの取組を通じ、令和8年度末までにこども家庭センターの全国展開等を図る。⇒事業の概要、実施主体 参照。 ◎資料4 こども家庭庁による福祉行政報告例の実施に伴う見直しについて ・背景・目的→福祉行政報告例のうち児童福祉関係の調査は、令和7年度実績分より、厚生労働省からこども家庭庁に調査主体を移管し、 新たな調査として実施する予定であり、これに伴い、児童虐待に関するものについて、各調査項目の利活用状況等を踏まえ、報告表を一部見直すこととしている。 引き続き、各自治体における福祉行政の実態を明らかにし、福祉行政の運営を検討するにあたっての正確な情報を集計・公表していくため、以下の観点及びスケジュールを踏まえて見直しを進めたい。↓ ・見直しの観点→1. 児童虐待防止対策を検討する上で必要なデータを過不足なく収集できる調査とする。 2. 児童福祉行政の実態を可視化できる調査とする。 3. 可能な限り「わかりやすく」かつ「回答負荷を抑えた」調査とする。 ・今後のスケジュール→令和6年12月(事務連絡 調査の概要 変更点の提示)⇒令和7年2月(R7記入要領 公表)⇒令和7年4月〜令和8年3月(・児相/市区町村にて実績を計上 ・必要に応じて実績管理システム改修)⇒令和8年4月〜6月(R7調査報告の作成) ⇒⇒R 7 結 果 公 表 ○具体的な見直しのポイント↓ ・通告件数と対応件数の把握→1. 「児童虐待通告件数」について、よりわかりやすく明示的に把握する。 2. 「児童虐待相談対応件数」などの重要な指標は連続性を維持する。 ・わかりやすさの追求→3. 報告表の「順番」をわかりやすく並べ替える。4. 報告表の「タイトル」をわかりやすく見直す。 ・回答者(自治体)の負担削減→5. 集計結果を活用していない報告表は削除する(8表→6表)。6. 《運用面》自治体の回答期間を2ヶ月間から3ヶ月間へ延長する。 ○こども家庭庁による福祉行政報告例の実施に伴う見直しについて 【参考資料@】→新報告表(1表〜6表) 参照。 ◎資料5 児童相談所における AI の利活用について ・これまでの経緯→・「一時保護の判断に資するAIツール」として、令和4年度より設計開発をスタートさせ、令和5年度末にプロトタイプがほぼ完成。・試行実施自治体より、現場での活用が難しいのではないかという意見が寄せられた。・外部有識者を交えた検討会を立ち上げ、調査研究事業により当該ツールの効果検証を実施。 ・効果検証の概要→計10自治体※の児童相談所にご協力いただき、過去の実事例:100ケースで試行検証を実施。【検証結果】約6割のケースでスコアに疑義が生じた。【結果分析】保護判断に影響する情報を正しくインプットすることが難しいケースのスコアに疑義(参考資料A)。【具体事例】ベテラン児福司が「ただちに一時保護すべき」と判断する事例に対して重大な見落としも発生。 ・外部有識者を交えた検討会の考察→事前に定められた一定の項目の該当有無だけでは、リスクスコアを算出する情報として十分ではないが、これ以上 の項目追加は入力負荷の観点から現実的ではない。 ・今後の方針→・開発したAIツールは、AI技術の更なる進歩を踏まえた性能改良が必要であるため、現状でのリリースを延期する。・定性情報(自然文)を学習データとするAIに進化させ、ケースワークの多面的なサポートを目指す。・R6補正予算案にて「面談音声マイニング及びAI要約ツールの開発」を行うための予算を要求。 ≪参考資料≫ ○参考資料@:一時保護AIツールの概要(システム構成)→一時保護AIツールは、入手したケース情報を基にリスクアセスメント項目に入力を行うことで、リスクスコ ア等を提示するシステムである。 ○参考資料A:AIツールへ正しく情報を入力できなかったケース具体例→一時保護AIツールは、入手したケース情報を基にリスクアセスメント項目に入力を行うことで、リスクスコ ア等を提示するシステムである。⇒検証ケースにおいて生じた例、 検証ケースにおいて生じた例 参照。 ◎資料 6-1 一時保護時の司法審査について ≪一時保護時の司法審査≫↓ ○一時保護時の司法審査等→<一時保護開始時の適正手続の確保(司法審査)>⇒・一時保護の適正性の確保や手続の透明性の確保のため、一時保護開始の判断に関する司法審査を導入。→・裁判官が発付する一時保護状による方法(事前又は保護開始から7日以内に児童相談所は書面で請求)とする。 ・ 対象として、親権者等が一時保護に同意した場合や請求までに一時保護を解除した場合等は除く。 ・ 児童虐待のおそれがあるときなど、一時保護の要件を法令上明確化。その要件に該当するときは、明らかに一時 保護の必要がないと認めるときを除き、裁判官は一時保護状を発付する。 ・一時保護状発付の請求が却下された場合、一時保護を解除した際に児童の生命及び心身に重大な危害が生じるお それがあるときには、児童相談所からの不服申立手続を設ける(却下の翌日から3日以内にその取消を請求) ○一時保護時の司法審査に関する実務者作業チームについて→・令和4年6月に成立した児童福祉法改正法において、一時保護の開始時の司法審査を導入(令和7年6月1日施行)。社会保障 審議会児童部会社会的養育委員会報告書において、施行までに、その運用や実務の詳細について、法律実務に携わる者など、実 務者も構成員に含む作業チームを立ち上げて検討すべきと指摘。 ・このため、厚生労働省において、作業チームを令和4年8月末から設置し、一時保護時の司法審査の運用及び実務の詳細等につ いて、実務的な観点から議論することとする。⇒令和6年1月 「一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル(案)」を公表 令和6年10月第5回作業チームで座長一任となったことを踏まえ、同年12月、同マニュアル確定版を公表 (検討会委員) ※法務省、最高裁事務総局はオブザーバーとして参加。 ○一時保護の要件について↓ 1.改正後児童福祉法→<改正後>⇒第三十三条 児童相談所長は、児童虐待のおそれがあるとき、少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたときそ の他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、(略)児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、 当該一時保護を行わせることができる。 2.「内閣府令(児童福祉法施行規則)で定める場合」の条文 令和6年12月26日公布)→第三十三条 児童相談所長は、児童虐待のおそれがあるとき、・・・ 一〜七 参照。 ○一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアルの主なポイント@➁B↓ 第1章 令和4年児童福祉法等改正(一時保護時の司法審査)の概要 第2章 一時保護の要件 1 趣旨 2 一時保護を行うことができる場合→・ 一時保護を行う全ての場合で、@内閣府令該当性+A一時保護の必要性があることが要件となる(改正後法第33条第1項及び第2項)。 ・ なお、裁判官は、@内閣府令該当性が満たされていれば、明らかにA一時保護の必要がないと認めるときを除き、一時保護状を発付(同第4項)。 3 内閣府令について(児童福祉法施行規則第35条の3) ・ 第1号(児童虐待の場合等)→・「児童虐待を受けた」場合だけでなく、「児童虐待を受けたおそれ」がある場合及び「児童虐待を受けるおそれ」がある場合も対象。 ・第2号(少年法送致又は警察通告の場合)→・少年法送致又は警察通告を受けた場合は、警察からの情報に基づき調査や状況把握をする必要のあるケースが多いため、一時保護の対象として規定。 ・第3号(自己又は他人への危害の場合等) ・ 児童の安全と健全な発達を図り、必要な調査を行うため、一時保護の対象として規定。 ・ 自己又は他人に「危害を生じさせた」場合だけでなく、「危害を生じさせたおそれ」がある場合及び「危害を生じさせるおそれ」がある場合も対象。 ・ 第4号(児童による保護の求め等の場合)→・ 児童自身が保護を求めることは、児童にとって何らかの深刻な状況が生じているというべきであることから、一時保護の対象として規定。 ・ 児童の年齢や発達の状況等を考慮し、保護の求めに相当する意見・意向(意思というまでには至らない志向、気持ち)が表明された場合も対象。 ・ 児童に保護者や住居がない場合に、安全・安心な場所を提供し心身の安定を図れるよう、一時保護の対象として規定(おそれがある場合も含む。)。 ・ 児童の住居が不明の場合には、その養育環境等について把握・調査等をするため、一時保護の対象として規定(おそれがある場合も含む。)。 ・ 第5号イ、ロ(保護者不在又は住居不定の場合等) ・ 第6号(保護者による保護の求め等の場合) 4 一時保護の必要性について↓ ・ 第7号(その他重大な危害が生じるおそれの場合)→・ 保護者(児童福祉施設の長や里親を含む。)が保護を求める場合は、養育困難や措置先での児童の不適応等が生じているとうかがわれることから、 児童をその養育環境から一時的に分離して安全確保をした上で、背景事情の把握等を行う必要があるため、一時保護の対象として規定(保護の求め に相当する意見が表明された場合も含む。)。 ・ 第1号〜第6号までの類型では対応できないものが今後生じ得る場合に備えて規定。 ・ 児童相談所長は、@内閣府令該当性を前提として、A一時保護の必要性があるか否かについて、各事案における個別の事情を検討し、適切に判断 第3章 一時保護状の請求手続 1 一時保護状の請求の要否→・ @一時保護を行うことについて親権者等(親権を行う者又は未成年後見人)の同意がある場合、A児童に親権者等がない場合、B一時保護を開始 した日から起算して7日以内(この期間は、初日を含む。)に解除した場合を除き、一時保護状の請求が必要(改正後法第33条第3項)。 ・ 親権者等が数人あるときはその全員の同意を要する。一部の親権者等から同意を得られない場合のほか、一部の親権者等と連絡がとれずその同意が確 認できないような場合には、親権者等の同意があるとはいえないから、請求期限までに一時保護状を請求しなければならないこと等に留意。 2 一時保護状の請求に係る基本的事項→・ 請求者、対象となる児童、請求時期(事後請求又は事前請求)、一時保護の開始日、請求先、請求の方式など 3 一時保護状の請求に向けた具体的手続(児童相談所における事務手続の流れを想定)→・児童と親権者等の特定⇒・ 一時保護の対象となる児童は、氏名、住居(住所又は居所)、生年月日により特定。児童の特定に関する資料としては、戸籍謄本、住民票の写しそ の他の公的書類(療育手帳、母子健康手帳等)の写しが考えられる。 ・ 親権者等は、戸籍謄本(児童が外国人の場合は戸籍謄本に代わるものとして親権を有することが確認可能な公的書類)により特定。戸籍謄本の取 得に特に時間を要する事情がある、外国人につき本国での身分関係の調査が完了しないなどの事情があるときは、親権者等を確知できない場合として(同 意があるとはいえないとして)、一時保護状の請求を行う必要。 ・ 児童と親権者等の特定⇒・ 一時保護の対象となる児童は、氏名、住居(住所又は居所)、生年月日により特定。児童の特定に関する資料としては、戸籍謄本、住民票の写しそ の他の公的書類(療育手帳、母子健康手帳等)の写しが考えられる。 ・ 親権者等は、戸籍謄本(児童が外国人の場合は戸籍謄本に代わるものとして親権を有することが確認可能な公的書類)により特定。戸籍謄本の取 得に特に時間を要する事情がある、外国人につき本国での身分関係の調査が完了しないなどの事情があるときは、親権者等を確知できない場合として(同 意があるとはいえないとして)、一時保護状の請求を行う必要。 ・親権者等の同意の確認⇒・ 一時保護を行うことについて可能な限り親権者等の同意を。同意がない場合だけではなく、同意が判然としない場合(同意があるか分からない場 合)、同意の真意性に疑義がある場合などは、同意があるとはいえないとして、一時保護状の請求を行う。 ・ 親権者等の同意の確認は原則として書面で行う。ただし、一定の場合(親権者等が遠方、多忙、入院中等により来所や郵便等での確認が困難な場合、 親権者等の身体に障害があり署名が困難な場合など)には、口頭による確認も排除されない。 ・親権者等の意見を裁判官に伝達する手法⇒・ 児相が親権者等の意見を聴取して適宜の書 にまとめて裁判官に提供することを基本。 ・ 親権者等が自ら意見書面の作成を希望する場合はこれを児相を通じて裁判官に提供することが可能。 ・児童の意見又は意向の確認、児童の意見又は意向を裁判官に伝達する手法⇒・ 一時保護 に当たって実施する意見聴取等措置(改正後法第33条の3の3)等により児相が把握した児童の意見又は意向を裁判官に提供。 ・ 児童自らが意見書面の作成を希望する場合はこれを児相を通じて裁判官に提供することが可能。 ・提供資料の準備(関係機関等と連携した資料等の収集)→・ 児相が保有する児童記録票その他の児童に関する書類一式又はそれらを抜粋し、若しくは要約したものを提供する方法を基本。 ・ 一時保護状の請求に当たっては、一時保護の要件の充足性を示す事実関係、児童の意見等や親権者等の意見、それらを踏まえた児相の所見(内閣 府令該当性及び一時保護の必要性を認めた理由)等をまとめた簡単な「総括書面」を作成。 ※参考書式は本マニュアル(案)別添のとおり。 ・ 児相が裁判所に出した一時保護状の請求に係る事件記録は、裁判所から児童や親権者等に送付されることはなく、審査終了後、児相に返還される。 また、裁判所において児童や親権者等の事件記録の閲覧謄写を予定した規定はなく、児相への返還後、児相において開示請求に対応することとなる。 ・ 資料の収集等においては、関係機関と連携し、資料又は情報の提供等の必要な協力を受けること(改正後法第33条の3の2)。 ・一時保護状請求書の記載事項等⇒・ 一時保護状請求書はチェックリスト及び端的な記載欄を基本。 ※参考書式は本マニュアル(案)別添のとおり 4 一時保護状の発付又は請求却下→・ 一時保護状の発付又は請求却下後は、裁判所において事件記録の返還を受け、一時保護状が発付された場合は一時保護状を受領。 ・ 児童及び親権者等に対しては一時保護時の司法審査の結果等につき適切な説明を行う。請求が却下された場合(取消請求をしない場合)は意見 聴取等措置等を講じた上で、速やかに一時保護を解除。 第4章 一時保護状の請求却下の裁判に対する取消請求 1 取消請求の要件→取消請求では、@内閣府令該当性、A一時保護の必要性、B一時保護を行わなければ児童の生命又は心身に重大な危害が生じると見込まれると きが要件となる。Bの要件については、外形上の行為や被害の重大性だけではなく、養育環境下に戻ることが児童の心身に与える影響からも検討すること。 2 取消請求手続に係る基本的事項→請求者、請求時期(一時保護状の請求却下の裁判があった日の翌日から起算して3日以内に限り行うことができる)、請求先、請求の方式など 3 取消請求の具体的手続→取消請求の各要件について、事案の概要を踏まえ、児相の所見・評価を文章形式で記載。 ※参考書式は本マニュアル(案)別添のとおり。 4 裁判所の判断を受けての対応 第5章 夜間・休日の対応→・ 一時保護状の請求及び取消請求は平日の裁判所開庁時間中に行われるのが基本だが、やむを得ず夜間・休日に請求する場合はあらかじめ請求先裁 判所に連絡した上で請求を行う。夜間・休日には請求先が異なる可能性があることに留意。一時保護状の請求及び取消請求に係る期間には、土日、祝 日、年末年始を含む。請求期限末日が土日、祝日、年末年始となる場合も同日までに請求を要する。 ○一時保護時の司法審査手続における戸籍謄本等の広域交付の活用について ・親権者等の特定について(現状と課題)→・一時保護時の司法審査では、親権者等(親権者又は未成年後見人)の同意を確認する前提として、戸籍謄本により 親権者等の特定を行い、同意している者が親権者等であることの確認が必要。 ・ 児童の家庭状況を調査する必要性等から、児童相談所では現在も児童や親権者等の戸籍謄本等を取得しており、住 所地と本籍地が異なる場合には、児童相談所から本籍地へ郵送等により請求(公用請求)しているが、現状、戸籍謄 本等の取得には7日以上要する場合が多く、一時保護時の司法審査の施行後は、親権者等が同意している可能性があ るにも関わらず、一時保護状の請求を行わなければならない場合が生じる。 ⇒ 戸籍謄本等の取得・確認業務を迅速に行うため、市区町村が行う公用請求については、広域交付制度(本籍地以外 の市区町村に対する戸籍謄本等の請求)が活用できることを明確化することとする。 ・対応について→・戸籍謄本等の広域交付の公用請求は、戸籍法上、市区町村の機関がするものに限り可能とされているが、児童相談所の協力の求めに応じる形であっても、市区町村が主体となり公用請求を行うものであるから(児童福祉法第10条第1項 第3号)、請求の主体は市区町村の機関となり、広域交付の公用請求の利用対象となる。 ・ それを明確にするため、児童福祉法施行規則を改正し(※)、市区町村は、自ら必要な調査等を行う場合のほか、児 童相談所長が一時保護に関して必要があると認める場合には、児童福祉法第33条の3の2第1項第3号(一時保 護に当たっての必要な協力の求め等)に基づき、広域交付の公用請求を活用して、戸籍謄本等を取得・確認できること を規定した。(※)児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号) 第三十五条の四 市町村長は、法第十条第一項第三号その他の法令の規定により自ら調査その他の事務を行う 場合のほか、法第三十三条の三の二第一項第三号の規定による都道府県知事又は児童相談所長の求めに応 じ、法第三十三条第三項に規定する手続に関し、法第十条第一項第三号に掲げる調査を行う場合においても、 戸籍法第十条の二第二項(同法第十二条の二において準用する場合を含む。)の規定による請求その他の必 要な事務を行うことができる。 ◆ 一時保護時の司法審査の施行(令和7年6月1日)に向けて、上記対応について、市区町村等へ周知予定。 ○一時保護時の司法審査に係る試行運用について→実施の趣旨・目的↓ @児童相談所の人員体制強化に係る検討→・ 一時保護時の司法審査の導入(令和7年6月施行)により、児童相談所において新たに増加すると見込まれる一時保護状の請求に向けた事務負担・作業量等を適切に把握し、児童福祉司、法務担当事務職員等について、児童相談所の人員体制強化に係る検討を行う。 (※)令和4年12月の児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議において策定された「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」について、令和7年の一時保護時の司法審査の導入に向け、必要に応じて見直し、児童相談所の体制強化を図ることとしていることなどを踏まえ、必要な検討を行う。 A「一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル(案)の試行・検討→ 一時保護時の司法審査(令和7年6月施行)の導入に向け、「一時保護時の司法 審査に関する児童相談所の対応マニュアル(案)」について、実務的な観点から試 行・検討を行う。 ⇒ 試行運用を通じて明らかとなった実務上の課題等については、令和6年秋頃に予定している同マニュアルの確定に向けて、マニュアル(案)の記載内容の見直し、 追加の検討等を行う。 ○一時保護時の司法審査に係る試行運用結果について→・ 18自治体の児童相談所の協力を得て、実際に進行している事案について、「一時保護時の司法審査に関する児童相 談所の対応マニュアル(案)」に沿った一時保護状請求までの一連の業務を試行的に実践してもらい、各業務の実対応時間等を計測した結果を報告いただいた。 ・ 司法審査導入による業務量への影響については、なお導入後の状況を見極める必要があり、引き続き状況を把握す るとともに、状況に応じて、児童相談所の体制等必要な対応を検討する。 一時保護した日から7日以内又は一時保護前(1〜8の司法審査の手続)参照。 ○一時保護時の司法審査の施行に向けた状況及び今後の予定について→・令和6年1月〜同年3月:全国の自治体に「一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル (案)」の意見照会を実施 (試行運用対象自治体については、試行運用の実施を踏まえ、〜令和6年4月下旬に実施) ⇒主なご意見等のうち対応可能なものについては、マニュアル及びQ&A等へ反映。・ 令和6年3月〜同年5月:一時保護時の司法審査に係る試行運用を実施(公募の上決定した全国18自 治体)。・令和6年6月〜(順次):施行に向け、各地の裁判所と自治体の児童福祉主管課との間で、一時保護状の 請求手続に関する裁判実務の運用について協議開始。・令和6年12月:「一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル」確定版公表 内閣府令改正、一時保護時の司法審査に係る試行運用の結果公表。・今後は、順次、Q&Aの発出、一時保護決定通知書様式例等の提示、一時保護時の司法審査手続における 戸籍謄本等の広域交付の活用に関する通知の発出(市町村の戸籍部署に対して、7日の請求期限があること など一時保護時の司法審査制度の周知を行うもの)等を行うとともに、施行に向けてマニュアル等の周知を徹底し ていく。 ・令和7年6月1日:施行 次回も続き「資料 6-2 一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル」からです。 |