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第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年11月30日(Sat)]
第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年10月11日)
議事 中間検証に係る意見交換(地域連携ネットワークづくり、適切な後見人等の選任・交代の推進等、担い手の確保・育成等の推進、市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進、権利擁護支援の行政計画等の策定の推進、 都道府県の機能強化)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43748.html
◎参考資料 11 成年後見関係事件の概況(最高裁判所提供資料)
―令和5年1月〜12月―   最高裁判所事務総局家庭局
1 申立件数について(資料1)
→○成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人 選任事件)の申立件数は合計で40,951件(前年は39,719件)であり、対前年比約3.1%の増加となっている。 ○後見開始の審判の申立件数は28,358件(前年は27,988件)であり、対前年比約1.3%の増加。 ○保佐開始の審判の申立件数は8,952件(前年は8,200件)であり、対前年比約9.2%の増加となっている。 ○補助開始の審判の申立件数は2,770件(前年は2,652件)であり、対前年比約4.4%の増加となっている。 ○任意後見監督人選任の審判の申立件数は871件(前年は879件)であり、対前年比約0.9%の減少となっている。
2 終局区分について(資料2)→○成年後見関係事件の終局事件合計40,665件のうち、認容で終局したものは約95.3%(前年は約95.4%)である。
3 審理期間について(資料3)→○成年後見関係事件の終局事件合計40,665件のうち、2か月以内に終局したものが全体の約71.8%(前年は約71.9%)、4か月以内に終局したものが全体の約93.7%(前年は約93.7%)である。
4 申立人と本人との関係について(資料4、5)→○申立人については、市区町村長が最も多く全体の約23.6%を占め、次いで本人(約22.2%)、本人の子(約20.0%)の順となっている。 ○市区町村長が申し立てたものは9,607件で、前年の9,231件(前年全体の約23.3%)に比べ、対前年比約4.1%の増加となっている。
5 本人の男女別・年齢別割合について(資料6)→○本人の男女別割合は、男性が約43.8%、女性が約56.2%。 ○男性では、80歳以上が最も多く全体の約35.5%を占め、次いで70歳代の約27.6%。 ○女性では、80歳以上が最も多く全体の約63.7%を占め、次いで70歳代の約18.7%。 ○本人が65歳以上の者は、男性では男性全体の約71.7%を、女性では女性全体の約86.1%を占めている。
6 申立ての動機について(資料7)→○ 主な申立ての動機としては、預貯金等の管理・解約が最も多く、次いで、身上保護となっている。
7 鑑定について(資料8、9)→○ 成年後見関係事件の終局事件のうち、鑑定を実施したものは、全体の約4.5%(前年は約4.9%)であった。 ○ 鑑定の期間については、1か月以内のものが最も多く全体の約53.5%(前年は約53.5%)を占めている。 ○ 鑑定の費用については、5万円以下のものが全体の約42.9%(前年は約45.4%)を占めており、全体の約85.3%の事件において鑑定費用が10万円以下であった(前年は約86.9%であった。)。
8−1 成年後見人等と本人との関係について(資料10−1)→○成年後見人等(成年後見人、保佐人及び補助人)と本人との関係をみると、配偶者、親、子、兄弟姉妹及びその他親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約18.1%(前年は約19.1%)。 ○親族以外が成年後見人等に選任されたものは、全体の約81.9%(前年は 約80.9%)であり、親族が成年後見人等に選任されたものを上回っている。
○成年後見人等と本人との関係別件数とその内訳の概略は次のとおりである。     
 関係別件数(合計) 40,729件(前年39,573件)       
 親      族   7,381件(前年 7,560件)       
  親  族  以  外  33,348件(前年32,013件)       
うち 弁 護 士   8,925件(前年 8,683件)          
司 法 書 士  11,983件(前年11,768件)          
社会福祉士   6,132件(前年 5,851件)          
市民後見人     344件(前年   271件)

8−2 成年後見監督人等が選任された事件数について(資料10−2)→○認容で終局した後見開始、保佐開始及び補助開始事件(38,002件)のうち、成年後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人及び補助監督人)が選任されたものは1,287件であり、全体の約3.4%(前年は約3.4%)である。
○ 成年後見監督人等が選任された件数とその内訳は次のとおりである。     
件  数 (合  計)1,287件(前年 1,256件)      
   弁  護  士   632件(前年  613件)      
   司 法 書 士    482件(前年  491件)      
   社 会 福 祉 士    14件(前年    8件)      
 社 会 福 祉 協 議 会  120件(前年  100件)      
    税 理 士      1件(前年    0件)      
     その 他     38件(前年   44件)

9 成年後見制度の利用者数について(資料11)→○令和5年12月末日時点における、成年後見制度(成年後見・保佐・補助・任意後見)の利用者数は合計で249,484人(前年は245,087人)であり、対前年比約1.8%の増加。 ○成年後見の利用者数は178,759人(前年は178,316人)であり、対前年比約0.2%の増加となっている。 ○保佐の利用者数は52,089人(前年は49,134人)であり、対前年比約6.0%の増加。 ○補助の利用者数は15,863人(前年は14,898人)であり、対 前年比約6.5%の増加。 ○任意後見の利用者数は2,773人(前年は2,739人)であり、対前年比約1.2%の増加となっている。


◎参考資料 12 各委員提出資料
◎第17回専門家会議 中間検証に向けた意見
2024年10月11日  弁護士 青 木 佳 史
第1「3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり」について
1 専門職参加によるアウトリーチ相談の強化
→地域連携ネットワークの支援機能のうち、支援チームに対する相談支援機能として、本人の生活場所への出張相談や専門職が参加する専門相談を全ての中核機関において実施し、権利擁護支援や後見制度利用の必要な人へのアウトリーチ相談によるニーズの掘り起こしをはかるべきである。 権利擁護支援の基本的アプローチとして、本人の特性に照らし、窓口での相談対応だけでは不十分であり、本人や支援チームの現場に赴く出張相談やそこに専門職が参加し て行う専門職相談を実施することで、必要なニーズを掘り起こし、制度利用を含めた適 切な権利擁護支援に繋げていくことができることは言うまでもない。 ところが、R5 取組状況調査結果では、中核機関の整備済み市町村1070市町村の うち、「出張相談の実施」しているのは540市町村であり、「専門職による相談会の開催」しているのは494市町村にとどまっている。こうした相談体制の整備は、制度利 用の必要性や制度の具体的な役割を共有し検討するために不可欠である。 専門職団体の協力のために都道府県の調整機能を活用し、遠隔地へのオンライン相談 の活用を含め、こうした相談体制の整備をはかることが急務である。

2 適切な後見人等の選任・交代の推進等
(1)適切な選任のための体制整備(受任(者)調整会議)
→地域連携ネットワークの支援機能のうち、チームの形成支援機能として、後見制 度の申立にあたり、本人の課題やニーズ、特性に相応しい「適切な後見人等の選任」に向けた受任調整を的確に実施する体制作りを、以下の5項目を柱とし、都道府県・市町村、中核機関と家裁、専門職団体が連携、協働して整備する取組を、全ての地域で強化すべきある。 R5取組状況調査結果では、中核機関の整備済み市町村のうち、「受任者調整を含むチーム体制づくり(受任調整会議の開催、一時的な支援の調整等を含む)」の 取組を実施しているのは 655 市町村であり、全体の 1000 以上の市町村で受任調整会議が未整備である。特に、過疎地、島しょ部など設置が困難な地域がある。一方、都道府県の圏域単位の協議会で受任調整を行うところはわずか2県に留まっている。また、設置していている中核機関でも、市民後見人選任の受任調整に限定している地域も多い。このように受任調整のための会議体が設置されているとはいいがたい状況にある。 後見制度を必要とする本人の課題、ニーズ、特性を十分に評価した上で、それに 相応しい担い手を選任し、チーム支援の一員として、従来の支援チームとともに、 あるいは、新たな支援チームの中で職務を行うことは、本人中心の権利擁護の支援 が実施されるために極めて重要である。 相談支援によって制度利用に繋げるだけではなく、適切な選任に繋げることは、 家裁や専門職団体だけに委ねられるものではなく、市町村・中核機関の役割である。そしてこれは後見人等と本人や支援チームとの不適合による相談・苦情を未然に防ぐことからも重要である。 さらに今後、成年後見制度が、本人の意思を重視し、制度利用の個別の必要性を柱として、適切な時機・期間で利用する制度へ見直される中では、制度利用の必要性の有無や終了の適否、必要性に応じた担い手の選任の評価検討が一層求められる ものであり、これに関する市町村・中核機関による情報の集約と評価、家裁へ情報 提供できる体制の整備が重要となる。 これまで各地で実施されている受任調整の取組は、何らの指針もなく、各現場関係者の模索の中で行われてきているが、それだけに内容のバラツキや問題点も多い。そこで、今後の計画期間において、次の5点を基本的な柱として、全国的な体制整備のための運営指針や体制整備のノウハウ提供、人材確保のための財源確保な どにつき、国が中心となって進めることが求められる。
《適切な選任に必要な5項目》 ↓
ア 中核機関における受任調整のための会議体の設置
→適切な受任調整のため、複数の構成員が参加して情報を収集、アセスメントし、 後見実務を踏まえたマッチングを行うための受任調整を行う会議体が市町村・中核 機関に設置され、専門職団体の参加(家裁のオブザーバー参加)により、定期、随 時に開催されること。
イ 選任基準(目安)の作成と家庭裁判所・専門職団体との共通認識の醸成→受任調整会議の判断にばらつきが生じないよう、市町村・中核機関において選任 基準もしくは選任目安を作成し、選任する家庭裁判所や候補者推薦する専門職団体と共通認識を醸成すること。
ウ 集約すべき必要な情報(本人情報、候補者情報等)の標準化→ 会議体で適切な受任調整のためのアセスメントができるよう、必要な情報 を適 切に集約し、家裁や専門職団体に提供するには、どのような本人情報、候補者情報 等が必要かを予め整理し、関係機関の間で共通認識となるよう、個人情報保護の観 点も踏まえ、帳票(シート)作成等により標準化すること。
エ 各地域に質の担保された多様な後見人候補者(担い手)の選択肢の確保→ 会議体のアセスメントにより本人に適切な後見人像に対応した候補者を用意でき るように、各地域に質の担保された多様な担い手の選択肢が確保されること(特に、後述の市民後見人や法人後見の育成と専門職への報酬助成の拡充)。
オ 受任調整によって選任された後見人等の理解・協力の確保 →選任された候補者が、受任調整によって選任された趣旨(求められる課題と職 務)を理解し、チーム支援の一員として役割を果たしていく(場合によってはリレ ーの見通しも含め)姿勢を確保すること。

(2)家裁における適切な選任に向けた運用整備→ 以上のような市町村・中核機関における体制整備とは別に、市町村・中核機関が申立に関与しない事案について、適切な選任を図るための運用を整備することも重要である。 本人申立の一部や親族申立の多くは、市町村・中核機関が申立に関与していない。 その場合、市町村・中核機関による受任調整が行われる場合に比べ、申立書類に記載 される本人情報、候補者情報は限定的なものであり、家裁において、本人や事案の特性を十分に反映した適切な選任に繋げることは容易ではないし、これについて中核機 関の受任調整に付すことも現実的ではない。 そこで、市町村や中核機関が関与しない事案では、家裁において適切な受任調整を 行うことができるよう、@すでに本人の支援チームが形成されていれば、その中でのアセスメントを踏まえた候補者についての意見を求めるように申立書式を改訂したり、A家裁が選任にあたり必要とする情報の項目を記載した「選任のための情報シー ト」の提出を求めるなる工夫したり、B家裁の受理面接で受任調整に必要な情報や観 点を確認して申立人に検討を促す等、申立段階における運用を整備することが重要で ある。

(3)柔軟な交代のための体制整備→さらに、チームの自立支援機能として、本人の意向や状況に応じた柔軟な交代についても、体制整備をはかることが求められている。 現状では、後見人等の交代が検討される場面においては、一部の地域と家裁で、専門職後見人から市民後見人へのリレー検討の仕組みが作られている他は、各地で場当たり的な対応になっているところである。 定期報告などによる後見人等側からの情報提供を待つだけでなく、適時に交代に関 係するさまざまな情報を把握し、柔軟で適切な交代に結びつけるためには、市町村・ 中核機関や専門職団体においてチーム支援における後見人等の職務の評価を適切に家裁に提供する体制、家裁との連携の体制を各地で整備することが求められる。
また、市町村、中核機関におけるチームの自立支援機能として、選任された後見人 に対しても相談に応じ、専門外の課題や地域の実情に応じた情報提供を行う等、後見 人自体への支援を行う役割も求められる。 当面の運用としても、選任時の交代の可能性についての説明と同意、定期報告時の 交代の相当性の確認、交代を検討するケースカンファレンスの開催などの取組を市町村・中核機関と家裁、専門職団体の間で進めることが期待される。

3 苦情対応スキームの整備→地域連携ネットワークのチームの自立支援機能の一つとして、後見人等の職務についての苦情対応を明確に位置づけるべきである。 後見人等への苦情等には様々なものが含まれるが、その中には、後見人等が行うべき職務に反しているものや本人や支援者との信頼関係が不全になっているものがあり、本人に必要な職務が果たされず本人の権利・利益に反するものがある。これを改善するためには、裁判所や各専門職団体だけでなく、市町村や中核機関においてこうした事態への対応窓口と体制を設けることは、チームの自立支援機能の一つとして重要であり、現場の支援チームの大きなニーズになっている。 現在でも、事実上、中核機関等へ苦情等が寄せられることもあるが、窓口を含めた対応スキームを整えて、事案に応じた調整対応を行い、必要に応じて家裁や専門職団体と連携・調整を行う体制が取れているところは少ない。 そこで、昨年実施した全国 5 カ所での試行による成果も踏まえ、残りの計画期間において、各中核機関が、家裁や専門職団体と連携した苦情対応スキームの体制整備を行うこととし、そのためモデル事業等の実施を通じて、下記の諸課題を検討し、各地域の特性に合わせて、苦情の受付から関係機関の連携も含めた終結までのフローを見通した対応スキームを整備すべきである。 ・市町村・中核機関、家裁、各専門職団体が、それぞれの苦情対応の体制や実情につい て相互理解をする場を設けること。 ・中核機関は、チーム自立支援機能として、後見人に関する相談・苦情を受ける窓口の 一つとしての対応体制や周知方法を、規模に応じ、順次、整えること。 ・この中核機関による対応について、事実確認の手順、事案の評価、連携の可否・適否などの対応スキームを、規模に応じ、家裁や各専門職団体と協働して、整えること。 併せて、受任調整や選任後のフォローを行う取組を整備して事前防止につなげるこ と。 ・各専門職団体は、中核機関から期待される対応のあり方のイメージを共有し、それを 担える窓口と体制を団体ごとの特質や規模に応じて整えること。 ・家裁は、中核機関と各専門職団体による対応では困難な場合に、家裁の監督機関として果たせる役割や対応のあり方を、具体的事案を通じて、積極的かつ柔軟に検討すること。 ・国や都道府県は、上記の各取組のため、先行する中核機関等の取組や過去の事例対応の分析などを通じて、対応スキームのモデル案の開発や研修などを実施すること。

4 中核機関の位置づけと役割の制度化→以上のように、チーム形成支援機能及び自立支援機能において、本人のために適切な選任と柔軟な交代を確保し、本人中心の権利擁護の支援を確保していくためには、市町村及び中核機関による受任調整や後見人を含めたチーム自立支援機能が十分に実施され ることが重要である。そのためには、中核機関において、本人情報や候補者情報等を調査、取得する法的権限を与え、国や地方自治体、関係諸機関、医療機関や介護・福祉事業者の保有する個人情報等を共有できるような法的手当が必要。また、受任調整 等に必要となる会議を主宰する権限や、家裁や専門職団体と各種情報を相互に提供、意 見交換等することができるための守秘義務も規定する必要がある。このように、後見人の適切な選任や交代や適切な苦情の対応のために、中核機関を法律上の機関として位置づけ、その目的、権限、義務等を明確にすることが重要であり、その制度化は運用改善 の実現の上で必要不可欠なものとして検討されるべきである。

第2「4 ⑵ 担い手の確保・育成等の推進」
1 市民後見人育成をはじめとした担い手育成・確保の具体的施策を
→上述のように、本人の課題やニーズに応じた適切な選任を可能にする重要な項目として、地域に後見人等として多様な選択肢がある必要があるところ、日本の世帯状況等に照らし、今後も親族後見人の増大は見込みにくいことを踏まえると、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職後見人だけでなく、市民後見人や法人後見など質の担保された担い手の育成が求められる。特に、市民後見人については、地域共生社会の実現や身寄りのない人の増加から、ますますニーズは高まるものと予測される。また、新たな総 合的な権利擁護支援策においても、意思決定支援の視点から市民後見人名簿登録者の活躍支援が求められる。 しかし、R5取組状況調査結果では、市民後見人を育成する市町村は全国で418市 町村(24%)に留まり、第二期計画以降もほとんど増加していない。老人福祉法や知的障害者福祉法等において、市町村の努力義務として担い手整備が位置づけられている にもかかわらず、国として、都道府県や市町村における体制整備を推進するための具体的な対応策が研修プログラム見直し以外には特に進展がない状況である。市民後見人の 養成研修だけではなく、市民後見人の支援に関する体制整備や養成修了者の活躍支援について都道府県や市町村が実施できるための具体的促進策を国として早急に実施すべきである。 法人後見についても、地域には実施法人がなかったり、社会福祉協議会だけであるな どまだまだ担い手としての数は少ない状況にある。法人後見には、本人が若くて支援が 長期になるケースや多くの課題を抱える家族のケース、専門職後見人が個人で対応困難な特性をもつ事案において法人後見の特性が期待される事案が年々増加している。 地域の権利擁護支援策のひとつとして、市民後見人、法人後見が果たすべき役割を、市町村あるいは圏域単位で整理し、担い手の養成を計画的に行うことができるように、 国として財源の手当を含めた具体的施策を実施することが求められる。

2 専門職後見人の受任環境の整備を→専門職後見人についても、地方では数が足りず、これ以上の受任は困難との声も聞かれる。そのため、専門職の特性と無関係に選任せざるをえない事案もあり、苦情にもつながっている。さらに無報酬事案や対応が困難な事案について、担い手を確保できない事案も増加しており、家裁としても大きな関心事となっている。これを打開するためには、後述するように、国において、市町村の実施する報酬助成制度(成年後見制度利用支援事業)を抜本的に見直し、国負担による財源確保を行い、助成対象や助成金額を拡充させること、また、対応困難事案については、チーム支援体制を充実させてチームで後見人をバックアップする、さらに事案に応じて対応困難事案を担える(公的後見としての)法人後見の整備をはかるなど、専門職が受任しやすい環境整備が不可欠である。

第3 「4 ⑶ 市町村長申立の適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進」
1 市町村長申立の適切な実施に向けた市町村格差是正
→市町村長申立の適切な実施については、年間の申立件数に占める市町村長申立の割 合は年々増加傾向にあるものの、都道府県別の割合に大きな格差(全体の44%から 10%まで)があるが、この差は高齢者人口比や専門職の確保状況等との関連性は認 められず、市町村長申立が必要な事案で適切に申立られていないことを伺わせる。市 町村により、担当課の制度利用の必要性への無理解、申立手続への未習熟、申立事務の人員配置不足(概ね兼務)と報酬助成事務の増加、親族調査事務の停滞など様々な要因が重なっている。そのため支援チームの現場からは、市長申立の受理がなかなかなされず、受理してから申立まで長期間かかることなどから、市長申立による利用の諦めが生じ、強引な本人申立や制度利用を回避する事態も生じている。身寄りのない 高齢者や親亡き後の障害者が急増していくことも踏まえると、中核機関や地域包括支 援センターや基幹相談支援センターなどがチーム支援の検討に基づき必要性を確認した事案については速やかな市町村長申立がなされ、受理から標準期間で適切に申立に至る事務遂行のための人員の確保や事務の集約等による効率化をはかることで、必要な事案が迅速に申立される体制を整備することが求められる。 そのために、国や都道府県による各市町村の申立事務の点検評価を行い、改善策の提案や体制整備のための財源確保を図ることが求められる。

2 成年後見制度利用支援事業の枠内に留まらず報酬助成制度自体の抜本的見直しを→成年後見制度利用支援事業の推進等については、R5 年の事務連絡等により任意的な取組みが促されたが、その効果は希薄であり、対象者を市町村長申立事案に限定している市町村が未だに500以上残されており、助成対象も要綱上は生活保護受給者以外の低所得者にも拡大しているものの実際には生活保護受給者に限定する扱いがなされている実情であり(R5取組状況調査結果でも6割以上が生活保護受給者)、また要綱上の報酬助成額を大幅に下回る助成額となっている市町村もある。これにより、市町村長申立や本人申立という福祉的ニーズに基づく利用であるにもかかわらず、無報酬で担わざるをえない事案が一向に減らない状況にあり、各地で専門職団体の担い手の疲弊や不足が進行している。成年後見制度が国の制度であるにもかかわらず、居住市町村により、 助成対象にも助成額にも大きな格差がある事態の是正は喫緊の課題である(なお、国の毎年の取組状況調査は、こうした実態を把握するための項目に全くなっていない)。このように市町村において助成対象や助成額が拡充されない要因は、市町村の財政負担割 合の高さにあることは明らかであり、現在の地域支援事業等の立てつけによる任意的制 度としての制度的限界であり、国が義務的経費として負担することを基本とし、介護保 険制度や障害者総合支援法、生活保護法の個別給付としての位置づけを含め、必要な者がどの地域でも制度利用をできる権利を保障するための報酬助成制度への抜本的見直し が必要である。第二期基本計画の「市町村が行う同事業に国が助成を行う地域支援事業及び地域生活支援事業についても、必要な見直しを含めた対応を早期に検討する。」(1 7頁、3行目)について、残された計画期間での具体的な見直しの方針につき、老健局、社会援護局は明確に示されたい。 また、法的紛争や権利侵害対応の後見職務についての付加報酬についての報酬助成は、厚労省による現在の報酬助成制度の見直しとは別に、法律事務に対する助成制度として、現在の総合法律支援法を改正し、現在の代理援助基準に準じて、同様の資力要件を満たす場合には、後見人の付加報酬につき報酬の立替もしくは給付を行う制度の創設 を法務省において行うべきである。 以 上


◎第 17 回成年後見制度利用促進専門家会議意見書 北海道社会福祉協議会 中村健治
≪中核機関の整備について≫
→・ 中核機関の整備状況については、国の取組状況調査(令和5年4月時点)では、 1,070 市町村(61.5%)が整備済みとなっている。・ 社協による中核機関受託は、社協の取組状況調査(令和 5 年 9 月末時点)では、 広域設置で他社協等による受託を含めて 500 か所(30.8%)となっている。 ・ なお、中核機関ではないが権利擁護センター等を設置及び、広域で他社協等に よる設置を含めて 145 か所(8.9%)となっている。 ・ 成年後見制度利用促進に関する協議会への関りについては、協議会の設置の ない地域が約半数の中、235 か所の社協が事務局を担っており、435 か所が協 議会への構成員として参画している。 ・ 社協における中核機関の運営上の課題については、「中核機関の職員体制の 充実」が最も多く 46.1%で、次いで、「職員の専門性の向上(44.5%)」、「市民後 見人の養成・受任調整、活動支援(30.8%)」、「中核機関の財源(委託費)確保 (28.2%)」であり、小さく産んで大きく育てるという進め方はよいと思うが、職員配 置や予算確保が十分でないことなどが大きな課題となっている。 ・ 特に、市町村が取り組みの必要性を十分理解せず、委託先の社協などに任せっ ぱなしになっているケースも見られ、KPI の数値上の達成のみにとらわれ過ぎることなく、きちんと機能を発揮できる中核機関を設置し育てていくことが必要。 ・ あわせて、中核機関は、成年後見制度に関する相談や対応だけでなく、日常生 活自立支援事業の利用者等も含めて、困難ケースへのバックアップができる総合的な権利擁護支援体制の推進機関として発展させていくことが求められる。 ・ また、連携については、「市町村(行政)との連携(25.2%)」、「家庭裁判所との連携(15.5%)」、「専門職(団体)との連携(12.1%)」となっており、取組状況調査に おいて、中核機関の機能について把握されているが、職員配置や専門職との連 携状況、予算なども含めて、中核機関の実態把握が必要と考える。

≪法人後見の受任体制について≫ →・7法人後見の受任状況については、令和 5 年 9 月末時点で 624 か所(38.4%)とな っているが、「過去に受任実績がある」「受任実績はないが、受任体制はある」を 合わせると 719 か所(44.2%)が受任体制を有している。
・ なお、社協としては法人後見受任体制の整備を推進しているが、人口規模別に みると、人口 10 万人以上の自治体では 73.4%の社協が受任しているが、人口 5 万人未満の自治体では 27.5%にとどまっている。 ・ 受任体制の整備を進めていない理由として、最も多いのは「財源が確保できないため」(54.7%)となっている。次いで、「必要な知識を持った職員がいないため」 が 41.2%となっており、人材と財源が大きな理由となっている。 ・また、「組織内部の監督体制が整っていないため(46.2%)」、「法人後見の実施 体制をどのように整えたらよいかわからない(37.9%)」、「法律や福祉の専門職 の助言を得られる体制が整っていないため(36.4%)」などの体制整備に関わる 問題も多く、各地域における法人後見の安全で継続的な受任体制の整備につい て、行政(市町村や都道府県)においての理解とバックアップが不可欠と言える。 ・なお、町村部での法人後見の受け皿づくりとして、県社協が受任して町村社協に 日常的な支援を委託するスキームがモデル事業として実施されているが、後見 報酬だけでは必要な経費を賄うことは難しく、社協による法人後見をさらに広げ ていこうとするのであれば、財源確保を含めた体制構築が必要である。

≪市民後見人の養成について≫→ ・社協の取組状況調査では、328 か所で社協が実施しており、養成延べ受講者数は合計 22,382 人で、養成後に実際に受任した市 民後見人は 2,905 人となっている。 ・しかし、市民後見人養成の実施個所数があまり増えていない(令和 3 年度 309 か 所→令和 5 年度 328 か所)のが現状である。 ・ その理由で最も多いのは「養成した後の支援を行うバックアップ体制が確保でき ないため」(37.2%)となっている。都道府県による市民後見人養成研修も行われ ているが、活動のバックアップ体制も含めて環境を整備することが必要である。


◎司法書士・リーガルサポートから見た第2期計画の今後の課題(意見) 〔令和6年10月11日(金)第17回成年後見制度利用促進専門家会議提出〕 司法書士 西川浩之
1 「権利擁護支援チームの形成支援」機能の充実が求められている
(1)後見人候補者の推薦依頼に対応し切れない現状
→第2期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第2期計画」)の折返し地点を経過した現在における司法書士界(リーガルサポート)の最大の課題は、 家庭裁判所、中核機関(成年後見支援センター)・行政等からの後見人候補者の 推薦依頼に応じられない状況が広がっていることへの対応である。地域によっ て程度の差はあるが、概ね全国どの地域においても後見人候補者の推薦依頼に 十分に応じられない状況になっており、この傾向は、第1期成年後見制度利用促 進基本計画(以下「第1期計画」)の計画期間中に権利擁護支援の地域 連携ネットワークと中核機関の機能の整備に先進的に取り組み、真っ先に広報・ 相談機能(第2期計画における権利擁護の相談支援機能)を備え、次いで受任者 調整の仕組みの構築にも積極的に取り組んできた地域において顕著である。
(2)中核機関の機能の整備が進みつつある地域において特に対応が困難に→このような地域では、中核機関の機能の整備が進むことによって、いわば事案 の掘り起こしが進み、これまでケアマネジャー、地域包括支援センター、相談支 援事業所、退院支援に関わっているソーシャルワーカー等の支援者の下で滞留 していた権利擁護支援を必要とする事案が、中核機関の事例検討会議、支援方針 検討会議等の場で議論されるようになり、権利擁護支援の必要性が確認され、受 任者調整会議において協議されるようになったことにより、後見人候補者の推 薦が求められる事案として顕在化したものである。
こういった事案のうち、特に対応困難事案については、現場で本人を支えてき たケアマネジャー等の支援者がこれまでの支援に行き詰まりを感じて後見人に よる支援を求め、その結果、受任者調整会議において、包括的な代理権のある後 見人でなければ支援が難しい事案であると整理され、「成年後見制度の利用が相 当」「課題は契約等の法的な対応(あるいは債務整理)」「後見人候補者は法律専 門職が適当」との判断がされ、弁護士会やリーガルサポートに推薦依頼がされて いるものと思われる。
(3)後見人(成年後見制度)だけで全ての課題を解決できるわけではない→しかし、現在、専門職団体が推薦依頼を受けている事案の多くは、当該専門職 が有している専門性を発揮するだけでは、本人の支援が十分にできないケース が少なくない。
(ア)虐待対応の事例
→ 例えば、虐待事案において、緊急対応後にやむを得ない事由による措置を契約 に切り替えることを目的に、虐待対応の具体的な方針の検討がされる前に(場合 によっては市町村による虐待の有無の判断さえされていない段階で)、受任者調 整会議において、成年後見制度の利用が相当と判断され、法律専門職を後見人候 補者とすること(法律専門職団体に候補者の推薦依頼をすること)が決定される ことがある。 しかし、虐待対応は、後見人1人でできるものではないし、後見人1人ですべ きことでもない。専門職が、虐待を受けている被後見人の後見人(代理人)とな っても、同時に養護者の支援を担当する者がいなければ、虐待対応の終結やその 先の再統合は見通せない。 多くの虐待事案では、8050問題、ダブルケア等の複合的な課題が背後にあ るため、そういった課題を抱えている家庭全体を受け止め、多機関が連携・協働して、課題の解決と同時に継続的に関わる伴走型支援を検討する必要があり、そ のためには既存の地域資源を最大限に活用することが求められる。また、それ以 前に、虐待を受けていた被後見人は、虐待対応(分離)後も介護等のサービスを 継続して利用する必要があるところ、虐待対応(分離)によって被後見人の状態 が日に日に改善され変化していくようなときには、その時々の被後見人の状態 に応じて被後見人が利用する介護等のサービスの変更等を検討しなければなら ないが、そのような対応は、後見事務の経験の少ない法律専門職にとっては、必 ずしも容易にできるものではない。 しかし、中核機関の支援方針検討会議、受任者調整会議等において、成年後見 制度を利用することと法律専門職を後見人等候補者とすることが決まると、そ ういった対応の全てが、選任された法律専門職の後見人に委ねられてしまうこ とが、各地で生じている。
(イ)退院・地域生活への移行の事例→本人が急性期の治療を終え、又は精神疾患等の寛解により、病院を退院して地 域生活に移行することを検討する事案においても、「介護(入所・入居)契約が 必要となるから」「アパート等の賃貸借契約の支援が必要だから」との理由で「成 年後見制度の利用が相当」「後見人候補者は法律専門職が適当」との判断がされ ることがある。 このような事案においてよく見られるのは、高齢者等終身サポート事業者に つないで終わりにしてしまうという対応であり、それと比べれば、成年後見制度 につなげる方向性は、本人の権利擁護支援(特に意思決定支援)の観点からは望 ましい。しかし、ここで支援者に求められていることも、課題の解決(契約の締 結といった形式的な事務)だけでない、継続的に関わる伴走型支援であり、本人 の地域生活への移行を支援するために、介護保険や障害福祉の様々なサービス のほか、制度外のインフォーマルなサービスも含め、地域の社会資源をフルに活用することであるところ、経験豊富な法律専門職でない限り、単独ではそのよう な支援ができない(後見人として権限は付与されても、実質的な支援のコーディ ネートができるわけではない)。 そのため、このような事案では、後見人候補者を決める(専門職団体に推薦依 頼をする)前に(遅くとも同時に)、本人が高齢者であれば介護保険サービス、 障害者であれば障害福祉サービスの利用のコーディネートをする担当者を配置 しておいていただく必要があるし、できれば、退院後の生活を見通して必要とな る各種サービス(インフォーマルなものも含む)の依頼先等との多機関連携・協 働の仕組みを、あらかじめ構築しておいていただくことが望まれる。

(4)「権利擁護支援チームの形成支援」機能の充実のための方策が必要→第1期計画では「広報機能」「相談機能」「成年後見制度利用促進機能(受任者 調整等の支援、担い手の育成・支援、関連制度からのスムーズな移行)」及び「後 見人支援機能」の4つの機能として位置付けていた権利擁護支援の地域連携ネ ットワークと中核機関の機能について、第2期計画では、「本人中心の権利擁護支援チームを支えるための機能」と「その機能を強化するための地域の体制づく りに関する取組」に大別し、併せて、地域連携ネットワークが担う機能には、福祉・行政・法律専門職などの連携による「支援」機能と、家庭裁判所による成年後見制度の「運用・監督」機能があることを、権利擁護支援を行う3つの場面に 対応した形で整理した。 司法書士・リーガルサポートから見た第2期計画の課題は、上記3つの場面中の2つ目、すなわち「成年後見制度の利用の開始までの場面(申立ての準備から 後見人等の選任まで)」における「支援」機能(本人中心の権利擁護支援チームを支えるための機能)が、現状では、「受任者調整」の名の下で、多くの場合、「後見人候補者の選定」にとどまっていることが多いことが原因となって生じている状況であるように思われる。 「受任(者)調整」で求められていることは、本人が抱えている課題を分析し、 これを後見人の交代も見据えて短期的なもの・中長期的なものに分類した上で、 さらに、「成年後見制度の利用(後見人による代理権の行使)によって解決できるもの」と「成年後見制度の利用だけでは解決できないもの」とに分けて整理し、「成年後見制度の利用によって解決できる課題」への対応をするのに適任の後見人候補者を選定するとともに、「成年後見制度の利用だけでは解決できない課題」への対応の方針や具体的な対応方法を含め、後見開始後のチーム支援の方向 性・方針を検討し、後見人にとっての連携先、後見人以外の支援者の適正配置を 考えて、「権利擁護支援チームの形成支援」さらには「自立支援」の調整をすることである。 第2期計画の計画期間の後半においては、「権利擁護支援チームの形成支援」さらには「権利擁護支援チームの自立支援」機能を充実させるための施策が強く 求められる。

2 「地域支援事業及び地域生活支援事業についての必要な見直し を含めた対応の検討」と「報酬助成制度の在り方の検討」を早期に 行う必要性
(1)報酬助成制度の在り方に関する検討等に関する第2期計画の記載
→低所得の高齢者・障害者に対して申立費用や報酬を助成する成年後見制度利 用支援事業に関して、第2期計画は、「U 成年後見制度の利用促進に向けて総合 的かつ計画的に講ずべき施策」「2 尊厳のある本人らしい生活を継続するため の成年後見制度の運用改善等」「(2)適切な後見人等の選任・交代の推進等」「B 適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等」の項目において、「ア 適切な報酬の算定に向けた検討」に続けて「イ 成年後見制度利用支援事業の推進 等」(16ページ)及び「ウ 成年後見制度の見直しに向けた検討に併せた検討等」 (17ページ)という項目を掲げて記載している。 このうち、「イ 成年後見制度利用支援事業の推進等」においては、「国は、(中 略)市町村の成年後見制度利用支援事業の取扱いの実態把握に努め、(中略)適 切な報酬の算定に向けた検討と併せて、市町村が行う同事業に国が助成を行 う地域支援事業及び地域生活支援事業についても、必要な見直しを含めた 対応を早期に検討する。」と記載しており(16ページ 下から2行目〜17ペ ージ 5行目)、また、「ウ 成年後見制度の見直しに向けた検討に併せた検討等」 においては、「国は、後見人等の報酬の決定についてできるだけ予測可能性の高 い制度にすべきなどといった指摘があること等を踏まえ、成年後見制度の見直 しに向けた検討の際、報酬のあり方についても検討を行う。関係省庁は、成年 後見制度を必要とする人が適切に制度を利用できるよう、報酬のあり方の 検討と併せて、報酬助成等の関連する制度のあり方について検討する。」 と記載している(17ページ 12行目〜17行目)。

(2)現状の確認→このうち、ウの前段部分は、法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第4回 会議(令和6年7月2日開催)において議論がされているが、イの「市町村が行う成年後見制度利用支援事業に国が助成を行う地域支援事業及び地域生活支援 事業についての必要な見直しを含めた対応の早期の検討」、そして、ウの後段の 「報酬助成等の関連する制度のあり方についての検討」は、この2年半の期間、 何ら進展がない(検討の着手さえされていない)ように思われる。

(3)決して「時期尚早」ではない→第2期計画では、これらの検討について、「(アの)『適切な報酬の算定に向け た検討と併せて、』(市町村が行う成年後見制度利用支援事業に国が助成を行う 地域支援事業及び地域生活支援事業についても、必要な見直しを含めた対応を 早期に)検討する。」、「(ウの前段の)『報酬のあり方の検討と併せて、』(報酬助 成等の関連する制度のあり方について)検討する。」と記載しているところ、(ア の)裁判所による『適切な報酬の算定に向けた検討』は、既に終わり、現在、新 しい仕組みの実現に向けて調整中という段階であり、(ウの前段の)法制審議会 における『成年後見制度の見直しに向けた検討の際に行われる報酬のあり方に ついての検討』も、今まさに進められているところである。 これらの検討と併せて行う(検討する)とされている「地域支援事業及び地域 生活支援事業についての必要な見直しを含めた対応の早期の検討」と「報酬助成 制度の在り方の検討」が、第2期計画の折返し地点を経過した現時点で全く手つ かずの状態にとどまっているのであれば、由々しき事態だと言わざるを得ない。

(4)適切な報酬が確保されることの重要性→報酬助成制度の在り方を含む後見人の報酬の在り方は、適切な後見人の選任・ 交代の在り方にも影響を及ぼす事項である。また、利用者から見れば、成年後見 制度(による保護・支援)の必要性の考慮にも影響を与える要素であり、そして、 後見人候補者を推薦する専門職団体(事件を受託する専門職後見人)から見れば、 報酬助成制度の在り方が改善されれば、上記1で指摘したような、後見人候補者の推薦依頼に応じられない状況の改善にもつながることが期待できる。 そのよう観点からも、至急、「地域支援事業及び地域生活支援事業についての 必要な見直しを含めた対応の早期の検討」と「報酬助成制度の在り方の検討」を行う場を設けて、報酬助成制度の見直し・在り方の検討について議論を進める必 要がある。

3 成年後見制度利用支援事業の適切な実施の推進に向けた実態の 把握の在り方について
(1)成年後見制度利用支援事業の適切な実施の推進に関する第2期計画の 記載
→成年後見制度利用支援事業の適切な実施の推進に関して、第2期計画(16〜 17ページ)には次のような記述がある。⇒・ 低所得の高齢者・障害者に対して申立費用や報酬を助成する成年後見制度利 用支援事業については、市町村により実施状況が異なり、後見人等が報酬を受 け取ることができない事案が相当数あるとの指摘がされている。 ・ そのため、全国どの地域においても成年後見制度を必要とする人が制度を利 用できるよう、市町村には、同事業の対象として、広く低所得者を含めること や、市町村長申立て以外の本人や親族による申立ての場合の申立費用及び報 酬並びに後見監督人等が選任される場合の報酬も含めることなど、同事業の 実施内容を早期に検討することが期待される。 ・ 国は、上記の観点から、市町村の成年後見制度利用支援事業の取扱いの実態 把握に努め、同事業を全国で適切に実施するために参考となる留意点を示す など、全国的に同事業が適切に実施される方策を早期に検討する。

(2)統計データと実態との乖離→この点に関して、資料1−1(31ページ)に示されている統計データによれ ば、少しずつではあるが、全国の自治体における成年後見制度利用支援事業の形 式的な実施率(実施要綱の整備率)が増加しており、各自治体における成年後見 制度利用支援事業の実施内容についても、徐々にではあるが改善されている(申立人別・類型別・資力別の実施状況を見ると、市町村長申立て、後見類型、生活 保護の各事案に限定することなく実施されるようになっており、助成対象が拡大されている)ようである。 しかし、現場で後見事務を行っている専門職の立場から見れば、以下に記載す るとおり、成年後見制度利用支援事業(報酬助成)は、依然として使いづらい部 分が少なくなく、第2期計画開始後の2年半の期間中も、その使いづらさはほと んど改善されていない(むしろ使いづらさが増している)というのが実感である。
【成年後見制度利用支援事業が使いづらいままとなっている理由・原因】→ア 実施要綱を改正(変更)して助成対象を拡大する際に、あわせて助成金額(上限)を引き下げ、更には助成要件(保有資産に関する要件)を絞り込む変更を行った自治体が少なからずあり、助成を必要とする案件の多くを占める市町村長申立て・後見類型の案件では、むしろ従前よりも実際の助成額が減少して いる。 イ 実施要綱等上、助成の要件(可否)及び助成される金額に関する記載が必ずしも明瞭ではないため、実施要綱を読んでも、更には自治体の担当者に個別に照会しても、実際に助成の対象となるかどうか、また、どの程度の助成を受けられるのかが、分からない(後見事務の開始時点で分からないのはやむを得ないとしても、報酬付与の審判の申立てをする時点でも正確には分からないと 自治体の担当者に言われてしまう)ことが少なくない。 ウ 家庭裁判所からは、報酬付与の審判の申立てに当たって、報酬助成を受けられる場合には、その旨を上申するよう言われているが、上記イのような実情が あるため、実際にはその旨の上申ができないことがあり、その結果、家庭裁判所も報酬助成を受けられることを前提とした報酬付与の審判をしにくい(事実上できない)ため、結局、審判によって付与される報酬額が、後見人が実際に行った事務に見合ったものとは言えない、著しく低額な金額にとどまってしまう。 なお、上記1に記載したとおり、現在、リーガルサポートでは、家庭裁判所、中核機関・行政等からの後見人候補者の推薦依頼に応じ切れない状況が広がっているが、実際に最後の最後まで候補者を推薦する(担い手を確保する)ことができない事案の多くは、市町村の成年後見制度利用支援事業が使えない(同事業 が制度化されていない、又は制度化はされているが、実質的に使えないケースが多い、若しくは働きに見合った報酬が助成されない市町村の)事案である。

(3)実態の把握に資する調査を→上記(2)記載のとおり、現場の感覚としては、成年後見制度利用支援事業は、 依然として使いづらく、必ずしも十分な役割を果たしていない。 成年後見制度利用支援事業が、真の意味で「全国どの地域においても成年後見制度を必要とする人が制度を利用できるようにする」という目的を果たすもの となるためには、上記(2)に記載したような使いづらさを解消するための施策を重ねる必要があり、そのためには、実態把握のための調査の方法にも工夫が求められるのではないか。


◎第17回成年後見制度利用促進専門家会議への意見書
公益社団法人 日本社会福祉士会  理事 星野 美子
3月22日に開催された第15回成年後見制度利用促進専門家会議においても、意見書 を提出させていただいておりますが、その趣旨に沿い、今回のテーマについて改めて意見と して提出いたします。
1.研修等の効果に関する検証
→これまでの5年間実施された成年後見制度利用促進体制整備研修等において、研修効果 についての検証を行う必要があると考えます。すなわち、受講者の地域分布や、受講後地域 でどのように還元されているか、受講が進まない地域に対して国としてどのような取組み を考えているか、といったことを把握し、未受講・受講者数が増加しない地域への受講促進 の方策を行う必要があると考えます。 これまでの取組状況の検証のうえ、今後の対応を検討する必要があると考えます。

2.中核機関の役割・機能に関する検討体制→厚生労働省の資料にある、イメージ@、Aは、地域共生社会の在り方検討会議でも提示さ れたものですが、このようなイメージで、中核機関の役割・位置付けを検討することについては、意見を申し上げます。
イメージ@については、ケース A,B.C として3つのパターンが例示されていますが、身寄 りの有無や、社会資源として想定されているのが地域住民によるゆるやかな見守りやこれ までのモデル事業で活躍が期待される市民後見人の担い手等の姿がみえず、日常生活自立 支援事業オンリーのようにみえてしまっていること、また、後見制度の継続の必要性につい て法的課題の有無のみで判断されるような誤解を招く図になっていると感じます。
イメージAについても、「必要となる判断能力の程度」を個別の対象者の状況や支援状況 ではなく、生じている課題によって求められる判断能力の程度の高低を判断するような図 に見えます。令和2年に本会が厚生労働省の調査研究事業として受託した『日常生活自立支 援事業等関連諸制度と成年後見制度との連携の在り方等についての調査研究事業』におい ては、生じている課題だけではなく、本人の状況(判断能力についての課題、支援者の有無 や関わり方、社会資源の活用状況など)を丁寧にアセスメントして、対応方法を検討するチ ェックシートを開発しております。その流れから考えますと、違和感を覚えます。
イメージを共有しながら協議検討することは重要ではありますが、そもそもの情報が異 なっていることで議論が進んでいくことについて、これまで専門家会議で積み上げてきたものが、地域共生社会の在り方検討会議で継承されるのか、危惧を感じます。それぞれの会 議体の独立性は理解しておりますが、中核機関の役割機能については大変重要なテーマで あることから、本専門家会議と地域共生社会の在り方検討会議、法制審議会も含めた合同プ ロジェクトのような形で集中的に協議検討する必要もあるのではないでしょうか。法制審 議会では障害者権利条約を踏まえた意思決定支援の在り方、代理代行から支援へどのよう に法制度が変わることができるのかといった議論が進んでいると理解しています。成年後 見制度が他者決定のための、本人ができないから第三者に決めてもらうための制度である という誤った認識に基づく議論が進まないよう強く希望します。権利擁護には保護的対応 だけではなく、本人が主体的に権利行使できることへ向けた支援も当然に含まれます。さら にいえば、その支援自体が本人への大きな介入になっているのだということも大事な視点だと考えます。 繰り返しの意見になりますが、専門家会議におけるワーキングの設置で意見や考え方をとりまとめ、地域共生社会の在り方検討会議にて取り上げていただくなどの、現状で可能で はないかと思われる工夫を検討していただけますようお願いいたします。

3.担い手の確保・育成等の推進について→ これまでの議論のなかでも、市民の活躍は、後見人の担い手としてだけではなく、地域で の幅広い権利擁護支援への関与が想定されているところです。「市民後見人」とひとくくり に表現することが、こういった理解の促進を阻害していないでしょうか。 法人後見への取組については、取組を推進する施策だけではなく、法人後見を実施する機 関がその運営を安定的に継続できる仕組みや、実務についてのチェックを受けることがで きる専門的機関を都道府県単位で設ける取り組みも同時に進めることを提案します。この ような専門機関に、これまで後見業務に携わってきた専門職(法律・福祉)が助言やサポー トができる体制が求められます。また、法人後見事業に対する助成事業は、社会福祉協議会 以外の団体に対しても、こういったチェック・サポート機関を設けることで、広く対象とす ることを検討すべきと考えます。法人後見の選任について、家庭裁判所の判断のみに委ねる のではなく、地域連携の考え方からも地域で実践を把握し、サポートや連携ネットワークに 関与する団体が選任されるという流れも必要と考えます。

4.成年後見制度利用支援事業の見直し→「成年後見制度利用支援事業の推進」は第二期成年後見制度利用促進基本計画で優先して 取り組む事項の一つとして KPI が設定され、要綱等の見直しの取組状況には一定の進展が見られます。しかし、市町村による実施状況のばらつきは未だ解消されず、引き続き詳細な 実態把握が必要です。第二期計画では「国が助成を行う地域支援事業及び地域生活支援事業 についても、必要な見直しを含めた対応を早期に検討する」とあり(第二期計画 16〜17 頁)、 計画期間後半では、これに取り組む必要があります。
成年後見制度利用支援事業は、高齢者関係は介護保険の地域支援事業の任意事業、障害者 関係は障害者総合支援法の地域生活支援事業の必須事業に位置づけられています。両事業 とも、市町村が地域の実状に応じて実施するものとされているため、事業自体が市町村によ るばらつきが生じる建付けになっています。また、高齢者と障害者が別々の事業であるため、 事業の全体像が分かりにくく、縦割りの弊害が市町村にも生じていると思われます。 本会は第 15 回成年後見制度利用促進専門家会議(2024 年 3 月 22 日)で、「市町村の取組 みに委ねるような対応は見直すべきであり、国が成年後見制度利用支援事業のあるべき水 準を示し、市町村が実施できるような財源の確保をすべきである」(参考資料9、47〜48 頁) と意見を提出しました。成年後見制度を利用する権利を全国どこでも等しく保障するとい う視点に立ち、住んでいる市町村によって支援内容に差が生じることがないよう、成年後見 制度利用支援事業の見直しに取り組むことを強く求めます。

5.福祉・行政等と家庭裁判所の連携について→今回、最高裁判所から提出された資料では、昨年度、地域連携ネットワーキンググループで実施された試行事業についての振り返り、検証がなされています。件数は決して多くはなかったものの、試行された連絡シートを活用することで、福祉・行政等と家庭裁判所、専門 職団体が相互理解を深めるための一助となり、それぞれの立場・役割を踏まえた対応を行っていくことが課題の解決に非常に役立つ、という整理がなされています。 本会としても、このような取組を既に実施している地域もあることを把握しており、単なる試行事業として終わることなく、全国的にこの取組をそれぞれの地域実態に合わせて進 めていくことが必要であると考えます。 以上

次回は新たに「第7回 子ども・子育て支援等分科会」からです。

第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年11月29日(Fri)]
第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年10月11日)
議事 中間検証に係る意見交換(地域連携ネットワークづくり、適切な後見人等の選任・交代の推進等、担い手の確保・育成等の推進、市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進、権利擁護支援の行政計画等の策定の推進、 都道府県の機能強化)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43748.html
◎参考資料5 重要業績評価指標(KPI)の進捗状況について
○担い手の確保・育成等の推進
→担い手の育成方針の策定6/47都道府県、 市民後見人養成研修の実施15/47都道府県、 法人後見実施のための研修の実施18/47都道府県。
○市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度 利用支援事業の推進→市町村長申立てに関する研修の実施42/47都道府県、成年後見制度利用支援事業の要綱等の見直し:高齢者関係 申立費用741/1,741市町村、報酬836/1,741市町村。障害者関係 申立費用726/ 1,741市町村、報酬 821/1,741市町村。
○権利擁護支援の行政計画等の策定推進→市町村による計画策定・必要な見直し 1,210 / 1,741市町村。
○都道府県の機能強化→都道府県による協議会設置 35 / 47都道府県。
○適切な後見人等の選任・交代の推進等→KPI 進捗状況(今後予定)
○地域連携ネットワークづくり→制度や相談窓口の周知1,575/1,741市町村、 中核機関の整備 1,070 / 1,741市町村。


◎参考資料6 成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査結果(概要版)
令和5年度成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査結果(概要版)
1.調査概要
→全国の自治体(1,741 市区町村、47 都道府県)を対象に、第二期成年後見制度利用 促進基本計画を踏まえた施策の取組状況について調査を行った。
2.調査結果→調査時点:令和5年4月1日時点(一部設問を除く)
※ 令和3年度までは、毎年 10 月 1 日時点
令和6年3月  厚生労働省  社会・援護局 地域福祉課 成年後見制度利用促進室
社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 地域生活・発達障害者支援室
老健局 認知症施策・地域介護推進課

○以下項目ごとに取組状況調査結果になります。↓
≪市町村調査≫↓

(1)中核機関について
@ 中核機関の整備状況
A中核機関(1,070自治体)について
ア.運営主体
イ.中核機関の整備圏域
ウ.権利擁護の相談支援機能に関する取組
エ.権利擁護支援チーム形成支援機能に関する取組
オ.権利擁護支援チームの自立支援機能に関する取組
カ.地域連携ネットワークの強化に係る取組
B中核機関未整備自治体について
ア.関係団体等との調整状況
イ.中核機関整備の方向性(設置区域)
ウ.中核機関の整備に向けた主な課題
(2)市町村計画に関する取組について
@市町村計画の策定状況
A市町村計画の見直しの実施有無
(3)協議会等について
@協議会等の設置状況、設置予定時期
A協議会等の設置圏域
(4)その他の取組
@任意後見制度の周知・広報の実施状況
A成年後見制度に関する相談窓口の有無
B成年後見制度や相談窓口の周知状況
C市民後見人の養成及び活動状況
D市町村長申立ての実施状況
E成年後見制度の利用に係る申立費用及び報酬の助成の実施状況
ア.助成制度の有無→ ○高齢者関係 ○障害者関係
イ.申立費用及び報酬助成制度の要綱等の整備状況・見直しの実施有無↓
○高齢者関係 ○障害者関係
ウ.申立費用及び報酬助成制度の対象→ ○高齢者関係 ○障害者関係
エ.申立費用及び報酬助成件数 ※令和4年度の実績→○高齢者関係 ○障害者関係

≪都道府県調査≫↓
(1)都道府県による担い手の確保・育成について
@都道府県による担い手の育成方針の策定状況
A都道府県における市民後見人養成研修の実施状況
B都道府県における法人後見の担い手養成研修の実施状況
(2)都道府県による取組方針について
@都道府県による取組方針の策定状況
A都道府県による取組方針の策定方法
(3)市町村支援に係る取組について
@研修の実施状況 ↓
ア.市町村長申立てに関する研修の実施状況
イ.成年後見制度や権利擁護支援の必要性に関する研修の実施状況
ウ.意思決定支援研修の実施状況
A都道府県単位の協議会の設置状況
B市町村等への情報提供や相談対応の実施状況(都道府県の機能強化)↓
ア.管内市町村からの相談に適切に対応するための相談窓口の整備状況
イ.体制整備アドバイザーの配置状況
ウ.権利擁護支援総合アドバイザーの配置状況
(4)都道府県別 KPI 達成状況


◎参考資料7 第二期計画中間検証の準備に関するワーキング・グループの開催実績
【第二期計画における工程管理の考え方】→ ○ 各施策について、工程表に基づき推進するとともに、施策の性質に応じて設定したKPIの達成に向けて取り組む。 ○ 専門家会議は、進捗が特に重要な施策について、ワーキング・グループを設置し、定期的に検討状況を検証する。 ○ 専門家会議は、第二期計画の中間年度である令和6年度に、中間検証として、各施策の進捗状況を踏まえ、個別の課題の整理・検討を行う。⇒WG名@〜B、担当主査、論点、令和4・5年度 開催実績あり。  参照。


◎参考資料8 成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ結果概要
○主査 新井誠 「適切な報酬算定に向けた検討と報酬助成の推進等に関すること」
1 専門職団体による報告
ア 日弁連
→・付加報酬額は全体に低額。法テラスの代理援助基準をかなり下回っていたり、業務負担が適切に反映されていない実態がある。専門性に配慮した付加報酬額の算定が求められる。本人に資力がなく、付加報酬を請求できない案件も相当数あり、本人の権利をしっかり擁護していくためには、後見人の善意に頼るのではなく制度として持続可能となる対応が必要。 ・無報酬案件を受任している弁護士後見人も相当数おり、成年後見制度利用支援事業(報酬助成)の拡充、助成対象要件、助成額等の運用改善、地域間格差の是正が必須。
イ 成年後見センター・リーガルサポート→・後見人等の報酬額について、ボリュームゾーンは年額で 20 万円台半ば。地域ごとのばらつきや 一定の無報酬案件も見られる。 ・報酬支払いに困難がある案件は、中核機関は受任者調整がしにくく、裁判所は専門職団体から後見人候補者の推薦を受けにくい。適切な報酬助成の実施こそが成年後見制度の利用促進につながる。
ウ 日本社会福祉士会→・本人の資産状況は流動資産額 100 万円以下が4割強であり、報
酬受領困難ケースが一定数あることが推測される。報酬を全額または一部未受領の件数は 11.4%。 ・報酬助成を受けている件数は 14.7%だが、地域格差が広がっており、助成額を報酬付与決定額の 一部とする自治体が多い。成年後見制度利用支援事業は、全国で水準統一が必要。 ・社会福祉士が関与する事案は身上保護に関わるものが多く、一時的な法律行為のみではなく財産 を積極的に活用する場合も多いため、付加報酬の評価が課題。

2 適切な報酬算定に向けた検討
(1) 最高裁判所による報告
→ ・全国の家裁における報酬額のシミュレーションや検討過程で出た課題を踏まえ、現実に運用する 観点からの今後の方向性は、従前どおり資産額が基本報酬の考慮要素になることを前提に、下記@ 〜Cのとおりとするものであり、令和7年4月からの運用開始を予定。⇒@身上保護や意思決定支援に関する事情も適切に把握できる報告書式とする。 A個々の法律行為等に着目して積算しないことを前提に、プロセス全体を見て身上保護を評価する。 B資産額が非常に高額であるために報酬額も高額になる事案については、事務負担の程度等事案全体を見て評価することで、従前よりも減額になることも考えられる。財産管理の付加報酬については、専門性を適切に評価するという観点から、法テラスの代理援助立替基準を参考にする。 C報酬付与額の平均などの過去の実績を示すことで、できる限り予測可能性の確保に努める。
(2) 委員の主な意見→・「意思決定支援を踏まえた後見事務ガイドライン」の趣旨がどのように踏まえられるのか。意思決定支援研修を受けたか、意思決定支援のプロセスを踏んだか確認できる報告書にしてはどうか(水島、久保)。 ・家裁で報酬算定に携わる方々は、意思決定支援研修を受講してほしい(水島、住田)。 ・チーム支援の中での後見人の働きを評価する場合、周りの支援者によって困難さが変わることが あるため、どのように評価するかは今後の課題(西川)。 ・家裁だけで身上保護事務の実態をつかんで評価することは難しく、中核機関や支援チームの意見を聴取してはどうか(星野、住田、水島)。 ・助成制度の実施主体である市町村の意見も聞いてほしい(太田)。 ・報酬額について、予測可能性の確保は難しいとしても、一定想定でき、成年後見制度の利用判断 につながるようなことは示してほしい(久保、花俣)。

3 報酬助成の推進等
(1) 厚生労働省による報告
→・市町村長申立ての適切な実施及び成年後見制度利用支援事業の推進に向けた留意事項を整理し、 令和5年5月に事務連絡を発出した。この中で、成年後見制度利用支援事業の適切な実施のための必要な見直しとして、以下の点について検討するよう依頼したほか、好事例を共有し、成年後見制 度利用支援事業の周知・広報、都道府県による広域的見地からの市町村支援を依頼した。⇒○ 未実施市町村においては、当該事業を実施すること ○ 市町村長申立の場合に限らず、本人や親族からの申立等も対象とすること ○ 費用の補助がなければ利用が困難な方を対象としている趣旨を踏まえ、広く低所得者を対 象とするような要件の設定とすること ○ 後見人以外の、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人についても助成対 象とすること
(2) 法務省による報告→・法律専門職である後見人が、他の弁護士等に民事裁判等手続を依頼した場合に代理援助の利用を認めるか否かについて、現在は、医療過誤事件等、特に専門性が高い分野に属する事件に限定して認めているところ、それ以外にも、複雑で専門的であり、他の弁護士等に依頼したほうが被後見人 の権利擁護に資するようなケースがあるかもしれないため、資力基準等の要件を満たすことを前提として、他の弁護士等に依頼して代理援助を利用する必要性があり、民事法律扶助の趣旨を没却し ない範囲でその利用が許容される場合とはどのような場合かということ等について、法テラス、日弁連、最高裁と打合せを継続している。 ・後見人報酬と代理援助報酬の均衡については、財産管理の付加報酬について代理援助立替基準を 参考にするとの最高裁報告も踏まえつつ、被後見人に不当な負担が生じないよう検討を進める。
(3) 委員の主な意見(厚生労働省報告について)→・要綱を見てどのぐらい助成が得られるかを分かりやすく示してほしい(西川)。 ・資産要件について、後見人等が本人以外の世帯全員の資産まで把握することは困難(住田)。 ・全国どこにいても利用できる制度とするためには、自治体の努力だけではなく、国の仕組みやル ール、報酬・報酬助成の一層の検討を今後も進めてほしい(中村、水島)。 ・市町村格差について、資力がないために成年後見制度が利用できないことは生活保障の規範内容に関わる問題であって、財源確保等の課題もあり助成困難と単純に言い切るのは非常に軽い(菊池、水島)。 ・権利保障として、地域支援事業内の任意事業の位置付けでよいのか、実行補助率の低い地域生活 支援事業の枠組みでよいのか(太田、青木)。 (法務省報告について)→・司法による権利擁護支援を身近なものにする観点から、裁判を受ける権利も検討に加え、民事法 律扶助の枠組みや運用を柔軟にし財源を拡充して法的課題に関する付加報酬に対応してほしい(太田)。


◎参考資料9 地域連携ネットワークワーキング・グループ結果概要
○主査:上山泰 「対応困難事案に関すること」(後見人等に関する苦情等への適切な対応) 1 関係機関間連携フロー案(別添参照)の試行結果や気付き
(1) 市町村・中核機関の立場から(厚生労働省)
→・関係機関間の連携が機能して、専門職団体や専門職の関与により、後見人の交代に至った事例が あった。 ・家庭裁判所への「連絡シート」について、利用に至らないケースもあるが、家庭裁判所への連絡 がし易くなったほか、連絡項目が明確にされたことにより中核機関が確認すべき項目が明らかにな り、さらに、様式化されたことにより確実な情報伝達・共有につながった。 ・ケース会議への参集を求めたり、必要に応じて支援体制をモニタリングしたり、家庭裁判所との 情報共有など、一定の役割を担い得る中核機関もあると感じるが、人員配置や法的権限に乏しく、 個別の課題解決に向けた取組には限界がある。 ・後見人の裁量に関する苦情について、例えば「毎月連絡すべきか」などは中核機関として判断す ることは難しい。また、苦情申立人側と後見人側で言い分が物別れに終わった場合や相容れない場 合の解決も難しい。 ・専門職後見人(法律専門職、福祉専門職)の所属や立場によって認識に差がある。 ・令和6年度予算案には、中核機関のコーディネート機能強化の一つとして、対応困難事案の支援 円滑化を盛り込んだ。
(2) 専門職の立場から
ア 青木委員(弁護士)
→・家庭裁判所による積極的な対応にまで至った事例はなく、家庭裁判所との連携は実証的な検討まで至らなかったが、中核機関と専門職団体が連携した対応の共通認識を持つことにつながった。 ・専門職団体の対応の仕組みを含め、それぞれの対応体制を相互に把握・理解する機会となったほか、過去の対応事案を振り返り、新たな対応スキーム作りの取組につながった地域もあった。 ・まずは、市町村・中核機関、家庭裁判所、専門職団体の体制と実情の共有化が重要。 ・中核機関は、チーム自立支援機能として、規模に応じて、苦情等を受ける窓口の一つとして対応 体制や周知方法を順次整え、事実確認や評価、連携等の対応スキームを専門職団体と一緒に考えていくことが求められるほか、予防策として、受任調整や選任後のフォローも重要。 ・専門職団体は、中核機関から期待される対応を担える受け皿を整えることが求められる。 ・家庭裁判所は、中核機関と専門職団体による対応では十分でないときに、監督機関として果たせる役割や対応の可能性を、具体的事案を通じて、積極的かつ柔軟に検討することが求められる。
イ 西川委員(司法書士)→・後見人の裁量の範囲内の行為や制度の理解不足に起因する苦情を裁判所に情報提供しても、裁判所の機能には限界があることを中核機関としても理解することが必要。 ・試行では中核機関が苦情のポイントを整理し、それが機能していた。中核機関ができること・で きないことを明確にしてもらうことが大切。中核機関が、チーム自立支援機能として、支援チーム内での話合いを促すことにより改善する事案も相当程度ある。中核機関には、苦情解決ではなく話合いの場を提供することを求めたい。 ・中核機関は、公正中立の立場なのか本人に寄り添う立場なのかの整理をした上で、他機関との連携や情報共有のためには、その基本的な機能・役割権限を法律上に位置付けておくことが必要。 ・全国一律に連携フローに基づく対応を求めることは難しい。関係機関の立場や役割に対する相互 理解を地域ごとに深めていくことが必要。
ウ 星野委員(社会福祉士)→・中核機関の状況によって、苦情等の捉え方が異なる。中核機関が必要と考える対応と専門職団体が会員支援の一環として行える範囲は、重なる場合もあるが、社会福祉の専門職への期待や虐待対応など、相互理解が困難な場合もあった。 ・チーム支援が機能していないものも苦情等と捉え、放置すると苦情になる不適切な状況を早い段 階から是正する対応が求められる。 ・中核機関とは、ひとつのセンターの設置を求めているのではない。法的位置づけがない中では、 身上保護に関する支援への苦情等の解決に向けて関係者と連携した踏み込んだ対応は難しい。地域連携ネットワークを通じて地域全体でバックアップする体制も求められる。 ・家庭裁判所は、解任事由が発生するのを待つのではなく、情報を受け取り、地域で行われる連続・ 継続した支援に関与することが重要。 ・苦情等が発生する前からの取組が重要である。中核機関、家庭裁判所、専門職団体が有機的に連携するための取組を進めるためには法的な根拠が必要な段階にきている。
(3) 家庭裁判所の立場から(最高裁判所)→・「連絡シート」が提出された事案の中には、裁判所の機関としての性質・役割や、情報共有の在り方について、裁判所と中核機関との間で認識の齟齬があったと思われる事案があった。 ・苦情等の適切な解決を図るためには、地域の関係機関が本来的な役割に立ち返り、各々の役割・ 機能を十全に果たしていくことが重要であるとともに、地域全体としてどのような解決を図ることが本人にとって最善かという観点から検討することが重要。不適正・不適切な後見事務が疑われる 場合でも、専門職団体・中核機関が連携してチームに対する「ソフトな介入」を行うことで安定した後見事務が確保される事例もある。 ・裁判所には、司法機関としての性質等から解決の難しい苦情が多数寄せられているが、中には、 福祉・行政等によるチームの形成・自立支援により解決すると思われる苦情もある。また、苦情申 出人自身に権利擁護支援が必要と思われる事案もあるが、これらの場合に、福祉・行政の窓口が誰に対しても明らかになることで支援を必要とする人が適切な機関に繋がり、結果的に苦情が減るのではないか。・最も重要なのは、苦情等を生じさせない土壌づくりを進めていくこと。福祉・行政等が連携して、制度利用の必要性の検討、後見人に求める役割の明確化、チーム支援を前提とした受任者調整といった支援機能を果たし、裁判所は福祉・行政等による支援を前提として適切に運用・監督機能を果 たすことが必要である。また、担い手の育成や受任者調整等のしくみの整備も重要。

2 中間検証に向けた個別課題 委員の主な意見→・苦情と呼ばれるものについて、背景事情が異なる区分け、類型を整理することは大切(大塚、水 島、山下、上山)。 ・苦情を生じさせない土壌づくりは大切だが、苦情を受け入れる方が現実的で、苦情を容易に出せる仕組みづくりも考えられる(大塚。) ・本人のニーズに即して対応するには、本人の関与、当事者視点が必要(大塚、水島、上山)。 ・情報提供の本人同意が得られない場合など、他機関との情報のやり取り、個人情報の取扱いが課題(太田、星野)。 ・後見人の交代だけではなく、支援の見直しの仕組みが必要。中核機関には権利擁護支援チームの 自立支援機能が求められている(西川、星野)。 ・中核機関の役割・権限が曖昧。中核機関の法制化が必要(大塚、住田、太田、新井、永田)。 ・経済虐待が疑われるものや、支援的な監督が求められるもののほか、中核機関と法人後見実施機 関が同一法人である場合は、中核機関だけの対応は難しい(住田)。・家庭裁判所において、調停の仕組みなどを活用して、本人・後見人・関係者間の話合いを冷静に 行うための場を整備する可能性も模索すべき(水島)。 ・家庭裁判所は、後見人の裁量の範囲と意思決定支援との関係について十分検討してほしい(住 田)。

○(別添) 後見人等に関する苦情等に対応する関係機関間連携フロー(案)→目的:後見人等が意思決定支援や身上保護を重視しない場合があり、成年後見制度の利用者の不安や不満につながっているといった指摘 がある。後見人等による財産管理のみを重視するのではなく、意思決定支援・身上保護も重視した制度の運用改善に取り組む。 本フローは、関係機関間の相互理解の下、後見人等に関する苦情等に対応する各関係機関の役割を踏まえた連携体制を明確にし、 後見人等を含む適切なチーム支援を確保することにより、本人を中心とした「権利擁護支援」の推進を図るものである。

○後見人等に関する苦情等に対応する関係機関間連携フロー(案)→(フロー全体に関する補足事項)⇒○ 本フローは、モデルとなる地域で試験的に運用するために作成されたものであり、試行の結果を踏まえた更なる検討を本フローに反 映させることが予定されている。 本フロー中の『不適正・不適切な後見事務に関する苦情等』、『福祉的な観点からの助言が相当と考えられる苦情等』、『所属する専門職団体による指導・助言が相当と考えられる苦情等』、『必要に応じて、連携』が必要となる苦情等については、上記の試験的な運用を通じて、具体的な内容等を整理の上、必要に応じて本フローに反映することが予定されている。 ○ 円滑な連携のためには、後見制度利用の必要性の確認や後見人等候補者の事前調整、選任後の支援方針の共有や引継等も重要である。


◎参考資料 10 第二期成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証の進め方
○ 専門家会議は、第二期計画の中間年度である令和6年度に、中間検証として、各施策の進捗状況を踏まえ、個別の課題の整理・検討を行う。
→ @ 事務局において取組状況調査結果や各施策の進捗状況の事前整理を行った上で、第二期計画の工程表とKPIの枠組みに従い、個別課題 の整理・検討を行う。 A 各回の専門家会議では、上記事前整理やKPIの達成状況を踏まえ、委員から意見書を事前提出いただいた上で議論する。

≪第3四半期 第17回(R6.10.11) ※地域連携 ネットワー ク関連≫
○地域連携ネットワークづくり(制度や相談窓口の周知、中核機関の整備とコーディネート機能の強化、後見人等候補者の適切な推薦の実施、権利擁護 支援チームの自立支援の実施、包括的・多角的な支援体制の構築)
○制度の運用改善等
→・適切な後見人等の選任・交代の推進等(柔軟な後見人等の交代の推進(苦情対応を含む)、適切な報酬の算定に向けた 検討及び報酬助成の推進等)
○優先して取り組む事項→ ・担い手の確保・育成等の推進(都道府県による担い手の育成の方針の策定、都道府県における担い手の育成研修の実施)。 ・市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進(都道府県による市町村長申立てに関する研修の実施、 成年後見制度利用支援事業の推進)。 ・権利擁護支援の行政計画等の策定の推進(市町村による計画策定、第二期計画に基づく必要な見直し)。 ・都道府県の機能強化(都道府県による協議会の設置)。

次回も続き「考資料 11 成年後見関係事件の概況(最高裁判所提供資料)」からです。

第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年11月28日(Thu)]
第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年10月11日)
議事 中間検証に係る意見交換(地域連携ネットワークづくり、適切な後見人等の選任・交代の推進等、担い手の確保・育成等の推進、市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進、権利擁護支援の行政計画等の策定の推進、 都道府県の機能強化)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43748.html
◎参考資料1 成年後見制度利用促進専門家会議委員名簿 →21名。
◎参考資料2 成年後見制度の利用の促進に関する法律(イメージ図・本文)
○基本理念・基本方針のもとに基本計画あり。実現する体制は、「成年後見制度利用促進会議」「 成年後見制度利用促進専門家会議」あり。
○ 成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成二十八年法律第二十九号)
目次 ↓

第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 基本方針(第十一条)
第三章 成年後見制度利用促進基本計画(第十二条)
第四章 成年後見制度利用促進会議(第十三条)
第五章 地方公共団体の講ずる措置(第十四条・第十五条)
附則

◎参考資料3 成年後見制度利用促進専門家会議運営規則
平成 30 年7月2日 成年後見制度利用促進専門家会議決定→成年後見制度利用促進専門家会議の設置について(平成 30 年 6 月 21 日関係省庁申合せ) 「6.雑則」の規定に基づき、この規則を定める。
(総則) 第一条 成年後見制度利用促進専門家会議(以下「専門家会議」)の議事の手続その他専門家会議の運営に関し必要な事項は、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平 成 28 年法律第 29 号)及び成年後見制度利用促進専門家会議の設置について(平成 30 年 6 月 21 日関係省庁申合せ)に定めるもののほかこの規定の定めるところによる。
(委員長の職務の代理) 第二条 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(議事) 第三条 専門家会議の会議は、委員長が招集する。 2 委員会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。 3 委員会の議事は、委員の過半数で決し、可否同数のときは委員長の決するところによ る。
(会議への出席) 第四条 委員長は、専門家会議を招集しようとするときは、あらかじめ、日時、場所及び 議題を委員に通知するものとする。 2 委員長は委員が会議に出席できない場合であって、当該委員からあらかじめ申し出が あったときは、代理者の出席を認めることができる。 3 会議を欠席する委員は、委員長を通じて、当該専門家会議に付議される事項につき、 書面により意見を提出することができる。 4 委員長は、会議の議長として専門家会議の議事を整理する。
(意見の開陳等) 第五条 専門家会議は、適当と認める者に対して会議への出席を求め、その説明又は意見 の開陳を求めることができる。
(会議の公開等) 第六条 専門家会議の会議は公開とする。ただし、委員長は、公開することにより公平か つ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときその他正当な理由がある と認めるときは、会議を非公開とすることができる。 2 委員長は、会議における秩序の維持のため、傍聴人の退場を命ずるなど必要な措置を とることができる。
(議事内容等の公表) 第七条 委員長は、会議の終了後、速やかに、当該会議の議事要旨を作成し、これを公表 する。 2 委員長は、当該会議の議事録を作成し、一定の期間を経過した後にこれを公表する。 3 委員長は、会議終了後速やかに会議の資料を公表する。 4 委員長は、前三項の規定に関わらず、公開することにより公平かつ中立な審議に著し い支障を及ぼすおそれがある場合は、専門家会議の決定を経て議事録及び配布資料の全 部又は一部を非公開とすることができる。
(ワーキング・グループ等) 第八条 委員長は、専門的かつ詳細な調査検討が必要と認めるときは、専門家会議に諮っ て、ワーキング・グループその他の下部機関(以下「ワーキング・グループ等」という。) を設置することができる。 2 ワーキング・グループ等は、専門家会議から付託された事項について調査検討を行い、 その結果を専門家会議に報告するものとする。 3 ワーキング・グループ等に属すべき委員は、委員長が指名する。 4 ワーキング・グループ等の事務を掌理する者(以下「主査」という。)は、ワーキング・ グループ等に属する委員のうちから、委員長が指名する。 5 主査に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。 6 ワーキング・グループ等の議事の手続その他ワーキング・グループ等の運営に関し必 要な事項は、ワーキング・グループ等が定めることとする。
(雑則) 第九条 この規則に定めるもののほか、議事の手続その他運営に関し必要な事項は、委員長が専門家会議に諮って定める。


◎参考資料4 第二期成年後見制度利用促進基本計画(本文・概要)
〜尊厳のある本人らしい生活の継続と 地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進〜
令和4年3月 25 日閣議決定
○目 次 ↓

はじめに
1 成年後見制度利用促進基本計画の位置付け
2 新たな基本計画の必要性
3 第二期計画の対象期間
T 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標
1 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方
(1)地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進
(2)尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等
(3)司法による権利擁護支援などを身近なものにするしくみづくり
2 今後の施策の目標等
(1)目標
(2)工程管理
U 成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実
(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討
(2)総合的な権利擁護支援策の充実
@ 成年後見制度と日常生活自立支援事業等との連携の推進及び同事業の実施体制の
強化
A 新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討
B 都道府県単位での新たな取組の検討
2 尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善等
(1)本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透
@ 成年後見制度の利用促進における意思決定支援の浸透
A 様々な分野における意思決定支援の浸透
(2)適切な後見人等の選任・交代の推進等
@ 家庭裁判所による適切な後見人等の選任・交代の推進
A 後見人等に関する苦情等への適切な対応
B 適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等
C 適切な後見人等の選任・交代の推進等に関するその他の取組
(3)不正防止の徹底と利用しやすさの調和等
@ 後見制度支援信託及び後見制度支援預貯金の普及等
A 家庭裁判所の適切な監督に向けた取組
B 専門職団体や市民後見人を支援する団体の取組
C 地域連携ネットワークによる不正行為の防止効果
D 成年後見制度を安心して利用できるようにするための更なる検討
(4)各種手続における後見事務の円滑化等
3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1)権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方 −尊厳のある本人らしい
生活の継続と地域社会への参加−
@ 地域連携ネットワークの必要性と趣旨
A 地域連携ネットワークのしくみ
B 権利擁護支援を行う3つの場面
C 市町村・都道府県・国と関係機関の主な役割
(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能 −個別支援と制度の運用・監督−
@ 地域連携ネットワークの機能の考え方
A 権利擁護支援を行う3つの場面における「支援」機能と「運用・監督」機能
(3)権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能を強化するための取組 −中核機関の
コーディネート機能の強化等を通じた連携・協力 による地域づくり−
@ 地域連携ネットワークの機能を強化するための取組の考え方
A 地域連携ネットワークの機能を強化するための取組(地域の体制づくり)
B 中核機関のコーディネート機能の強化と協議会の運営を通じた連携・協力関係
の推進
(4)包括的・多層的な支援体制の構築
@ 基本方針
A 市町村による「包括的」な支援体制の構築
B 都道府県による「多層的」な支援体制の構築
C 国による「包括的」「多層的」な支援体制づくりの支援
4 優先して取り組む事項
(1)任意後見制度の利用促進
@ 基本方針
A 周知・広報等に関する取組
B 任意後見制度の趣旨に沿った適切な運用の確保に関する取組
(2)担い手の確保・育成等の推進
@ 基本方針
A 市民後見人の育成・活躍支援
B 法人後見の担い手の育成
C 専門職後見人の確保・育成
D 親族後見人への支援
(3)市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進
@ 基本方針
A 市町村長申立ての適切な実施
B 成年後見制度利用支援事業の推進
(4)地方公共団体による行政計画等の策定
@ 基本方針
A 市町村による行政計画の策定
B 都道府県による取組方針の策定
(5)都道府県の機能強化による権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりの推進
@ 基本方針
A 都道府県の機能強化
B 市町村への具体的な支援内容
C 都道府県自らの取組の実施
別紙  第二期計画の工程表とKPI@➁

◎第二期成年後見制度利用促進基本計画 の策定について
厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 成年後見制度利用促進室
○成年後見制度の概要と利用促進の取組経緯↓
1.制度の概要
→・成年後見制度は、民法の改正等により平成12年に誕生した制度であり、認知症や知的障害・精神障害により財産管理 や日常生活に支障がある人の法律行為を支える制度である。「法定後見制度」と「任意後見制度」がある。 ・「法定後見制度」は、判断能力が低下した際、裁判所により後見人等を選任する仕組み。「任意後見制度」は、判断能力 があるうちに、本人が任意後見人をあらかじめ選任しておく仕組みである。
2.成年後見制度利用促進の取組経緯→成年後見制度が十分に利用されていないことから、平成28年4月に成年後見制度利用促進法(議員立法)が成立。 平成29年3月、同法に基づく成年後見制度利用促進基本計画(期間はH29〜R3年度の5年間)を閣議決定。 ※ 認知症高齢者は令和2年には約600万人(推計)に、令和7年には約700万人になる見込み。一方、利用者数は令和2年末時点で約23万人。 ・基本計画では、成年後見制度の広報や相談等を各地域で担う体制の整備などの成年後見制度の利用促進に関する施 策を定め、最高裁や法務省等の関係省庁と連携の下、計画的に取組を推進。
3.基本計画の見直しについて→令和3年度は基本計画の最終年度であることから、令和3年3月から「成年後見制度利用促進専門家会議」で第二期基本 計画の検討を開始。 ・専門家会議6回(3つのWGで合計13回)の検討を経て、令和3年12月15日に「最終とりまとめ」を実施(12月22日公表)。 令和4年1月21日から2月18日までにパブリックコメントを実施。令和4年3月25日に第二期基本計画を閣議決定。
○【参考】成年後見制度利用促進専門家会議のスケジュール等について→令和3年 3月29日 第7回 専門家会議 〜 令和4年3月 成年後見制度利用促進会議で 「第二期基本計画」(案)の承認 、「第二期基本計画」閣議決定。
○第一期計画の課題と第二期計画における対応について→「第一期計画における課題 (平成29年度〜令和3年度)」から「第二期計画における対応 (令和4年度〜8年度)」へ。

◎第二期成年後見制度利用促進基本計画 概要 ↓
〜尊厳のある本人らしい生活の継続と 地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進〜
≪成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方≫↓
○ 地域共生社会の実現に向けて、権利擁護支援を推進する。
○ 成年後見制度の利用促進は、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制を整備して、本人の地域社会への参加の実現を目指すものである。以下を基本として成年後見制度の運用改善等に取り組む。⇒・ 本人の自己決定権を尊重し、意思決定支援・身上保護も重視した制度の運用とすること。 ・ 成年後見制度を利用することの本人にとっての必要性や、成年後見制度以外の権利擁護支援による対応の可能性も考慮された上で、適切に成年後見制度が利用されるよう、連携体制等を整備すること。 ・ 成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実すること。任意後見制度や補助・保佐類型が利用される取組を進めること。不正防 止等の方策を推進すること。
○ 福祉と司法の連携強化により、必要な人が必要な時に、司法による権利擁護支援などを適切に受けられるようにしていく必要がある。


≪今後の施策の目標等≫↓
○ 成年後見制度の見直しに向けた検討、市町村長申立て・成年後見制度利用支援事業の見直しに向けた検討、権利擁護支援策を充実するための検討を行う。また、成年後見制度の運用改善等や、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりに積極的に取り組む。
○ 工程表やKPI(評価指標)を踏まえて施策に取り組む。成年後見制度利用促進専門家会議は令和6年度に中間検証を実施する。

○第二期成年後見制度利用促進基本計画の構成↓
はじめに
T 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標
1 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方
2 今後の施策の目標等
U 成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策 の充実
(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討
(2)総合的な権利擁護支援策の充実
2 尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改 善等
(1)本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透
(2)適切な後見人等の選任・交代の推進等
(3)不正防止の徹底と利用しやすさの調和
(4)各種手続における後見業務の円滑化
3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1)権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方
−尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加−
(2)地域連携ネットワークの機能
−個別支援と制度の運用・監督−
(3)地域連携ネットワークの機能を強化するための取組
−中核機関のコーディネート機能の強化等を通じた連携・協力による地域づくり−
(4)包括的・多層的な支援体制の構築
4 優先して取り組む事項
(1)任意後見制度の利用促進
(2)担い手の確保・育成等の推進
(3)市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進
(4)地方公共団体による行政計画等の策定
(5)都道府県の機能強化による地域連携ネットワークづくりの推進

T 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標
〜基本的な考え方:地域 共生社会の実現に向け権利擁護支援の推進〜
○ 地域共生社会は、「制度・分野の枠や『支える側』と『支えられる側』という従来の関係を超えて、住み慣れた地域において、人と人、 人と社会がつながり、すべての住民が、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、社会全体で支え合いながら、ともに地域を創っていくこと」を目指すもの。
○ 第二期基本計画では、地域共生社会の実現という目的に向け、本人を中心にした支援・活動における共通基盤となる考え方として「権利擁護支援」を位置付けた上で、権利擁護支援の地域連携ネットワークの一層の充実などの成年後見制度利用促進の取組をさらに進める。


U 成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実↓
○ 成年後見制度等の見直しに向けた検討
→・ 障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等のノーマライゼー ションの理念を十分考慮し、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。市町村長の関与などの権限・成年後見制度利用支援事業についても見直しに向けた検討を行う。
○ 総合的な権利擁護支援策の充実→成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実させるため、意思決定支援等によって本人を支える各種方 策、司法による権利擁護支援を身近なものとする各種方策の検討を進め、これらの検討などに対応して、福祉制 度・事業の必要な見直しを検討する。⇒・ 成年後見制度の利用を必要とする人が、適切に日常生活自立支援事業等から移行できるよう、同事業の実施 体制の強化を行う。さらに、日常生活自立支援事業の効果的な実施方策について検討するなど地域を問わず一 定の水準で利用できる体制を目指す。 ・ 身寄りのない人等への生活支援サービスについて、意思決定支援や信頼性等を確保しながら取組を拡げるための方策を検討する。検討の際、司法による権利擁護支援を身近なものとする方策についても検討する。 ・ 地域住民や企業等が権利擁護支援の実践への理解や共感をもって寄付などに参画する取組を普及させるための方策を検討する。 ・ 虐待等の事案を受任する法人が都道府県等の適切な関与を受けつつ後見業務を実施できるよう、法人の確保 の方策等を含め検討する。

2 尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善等↓
○ 本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透
→・ 都道府県等は、意思決定支援研修等を継続的に行う。国は、意思決定支援の指導者育成、意思決定支援等に 関する専門職のアドバイザー育成、専門的助言についてのオンライン活用支援などに取り組む。 ・ 「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」のほか、各種意思決定支援ガイドライン等について、 普及・啓発を行っていく。 ・ 意思決定支援の取組が、保健・医療・福祉・介護・金融等幅広い関係者や地域住民に浸透するよう、各ガイ ドラインに共通する基本的な意思決定支援の考え方についての議論を進め、その結果を整理した資料を作成し、 研修等を通じて継続的に普及・啓発を行う。
○ 家庭裁判所による適切な後見人等の選任・交代の推進→・ 各家庭裁判所には、地域の関係者との連携により、本人にとって適切な後見人の選任や状況に応じた後見人の交代を実現できるよう、引き続き努力することが期待される。 ・ 最高裁判所・家庭裁判所には、関係機関等とも連携し、本人情報シートの更なる周知・活用に向けた方策を 検討することが期待される。
○ 後見人等に関する苦情等への適切な対応→・ 家庭裁判所、専門職団体、市町村・中核機関、都道府県は、それぞれの役割を基本として、苦情等に適切に 対応できるしくみを地域の実情に応じて整備していく必要がある。
○ 適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等→・ 最高裁判所及び各家庭裁判所には、報酬の算定の考え方を早期に整理することが期待される。 ・ 市町村には、全国どの地域でも必要な人が成年後見制度を利用できるよう、成年後見制度利用支援事業の実 施内容を早期に検討することが期待される。国は、同事業への助成について必要な見直しを含めた対応を早期に検討する。 ・ 国は、後見人等が弁護士又は司法書士に民事裁判等の手続を依頼した場合に適切に民事法律扶助制度が活用される方策を早期に検討する。 ・ 国は、成年後見制度の見直し検討の際、報酬のあり方も検討。併せて、関係省庁は、報酬助成等の制度 のあり方について検討する。
○ 不正防止の徹底と利用しやすさの調和等→・ 金融機関には、必要に応じ最高裁判所や関係省庁とも連携しつつ、後見制度支援預貯金等の導入や改善を図 ることが期待される。 ・ 最高裁判所・家庭裁判所には、不正防止のため、引き続き適切な監督に向けた取組をすることが期待される。 専門職団体は各専門職に対して、市民後見人を支援する団体は各市民後見人に対して、不正防止の取組を受任前や養成段階から進めることが期待される。 ・ 専門職団体・市民後見人を支援する団体等には、適切な保険の導入に向けた検討を進めることが期待される。
○ 各種手続における後見業務の円滑化等→市町村・金融機関等の窓口で成年後見制度を利用したことによって不利益を被ることのないよう、同制度の 理解の促進を図る必要がある。

3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり↓
○ 権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方
→権利擁護支援を必要としている人は、その人らしく日常生活を送ることができなくなったとしても、自ら助けを求めることが難しく、自らの権利が侵されていることに気づくことができない場合もある 。身寄りがないなど孤独・孤立の状態に置かれている人もいる。 このため、各地域において、現に権利擁護支援を必要としている人も含めた地域に暮らす全ての人が、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにするため、地域や福祉、行政などに司法を加えた多 様な分野・主体が連携するしくみ(権利擁護支援の地域連携ネットワーク)をつくっていく必要がある。
@ 地域連携ネットワークづくりの方向性(包括的・多層的なネットワークづくり)→・ 第二期計画では、地域連携ネットワークの趣旨として、地域社会への参加の支援という観点も含めることから、地域包括ケアや虐待防止などの権利擁護に関する様々な既存のしくみのほか、地域共生社会実現のための支援体制や地域福祉の推進などと有機的な結びつきを持って、地域における多様な分野・主体が関わる「包括的」なネットワークにしていく取組を進めていく必要がある。 ・ さらに、権利擁護支援を必要としている人の世帯の中には、様々な課題が生じていることもあり、このような場合には、個人ごとに権利擁護支援の課題を捉えた上で、その状況に応じて、家族同士の想いも尊重しながら、それぞれを同時に支援していく必要がある。こうしたことを含めた複合的な地域生活課題としては、支援困難な虐待やネグレクト、未成年後見を含む児童の権利擁護などもあり、これらへの適切な支援が必要となる場合もある。 ・ 地域連携ネットワークは、住民に身近な相談窓口等のしくみを有する市町村単位を基本として整備を進めてきたが、複合的で支援困難な課題に対応するためには「包括的」なネットワークだけでは十分でない。地域の実情に応じて権利擁護支援を総合的に充実することができるよう、圏域などの複数市町村単位や都道府県単位のしくみを重ね合わせた「多層的」なネットワークにしていく取組も併せて進めていく必要がある。
A 地域連携ネットワークづくりの進め方→これから地域連携ネットワークづくりを始める地域では、できるだけ早期に、以下を実施することのできる 体制整備を優先すべきである。→・ 権利擁護支援に関する相談窓口を明確にした上で、本人や家族、地域住民などの関係者に対し、成年後見制度の内容など権利擁護支援の理解の促進や相談窓口の周知を図ること ・ 地域連携ネットワークのコーディネートを行う中核機関の役割をどういった機関や体制で実施するのかを明らかにすること また、これらの体制を整備した地域では、後見人等の受任者調整等によって権利擁護支援チームの形成を支援し、その権利擁護支援チームが本人への支援を適切に行うことができるようにする必要がある。なお、これらの体制整備は、市町村単独では取り組むことが難しい内容もあるため、広域的な見地から、都道府県が主体的に取り組むことも重要である。

3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり 〜権利擁護支援の地域連携ネットワークのイメージ〜→・権利擁護支援の地域連携ネットワークとは、「各地域において、現に権利擁護支援を必要としている人も含めた 地域に暮らす全ての人が、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにするため、地域や福祉、行政などに司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみ」である。

○【参考】権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり 〜地域連携ネットワーク機能(個別支援と制度運用・監督)〜→ ・ 地域連携ネットワークが担う機能には、権利擁護支援を行う3つの場面に対応した形で、福祉・行政・法律専門職など多様な主体の連携による「支援」機能と、家庭裁判所による「制度の運用・監督」機能がある。
○【参考】権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり 〜地域連携ネットワークの機能を強化するための取組(連携・協力による地域づくり)〜→・権利擁護支援を行う3つの場面に応じ、福祉・行政・法律専門職など多様な主体の連携による「支援」機能と、家庭裁判所に よる「制度の運用・監督」の機能を適切に果たすため、地域・福祉・行政・法律専門職・家庭裁判所等の地域連携ネットワーク の関係者が、以下の3つの視点(ア〜ウ)を持って、自発的に協力して取り組むことが必要である。(なお、市町村単位では取り組みにくい内容については、都道府県が市町村と連携しながら取り組んでいくことが重要。) ア:異なる立場の関係者が、各々の役割を理解し、認識や方向性を共有するための「共通理解の促進」の視点。 イ:様々な立場の関係者が新たに権利擁護支援に参画し、取組を拡げていくための「多様な主体の参画・活躍」の視点。 ウ:多くの関係者が円滑かつ効果的に連携・協力して活動するための「機能強化のためのしくみづくり」の視点。

4 優先して取り組む事項
○ 任意後見制度の利用促進
→・ 周知・助言を中心とした関係者の連携と役割分担の下、適切な時機に任意後見監督人の選任がされることなど任意後見制度が適切かつ安心して利用されるための取組を進める。
○ 担い手の確保・育成等の推進→・ 適切な後見人等が選任、交代できるようにするためには、各地域に、多様な主体が後見業務等の担い手として存在している必要がある。 ・ 市民後見人等の育成・活躍支援は、地域共生社会の実現のための人材育成や参加支援、地域づくりという観点も重視して推進する。国は、意思決定支援や身上保護等の内容を含めるなど、より充実した養成研修カリキュラムの見直しの検討等を進める。 ・ 都道府県には、圏域毎に市民後見人の育成方針を策定した上で、市町村と連携して市民後見人養成研修を実施することが期待される。また、市町村には、市民後見人の活動の支援や市民後見人の役割の周知などを行う ことが期待されるほか、研修受講者の募集を主体的に進めることや、必要に応じて、都道府県と連携して養成 研修の内容を充実することも期待される。 ・ 法人後見の実施団体としては、社会福祉協議会による後見活動の更なる推進が期待される一方、都道府県及 び市町村等が連携して、社会福祉協議会以外の法人後見の担い手の育成をする必要もある。 ・ 国は、法人後見研修カリキュラムと、最高裁判所の集約・整理した法人が後見人等に選任される際の考慮要 等を併せて周知する。 ・ 都道府県には、圏域毎に法人後見の担い手の育成方針を策定した上で、法人後見実施のための研修を実施することが期待される。 ・ 専門職団体による専門職後見人の確保・育成、市町村・中核機関による必要に応じた親族後見人の支援も行 う。
○ 市町村長申立ての適切な実施→・ 身寄りのない人等への支援や虐待事案等で市町村長申立ての積極的な活用が必要である。都道府県には、実務を含めた研修の実施等を行うことが期待される。国は、都道府県職員向け研修の拡充、市町村長申立てが適切に実施されるための実務の改善を図っていく。
○ 地方公共団体による行政計画等の策定→・ 市町村は、成年後見制度利用促進法第14条第1項に基づき、市町村計画を定める。計画未策定の市町村は、 中核機関及び協議会の整備・運営の方針を示すことなどに早期に着手する必要がある。 ・ 都道府県は、都道府県単位や圏域単位の協議会の整備・運営の方針、担い手の確保の方針、市町村に対する 体制整備支援の方針などを盛り込んだ地域連携ネットワークづくりの方針を策定することが望ましい。
○ 都道府県の機能強化による地域連携ネットワークづくりの推進→・ 都道府県は、担い手の育成・活躍支援、広域的観点から段階的・計画的にネットワークづくりに取り組むための方針の策定といった役割や、小規模市町村等の体制整備支援の役割を果たすことが期待される。また、広域的な課題などに対応するため、家庭裁判所・専門職団体・都道府県社会福祉協議会・当事者団体等との都道 府県単位の協議会を設置する必要がある。 ・ 国は、都道府県職員向け研修の拡充、権利擁護支援や体制整備支援等を担う専門アドバイザーの養成などを 行う。

○工程表・KPI→第二期計画の工程表とKPI@➁(令和4年度〜令和8年度)あり。

次回も続き「参考資料5 重要業績評価指標(KPI)の進捗状況について」からです。

第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年11月27日(Wed)]
第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年10月11日)
議事 中間検証に係る意見交換(地域連携ネットワークづくり、適切な後見人等の選任・交代の推進等、担い手の確保・育成等の推進、市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進、権利擁護支援の行政計画等の策定の推進、 都道府県の機能強化)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43748.html
◎資料1−1 成年後見制度利用促進に係る取組状況等について(厚生労働省)
令和6年10月11日 社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室 障害保健福祉部障害福祉課地域生活・発達障害者支援室 老健局認知症施策・地域介護推進課
○第二期成年後見制度利用促進基本計画の概要 〜 尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進 〜→令和4年3月に「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(計画期間は令和4〜8年度の5年間)を閣議決定
T 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方↓
◆ 地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進
→・ 地域共生社会の実現という目的に向け、本人を中心とした支援・活動における共通基盤となる考え方として「権利擁護支援」を位置付けた上で、地域連携ネットワークにおける権利擁護支援策の一層の充実などの成年後見制度利用促進の取組をさらに進めていく。
◆ 尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等→・ 以下を基本として成年後見制度の運用改善等に取り組む。⇒ @ 本人の自己決定権を尊重し、意思決定支援・身上保護も重視した制度の運用とすること A 成年後見制度以外の権利擁護支援による対応の可能性についても考慮された上で、適切に成年後見制度が利用されるよう、連携体制を整備すること B 成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実すること C 任意後見制度や補助・保佐類型が利用されるための取組を進めること D 不正防止等の方策を推進すること
◆ 司法による権利擁護支援などを身近なものにするしくみづくり→・ 地域連携ネットワークを通じた福祉と司法の連携強化により、必要な人が必要な時に司法による 権利擁護支援などを適切に受けられるようにしていく。

U 成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実
→(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討⇒・ スポット利用の可否/三類型の在り方/成年後見人の柔軟な交代/成年後見人の報酬の在り方/任意後見制度の在り方。 (2)総合的な権利擁護支援策の充実⇒・ 日常生活自立支援事業等との連携・体制強化/新たな連携による生活支援・ 意思決定支援の検討/都道府県単位での新たな取組の検討。
2 尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善等→(1)本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透 (2)適切な後見人等の選任・交代の推進等 (3)不正防止の徹底と利用しやすさの調和等 (4)各種手続における後見業務の円滑化等
3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり→(1)権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方 −尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加− (2)地域連携ネットワークの機能 −個別支援と制度の運用・監督− (3)地域連携ネットワークの機能を強化するための取組 −中核機関のコーディネート機能の強化等を通じた連携・協力による地域づくり− (4)包括的・多層的な支援体制の構築
4 優先して取り組む事項→(1)任意後見制度の利用促進 (2)担い手の確保・育成等の推進 (3)市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進 (4)地方公共団体による行政計画等の策定 (5)都道府県の機能強化による地域連携ネットワークづくりの推進

1.権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
@これまでの取組↓
○地域連携ネットワークづくりに関する厚生労働省の取組の概要
→・すべての市町村において、権利擁護支援の地域連携ネットワークが構築されることを目指し、中核機関の整備 や市町村計画の策定といった市町村の体制整備を推進する取組を実施。・引き続き、これらの取組を進めるとともに、第二期計画でKPIが掲げられた都道府県の機能強化や担い手の確保・育成等に資 する取組をさらに推進する。⇒市町村の体制整備の推進に関する取組@〜➅、第二期計画を踏まえた更なる推進に関する取組@〜Gまで。
○成年後見制度利用促進体制整備研修等の実施(市町村の体制整備の推進に関する取組)( 第二期計画を踏まえ た更なる推進に関す る取組)→・体制整備に関する基本的な考え方を全国に浸透させるため、成年後見制度や権利擁護について体系的かつ網羅的に学ぶことができる市町村・中核機関等職員向け研修(基礎・応用)、都道府県等職員・専門アドバイザー向け研修等を実施(令和元年〜5年度 の5か年で、延べ8,273名が受講)。 ・都道府県の支援体制強化のため、都道府県担当職員・アドバイザー向け研修においては、都道府県にて研修実施ができるように 意思決定支援研修担当を新たにプログラムを変更して実施。 ○ 親族後見人、市民後見人等も対象とした「後見人等への意思決定支援研修」については、令和2年度(都道府県は令和4年度) から実施。令和4年度までに延べ6,761名が受講した。
○権利擁護支援体制全国ネット(K-ねっと)の運営等→・相談実績(R5.4.1〜R6.3.31)176件(うち、電話相談 85%(149件)、メール相談 15%(27件))。・K-ねっとに寄せられる相談は、中核機関からのものが多い。相談内容は、体制整備についてが46%(80件)と最も多い。 ・任意後見・補助・保佐等の相談体制強化・広報・啓発事業として、全国セミナーを毎年回開催。令和5年度の 受講者数 (オンライン・YouTube)は、計 1,086名であった。・多く寄せられる相談を「FAQ」としてまとめ、「都道府県交流会」等で周知した。

○成年後見制度利用促進ポータルサイトの運営等→・令和5年度は「47都道府県 中核機関の取組事例集」を作成し、全国の自治体、中核機関、職能団体等に送付。 ・都道府県交流会(全9回。オンライン開催)を開催し、都道府県担当職員・社会福祉協議会職員・アドバイザー等参加者間の交 流を通じた成年後見制度利用促進・権利擁護支援の取組等の推進。
○成年後見制度利用促進体制整備推進事業の実施(令和6年度予算額:7.8億円)→市町村においては、全ての市町村において中核機関の整備を進め、中核機関の立ち上げ後は、権利擁護支援の地域連携ネットワークを持続可能な形 で運営できるよう、中核機関における調整体制や後見人の苦情対応等にかかる関係機関間連携の構築など中核機関のコーディネート機能の更なる強化 を図る。
○「中核機関」の整備状況→<整備済(R5.4時点):1,070市町村(61.5%)⇒ 整備済+R6年度までに整備予定あり:1,293市町村(74.3%)> 【令和6年度末KPI:1,741市町村】
○「地域連携ネットワークの支援機能」と「地域の体制づくりに関する取組」の実施状況→本人中心の権利擁護支援チームを支えるための機能、 機能を強化するための地域の体制づくりに関する取組 項目参照。

A今後の対応↓
○(検討事項)成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の 総合的な権利擁護支援策の充実の方向性について↓
<新たな連携・協力体制の構築による生活支援や意思決定支援の在り方について>
→・今後、成年後見制度が「他の支援による対応の可能性も踏まえて本人にとって適切な時期に必要な 範囲・期間で利用できる」制度に見直されるとした場合、判断能力が不十分な人(本人)の地域生活を支えるためには、地域福祉において、どのような連携・協力体制を構築すべきか。⇒・ 少なくとも、本人に対する生活支援等のサービス(簡易な金銭管理、入院・入所手続支援等各種の生活支援サービス)を提 供する取組が必要と考えられ、その実施主体及び方法等について、どのように考えるか【イメージ@】。 ・ 生活支援等のサービス提供に当たっては、本人の希望に応じ、本人の意思決定を支援することが重要と考えられ、 本人に対する意思決定支援の範囲及び実施主体等について、どのように考えるか【イメージA】。
<「中核機関」(※)に求められる新たな役割及びその位置付けについて> ※権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関・体制→・成年後見制度の見直しに伴い、司法と福祉との連携強化等を図る観点から、中核機関は、今後、どのような役割を果たすことが必要になると考えられるか【イメージ@】。 ※ その際、新たな役割に応じた中核機関の位置付けやその名称等についても検討する必要がある。なお、検討に当たっては、中核機関 の整備状況及び経緯等について考慮する必要がある。

○本人を地域で支えるための支援の実施体制及び方法、中核機関の役割・位置付けについて イメージ@→現在、地域には、本人を支える支援の輪(後見人を含む。)が多様に存在しているが、今後、成年後見制度が見直された場合、後見人以外の支援を得 て後見人が退任となる場合や、途中交代となる場合、重大な法律行為の発生により一時的に後見人を選任する場合等の発生が想定される。⇒㋐今後、成年後見制度が見直された場合、地域福祉における本人に対する支援体制として、どのような主体が、どのような方法により実施するこ とが適当かについて検討する必要がある。 ㋑また、成年後見制度の見直しも見据え、家庭裁判所との関係において、中核機関の果たすべき役割やその位置付けについて検討する必要がある。
○地域福祉関係機関による意思決定支援の範囲及び実施主体について イメージ➁→今後、成年後見制度が見直されることによって、地域において、判断能力が不十分な人の意思決定を後見人以外の人が支援する場面が増え ることも想定される。以下に例示した、本人に生じ得る意思決定のうち、地域福祉関係機関(組織・チームレベル)において、対応が必要、 かつ、支援が可能な意思決定支援の範囲及び実施主体について検討する必要がある。⇒「財産管理、身上保護、その他」について「必要となる判断能力の程度」を参照。
○第3回地域共生社会の在り方検討会議における主な意見要旨(1/6)〜(6/6)
<権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり関係>→9意見あり。中核機関の整備について、市町村単位にするのか、むしろ広域にするのか、あるいは専門性のあるNPO法人や社会福祉協議会が担うのか、行政がベースを作るのか。いずれにしても、包括的支援体制と関連させながらどう作っていくか。
<参考:総合的な権利擁護支援策の充実関係>→18意見あり。・ 後見人による法律的な支援が終わった後の日日の支援をしっかり行う体制の一つの役割を日常生活自立支援事業が担うのであれば、同事 業に対する財源の確保や体制整備をすべき。第三のチャレンジに見合うような大きなアクションにしていかなければならない。

2.担い手の確保・育成等の推進
○(第二期計画を踏まえた更なる推進に関する取組)担い手の確保・育成等の推進
→中核機関等の整備による権利擁護支援のニーズの顕在化や認知症高齢者の急速な増加が見込まれる中、全国どの地域 においても専門職後見人のみならず、市民後見人や法人後見による支援が受けられるよう、以下の取組により担い手の確 保・育成等の推進を図る。⇒市民後見人の育成、法人後見の担い手の育成。担い手の確保・育成等の推進に係る助成制度もあり。
○担い手の育成について(市民後見人養成研修)→成年後見制度の担い手の確保や、地域共生社会の実現のための人材育成という観点から一層養成を推進してい く必要がある。「第二期成年後見制度利用促進基本計画」に基づき、令和4年度及び令和5年度にかけて、市民後見人養成のための 基本カリキュラムの改訂及び市民後見人養成テキストの改訂や市民後見人養成研修修了者の活躍の推進方策の検討を実施。
○権利擁護人材育成事業→認知症高齢者等の状態の変化を見守りながら、介護保険サービスの利用援助や日常生活上の金銭管理など 成年後見制度の利用に至る前の支援から成年後見制度の利用に至るまでの支援が切れ目なく、一体的に確保 されるよう、権利擁護人材の育成を総合的に推進する。⇒4.令和6年度予算 地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)97億円の内数 (令和5年度予算:137億円)
○担い手の育成について(法人後見養成研修等)→第二期成年後見制度利用促進基本計画においては、「法人後見については、制度の利用者増に対応するための成年後見人等の 担い手確保という観点のほか、比較的長期間にわたる制度利用が想定される障害者や、支援困難な事例への対応などの観点から、 全国各地で取組を推進していく必要がある」とされている。また、担い手の確保・育成については、広域的な地域課題として、成 年後見制度利用促進法第15条に基づく都道府県による取組が重要であり、これを踏まえ、法人後見養成研修事業を新たに開始する とともに、同事業も活用しつつ、都道府県による法人後見の推進が行われるよう事務連絡(※)で依頼した。 ※「都道府県による法人後見の推進について」(令和5年2月9日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室事務連絡)
○成年後見制度法人後見支援・養成研修事業(障害者関係)→2.事業内容 (1)法人後見実施のための研修 法人後見実施団体、法人後見の実施を予定している団体等に対する研修の実施 (2)法人後見の活動を安定的に実施するための組織体制の構築 ア 法人後見の活用等のための地域の実態把握 イ 法人後見推進のための検討会等の実施 (3)法人後見の適正な活動のための支援 弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職により、法人後見団体が困難事例等に円滑に対応できる ための支援体制の構築 (4)その他、法人後見を行う事業所の立ち上げ支援など、法人後見の活動の推進に関する事業 3.実施主体 (1)都道府県及び市町村、(2)〜(4)市町村 4.令和6年度予算額 地域生活支援事業費等補助金 505億円の内数(令和5年度予算:504億円) 5.実施状況 令和4年度 193市町村(「令和5年度成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査」)

3. 市町村長申立ての適切な実施と 成年後見制度利用支援事業の推進↓
○(第二期計画を踏まえた更なる推進に関する取組)市町村長申立ての適切な実施
→全国どの地域においても、成年後見制度を必要とする人が制度を利用できるようにするため、以下のような取組により、 市町村長申立てが適切に実施されるよう、実務の改善を図っていく。⇒市町村長申立基準等の周知、市町村長申立て業務の実務能力の向上(「都道府県による市町村支援機能強化事業」成年後見制度利用促進体制整備推進事業:令和6年度予算7.8億円の内数)
○(第二期計画を踏まえた更なる推進に関する取組)成年後見制度利用支援事業の推進→全国どの地域においても、成年後見制度を必要とする人が制度を利用できるようにするため、以下の取組により、成年後見制度利用支援事業の適切な実施を推進。⇒自治体への通知発出及び全国担当課長会議における周知
○市町村長による成年後見制度に基づく後見開始の審判等の請求の適切な実施及び成年後見制度利用支援 事業の推進について(令和5年5月30日付け事務連絡(参考)→1〜6まで。
○成年後見制度利用支援事業(高齢者関係)→低所得の高齢者に対し、成年後見制度の利用を支援することにより、権利擁護を図ることを目的。
○成年後見制度利用支援事業(障害者関係)→.目的 障害福祉サービスの利用の観点から成年後見制度を利用することが有用であると認められる知 的障害者又は精神障害者に対し、成年後見制度の利用を支援することにより、これらの障害者の 権利擁護を図ることを目的とする。

4. 行政計画等の策定の推進・都道府県の機能強化
○市町村計画の策定状況 <策定済(R5.4時点)
:1,210市町村(69.5%)⇒ 策定済+R6年度までに策定予定:1,391市町村(79.9%)>【令和6年度末KPI:1,741市町村】→(参考) 市町村計画の策定済みの割合  参照。
○都道府県における取組状況※ ※ 令和6年度末までのKPIが設定されている取組→●都道府県による担い手の育成方針の策定状況 ●都道府県における市民後見人養成研修の実施状況●都道府県における法人後見の担い手養成研修の実施状況 ●都道府県単位の協議会の設置有無●都道府県による市町村長申立てに関する研修の実施状況 ●都道府県による意思決定支援研修の実施状況。
○(参考)都道府県別のKPI達成状況→ <策定又は実施済(R5.4時点)の平均取組数:2.9取組 ⇒ 策定又は実施予定あり(R5.4時点) の平均取組数:3.8取組>


◎資料1-2-1 成年後見制度利用促進に係る取組状況等について(法務省)
○成年後見制度の見直しに向けた検討状況
→令和6年4月〜 法制審議会民法(成年後見等関係)部会において調査審議が行われている⇒「主な検討テーマ(4テーマ)」「現状及び課題」に対して「検討」あり。
・その他のテーマ→「法定後見制度における類型の見直し」「成年後見人等の報酬の在り方」

◎資料1-2-2 後見人が弁護士等に依頼する場合における民事法律扶助制度の活用に関する検討
○(第二期成年後見制度利用促進基本計画)
→国は、被後見人等を当事者とする民事裁判等手続を処理した法律専門職が、被後見人等の資力が乏しいために報酬を得られない事態が生じているとの指摘があること等を踏まえ、法律専門職を含めた後見人等が弁護士又は司法書士に依 頼した場合に適切に民事法律扶助制度が活用される方策を早期に検討する。
○検討対象→法律専門職である後見人が弁護士等に依頼する場合に、代理援助の利用を認めるべきか
○検討状況等→成年後見制度の在り方を踏まえつつ、資力基準等の要件を満たす被後見人について、 他の弁護士等に依頼して代理援助を利用する必要性があり、かつ、民事法律扶助の趣旨を没却しない範囲で、その利用が許容される場合について、 利用が許容される場合の事件類型などを現在検討中


◎資料1−3 成年後見制度利用促進に係る取組状況等について(最高裁判所)
適切な後見人等の選任・交代の推進等 
 令和6年10月11日(金)    最高裁判所事務総局家庭局
○地域連携ネットワークワーキング・グループにおける試行への協力
→「専門職後見人等の不適正・不適切な事務に関する連絡シートの作成」「試行地域における協議」「家庭裁判所に寄せられる苦情等の把握」
○地域連携ネットワークワーキング・グループにおける試行の結果→試行期間中に、市町村・中核機関から連絡シートが提出された事案は2件⇒市町村・中核機関、専門職団体、家庭裁判所といった関係機関が連携し、お互いの機能・役割を噛み合わせつつ、地域全体としてどのよう な解決を図ることが最も本人のためになるかという観点から、対応を 検討していくことが重要。
○権利擁護支援を行う三つの場面における機能→三つの場面で「福祉・行政・法律専門職などの多様な主体による「支援」機能」、「家庭裁判所による成年後見制度の「運用・監督」機能」あり。
○申立前の福祉・行政等による支援・調整と家庭裁判所の判断→後見人等選任後における 本人を中心とした チーム支援、苦情を生じさせないた めの土壌⇒福祉・行政等と家庭裁判所がお互いの役割を噛み合わせることが重要。
○家庭裁判所における運用改善のための取組↓
@統一された報告書式の策定→身上保護や意思決定支援に関する事情も適切に把握できる報告書式の策定【令和7年4月から運用開始予定】
A身上保護事務の評価→個々の法律行為等に着目して積算しないことを前提に、プロセス全体を見て身上保護を評価する。
B財産管理事務の評価→・資産額が非常に高額であるために報酬額も高額になる事案については、事務負担の程度等事案全体を見て評価す ることで、従前よりも減額になることも考えられる。 ・財産管理の付加報酬については、専門性を適切に評価するという観点から、法テラスの代理援助立替基準を参考 にする。
C予測可能性の確保→報酬付与決定額の平均などの過去の実績を示すことで、できる限り予測可能性の確保に努める。

○適時・適切な連絡に向けた双方向の情報共有→将来的に市民後見人への交代を行う想定をしていた事案について、交代を検討すべき時期が 来た場合や、地域連携ネットワークの関係者が後見人等の不正を把握した場合などにおいて、 家庭裁判所と中核機関が適時・適切に連絡できるしくみを整える。

次回も続き「参考資料1」からです。

第73回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 [2024年11月26日(Tue)]
第73回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(令和6年10月8 日)
<議題> 女性活躍推進及びハラスメント対策について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44130.html
◎資料1 職場におけるハラスメント対策についての現状等
厚生労働省 雇用環境・均等局 雇用機会均等課
○職場におけるハラスメントについて事業主が雇用管理上講ずべき措置(主な内容)↓

➀事業主の方針の明確化及びその周知啓発:ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、管理監督者を含む労働者への周知啓発。行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発。
➁相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備:相談窓口の周知。発生のおそれがある場合やハラスメントに該当 するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応。
B職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応:事実関係を迅速かつ正確に確認。事実関係の確認後は、速やかに被害者に対 する配慮のための措置とともに、行為者に対する措置を適切に対応する。再発防止に向けた措置を講ずる。
C併せて講ずべき措置:プライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知。事業主に相談したこと等を理由として、解雇そ の他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発をする。
(根拠法)→・セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント:男女雇用機会均等法。 ・育児休業・介護休業等に関するハラスメント:育児・介護休業法。 ・パワーハラスメント:労働施策総合推進法。

○各種ハラスメントの法的位置付け→「セクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法)」「妊娠・出産等に関するハラスメント(男女雇用機会均等法)」「育児休業・介護休業等に関するハラスメント(育児・介護休業法)」「パワーハラスメント(労働施策総合推進法)」
○都道府県労働局へのハラスメントに関する相談件数の状況→雇用管理上の措置義務を課し、ハラスメントの防止を図っている。しかし、法制定後も、労働局へのハラスメントの相談件数は高止まりしている状況。
○ハラスメントの発生状況(企業調査)→・過去3年間に相談があったと回答割合⇒パワハラは64.2%、セクハラは39.5%、顧客等からの著しい迷惑行為は27.9%。 ・過去3年間に相談があった事例のうち、企業がハラスメントに該当すると判断した事例の有⇒ パワハラは73.0%、セクハラは80.9%、顧客等からの著しい迷惑行為は86.8%である。
○パワハラ防止指針における「顧客等からの著しい迷惑行為」→事業主が行うことが望ましい取組 の内容が規定。⇒「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(抄)→7 事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容(事業主は、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)からのパワーハラスメン トや顧客等からの著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)により、その雇用する労働者が就業環境を害されることのな いよう、雇用管理上の配慮として、例えば、⑴及び⑵の取組を行うことが望ましい。また、⑶のような取組を行うことも、その雇用する労働者が 被害を受けることを防止する上で有効と考えられる。)
⑴ 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ⑵ 被害者への配慮のための取組 ⑶ 他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為による被害を防止するための取組

○カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(2022年2月作成)→・令和2年1月、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働 省告示第5号)が策定され、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為(以下「カスタマーハラスメント」)に関して、事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨、また、被害を防止するための取組を行うことが有効である旨が定められ、カスタ マーハラスメント対策の強化は急務。 ・そこで、厚生労働省は委託事業により、小売業、運輸業、飲食サービス業、宿泊業等、顧客と接することの多い業種に属する企業12社にヒアリング等を行い企業が 具体的に取り組むべきカスタマーハラスメント対策等をまとめた「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成。⇒マニュアルの基本構成:1.カスタマーハラスメントの発生状況、2. カスタマーハラスメントとは、3. カスタマーハラスメント対策の必要性、 4.企業が具体的に取り組むべきカスタマーハラスメント対策、5. 企業の取組のきっかけ、メリット、運用について。
○顧客等からの著しい迷惑行為の経験状況に関する接客頻度別の特徴→労働者が過去3年間に受けた顧客等からの著しい迷惑行為について、接客頻度別に見ると、「ほとんど接することがない」者は5.3%で あるのに対し、「勤務日はほぼ毎日接している」者は17.4%となっている。顧客等と接する頻度が多いほど迷惑行為を受けた割合が高い。
○顧客等からの著しい迷惑行為の行為者・内容→・顧客等からの著しい迷惑行為の行為者は、「顧客等(患者またはその家族等を含む)」が82.3%、「取引先等の他者の従業 員・役員」が22.6%。・労働者が過去3年間に受けた顧客等からの著しい迷惑行為の内容は、「継続的な、執拗な言動」(57.3%)、「威圧的な言 動」(50.2%)、「精神的な攻撃」(33.1%)。
○顧客等からの著しい迷惑行為を受けた経験→勤務先が顧客等からの著しい迷惑行為の予防・解決に積極的に取り組んでいる場合(12.8%)の方が、勤務先が顧客等からの 著しい迷惑行為の予防・解決にあまり取り組んでいない場合(23.1%)と比べると、顧客等からの著しい迷惑行為を経験した者の 割合が少ない。
○顧客等からの著しい迷惑行為を受けた労働者の心身への影響→「怒りや不満、不安などを感じた」者は63.8%、「仕事に対する意欲が減退した」 者は46.1%となっている。
○顧客等からの著しい迷惑行為で企業が被った損害や被害→「通常業務の遂行への悪影響」(63.4%)、「労働者の意欲・ エンゲージメントの低下」 (61.3%) 、「労働者の休職・離職」(22.6%)である。

○顧客等からの著しい迷惑行為に関する取組→「特にない」としている企業は、従業員規模1,000人以上の企業において37.2%、 300〜999人規模企業において48.9%、100〜299人規模企業において62.0%、99人以下規模企業において73.8%である。
○セクハラ防止指針における「就活等セクハラ」→事業主は、当該事業主が雇用する労働者が、 他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。)のみならず、個人事業主、イ ンターンシップを行っている者等の労働者以外の者に対する言動についても必要な注意を払う よう配慮するとともに、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らと労働 者も、労働者以外の者に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましい。 こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、4⑴イの職場におけるセクシュアルハラスメント を行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、当該事業主が雇用する労働者以外の者 (他の事業主が雇用する労働者、就職活動中の学生等の求職者及び労働者以外の者)に対する 言動についても、同様の方針を併せて示すことが望ましい。 また、これらの者から職場におけるセクシュアルハラスメントに類すると考えられる相談が あった場合には、その内容を踏まえて、4の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を 行うように努めることが望ましい。
○就活等セクハラを受けた経験→インターンシップ中にセクハラを経験した者は30.1%、就職活動中にセクハラを経験した者は31.9%である。
○就活等セクハラの心身への影響→過去3年間に就活等セクハラを受けた経験があると回答した労働者の心身への影響について、インターンシップ中とインターン以外の 就職活動の両場面で 「怒りや不満、不安などを感じた」、「就職活動に対する意欲が減退した」、「眠れなくなった」が上位3つを占め る。
○企業における就活等セクハラに関する取組状況→就活生等からの相談への適切な対応等に取り組む企業は一定数みられるが、「特にない」としている企業も従業員規模1,000人以上の企業において42.1%、300〜999人規模企業において48.0%、100〜299人規模企 業において55.7%、99人以下規模企業において65.6%である。

○いわゆる「自爆営業」について(「規制改革実施計画」(令和6年6月21日 閣議決定)(抄) )→b 厚生労働省は、職場における自爆営業に関連する使用者等の言動がパワーハラスメントの3要素(労働施策の総合的な推進並びに労働者 の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41 年法律第132 号。以下「労推法」という。)第30 条の2第1項に規定する、職場 において行われる@優越的な関係を背景とした言動、A業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、B労働者の就業環境が害されるもの)を 満たす場合は、パワーハラスメントに該当する可能性があることに鑑み、使用者及び労働者にその旨を周知する観点から、事業主が職場に おける優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。 以下「パワハラ防止指針」という。)の改正について労働政策審議会において検討を開始する。

○(参考)ILOの「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃」に関する条約・勧告 (第190号条約/第206号勧告)について→2019年6月のILO総会で「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃」に関する条約(第190号)及び勧告(第206号)が採択された。


◎資料2 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題
1.女性の職業生活における活躍の更なる推進↓
⑴ .女性活躍推進法の延長
→女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成 27 年法律第 64 号)につ いて、令和7年度末に期限を迎えるが、期限を延長することについてどのように考えるか。 ⑵ .中小企業における取組の推進→常時雇用する労働者の数が 100 人以下の企業については、現在、一般事業主行動計画の策定が努力義務となっているが、この点についてどのように考えるか。 ⑶.女性の職業生活における活躍に関する情報公表の充実→ @ 男女間賃金差異の情報公表の拡大⇒・男女間賃金差異の情報公表に関して、常時雇用する労働者の数が 301 人以上の 企業において公表が義務となっているが、その対象となる企業規模の拡大につい てどのように考えるか。 ・男女間賃金差異について、指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要 因の分析を行うことが重要である中で、「説明欄」の更なる活用を促していくことについてどのように考えるか。 A 女性管理職比率等の情報公表の義務化等⇒女性管理職比率の情報公表について、女性管理職比率の向上に向けた取組を促すため、公表を義務とすることについてどのように考えるか。 ・ 仮に公表を義務とする場合に、対象となる企業規模についてどのように考えるか。 ・女性管理職比率の情報公表に当たって、女性管理職の状況の的確な把握を可能 とするため、女性管理職比率について新たに「説明欄」を設けた上で、男女それ ぞれの労働者数を分母とし、男女それぞれの管理職数を分子とする男女別管理職 登用比率を、参考値として記載することを促すことについてどのように考える か。 ・女性管理職比率に係る不適正な計上を防ぐための対策についてどのように考え るか。 B 情報公表必須項目数⇒・常時雇用する労働者の数が 301 人以上の企業及び 101 人以上 300 人以下の企業 について、上記@及びAの議論も踏まえつつ、現在任意の項目から選択した上で 公表しなければならないとされている情報公表項目の数(※)についてどのよう に考えるか。 (※)301 人以上の企業については2項目、101 人以上 300 人以下の企業については1項目  C「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化⇒・女性の職業選択に資することを目的とする情報公表の実効性を高めるとともに、企業の取組を促進する観点から、「女性の活躍推進企業データベース」の活 用を強化することについてどのように考えるか。 ⑷.職場における女性の健康支援の推進→男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康支援の取組を促すことが必要 とされる中で、事業主行動計画策定指針(平成 27 年内閣官房・内閣府・総務省・厚 生労働省告示第1号)等に、そうした要素を盛り込むことについてどのように考えるか。また、プライバシーへの配慮の必要性についてどのように考えるか。 ⑸.えるぼし認定制度の見直し→女性の職業生活における活躍を推進するための取組に積極的ではあるが、現行の えるぼし認定の基準では適切に評価することができない企業について、その取組や 実績を評価することができるよう、必要な見直しを行うことについてどのように考 えるか。 ・職場における女性の健康支援に積極的に取り組む企業のインセンティブとなるよ う、くるみん認定制度における不妊治療に関するプラス認定も参考にしつつ、える ぼし認定制度の見直しを行うことについてどのように考えるか。

2.職場におけるハラスメント防止対策の強化↓
⑴.職場におけるハラスメントは許されるものではない旨の明確化
→ハラスメント対策に総合的に取り組んでいく観点から、事業主の雇用管理上の措 置義務が規定されている4種類のハラスメントに係る規定とは別に、一般に職場の ハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確にすることについて どのように考えるか。 ⑵.顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等(カスタマーハラスメント)対策の強化→ @ 雇用管理上の措置義務の創設⇒カスタマーハラスメントは労働者の就業環境を害するものであり、労働者を保護する必要があることから、カスタマーハラスメント対策について、事業主の雇 用管理上の措置義務とすることについてどのように考えるか。 ・仮に措置義務を設ける場合に、現行法に規定されている4種類のハラスメント の例に倣い、対象となる行為の具体例やそれに対して事業主が講ずべき雇用管理 上の措置の具体的な内容は、指針において明確化することについてどのように考 えるか。 A カスタマーハラスメントの定義⇒カスタマーハラスメントの定義については、「雇用の分野における女性活躍推進 に関する検討会報告書」(令和6年8月8日)において、以下の3つの要素をいず れも満たすものとされているが、この点についてどのように考えるか。また、そ れぞれについて、以下のような事項を指針等で示すことについてどのように考えるか。 @.顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。 ・ 「顧客」には、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含むと考えら れること。 ・ 「施設利用者」とは、施設を利用する者をいい、施設の具体例として は、駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等が考えられること。 ・ 「利害関係者」には、法令上の利害関係だけではなく、施設の近隣住民 等、事実上の利害関係がある者も含むと考えられること。 A.社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。 ・ 権利の濫用・逸脱に当たるものをいい、社会通念に照らし、当該顧客等 の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、又は、手段・態様が 相当でないものが考えられること。 ・ 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の判断については、「言動の内 容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断することが適当であり、 一方のみでも社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得ることに留意が 必要であること。 ・ 事業者又は労働者の側の不適切な対応が端緒となっている場合もあるこ とにも留意する必要があること。 ・ 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の具体例 B.労働者の就業環境が害されること。 ・ 労働者が身体的又は精神的苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとな ったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業す る上で看過できない程度の支障が生じることを意味すること。 ・ 「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受け た場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生 じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当であるこ と。 ・ 言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回でも就業環境を害する場合があり得ること。 B 上記のほか指針等において示すべき事項⇒仮に措置義務を設ける場合、検討会報告書の内容や、他のハラスメントの例も 踏まえ、指針等において、上記Aの定義に関することのほか、以下のような事項 を示すことについてどのように考えるか。 @.総論 ・ 顧客等からのクレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけで はなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわば「正 当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する 必要があること。 ・ カスタマーハラスメント対策を講ずる際、消費者法制により定められてい る消費者の権利等を阻害しないものでなければならないことや、障害を理由と する差別の解消の推進に関する法律(平成 25 年法律第 65 号)に基づく合理的 配慮の提供義務を遵守する必要があることは当然のことであること。 ・ 各業法等によりサービス提供の義務等が定められている場合等があること に留意する必要があること。 A.講ずべき措置の具体的な内容 ・ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 ・ 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ・ カスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(カスタマーハ ラスメントの発生を契機として、カスタマーハラスメントの端緒となった商 品やサービス、接客の問題点等が把握された場合には、その問題点等そのも のの改善を図ることも含む。) ・ これらの措置と併せて講ずべき措置。 C 他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定⇒仮に措置義務を設ける場合に、セクシュアルハラスメントに係る雇用の分野に おける男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和 47 年法律第 113 号)第 11 条第3項の規定を踏まえ、カスタマーハラスメントについても、事業主 が、他の事業主から必要な協力を求められた場合の協力に関する規定を設けることについてどのように考えるか。 D カスタマーハラスメントの防止に向けた周知・啓発⇒カスタマーハラスメントの防止に向けて、消費者等に対して必要な周知・啓発 を行うことについてどのように考えるか。 ⑶.就活等セクシュアルハラスメント対策の強化→ @ 雇用管理上の措置義務の創設⇒就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するハラスメントのうち、特にセ クシュアルハラスメントの防止を、職場における雇用管理の延長として捉えた上で、事業主に義務付けられた雇用管理上の措置が講じられるようにしていくこと についてどのように考えるか。 A 指針等において示すべき事項⇒ 仮に措置義務を設ける場合に、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な 内容については、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針」(平成 18 年厚生労働省告示第 615 号)の 内容を参考とするほか、例えば以下の内容を、指針等に盛り込むことについてど のように考えるか。 ・ 事業主の方針等の明確化に際して、その雇用する労働者が求職者と面談等を 行う際のルールをあらかじめ定めておくことや、求職者の相談に応じられる窓 口を求職者に周知すること。 ・ セクシュアルハラスメントが発生した場合には、被害者である求職者への配 慮として、事案の内容や状況に応じて、行為者の謝罪や、相談対応等が考えられること。 ⑷.いわゆる「自爆営業」についての考え方の明確化⇒いわゆる「自爆営業」に関して、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満 たす場合にはパワーハラスメントに該当することについて、「事業主が職場における 優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等 についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)に明記することについてどのよ うに考えるか。


◎参考資料1 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 概要
○前回の第72回労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料と同じのため割愛
◎参考資料2 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書
○前回の第72回労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料と同じのため割愛
◎参考資料3 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料
○前回の第72回労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料と同じのため割愛

次回は新たに「第17回 成年後見制度利用促進専門家会議資料」からです。

第72回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 [2024年11月25日(Mon)]
第72回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(令和6年9月 30 日)
<議題> 女性活躍推進及びハラスメント対策について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43970.html
◎資料1 女性活躍推進に関する現状等  厚生労働省 雇用環境・均等局 雇用機会均等課
○女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成2 7年法律第6 4号)の概要↓
1.目的
→女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図る。10年間の時限立法 (〜R8(2026).3.31)
2.概要→・一般事業主(民間企業等)、特定事業主(国・地方公共団体)は⑴〜⑶の対象。情報公表項目は参照。 ・ 国等は、優良な一般事業主に対する認定(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)、 公共調達における受注機会の増大等の施策を実施。 地方公共団体は、国の施策に準じて受注機会の増大等の施策を実施(努力義務)。 ・ 地方公共団体は、推進計画(区域内の女性活躍の推進に係る計画)を策定、公表(努力義務)

○女性の年齢階級別就業率と年齢階級別正規雇用比率(平成15年と令和5年の比較)→・女性の年齢階級別就業率は、令和5年ではカーブが浅くなり、台形に近づいている。 ・女性の年齢階級別正規雇用比率は令和5年では子育て世代である30代以降に低下し、「L字」カーブを描いてい るが、平成15年と比較すると上昇している。
○男女間賃金差異とその要因→長期的には縮小傾向。 ・男女間賃金差異の要因で最も大きいのは、役職の違い(管理職等比率)であり、次いで勤続年数の違いと なっている。
○男女間賃金差異の国際比較→国際的に見ると依然男女間賃金差異は大きい。
管理職等に占める女性割合→長期的には上昇傾向、国際的に見ると依然その水準は低い。
○勤続年数→女性一般労働者の平均勤続年数は延びているが、男性よりいまだ短い(令和5年の平均勤続年数は男性13.8年 に対して女性9.9年)。
○女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定届出数の実績→一般事業主行動計画策定の義務対象企業の届出率は98.4%。
○女性活躍推進法に基づく情報公表→常時雇用する労働者数が301人以上の事業主については、男女の賃金の差異に加え、 「@ 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」 のうちから1項目以上 「A 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境整備」のうちから1項目以上 計3項目以上を公表することが必要。⇒@ 女性労働者に対する職業生活に 関する機会の提供 A 職業生活と家庭生活との両立に 資する雇用環境の整備 参照。
○説明欄の活用について→自社の実情を正しく理解してもらうために『説明欄』を有効活用することが望ましい。(「男女の賃金の差異」以外の情報を任意で追加的に公表可能。)
○男女間賃金差異の情報公表状況→女性活躍推進法に基づき、常時雇用する労働者数301人以上の事業主に対し、令和 4年7月8日から義務付けられ、公表時期は各事業年度が終了し、新たな事業年度が開始した後おおむね3ヶ月以内とされて いる。
○男女間賃金差異の公表等に係る企業の実感→男女間賃金差異の公表等の女性活躍推進の取組を行った企業について、公表を契機として、差異の要因の分析や 社内での現状共有が進み、具体的な取組や社内外での評判の向上にもつながったという例が見られる。⇒男女間賃金差異の公表の取組事例 参照。
○男女の賃金の差異に関する詳細分析と公表の手応え→男女の賃金の差異の情報公表を行った企業のうち、詳細分析を行った企業と行っていない企業を比較すると、企業規模にかかわらず、 詳細分析を行った企業では「賃金差異改善に向けた社内の意識向上」の他、「新たな取組の実施や制度の創設」に繋がった企業や、意識 向上と取組の両方に繋がった企業の割合が高い。
○女性の活躍推進企業データベース→女性活躍推進法に基づき、各企業が策定した一般事業主行動計画と、自社の女性活躍に関する情報を公表するウェブサイトで、厚生労働省が運営しています。
○女性の活躍推進企業データベースの活用状況→一般事業主行動計画の公表、 女性の活躍に関する情報の公表の項 参照
○「女性の活躍推進企業データベース」における情報公表の状況(公表した項目別)→「女性の活躍推進企業データベース」で情報公開をしている企業の平均情報公開項目数は5項目で、公表している割合の 多い順に、「労働者に占める女性労働者の割合」(56.2%)、「管理職に占める女性労働者の割合」(55.3%)、「採用した 労働者に占める女性労働者の割合」(53.7%)となっている。
○「女性の活躍推進企業データベース」における情報公表の状況(企業規模別及び公表項目数別)→「女性の活躍推進企業データベース」での情報の公表項目数は、101〜300人企業は1項目公表の企業が4,337社で一番多く、 301人以上企業は3項目公表の企業が4,028社で一番多い。 ○ 全14項目公表している企業は、1,016社(3.1%)となっている。
○「女性の活躍推進企業データベース」における 平均公表項目数(企業規模別)→情報公表義務対象企業(101人以上企業)では、企業規模が大きくなるほど、情報公表項目数が多くなる傾向にある。
○女性ホルモン・男性ホルモンの生涯の変化→女性の場合、女性ホルモンは更年期に急激に減少するが、男性の場合、男性ホルモンは加齢により緩やかに減少する。
○女性特有の健康課題により職場で困った経験の有無→困った経験があるという回答比率は 51.5%であり、半数 以上の女性が何らかの困った経験を有している。具体的な健康課題・症状としては、「月経関連の症状や疾病」、「PMS(月 経前症候群)」、「更年期障害」、「メンタルヘルス」が主である。
○女性特有の健康課題が仕事に与える影響→女性従業員の約4割が女性特有の健康課題により「職場で何かをあきらめた経験」がある。具体的な内容としては、「正社員として働 くこと」「昇進や責任の重い仕事につくこと」が多い。
○月経不調や更年期障害による不調がつらいときの仕事のプレゼンティーイズ ム損失割合のイメージ→(月経の不調がない者は「もしあっ たらどれくらいになるか」を考えて回答)について、通常の状態の仕事の出来を100%としたときに、52.2%。更年期障害による不調は通常の状態の仕事の出来を100%としたときに、 57.0%となっている。
○生理休暇の利用状況→申請先が男性上司であることや、利用している人 が少ないこと、同僚の目が気になること等により、申 請しづらい。
○企業における不妊治療の制度導入状況→「制度化して行っている」企業は10.6%、「制 度化されていないが個別に対応している」企業は15.9%、これらの企業のうち47.8%が、不妊治療のための制度 として、「不妊治療に利用可能な休暇制度」を挙げている。
○不妊治療におけるプライバシー保護→・不妊治療をしていることを職場で一切伝えていない(伝えない予定の)人は47.1%。 ・職場でオープンにしていない理由は「伝えなくても支障がないから」、「周囲に気遣いをしてほしくないから」が 3割を超えている。
○企業における更年期に関する制度や取組の状況→更年期に関する企業の取組として、新たな休暇制度の創設に取り組んでいる企業は1.9%、様々な休暇制度の柔軟 な運用を行っている企業は5.4%となっている。
○えるぼし認定、プラチナえるぼし認定→・えるぼし認定:一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況 が優良である等の一定の要件を満たした場合に認定。 ・プラチナえるぼし認定:えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取 組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定<令和2年6月〜>。⇒ 認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」又は「プラチナえるぼし」を商品などに 付すことができる。また、プラチナえるぼし認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除される。
○えるぼし認定、くるみん認定制度の状況→えるぼし認定企業数、くるみん認定企業数の 参照。
○くるみん「プラス」認定 (不妊治療と仕事との両立に係る基準 ) →認定基準に「不妊治療と仕事と の両立」に関する基準を追加<改正後>(令和4年4月〜)


◎資料2 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題
1.女性の職業生活における活躍の更なる推進
⑴ .女性活躍推進法の延長
→女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成 27 年法律第 64 号)につ いて、令和7年度末に期限を迎えるが、期限を延長することについてどのように考えるか。
⑵ .中小企業における取組の推進→常時雇用する労働者の数が 100 人以下の企業については、現在、一般事業主行動 計画の策定が努力義務となっているが、この点についてどのように考えるか。
⑶.女性の職業生活における活躍に関する情報公表の充実
@ 男女間賃金差異の情報公表の拡大
A 女性管理職比率等の情報公表の義務化等
B 情報公表必須項目数
C 「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化
⑷.職場における女性の健康支援の推進→男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康支援の取組を促すことが必要 とされる中で、事業主行動計画策定指針(平成 27 年内閣官房・内閣府・総務省・厚 生労働省告示第1号)等に、そうした要素を盛り込むことについてどのように考え るか。また、プライバシーへの配慮の必要性についてどのように考えるか。
⑸.えるぼし認定制度の見直し→・女性の職業生活における活躍を推進するための取組に積極的ではあるが、現行の えるぼし認定の基準では適切に評価することができない企業について、その取組や 実績を評価することができるよう、必要な見直しを行うことについてどのように考 えるか。 ・職場における女性の健康支援に積極的に取り組む企業のインセンティブとなるよ う、くるみん認定制度における不妊治療に関するプラス認定も参考にしつつ、える ぼし認定制度の見直しを行うことについてどのように考えるか。

2.職場におけるハラスメント防止対策の強化
⑴.職場におけるハラスメントは許されるものではない旨の明確化
→・ハラスメント対策に総合的に取り組んでいく観点から事業主の雇用管理上の措 置義務が規定されている4種類のハラスメントに係る規定とは別に、一般に職場の ハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確にすることについて どのように考えるか。
⑵.顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等(カスタマーハラスメント)対策の強化↓
@ 雇用管理上の措置義務の創設
→・カスタマーハラスメントは労働者の就業環境を害するものであり、労働者を保護する必要があることから、カスタマーハラスメント対策について、事業主の雇用管理上の措置義務とすることについてどのように考えるか。 ・仮に措置義務を設ける場合に、現行法に規定されている4種類のハラスメントの例に倣い、対象となる行為の具体例やそれに対して事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容は、指針において明確化することについてどのように考えるか。
A カスタマーハラスメントの定義→カスタマーハラスメントの定義については、「雇用の分野における女性活躍推進 に関する検討会報告書」(令和6年8月8日)において、以下の3つの要素をいず れも満たすものとされているが、この点についてどのように考えるか。また、それぞれについて、以下のような事項を指針等で示すことについてどのように考えるか。
@.顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。→・「顧客」には、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含むと考えられること。・ 「施設利用者」とは、施設を利用する者をいい施設の具体例は、駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等が考えられること。・「利害関係者」には、法令上の利害関係だけではなく、施設の近隣住民 等、事実上の利害関係がある者も含むと考えられること。
A.社会通念上相当な範囲を超えた言動であること→・権利の濫用・逸脱に当たるものをいい、社会通念に照らし、当該顧客等 の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、又は、手段・態様が 相当でないものが考えられること。・「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断することが適当であり、 一方のみでも社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得ることに留意が必要であること。 ・ 事業者又は労働者の側の不適切な対応が端緒となっている場合もあるこ とにも留意する必要があること。 ・ 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の具体例
B.労働者の就業環境が害されること
→・ 労働者が身体的又は精神的苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとな ったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業す る上で看過できない程度の支障が生じることを意味すること。 ・ 「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受け た場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生 じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当であるこ と。 ・ 言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回でも就業環境を害する場合があり得ること。
B 上記のほか指針等において示すべき事項→仮に措置義務を設ける場合、検討会報告書の内容や、他のハラスメントの例も 踏まえ、指針等において、上記Aの定義に関することのほか、以下のような事項 を示すことについてどのように考えるか。 @.総論→・ 顧客等からのクレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわば「正当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する 必要があること。 ・ カスタマーハラスメント対策を講ずる際、消費者法制により定められてい る消費者の権利等を阻害しないものでなければならないことや、障害を理由と する差別の解消の推進に関する法律(平成 25 年法律第 65 号)に基づく合理的 配慮の提供義務を遵守する必要があることは当然のことであること。 ・ 各業法等によりサービス提供の義務等が定められている場合等があること に留意する必要があること。 A.講ずべき措置の具体的な内容→ ・ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 ・ 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ・ カスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(カスタマーハ ラスメントの発生を契機として、カスタマーハラスメントの端緒となった商 品やサービス、接客の問題点等が把握された場合には、その問題点等そのも のの改善を図ることも含む。) ・ これらの措置と併せて講ずべき措置
C 他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定→仮に措置義務を設ける場合に、セクシュアルハラスメントに係る雇用の分野に おける男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和 47 年法律第 113 号)第 11 条第3項の規定を踏まえ、カスタマーハラスメントについても、事業主 が、他の事業主から必要な協力を求められた場合の協力に関する規定を設けるこ とについてどのように考えるか。
D カスタマーハラスメントの防止に向けた周知・啓発→ カスタマーハラスメントの防止に向けて、消費者等に対して必要な周知・啓発 を行うことについてどのように考えるか。
⑶.就活等セクシュアルハラスメント対策の強化 ↓
@ 雇用管理上の措置義務の創設→就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するハラスメントのうち、特にセ クシュアルハラスメントの防止を、職場における雇用管理の延長として捉えた上で、事業主に義務付けられた雇用管理上の措置が講じられるようにしていくこと についてどのように考えるか。
A 指針等において示すべき事項→仮に措置義務を設ける場合に、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な 内容については、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針」(平成 18 年厚生労働省告示第 615 号)の 内容を参考とするほか、例えば以下の内容を、指針等に盛り込むことについてど のように考えるか。⇒・ 事業主の方針等の明確化に際して、その雇用する労働者が求職者と面談等を 行う際のルールをあらかじめ定めておくことや、求職者の相談に応じられる窓 口を求職者に周知すること。 ・ セクシュアルハラスメントが発生した場合には、被害者である求職者への配慮として、事案の内容や状況に応じて、行為者の謝罪や、相談対応等が考えら れること。
⑷.いわゆる「自爆営業」についての考え方の明確化→いわゆる「自爆営業」に関して、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満 たす場合にはパワーハラスメントに該当することについて、「事業主が職場における 優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等 についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)に明記することについてどのよ うに考えるか。

○(別添) カスタマーハラスメントの3要素↓
• カスタマーハラスメントは以下の3つの要素を満たすもの
@ 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと
A 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
B 労働者の就業環境が害されること


• 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」か否かの判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断。「言 動の内容」、「手段・態様」の片方のみで社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得る。また、正当な指摘等を受けた事業者(労 働者)の側の不適切な対応が端緒となっている場合があることにも留意する必要がある。

• なお、クレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわ ば「正当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する必要がある。


◎参考資料1 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 概要
〜女性をはじめとする全ての労働者が安心して活躍できる就業環境の整備に向けて〜
○ 令和元年に女性活躍推進法等改正法が成立し、一般事業主行動計画の策定義務拡大、情報公表の強化、パワーハラスメント防止のための 事業主の雇用管理上の措置義務等の新設等を講じてきた。
○ 改正法施行後において、 @ 常時雇用する労働者の数が301人以上の企業について、男女の賃金の差異の情報公表が義務化されるという新しい動きがあったが、男女の 賃金の差異は依然として大きく、女性管理職の割合も国際的に見るとその水準は低い、 A ハラスメント関係の相談件数は高止まり傾向にあり、カスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントなどが社会問題化している、 という課題がみられる。
○ これらの課題に加え、平成28年度より施行してきた女性活躍推進法は、令和7年度末で失効するとされているところである。
○ こうした状況を踏まえ、雇用の分野における女性活躍推進の方向性や、ハラスメントの現状と対応の方向性等について議論し、とりまとめた。↓
1 女性活躍推進法等を通じた雇用の分野 における女性活躍の更なる推進→@〜➃ 参照。
2 月経・不妊治療・更年期等の健康課 題への対応→@〜➃ 参照。
3 職場におけるハラスメント対策の充実→@〜➃ 参照。



◎参考資料2 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書
〜女性をはじめとする全ての労働者が安心して活躍できる就業環境の整備に向けて〜
令和6年8月8日
○目次のみ ↓

はじめに
第1 現行の女性活躍推進法を巡る現状と対応の方向性
1 女性活躍推進法を巡る現状と効果
2 男女間賃金差異などの情報公表を巡る状況
3 えるぼし認定、プラチナえるぼし認定の状況
4 女性活躍推進法の施行に当たっての課題
5 今後の対応の方向性
(1)女性活躍推進法の延長
(2)中小企業における取組促進
(3)女性活躍推進法に基づくえるぼし認定
(4)女性の活躍に関する情報公表
(5)男女雇用機会均等法等の履行確保、性別役割分担意識の是正等に向けた取組の推進
(6)女性活躍と両立支援の一体的な取組
第2 女性活躍と月経、不妊治療、更年期等の課題
1 月経、不妊治療、更年期等に係る制度利用の現状等
2 女性の就業との関係
3 今後の対応の方向性
(1)男女の性差に応じた健康支援
(2)ヘルスリテラシー向上
(3)月経、不妊治療、更年期等の健康課題への対応
第3 ハラスメントの現状と対応の方向性
1 ハラスメントの現状
2 先進国におけるハラスメント法制
3 カスタマーハラスメント(顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等)
4 就活等セクシュアルハラスメント
5 今後の対応の方向性
(1)総論
(2)カスタマーハラスメント
(3)就活等セクシュアルハラスメント
(4)ILO第 190 号条約
(5)その他


◎参考資料3 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料
○第1 現行の女性活躍推進法を巡る現状と対応の方向性
1 女性活躍推進法を巡る現状と効果
2 男女間賃金差異などの情報公表を巡る状況
3 えるぼし認定、プラチナえるぼし認定の状況
4 女性活躍推進法の施行に当たっての課題
第2 女性活躍と月経、不妊治療、更年期等の課題
1 月経、不妊治療、更年期等に係る制度利用の現状等
2 女性の就業との関係
第3 ハラスメントの現状と対応の方向性
1 ハラスメントの現状
3 カスタマーハラスメント(顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等)
4 就活等セクシュアルハラスメント
(参考)先進国におけるハラスメント法制

次回は新たに「第73回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

第8回労働政策審議会職業安定分科会 地方連携部会資料 [2024年11月22日(Fri)]
第8回労働政策審議会職業安定分科会 地方連携部会資料(令和6年9月 26 日)
議題 (1)雇用に関する国と地方公共団体との連携状況等について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43394.html
◎資料1 労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会委員名簿
(公益代表)3名。(労働者代表)3名。(使用者代表)3名。 計9名。

◎資料2 雇用に関する国と地方公共団体との連携状況等について
令和6年9月26日   厚生労働省 職業安定局 公共職業安定所運営企画室
T 足下の雇用情勢等
○現在の雇用情勢について
→緩やかに持ち直している。
○就業地別・都道府県別にみた有効求人倍率について→令和6年7月の就業地別・都道府県別の有効求人倍率をみると、全ての都道府県において1倍を上回る水準。
○雇用対策における国と地方公共団体・民間人材ビジネスとの連携→国(ハローワーク)と地方公共団体、民間人材ビジネスには、それぞれの「役割」と「強み」があり、それぞれ強みを 「補完」しあいながら、一体となって雇用対策を進めることで、外部労働市場全体としてマッチング機能の最大化を図る とともに、住民サービスの更なる強化を目指すことが重要。
○地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備 に関する法律(第6次分権一括法)(平成28年法律第47号:ハローワーク地方分権部分)→ハローワーク利用者の利便性を高めることを第一義として、国と地方の連携を抜本的に拡充し た新たな制度を構築する。⇒@〜➃ 参照。

U 国 と地方公共団体との連携施策
1 .雇用対策協定
○雇用対策協定の締結状況
→国と地方公共団体が地域の課題に一丸となって対応⇒ 全国ネットワークで職業紹介・雇用保険・雇用対策を一体的に行う 国(労働局・ハローワーク) と、 地域の実情に応じた各種対策を行う 地方公共団体(都道府県・市区町村) が、 それぞれの役割を果たすとともに、一緒になって雇用対策に取り組み、地域の課題に対応するために 雇用対策協定 を締結しています。
○雇用対策協定締結自治体との連携事例@(熊本県・熊本労働局)→(企業進出に伴う人材確保)県内への半導体製造企業等の進出に伴う人材確保支援の取組⇒実績等 参照。
○雇用対策協定締結自治体との連携事例A(気仙沼市・宮城労働局)→(過疎地域における 人材確保) 人口減少が進む地域での人材確保・雇用環境改善等に向けた連携⇒実績等 参照。
○昨今の雇用対策協定の動向等→・現在、47都道府県すべてと雇用対策協定を締結。 ・ 市町村(基礎自治体)との協定締結についても順次拡大中。 ・ 協定に基づき、地域の人材確保対策や緊急雇用対策などを機動的に講じているほか、 最近では、近隣自治体や地域の関係機関との連携(自治体間連携・地域内連携)を強めた事例もあり。 ・ 今後、国としても、地域経済の活性化や地域課題の解決など、地方創生の実現に向け、都道府県との連携強化 とともに、市町村との協定締結による連携基盤の構築・強化を実施。

U 国 と地方公共団体との連携施策
2 .地域連携就労支援事業 (一体的実施事業 ・ふる さ とハローワー ク )
○地域連携就労支援事業
→地域の実情に応じた雇用対策を実施していくため、国と自治体がそれぞれの特性を活かした雇用対策に取り組むことを目的。⇒2 事業の概要・スキーム・実施主体・事業実績等→地方公共団体の特性、ニーズに応じ3事業を展開し、国は全国ネットワークによる職業紹介・職業相談を実施。(1)〜(3) 参照。
○一体的実施事業の概要→・ 希望する地方公共団体において、国(ハローワーク)が行う無料職業紹介と地方公共団体が行う各 種支援を一体的に実施。 ・ 一体的実施事業は、@地方公共団体の提案に基づき、国と地方公共団体が協議して内容を決定し、協定の締結等により実施に移すこと、A利用者のニーズに応えられるよう運営協議会を設置するこ となど、地方公共団体主導でハローワークと一体となったさまざまな取組が可能。 ・令和6年8月現在、187団体(34道府県153市区町)、341拠点で実施中。 うち生活保護受給者等を主な対象とする取組は115団体、219拠点。
○(参考)一体的実施事業の取組状況→一体的実施事業を実施中の地方公共団体 計187地方公共団体(34道府県153市区町) ※令和6年8月時点
○国及び地方公共団体が実施する業務、支援対象者(令和5年度)→・都道府県では、地域の課題に応じてターゲットとする対象者を特定して就労支援を実施する地方公共団体が多い。 ・ 市区町(基礎自治体)では、生活相談など福祉業務を実施する地方公共団体が多い。⇒⇒ 地域の実情に応じた地方公共団体の業務と、国の行う職業紹介を組み合わせ、効果的な就職支援を実現。
○一体的実施事業の取組状況と利用者の声(令和5年度)→・国保の手続きで市役所に来ました。市役所で職業相談ができてとても助かります。・親身に寄りそってくださり、安心感をもって求職活動ができました。仕事 のサポートだけではなく生活のサポートもあり、不安感が軽減され、双方 のサポートがある施設に出会えて良かったと思います。 等々
○一体的実施事業における就職件数等の推移と事業効果の向上に向けた取組→就職件数等の推移⇒・令和5年度の就職件数、就職率は3年連続増加、 職業相談件数も増加。・就職率は、ハローワーク全体の就職率 を引き続き上回っている。 ※ハローワーク全体の就職率:25.3%(令和5年度)。 ・引き続き、地方公共団体との連携のもと、各地域の 課題解決や住民サービスの充実に向け、事業の効 果の向上を図っていく必要がある。PDCAサイクルによる事業管理の仕組みの徹底も参照のこと。  
○<一体的実施事業の取組事例@>ハローワークi n西淀川 しごと情報ひろば西淀川(大阪府大阪市)→大阪府大阪市とハローワーク梅田が一体となって 周知広報及び誘導を強化!認知度アップ大作戦!⇒実績等 参照。
○<一体的実施事業の取組事例A>ジョブスポットあやせ(神奈川県綾瀬市)→市役所の各担当課と連携し合い、市民の就職を全力サポート!⇒効果等 参照。
○<一体的実施事業の取組事例B> ワークサポートひょうご(神戸市兵庫区)→神戸市兵庫区とハローワーク神戸が一体となって生活保護受給申請中から利用者に寄り添った支援を実施!⇒効果等 参照。
○ふるさとハローワーク→・ふるさとハローワークとは、公共職業安定機関が設置されていない市町村の庁舎等を利用し、市町村が 住民サービスとして実施する相談・情報提供業務に合わせて、国が実施する求人検索機を活用した求人 情報の提供、職業相談・紹介等を行うハローワークの付属施設。 ・ 地域住民の就職の促進及び利便性の向上を図ることを目的として、令和6年4月現在、全国137か所に設 置している。 ・ 就職率は45.2%(令和5年度)であり、ハローワーク全体の就職率(※)を上回っている。 ※ハローワーク全体の就職率: 25.3 %(令和5年度)
○<ふるさとハローワークの取組事例@> 天童ワークプラザ(山形県天童市)→市からの声掛けも功を奏し、ハローワーク求人の充足を実現!⇒効果等 参照。
○<ふるさとハローワークの取組事例A> 山陽小野田市地域職業相談室(山口県山陽小野田市)→市、ハローワーク合同のミニ面接会実施で人材の確保を後押し!⇒効果@〜B 参照。

U 国 と地方公共団体との連携施策
3 .地方版ハロー ワー ク
○地方版ハローワークの概要
→経緯、改正職業安定法の内容、設置状況及び実績等 参照。
○ハローワークの求人情報のオンライン提供について→・令和6年6月1日時点で2,177団体(前年同時期より18団体増)が利用 自治体等432団体(46都道府県、342市区町村、国の機関1団体、都道府県ナースセンター等43団体)、職業紹介事業者1,409団体(有料1,332 団体、無料77団体)、 学校等251団体、特別の法人25団体町村。・【令和5年度実績】採用決定数10,195件 自治体:4,780件、民間職業紹介事業者:2,369件(有料2,071件、無料298件)、学校等:1,585件、特別の法人:1,461件。
○ハローワーク求職情報の提供サービス→国・地方・民間が、それぞれの役割・機能に応じた連携を強化し、「外部労働市場全体のマッチ ング機能の最大化」を図るため、ハローワークの求職情報を民間職業紹介事業者及び地方自治体等に提供する取組を実施(平成28年3月22日から開始)。⇒利用状況 参照。
○地域の機関との連携状況→ハローワークは、地方公共団体をはじめ、経済団体や業界団体、民間人材ビジネス会社、NPO法人、社会福祉協議会、更生保護法人、 病院・学校、金融機関、報道機関など、様々な地域の関係機関と連携し、地域の就労支援の要としての機能を果たしている。
○地域の関係機関との具体的な連携事例→石川労働局・ハローワークと社会福祉協議会など地域の関係機関との連携⇒ 令和6年能登半島地震に伴い、石川労働局及び管内監督署・安定所に「特別労働相談窓口」「学生震災特別窓口」が開設 されたこと及び雇用保険及び雇用調整助成金の特例措置が実施されたことを受け、→・ ハローワークから働きかけ、各自治体の厚生部局、社会福祉協議会、避難所に雇用保険の特例措置のリーフレッ トを配架。また、緊急小口貸付のリーフレットをハローワークで配架し、震災関係の支援策周知を連携して実施。 ・ 石川県内の大手コンビニエンスストアチェーン全店舗(246店舗のうち休業中の15店舗を除く)において、 レジ液晶POP画面を活用して雇用調整助成金および雇用保険の特例等の周知を実施。 ・ 労働局長定例記者会見において、特別労働相談窓口など労働相談窓口一覧表と雇用調整助成金の特例措置のリーフ レットを配布し、報道各社に周知協力を要請。 ・ テレビ放送のテロップにて、石川労働局署所における特別労働窓口開設及び学生震災特別窓口開設を案内。 ・ 地元紙にて、特別労働相談窓口、学生震災特別窓口、雇用調整助成金特別相談窓口などについて掲載。

次回は新たに「第72回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

第18回社会保障審議会年金部会 [2024年11月21日(Thu)]
第18回社会保障審議会年金部会(令和6年9月20日)
議事(1)「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に 関する懇談会における議論の取りまとめ」(2)その他の制度改正事項 (3)公的年金シミュレーターについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240920.html
◎資料4 公的年金シミュレーターについて
1 公的年金シミュレーターの開発経緯と概要
○年金広報に関する年金部会における 「議論の整理 」(令和元年 1 2月 )↓
・年金広報のあり方
→• 働き方の多様化、高齢期の長期化が進む中、老後の所得保障や退職後の生活設計の情報に対するニーズは高まっている。年金制度については、広報媒体の多様化や世代の特性も踏まえつつ、様々な媒体を適切に用いた周知を行いながら、正しい情報を正確に伝え、関係者の理解を得ていくことが重要。 • 年金に関して様々なウェブサイトがあることで、かえって知りたい情報にアクセスすることが難しいとの指摘もあったことから、2019(平成 31)年4月、厚生労働省ホームページ上に、ライフイベントごとに必要な年金情報が整理されたサイトである「年金ポータル」が開設された、引き続き広報の充実・強化に取り組むとともに、戦略的な広報展開を検討すべきである。
・生涯を通じた年金教育→個別の制度の仕組みや個々人の状況の情報提供にとどまらず、誰もが人生を歩んでいく上で避けることのできないリスク(年金制度の場合は 稼得能力の喪失)に対して、社会全体で連帯して備える社会保障制度という大きな枠組みの中で、貯蓄ではなく保険の考え方を基本に構築されている年金制度の意義や位置付けを理解してもらうことも重要、子どもの頃から生涯を通じた年金教育の取組を進める必要がある。
・被用者保険の適用拡大→• 短時間労働者に対する適用拡大を進めるに当たっては、被用者保険加入によるメリットへの理解を十分に広めながら取り組むことが望まれる。 • 企業が従業員への説明に使えるよう、または労働者本人が自ら被用者保険加入のメリットを実感することができるとともに、自らの適用状況 が適切であるかを確認できるよう、非専門家でも理解しやすい説明ツールを整備することも必要である。
・年金の見える化→高齢期の生活は多様であり、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や、働き方の希望、収入・資産の状況なども様々である。公的年金制度に関する関心内容として「自分が受け取れる年金はどのくらいか」が最も高くなっており、制度自体の広報・周知に加えて、個々人の老後の 公的年金の支給額等がいくらとなるか若い頃から見通せるようにすることが、老後生活や年金に対する不安を軽減するためにも重要である。 次期制度改正で、高齢者が自身の就業状況等に合わせて年金の受給開始時期の選択肢を60〜75歳までに拡大することも踏まえれば、その必要性は一層高まる。こうした観点から、これまでも「ねんきんネット」による年金見込額試算の充実などが取り組まれているが、さらに、公的年金、私的年金を通じて、個々人の現在の状況と将来の見通しを全体として「見える化」し、老後の生活設計をより具体的にイメージできるよ うにするための仕組みを検討すべきである。

○現行の公的年金シミュレーターの概要→・公的年金シミュレーターは、令和2年改正年金法を分かりやすく周知すること、働き方や暮らし方の変化に伴う年金額の変化を「見え る化」することを目的として、令和4年4月から運用を開始した。 ・ ねんきん定期便の二次元コードを読み取るなどして将来の年金受給見込額を簡単に試算でき、働き方や暮らし方の変化に応じた年 金額の変化も試算できる。令和5年4月に年金受給開始時点での税や保険料の大まかなイメージを表示する機能を追加し、同年7月 には民間サービスとの連携に向けたプログラムを公開、令和6年1月には在職定時改定の試算機能を追加した。・ 公的年金シミュレーターを利用して、実際に試算を行った回数は令和6年9月10日時点で500万回超。
○公的年金シミ ュ レー ターによる将来の年金見込み受給額試算について→「公的年金シミュレーター」は、将来受け取る年金受給見込額を固定して表示するだけではなく、個々人の働き方暮らし方の 変化による多様なライフコースに応じた様々なパターンの年金受給見込額を簡単な入力で試算・表示することが可能。
○公的年金シミュレーターの活用促進の取組→・令和6年4月に更改した社会保険適用拡大特設サイトや適用拡大に関する広報物に、公的年金シミュレーターの二次元バーコードや利用案内を掲載し、適用拡大の対象者などが社会保険に加入したときの年金額の変化を試算できるように している。 ・ 令和6年5月に公表した中高生向けの年金教材で公的年金シミュレーターを取り上げ、学生が働き方などの変化に伴う 年金額の変化を試算しながら、年金の仕組みを理解できるようにしている。
○公的年金シミュレーターの活用促進の取組(金融経済教育との連携)→令和6年4月に発足した金融経済教育推進機構(J-FLEC)が8月に公表した標準講義資料で、公的年金制度などの説明 に合わせて公的年金シミュレーターとねんきんネットを紹介している。

2 公的年金シミュレーターのこれまでの議論の状況
○これまでの年金部会における主なご意見(公的年金シミュレーター)
→【年金制度改正】【民間連携】【年金教育での利用促進】【ライフプランに合わせた利用促進】【公的/私的を合わせた制度周知・個人の年金の状況の見える化】 参照。
○公的年金制度への意識・ニーズについて(令和5年 世論調査)→・「老齢年金の仕組みや役割についての認識」の問に対して、「学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある」ことを知っている人は82.0%、「60〜75歳までの間で受け取り始める時期を選択できる」ことを知っている人は73.0%であった。・ 障害年金の仕組みがあることを知っている方は59.6%、遺族年金の仕組みがあることを知っている方は77.3%だった。
○障害年金制度への意識・ニーズについて@(令和5年 世論調査)→・障害年金の仕組みがあることを知っているか聞いたところ、「18〜29歳」は43.7%、「30〜39歳」は56.0%、「40 〜49歳」が55.8%、「50〜59歳」が57.4%、「60〜69歳」が66.1%、「70歳以上」が65.4%だった。特に、20代の方 の障害年金の仕組みの認知率が他の世代に比較して低かった。
○障害年金制度への意識・ニーズについてA (令和5年 世論調査)→「障害年金について詳しく知りたいこと」の問いに対し、回答全体で見ると「障害の程度・保険料納付実績等受給のための要件」の割 合がが67.1%と最も高かった。また、20代から50代の方は「障害年金を請求する方法」、「障害年金の額や計算方法、シミュレーション の仕方」について知りたいとの回答が高かった。
○私的年金制度への意識・ニーズについて(令和5年 世論調査)→「私的年金制度について、詳しく知りたいこと」の問に対し、回答全体で見ると「加入のメリット」の割合が48.9%と最も高かった。 また、特に30代から50代の方は「将来の受給可能見込額」について知りたいとの回答の割合が高かった。

3 次期公的年金シミュレーターの開発方針と新たな機能
○次期公的年金シミュレーターの開発方針と新たな機能
→令和4年4月から運用している現行の公的年金シミュレーターの保守、運用が令和7年度末で終了することから、年金 部会などでのご意見を踏まえ、以下の案により、令和8年4月から新たに運用を開始する予定の「次期公的年金シミュ レーター」の開発を進めることとしてはどうか。⇒次期公的年金シミュレーターの開発方針(案)、次期公的年金シミュレーターの機能(案) 参照。
○次期公的年金シミュレーターの新たな機能を設ける目的→障害年金の試算機能を設ける目的(案)、iDeCoの試算機能を設ける目的(案)  参照。
○(参考)諸外国の例(就労不能給付の表示)→次期公的年金シミュレーターにおいては、障害年金の基本的な仕組みや特徴を分かりやすく国民に周知することが考 えられる。具体的には、一定の支給要件を満たした場合、障害基礎年金(2級)については、保険料納付期間にかか わらず老齢基礎年金満額(40年加入)と同額が支給されることや、障害厚生年金については、被保険者期間が300月 (25年)未満でも300月とみなして年金額が計算されること、障害が重い場合(1級)には年金額が1.25倍になるこ となど、最低保障機能が強化されていることを理解しやすいように、ユーザー視点から簡素で見やすい設計にするも のとし、専門家の助言・監修を踏まえ、画面設計を行う。


◎参考資料1 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ   2024(令和6)年7月3日
働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会
○目 次

T.はじめに
U.これまでの被用者保険の適用拡大の状況
(1)制度改正の変遷 (2)適用拡大の状況等
V.被用者保険の適用に関する基本的な視点
(1)被用者にふさわしい保障の実現 (2)働き方に中立的な制度の構築
(3)事業所への配慮等
W.短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方
(1)労働時間要件 (2)賃金要件 (3)学生除外要件 (4)企業規模要件
X.個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方
Y.多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方
(1)多様な働き方の実態 (2)複数の事業所で勤務する者 (3)フリーランス等
Z.おわりに

(別紙1)働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会構成員名簿
(別紙2)働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会議論の経緯


◎参考資料2 被用者保険の適用拡大 参考資料集
1.被用者保険の適用拡大に関する基本情報↓

○被用者保険の適用拡大のこれまでの経緯
○被用者保険の更なる適用拡大についての検討規定・附帯決議
○全世代型社会保障構築会議 報告書(令和4年1 2月1 6日)(抜粋)
○全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について(令和5年12月22日閣議決定)(抜粋)
○適用拡大の効果
○被用者保険に加入することによるメリット
○厚生年金保険に加入することによるメリット

○社会保険(健康保険)への加入のメリット@(傷病手当金)
○傷病手当金の特徴
○傷病手当金の支給状況
○社会保険(健康保険)への加入のメリットA(出産手当金)

2.短時間労働者に対する適用範短囲の在り方について↓
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に向けた検討について
○短時間労働者に対する被用者保険の適用要件の考え方

○労働時間要件(これまでの議論の経緯@)
○労働時間要件(これまでの議論の経緯A)
○賃金要件(これまでの議論の経緯@)
○賃金要件(これまでの議論の経緯A)
○学生除外要件(これまでの議論の経緯@)
○学生除外要件(これまでの議論の経緯A)
○企業規模要件(これまでの議論の経緯@)
○企業規模要件(これまでの議論の経緯A)
○業種別のパート労働者の雇用状況
○従業者規模別の雇用者に占める「非正規の職員・従業員」の割合
○常用雇用者規模別の企業数の分布
○従業者規模別の「非正規の職員・従業員」数の分布
○短時間労働者を取り巻く雇用環境
○令和5年度の最低賃金について
○令和5年度 地域別最低賃金額一覧
○短時間労働者として働く理由や被用者保険の魅力度について
○第1号被保険者である会社員・公務員の基本給及び労働時間について
○第3号被保険者である会社員・公務員の基本給及び労働時間について
○学生の被保険者区分及び就業状況
○短時間被保険者数及び対象事業所の推移
○短時間被保険者の性別・年齢階級別分布
○短時間労働者の標準報酬月額別分布
○短時間被保険者の業種別分布
○被保険者全体の標準報酬月額別分布
○健康保険における標準報酬月額5.8〜7.8万円の被保険者について
○(参考)雇用保険法等の一部を改正する法律の概要
○(参考)雇用保険の適用拡大
○平成2 8年1 0月の適用拡大の対象企業における動向の変化について
○令和4年1 0月の適用拡大に伴う企業の調整方針及び雇用管理の見直し状況
○令和4年1 0月の適用拡大に伴う企業の平均所定労働時間の変化
○令和6年1 0月に向けた適用拡大に伴う企業の調整方針
○短時間労働者の任意適用 企業の活用理由
○短時間労働者の任意適用 適用後の変化
○適用拡大の短時間労働者への影響について
○配偶者がいる女性のパートタイム労働者の就業調整の有無・理由
○短時間労働者が意識する可能性のある「年収の壁」
○いわゆる「年収の壁」の概要とポイント
○いわゆる「年収の壁」に関する適用関係(イメージ)
○年末の就業調整と 被扶養認定基準(130万円)と被用者保険適用基準(106万円)について
○所得税に関する年収基準(配偶者)
○「年収の壁」への当面の対応策(「年収の壁・支援強化パッケージ」)概要

3.個人事業所に係る適用範囲の在り方について↓
○被用者保険が適用される個人事業所の非適用業種
○適用業種・非適用業種の分類
○被用者保険の強制適用事業所の変遷
○個人事業所に係る国会における議論@➁
○令和2年改正時の議論

○業種別の法人・個人事業所別の事業所数
○業種別の法人・個人事業所別の事業所比率
○業種別の法人・個人事業所別の常用雇用者数
○業種別の法人・個人事業所別の常用雇用者比率
○厚生年金保険の被保険者数(個人設立のみ)の推移
○産業別・規模別の任意包括適用事業所数
○労災保険・雇用保険の適用状況

4.多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について↓
・複数の事業所で勤務する者関係↓

○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用関係について
○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務について
○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務(医療保険)
○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務(年金)
○令和2年改正における議論の経緯(複数事業所就業者関係)
○副業・兼業の現状(働き手側@)
○副業・兼業の現状(働き手側A)
○副業・兼業の現状(働き手側A:正規の職員・従業員)
○副業・兼業の現状(働き手側A:非正規の職員・従業員)
○複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用

4.多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について↓
・フリーランス、ギグワーカー関係↓

○健康保険法・厚生年金保険法における「使用される者」の考え方@➁
○令和2年改正における議論の経緯(フリーランス・ギグワーク関係)
○被用者保険の更なる適用促進に向けた社会保険行政及び労働行政の連携について
○フリーランスの働き方@
○フリーランスの働き方A
○フリーランスとして働く方の人数及び年齢構成
○フリーランスとして働く方の産業大分類別の人数
○本業としてフリーランスを選んだ主な理由
○フリーランスとして働く方の年収

○フリーランスとして働く方の週間就業時間の状況
○主要国の年金制度の適用範囲(特に自営業者の扱い)
○諸外国における自営業者への年金制度の適用
○主要国の医療保障制度
○労働基準法の「労働者」に関する議論の状況
○労働基準法の 「労働者」の判断基準(昭和6 0年労働基準法研究会報告)
○労働基準関係法制研究会
○労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理@〜➃
○多様な就業者に対する5つのアプローチ(主な学説)
○カリフォルニア州における「AB5」(通称)
○アメリカ公正労働基準法における労働者と個人事業主の区別(被用者性判断基準)
○プラットフォーム労働における労働条件改善に関する指令案( E U )
○労災保険特別加入制度について
○フリーランス法の制定に伴う労災保険の特別加入制度の拡大について

5.広報等の取組↓
○従来の社会保険適用拡大コンテンツ
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツについて
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(労働者向けチラシ@)
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(労働者向けチラシA)
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(労働者向けショート動画)
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(人事労務管理者向け手引き)
○専門家活用支援事業について
○「GビズID」を活用した社会保険手続の電子申請について
○電子申請の利用促進に向けた周知・広報等
○中小企業におけるI T・ソフトウェアの分野別導入状況
○よろず支援拠点とは
○よろず支援拠点におけるワンストップ支援のイメージ
○価格交渉・転嫁を支援する全国的なサポート体制について

6.年金制度・医療保険制度の概要↓
○年金制度の仕組み
○保険料負担と年金給付 (国民年金・厚生年金)
○我が国の医療制度の概要
○医療保険制度の体系
○被用者保険者の概要
○適用拡大に伴う医療保険における加入者移動(イメージ)

次回は新たに「第8回労働政策審議会職業安定分科会 地方連携部会資料」からです。

第18回社会保障審議会年金部会 [2024年11月20日(Wed)]
第18回社会保障審議会年金部会(令和6年9月20日)
議事(1)「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に 関する懇談会における議論の取りまとめ」(2)その他の制度改正事項 (3)公的年金シミュレーターについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240920.html
◎資料1 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方について
○被用者保険の適用の在り方について本日お願いする議論→本日は、「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」において取り扱われた項目について委員のご議論をお願いしたい。 ↓

◆ 短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方→• 労働時間要件 • 賃金要件 • 学生除外要件 • 企業規模要件
◆ 個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方
◆ 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方→• 複数の事業所で勤務する者 • フリーランス等

○被用者保険の適用拡大のこれまでの経緯→就労形態の多様化等を背景として、短時間労働者への被用者保険の適用に関する検討が2000年(平成12年)頃より行われて きたが、負担増となる事業主側の経営への影響に対する懸念等もあり、段階的に適用拡大の取組みを進めてきた。⇒平成16年改正〜令和2年改正の流れあり。 参照。
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要→@➁Bあり。B令和2年の改正では、従業員50人超の企業等まで適用範囲を拡大。(100人超(2022年10月)→50人超(2024年10月))。                                                                                                                                                                                                                    
○短時間労働者に対する被用者保険の適用要件の考え方→@週の所定労働時間が20時間以上あること A賃金が月額8.8万円(年収106万円相当)以上であること B学生を適用対象外とすること C一定規模以上の企業を強制適用対象とすること  参照。
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に向けた検討→企業規模要件、時間要件、賃金要件などの検討が考えられる。⇒更なる短時間労働者の適用拡大のイメージ 参照。
○被用者保険が適用される個人事業所の非適用業種→【被用者保険の適用事業所】 ⇒・ 常時1名以上使用される者がいる、法人事業所 (A) ・・・ 強制適用。 ・ 常時5名以上使用される者がいる、法定17業種に該当する個人の事業所 (B) ・・・ 強制適用。 ・ 上記以外 (C)・・・ 強制適用外(労使合意により任意に適用事業所となることは可能=任意包括適用)。
○適用業種・非適用業種の分類
→日本標準産業分類(大分類)、適用業種・非適用業種(個人事業主である場合)の区分  参照。
○これまでの年金部会における主なご意見(被用者保険の適用拡大)↓
・【適用拡大の意義】→3意見あり。 ・ 第1号被保険者の中に被用者が多いという状況は、被用者には被用者にふさわしい制度を適用するという原則から乖 離しており、どのような働き方をしてもセーフティネットが確保され、誰もが安心して働けるためには、適用拡大の徹 底が喫緊の課題。
・【企業規模要件・非適用業種】→4意見あり。・ 雇用形態、勤務先の企業規模や業種によって被用者保険の適用の有無が変わることは不合理であり、企業規模要件の 速やかな撤廃・個人事業所に係る非適用業種の見直しの議論を進めるべき。
・【週20時間要件・賃金要件】→7意見あり。 ・ 雇用保険の加入対象を週20時間未満の労働者に拡大する場合は、厚生年金についても労働時間要件の引下げについて 検討すべき。拡大で新たに対象となる労働者数などのデータを元に議論を進めてほしい。
・【フリーランス・ギグワーカー、副業・兼業】→4意見あり。 ・ 1つの企業に長く勤める方がいいと考える若者の割合は過去20年で最も低く、フリーランスやギグワーカーなどの新しい働き方が出てきていることを踏まえ多様化するキャリアを前提とした議論が必要。

○「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」について→本懇談会では、(1)短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方、(2)個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在 り方、(3)複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方を主な議題として、被用者にふさわしい保障の実現、働き方や雇用の選択を歪めない制度の構築等の観点から検討を行い2024年7月3日に議論を取りまとめた。⇒構成員、経過、ヒアリング先 参照。

○被用者保険の適用に関する基本的な視点↓
・被用者にふさわしい保障の実現→国民の価値観やライフスタイルが多様化し、短時間労働をはじめとした様々な雇用形態が広がる中で、特 定の事業所において一定程度働く者については、事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互 に支え合う仕組みである被用者保険に包摂し、老後の保障や万が一の場合に備えたセーフティネットを拡 充する観点からも、被用者保険の適用拡大を進めることが重要。
・働き方に中立的な制度の構築→• 労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方の選択において、社会保険制度における取扱いの違いにより、その選択が歪められたり、不公平が生じたりすることのないよう、中立的な制度を構築していく観点は重要。 • 賃上げが進む中で、短時間労働者がいわゆる「年収の壁」を意識した就業調整をすることなく、働くこと のできる環境づくりが重要、その際、被用者保険の意義や被用者保険への加入は、保険料が生じるものの、労働者にとってメリットがあることを分かりやすく発信していくことが必要。
・事業所への配慮等→• 適用拡大の対象となる事業所においては、事務負担が増加するとともに、新たな保険料発生に伴い経営へ の影響があると懸念されることから、そうした点に配慮しつつ、必要な支援策を講じる等、円滑な適用を 進められる環境整備が必要。 • 保険者が分立する医療保険制度においては、適用拡大に伴い、保険者間での被保険者の移動が生じること となり、保険者の財政や運営に影響を与えることとなる。適用拡大の検討に当たっては、被保険者等の構成の変化や財政等への影響を示した上で、保健事業の円滑な実施など保険者機能を確保する視点も含め、 医療保険制度の在り方についても着実に議論を進めることが必要。

○短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方→企業規模要件、労働時間要件、賃金要件、学生除外要件⇒検討すること。
○個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方→個人事業所に係る適用範囲、複数の事業所で勤務する者、フリーランス等⇒今後具体的検討すること。
○(参考) 被用者保険の更なる適用拡大を行った場合の適用拡大対象者数→雇用者全体 (2023年度時点) 5,740万人 ※70歳以上を除く
1.被用者保険の更なる適用拡大を行った場合→@:被用者保険の適用対象となる企業規模要件の廃止と5人以上個人事業所の非適用業種の解消を行う場合(約90万人拡大) A:@に加え、短時間労働者の賃金要件の撤廃又は最低賃金の引上げにより同等の効果が得られる場合(約200万人拡大) B:Aに加え、5人未満の個人事業所も適用事業所とする場合(約270万人拡大) C:所定労働時間が週10時間以上の全ての被用者を適用する場合(約860万人拡大) ・試算の便宜上、2027年10月に更なる適用拡大を実施した場合として試算。


◎資料2 国民年金保険料の納付猶予制度について
1 . 国民年金保険料の納付猶予制度の概要
○国民年金保険料の納付猶予制度の概要
・国民年金保険料の納付猶予制度(以下単に「納付猶予制度」という。)の創設(平成17年4月施行) 【平成16年改正法附則第19条】
→平成16年改正の当時、20歳代で非正規雇用の労働者が増大していた状況を踏まえ、将来の無年金・低年金を防止するため、 30歳未満の者については、平成17年4月から平成27年6月までの期間(10年間)、同居している世帯主の所得にかかわらず、本人及 び配偶者の所得要件により保険料納付を猶予する納付猶予制度が創設され、将来実際に保険料を負担できることとなった時点で保険料 を追納できる仕組みとされた。
・納付猶予制度の期限の延長、対象者の拡大(平成28年7月施行) 【平成26年改正法附則第14条】→平成27年6月までの期限を令和7年6月までに延長し、30歳以上50歳未満の者についても納付猶予制度の対象に拡大した。 その後、令和2年改正で期限を再延長したことにより、現在は令和12年6月までの時限措置となっている。
・現行の納付猶予制度の要件等→• 被保険者が50歳未満であること。 • 本人及び配偶者の前年の所得が一定額以下である こと(世帯主(親など)の所得は勘案しない)。 • 納付猶予期間は、老齢基礎年金等の受給資格期間 に算入される。10年間は保険料を追納できる。 追納が行われない場合、免除制度の場合には老齢 基礎年金の年金額の計算に国庫負担分のみは反映 されるが、納付猶予制度は反映されない。 • 令和12年6月までの時限措置。
○納付猶予制度の創設経緯
・平成16年の改正(20歳〜30歳未満までの納付猶予制度の創 設)→「国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号)」により、保険料を一部免除す る多段階免除に加えて、30歳未満の者に対する納付猶予制度が創設された(当初は平成27年6月までの時限措 置)。
・平成26年の改正(納付猶予制度の対象者を50歳未満まで拡大)
・令和2年の改正→「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年法律第40号)」により、納付猶 予の期限を令和12年6月まで5年間延長。

2 . 納付猶予制度の適用状況
○納付猶予制度の適用者数・適用率
→第1号被保険者全体の数が減少する中で、納付猶予制度の対象者が拡大された平成28年度以降、納付猶予制度の適用者数は増加傾向にあり、第1号被保険者全体に占める適用率は上昇している。
○納付猶予制度の適用者数(年齢階層別)→・20歳以上30歳未満の者については、依然として一定数の適用者がいる。 ・平成28年より対象が拡大された30歳以上50歳未満の者については適用者数が増加。
○納付猶予適用者における納付猶予の適用期間→現在納付猶予が適用されている者について、その納付猶予の適用期間は、特に30歳代では5年超の者が半数以上存在して いる。
○納付猶予適用者の就労状況→・現在納付猶予が適用されている者は約56万人おり、そのうち約半数が無職である。 ・「無職」、「不詳」を除いた就労している者のうち約75%は、「パート・アルバイト・臨時」の就労形態となっている。
○納付猶予適用者の世帯構成員の所得の分布→5割超は控除後の所得額(※1)で 100万円以下の水準にあるが、1割弱は450万円(収入ベース(※2)で概ね850万円)以上の水準にある。
○納付猶予制度の適用状況(納付猶予適用者の世帯人員別の割合)→全額免除と納付猶予では所得基準が同じであり、単身世帯等で全額免除が適用できる状態にあるにも関わらず、納付猶予に 留まっている場合がある。

3 . 納付猶予制度の課題・検討の方向性
○納付猶予制度の現状と課題
→納付猶予制度の現状↓
・【納付猶予制度の導入と変遷】→対象者の拡大、期間の延長をしてきたことで、雇用情勢の悪化等の影響を最も受けた一定の世代に限られた制度ではなく、幅広い世代 に利用されている制度となっている。
・【納付猶予制度の導入時からの変化】→受給資格期間が25年必要であったが、現在は必要となる受給資格期間は10年に短縮されている。
・【適用者の状況等】→概ね納付猶予期間2年以下である者がどの世代でも半数程度いる。一方で、 納付猶予制度を利用できる期間が長い30歳以上の世代では、納付猶予期間が5年超の者も一定程度存在する。
・課題として納付猶予適用者の中には、世帯主に一定の所得があり保険料負担能力がありながらも納付猶予が適用されている場合がある。
○納付猶予制度に関する検討の方向性→令和12年6月までの時限措置とされている納付猶予制度について、将来の無年金・低年金を防止する役割を維持しつつ、将 来の年金給付につなげるため、(1)納付猶予制度については、被保険者の対象年齢の要件は現行通り(被保険者が50歳未満であること。)とした上で、時 限措置を延長することを検討してはどうか。 (2)納付猶予制度の延長に際しては、制度の基本的な考え方は維持しつつ、所得要件は、本人及び配偶者の前年の 所得が一定額以下であっても、保険料納付の原則に立ち返って世帯主(親など)に一定以上の所得がある場合は納付猶 予の対象外とし、保険料納付を求めることを検討してはどうか。⇒納付猶予制度の見直し案と現行制度との比較 参照。

4 . 参考資料
○就業率・完全失業率の推移(年齢階層別)
→・就業率は、すべての年齢において上昇傾向。 ・20〜24歳の完全失業率については、納付猶予制度創設時の半分以下の水準になっている。・ 35〜49歳の完全失業率についても、2009年以降基本的に減少傾向にある。
○有効求人倍率・大学等卒業予定者の就職率の推移→大学等卒業予定者の就職率についても近年は再び上昇傾向が見られる。
○納付猶予の記録を有する者における納付猶予の適用期間→・納付猶予の記録を有する者(現在適用されている者も含む)について、その納付猶予の適用期間は、全ての世代で半数以上 が2年以下に留まっている。 一方で、納付猶予の適用期間が5年超の者も一定程度存在している。
○単身世帯で納付猶予が適用者されている者の全額免除適用への切り替えの実務→・継続申請の場合、次年度(※)以降は機構において本人、配偶者及び世帯主の所得や世帯の状況等を確認し、納付猶予とされた者 が全額免除の審査基準に該当すれば、全額免除に切り替える運用となっている。 ・また、納付猶予が承認された後に単身世帯となるなど全額免除の要件に該当することとなった場合、再申請することにより再申請した 日の属する月の前月から全額免除期間とすることも可能である。 (※)国民年金保険料の免除や納付猶予の「年度」は、7月から翌年6月までを「一年度」とされている。
○国民年金保険料免除・納付猶予申請様式→参照。


◎資料3 国民年金における任意加入の特例(高齢任意加入)について
○国民年金における任意加入制度の概要↓

・60歳以上65歳未満の任意加入【年金法附則第5条(昭和60年改正による措置)】
・65歳以上70歳未満の任意加入の特例(高齢任意加入)【平成6年改正法附則第11条・平成16年改正法附則第23条】→平成6年の改正において、年金受給権確保の観点から任意加入の対象を拡大し、老齢基礎年金の支給開始年齢の65歳に達した時点でも老齢基礎年金受給に必要な資格期間の25年間※の要件が満たすことができず、老齢基礎年金を受給できない者に対する措置が講じられた。 具体的には、老齢基礎年金の受給権を有しない者を対象に、65歳以上70歳未満の期間も老齢基礎年金受給に必要な資格期間に達するまで、任意加入の特例として国民年金へ加入することを認め、保険料を納付することにより年金の受給権に結びつけることとされた。 なお、時限措置として、対象者は昭和30年4月1日以前に生まれた者のみが対象とされた。 ※ 平成29年8月から老齢基礎年金受給に必要な資格期間は10年間に短縮されている。 ・さらに、平成16年の改正において、昭和30年4月2日から昭和40年4月1日までの間に生まれた者まで対象とされた。利用状況 参照。

○任意加入の特例(高齢任意加入)の対象者の見直し→・ 年金制度は、保険事故が発生するまでの間に保険料を拠出することとされており、老齢基礎年金の支給要件である65歳到達後に保険料を拠出できる任意加入の特例として位置づけられている。 ・任意加入の特例は、昭和40(1965)年4月1日(昭和39年度)までに生まれた者を対象とした時限措置であり、令和11(2029)年 度には昭和40年4月1日生まれの者が65歳に到達する。 ・ こうした中で、任意加入の特例は、老齢基礎年金受給に必要な資格期間を満たさない者を年金受給権の取得につなげる重要な役割を果たしており、令和4年度時点でも任意加入の特例を利用している者の数は約1,500人存在する。 ※老齢基礎年金の受給に必要となる資格期間の要件が25年から10年に短縮された(平成29(2017)年8月施行)ことを契機に利用者の 人数は減少している。  ・これまでの改正経緯等も踏まえ、引き続き保険料納付意欲がある者の年金受給の途を開くため、年金受給権確保の観点から、昭和50 (1975)年4月1日(昭和49年度)までに生まれた者まで対象とする方向で検討する。

次回も続き「資料4 公的年金シミュレーター」からです。

社会的養育・家庭支援部会(第5回) [2024年11月19日(Tue)]
社会的養育・家庭支援部会(第5回)(令和6年9月19日)
議事 1.改正児童福祉法に基づく実施状況等について 2.里親等委託の更なる推進に向けた 自治体間ネットワーク会議について 3.その他
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/shakai_katei/b1b7f0a9
◎資料4 横川委員提出資料   令和 5 年度全国乳児院充足調査の集計 横川 哲
@ 新規措置入所児童数 1502 人(前年度比+59 人)
A 児童相談所からの一時保護委託数 3454 人(前年度比+601 人)
B 里親宅からのレスパイトケア 509 人(前年度比+184 人)
C 市区町村からのショートステイ・トワイライトステイ 6762 人(+ 1313 人)
全国 147 か所ある乳児院の受け入れ状況をみると、児童相談所から の一時保護委託児童の受け入れと市区町村からのショートステイの受け入れ人数がかなり増加しています。 このため、全国の乳児院が一時保護委託受け入れやショートステイ・トワイライトステイの受け入れを常時受け入れられる職員体制 の充実がとても重要です。 また、全国の虐待死の 0 歳児の割合が例年非常に高い状況を考えると、「予防的支援機能」としての妊産婦等生活援助事業が全国の乳児院で取り組めるように、各都道府県に対し、強く働きかけを行っていただき、0 歳児の虐待死がゼロになるように取り組みを強化していきたいと考えております。よろしくお願いします。

◎参考資料1 委員名簿
・こども家庭審議会社会的養育・家庭支援部会 委員名簿→25名。


◎参考資料2 令和7年度概算要求の概要(社会的養護関係・家庭支援関係)
【令和7年度概算要求】 4,386億円+事項要求( 3,829億円)
(1)家庭養育環境を確保するための里親等委託の推進等→「こども未来戦略」に基づく、家庭養育環境を確保するための里親支援センター等による里親等支援や養子縁組支援の強化等の取組について、着実に実施する。 ↓

・ 里親養育包括支援(フォスタリング)事業について、障害児を養育する里親等に対する支援の強化、市町村連携コーディネー ター補助員の加配を行うとともに、共働き里親や共働きの養親候補者等が里親委託等と就業との両立が可能となる取組を支援するためのモデル事業を創設する。
・ 養子縁組民間あっせん機関による養子縁組における養親希望者の手数料負担の軽減を図るとともに、補助割合を拡充する。
・ 里親や特別養子縁組の潜在的な担い手を里親登録等につなげる広報啓発について、企業における里親制度の認知度を向上させ るための拡充を図る。 ・ 里親の負担軽減を図るため、都道府県等における里親身分証明書の発行に必要な備品購入等に係る費用を新たに補助する。
・ 令和6年4月施行の改正児童福祉法に基づく里親支援センターの設置促進に向けて、施設改修費用の補助を行う 。

(2)社会的養護経験者等や家庭生活に支障が生じている特定妊婦への支援の強化↓
・ 社会的養護経験者同士のより身近な関係構築を図るため、社会的養護自立支援拠点事業所を主体とした地域ブロックごとの交 流会を実施する。
・ 社会的養護自立支援拠点事業所において、一時避難的かつ短期間の居場所の提供を実施する場合、宿直等を実施することで、 夜間の見守り・緊急対応への体制強化を図る。
・妊産婦等生活援助事業所における補助職員の雇上げによる夜間業務等の体制強化を図る。
・ 社会的養護経験者等への自立支援が確実に提供される環境整備を推進するため社会的養護経験者等の実態把握に係る調査の実施や関係機関との連携強化に必要な支援を行う。
・ 児童養護施設等を退所した者等であって、保護者がいないこと等により、安定した生活基盤の確保が困難な者等に対し、家賃相当額の貸付等を行う。
・ 特定妊婦等への理解をより深め、支援が必要な特定妊婦等が安心した生活を行うことができる社会の実現に向けて、妊産婦等 生活援助事業所のほか、市町村や児童相談所、児童福祉施設、医療機関等の関係機関が連携し、特定妊婦等への支援についての 課題等の把握・共有や、特定妊婦等支援に従事する職員の育成のための全国フォーラムを新たに開催する。
・ 令和6年4月施行の改正児童福祉法に基づく社会的養護自立支援拠点事業所及び妊産婦等生活援助事業所の設置促進に向けて、 開設準備経費の補助を行う 。

(3)児童養護施設等における職員の人材確保策の推進や養育機能の向上
・ 「こども未来戦略」に基づく、施設入所児童等の学習支援や課題に応じた個別対応の強化等の取組について、着実に実施する。
・ 児童養護施設等における人材の確保・定着のための新たな対応として、人材確保に係る課題分析・解決を担う人事コンサルタ ントを活用した人材確保の取組を行うモデル事業を創設するとともに、就職相談会や施設見学会の開催費用への補助や、勤務環境の改善や業務改革等に向けた助言等を行うコンサルタントによる巡回支援を実施する。
・ 児童家庭支援センターにおいて、こども家庭センターとの連携強化や地域のこども家庭支援の取組を推進するため、地域支援連携担当職員の配置を支援する。
・ 児童養護施設及び乳児院において、小規模かつ地域分散化のための施設改修等を行う際の補助率の嵩上げ(1/2→2/3)を令和 11年度末まで引き続き実施する。
・ 児童養護施設等の職員の研修の資質向上のための研修事業の対象に、社会的養護自立支援拠点事業所及び妊産婦等生活援助事 業所を追加する。

(4)里親等委託の推進等のための児童入所施設措置費の拡充
【事項要求】
→「こども未来戦略」に基づく里親等委託の推進等のための児童入所施設措置費の拡充については、予算編成過程で検討する。
【主な内訳】 ◇ 児童虐待防止対策等総合支援事業費補助金 293億円 ( 177億円) ◇ 児童入所施設措置費等国庫負担金 1,533億円 + 事項要求( 1,485億円) ◇ 次世代育成支援対策施設整備交付金 97億円 ( 67億円)


◎参考資料3 令和6年度全国児童福祉主管課長会議・児童相談所長会議 資料[※]
※参考資料3につきましては、こども家庭庁ホームページをご参照ください。
URL:https://www.cfa.go.jp/councils/jisou-kaigi/r06


次回は新たに「第18回社会保障審議会年金部会」からです。

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