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女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)(令和6年6月1日) [2024年07月31日(Wed)]
女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)(令和6年6月1日)
すべての女性が輝く社会づくり本部 男女共同参画推進本部
【本文】女性版骨太の方針2024 (gender.go.jp)
◎女性版骨太の方針2 02 4(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024)説明資料

【説明資料】女性版骨太の方針2024 (gender.go.jp)
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/pdf/sokushin/jyuten2024_setsumei.pdf
○女性活躍・男女共同参画を推進するための「人材の育成」を横串に据え、以下の4つの柱に沿って、持続的で広がりのある取組の推進を図る。↓
T 企業等における女性活躍の一層の推進 〜活躍する女性人材と企業等で取組を推進する人材の育成〜 プライム市場上場企業の女性役員に係る「2030年までに30%以上/2025年までに19%」「2025年までに女性役員ゼロ企業を0%」との目標達成に向けて、取組が進ん でいない企業に対する支援強化が必要。 ⇒女性人材の採用・育成・登用の強化、経営層・管理職など女性登用を推進する人材の意識醸成が鍵。

U 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進 〜全国各地の女性が経済的に自立するための力の育成とこれを支える人材の育成〜 地域における取組を推進し、全国各地における女性活躍・男女共同参画の促進が必要。 ⇒地域の取組の担い手の育成・専門性の向上や、リーダー層の意識醸成が鍵。

V 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現 〜男女共同参画の視点に立った防災・復興、配偶者暴力や性犯罪・性暴力の被害者等を支える人材の育成〜 能登半島地震における対応状況の調査・検証を始めとする男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進、女性・平和・安全保障(WPS)の取組強化、配偶者暴力や性 犯罪・性暴力への対策の強化、女性のライフステージごとの健康課題への対応など、個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現に向けた取組の強化が必要。 ⇒現場に おける女性の参画拡大、相談支援体制の強化が鍵。

W 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化 〜あらゆる分野の政策・方針決定過程に参画する女性人材の育成〜あらゆる分野の政策・事業の計画等において男女別の影響やニーズの違いを踏まえることが必要。 ⇒あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画が鍵。
○上記のT〜Wまでの推進が更に細かく記述されています。→参照のこと。

次回は新たに「令和6年版 男女共同参画白書」からです。

第8回 労働基準関係法制研究会 [2024年07月30日(Tue)]
第8回 労働基準関係法制研究会(令和6年6月 27 日)
議題 ・ヒアリング  ・労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41001.html
◎資料2 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 御提出資料
フリーランス・ギグワーカーの労働者性に係る現状と課題 2024年6月27日
1.フリーランス・ギグワーカーとは
○広義のフリーランス
→「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、 自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」⇒独立系フリーランス(雇用関係なし)。 副業系フリーランス(雇用関係あり)※派遣・アルバイトを含む。
基幹統計で257万人(本業209万人、副業48万人)2023年就業構造基本調査より。
○多様化するフリーランス人材→フリーランスと一口に言っても、職種や働き方は千差万別⇒クリエイティブ・職人・ビジネスフリーランス  参照。
○大前提:フリーランスは事業者→働き方の裁量(自律性)と経済自立性を前提に、 事業リスクを負う責任と覚悟を持った「自律的な働き方」
○フリーランスになった理由→働き方の裁量や柔軟性、専門領域でのキャリア形成などが主な理由⇒棒グラフ順位ありあり。
○会社員からフリーランスになった人の変化→過去に一つの会社に所属していた経験⇒ある 96.6%。満足度83.7%など その他あり。参照。
○フリーランスのワークエンゲージメント→フリーランスの方が会社員と比較してワークエンゲージメントが高い。 グラフ参照。
○ギグワーカーとは→デジタルプラットフォームを利用する単発の仕事
○仕事獲得経路とギグワーカーの割合→直近1年間で仕事獲得に繋がったことのあるもの。その中で、最も収入が得られる仕事の獲得経路⇒グラフ参照。
○フリーランス=ギグワーカー=Uberなのか?→国内のフードデリバリー配達員は20〜30万人、平均稼働時間が週40時間以上の配達員は2割、フードデリバリー専業とみられる人は4〜6万人。 参照。

2.フリーランス・ギグワーカーの 労働者性に係る現状と課題 (偽装フリーランス問題)
○フリーランスに対する適用法の整理
→フリーランスとして業務委託契約を締結していても、 労働者性が認められると判断され、実態として「労働者」に該当する場合は、 労働関連法令が適用される
○現在の労働者性判断の課題→@専門用語の解釈の難解さ A複数の判断基準の総合判断の曖昧さ B各都道府県労働局が個々に判断(判断ブレの大きさ)
○グラデーション化する働き方→@専門用語の解釈の難解さ A複数の判断基準の総合判断の曖昧さ B各都道府県労働局が個々に判断(判断ブレの大きさ)
○偽装フリーランスとは→本来あるべき働き方の裁量(自律性)と経済自立性がなく、 「労基法と社保を気にしなくて良い、安価で融通の利く労働力」になってしまっている実態が一部業界において生じている(悪質的なものに限らず、無知や誤解を背景としていることも)⇒ <企業がフリーランス人材を業務委託で活用する理由≻ 参照。
○フリーランス・トラブル110番の相談内容
→「労働者性」に関する相談は、相談件数全体の5.7%で6番目に多い 「雇用から業務委託への切替」に関する相談も、1.3%存在する。
○最近の労働者認定事例→劇団員(2020年)アイドル(2023年)などのその他2つあり。
○業界毎に異なるフリーランスの実態→自律性が高い業界 偽装フリーランスが疑われる業界 参照。

○参考:業界毎の実態(美容・リラクゼーション)→<大手マッサージチェーン店で10年以上就業する女性セラピストの例>参照。
○参考:業界毎の実態(コンテンツ制作)→<ドラマ制作における多重下請構造イメージ>参照。
○参考:業界毎の実態(フードデリバリー配達)→<フードデリバリー配達員実態調査><フードデリバリー配達員の(労組上の)労働者認定に反対する声>あり。参照。
○オーバーコンプライアンスの問題も深刻
→労働者性の判断基準が曖昧であるために、 過剰に保守的なルールで発注者・フリーランス双方が働きづらくなることや、 フリーランスへの発注控えが生じてしまっている⇒労働者性の判断基準の曖昧さからくる不安 参照。
○「偽装フリーランス防止のための手引き」→(特徴) ・ビジネス系フリーランスを対象とした事例を交えて、平易な言葉で解説 ・主な判断基準と補強的要素との強弱(重みづけ)を明確化 ・厚生労働省労働基準局労働条件政策課にて 労働関係法専門官を務めていた弁護士による総合監修。  (目指すところ) ・フリーランスと取引をする発注者、仲介事業者(無知・誤解による偽装フリーランス化の防止、安心してフリーランスと取引できるように、オーバーコンプライアンスによる双方の疲弊や 不都合からの脱却)。 ・フリーランス当事者(不当な管理・指揮監督からの解放、業務実態に即した適切な保護(実態が労働者であれば労基法の保護対象に)。
○「偽装フリーランス防止のための手引き」@〜B
T. 業務委託とは   業務委託と雇用の違い 請負契約と準委任契約の違い
U. フリーランスに対する適用法の整理   フリーランス取引に適用される法律
V.労働者性の判断基準と要注意事例集  労働者性とは?
(1)ここは絶対に気を付けよう!「使用従属性」に関する判断基準  
(2)これも併せて気にしよう!労働基準法における「労働者性」の判断を補強する要素
W. フリーランスの稼働報告・把握の仕方の例
X. 偽装フリーランス防止のためのチェックリスト
○労働者性判断に関して求められる対策(まとめ)→雇われない、自律した働き方を求めるフリーランスにとって、 過剰な保護や規制は事業者としての創造性/主体性を損なう恐れがある 一方で、「偽装フリーランス」については しっかり取り締まっていく必要がある (フリーランス全般の問題というよりは、ブラック企業/ブラック業界の問題)
短期: フリーランスの労働者性に関する 適切な理解の普及啓発
中長期: 労働者性の判断基準の明確化・標準化


3.労働者性が無い場合にも必要と思われる フリーランス・ギグワーカーへの保護の在り方 (働き方に中立な社会保険制度)
○最もニーズが多いのがライフリスク対策
→Q. :フリーランスや副業をするといった新しい働き方を 日本で選択しやすくするためには、何が必要だと思いますか?⇒グラフ参照。
○ライフリスクに備えるセーフティネットの脆弱性→働き方問わず誰もが平等に抱えているはずの「生命・身体のリスク」だが、 会社員とフリーランスのセーフティネットに大きな格差あり。
○働き方に中立な社会保障制度のニーズ→働き方の違いに関わらず社会保障が 提供される 必要性を感じている フリーランス 95.7%。
○健保組合・厚生年金への加入意向(保険料試算に基づく)→社会保障の必要性を感じている人は 95.7%であるにも関わらず、 法人成りすれば実質可能となる 協会けんぽ・厚生年金への 加入意向となると半数に減少⇒加入意向 49.4%。
○雇用保険への加入意向(保険料試算に基づく)→加入意向 68.1%。
○発注者への保険料負担を求めているわけではない→非連続的に不特定多数の事業者と取引するフリーランスは、 発注者に社保負担してもらうような関係性ではない。
○働き方に中立な社会保障制度構築に向けて(まとめ)→会社員、個人事業主、法人経営者など、すべての働く人が、各自の所得に応じて公平公正に社会保険料を納め、 同じセーフティネットに参加できる、働き方に中立な仕組みはどうしたら作れるか?⇒「これまで」と「これから(思考実験としての例)」あり。会社と個人を紐づけず、 それぞれが払う?!


ご参考) フリーランス協会について
○フリーランス協会のビジョンとミッション→誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ
○会員規模→会員総数: 107,966人

○ベネフィットプラン一覧
○実態調査と政策提言→フリーランスの多様な課題やニーズを可視化⇒政府に届け制度設計に協力、政策を周知する。
○フリーランスの環境整備の進捗→今秋の「フリーランス新法」施行で、業務トラブル対策が進む期待
○フリーランスの環境整備の進捗(詳細)→健康、出産育児など8項目あり。参照。


◎資料3 労働基準法における「労働者」について
○論点として考えられること
→@ 労働基準法の労働者の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)をどのように考えるか。 A 労働基準法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法等の「労働者」を同一に解釈する意義は何か。 B 家事使用人について、時代の変化を踏まえて、労働基準法を適用することについてどのように考えるか。

○「これまでの議論の整理」(第6回労働基準関係法制研究会資料)(抄)↓
3 労働基準法の「労働者」について
(1)労働者性の判断基準と予見可能性
【今後の議論の方向性に関する意見】→10項目。• 労働基準法は刑罰法規であることから、強く押しつけると、非労働者化を誘発しかねない、どういう規制で変革を図るのかを同 時に考えないと意図しない結果となりかねないという意見があった。
(2)労働基準法以外の法令の対象範囲
【今後の議論の方向性に関する意見】→4項目。• 労災保険の加入義務をフリーランス等に広げることを検討するときには、労働基準法上の責任保険である労災保険の原点を考え るべきであり、企業に補償責任を負わせる根拠や、保険料負担、補償水準、メリット制等による防災の仕組みなど、全てを検討 する必要があるという意見があった
(3)アルゴリズムによる使用者の指揮等新しい労働者概念
【今後の議論の方向性に関する意見】
→5項目。• 現行基準の中でも、例えば諾否の自由などを重視すると、プラットフォームワーカーの労働者性が否定される方向になっており、 諸外国では、経済的従属性を問う重みが増していることも考慮すべきという意見があった。
(4)家事使用人 【今後の議論の方向性に関する意見】→2項目。• 私家庭に労働基準法上の使用者義務を負わせることや、災害補償責任を負わせることができるかについても検討すべきという意 見があった。

○これまでの議論を踏まえた考え方(案)↓
1 労働基準法第9条の労働者の定義について
(職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者)
→労働基準法上の「労働者」の定義は、法制定時から変わるものではなく、今日の課題は、もっぱら個別の働く人が「労働者」に該当するかどうかの当てはめとなっている。これは国際的にも同様で、欧米においても「労働者」の基本的な定義を維持しつつ、個別のプラットフォームワーカー等が「労働者」の定義に当てはまるかどうかの判断を明確化しようとしている。 こうしたことも踏まえ、労働基準法第9条に定める「労働者」の定義自体について、どのように考えるか。
2 労働基準法の「労働者」の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)等について→ 昭和60年の研究会による判断基準は、職種や雇用形態にかかわらず、労働者であると判断するために必要な要件を、抽象的に一般 化して示されたものである。 また、これまでも個別の職種等に関連して、判断基準への当てはめが難しい事情が生じた場合には、当てはめについての具体的考 え方を通達の形で示してきている。(例:建設業手間請け労働者に係る判断基準) 他方、欧米でのプラットフォームワーカーの労働者性の検討においては、「経済的従属性」を考慮しているが、昭和60年の判断基 準には含まれていない。「経済的従属性」をどのように扱うかは、労働基準法が刑罰法規であることから、罪刑法定主義の観点で適 当かどうかも踏まえ、丁寧に検討する必要がある。 また、プラットフォームワーカーについては、プラットフォームを介するという契約関係の特徴があり、役務の提供の実態を踏ま えた検討が求められる。 これらのことを踏まえ、 @昭和60年判断基準に盛りこむことが適当な要素があるか、 Aプラットフォームワーカーなど個別の職種に関するより具体化した判断基準を作成することが可能かどうかについて、 裁判例などを通じて、国際動向も踏まえながら、検討する必要があるのではないか。そのうえで、契約関係や役務の提供の実態を踏 まえ、労働基準法の「労働者」に当たらないプラットフォームワーカーであっても、労働基準関係法令などにおける特別の取扱いの 必要性についてどう考えるか。 ※ 各法律の対象について 労働安全衛生法、労働契約法、労働者災害補償保険法などについて、労働者の範囲は基本的には同じとされているが、 労働者に当てはまらない者(例:一人親方)も一部法の対象としている。今般の労働基準法の労働者について検討したと しても、各法律の対象範囲については、これまで同様、それぞれ検討されるものではないか。
3 家事使用人について→ 家事使用人については、労働基準法制定当初からの状況変化や、家事使用人の働き方の変化を踏まえ、労働基準法を適用する方 向で具体的施策を検討すべきではないか。 検討に当たっては、私家庭に労働基準法上の使用者義務や災害補償責任をどこまで負わせることができるか、また、労働基準 法の労働者の定義を引用している関係法令の適用をどうするか、検討が必要ではないか。

次回は新たに「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024」からです。

第8回 労働基準関係法制研究会 [2024年07月29日(Mon)]
第8回 労働基準関係法制研究会(令和6年6月 27 日)
議題 ・ヒアリング  ・労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41001.html
◎資料1 全国社会保険労務士会連合会御提出資料↓
(労働基準関係法制研究会ヒアリング 2024年6月27日)↓
≪社労士の概況≫

○社労士は昭和43年(1968年)に制定された社会保険労務士法に基づく国家資格者
○社会保険労務士法(抄)→ 第1条(目的) この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に 資することを目的。 第1条の2(社会保険労務士の職責) 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。
○2024.4月末時点:45,459人 開業:24,615人 法人の社員:3,930人 勤務等:16,914人。

【1.人事労務管理の専門家】→・就業規則、賃金・退職金制度(規程)、評価制度、雇用管理全般など社内制度の企画・立案、設計、運用。 ・労働時間管理、人間関係管理(ハラスメント含む)、両立支援(疾病と仕事、子育て・介護と仕事等の職場復帰支援含む)、採用・退職、人材配置、定年、再雇用、 短時間正社員導入、ストレスチェック制度、安全衛生管理、公的年金(企業年金含む)、福利厚生、給与計算、雇用保険関係助成金などに関する相談・指導等のア ドバイス 。・個別労働関係紛争、労使トラブルの未然防止、円満解決(ADR含む)。
【2.労働社会保険関係の専門家】→・労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、介護保険法、育児・介護休業法、女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法、健康保険法、 厚生年金保険法、国民年金法等、約60の法律が主な業務範囲。 ・上記法律等に関する書類作成・手続の代理( • 就業規則、36協定、労働社会保険の取得喪失等、雇用保険関係助成金、休業補償、出産・傷病手当金等の支給申請等 • 労働者名簿・賃金台帳等の調製)。

≪本資料のアウトライン≫→目次、ページの案内となっている。

≪「これまでの議論の整理」に基づいて〜本研究会4.23開催の論点から〜≫↓
1.労働時間・休憩・休日及び年次有給休暇について
1−1 最長労働時間規制
(1)時間外・休日労働時間の上限規制
→・ 働き方改革で導入された上限規制は、生産性向上、過重労働防止への労使双方の意識を高め、労働時間縮減に一定の効果があった。 ・ 一方、若手労働者を中心に「残業=悪」というような価値観が強まっており、業務の中で十分なOJTを行う余裕が失われている。結果的に人材育成が進まないという課題を感じる経営者・管理者が増加するなど、人材育成の在り方の見直しが求められている。 ・ 中小企業・小規模事業者においては、人手不足により慢性的に時間外労働が発生する状況が見られ、月間80時間を超えるような過重労働の状況まではいかないものの、毎月45時間を超えるようなケースがあり、特別条項の年6回の上限をクリアすることが大きな課題となっている事業場もある。 ・ 自動車運転の業務や医師などは今年度から上限規制が適用されているが、短期的には人手不足の深刻化に繋がっており、生産性向上のための取り組みが強く求められる。一般則の適用に向けては、現場の状況を把握しながら慎重に進めることが国民生活の安定にとっても重要。 ・ 人材採用が難しくなる中、採用サイトなどにおいて年間所定休日の多さ、時間外労働の少なさなど、労働時間の状況をアピールすることで採用競争力を高めようとする動きが見られている。 ・ 物価の上昇により実質賃金のマイナスが続く環境の中で、生活残業を求める労働者と、人手不足が深刻な使用者との利害が一致し、労働時間の短縮が進まない事例が見られる。本質的には、賃上げなどによるこの構造的課題の解決が不可欠である。
(2)労働時間の意義等→・ 労働者の意識は多様化しており、労働時間縮減の動きがすべて歓迎という訳でもない。自らの市場価値の向上を進めるキャリア形成期においては集中して仕事に取組む一方で、子育て期などにおいてはワークライフバランスを重視するなど、ライフサイクルの中で柔軟に働き方を選択できるような環境が望まれる。 ・ 事業場外みなし労働時間制については、「労働時間を算定しがたいとき」の該当性の判断が難しい。特にスマートフォンやGPSなどの仕組みが普及した現代における判断基準の整備が望まれる。 ・ フレックスタイム制については、両立支援の観点からも有効。1か月を超える清算期間を設定したフレックスタイム制はある程度の繫閑の差を調整できることから導入ニーズは高いが、労働時間管理が煩雑であり、実際の導入例は少ない。 ・ 議論が行われているフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度については、営業時間の関係などから出社時においてフレックスタイム制が採用しにくい職種にとっては一定の価値があると思われる。
(3)裁量労働制・高度プロフェッショナル制度・管理監督者等
→・ 労働時間と成果がリンクしない働き方をしている労働者が増加している現実を踏まえ、裁量労働制など柔軟な働き方ができる労働制度の整備は重要な課題。その際、労働者の健康を確保する実効的な対策の整備とその成果を評価する人事評価制度の確立は不可欠。 ・ 専門業務型裁量労働制は2024年4月以降、制度の適用に当たり、労働者本人の同意が要件とされたが、割増賃金などの処遇面での損得により 同意・不同意の判断が行われる傾向が見られる。結果的に同一職種でも異なる労働時間制度が混在することになるため、裁量労働制の適用を見送る事例が発生している。・ 高度プロフェッショナル制度については、要件の厳しさから導入事例はほとんど見当たらない。・ 管理監督者等の範囲については、本来、管理監督者等に当たらない労働者が管理監督者等と扱われている場合が存在。今後、労働移動の活性化により管理監督者等の転職も増加することになるが、退職の際に賃金不払残業等の紛争の増加が懸念される。 ・ 管理監督者等の要件については、より明確化されることが望まれるが、管理監督者等の状況は千差万別であるため、そのすべてに合理的に適用できる要件の設定は極めて難しい。まずはガイドラインを示すことで、企業の自主的取り組みを促すことが望ましいのではないか。 ・ 過半数組合が存在せず、効果的な労使コミュニケーション体制が確保されていない企業が大半という現状を鑑みれば、労働時間制度のデロゲーションの範囲拡大には慎重な議論が求められる。
(4)テレワーク等の柔軟な働き方
→・ テレワークは両立支援や通勤時間削減などの観点で効果的であるが、導入が難しい職種が存在することは事実であり、育児や介護などとの両立の必要性のある労働者が、テレワークを行うことが難しい職種を避ける傾向が強まることが懸念される。 ・ テレワークについては、労働時間の状況の把握、業務管理および人事評価の面等で課題が多いが、企業の様々な工夫により、徐々に課題は小さくなってきている。
(5)法定労働時間週44時間の特例措置(※本資料26ページ当連合会「2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 (2024.3.6公表) 」参照)→・ 法定労働時間の特例措置については、一部の業種にのみ適用される、また同じ業種であっても労働者数により法定労働時間の上限が異なることから、労働者間の公平性に欠けている。また、法定労働時間が週44時間の上に時間外労働が加わるとなると長時間労働の常態化を放置することになり得ることから、労働安全衛生の観点からも見直しの必要性が高い。 ・ 経済基盤が弱く、代替人員確保が困難である小規模事業者の経営実態への考慮から見直しが進んでいないと推察されるが、昨今の人手不足時代において、他に比べて長時間労働となる法定労働時間44時間制の事業所を選んで応募する求職者は少ない。 ・ 現実的に8割以上の事業所がこの特例措置を使っていない現状(※)を踏まえれば、特例措置対象事業場の取り扱いを廃止し、すべての事業 場において法定労働時間を週40時間制に統一することが望まれる(※2024.1.23開催本研究会資料4労働時間制度等に関するアンケート調査結果について(速報 値)参照)。

1−2 労働時間からの解放の規制
(1)法定休日制度
→・ 変形休日制(4週4日)については、制度上、かなりの連続勤務が可能となり、過重労働の原因となり得ると共に、定期的な休日が保証されないことは、ディーセント・ワークの実現という観点でも課題が大きい。 ・ 本制度の実施要件の厳格化・改善の検討が必要であるが、一部の中小企業にとっては影響が大きいことから施行時期については一定の配慮が望まれる。
(2)勤務間インターバル制度→・ 勤務間インターバル制度は、疲労回復に必要な休息時間を直接的に確保するものであり、過重労働による健康障害を防止するための対策とし てはもっとも効果的な仕組みであると考えられることから制度の普及が望まれる。 ・ 今後の導入促進に当たっては、罰則付きの義務規定を設けるのではなく、11時間など原則的な時間数や突発的業務への対応などの例外取扱いの考え方などを国が示した上で、まずは労使の話し合いにより実現可能な取り組みを進めていくことが望まれる。 ・ もっとも勤務間インターバル制度の検討を行っていない企業の多くは「超過勤務の機会が少なく、本制度を導入する必要性を感じていない」 ことを未検討の理由としており、現在の延長ではこうした企業での制度導入は期待できない。この状況を改善し、同制度が多くの企業で当た り前に導入されている社会的状況を作らなければ、制度の普及は難しいであろう。
(3)年次有給休暇制度について→・ 年次有給休暇の時季指定義務は、年休取得率の向上に効果があった。 ・ 年次有給休暇の時間単位取得については、制度本来の趣旨の面からは疑問もあるが、両立支援の観点からは非常にニーズが高い。一方で、時 季指定義務の日数計算にカウントできない点については改善要望が多く聞かれる(※本資料27ページ当連合会「2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業 と社会の実現に向けて」 (2024.3.6公表) 」参照)。・ 年次有給休暇の更なる取得が望まれるのは確かであるが、近年、人材採用難の状況が深刻化する中で、中小企業を中心に、年間所定休日を増 やして、採用力を高めようとする事例が増加している。そのような状況において、年次有給休暇の取得率も引き上げるというのは現実的に難しいケースが多いと考えられる。 ・ 労働者としては、一定日数の年次有給休暇を体調不良時の欠勤や家族の看護・介護のために確保しておきたいという意識が強いため、その完全消化を求めるような仕組みは労働者のニーズと必ずしも合致していない。一部の企業では付与から2年を経過し、失効した年次有給休暇を 特別な目的の休暇として積み立てられる制度(積立年休制度)を運用しており、従業員の安心感の醸成に繋がっている。
(4)休憩について(※本資料27ページ「2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 (2024.3.6公表) 」参照)
→・ 育児・介護との両立等、多様で柔軟な働き方の一つとして短時間勤務が定着し、短時間労働者以外でも1日6時間以下の勤務が見受けられるようになった。また、体力の低下等が懸念される高齢者や障害者のより一層の就労拡大を図るためには、きめ細かい休憩時間を設定することで 労働による疲労を回復し、生産性を向上させる仕組みが必要である。 ・ 労働者の健康確保を図りながら、柔軟な働き方を推進し、生産性の高い労働環境を作るうえでは、労働時間が4時間超の場合には30分等、1日 6時間以内の場合の新たな休憩時間の付与義務を設けることが望まれる。またこれは2つの企業で1日6時間ずつ働くような副業・兼業を行って いる労働者の健康管理の点からも意味は大きい。

1−3 割増賃金規制
(1)割増賃金の趣旨・目的
→・ 割増賃金規制は、時間外労働の抑制という効果が期待されていたが実際にその効果を感じるような場面は少なく、むしろ労働時間上限規制の方がより大きな抑制効果が見られたというのが実態である。 こうした現況において、割増賃金率の引き上げは、むしろ労働者にとって長時間労働のインセンティブになってしまう危険性を孕んでいる。 労働力人口減少の時代においては、生産性を高めたことによる利益として賃金等として労働者へ還元する方がより適正ではないか。
(2)副業・兼業の場合の割増賃金(※本資料26ページ当連合会「2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 (2024.3.6公表) 」参照)→・ 副業・兼業を認める企業は増加しているが、労働時間通算の問題から、雇用型での副業は認めず、非雇用型に限定している例が少なくない。 偽装フリーランスを生む原因にもなっており、労働者保護の観点からの制度見直しが望まれる。 ・ 労働時間通算にかかる労働基準法38条の解釈を同一事業主内別事業場と位置づけ、別事業主の複数事業場で労働した結果生ずる時間外労働に 対する割増賃金の支払いは要しないとすることが望まれる。 ・ 企業の枠組みを超えた副業・兼業の労働時間通算にかかるルールは、過重労働防止を目的とするものと位置づけるものとし、労働安全衛生法 に定める労働時間の状況の把握ルールの整備により通算労働時間の状況把握を求め、過重労働防止の実効性確保のための措置を新たに講ずることが望まれる。

2.労働基準法の「事業」について→・ 労働時間管理や安全衛生管理などは事業場単位で行われるため、事業場単位を原則とするも、労働条件の多くは企業単位で決定されていること、また各事業場に人事労務担当者が置かれず、本社等に集約されているケースが増加していることから、一部手続き等の企業単位化の検討が望まれる。 ・ テレワークの普及(フルリモートなど)により、そもそも事業場において労務提供が行われないケースが増加している。 ・ 常時50人以上の労働者を使用する事業場では、労働安全衛生法により衛生管理者・産業医の選任などが義務付けられているが、数多くの拠点を有する企業などでは、従業員総数が数百人であるにも関わらず、50人以上の労働者を使用する事業場が存在しないというケースが発生して いる(※本資料16ページ参照)。

3.労働基準法の「労働者」について→・ 労働者性の判断は多様な判断基準を総合的に評価する必要があることから、実務的には非常に判断が難しく、予見可能性が乏しい。 ・ 近年、柔軟な働き方が認められる労働者や自ら積極的にフリーランスでの契約を望む者が増加する一方、業種によっては偽装フリーランスが指摘されるケースも増加しており、労働者性の線引きは非常に曖昧なものとなっている。 ・ 複数の仕事を並行して行うキャリアを指向する労働者が増加していることから、個人事業者に対する保護は重要な問題。対策としては、 労災保険特別加入制度の活用などが考えられるであろう。 ・ 既存の特定加入団体等機能に加えて、加入を希望するフリーランス自身が行政機関で加入手続できる仕組みを構築することがより働き方に中 立な制度となり得るのではないか(※本資料28ページ当連合会「2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 (2024.3.6公表) 」参照) 。

4.労使コミュニケーションについて→・ 労使コミュニケーションにおいて労働組合が果たす役割は大きく、今後もその重要性に変わりはないが、組織率が低下する中、特に中小企業・小規模事業者の大半においては労働組合が存在せず、集団的労使コミュニケーションの観点から問題があると思料する。 ・ 労働組合がなく、集団的労使コミュニケーションを行える環境が整っていない事業所においては、労働条件の改善は滞りがちであり、また問題発生時には個別紛争や離職に繋がる可能性も高い。 ・ このような状況を前提とすれば、過半数代表者に広く労働者の意見を吸い上げる役割も期待されるところであるが、現実的には過半数代表者のなり手は少なく、また役割の内容も共有されていないことが多いことから、十二分に効果が発揮されないケースが多々見られる。 ○ このことは、過半数代表者の場合、毎回、別の労働者が選出されることが少なくないため、過半数代表者の役割の重要性や認識が薄く、また ノウハウが溜まることもないため、形式的なタスクとして対応が行われることが多くなっていると考えられる。 ・ 現在でも企画業務型裁量労働制の導入時などにおいて労使委員会の設置が求められているが、労使コミュニケーションを促進し、様々な職場における課題についての提言を行う機能として、その活用を進めることは効果的だと思料する。

≪社労士が日ごろの業務や当会の事業を通じた3つの視点≫
○1947年(労働基準法制定年)
→制定時の特徴と現代の特徴(2024年)となった「要素」あり。その他→同一労働同一賃金の導入、テレワーク及びフレックス制の普及、両立支援の促進等へと続いている。 参照。
○様々な背景に基づいて考えられる視点↓
@業務・成果物・サービス等の細分化、労働時間の短時間化 ➁対価・報酬の単位の多様化B上記@、➁に伴い、より小さな単位で成果物・サービスに対する対価・報酬が決定する仕組みが容易になりつつある C業務委託もしくは指揮命令のしやすさ・受けやすさ(デジタル化の進展等によるやり取り及び対価・報酬の支払い方の多様化等)D働き方の選択肢の多様化⇒⇒今後「働くこと」のあらゆる場面で加速と思われる共通事項→「より小さく・細かく」。「より短く・速く(短期間化、短時間化)」。「多様性」(広く、深く)となる。

○「より小さく・細かく」、「より短く・速く」、「多様性」とセーフティーネットの関係について→7項目あり。今後、「事業」や「労働者」の定義を再検討、再定義する際、これらの視点も判断基準、考慮要素とはなりえないものな のだろうか。もしくは適用要件の見直しにつながるようなものなのかどうか。
○2023.11.22開催 厚生労働省職業 安定分科会雇用保険部会資料(抄)、日本年金機構リーフレット(抄)→<兼業・副業や短時間労働者において取り扱われる労働法と社会保険の違い>あり。 参照。
○2023.11.22開催 厚生労働省職業安定分科会雇用保険部会資料(抄)
○農林水産省 資料(抄)
→農業法人が増加傾向 つまり、政府の政策や社会の 流れとして、これまで個人で 農業に従事されていた方が労 働基準法適用となる形態(法 人)に移行していることを意 味するが、事業主となる場合、 労働者となる場合いずれの立 場になった場合でも労働法が 適用となることによる戸惑い や問い合わせがある⇒(農業の事例)、(社労士への相談事例・造り酒屋)、参照。
○社労士は、労働・社会保障及び人事・労務管理の専門家として、法・制度と企業と労働者やその家族等との関係性の中で、これまで個々の状況 を踏まえ伴走して、法制度や労務管理上必要となる諸帳簿等を整備しつつ、個々の状況実態に応じた各種制度設計等の支援を通じて、法制度の 実効性確保に努めてまりました。そうした実務家の観点から、 @ 労働基準法や労働安全衛生法の制定時の趣旨と法の実効性確保という関係で、現況をどう評価しているのだろうか。→ 10人未満の企業は就業規則を作成・届出する義務はない(労働基準法第89条)が、労使で就業規則を作成するプロセスにおいて、コ ミュニケーションが図られ、そのことにより法律の趣旨、自社の職場環境の考え方や労働条件の明示等の理解を促し、良好な職場環境 の構築、安心して働くことができるなど、就業規則を作成する意義は大きいものと思料する。 @ 各従業者規模(特に50人未満の各レンジ)の経営者や従業者は、労働基準法や労働安全衛生法等をどう思っているのだろうか。


≪全国社会保険労務士会連合会・都道府県社労士会の取り組みからの視点≫
・ 「ビジネスと人権」に関する事業
・ 社労士が第三者として労務管理の状況を確認・評価等を行う事業(いわゆる労務監査)
○全国社会保険労務士会連合会として「ビジネスと人権」の事業を通じて感じる課題↓
・国際法と国内法のギャップ→グローバル企業から求められている基準が国内法を上回ることを求められているケースが発生⇒(例)家族経営における人権(労働基準法第116条第2項(適用除外))※相談事例は本資料21ページ参照。 ・企業において確認すべき範囲の広がり(家族経営から大企業まで、国内企業から海外企業)→サプライチェーンの適正化。ソフトローのハードロー化⇒(例)自社が自社の雇用者だけではなく他社(者)への配慮等を求める事業主の措置が事実上の義務となる。強制性の強いものにおいては直ちにではなくとも取引停止につながる可能性。 ・社会対話の促進(ステークホルダーエンゲージメント)→経営者と労働者(他社含む)、取引慣行の整備(自社と取引先、同業他社)等
○2023.9.25開催 厚生労働省大臣官房国際課設置「国内の労働分野における政策 手段を用いた国際課題への対応に関する検討会」当連合会提出資料(抄)↓
<厚生労働省への要望等>↓
(1)企業内外における社会対話を促進する施策の展開
→「労働」をキーワードとして、単純な情報交換から、より発達した協議形態など多様な形態による社会対話を、より一層実効性の確保促進するような仕組みの構築、あるいは定期的な実施(研修やチラシ作成などによる一方による情 報提供を除く)等、社会対話の促進が現場レベルで促進できる施策の展開を要望します。
(2)既存の法律等にある機能の他法等への応用→ 昨今、既存法や指針において「他の事業主への配慮」規定や「自ら雇用する労働者以外への望ましい取り組み」を示すなどの機能がみられるようになっております。これは自社内のみならず、取引先従業員や顧客・消費者等自社事業 活動に関わる全ての人の人権を尊重することを後押しするものであり、ステークホルダーエンゲージメントを実践するために重要な機能だと考えます。したがいまして、同様の機能を他の法律や指針へ応用することを要望します。 (例) @長時間労働につながる取引慣行を見直すこと(納期の適正化、急な仕様変更抑制、発注の平準化等)→根拠:労働時間等設定改善法第2条(事業主等の責務)、労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改 善指針) ➁ハラスメント防止に関すること(男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法等)→根拠:男女雇用機会均等法第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)、 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針。 根拠:労働施策総合推進法第30条の2(雇用管理上の措置等)・同条の3(国、事業主及び労働者の責務)、 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等につ いての指針等。

○2023.9.25開催 厚生労働省大臣官房国際課設置「国内の労働分野における政策 手段を用いた国際課題への対応に関する検討会」当連合会提出資料(抄)→(参考)自社だけでなく他のステークホルダーに影響を 及ぼすことを可能としている国内の法律や指針 参照。

○2023.9.25開催厚生労働省大臣官房国際課設置 「国内の労働分野における政策手段を用いた国 際課題への対応に関する検討会」当連合会提出 資料(抄)一部加筆→企業(企業規模20〜50人程度)から社労士に寄せられた主な相談内容及び回答事案例⇒Q1〜Q3まであり。Q3回答事案例→実務上の課題として、グローバルサプライチェーンでの取引において発注元企業(グローバル企業)から、 日本の大企業経由で地場の事業場で確認を求められた際、国内法を上回る確認を求められることへの対応が必要。この項目参照。

○社労士が第三者として労務管理の状況を確認・評価等を行う事業(いわゆる労務監査)→ @コンプライアンス遵守と労働環境改善を通じた取引環境の整備 ➁コンプライアンス遵守と労働環境改善を通じた公的サービスの質の確保及び労働者への適正な分配 B労働法以外の法律における労務管理の評価
○連合会・都道府県社労士会の関連する主な取り組み
→(共通点)「最低限度の労働条件の確保と改善」と「取引環境の適性化あるいはサービスの質の向上」は 密接に関連⇒労働法及び社会保険法等(人件費を含む労務費に関連する法律)と独禁法、下請法あるいは各業法と役割分担しながらも連携・連動の必要性があるのではないか↓
→医療機関勤務環境評価センターの評価事業(対象:医療機関)⇒労務管理サーベイヤーとして全国から社労士を169人を推薦して対応→医療機関の健康確保体制、労働時間短縮等の労務管理の評価を労働法ではなく、 医療法・医療政策側で措置を行って対応している事例(労働基準法と医事法制での役割分担)↓
・医師に関する時間外労働の上限規制に関しては、2024年4月から施行なお、医師の時間外労働の上限の特例に関する内容が規定。 ・この特例を受ける場合は、医療機関が都道府県知事の指定を受ける仕組みとなり、医療機関は指定を受けるための手続が必要(労働時間の把握(兼業・副業、宿日直許可、研鑽)、時短計画作成、評価センターの評価受審、指定申請等)。 ・具体的には、医師の時間外・休日労働の上限規制については、医療法第128条の規定により読み替えて適用する労働基準法第141条第2項の厚生労働省令で特例水準として規定。 ・この特例を受けるため都道府県知事の指定に受ける仕組み等に関しては、医療法において規定しており、当該医療機関の労務管理・健康確保の体制等を確認・ 評価する団体(医療機関勤務環境評価センター:厚生労働省指定)からの評価を受審する必要がある。この評価を社労士が担っている。 ・受審後、医療機関は当該評価結果を都道府県に指定申請し、都道府県が評価結果を踏まえた判断を行うこととなっている ・判断が妥当となって初めて特例水準による「時間外労働・休日労働に関する協定」(いわゆる36協定)の締結が認められる。

≪参考:関連資料≫
○全国社会保険労務士会連合会 2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 (概要版)(2024年3月6日公表)(関連部分抜粋)@

1-1.副業・兼業における労働時間通算による割増賃金支払いの撤廃→事業主が異なる事業場での副業・兼業では、通算労働時 間に時間外労働の割増賃金を適用せず、過重労働防止を 目的に把握するよう措置を講じる ⇒ 兼業・副業の促進
3-1.特例事業場における法定労働時間週44時間制の見直し→週44時間制を廃止し、すべての事業場の法定労働時間 を週40時間制に統一する ⇒ 過重労働の防止 小規模事業者での人材確保
3-2.テナントビルにおける休養室設置基準の見直し→入居するテナントビルにおいて要件を満たす共用の休 養室又は休養所を設けた場合には、企業の設置義務を 履行したと見做すよう要件を見直す ⇒ 実効性のある安全衛生管理体制の確保
3-3.短時間労働者への休憩時間の付与→労働時間が4時間超の場合には30分の休憩を 付与する等、1日6時間以内労働の場合の新た な休憩時間の付与義務を設ける ⇒ より柔軟な働き方の推進
4-1.時間単位年休の時季指定日数からの控除対象への見直し→時間単位年休の付与分も、年5日の時季指定義務 から控除できるように見直す⇒より働きやすい職場づくりの促進
4-2.年次有給休暇取得日における賃金計算時に採用する賃金の統一化→年次有給休暇取得日の賃金計算は、「所定労働時間労働 した場合に支払われる通常の賃金」を支給することを原 則とし、平均賃金での支払いは労使協定の締結を要件と するなど例外的措置とする ⇒ 年休取得率が向上
4-3.紹介予定派遣から直接雇用へ移行時の年次有給休暇の取扱いの見直し→紹介予定派遣については、直接雇用前に派遣 労働者として派遣先企業で就労していた期間 を通算して年次有給休暇を算出し付与するよ う派遣先に義務付け ⇒ 年休取得率が向上
5-2.フリーランス等における労災保険特別加入制度の見直し→既存の特定加入団体等機能をも加えて、加入を希望す るフリーランス自身が行政機関で加入手続できる仕組 みを構築する。 ⇒ フリーランスの福祉の向上
※全国社会保険労務士会連合会 2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」(2024.3.6公表) (本文・概要版リンク先) ↓
https://www.shakaihokenroumushi.jp/tabid/891/Default.aspx

≪全国社会保険労務士会連合会・都道府県社労士会の取り組み≫↓
○国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に関する取り組み(1) 2021年度〜→・国民向けのセミナー  ・連合会人権方針の策定・公表   ・会員向けの研修  参照。
○国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に関する取り組み(2) 2021年度〜→・JTF(日本繊維産業連盟)との連携 参照。
○賃金引上げと労働生産性向上(中小企業の取引条件改善等)(1) 2012年度〜→労働条件審査とは、一般競争入札等により国又は地方自治体が行う公共事業の実施に関する委託を受けた企業について、社労士が労働基準法等の労働社会保険諸法令に 基づく規程類・帳簿書類の整備状況を確認するとともに、その規程類・帳簿書類の内容のとおりの労働条件が確保されている職場になっているか、労働者がいきいきと 働くことができる職場になっているかを確認する仕組。結果に対する取り組みについては、指摘事項の改善まで行うケースから、結果のみ発注元に伝えられるケースもある。また、発注元の目的としても取締的なものから、地元企業のコンプライアンスのレベルアップを目指すものまで多様である。⇒しかし、実際に、業務を委託する国及び地方自治体では、どのように対応したらよいか、悩んでいるケースも少なくない。このような背景のもと、社労士は労働社 会保険諸法令と労務管理の専門家として、自治体等に「労働条件審査」を提案し、労働社会保険諸法令の執行を高め、労働環境の改善につながるような活動を行って いる。
○賃金引上げと労働生産性向上(中小企業の取引条件改善等)(2) 2012年度〜→法務省との連携(法令遵守実態調査)⇒過去、法務省が登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)に係る業務を委託していた事業者が、多額の健康保険料等を滞納している事実があり、法務省として「競争 の導入による公共サービスの改革に関する法律」の規定に基づき、委託業務の全部停止命令を発した。 これを受け、同法第27条1項の規定による措置として、健康保険法・厚生年金保険法に関わる手続や労働社会保険諸法令の遵守を確保するため、社労士が確認を行うこととなった。
○賃金引上げと労働生産性向上(中小企業の取引条件改善等)(3) 2016年度〜→社労士による「労務監査」導入(広島県)⇒適正な競争と業務品質を確保する観点から、「建設工事に係る低入札価格調査制度」及び「測量・建設コンサルタント等業務に係る低入札価格調査制度」を2016年6 月から、指名・公告する工事から実施。 低入札価格を経て契約を締結した工事の工事完成後調査として、社労士による労務監査が導入されている。
○賃金引上げと労働生産性向上(中小企業の取引条件改善等)(4) 2022年度〜→建設工事入札参加資格(格付)基準における社労士による「労働条件審査」での加点(茨城県)⇒2023,2024年度の茨城県建設工事入札参加資格審査(格付)基準について、技術等評価項目に「働き方改革」と「ダイバーシティ」を新設。このうち、 「働き方改革」では建設業の2024年問題(時間外労働の上限規制適用)への対応を見据え、積極的に取り組む企業を評価することとし、評価対象として、茨城県社労 士会が実施する「労働条件審査」などとなっている。 社労士の行う「労働条件審査」では、労働関係法令の順守や時間外労働の上限規制に適合しているか分析したうえで、助言や提案を行う。分析の結果、上限規制の取 り組みが認められた企業は、審査適合企業として20点、現時点で実現できていないが、2年後までに達成すると意思表示を行い、改善計画に取り組む企業には10点、 「労働条件審査」を受審した企業に対しては、働き方改革に対する意欲があるとして5点を加点する。 申込企業数:114件
○企業主導型保育施設への専門的労務監査 2020年度〜→企業主導型保育事業に関し、国会等において様々な問題が指摘があり、特に内閣府として保育士等の処遇改善について処遇改善加算等の施策を導入し重視してきた。 このことに関し、実際は処遇改善加算が保育士の賃金としてしっかりと行き届いていないのではないか、との国会での指摘、あるいは総務省による「子育て支援に関する行政評価・監視−保育施設等の安全対策を中心として−の結果に基づく勧告(勧告日2018.11.9)」において、処遇改善等加算に係る賃金改善状況が十分に確認できない、との指摘を受けたことを踏まえ、企業主導型保育施設に対し社労士による専門的労務監査を2020年度から実施。  実績:2020年度27施設(8県)、2021年度500施設(11都道府県)、2022年度500施設(15都道府県)、2023年度500施設(20都道府県) 2024年度:500施設予定。 ※2020年度はコロナの影響により予定数を下回る。
「労務監査時の確認資料」(1〜22まであり。)  参照。

○医療機関勤務環境評価センター 評価事業@ 2022年度〜→2022.3.23厚生労働省設置「医師の働き方 改革の推進に関する検討会」(抄)  厚生労働省 資料(抄) 参照。
○医療機関勤務環境評価センター 評価事業➁ 2022年度〜→厚生労働省 資料(抄) 医療機関勤務環境評価 センター 資料(抄) 参照。

次回も続き「資料2 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 御提出資料」からです。

こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回) [2024年07月27日(Sat)]
こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回)(令和6年6月 27 日)
議事 ・事務局から ・令和6年度こども・若者参画及び意見反映専門委員会の進め方(案)
こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/iken_senmon/01dd209f
◎資料5 ぷらすメンバー向けアンケートの結果について(概要)
○アンケート期間
→令和6年1月9日(火)〜1月31日(水)
調査対象者→「こども若者★いけんぷらす」の「ぷらすメンバー」に登録している方
・回答者368人(いけんひろばに参加したことがある人223人、ない人145人)
・いけんひろばに参加したことがある人のうち、「意見を聴かれたと感じた」:117人(52.5%)、「聴かれなかったと感じた」:22人(9.9%)、「どちらともいえない」:84人(37.7%)と回答しています。
○その理由↓
・「意見を聴かれたと感じた」→意見が記録され公表されていたから。ファシリテーターの進行がよかったから。自分の意見を言うことができたから、話を聞いてくれる環境が整っていたから。
・「聴かれなかったと感じた」→政策に反映されなかったから。
・「どちらともいえない」→政策に反映されたかわからないため。アンケートのいけんひろばしか参加していな いため。

○いけんひろばに参加したことが「ある」と答えた人のうち、「いけんひろば」に参加する前と後で、「意見を言う」ことについて、気持ちに変化があった人: 76人(34.1%)、変化がなかった人:82人(36.8%)、「どちらとも言えない人」:65人(29.1%)
・「意見を言うこと」について寄せられた感想→• 意見を言う、持てることは素晴らしいことで、どんどん発言していくべきなのだと思いました。 • 以前は自分の意見なんて聞いてもらえるわけがない、自分の意見で何かが変わるわけないというネガティブな気持ちが大きく、思っていても言わないことが多かったのですが、いけんひろばに参加するようになって自分の意見はごく小さいものかもしれないが「気持ちを積極的に伝える」ということに意味があるのではないかと意見発信に前 向きな気持ちを持つようになりました。 • 社会の一員として、しっかりと自分の考えに責任を持つべきことを自覚した。また、自分が意見を言っても良いことが嬉しかった。 • 学校だと意見に対する正解不正解があるから怖いけど、なんとなくみんなわかってくれるから意見を言うことに対しての抵抗感が学校より少なかった。 など
• やっぱり知らない人の前だと難しいと思った。 • 外から考えることと実際に参加して意見を言うのでは重みが近い(違い?)発言が難しかった。 • 意見を言っても意味ないのではと感じた など

○いけんひろばに応募しなかったのはどうしてですか。(複数回答)→日程が合わないから(52.6%)。会場に行くのが難しいから(50.9%)。 その他あり参照。

○「いけんひろば」に応募しなかった理由について、どのように改善されれば、「いけんひろば」に応募したくなりますか。↓
・メール以外での案内について→• LINE公式アカウントでの定期的な告知。 • メールでの連絡だと気づかないので、LINEでの連絡の方が気づきや すいと思う。 など
・参加手法について→• 会場に行ったりオンラインで話すのは、兄弟との兼ね合いなどで難しいので、書面やスマートフォンを通して、文章で意見を伝えられるようにしていただきたい。 • オンラインで顔を出したくないので、チャット形式にしてもらえると嬉しい。 など
・開催日時について→• もっと行きやすい場所、行きやすい時間、行きやすい日にちにして欲しいです。学校を休んだり、習い事を休んでまで行くことができないから、土日や祝日、 19時以降からとかならもっと行きやすいと思う。また、場所が遠すぎて費用がかかるしそんなところにまで行く時間はないから、もっと地方ごとに開催することができたら行ける人は増えると思う。 • 社会人対象のものは20時以降など仕事をした後に参加出来るものだと参加しやすい。連絡に関しては、メールだと開く時間もなく見落としやすいのでサイトやアプリがあるとわかりやすい。 •長期休みの間に設定してほしい。 など


◎資料6 我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 報告書(抄)
こども家庭庁長官官房参事官(総合政策担当)
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ
○目次から↓

第1部 調査の概要
第2部 調査の結果
第1章 人生観関係
1 全体的な生活満足度
2 感情
3 人生の意義
(1) 人生の意義@
  (2) 人生の意義A
4 協調的幸福感
5 自己認識
6 居場所感
7 悩みや心配ごと
(1) 悩みや心配ごとの有無
(2) 悩みや心配ごとの相談相手
8 将来像
9 友人関係
(1) 友人
(2) 恋人
10 結婚観
(1) 結婚観
(2) 欲しいこどもの人数
11 こどもの意見
(1) 意見表明権の認知
(2) 意見表明権の実感
12 幸福観
【分析】 自己認識と主観的ウェルビーイングの関連
【分析】 各満足度と全体的な生活満足度の関連
【分析】 経験と人生の意義の関連
第2章 国家・社会関係
1 自国に対する意識
(1) 自国で誇れるもの
(2) 政治に対する関心度
(3) 政策決定過程への関与
2 社会観
(1) 社会への満足度
(2) 自国社会の問題
第3章 地域社会関係
1 地域社会の愛着度
2 住んでいる地域の良いところ
第4章 職場関係
1 職場生活の満足度
2 仕事に対する現在または将来の不安
第5章 学校関係
1 学校に通う意義
2 学校生活の満足度
【分析】居場所感と主観的ウェルビーイングの関連(全体、学校)
第6章 家庭関係
1 家庭生活の満足度
2 家庭生活での満足の内容
第3部 有識者の分析、こども・若者の視点
協調的幸福感の国・年齢層での比較
日本の若者の自尊感情の特徴とその改善に向けての提言
政治に関する若年層の理解のギャップについて
こども・若者が主体的であるために
第4部 資料編
1 単純集計表
2 調査票(日本語)
3 調査票(英語)

○こども・若者参画及び意見反映部分 抜粋↓
第1部 調査の概要
1 調査の目的
→我が国のこども・若者の意識と諸外国のこども・若者の意識を比較することにより、我が国のこども・若者の意識の特徴等を的確に把握し、こども・若者に関する施策を検討する際の参考資料とすることを目的とする。 なお、こどもに関するデータや統計については、「こども家庭庁設置法案及びこども家 庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(参議院内閣委員会)」において、国際比較の観点も含め更なる充実を図ること、「こども基本法案に対する附帯決議(参議院内閣委員会)」において、活用に当たっては国際比較の観点を含める ことが求められている。また、こども大綱(令和5年 12 月 2 2 日閣議決定)では、こども大綱が目指す「こどもまんなか社会」 を「全てのこども・若者が、日本国憲法、こども基本法及びこどもの権利条約の精神にのっとり、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境 等にかかわらず、ひとしくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会」としている。 そ のため、本調査ではこどものウェルビーイングに関する事項に焦点をあて、調査項目の設定を行う。

2 調査領域→(1)人生観関係 (2)国家・社会関係 (3)地域社会関係 (4)職業関係 (5)学校関係 (6)家庭関係
3 調査対象国 日本、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン(計5か国)
4 調査対象者→ 各国満 1 3 歳から満 2 9 歳までの男女とする。
5 調査時期 いずれの国も、令和5年 1 1 月から 1 2 月までの間に実施した。
6 調査の方法→(1) 調査方法 各国とも 1 , 0 0 0 サンプル回収を原則として、WEB 調査を実施した。 (2) 標本割当数 各国の統計データに基づく人口構成比より、性別、年齢区分別に標本数を割当てた上で、併せて性別について「回答しない」と回答される方を全体の2%1と想定し、全体の2%の標本数を年齢構成比に合わせて設定した。 各国とも地域区分を設けて、地域別の人口構成比に応じた割当数も設定している。 回収にあたっては、性別・年齢区分別、または地域別で割当てたそれぞれの標本数が確保できるよう努めた。また、「回答しない」と回答された方が2%に満たなかったセルについては、「男性」もしくは「女性」と回答された方の標本を割り当てた。→性別、年齢区分別標本数の割当表。(参考)地域区分。 参照のこと。
(3) 標本回収数等 各国における回収数、調査票での使用言語は自国語。
7 回収標本比率 性別、年齢区分別の回収標本比率→男性、女性、その他とも13〜15 歳・16〜19 歳・20〜24 歳・20〜24 歳。5か国の一覧表。

○第2部 調査の結果 第1章 人生観関係
11 こどもの意見 ↓
(1) 意見表明権の認知
・ Q1 5 あなたは、こどもには「自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いて もらえる権利」(意見表明権)があることを知っていますか。(回答は1つ)→こどもには意見表明権があることを知っているかを日本のこども・若者に聞いたところ、 「聞い たことがない」と答えた割合が半数を超えている(50 .3%)。「どんな内容かよく知っている」は8.0%である。 5か国比較でみると、スウェーデン、フランス、アメリカでは「どんな内容かよく知っている」が3割を超えており(スウェーデン(33. 2%)、フランス(31.4%)、アメリカ(31.2%))、ドイツでも21.9%となっている。
(2) 意見表明権の実感
・Q1 6 あなたは、社会において、こどもが、自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いてもらえると感じていますか。(回答は1つ)→社会において、自分に関係することについて意見や気持ちを聞いてもらえると感じているかを日本のこども・若者に聞いたところ、『感じている』(「感じている」と「やや感じている」の合計」)は 42 . 2%となっている。 5か国比較でみると、スウェーデン、ドイツでは『感じている』が7割を超えており(スウェーデン(75.6%)、ドイツ(70.3%))、次いで、フランス(58.1%)、アメリカ(54.8%)となっている。
○第2部 調査の結果 第2章 国家・社会関係
(3) 政策決定過程への関与
・Q20 次のような意見について、あなたはどのように考えますか。それぞれについて、あてはまるものを1つ選んでください。(回答はそれぞれ1つずつ)→ 政策決定過程への関与について日本のこども・若者に聞いたところ、『そう思う』(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)と答えた割合は、「こどもや若者が対 象となる政策や制度についてはこどもや 若者の意見を聴くようにすべき」(69.9%)が最も高い。次いで、「私個人の力では政府の決定に影響を与えられない」(61.3%)、「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に 関わりたい」(43.3%)となっている。
日本について平成 3 0 年度調査と比較すると、大きな差はみられない。
(a)社会をよりよくするため、私は社会における問題に関わりたい
(b)将来の国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい
(c)政策や制度については専門家の間で議論して決定するのが良い
(d)こどもや若者が対象となる政策や制度についてはこどもや若者の意見を聴くように すべき
(e)私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない
(f)社会のことは複雑で、私は関わりたくない
(g)私個人の力では政府の決定に影響を与えられない

○【国別】の(a)〜(g)まであり。


◎資料7 令和6年度こども・若者参画及び意見反映専門委員会の進め方(案)
○第7回(本日) 1.事務局から 2.令和6年度こども・若者参画及び意見反映専門委員会の進め方(案)
○第8回(夏頃) 1. こども・若者を委員に登用するに当たっての考え方について 2. 「意見がいいやすい審議会・懇談会等の環境づくり」について(自由討議)
○第9回(夏頃) 1. 自治体からのヒアリング
○第 10 回(秋頃) 1. こども若者★いけんぷらすの状況
○第 11 回(年明け頃) 1. 今後のこども・若者参画及び意見反映について 2. 調査研究について
○第 12 回(年度末頃) 1. 今後のこども・若者参画及び意見反映について


◎参考資料1 ぷらすメンバー向けアンケート結果
○Q1〜Q24までの「ぷらすメンバー向けアンケート」あり。→「資料5 ぷらすメンバー向けアンケートの結果について(概要)」の一人ひとりの意見が記述されている。

次回は新たに「第8回 労働基準関係法制研究会」からです。

こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回) [2024年07月26日(Fri)]
こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回)(令和6年6月 27 日)
議事 ・事務局から ・令和6年度こども・若者参画及び意見反映専門委員会の進め方(案)
こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/iken_senmon/01dd209f
◎資料1 こどもまんなか実行計画 2024(抄)
◎こども・若者の社会参画及び意見反映部分抜粋↓ 令和6年5月 こども政策推進会議
○V こども施策を推進するために必要な事項
1 こども・若者の社会参画・意見反映 (1)国の政策決定過程へのこども・若者の参画促進
こども・若者の意見を政策に反映させるための取組(『こども若者★いけんぷらす』)を推進し、各府省庁が設定したテーマに加え、こども・若者が選んだテーマについても、こども・若者の意見の政策への反映を進める。その際、テーマに関する事前の情報提供や意見の反映状況に関するフィードバックを重視するとともに、寄せられた意見について匿 名化等の個人情報の適切な保護を行った上で集約・分析する体制を構築する。 若者が主体となって活動する団体からの意見聴取に関する取組を行う。 各府省庁の各種審議会、懇談会等の委員に、こどもや若者を一定割合以上登用するよう取り組む。各種審議会、懇談会等におけるこども・若者委員割合を「見える化」する。 各府省庁の職員がこどもや若者の社会参画・意見反映について適切に理解し効果的に 取り組むことができるよう、ガイドラインを作成し、周知を図る。 (こども大綱 p.36)
(こども・若者の意見を政策に反映させるための取組の推進)
→「こども若者★いけんぷらす」の着実な実施⇒対面、オンラインやチャットでの意見交換、アンケート、施設等に出向く意見聴取など多様な手法を組み合わせながら、こども家庭庁や関係省庁の施策に関するテーマに対し、多様なこども・若者の意見を聴取し、最善の利益を実現する観点から政策に反映することができるよう着実に実施。その際、参加者の年齢や発達の程度に応じた資料に基づいて事前に説明を行い、意見表明に向けた意見形成を支援するほか、意見が政策に反映されたか、反映されなかった場合はな ぜなのかをこども・若者に分かりやすくフィードバックを行う。さらに、これらの一連のプロセスをホームページ等で公表することにより社会全体に発信し、こども・若者の意見を聴くことの大切さについての 理解を広げる。 多くの、そして多様な意見を聴取し、政策に反映すべく、意見反映の意議や必要性の周知及び「こども 若者★いけんぷらす」の広報活動をとおして、同事業に登録しているこども・若者の数を今後5年間で1 万人程度とする。聴取した意見をその場限りにするのではなく、匿名加工等の個人情報について必要な処置を行った上 で聴取した意見をこども家庭庁において集約する。さらに、集約した意見の分析の在り方を検討する。
(若者が主体となって活動する団体からの意見聴取に関する取組 →若者が主体となって活動する団体からの意見聴取⇒こどもや若者の社会参画を進めることの意義を踏まえ、様々な社会課題の解決に自ら声を上げて取り組む若者団体や地域においてこどもや若者が主体となって活動しているこども会議、若者会議、ユースカウンシルなどとの意見交換を定期的に行う。聴取した意見は、各種審議会・懇談会等の議論において活用するなどし、意見を政策へ反映させるよう取り組む。
(こども・若者の各種審議会、懇談会等への登用)→こども・若者の各種審議会、懇談会等への登用⇒こども施策の決定過程において、こども・若者の意見が政策に反映されるよう、各府省庁の各種審議会、 懇談会等のこども・若者委員割合を見える化し、公表する。さらに、こども・若者を審議会・懇談会等に どのような方法で登用するか、また、こども・若者の委員が意見を言いやすい環境づくり等について検討を行う。
(各府省庁におけるこども・若者意見反映についての理解の促進)→各府省庁へのガイドラインの周知、取組状況の調査⇒各府省庁の職員がこどもや若者の社会参画・意見反映について適切に理解し効果的に取り組むことができるよう作成した「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」について、各府省庁向けの 説明会などを実施し、行政職員一人ひとりが、こども基本法第 11 条に規定するこども施策の策定・実施・ 評価に当たって、意見反映に必要な措置を講ずることを始めとする、こども・若者の意見反映についての 理解を深め、取り組むよう、促す。 各府省庁に対し、こども基本法第 11 条に基づく措置についての取組状況を調査し、公表する。調査結果等を活用し、より有益なガイドラインとなるよう必要な改善に向けた検討を行う。

(2)地方公共団体等における取組促進→こどもや若者にとってより身近な施策を行う地方公共団体において、様々な機会を捉え、こども・若者の社会参画の促進、意見を聴く取組が着実に行われるよう、上記ガイドラインの周知やファシリテーターの派遣等の支援、好事例の横展開等の情報提供を行う。 こどもに関わるルール等の制定や見直しの過程にこども自身が関与することは、こどもの意見表明権を保障し、当事者の視点からルールを見直し改善する契機にもなるとともに、身近な課題を自分たちで解決する経験となるなど、教育的な意義があることから、 学校や教育委員会等の先導的な取組事例について周知する。 (こども大綱 p.36)
(地方公共団体へのガイドラインの周知やファシリテーターの派遣等の支援、取組状況の調査)→地方公共団体へのガイドラインの周知やファシリテーターの派遣等の支援⇒「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」に関する説明会を実施し内容の周知を図るな ど、地方公共団体の職員がこども・若者の意見反映について理解を深められる機会を創出する。「こども・若者意見反映サポート事業」を通して、意見聴取の場づくりを始めとする一連の意見反映プ ロセスについての相談応対や意見を聴く場へのファシリテーター等の派遣などを行い、意見聴取の場に 周辺地方公共団体からの視察を受け入れることなどにより、好事例の横展開を図り、地方公共団体における意見反映の取組を推進する。地方公共団体に対し、こども基本法第 11 条に基づく措置についての取組状況を調査し、公表する。これらの事業の成果や調査結果を踏まえ、学校や教育委員会等の先導的な取組事例を含む好事例の横 展開を図るとともに、こども・若者参画に係る予算規模や担当部署の設置などについて情報提供等を行う。調査結果等を活用し、より有益なガイドラインとなるよう必要な改善に向けた検討を行う。

(3)社会参画や意見表明の機会の充実→こどもや若者にとって社会参画や意見表明の機会や場が必ずしも十分ではない現状を踏まえ、あらゆるこども・若者が、家庭や学校、地域などにおいて、意見を形成し、日常的に意見を言い合える機会や、権利の主体として尊重され、意見が聴かれ、その意見が尊重される機会を、乳幼児期から学童期・思春期・青年期に至るまで持つことができるよう、こどもや若者が自由に意見を表明しやすい環境整備と気運の醸成に取り組む。また、保護者や教職員、幼児教育や保育に携わる者などこどもや若者の健やかな育ちに関わるおとなのほか、広く社会に対しても、こども・若者の意見を表明する権利について周知啓発する。 こどもや若者が意見を表明し、社会に参画できるようになるため、こどもや若者が理解しやすくアクセスしやすい多様な方法でこども施策に関する十分な情報提供を行う。 こどもや若者が、自らの意見や気持ちを表明してもよいことを理解できるよう、その年 齢や発達の程度に応じて、自らの権利について知る機会の創出に向けて取り組む。 (こども大綱 p.37)
(こども・若者が意見を表明しやすい環境整備と気運の醸成)→こども・若者が意見を表明しやすい環境整備と気運の醸成⇒ 国におけるこども・若者の意見聴取及び意見反映の結果について社会全体に発信していくほか、各府省庁及び地方公共団体に対するこども基本法第 11 条に基づく措置についての取組状況の調査により、こども・若者の社会参画や意見反映の取組の好事例を収集し、横展開を図ることを通じて、こども・若者が自由に意見を表明しやすい環境整備と社会気運の醸成に取り組む。
(こども施策に関する情報提供)→こども施策に関する情報提供⇒こども施策に関して年齢や発達の程度に応じた情報提供を行い、施策への理解・関心が深まることは、 こども・若者の意見表明や社会参画につながることを踏まえ、こども施策を所管する各府省庁が、こども 施策について、こども・若者の視点に立った資料等の作成を行えるよう、こども家庭庁において助言等を行う。
(こども・若者の意見を表明する権利に関する知る機会の創出)→こどもの権利条約の認知度の把握と普及啓発⇒こども基本法第 15 条及び同法附帯決議を踏まえて令和5年度に実施した、こどもの権利条約の趣旨や 内容についての認知度調査と同条約の普及啓発方法の検討のための調査研究を踏まえ、民間団体等と連 携しつつ、同条約の趣旨や内容の普及啓発に広く取り組む。また、おおむね3年毎を目途に、令和5年度 と同規模の認知度調査を実施するなどして定期的に認知度を把握する。

(4)多様な声を施策に反映させる工夫→ 貧困、虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、不登校、障害・医療的ケア、非行などを始め、困難な状況に置かれたこども・若者、ヤングケアラー、社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者など、様々な状況にあって声を聴かれにくいこどもや若者、乳幼児 を含む低年齢のこども、意見を表明することへの意欲や関心を必ずしも高くもてないこどもや若者がいることを認識し、全てのこども・若者が自らの意見をもち、それを表明することができるという認識の下、安心して意見を表明し、その意見が施策に反映されるよう、意見聴取に係る多様な手法を検討するとともに、十分な配慮や工夫をする。 (こども大綱 p.37)
(多様な声を施策に反映させる工夫)→多様な意見のこども施策への反映⇒令和5年度に実施した「様々な状況にあって声を聴かれにくいこどもや若者の意見反映の在り方につ いての調査研究」の結果を踏まえ、令和6年度以降「こども若者★いけんぷらす」において、施設等に出 向く意見聴取を増やし、対象に応じて配慮や工夫等を講ずる。この調査研究の結果を「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」に反映したことを受け、 同ガイドラインに関する各府省庁及び地方公共団体向けの説明会などを実施し内容の周知を図り、多様なこども・若者から意見を聴く際に活かせるようにする。さらに、各府省庁及び地方公共団体に対するこども基本法第 11 条に基づく措置についての取組状況の 調査を踏まえ、多様な声を政策に反映させる工夫の好事例を収集し、横展開を図る。

(5)社会参画・意見反映を支える人材の育成→ こどもや若者が意見を言いやすい環境をつくるため、安全・安心な場をつくり意見を言いやすくなるように引き出すファシリテーターを積極的に活用できるよう人材確保や養成等のための取組を行う。 (こども大綱 p.37)
(社会参画・意見反映を支える人材の育成)
→社会参画・意見反映を支える人材の育成⇒ 令和5年度に行った「ファシリテーター養成プログラム作成のための調査研究」の内容を踏まえ、こど も・若者に対するファシリテーションについての説明会を実施し、本説明会の受講者を国での意見聴取の 場において活用できるよう取り組む。また、順次、地方公共団体でも主体的に人材養成を行うことができるよう検討する。地方公共団体に対するこども基本法第 11 条に基づく措置についての取組状況の調査結果を踏まえ、地 方公共団体におけるファシリテーター養成の在り方や、意見聴取の手法・対象に応じて必要となるファシ リテーターの技能、その他こども・若者の社会参画・意見反映を支える人材の在り方等について、継続的 に検討する。

(6)若者が主体となって活動する団体等の活動を促進する環境整備→ 様々な社会課題の解決に自ら声を上げて取り組む若者団体や地域においてこどもや若者が主体となって活動しているこども会議、若者会議、ユースカウンシルなどは、こどもや若者の社会参画の機会の一つであり、これらの活動がより充実するよう、連携を強化するとともに、好事例の展開等を進める。若者団体等の主体的な活動を促進するための取組の在り方について検討する。 地域におけるこどもの意見反映・社会参画の拠点として、児童館、子ども会、こども食堂や学習支援の場など地域にある多様な居場所、公民館や図書館などの社会教育施設、こどもの意見表明支援やこどもの社会参画機会の提供を行う民間団体との連携を強化す る。 (こども大綱 pp.37-38)
(若者が主体となって活動する団体等の活動の促進)→若者が主体となって活動する団体等との連携強化・取組促進等⇒ こどもや若者の社会参画を進めることの意義を踏まえ、若者が主体となって活動する団体等との意見交換を行う。国内及び海外における若者が主体となって活動する団体の実態把握等に関する調査研究を実施し、各府省庁や地方公共団体との連携の好事例を含めた団体についての現状等を把握するとともに、活動を促進するための取組の在り方を検討する。
(民間団体等との連携強化)→民間団体等との連携強化 こどもの意見表明支援やこどもの社会参画機会の提供を行う民間団体等と、こども・若者の社会参画、 意見聴取をテーマに、意見交換を行う。

(7)こども・若者の社会参画や意見反映に関する調査研究 →こどもや若者の社会参画や意見反映に関する調査研究を推進する。 こども・若者の社会参画、意見反映のプロセスやその結果に係る評価について、仕組み の構築に向けて取り組む。 (こども大綱 p.38)
(こどもや若者の社会参画や意見反映に関する調査研究)
→ こども・若者意見反映調査研究の実施⇒ こども・若者参画及び意見反映専門委員会の議論を踏まえつつ、こどもや若者の社会参画や意見反映に 関する必要な調査研究を実施する。
(こども・若者の社会参画、意見反映のプロセス等の評価に係る仕組みの構築)→こども・若者の社会参画、意見反映のプロセス等の評価に係る仕組みに関する検討⇒「こども若者★いけんぷらす」の取組状況を踏まえながら、参加者や関係者からの「事後アンケート」 で、事業についての感想を得て、意見反映に関するプロセスの評価を行い、改善につなげる。意見反映の結果に係る評価の在り方について、仕組みの構築を見据えて検討を進める。

○R6年度からR10年度までの項目↓
・V−1−(1)国の政策決定過程へのこども・若者の参画促進
→「こども若者★いけんぷらす」の着実な実施⇒登録者1万人に向けた定期的な広報の実施。こども・若者の意見の集約・活用。
・V−1−(2)地方公共団体等における取組促進→地方公共団体へのガイドライ ンの周知やファシリテーターの派遣等の支援⇒取組状況調査。「こども・若者意見反映サポート事業」の実施。
・V−2−(1)「こどもまんなか」の実現に向けたEBPM
→こども施策における適切なアウトカム等の検討⇒ こども施策における適切なアウトカム(成果目標・成果実績)や測定指標の検討。得られた知見の活用(行政事業レビューシートにおけるロジックモデルの改善等)。
→こども施策におけるEBPM に資する支援体制の構築⇒「こども家庭庁EBPMアドバイザー」の充実。「こども家庭庁EBPMアドバイザー」の活用推進。
→こども施策におけるEBPMの浸透に資する研修や周知啓発、情報提供、相談支援等の 充実⇒職員向け研修、周知啓発・情報提供、相談支援等の充実。
→ 大学・研究機関等の創意工夫を活かす調査研究等の推進 ⇒外部研究機関との連携・協力関係の構築。
→こども施策におけるEBPMに関する地方公共団体の好事例の収集 ⇒地方公共団体における取組の好事例の収集、横展開。
→こども施策に関するデータの 整備 ⇒こども・若者や子育て当事者が置かれている状況を把握するための調査研究の実施。 「こども・若者総合調査(仮称)」 の実施(平成7年度)。 「こども・若者国際比較調査(仮称)」 の実施(平成8年度)。
→こどもに着目したウェルビー イング指標の在り方の検討⇒我が国における指標の在り方の検討。関連データ・指標の国内整備状況を 把握するための調査研究(平成6年度)。
・V−1−(1) (国の政策決定過程へのこども・若者の参画促進)
→意見聴取の実施数(こども若者 ★いけんぷらすのいけんひろば の実施回数)(累計) 41 回 (2023 年度末時点)。
→「こども若者★いけんぷらす」 に登録しているこども・若者の 数 4211 人 (2023 年度末時点)。
・V−1−(2) (地方公共団体等における取組促進)
→地方公共団体へのファシリテー ター派遣者数 18 人 (2023 年度)。


◎資料2 令和6年度(前期)こども若者★いけんぷらすテーマ一覧
○令和6年5月30日時点で8のテーマあり。「テーマ」に沿って「手法」「対象年代」「開催時期」「担当省庁」で整理。以下テーマのみ。↓

・大学生が興味を持っている「食品の安 全」に関するテーマは何か
・「令和6年版こども白書」(やさしい 版)をつくる上で大切だと思うこと
・結婚・子育てに対する若者の意識につい て
・農林水産物・食品の持続可能な取組に関する消費者への情報発信について
・教育データ利活用について
・ヘイトスピーチの解消に向けた効果的な 啓発手法について
・こども・若者の海に対する意識について
・「こどもの居場所づくりに関する指針」 に関するこども向けコンテンツ作成について


◎資料3 令和6年度みんなのパートナーぽんぱーについて
○役割→ぷらすメンバーから広く意見を聴くための工夫や、こども・若者のみなさんにとってわかりやすい情報発信などについ て、運営事務局であるこども家庭庁の職員などと一緒に取り組んでいただく方です。
○「みんなのパートナーぽんぱー」の由来→『みんなのパートナー』はこども達と対等な関係で寄 り添う存在であることを示す言葉、『ぽんぱー』はポ ンプのように意見をくみ上げていく役割をイメージ させる言葉として、ぽんぱーが考えたものです。
○具体的な取組の内容→次の3班に分かれて、取組を進めていきます。具体的なことは、ぽ んぱーの皆さんと一緒に考えていきます。
・いけんぷらす 改善班→いけんぷらすが意見をより良い制度にする ため、事業の仕組みや活動内容に関する定 期的なアンケート、ぷらすメンバー向けイベ ントなどを実施し、集まった意見をもとに、制度の課題を見つけ、こども家庭庁と共に 事業改善につなげる。
・いけんひろば 企画班→メンバーからのテーマ募集、テーマ設定、意見交換のための企画立案、意見のとりまとめや審議会等への報告等一連の取組の企 画・実践に参加する。
・いけんぷらす 広報班→いけんひろばの開催等についてのメンバー 内及び対外的な広報をSNSアカウント等 を用いて行うほか、1万人規模にメンバー を近づけるためにどのような方策をとるべ きかこども家庭庁とともに検討する。

○募集や選考の結果→<募集期間> 3月22日(金)〜4月11日(金)。 <応募者数> 110人(ぷらすメンバーから募集)。 <選考方法> 以下2点の作文(各400字)及び面談による選考 ・ぽんぱーとして活動したいと思った理由 ・ぽんぱーとしてやりたいこととその理由。 <選考結果> 計20人 年齢別:中学生4人、高校生8人、大学生5人、社会人3人 男女比:男性7人、女性13人 。地域別:北海道・東北:2人、関東5人、中部5人、近畿4人、 中国・四国:2人、九州:2人 新規・継続:昨年度から継続4名、新規16名。
○直近の活動↓
・5/10(金) プレミーティング@→オンラインで集まって顔合わせと自己紹介を行いました。また、こども家庭庁の職員から、こども家庭庁や こども基本法について説明し、ぽんぱーの活動のグラウンドルールの確認が行われました。
・5/22(水) プレミーティングA→オンラインで集まって2回目のミーティングを行いました。班活動に向けて、昨年度、ぽんぱーがどのよう なことを行ってきたのかなどについてこども家庭庁の職員から説明をしました。
・6/ 2(日) 初回ミーティング→こども家庭庁のこどもまんなかひろばで、対面とオンラ インのハイブリットで実施し、加藤大臣にも御出席いただ きました。 加藤大臣との対話では、この「ぽんぱー」の活動への意 気込みなどをシェアし、加藤大臣からは「それぞれみんな 多様なきっかけて参加してくださっていて、全然違うきっ かけで飛び込んだ人同士の間で、これから何がうまれてく るのかというのが楽しみになった」とのお言葉がありまし た。 また、「ぽんぱー」の活動班も決まり、今後、改善班 (7名)、企画班(7名)、広報班(6名)の3班に分かれて、月に1〜2回程度活動する予定です。


◎資料4 若者が主体となって活動する団体に関する調査研究
○調査研究の概要
→令和5年12月22日に閣議決定された「こども大綱」において、こども施策を推進するために必要な事項として、こども・若者 の社会参画・意見反映が明記され、その中で、「若者が主体となって活動する団体等の活動を促進する環境整備」が記載されて いることを踏まえ、国内及び海外における若者が主体となって活動している団体の実態把握等に関 する調査研究を実施し、「若者団体」の現状を把握するとともに、活動を促進するための取組の在り方を検討する。
○調査研究の内容↓
・事例調査(文献調査)↓

→国内事例調査 国内を拠点に活動する「若者団体」の活動内容、当 該団体の国・地方公共団体との連携事例等について調査。対象:@ 国や国際機関に向けた政策提言を行う ことを活動目的としている団体 A 地方公共団体に向けた政策提言を行うことを活動目的としている団体 B その他、こども・若者の社会参画に資する活動をしている団体。 
→海外事例調査 国外を拠点に活動する若者団体の活動内容、当該 団体の国・地方公共団体との連携事例等について 調査。 また、「若者団体」の活動に、中央政府又は地方行政 機関が人的物的経済的支援を実施している事例を 収集。
・ヒアリング調査→「若者団体」ヒアリング(若者団体に対して、現在の活動状況や活動上の課題及 びその解決手法等についてヒアリング)。 海外ヒアリング(日本国外を拠点に活動している「若者団体」や当該団体 と連携している国・地方公共団体に対して現状や課題に ついてヒアリング。 自治体ヒアリング。 日本国内において「若者団体」と連携している自治体に 対し、連携の事例や在り方等をヒアリング。)
・有識者会議→「若者団体」の活動または若者の社会参画の在り方に関する 有識者からなる会議を設け、調査内容の検討、若者団体の 現状の整理、活動促進の在り方についての検討・取りまとめ をおこなう。

○調査研究のスケジュール案→2月以降の調査研究報告書〈成果物 〉。

次回も続き「資料5 ぷらすメンバー向けアンケートの結果について(概要)」からです。

こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回) [2024年07月25日(Thu)]
こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回)(令和6年6月 25 日)
議題 (1)制度改正を要する事項 (2)ヤングケアラーに関する改正法の施行等について
児童虐待防止対策部会(第4回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/44670211/
参考資料4 経済財政運営と改革の基本方針 2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜           令和6年6月 21日
第4章 当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方
1.当面の経済財政運営について
→ 現状では、物価上昇が賃金上昇を上回る中で、消費は力強さを欠いているものの、今後は、景気の緩やかな回復が続く中で、賃金上昇が物価上昇を上回っていくことが期待される。海外経済の下振れによるリスクや円安等に伴う輸入物価の上昇の影響には留意する必要がある。 経済財政運営に当たっては、まずは、春季労使交渉による賃上げの流れを中小企業・小規模事業者、地方等でも実現し、医療・介護など、公的価格に基づく賃金の引上げ、最低 賃金の引上げを実行する。その上で、定額減税により、家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出す。あわせて、来年以降に物価上昇を上回る賃金上昇が定着することを目指し、持続的・構造的な賃上げの実現に向けた三位一体の労働市場改革、生産性向上に向けた国内投資の拡大等を通じて、潜在成長率の引上げに取り組む。 このため、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和5年 度補正予算並びに令和6年度予算及び関連する施策を迅速かつ着実に執行する。 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、 賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。

2.令和7年度予算編成に向けた考え方→ @ 前述の情勢認識を踏まえ、持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化を進め、日本経済を新たなステージへと移行させていく。 A 令和7年度予算において、本方針に基づき、第3章で定める中期的な経済財政の枠組 みに沿った予算編成を行う。ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはな らない。 B 持続的・構造的賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子化対策・こども政策 の抜本的強化を含めた新たなステージへの移行に向けた取組の加速、防衛力の抜本的 強化を始めとした我が国を取り巻く環境変化への対応など、重要政策課題に必要な予 算措置を講ずること等により、メリハリの効いた予算編成とする。 C EBPMやPDCAの取組を推進し、ワイズスペンディングを徹底する。単年度主義 の弊害是正、本方針における重点課題への対応など、中長期の視点に立った経済・財 政・社会保障の持続可能性の確保に向けた取組を進める。


◎参考資料5 委員等名簿→19名。
◎[委員提出資料] ・増沢委員提出資料
第 4 回 児童虐待防止対策部会 意見 増沢高(子どもの虹情報研修センター)
1.精神保健福祉センター、精神科医療施設との連携について↓

親の精神疾患、アルコール等の嗜癖、自殺企図などにおける、保護者に対するケアは、 看病といったレベルをはるかに超えた精神的負担となり、子どもの心的発達等への悪影響も指摘されているところです。
また、虐待による死亡事例の検証報告において、特に 0 歳児死亡や心中による虐待死においては、保護者(母親)に精神疾患等の問題が認められる率が高いことは、検証の始まった早い段階から指摘され続けています。
母子保健部門と児童福祉部門との一体化したこども家庭センターの機能強化は極めて重要ですが、そこに精神保健福祉センターや加害者が通院する医療機関とが加わった周産期支援システムの構築 が必要です。

2.自殺対策と連動した児童虐待防止対策の必要性 ↓
また、心中による虐待死事例は、全虐待死事例の半数を占めています。親子心中には、 拡大自殺という側面があり、自殺予防の観点が重要です。また虐待を受けた子ども・若者 の自殺のリスクについても検討する必要があり、その防止に努めなくてはなりません。これらを踏まえると、児童虐待防止対策の検討や地域での取り組みにおいては、自殺総合対策や地域の自殺防止対応とも連動した検討が必要です。

3.ヤングケアラー支援等における情報共有について↓
ヤングケアラーの支援においては、親の薬物・アルコール使用、あるいは親の精神疾患など脆弱な家族が直面している複合的リスクに対して、一つの機関だけでは対応できない場合が多く、機関間協働による支援は必須であり、そのための情報共有は不可欠です。個人情報保護法では、情報共有にためには「本人同意」と「相当の理由」を必要としますが、当事者にとって家庭の事情を他者に伝えることには抵抗が大きく、同意を得ることは困難です。また、支援を目的とした情報共有は「相当の理由」に該当すると思いますが、社会全体でのコンセンサスが十分でなく、個人情報保護を理由に情報共有がなされない場合が多いのが実情です。またヤングケアラーの事案は、要保護児童対策地域協議会への登録に該当する要保護・支援ケースになりにくいため、支援のための情報共有が「相当の理由」にあたることを関係機関で共有し、有効な支援を届ける必要があります。
なお、こうした問題について、 オーストラリア(NSW 州)では支援における情報交換の重要性を強調した上で、国のプライバシー法等が、機関間協働の主要な障壁となっていることを指摘し、支援における行政機関と民間機関の情報交換を推進するための法改正を勧告し、法改正を行っています(「「ソーシャルワーカーの児童保護サービスに関する特別委員会の報告書(2008 年)」。日本においても、個人情報保護を理由に支援に必要な情報共有に支障が生じないよう対策を検討する必要があります。

4.児童相談所職員のメンタルケアについて ↓
児童相談所職員は、ケース対応において大きなストレスがかかると同時に、業務遂行に おいて社会的重圧が非常に高く、このことも大きなストレス要因となっています。その中 で、SNS上で職員の個人名を特定した事実根拠のない誹謗中傷がかなりあり、こうした ことが職員の不安や恐怖心を高め、メンタルヘルスに大きなダメージを与える要因のひと つとなります。職員の業務遂行において問題があった場合、当事者に対して不服申し立て 等の正当な訴えの機会を保証することは重要ですが、SNSを利用した事実根拠のない誹 謗中傷から職員を守るといった視点も必要と考えます。このことはこども家庭庁だけで解 決できる問題ではありませんが、社会的問題として提議することが必要と思います。

次回は新たに「こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第7回)」からです。
こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回) [2024年07月24日(Wed)]
こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回)(令和6年6月 25 日)
議題 (1)制度改正を要する事項 (2)ヤングケアラーに関する改正法の施行等について
児童虐待防止対策部会(第4回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/44670211/
◎参考資料4 経済財政運営と改革の基本方針 2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜           令和6年6月 21日
第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現〜「経済・財政新生計画」〜
1.新たなステージに向けた経済財政政策 ↓
(これまでの経済・財政一体改革の進捗)
→政府はこれまで、骨太方針2018で示された新経済・財政再生計画の下で、財政健全化目 標や主要分野の改革方針等を定め、経済と財政の一体的な再生に向けた取組を進めてきた。 毎年度の当初予算では、財源を伴った防衛力強化やこども・子育て政策の拡充、経済・ 物価動向等を踏まえた対応を行いつつ、歳出の目安に沿った予算編成を継続し、歳出効率 化に取り組むとともに、コロナや物価高に対して機動的な政策対応を行い、経済の下支えに万全を期すこと等により、経済再生に取り組んできた。 その結果、国・地方のPBは、コロナ対応により2020年度に大幅に悪化した後、基調として改善傾向にあり、緊急経済対策の執行による振れを伴いつつも、中長期の経済財政に関する試算で示された成長実現ケースの下、歳出改革努力の継続を前提として、2025年 度の黒字化が視野に入る状況にある。 債務残高対GDP比は、2020年度にPBの大幅な悪化から大きく上昇した。その後、2023 年度にはPBの改善と名目成長率の上昇に伴い前年から低下する見込みとなっている。
(新たなステージに向けた経済財政政策の方向性)→こうした取組の下、我が国経済は、コロナ禍による落ち込みから回復し、第1章第1節 で述べたとおり、33年ぶりの高水準の賃上げ、史上最高水準の企業の設備投資など、現在、 デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている。 今後は、足下の賃金上昇を構造的な賃上げに結び付けるとともに、官民連携による前向 きな投資を喚起することで「成長と分配の好循環」につなげ、我が国経済を、デフレからの完全脱却、そして、これまでの延長線上にない新たなステージへの移行へと導くことにより、経済の規模を拡大させつつ、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に大きく前へと進める必要がある。 このため、経済財政政策については、物価・賃金・金利といった価格の上昇に対応しな がら、これまでの危機対応から潜在成長率の引上げに軸足を置いた資源配分へと質を変化させていくことが重要である。同時に、変化する金融環境の下、金利のある世界への移行による利払費増加の懸念や大規模な政策対応を必要とする世界的な経済危機や大規模災害、 感染症等への備えが求められる中で、財政に対する市場の信認を確保するため、平時において債務残高対GDP比の安定的引下げを実現する持続可能な財政構造の確保を進めていく必要がある。

2.中期的な経済財政の枠組み
(新たな枠組みと基本的考え方)
本計画の対象期間は、人口減少が本格化する2030年度までの6年間とし、引き続き経済・ 財政一体改革を推進する。 経済あっての財政との考え方の下、生産性向上、労働参加拡大、出生率の向上を通じて 潜在成長率を高める。需給両面での成長を支えるため、官民挙げて積極果敢な国内投資を 行い、企業部門の投資超過へのシフトを促す。また、意欲のある誰もが自由で柔軟に活躍できる社会を構築する中で、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現の下、家計の可 処分所得が継続的に増加し、潜在的な支出ニーズが顕在化する「成長と分配の好循環」と、希望あふれるWell-beingの高い社会の実現を図る。経済・財政・社会保障を一体として相互に連携させながら改革を進め、経済社会の持続可能性を確保していく。 経済再生と財政健全化の両立を図るため、以下の基本的考え方に沿って、潜在成長率の 引上げと社会課題の解決に重点を置き、中長期的な視点を重視した経済財政運営に取り組む。 ・賃金や調達価格の上昇を適切に反映しつつ、新技術の社会実装やDXによる生産性向上、 公的サービスの広域化・共同化や産業化による公的部門の効率化、インセンティブ改革や見える化、先進事例の横展開による行動変容の促進等を進める。その下で、歳出構造 を平時に戻すとともに、成長と分配の好循環を拡大させる。 ・官民連携の下で、民間の予見可能性を高める中長期の計画的な投資を推進する政策運営を行い、積極果敢な民間投資を喚起する。その際、財源も一体的に検討し歳出と歳入を多年度でバランスさせる。同時に、経常的歳出が毎年の税収等で着実に賄われるよう取り組む。 ・予算の単年度主義の弊害是正に取り組む。税制の将来にわたる効果を見据えた動的思考を活用する。 ・以上の取組について、本章第4節の方針に沿って、EBPMを更に強化し、ワイズスペンディングを徹底する。
(財政健全化目標と予算編成の基本的考え方)→財政健全化の「旗」を下ろさず、これまでの目標に取り組むとともに、今後の金利のある世界において、国際金融市場の動向にも留意しつつ、将来の経済・財政・社会保障の持続可能性確保へとつながるようその基調を確かなものとしていく。そのため、2025年度の 国・地方を合わせたPB黒字化を目指すとともに、計画期間を通じ、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と 財政健全化を両立させる歩みを更に前進させる。 経済あっての財政であり、現行の目標年度を含むこれらの目標により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められてはならない。必要な政策対応と財政健全化目標に取り組むことは決して矛盾するものではない。経済を成長させ、そして財政健全化に向けて取り組んでいく。ただし、内外の経済情勢等を常に注視していく必要がある。このため、状況に応じて必要な検証を行っていく。 予算編成においては、2025年度から2027年度までの3年間について、上記の基本的考え方の下、これまでの歳出改革努力を継続する。その具体的な内容については、日本経済が新たなステージに入りつつある中で、経済・物価動向等に配慮しながら、各年度の予算編成過程において検討する。ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはなら ない。機動的なマクロ経済運営を行いつつ潜在成長率の引上げに取り組む。
(税制改革)→デフレからの完全脱却と経済の新たなステージへの移行を実現するとの基本的考え方の下、経済成長と財政健全化の両立を図るとともに、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進める。 骨太方針2023等も踏まえ、応能負担を通じた再分配機能の向上・格差の固定化防止を 図りつつ、公平かつ多様な働き方等に中立的で、デジタル社会にふさわしい税制を構築し、 経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、EBPMの取組を着実に強化しながら、税体系全般の見直しを推進する。納税環境の整備と適正・公平な課税の実現の観点から制度及び執行体制の両面からの取組を強化するとともに、新たな国際課税ルールへの対応を進める。
(経済・財政一体改革の点検・評価)→改革の着実な推進に向け、本基本方針、改革工程、その他各分野における取組を踏まえ、 本年末までにEBPMの強化策及び経済・財政一体改革の工程を具体化するとともに、毎年改革の進捗管理・点検・評価を行う。また、経済財政諮問会議において、成長と分配の好循環実現に関するKPI等の進捗確認を含め、半年ごとの中長期試算公表時における随時の検証及びおおむね3年を目途とする包括的な検証を行い、必要となる政策対応等に 結び付ける。

3.主要分野ごとの基本方針と重要課題
(1)全世代型社会保障の構築
→少子高齢化・人口減少を克服し、「国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社 会」を目指すためには、国民の将来不安を払拭し「成長と分配の好循環」の基盤となる改革を進めるとともに、長期推計を踏まえ、中長期的な社会の構造変化に耐え得る強靱で持続可能な社会保障システムを確立する必要がある。このため、中長期的な時間軸も視野に入れ、医療・介護DXやICT、ロボットなど先進技術・データの徹底活用やタスクシフ ト/シェアや全世代型リ・スキリングの推進等による「生産性の向上」、女性・高齢者など誰もが意欲に応じて活躍できる「生涯活躍社会の実現」、「こども未来戦略」の効果的な実践による「少子化への対応」など関連する政策総動員で対応する。 また、現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくためには、医療・ 介護等の不断の改革により、ワイズスペンディングを徹底し、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要。このため、持続可能な社会保障制度の構築に向け、能力に応 じ全世代が支え合う「全世代型社会保障」構築を目指し、経済・財政一体改革におけるこれまでの議論も踏まえて策定された改革工程に基づき、その定める「時間軸」に沿った改革を次に掲げるとおり着実に推進する。その際、全世代型社会保障の将来的な姿について、 国民に分かりやすく情報提供する。
(医療・介護サービスの提供体制等)→高齢者人口の更なる増加と人口減少に対応するため、限りある資源を有効に活用しなが ら、質の高い効率的な医療・介護サービスの提供体制を確保するとともに、医療・介護D Xの政府を挙げての強力な推進、ロボット・デジタル技術やICT・オンライン診療の活 用、タスクシフト/シェア、医療の機能分化と連携など地域の実情に応じ、多様な政策を 連携させる必要がある。 国民目線に立ったかかりつけ医機能が発揮される制度整備、地域医療連携推進法人・社 会福祉連携推進法人の活用、救急医療体制の確保、持続可能なドクターヘリ運航の推進や、 居住地によらず安全に分べんできる周産期医療の確保、都道府県のガバナンスの強化を図る。地域医療構想について、2025 年に向けて国がアウトリーチの伴走支援に取り組む。 また、2040 年頃を見据えて、医療・介護の複合ニーズを抱える 85 歳以上人口の増大や現 役世代の減少等に対応できるよう、地域医療構想の対象範囲について、かかりつけ医機能 や在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制全体に拡大すると ともに、病床機能の分化・連携に加えて、医療機関機能の明確化、都道府県の責務・権限 や市町村の役割、財政支援の在り方等について、法制上の措置を含めて検討を行い、2024 年末までに結論を得る。 医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在の是正を図るため、医師確保計画を深化させるとともに、医師養成過程での地域枠の活用、大学病院からの医師の派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施等の必要な人材を確保するための取組、経済的インセンティブによる偏在是正、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施など、総合的な対策のパッケージを 2024 年末までに策定する。あわせて、2026 年度の医学部定員の上限については 2024 年度の医学部定員を超えない範囲で設定するとともに、今後の医師の需給状況を踏まえつつ、2027 年度以降の医学部定員の適正化の検討を速やかに行う。
人口減少による介護従事者不足が見込まれる中で、医療機関との連携強化、介護サービ ス事業者のテクノロジーの活用や協働化・大規模化、医療機関を含め保有資産を含む財務情報や職種別の給与に係る情報などの経営状況の見える化を推進した上で、処遇の改善や業務負担軽減・職場環境改善が適切に図られるよう取り組む。また、必要な介護サービスを確保するため、外国人介護人材を含めた人材確保対策を進めるとともに、地域軸、時間軸も踏まえつつ、中長期的な介護サービス提供体制を確保するビジョンの在り方について検討する。 このほか、がん対策、循環器病対策、難聴対策186、難病対策、移植医療対策、慢性腎 臓病対策、アレルギー対策、依存症対策、栄養対策、睡眠対策、COPD対策等の推進や、予防接種法に基づくワクチン接種を始めとした肺炎等の感染症対策の推進を図る とともに、更年期障害や骨粗しょう症等に対する女性の健康支援の総合対策の推進を図る。 また、全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の活用と国民への適切な情報提供、生 涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた具体的な取組の推進、オーラル フレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医歯薬連携を始めとする多職種間の連携、歯科衛生士・歯科技工士等の人材確 保の必要性を踏まえた対応、歯科領域におけるICTの活用の推進、各分野等における歯 科医師の適切な配置の推進により、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組むととも に、有効性・安全性が認められた新技術・新材料の保険導入を推進する。また、ICTや特定行為研修の活用等による訪問看護や看護師確保対策の促進、在宅サービスの多機能化等による在宅医療介護の推進に取り組む。また、自立支援・社会復帰に資するリハビリテーションを推進する。
(医療・介護保険等の改革)→給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、関連法案の提出も含め、 各種医療保険制度における総合的な検討を進める。こうした改革を進めるに当たっては、 審査支払機関による医療費適正化の取組強化、多剤重複投薬や重複検査等の適正化に向けた実効性ある仕組みの整備を図り、国民健康保険制度については、都道府県内の保険料水準の統一を徹底するとともに、保険者機能の強化等を進めるための取組を進め、人口動態や適用拡大による加入者の変化等を踏まえ、医療費適正化や都道府県のガバナンス強化等にも資するよう、調整交付金や保険者努力支援制度その他の財政支援の在り方について検討を行う。また、国際比較可能な保健医療支出統計の整備を推進する。 介護保険制度について、利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し、 ケアマネジメントに関する給付の在り方、軽度者への生活援助サービス等に関する給付の 在り方については、第10期介護保険事業計画期間の開始の前までに検討を行い、結論を得る。あわせて、高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題や、医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題などについて、報酬体系の見直しや規制強化、 公的な職業紹介の機能の強化の更なる検討を含め、実効性ある対策を講ずる。また、深刻 化するビジネスケアラーへの対応も念頭に、介護保険外サービスの利用促進のため、自治 体における柔軟な運用、適切なサービス選択や信頼性向上に向けた環境整備を図る。
(予防・重症化予防・健康づくりの推進)→健康寿命を延伸し、生涯活躍社会を実現するため、減塩等の推進における民間企業との連携、望まない受動喫煙対策を推進するとともに、がん検診の受診率の向上にも資するよう、第3期データヘルス計画に基づき保険者と事業主の連携(コラボヘルス)の深化を図り、また、予防・重症化予防・健康づくりに関する大規模実証研究事業の活用などにより 保健事業やヘルスケアサービスの創出を推進し、得られたエビデンスの社会実装に向けた AMEDの機能強化を行う。元気な高齢者の増加と要介護認定率の低下に向け、総合事業の充実により、地域の多様な主体による柔軟なサービス提供を通じた効果的な介護予防に向けた取組を推進するとともに、エビデンスに基づく科学的介護を推進し、医療と介護の間で適切なケアサイクルの確立を図る。また、ウェアラブルデバイスに記録されるライフログデータ(睡眠・歩数等)を含むPHRについて、医療や介護との連携も視野に活用を図るとともに、民間団体による健康づくりサービスの「質の見える化」を推進する。
(創薬力の強化等ヘルスケアの推進)→創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるため、構想会議中間取りまとめを踏まえ、革新的医薬品候補のFIH試験を実施できる国際競争力ある臨床試験体制の整備、臨床研究中核病院の承認要件の見直し、治験薬・バイオ医薬品の製造体制の整備や人材の育成や確保など有望なシーズを速やかに実用化する国際水準の研究開発環境の実現に取り組む。医療機関や企業の研究者による医療データの利活用を推進するため、個人識別性のないゲノムデータに関する個人情報保護法上の解釈の明確化等を図る。また、官民協議会による外資系企業・VCの呼び込み等を通じアカデミアから産業界にわたる多様なプレイヤーをつなぎ、アーリーステージを含む各ステージに新たな研究開発資金が投じられるよう、その推進体制の整備も含め創薬エコシステムの再編成を図るとともに、大学病院等の研究開発力の向上に向けた環境整備やAMEDの研究開発支援を通じて研究基盤を強化することで創薬力の抜本的強化を図る。イノベーションの進展を踏まえた医療や医薬品を早期に活用できるよう民間保険の活用も含めた保険外併用療養費制度の在り方の検討を進める。ドラッグロス等への対応やプログラム医療機器の実用化促進に向けた薬事上の措置を検討し、2024年末までに結論を得るとともに、承認審査・相談体制の強化等を推進する。あわせて、PMDAの海外拠点を活用した薬事規制調和の推進等に取り組む。引き続き迅速な保険収載の運用を維持した上で、イノベーションの推進や現役世代等の保険料負担に配慮する観点から、費用対効果評価の更なる活用の在り方について、医薬品の革新性の適切な評価も含め、検討する。また、休薬・減薬を含む効果的・効率的な治療に関する調査・研究を推進し、診療のガイドラインにも反映していく。足下の医薬品の供給不安解消に取り組むとともに、医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品業界の理想的な姿を見据え、業界再編も視野に入れた構造改革を促進し、安定供給に係る法的枠組みを整備する。バイオシミラーの使用等を促進するほか、更なるスイッチOTC化の推進等によりセルフケア・セルフメディケーションを推進しつつ、薬剤自己負担の見直しについて引き続き検討を進める。特定重要物資である抗菌薬について、国内製造の原薬が 継続的に用いられる環境整備のための枠組みや一定の国内流通量を確保する方策について 検討し、2024年度中に結論を得る。また、新規抗菌薬開発に対する市場インセンティブや、新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業などにより産学官が連携して薬剤耐性菌の治療薬を確実に確保するとともに、抗菌薬研究開発支援に関する国際連携を推進する。2025年度薬価改定に関しては、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討する。このほか、MEDISOの機能強化、CARISO(仮称)の整備など医療介護分野のヘルスケアスタートアップの振興・支援の強力な推進、2025 年度の事業実施組織の設立に向けた全ゲノム解析等に係る計画の推進を通じた情報基盤の整備や患者への還元等の解析結果の利活用に係る体制整備、創薬AIプラットフォームの整備、医療機器を含むヘルスケア産業、iPS細胞を活用した創薬や再生医療等の研究開発の推進及び同分野に係る産業振興拠点の整備や医療安全の更なる向上・病院等の事務効率化に資する医薬品・医療機器等の製品データベースの構築等を推進する。また、 ヘルスケア分野について、HX(ヘルスケア・トランスフォーメーション)推進や投資拡 大に向け、規制改革を含む政策対応を行う。仮名加工医療情報を用いた研究開発を推進するため、次世代医療基盤法の利活用を進める。リフィル処方について、活用推進に向けて、阻害要因を精査し、保険者からの個別周知等による認知度向上を始め機運醸成に取り組む。小中学校段階での献血推進活動など献血への理解を深めるとともに、輸血用血液製剤及びグロブリン製剤、フィブリノゲン製剤等血しょう分画製剤の国内自給、安定的な確保及び適正な使用の推進を図る。医療用ラジオアイソトープについて、国産化に必要な体制を整備するなど、アクションプランに基づく取組を推進するとともに、アクションプ ランの改定に向けた議論を行う。
(働き方に中立的な年金制度の構築等)→公的年金については、働き方に中立的な年金制度の構築等を目指して、今夏の財政検証の結果を踏まえ、2024年末までに制度改正についての道筋を付ける。勤労者皆保険の実現のため、企業規模要件の撤廃を始め短時間労働者への被用者保険の適用拡大の徹底、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消等について結論を得るとともに、いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことができるよう、「年収の壁・支援強化パッケージ」 の活用促進と併せて、制度の見直しに取り組む。 (社会保障・少子化をめぐる中長期課題への対応)→都市・地方など地域ごとの社会環境の相違を意識しつつ、具体的なコミュニティをフ ールドに、健康医療、こども子育て支援分野において、「未来志向型モデルプロジェクト」(仮称)を実践し、縦割りを越えた政策連携の下、アジャイル型により先進技術・データを実装しながら政策の実証を行う。その際、全世代型健康診断によるプロアクティブケアの推進、ウェアラブル端末などの活用による健康データの利活用などの視点も踏まえた未来型健康医療モデル、地域の実情に応じた官民連携の実効性ある少子化対策・こども子育て支援実装モデルの実証とともに、既存の事業の効果的な活用等といった観点からの対応の検討など分野横断的かつ包括的で地域の実情に応じた効果ある支援を行う。 また、健康寿命の延伸や女性・高齢者等の高い就労意欲を踏まえ、更なる健康へのインセンティブ、働き方に中立な社会保障制度の確立や働き方改革などを一体的に推進する政 策パッケージを取りまとめるなどにより、年齢・性別にかかわらず生涯活躍できる環境整 備を推進する。 長期推計や経済・財政一体改革の点検・検証結果を踏まえ、人口減少や少子高齢化による長期的な影響を見据え、中長期的な社会保障システムの安定化と安心の確保を図る構造改革の在り方についての研究を行う。なお、その際、公正・公平の観点や持続可能性の観点、社会保障制度による所得再分配等を通じた安定的な需要創出や格差是正効果、ヘルスケア等の産業政策や地域経済への影響等を考慮することとする。

(2)少子化対策・こども政策→こども未来戦略、こども大綱やこどもまんなか実行計画2024に基づき、全てのこども・若者が将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」を実現し、その結果、少子化の流れを変え、社会経済の持続可能性を高めていく。 こうした施策の実施に当たっては、数値目標を含めた指標を活用してPDCAを推進するなどEBPMを確実に実行し、ワイズスペンディングにつなげる。
(加速化プランの着実な実施)→若い世代の所得の増加と社会全体の構造・意識の変革、全てのこども・子育て世帯への切れ目ない支援の観点から、改正子ども・子育て支援法等を始めとして、加速化プランに盛り込まれた施策を着実に実施する。具体的には、経済的支援の強化(児童手当の本年10月分からの抜本的な拡充、出産等の経済的負担の軽減、高等教育費の負担軽減、住宅支援の強化等)、全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充(伴走型相談支援、 保育士・幼稚園教諭等の処遇改善、保育士配置基準の改善、こども誰でも通園制度、放課後児童対策、多様な支援ニーズへの対応等)、共働き・共育ての推進(2025年度からの出生後休業支援給付や育児時短就業給付の創設等)に取り組む。これらの財源として、改革工程に基づく徹底した歳出改革等を進めるとともに、実質的な負担を生じさせずに2026年度から子ども・子育て支援金制度を導入することとし、必要な環境整備等を進める。あわせて、官民が連携して、社会全体でこども・子育て世帯を支える意識を醸成する取組を「車の両輪」として進める。
(こども大綱の推進)→全てのこども・若者の健やかな成長を社会全体で支えていく。このため、こども・若者 を権利の主体としてその意見表明と参画を促進しながら、若者が主体となって活動する団体等の継続的な活動を促進する環境整備に向けて取り組むとともに、「はじめの 100 か月の育ちビジョン」に基づく幼児期までの育ちの質の向上、「こどもの居場所づくりに関す る指針」に基づく地方自治体や民間団体への支援とともに、保育現場の負担軽減を図りつつ、人口減少地域における施設の多機能化等を通じた保育機能の維持も含め「新子育て安心プラン」後の保育提供体制の在り方を早急に示す。相談支援等を受けられるケア体 制の構築等プレコンセプションケアについて5か年戦略を策定した上で着実に推進する。 こども性暴力防止法や「生命(いのち)の安全教育」、加害者更生に向けた取組、性嗜好障害に対する治療を含めたこども性暴力防止に向けた総合的な対策を始め、こどもの安全対策や、産後ケア事業、新生児マススクリーニング・新生児聴覚検査・乳幼児健診を推進する。入院中のこどもの家族の環境整備の取組等の充実、不妊症、不育症に関する相談支援、流産、死産を経験された方への相談支援を進める。地域少子化対策重点推進交付金による結婚支援等について、効果を検証しつつ、若い世代のニーズも踏まえた更なる方策を検討する。あわせて、官民が連携してライフデザイン支援を推進する。また、当事者目線でこどものための近隣地域の生活空間を形成するこどもまんなかまちづくりを推進する。 貧困と格差の解消を図り、困難な状況にあるこども・若者や家庭に対するきめ細かい支 援を行う。このため、こども食堂・こども宅食・アウトリーチ支援等への支援や学習支援や体験機会の提供などこどもの貧困解消や見守り強化を図る。こども家庭センターの体制強化、家庭支援事業の充実や利用促進、里親やファミリーホームによる支援の充実等家庭養育優先原則の徹底、社会的養護経験者等に対する自立支援の充実、若年妊婦の支援、一時保護所の環境改善、認定資格の取得促進など改正児童福祉法に基づく施策を推進する。 こども・若者シェルターや虐待等により困難に直面する若者支援の充実、児童福祉司等の児童相談所の質・量の体制強化、児童養護施設等における養育機能の向上及び環境改善を進めるとともに、ヤングケアラー支援を進める。発達障害児・医療的ケア児を含む全ての障害のあるこどもと家族への支援体制の整備やインクルージョンの推進等を図るとともに、こどもホスピスの全国普及に向けた取組を進める。就業支援や児童扶養手当、離婚前後親支援事業などによる養育費の支払確保や安全・安心な親子の交流の推進等、ひとり親支援を進めるとともに、改正民法の周知や、司法府と連携して環境整備に取り組む。こどもの自殺対策の強化を図るとともに、予防のためのこどもの死亡検証(CDR)を推進する。 いじめ防止・不登校対策を強化する。質の高い公教育の再生の強力な推進を図る。教育振 興基本計画に基づき、青少年の健全育成に取り組む。学校給食無償化の課題整理等を行う。

(3)公教育の再生・研究活動の推進
(質の高い公教育の再生
)→持続可能な社会づくりを見据え、多様なこどもたちの特性や少子化の急速な進展など地域の実情等を踏まえつつ、全てのこどもたちの可能性を最大限引き出す個別最適・協働的な学びを一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びを実現するため、柔軟な教育課程の実現に向けた取組を進めるとともに、GIGAスクール構想をデータに基づく効果検証をしっかりと行った上で着実に推進しながら、義務教育段階にとどまらず、高校教育の質の向上を含め、令和型の質の高い公教育の再生に取り組み、我が国の学校教育の更なる高みを目指す。 質の高い教師の確保・育成に向け、2026 年度までの集中改革期間を通じてスピード感を持って、働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進める。学校・教師が担う業務の適正化やDXによる業務効率化を進めるとともに、 学校における働き方改革の取組状況の見える化等、PDCAサイクルを強化し、教師の時間外在校等時間の削減を徹底して進める。教職の特殊性や人材確保法の趣旨、教師不足 解消の必要性等に鑑み、教職調整額の水準を少なくとも10%以上に引き上げることが必要などとした中央教育審議会提言を踏まえるとともに、新たな職及び級の創設、学級担任の職務の重要性と負担等に応じた手当の加算、管理職手当の改善等の各種手当の改善など 職務の負荷に応じたメリハリある給与体系への改善も含めた検討を進め、財源確保と併せて、2025 年通常国会へ給特法 220改正案を提出するなど、教師の処遇を抜本的に改善する。 小学校教科担任制の拡大や、生徒指導担当教師の中学校への配置拡充等の教職員定数や副校長・教頭マネジメント支援員等の支援スタッフの充実を図るとともに、35 人学級等につ いての小学校における多面的な効果検証等を踏まえつつ、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制を構築していく。地域枠の活用や多様な専門性を高める教員養成、管理職のマネジメント力強化を含む研修の充実、大学院段階の奨学金返還支援の実行と学部段階を含めた更なる検討等に取り組む。 学校が抱える課題が複雑化・多様化する中、教師を安心して本務に集中させ、こどもたちの豊かな学びを実現するため、チーム学校との考えの下、コミュニティ・スクールと地 域学校協働活動の一体的な取組や、部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行に向けた 取組を加速するとともに、ICTの活用や教育と福祉の連携も強化しつつ、SC・SS W等や警察にいつでも相談できる環境の整備、学びの多様化学校や学校内外の教育支援 センターの設置促進・機能強化等の不登校対策や重大ないじめ・自殺への徹底した対応や インクルーシブな学校運営モデルの構築など特別支援教育の充実に向けた体制や環境の整備、養護教諭の支援体制等の推進、夜間中学の全国的な設置促進・機能強化、セーフティプロモーションスクールの考え方を取り入れた学校安全の推進等により誰もが安心して学べる魅力ある学校づくりを推進する。また、非認知能力の育成に向けた幼児期及び幼保小接続期の教育・保育の質的向上や豊かな感性や創造性を育むための自然等の体験活動・読書活動、キャリア教育・職業教育等を推進するとともに、体力や視力低下に歯止めをかける対策の強化、歯科保健教育や栄養教諭を中核とした食育を推進する。 少子化の進行を見据え、高等教育の機能強化に向け、質・アクセス・規模の在り方について2024 年度中に一定の結論を得るとともに、高等教育費の負担軽減に向け、修学支援新 制度等の制度改正の着実な実施や運営体制の充実とともに、実施状況の効果検証を通じた 機会均等及び少子化対策の両面からの適切な見直しを図りつつ、授業料後払い制度の本格 導入について各般の議論を踏まえて速やかに結論を得ることを含め、必要な支援の検討を 進める。高校段階についても、質の向上を図りつつ、教育費の負担軽減を推進する。
(研究の質を高める仕組みの構築)→研究の質や生産性向上による基礎研究力の抜本的な強化に向け、科学技術政策全般のEBPMの強化を図りつつ、大学の教育・研究・ガバナンスの一体改革を推進する。また、 運営費交付金や私学助成等の基盤的経費を十分に確保するとともに、科研費の制度改革を始めとする研究資金の不断の見直しと充実を図る。さらに、官民共同の仕組み等による大型研究施設の戦略的な整備・活用・高度化の推進や研究DXによる生産性向上、若手研究者の処遇向上や、女性研究者、研究開発マネジメント人材の活躍促進、産学官連携によるキャンパスの共創拠点化、大学病院における教育・研究・診療機能の質の担保に向けた医師の働き方改革の推進等を図る。 日本学術会議が世界最高のアカデミーとして科学の向上発達及び科学の成果を通じて、国民の福祉及び我が国の発展に貢献することを目的とし、その機能を強化するため、独立性の徹底、自律的な進化と透明性・ガバナンスの担保に向け、独立した法人格を有する組織として必要な法制の検討等を進める。

(4)戦略的な社会資本整備 →人口減少とインフラ老朽化が加速する中、持続可能な地域社会の構築に向け、広域・多分野の連携、PPP/PFIや新技術の活用等を進めつつ、まちづくり・インフラ維持管理の効率化・高度化、公共投資の効率化・重点化、持続可能な土地・水資源の利用・管理等に取り組み、社会資本整備等の一層の効率化・高度化を推進する。
(まちづくりとインフラ維持管理の効率化・高度化)→広域・多分野・官民の連携による地域生活圏の構築・展開を推進するとともに、地域経済の循環に向け自立した地域経営主体の育成に取り組む。広域的な都市圏のコンパクト化を推進するとともに、立地適正化計画等のまちづくり計画を踏まえ、インフラ老朽化対策(修繕・更新、集約・複合化等)について優先順位等を検討した上で実施する。不動産IDを含むベース・レジストリ、3Dモデル(建築BIM、PLATEAU)等の建築・都市のDXを進め、まちづくりの高度化や官民データ連携による新サービスの創出を促進する。 広域的・戦略的なインフラマネジメントの実施、AI等の新技術の活用、事業者間や官民の連携促進等により、予防保全型メンテナンスへの本格転換や維持管理の高度化・効率化、公的ストック適正化を推進する。既存の国有財産も有効に活用する。また、受益者負担や適切な維持管理の観点から、財源対策等について検討を行う。
(公共投資の効率化・重点化)→2040年までに少なくとも建設現場の省人化3割・生産性向上1.5倍を達成するため、自動化・省人化を図るi-Construction2.0を推進する。インフラデータの分野横断的な整備・オ ープン化や行政手続のオンライン化等を進め、インフラDXを加速する。 国内投資拡大、生産性向上、災害対応力強化等に資するよう、費用便益分析の客観性・ 透明性の向上を図りつつ、人口動態を見据えストック効果の高い事業への重点化を進める。 公共事業の効率化等に取り組むとともに、民間事業者が安心して設備投資や人材育成を行うことができるよう、中長期的な見通しの下、安定的・持続的な公共投資を推進しつつ、戦略的・計画的な取組を進める。その際、近年の資材価格の高騰の影響等を考慮しながら労務費も含め適切な価格転嫁が進むよう促した上で、今後も必要な事業量を確保しつつ、実効性のあるPDCAサイクルを回しながら、社会資本整備を着実に進める。 持続可能な建設業の実現に向け、女性活躍に向けた環境整備、働き方改革の推進、安全 管理の徹底等により担い手の確保・育成を進める。
(PPP/PFIの推進)→公共サービスを効率的・効果的に提供するPPP/PFIについて、改定アクションプランに掲げる目標を着実に達成することを目指し、取組を更に推進する。ウォーターPPPや空港、スタジアム・アリーナ等の重点分野への事業化支援を継続しつつ、自衛隊施設、国立公園、火葬場のPPP/PFIを推進する。民間企業の努力や創意工夫により適正な利益を得られる環境の構築とともに、分野横断型・広域型の案件形成を促進する。空き家等の既存ストックを活用するスモールコンセッション等の普及を促進するとともに、地域プラットフォームの強化に取り組む。
(持続可能な土地及び水資源の利用・管理)→持続可能な土地の利用・管理の実現に向け、非宅地化を含む土地利用の円滑な転換等を図る方策を導入する。空き家対策について、災害対策上の重要性も踏まえ、自治体への後押し等を通じた空き家の発生抑制、適切な管理、除却等の総合的な取組に加え、流通拡大や二地域居住促進を通じた利活用拡大を進めるとともに、相続登記の申請義務化の周知・ 相談体制強化や地籍調査・法務局地図作成等を含む所有者不明土地等対策を一体的・総合的に推進する。公的土地評価を支える不動産鑑定業の担い手確保に取り組む。また、マンションの管理適正化と再生円滑化を推進する。 健全な水循環の維持・回復や流域の水資源の有効利用を図るとともに、流域単位での水力発電の増強や上下水道施設の再編を含む省エネ化等に取り組む流域総合水管理を推進する。上下水道一体で施策に取り組むための環境整備を行う。

(5)地方行財政基盤の強化→人口減少や少子高齢化が急速に進行する中でも、活力ある持続可能な地域社会を実現するためには、経済の好循環を地域の隅々まで行き渡らせるとともに、地域ごとに異なる将来の人口動態を念頭に、地方公共団体が人手不足やインフラ老朽化等の資源制約に対応し、持続可能な形で行政サービスを提供していくことが重要である。このため、地域における人への投資、DX・GXの推進や地方への人の流れの強化等による地域経済の活性化及び 新たな雇用の場の創出に取り組むとともに、令和6年能登半島地震の教訓を踏まえた地方独自の防災・減災の取組等の強化、及び地方公共団体の枠を越えた広域的な行政サービスの提供やAI・RPA等のデジタル技術の徹底実装による自治体DXの推進等を通じた住民の利便性向上と行財政効率化の両立を実現し、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保して、地域における賃金と物価の好循環の実現を支える地方行財政基盤の持続性を確保・強化する。
(広域連携及び多様な主体との連携・協働によるサービスの提供)→地方公共団体が連携して地域に必要な人材を確保・育成する取組を推進するとともに、関係省庁や地方公共団体が連携し、広域での取組が有効と考えられる事務の共同実施等に取り組む。特に複数団体による広域的な公共施設の集約化・共同利用等を更に進めるための取組を強化する。また、地域の多様な主体が連携・協働し、生活サービスを提供しやすい環境整備を進める。
(自治体DXによる行財政の効率化等)→自治体DXについて、定量的効果を把握しつつ、オンライン申請や「書かないワンスト ップ窓口」等のフロントヤード改革と、基幹業務システムの統一・標準化や地方税以外の 公金納付へのeLTAX活用等のバックヤード改革に一体的に取り組む。都道府県と市町村が 連携した推進体制を構築し、その中で人材プール機能を確保する。また、地方公共団体におけるサイバーセキュリティ確保のための方針策定を推進するとともに、国・地方共通相 談チャットボット(ガボット)の利用者目線での改善を進める。 東京一極集中が続く中、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、地方公共団 体間の税収の偏在状況や財政力格差の調整状況等を踏まえつつ、税源の偏在性が小さく税 収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組む。 各府省庁は、地方に係る制度の形式を計画にせざるを得ない場合、早期に地方六団体に 説明を行う。既存計画について、地方公共団体の事務負担の軽減等を行い、毎年見直し状 況を公表する。内閣府は、各府省庁からの事前相談に応じ必要な支援を行う。

4.改革推進のためのEBPM強化→経済・財政一体改革においてワイズスペンディングを徹底していくためには、政策立案段階からのEBPMの設計を行うことや、予算・データ・人材・ノウハウの不足などEBPM推進の阻害要因を克服し、EBPMに的確に取り組む動機付けをすることが重要である。このため、EBPMの徹底強化に向けて、経済財政諮問会議において、骨太方針に盛り込まれた政策の中から、経済・財政にとって大きな影響をもたらす多年度にわたる重要政策や計画を選定した上で、関係府省庁が予算要求段階からエビデンス整備の方針を策定し、ロジックモデルやKPIの設定、データ収集、事後的な検証によるプロセス管理を進め、次年度の骨太方針策定前に進捗状況を報告する。経済財政諮問会議で選定した重要政策等の分析・評価に当たって、関係府省庁の調査研究機能を活用しつつ体制の整備を進める。EBPMの取組成果や定量的に把握された政策効果について、翌年度以降の予算編成過程において反映する方策を検討する。 政府全体のEBPMの実効性強化の観点から、データ連携・分析のための基盤整備やEBPM人材の育成・交流、研究機関・大学における政策効果の把握・分析手法等の知見の蓄積・活用を推進する。行政事業レビューシートのシステムを予算編成過程において活用し、全ての予算事業におけるEBPMを推進する。 客観指標と主観指標を併用し経済成長や政策効果を多面的に評価するなど、行政におけるWell-being指標の活用を促進するとともに、当該指標と各種政策との関係性を整理する。 次世代の社会生活や価値観の変化を反映させた経済指標を検討し、将来的なSNA国際基 準への反映や社会実装も見据えた取組を推進する。AI等を活用した統計データの利活用など公的統計DXを促進する。また、民間企業のビッグデータを活用した分析や指標の開 発を推進する。

次回も続き「第4章 当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方」からです。

こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回) [2024年07月23日(Tue)]
こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回)(令和6年6月 25 日)
議題 (1)制度改正を要する事項 (2)ヤングケアラーに関する改正法の施行等について
児童虐待防止対策部会(第4回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/44670211/
◎参考資料4 経済財政運営と改革の基本方針 2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜
第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現
〜賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上〜
6.幸せを実感できる包摂社会の実現
(1)共生・共助・女性活躍社会づくり
(共生)
→家族のつながりや地縁も希薄化する中、制度・分野の枠や「支える側」、「支えられる 側」という従来の関係を越え、一人一人が生きがいや役割を持つ包摂的な社会を実現することが重要。このため、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの普及を図ると ともに、情報登録プラットフォームを始めとして必要な支援の在り方を検討するなど独居 高齢者等に対する政府横断的な対応を引き続き推進する。また、認知症の方が尊厳と希望 を持って暮らすことができる共生社会の実現に向けて、認知症施策推進基本計画を策定し、 認知症施策を推進する。また、地域において安心・安全に暮らせる共生・共助社会の構築 を目指し、本年夏頃を目途に新たな高齢社会対策大綱を策定する。改正生活困窮者自立支援法等に基づき、適切に利用できかつ自立につながる生活保護制度となるよう、生活困窮者自立支援制度との一体的な実施等を推進するとともに、生活保護の生活扶助基準については社会経済情勢等を踏まえ必要な対応を行う。住まい支援について、生活困窮者自立支援制度、住宅セーフティネット制度等により、関係省庁が連携して住宅確保要配慮者が安心して居住できる環境の整備等を推進するなど支援強化を図る。また、ユニバーサルデザインの街づくりや心のバリアフリーの取組を推進するほか、第5次障害者基本計画に 基づく障害者の就労や地域生活の支援及び生涯学習の推進、重層的支援体制整備事業の実施市町村の拡充、成年後見制度を含めた総合的な権利擁護、無戸籍者の解消の促進を図る。自殺総合対策大綱に基づく施策や、地域若者サポートステーションの就労支援体制 の強化などひきこもり支援を着実に推進する。性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性について理解増進法に基づき各種施策を推進する。動物愛護管理を推進する。 孤独・孤立対策推進法に基づく重点計画に沿って、交付金等も活用しつつ、自治体と NPO等との連携推進のための地方版官民連携プラットフォームや地域協議会を立ち上げる段階の自治体への伴走支援、NPO等の諸活動への継続的な支援、支援の担い手やつながりサポーターの育成、予防の観点から緩やかなつながりを築ける居場所づくり、人と人とのつながりを生むための分野横断的な連携の促進などの取組を着実に推進する。 就職氷河期世代の就労支援は、5年間の集中的取組により、一定の成果を挙げている。 来年度以降、この世代への支援は、中高年層に向けた施策を通じて、相談、リ・スキリン グから就職、定着までを切れ目なく効果的に支援するとともに、地方自治体と連携し、個々人の状況に合わせ、就労に向けたリ・スキリングを含む幅広い社会参加支援を行う。

(共助)→寄附の促進等に加え、NPOの行う事業を支援する中間支援組織を通じた支援を含め、 社会課題解決に取り組む民間主体への支援を強化し、ソーシャルセクターの発展に取り組 む。NPO法人の活動促進に向け、事務手続のオンライン化や国際協力活動の健全性を高めるテロ資金供与対策などの環境整備を進める。公益法人・公益信託による公益活動の活性化のため、新制度施行に必要な体制や一元的な情報提供プラットフォームの整備を行う。休眠預金等活用制度について、活動支援団体や出資事業の円滑な実施等を通じ社会課題解決に取り組む団体の育成や自立化を促進する。SIBを含む成果連動型民間委託契約方式について、成果評価の検討・検証支援等を通じ一層の拡大に向けて取り組む。また、 企業版ふるさと納税について、これまでの取組状況等を総合的に検証するとともに、今後 の本制度の在り方を検討する。

(女性活躍)→女性の経済的自立に向け、L字カーブの解消に資するよう、女性版骨太の方針2024に基づき、プライム市場上場企業の女性役員に係る数値目標の達成に向けた女性の採用・育成・登用の強化、女性起業家支援、女性の所得向上やデジタル分野への就労支援を始めとするリ・スキリングの推進、投資家の評価の活用等による仕事と育児・介護・健康課題等との両立支援、アンコンシャスバイアスの解消等を含む女性活躍推進に向けた意識啓発、 公務部門における更なる女性活躍の推進を図るとともに、新たな中核的組織整備の検討と具体化等により地域における男女共同参画社会の形成を促進する。また、IT分野を始め理工系分野の大学・高専生、教員等に占める女性割合の向上に向け、女子中高生の関心を 醸成し、意欲・能力を伸長するための産学官・地域一体となった取組や大学上位職への女性登用等を促進する。男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進、女性・平和・安全 保障(WPS)の推進、多様な被害者への相談支援の充実等の性犯罪・性暴力対策やD V対策の推進、官民協働の支援体制構築など困難な問題を抱える女性への支援に関する法 律の着実な実施による支援の強化、悪質ホストクラブ対策の推進、性差を踏まえた職域・ 地域における相談支援体制の充実、フェムテックの推進、女性の健康ナショナルセンター(仮称)における診療機能の充実及び研究の推進など生涯にわたる女性の健康への支援等に取り組む。 男女共同参画の視点に立ち、政策決定過程への女性の参画を促進するとともに、政策・ 事業の計画、実施等に当たって、男女別の影響やニーズの違いを踏まえることとし、必要な男女別のデータ収集・分析を強化する。

(2)安全・安心で心豊かな国民生活の実現 ↓
(安全・安心)
→良好な治安を確保するため、テロの未然防止、有事に備えた国民保護施策、多国間の枠組みを通じた取組を含むマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策等を推進する。 羽田空港での航空機衝突事故等を踏まえ、運輸分野の安全対策に取り組む。自動車メーカー等の不正防止、高齢運転者等の事故防止や自動車事故による被害者の支援を行う。 著名人になりすました偽広告の詐欺に対してプラットフォーム事業者に迅速に削除対応 させることを含め、「国民を詐欺から守るための総合対策」に基づき、抑止・対処能力を強化する。オンライン賭博の実態把握や同事犯の違法性に係る広報・啓発に取り組む。「第二次再犯防止推進計画」に基づき保護司への支援の充実等の施策を推進する。国内外の予防司法支援機能や総合法律支援の充実、司法分野・司法試験のデジタル化、インターネット上の人権侵害への対策の強化、法曹人材の確保及び法教育の推進等の人的・物的基盤の整備を進めるとともに、「第4次犯罪被害者等基本計画」等に基づき、施策を強化する。司法外交閣僚フォーラムの成果を展開し、法の支配の推進に向けた法制度整備支援等の国際協力・司法外交を外交一元化の下で推進するほか、仲裁機関の認知度向上も含め官民が緊密に連携した国際仲裁の活性化や国際法務人材の育成、法令外国語訳の推進等に取り組む。 信頼性の高い機能性表示食品制度の構築に取り組む。食品寄附促進を含め食品ロス削減を図るため、2024年度内に、基本方針を改定する。デジタル化等を踏まえ、2024年度内に、公益通報者保護制度の改革、消費生活相談DXの推進等を含め、新たな「消費者基本計画」を策定する。 カスタマーハラスメントを含む職場におけるハラスメントについて、法的措置も視野に入れ、対策を強化する。 「花粉症対策の全体像」等に基づき、約30年後の花粉発生量の半減を目指し、スギ人 工林伐採重点区域における伐採・植替えを含む発生源対策等に取り組む。熱中症特別警 戒情報の活用等の熱中症対策を推進する。 クマによる人身被害等を防ぐため、「クマ被害対策施策パッケージ」に基づき、人の生活圏への出没防止等を推進する。 改正外来生物法に基づき新規指定したカミキリムシ類等の早期発見・対処等を進める。 新型コロナウイルス感染症のり患後症状やワクチンの副反応についての実態把握に資する調査・研究等を進める。平時からの情報収集・分析、ワクチン・診断薬・治療薬の研究開発、人材育成、下水サーベイランスを含め、全面改定後の「新型インフルエンザ等対策 政府行動計画」に基づき、次なる感染症危機への対応に万全を期すとともに、2025年4月に、国立健康危機管理研究機構を創設し、質の高い科学的知見を迅速に提供する。 狂犬病予防法132関連手続のオンライン化等の人獣共通感染症対策を推進する。 「PFASに関する今後の対応の方向性」を踏まえ、科学的知見の充実や必要な対策 を推進する。

(文化芸術・スポーツ)→国際的に遜色ない水準まで官民連携投資を促進し、文化芸術のソフトパワーによる新たな価値創造と経済成長の好循環を実現し、心豊かで多様性と活力ある文化芸術立国を実現する。このため、次代を担うクリエイター・アーティストを育成するとともに、拠点となる文化施設の機能強化など活躍促進のための環境を整備する。我が国の文化芸術の顔となる国立劇場の再整備を国が責任を持って早急に行うとともに、産業界と連携し、メディア芸術ナショナルセンター(仮称)の機能を有する拠点の整備を推進するほか、新国立劇場など国際拠点となる国立文化施設のグローバル展開を含む機能強化や博物館・美術館等のデジタル技術も活用した国内外への発信を強化し、これらの文化拠点に多くの人が集い、文化芸術を享受し、次代を担う世代への投資を行う好循環を確立する。また、文化財の把握・保存・継承体制の構築を図る取組や官民連携による文化財の高付加価値化の強化、日本遺産の活性化等、持続可能な文化財の保存と活用を一体的に推進する。さらに、食文化等の生活文化や建築文化、文化観光の推進等を通じた地方創生や、アート市場の活性化や日本博等を通じたグローバル展開力の強化を図るとともに、デジタルアーカイブ化やクリエイターへの対価還元を含むDXの推進、こどもや障害者の文化芸術鑑賞・体験機 会の確保、伝統芸能、舞台芸術や日本映画、書籍を含む文字・活字文化の振興(書店と図 書館等との連携促進及び読書バリアフリーの推進を含む。)や書店の活性化を図る。北の丸公園の機能強化を通じ、最先端の科学技術や文化芸術の発信拠点としての魅力向上を図る。国立公文書館の新館開館に向けた機能強化等を進める。 スポーツの力を最大化することで我が国と国民の活力を引き出し、活気あふれる日本の 未来を切り拓く。このため、武道・スポーツツーリズムの推進や、スポーツホスピタリティの普及、スタジアム・アリーナの整備・活用やまちづくりとして総合的・複合的に施設を整備・活用するスポーツコンプレックスの推進、「eスポーツ」の活用を含むスポーツDXや他産業との連携、海外展開、先端技術を活用したコンディショニング等によるライフパフォーマンス向上等を通じ、地方創生や経済成長、健康増進などスポーツによる社会活性化を図る。民間企業等とも連携した障害者スポーツの振興や地域スポーツ環境の総合的な充実等により、誰もが気軽にスポーツに親しめる場づくりを推進するとともに、大規模国際大会の開催支援や持続可能な国際競技力の向上を図る。


7.持続的な経済成長の礎となる国際環境変化への対応
(1)外交・安全保障
(外交)
→ロシアのウクライナ侵略や中東情勢など、国際社会では緊迫の度合いが高まっている。 我が国の平和と安全、繁栄を含む国益を守るため、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた外交を積極展開することによって、グローバルなパートナーとしての信頼を確保し、世界の安定と繁栄に向け、国際社会をリードすることとし、そのために、外交力を更に一層強化する。 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米同盟を基軸に、豪印韓英比を含め、 欧州、NATO、ASEAN、太平洋島しょ国、中東地域等の同盟国・同志国との協力連 携を進める。食料、保健、気候変動、プラスチック汚染対策など、地球規模課題に関するルール形成・強化を進めるとともに、TICADやPALM10、「中央アジア+日本」対話・首脳会合も活用し、アフリカ、太平洋島しょ国や中央アジアを含むグローバル・サウスへの関与を強化する。 対露制裁並びにウクライナ及び周辺国への強力な支援を推進する。 国際協力70周年において、国際協力の新しい仕組みを構築する中で、ODAを触媒とする民間資金動員、JICA海外協力隊や実績ある国際機関の活用、NGO等との連携、ガザ情勢を始めとする人道危機に対する支援を含め、様々な形でODAを拡充するとともに、 実施基盤の強化のための必要な努力を行う。OSAを戦略的に推進・強化する。 「核兵器のない世界」に向け、「ヒロシマ・アクション・プラン」の着実な実施等を通じ、核を含む軍縮・不拡散に向けた国際的な取組を主導する。安全保障理事会改革を含む国連の機能強化、国際機関邦人職員の増強、国際裁判を含む国際法に基づく紛争解決、WPS、人間の安全保障、日系人を含む親日派・知日派の育成等の課題に取り組む。2025年 に戦後80年を迎える中、平和国家としてのこれまでの歩みも踏まえ、自由、民主主義、人権、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持や領土・主権等に係る内外発信に取り組む。 日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な 過去を清算して、国交正常化を目指す。 合理化・効率化を図りつつ、外交の基盤となる人的体制の強化や財政基盤の整備、緊急 時の邦人保護体制を含む在外公館の強靱化、領事サービスの向上、デジタル化・情報防護 の強化など、外交・領事実施体制を抜本的に強化する。

(安全保障)→戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中、「国家安全保障戦略」等に基づき、防衛力の 抜本的強化を推進する。その際、スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、 無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力・国民保護、持続性・強靱性の7つの分野を重視し、現有装備品を最大限有効に活用するための可動数向上や弾薬・燃料の確保、防衛施設の強靱化等を推進する。装備品等の取得に当たっては、恒久化された長期契約法等も活用し、一層の効率化・合理化を徹底する。優秀な人材の確保、生活・勤務環境の改善や処遇の向上等を通じて人的基盤を強化するほか、 血液の自律的な確保等の衛生機能の強化に引き続き取り組む。防衛生産基盤強化法の着 実な執行等により、力強く持続可能な防衛産業の構築、様々なリスクへの対処、防衛装備移転を推進するとともに、研究開発、民生の先端技術の活用にも取り組む。グローバル戦闘航空プログラム政府間機関を通じ、次期戦闘機の共同開発を推進する。 新設される統合作戦司令部の下、統合運用の実効性の強化に向け、平時から有事までのあらゆる段階においてシームレスに対応できる体制を構築する。日米同盟の抑止力と対処力を強化するとともに、同志国等との連携を強化する。在日米軍再編及び基地対策の推進等を図る。 防衛力の抜本的強化等の財源については「防衛力整備計画」等に沿って、機動的・弾力的な対応を含め確保する。その際、各年度の予算編成過程において、引き続き、歳出改革の継続、決算剰余金の活用及び税外収入の確保に取り組む。税制措置については、令和5年度税制改正の大綱及び令和6年度税制改正の大綱に示された基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる。 防衛力の抜本的強化を補完し、それと不可分一体のものとして、研究開発、公共インフラ整備、サイバー安全保障、我が国及び同志国の抑止力向上等のための国際協力の分野に おける取組について、関係省庁の体制も整備しつつ推進し、総合的な防衛体制を強化する。 南西地域を含む住民の迅速かつ安全な避難を実現するため、広域的な避難及び受入れに 係る検討を行う。武力攻撃を想定した避難施設(シェルター)について、地下施設の一層の確保を始め、取組を推進する。国や地方公共団体等が協力して、住民を守るためのこれらの取組を進めるなど、国民保護の体制を強化する。「海洋基本計画」に基づき、海洋状況把握による総合的な海洋の安全保障等の取組を推進するほか、「海上保安能力強化に関する方針」に基づき、巡視船等の増強・更新、運航費の確保、無操縦者航空機等の新技術の活用推進、警察・自衛隊、外国海上保安機関等との連携強化、人材確保・育成等を進める。「宇宙基本計画」に基づき、衛星コンステレーションの構築に必要な措置を進めるなど、宇宙の安全保障に関する総合的な取組を強化する。政府外の機関との連携強化を含む 偽情報対策の情報戦対応、人的情報を含む情報収集・分析及び戦略的コミュニケーションに係る体制・能力を強化する。

(サイバーセキュリティ)→欧米主要国並みにサイバー安全保障分野での対応能力を向上させるため、政府のサイバーセキュリティを強化し、能動的サイバー防御の実施に向けた法案を早期に提出するとともに、その適切な運用に必要となる体制を整備する。あわせて、国産セキュリティ技術の活用、GSOCの機能強化を進める。「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、政府共通基盤のセキュリティの強化、官民連携による重要インフラの演習、実践的侵入テストを通じた対応方針の見直し、フィッシング対策の強化、サイバーセキュリティに関する人材育成・普及啓発を行う。2024年度から、IoT機器のセキュリティ要件の適合性を評価する制度について、政府調達と連携する形で、その普及に取り組むとともに、第三者機関が評価する新たな制度の検討に着手する。

(2)経済安全保障→法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するとともに、同盟国・同志国 等と連携しつつ、経済安全保障を確保する。 国家安全保障局を司令塔とする政府全体での経済安全保障の推進体制を強化する。経済 安全保障に資するインテリジェンス能力を強化するため、人的情報を含む情報の収集・分 析に必要な体制を整備する。経済安全保障に関し、地方公共団体との連携に取り組む。 産業が抱えるリスクを点検しつつ、経済安全保障推進法の着実な施行と取組の強化を 行う。重要物資の供給上の課題について、不断の点検・評価を行った上で、国際連携によ る透明、強靱で持続可能なサプライチェーン構築を含め、安定供給確保のための施策を進 める。先端的な重要技術を育成するとともに、国際協力推進に向けた技術流出対策、安全・ 安心に関するシンクタンクの設立準備を進める。基幹インフラ制度について、医療分野の 追加を含む不断の検討を行う。国際通信における自律性向上を含め、重要なインフラの強 靱化に取り組む。 重要経済安保情報保護活用法の施行に向けた準備を進める。 外為法上の投資審査に係る体制強化や実効性確保、制度の見直しを含む先端技術の輸 出管理・技術管理、研究セキュリティ・インテグリティの確保、留学生・外国人研究者等 の受入審査強化等の技術流出対策に取り組む。経済的威圧は認めないという方針の下、必 要な取組を進める。ロシアによるウクライナ侵略も踏まえ、各種制裁の効果的な実施に取 り組む。データ・情報保護に関する必要な措置を検討する。 土地の管理・利用について、重要土地等調査法等による対応を進めるとともに、法の 執行状況や安全保障を巡る内外の情勢等を見極めつつ、外国人による全国の土地の管理・ 利用への対応を含め、更なる検討を進める。

8.防災・減災及び国土強靱化の推進
(1)防災・減災及び国土強靱化
→気候変動による災害リスクや大規模地震の切迫性が高まっている中、激甚化・頻発化す る自然災害、インフラ老朽化等の国家の危機から国民の生命・財産・暮らしを守り、国家・ 社会の重要な機能を維持するため、「国土強靱化基本計画」に基づき、必要・十分な予算 を確保し、自助・共助・公助を適切に組み合わせ、ハード・ソフト一体となった取組を強 力に推進する。 引き続き、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を着実 に推進し、近年の資材価格の高騰の影響等を考慮しながら、災害に屈しない国土づくりを 進める。また、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に切れ目なく国土強靱化 の取組を進められるよう、令和6年能登半島地震の経験も踏まえ、施策の実施状況の評価 など「国土強靱化実施中期計画」に向けた検討を最大限加速化し、2024年度の早期に策 定に取り掛かる。 国民の生命と財産を守る防災インフラの整備・管理のため、将来の気候変動の影響を踏 まえた流域治水の加速化・深化、インフラ老朽化対策・耐震化の加速化、TEC−FOR CE等の国の災害支援体制・機能の拡充・強化、盛土の安全対策、森林整備・治山対策、 学校を始め避難所等の防災機能の強化等を推進する。 経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化のため、ミッ シングリンク解消、港湾の防災拠点化等の災害に強い交通ネットワーク構築、無電柱化、 大雪対策等を進める。 デジタル等新技術の活用による国土強靱化施策の高度化のため、次期静止気象衛星等を 活用した線状降水帯・洪水の予測精度向上等の防災気象情報の高度化、消防・防災DX、 防災科学技術の開発・導入等を進める。 災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携強化のため、サプライチェーンの 強靱化、土地利用と一体となった減災対策、船舶活用医療、医療コンテナ活用、歯科巡回 診療や被災地の災害医療システム活用等の推進による医療の継続性確保、家計向け地震保 険への加入促進等に取り組む。 地域における防災力の一層の強化のため、災害ケースマネジメント、災害中間支援組織 を含む被災者支援の担い手確保・育成、洪水・土砂災害・高潮の情報提供、要配慮避難者 対策、地域の貴重な文化財を守る防災対策、気象防災アドバイザーや地域防災マネージャーの活用促進によるタイムライン防災、消防団を含む消防防災力等の充実強化に取り組む。 活火山法に基づく火山災害対策や火山調査研究推進本部における調査研究、専門人材 令和5年7月28日閣議決定。 令和2年12月11日閣議決定。2021〜2025年度の対策。 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成25年法律第95号)に基づく。 海岸の侵食対策を含む。 地方整備局等、地方運輸局、国土地理院、災害時に支援を行う研究機関等。 港湾において、官民の関係者が協働して気候変動適応に取り組む協働防護を含む。 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律(令和3年法律第79号)。2024年6月1日施行。 活動火山対策特別措置法(昭和48年法律第61号)。 の育成・継続確保を推進する。

(2)東日本大震災、能登半島地震等からの復旧・復興 →(東日本大震災からの復旧・復興) → 東北の復興なくして、日本の再生なし。基本方針等に基づき、被災地の復興・再生に全 力を尽くす。地震・津波被災地域では、第2期復興・創生期間での復興事業の役割全うを 目指し、心のケア等の課題に、政府全体の施策の活用を含め、適切に対応する。原子力災 害被災地域の復興・再生には中長期的な対応が必要であり、今後とも、国が前面に立って 取り組む。福島第一原発の廃炉に係る取組を安全かつ着実に進める。ALPS処理水処分 について、安全性の確保と風評対策・なりわい継続支援に万全を期す。一部の国・地域に よる日本産食品の輸入規制の即時撤廃を強く求めていく。除去土壌等の県外最終処分に向 け、除去土壌の再生利用先の創出等のための政府一体となった体制整備に向けた取組を進 める。避難指示の解除地域において、医療、教育など生活環境整備を進め、移住・定住等 を推進する。特定復興再生拠点区域の環境整備を進めるとともに、たとえ長い年月を要す るとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って 取り組むとの決意の下、まずは特定帰還居住区域の避難指示解除に向けた取組を進める。 福島イノベーション・コースト構想を発展させ、福島国際研究教育機構や新エネ社会構想 の取組等を進める。なりわいの再建、新産業創出、森林・林業の再生、文化芸術を通じた まちづくり・交流人口の拡大等を通じた復興を推進する。現行期間後の復興の在り方を検 討する。 (能登半島地震からの復旧・復興等) →令和6年能登半島地震により、石川県を始め北陸地方を中心に甚大な被害が発生し、救 命救助、道路啓開、プッシュ型の物資支援、二次避難の支援等を行ってきた。 引き続き、一日も早い被災者の生活・生業の再建、災害関連死の防止、インフラ等の復 旧、公費解体や職権滅失登記の推進、地域特性をいかした復興まちづくり計画の策定支援、 農林水産業や文化芸術の創造的復興等を全力で進めるとともに、石川県の復興基金におけ る取組等を支援する。奥能登版デジタルライフライン整備への支援や新技術の活用等に より、奥能登の復興が人口減少地域における地方創生のモデルとなることを目指す。復興 状況に応じた能登地域の手厚い旅行需要喚起策等による観光復興に取り組む。 また、今般の災害対応で得た知見をいかし、災害対応に係る取組を更に充実強化する。 警察・消防・自衛隊等による最初期の対応、被災自治体への国等の支援や、災害派遣医療 チーム(DMAT)等の医療福祉関係者、民間事業者、専門ボランティア団体等との連携強化による初動対応、避難所運営、物資の調達・輸送、広域・在宅避難等への支援など災 害応急対策の取組強化、災害時のデジタル人材支援、災害に備える意識醸成や実践的訓練、 必要な制度見直し等を行う。 今般の災害では半島という地理的制約のある困難な状況下での対応であったことを踏ま え、令和6年能登半島地震に係る災害応急対応の自主点検レポートに基づき、初動対応・ 応急対策に資する新技術や方策として、ドローン等の活用による被災状況等の把握、特殊 車両の活用等による被災地進入策の強化、無人ロボット等の活用による被災地域での活動 の円滑化、支援者の活動環境の充実、水循環型シャワー等の活用による水・電力・通信の 確保や保健・医療・福祉の充実、災害支援への移動型車両・コンテナ等の活用、地域の防 犯対策の充実、情報・通信システム活用による情報の共有・一元化等に取り組むとともに、 これらを災害時に有効に活用できるよう、平時からの利活用を推進する。 さらに、上下水道などインフラの耐震化、地下水など代替水源の確保178、液状化対策、道路・鉄道・港湾・空港といった半島部のネットワーク強化、道の駅の拠点機能強化、通信・ 放送ネットワークの強靱化等に取り組む。また、災害からの復旧・復興に全力を尽くす。

次回も続き「第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現〜「経済・財政新生計画」〜」からです。

こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回) [2024年07月22日(Mon)]
こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回)(令和6年6月 25 日)
議題 (1)制度改正を要する事項 (2)ヤングケアラーに関する改正法の施行等について
児童虐待防止対策部会(第4回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/44670211/
◎参考資料4 経済財政運営と改革の基本方針 2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜
第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現
〜賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上〜
1.豊かさを実感できる「所得増加」及び「賃上げ定着」
(1)賃上げの促進
→豊かさを実感できる所得増加を実現し、来年以降に物価上昇を上回る賃上げを定着させる。このため、賃上げ支援を強力に推進するとともに、医療・福祉分野等における賃上げを着実に実施する。 最低賃金は、2023年に全国加重平均1,004円となった。公労使三者で構成する最低賃金審 議会における毎年の議論の積み重ねを経て、2030年代半ばまでに全国加重平均を1,500円となることを目指すとした目標について、より早く達成ができるよう、労働生産性の引上げに向けて、自動化・省力化投資の支援、事業承継やM&Aの環境整備に取り組む。今後とも、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げるなど、地域間格差の是正を図る。 我が国は、欧米主要国と比べて男女間賃金格差が大きいことを踏まえ、女性の所得向上を通じてその活躍を支えるため、賃金差異の大きい業界における実態把握・分析・課題の整理を踏まえ、業界ごとのアクションプランの策定を促す。差異の見える化や差異分析ツールの開発・活用促進を進める。白書において男女間賃金格差の分析を深めるとともに、 その解消に向けた環境整備を進める。 非正規雇用労働者について、希望者の正社員転換の促進、都道府県労働局・労働基準監督署による同一労働同一賃金の更なる徹底を進める。各種手当等の待遇差是正に関する調査等を踏まえ、ガイドラインの見直しを検討する。いわゆる「年収の壁」を意識せず働くことができるよう、「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用を促進するほか、被用者保険の適用拡大等の見直しに取り組む。 医療・介護・障害福祉サービスについては、2024年度診療報酬改定で導入されたベースアップ評価料等の仕組みを活用した賃上げを実現するため、賃上げの状況等について実態を把握しつつ、賃上げに向けた要請を継続するなど、持続的な賃上げに向けた取組を進め る。 建設業やトラック運送業の持続的・構造的賃上げに向け、改正建設業法と改正物流法に 基づき、ガイドライン等を早期に示し、業界外も含めた周知の徹底、価格転嫁の円滑化を図るとともに、国及び地方自治体に加えて民間同士の取引についても、労務費の基準及び 標準的運賃の活用を徹底する。くわえて、建設業については、公共工事設計労務単価の適切な設定、建設キャリアアップシステムの拡大、受発注者を実地調査する建設Gメンの体制強化により、トラック運送業については、トラックGメンの機能強化等により、処遇改 善や取引適正化の取組を進める。旅客自動車運送事業については、運賃制度改正の周知や 賃金水準の実態把握を行うとともに、業務効率化・省力化の取組を促す。 警備業での賃上げに向けて、同業種の自主行動計画の改定を求めること等により、労務 費の価格転嫁を進める。 農林水産業や食品産業における就業者の所得向上に向けた環境整備を進める。原材料費、 労務費等を考慮した合理的な価格形成がなされるよう、官民協議の下、コスト指標を早期 に示すほか、新たな法制度について、2025年通常国会への提出を目指す。

(2)三位一体の労働市場改革→ 賃上げを持続的・構造的なものとするため、三位一体の労働市場改革を推進する。 リ・スキリングによる能力向上支援については、全世代のリ・スキリングを推進する。 教育訓練給付の給付率の引上げを含めた拡充、対象資格・講座の拡大に取り組む。具体的には、給付率を最大70%から80%に引き上げるとともに、教育訓練休暇中の生活を支える新たな給付金を創設する。2024年3月に創設した団体等検定に係るスキルの習得講座の対象への追加について、2024年中に検討を行うとともに、幅広い業種(建設、物流、観光 等)において、事業所管省庁や業界団体の協力を得て、団体等検定制度の活用を促進する。 地域の産学官のプラットフォームを活用したリ・スキリングの対象に経営者を追加し、 2029年までに、約5,000人の経営者等の能力構築に取り組む。大学と業界が連携して、最先端の知識や戦略的思考を身に付けるリ・スキリングプログラムを創設し、2025年度中に、 約3,000人が参加することを目指す。 個々の企業の実態に応じたジョブ型人事(職務給)の導入については、既に導入してい る多様な企業の事例を掲載した「ジョブ型人事指針」を今夏に公表し、各企業の実情に応じた導入方法を検討できるようにする。 成長分野への労働移動の円滑化については、求人・求職・キャリアアップに関する官民 情報の整備・集約を進めるとともに、2025年度に、リ・スキリングのプログラムや施策内 容を含む各種情報を可視化するプラットフォームの整備を開始する。 労働市場改革を進めるため、国民会議の開催の検討等、国民運動を展開する。

(多様な人材が安心して働き続けられる環境の整備)→ 多様な人材が能力を発揮しつつ、安心して働くことができるよう、高齢者の活躍に取り組む企業の事例集の展開、高齢者の労働災害防止のための環境整備を推進するとともに、 ストレスチェック制度を含むメンタルヘルス対策を強化する。 テレワークを推進するほか、勤務間インターバル制度の導入促進、選択的週休3日制の普及、家事負担を軽減するサービスの適切な利活用に向けた環境整備等に取り組む。  フリーランスの安全衛生対策のための制度の検討を行い、2024年度中に結論を得る。フ リーランス・事業者間取引適正化等法9 については、実態把握とともに、公正取引委員会、 中小企業庁、厚生労働省の執行体制の整備を行う。 国家公務員については、デジタル環境の整備、業務の見直し、男女間給与差異の分析、 働く時間や場所の柔軟化等の働き方改革を推進するとともに、魅力の発信による志望者拡大、多様な人材の活用、職員としての成長機会の付与、マネジメント能力向上など人材の確保・育成、本基本方針を踏まえたメリハリある機構・定員管理に取り組む。

(3)価格転嫁対策→新たな商慣習として、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」を実現する。このため、独占禁止法の執行強化、下請Gメン等を活用しつつ事業所管省庁と連携した下請法11の執行強化、下請法改正の検討等を行う。「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を周知徹底する。価格転嫁円滑化の取組について実 態調査を行い、転嫁率が低い等の課題がある業界については、自主行動計画の策定や改定、 改善策の検討を求める。指針別添の交渉用フォーマットについては、業種の特性に応じた 展開・活用を促す。パートナーシップ構築宣言の更なる拡大と実効性向上に取り組む。中小企業等協同組合法に基づく団体協約の更なる活用の推進に向け、活用実態の調査や組合への制度周知に取り組む。サプライチェーン全体における手形等の支払サイト短縮・現金払い化、利用の廃止に向けた工程の検討を進める。 中小企業が、取引・決算データを一括管理し、そのコスト構造を可視化することによっ て、それを活用する形で価格転嫁を円滑に進め、収益を改善できるよう、2024年度中に、 内外におけるそうしたデータの管理・活用の取組に関する実態調査を行う。 官公需について、労務費等の価格転嫁徹底を目的とした期中の契約変更等に対応するため、必要な予算を確保する。最低制限価格制度等の適切な活用を促進する。

2.豊かさを支える中堅・中小企業の活性化→日本経済を熱量あふれる新たなステージに移行させるため、地域経済をけん引する中堅企業と、雇用の7割を支える中小企業の稼ぐ力を強化する。
(1)人手不足への対応→自動化技術等の省力化投資に対する集中的支援を行う。 幅広い業種に対し、簡易で即効性があるカタログ型の省力化投資支援を行う。事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイドの省力化の取組を促進する。その中で、既存補助事 業の早期執行及び運用改善に取り組む。 運輸業、宿泊業、飲食業を始めとする人手不足感が高い業種において、AI、ロボット 等の自動化技術の利用を拡大するため、業界団体による自主行動計画の策定を促す。それらの業種において導入が容易なロボットについて、ハード・ソフト両面の開発を促進する。 自動化技術を用いることができる現場労働者の育成に向けたリ・スキリングを推進する。 人手不足の資格職等における「分業」(例えば、教師に対する校務・マネジメントの支援、 機械導入によるトラックドライバー業務の軽減等)を推進。 大企業に対し、中堅・中小企業と協働する新技術・商品開発(オープンイノベーション) や、副業・兼業を通じた中堅・中小企業への人材派遣を奨励する。大企業のDX人材等と 地域の中堅・中小企業や地方公共団体とのマッチング支援を行う。地方公共団体や地域の 経営支援機関等が連携して行う人材確保・育成・定着に向けた取組を支援する。

(2)中堅・中小企業の稼ぐ力→成長市場に進出しようとする者の事業再構築、新製品開発や新市場の開拓、イノベーシ ョン創出、DX・GXの取組を促進する。サイバーセキュリティ対策、インボイス制度へ の対応を支援する。 中小企業に対する支援機関や金融機関等による能動的な支援を促すため、2024年度中に、 企業情報やその支援ニーズを集約したマッチングプラットフォームの運用を開始する。 金融支援については、令和6年能登半島地震による被災地域については配慮した上で、 2024年7月以降は、支援の水準をコロナ禍以前の水準に戻す。なお、円安等による資材費 等の価格高騰の影響を受ける事業者に対する金融支援は継続する。その上で、「資本性劣後ローン」の利用促進、中小企業活性化協議会による再生計画策定支援等を通じた経営改 善・再生・再チャレンジの支援に重点を置く。政府系金融機関による資本性資金や中小企 業基盤整備機構が出資するファンドの利用を促進し、いわゆるエクイティも活用した成長 支援を行う。 不動産担保や個人保証に依存しない資金調達を促進するため、動産、債権その他の財産 を目的とする譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法制化の準備を進める。 事業承継及びM&Aの環境整備に取り組む。事業承継税制の特例措置について、役員就任要件の見直しを検討する。第三者への承継を促進する税制の在り方の検討を深める。M &Aを円滑化するため、仲介事業者の手数料体系の開示を進める。M&A成立後の成長に向け、実施企業によるPMIや設備投資を促進する。地域金融機関に対し、PMIを含め、 M&Aの支援を強化することを促す。経営者保証が事業承継やM&Aの支障とならないよう、金融機関が中小企業に対し事業承継やM&Aに関するコンサルティングを行う際に、 経営者保証の解除に向けた方策を提案することを促す。事業再構築、M&A、廃業等につ いて、地域の支援機関が連携する相談支援体制を構築し、その取組の普及広報を行う。中小企業の経営者教育や後継者育成の推進に取り組む。 中堅・中小企業の自律的な成長と良質な雇用創出を促す。地域経済を牽引する中堅企業 や売上100億円以上への成長を目指す中小企業について、関係省庁が連携するビジョンの策 定及び地方公共団体や支援機関による支援体制の構築を行いつつ、それらの設備投資、M &A・グループ化等を促進する。工業用水道や産業用地等のインフラの有効活用・整備・ 強靱化に取り組む。 小規模事業者の持続的発展に向けて、2024年度中を目途に、商工会・商工会議所の広域 連携の促進を含め、小規模企業振興基本計画を見直す。 地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業の創出やインパクト投融資の拡大のため、 「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を踏まえ、先行事例の実証支援等を行い、事 業モデルの整理、支援手法や社会的インパクトの評価手法の確立に取り組む。

(3)輸出・海外展開 →中堅・中小企業が外需を取り込むための挑戦を後押しする。 「新規輸出1万者支援プログラム」によって、新たに海外展開に取り組む者が増える中、 それらの者に対するきめ細かい支援を充実するため、専門家による伴走支援体制の増強、 現地ニーズの把握や海外事業戦略立案等を支援する海外の拠点追加・国内の体制強化、海外市場に適合する商品開発の支援等を行う。輸出の実施段階にある者に対しては、専門家による伴走支援に加えて、ジェトロが一括契約し、中小企業に販売の機会を提供する海外ECサイトの拡大、事業者の英語対応能力の向上支援、中小企業基盤整備機構と輸出商社 やプラットフォーム等との連携強化に取り組む。 海外展開支援の担い手となる地域商社やデジタル技術を有する企業について、それらが連携して行う、中堅・中小企業の販路開拓の取組を促進する。

3.投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応
(1)DX
→ デジタル技術の社会実装を通じて新たな価値・サービスを生み出すとともに、DXの中で蓄積されるデータを活用しデータ駆動型社会を構築することにより、国民一人一人がその恩恵を実感できる社会をつくる。そのために、地方公共団体や民間事業者と連携する。 公的基礎情報のデータベースの整備・利用促進、事業者向け共通認証システムの普及・ 拡大を図り、行政手続のワンストップ・ワンスオンリー化を可能とする。 企業・業種横断のデータ基盤・システム連携のプラットフォーム構築(ウラノス・エコシステム)を推進し、DXを通じた社会課題の解決とイノベーションを後押しする。 防災・減災や安全保障にも資する地理空間(G空間)情報の整備・利用拡大と社会実装に向け、準天頂衛星等の更なる整備や衛星データの利活用を進める。 DFFTを進捗させるため、新たにOECDに設立された国際枠組みの下、データの越 境移転に係る各国制度の透明性や必要な技術の検証など、関連プロジェクトを進める。 分散型のデジタル社会の実現に向け、利用者保護等にも配慮しつつ、web3(ブロックチェーン技術を基盤とするNFTを含む。)に係るトークンの利活用や決済の円滑化、コンテンツ産業の活性化に係る環境整備、ユースケース創出支援等を行う。 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律 を迅速かつ効果的に運用するため、高度なデジタル専門人材の登用を進めるなど、公正取引委員会の体制を質・量両面で抜本的に強化する。 デジタル空間の偽・誤情報への対応、通信障害などの非常時における事業者間ローミングの実現、携帯電話市場の公正競争の促進等の必要な対応を行う。 CBDC(中央銀行デジタル通貨)について、政府・日本銀行は、諸外国の動向等も踏 まえ、中間整理に基づき検討を深め、制度設計の大枠の整理として、主要論点の基本的 な考え方や選択肢等を明らかにする。その後、発行の実現可能性や法制面の検討を進める。

(AI・半導体)→AIに関する競争力強化と安全性確保を一体的に推進するため、「統合イノベーション 戦略2024」に基づき、官民連携の下、データ整備を含む研究開発力の強化や利活用の促進、 計算資源の大規模化・複雑化に対応したインフラの高度化、個人のスキル情報の蓄積・可 視化を通じた人材の育成・確保を進めるとともに、AI事業者ガイドラインに基づく事業 の自発的な取組を基本としつつ、ガードレールとなる制度の在り方や安全性の検討、偽・ 誤情報の対策、知的財産権等への対応を進める。広島AIプロセス等の成果に基づき、AISIを活用した安全性評価を含め国際的な連携・協調に向けたルール作りについて、主 導的な役割を果たす。 産業競争力の強化及び経済安全保障の観点から、AI・半導体分野での国内投資を継続的に拡大していく必要がある。このため、これらの分野に、必要な財源を確保しながら、 複数年度にわたり、大規模かつ計画的に量産投資や研究開発支援等の重点的投資支援を行うこととする。その際、次世代半導体の量産等に向けた必要な法制上の措置を検討するとともに、必要な出融資の活用拡大等、支援手法の多様化の検討を進める。

(デジタル・ガバメント)→我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与するデジタル社会の形成に向け、デジタル庁を中心に、政府全体で、重点計画等に基づき、行政のデジタル化を推進する。政策を企画・立案する際には、制度・業務・システムの整合性を確保して 三位一体で取組を推進するとともに、国民の利便性向上や行政の効率化等の効果を定量的 に把握するなど、需要側・供給側の双方がデジタル化のメリットを実感できるように取り組む。その際、新たにアナログ規制を生まないようデジタル法制審査の強化も行う。 誰一人取り残されないデジタル社会に向けた環境整備やデジタル人材の確保・育成を 含め、デジタル完結の社会を構築していく上で、前提となるデジタル共通基盤の構築を強 化・加速する。その際、「デジタル化」に係る様々な状況をモニタリングし、政府の取組 の際に参照するとともに、公表し、継続的改善を実施する。 デジタル社会のパスポートとしてのマイナンバーカードについて、円滑に取得できる環境整備を図りつつ、カード機能のスマートフォン搭載により、確定申告、引っ越し手続、 銀行口座開設などのオンライン手続の簡易化に取り組む。また、運転免許証との一体化など利便性・機能向上を更に促進するとともに、カード活用による救急業務の迅速化・円滑 化について全国展開を推進するなど、官民様々な領域での利活用シーンの拡大に取り組む。 また、マイナポータルの活用等により、税務・社会保障を始めとする各種手続に必要となるデータの連携を拡充するなど、国民の利便性向上と行政の効率化30を推進する。 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化、準公共分野におけるデータ連携基盤の構築など、公共部門のシステムの共通化とモダン化やSaaSの徹底活用を推進し、デジタル・ガバメントの強化に取り組む。

(医療・介護・こどもDX)→医療・介護の担い手を確保し、より質の高い効率的な医療・介護を提供する体制を構築 するとともに、医療データを活用し、医療のイノベーションを促進するため、必要な支援 を行いつつ、政府を挙げて医療・介護DXを確実かつ着実に推進する。このため、マイナ保険証の利用の促進を図るとともに現行の健康保険証について2024年12月2日からの発行 を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する。「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、「全国医療情報プラットフォーム」を構築するほか、電子カルテの導入や 電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DX、PHRの整備・普及を強力に進める。調剤 録等の薬局情報のDX・標準化の検討を進める。また、次の感染症危機に備え、予防接種事務のデジタル化による効率化を図るとともに、ワクチン副反応疑い報告の電子報告を促 し、予防接種データベースを整備する等、更なるデジタル化を進める。当該プラットフォームで共有される情報を新しい医療技術の開発や創薬等のために二次利用する環境整備、 医療介護の公的データベースのデータ利活用を促進するとともに、研究者、企業等が質の高いデータを安全かつ効率的に利活用できる基盤を構築する。医療DXに関連するシステ ム開発、運用主体として、社会保険診療報酬支払基金について、国が責任を持ってガバナンスを発揮できる仕組みを確保するとともに、情報通信技術の進歩に応じて、迅速かつ柔軟な意思決定が可能となる組織へと抜本的に改組し、必要な体制整備や医療費適正化の取組強化を図るほか、医療・介護DXを推進し、医療の効果的・効率的な提供を進めるため の必要な法整備を行う。また、AIホスピタルの社会実装を推進するとともに、医療機関 等におけるサイバーセキュリティ対策を着実に実施する。電子処方箋について、更なる全国的な普及拡大を図る。あわせて、子育て支援分野においても、保育業務や保活、母子保健等におけるこども政策DXを推進する。また、これらのDXの推進については、施策の 実態に関するデータを把握し、その効果測定を推進する。

(教育DX)→こどもたちの学びの更なる充実と教職員の負担軽減に向け、国策として推進するGIGAスクール構想を中心に、クラウド環境や生成AIの活用等による教育DXを加速する。 共同調達スキームの下での着実な端末更新、ネットワークアセスメントの徹底やその結果を受けた通信ネットワークの着実な改善、地域間格差の解消に向けた好事例の創出や広域的なICT運用支援を含む伴走支援の強化、デジタル教科書等の学習ソフトの活用促進など、ハード・ソフト両面からの教育環境の充実を図る。教師の指導力・児童生徒の情報活用能力の向上や教育情報セキュリティ対策や個人情報保護の強化を図りつつ、教育データの収集・分析・利活用を促進し、実態把握や効果検証等を踏まえながら、学びの個別最適化に向けた取組や、入学・高校入試事務のデジタル化を含む校務DXの推進に向けた取組等を加速し、先進事例の創出と横展開を図る。

(交通・物流DX)→地域交通の利便性・生産性等の向上に向け、MaaS、AIオンデマンド交通、配車アプリ、キャッシュレス等を推進する。空飛ぶクルマの運航拡大に向け制度整備等を行う。 高速道路の渋滞緩和や地域活性化等に向け、ETC専用化を踏まえ、2025年度より段階的に混雑に応じた柔軟な料金体系へ転換していく。このため、まずは現在のスキームの下で最大半額となる料金体系の導入に向け、8月を目途に検討を開始する。 「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、自動運転車優先レーンを含む自動運転サービス支援道、ドローン航路等の社会実装を加速し、共通の仕様・規格の策定等を通じて今後10年で全国展開を図る。一般道での自動運転について、2024年度に約100か所 で計画・運行を行い、2025年度に全都道府県での通年運行の計画・実施を目指す。2027年 度に自動運転等の新たな技術を用いたサービスの本格的な事業化開始を目指し、専門事故 調査体制の整備など、「モビリティ・ロードマップ2024」に即した取組を進める。 物流の効率化に向け、ダブル連結トラック対象路線拡充や自動運転トラック、自動配送 ロボット、自動倉庫等の実装、手続電子化等を推進する。物流危機の抜本的解決に資する 自動物流道路について、我が国最大の大動脈である東京−大阪間を念頭に具体的な想定ルートの選定を含め基本枠組みを夏頃に取りまとめ、早期に社会実験に向けた準備に着手し、 10年後を目途に先行ルートでの実現を目指す。自動運航船の2030年頃までの実現を目指す。

(防災DX)→災害情報の全体把握や被災者支援の充実等に向け、新総合防災情報システムを中核とする防災デジタルプラットフォームやデータ連携基盤の構築・活用、ドローンなど防災IоTデータの収集・共有、官民の多様なシステムの相互連携等を推進する。

(観光DX)→旅行者の利便性向上等に向け、訪日客向けICカードのモバイル化や交通・決済アプリの多言語化の利用を促進するとともに、地域共通のキャッシュレス・アプリ・予約サイト等の整備やデータ連携など面的DXを推進する。顔認証等の新技術を活用した空港での旅客手続の円滑化を含む空港業務DXや、関係機関のデータ連携による厳格で円滑な出入国管理を進める。

(2)GX・エネルギー安全保障→エネルギー安全保障と脱炭素を一体的に推進する中で、産業競争力の強化、新たな需要・ 市場創出を通じた成長フロンティアの開拓を図り、強靱な経済構造を構築することを目指す。このため、2050年カーボンニュートラルの実現、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013 年度比)という目標を踏まえ、官民協調による10年間で150兆円超のGX関連投資を推進しながら、2024年度中を目途に、「GX国家戦略」を策定するとともに、「エネルギー基本計画」及び「地球温暖化対策計画」を改定する。サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に取り組む。 省エネルギーについては、省エネ設備投資の支援やZEH・ZEB、断熱窓及び高効率給湯器の普及、中小企業の省エネ診断の活用を促す地域金融機関等との連携・支援体制の構築を進める。企業の省エネ取組情報の開示や家庭の省エネ・非化石転換・DR対応を促す制度を検討する。 再生可能エネルギーについては、地域共生を前提に、国民負担の抑制を図りながら、主力電源として、最大限の導入拡大に取り組む。国産化や我が国の技術力の強化につなげるため、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力等の目標及び革新技術の開発と社会実装の早期実現に向けた支援や制度的措置の検討、国際的な研究開発体制や国際標準の整備、 人材育成やサプライチェーンの構築に向けた支援を行う。地熱発電の利用拡大に向け、開発を支援する。地域間を結ぶ系統については、今後の需給や技術の動向を踏まえつつ、2030年度を目指した北海道・本州間の海底直流送電を含め、全国で系統の整備を進める。電力の安定供給に向けて、蓄電池の導入による調整力の確保や出力制御の抑制に取り組む。蓄電池等の国内生産基盤の拡充や次世代蓄電池の技術開発を支援する。 原子力については、安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会による審査・検査を踏まえ、地元の理解を得た原子炉の再稼働を進める。新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む。地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での建て替えの具体化を進める。安全性向上等のために、投資促進への取組を進めるとともに、研究開発や人材育成、サプライチェーンの維持・強化に対する支援を拡充する。核燃料サイクルの推進、着実かつ効率的な廃炉の推進、最終処分の実現に向けた国主導での国民理解の促進や地方公共団体等への主体的な働き掛けに取り組む。道路整備による避難経路の確保等を含め、原子力防災体制の充実に取り組む。 低炭素水素等については、水素社会推進法に基づき、国内外におけるサプライチェーンの構築、国内の拠点整備や技術開発の支援、電力・ガス・燃料・製造・運輸分野における利用拡大を促す制度整備に向けた検討を進める。電動車や電動建機の導入促進に加え、燃料電池トラック等の商用車と商用車用ステーションへの集中支援、水素供給への支援を行う。商用車のうち、非化石エネルギー自動車の保有や使用に関する目標の拡大について、 検討を行う。国際競争力のある価格の実現に向け、官民連携により、合成燃料(e-fuel)、 合成メタン(e-methane)、国産の持続可能な航空燃料(SAF)を含むカーボンリサイクル燃料の研究開発や設備投資を促進するとともに、需要創出や環境整備に取り組む。製造 業の円滑な脱炭素化への移行に向けて、まずは石炭・石油からCO2排出量の少ない天然ガスへの転換を支援した上で、将来的には低炭素水素等の活用を促進する。CCS事業法 を踏まえた事業化支援、森林吸収源対策等42を行う。 サーキュラーエコノミー(循環経済)については、再生材利用拡大と製品の効率的利用 等を促進する動静脈連携のための制度検討や支援、産官学の連携による各製品・素材別の 中長期ロードマップの策定等への支援を行うとともに、資源循環に係る国際協力や国際ルールの形成を進める。太陽光パネル等の廃棄・リサイクルの制度検討、ペットボトルを始めとするプラスチックや金属の再資源化に向けた技術開発及び設備投資への支援を行うとともに、バイオものづくりの技術開発・拠点整備を進める。 「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行に向け、GXの「分野別投資戦 略」に沿って、GX経済移行債を裏付けとした予算・税制措置の活用、カーボンプライシ ングの制度設計や環境整備、GX推進機構を通じた民間資金の呼び込み、アジアと連携し たトランジション・ファイナンスの推進、グリーン・ファイナンスの促進に取り組む。 サステナブルファイナンスを促進するための環境整備に取り組む。 地域・くらしについては、2025年度までに100か所以上の脱炭素先行地域を選定し、先進的な取組を横展開することにより、地域経済の活性化につなげる。国民のライフスタイル を転換する「デコ活」や3Rを推進する。まちづくりGXを含むインフラ、カーボンニ ュートラルポート、建築物に加え、燃料電池鉄道車両、ゼロエミッション船、次世代航空 機などモビリティ関連分野の脱炭素化を進める。 燃料供給体制を確保するため、SS事業者の経営力強化やネットワーク維持への支援等を行う。 2050年のカーボンニュートラル実現を宣言している中、2022年1月に緊急措置として開始し今なお継続している燃料油価格の激変緩和事業については、中東情勢の緊迫化等を背景とした価格高騰リスクや様々な経済情勢を見極めるため、措置を一定期間講じつつ、可能な限り、丁寧に状況を見定めた上で、早期の段階的な終了に向けて出口を見据えた検討を行う。 アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現に向けて、二国間・多国間の協力に加え、 ERIAに設置するアジア・ゼロエミッションセンターの活動、アジア金融当局や民間金融機関と連携したトランジション・ファイナンスの促進を通じて、日本の技術や制度を活用し、世界の脱炭素化に貢献する。 エネルギー安全保障については、ロシアのウクライナ侵略や不安定な中東地域による資源・エネルギー情勢の複雑かつ不透明さに対応するため、強靱なエネルギー需給構造への転換を進める。需要サイドにおいては、徹底した省エネルギーを進めるとともに、供給サイドにおいては、自給率向上に貢献し脱炭素効果の大きい再生可能エネルギー、原子力の電源を最大限活用する。石油・天然ガス、銅やレアメタル等の重要鉱物の安定供給を確保するため、同志国等との協調を含めた資源外交を進めるとともに、海外での上流開発を始めとするサプライチェーンの強靱化55を促進する。戦略的に余剰LNGを確保する。国産海洋資源の確保に向け、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、レアアース泥等の技術開発に取り組む。

(3)フロンティアの開拓
(宇宙)
→宇宙基本計画及び宇宙技術戦略に基づき、研究開発・実証・社会実装までを戦略的に推進する。防災・減災、安全保障等に資するため、官民連携の下、光学・小型合成開口レーダ衛星や光通信衛星によるコンステレーション等の構築に向け、次世代技術の開発・実証の支援、衛星データの利活用を推進する。基幹ロケットの高度化や打ち上げの高頻度化、民間企業のロケット開発の支援に取り組む。アルテミス計画について、米国人以外で初となる日本人宇宙飛行士の月面着陸に向け、与圧ローバ開発を本格化する。月や火星以遠への探査の研究開発を進める。準天頂衛星システムの7機体制の着実な整備と11機体制に向けた検討・開発を進める。宇宙戦略基金について、速やかに、総額1兆円規模の支援を行うことを目指すとともに、中長期の政府調達を進め、民間企業の事業展開を後押しする。 民間企業による新たな宇宙輸送等を実現可能とするため、宇宙活動法59の改正を視野に、 2024年度内に制度見直しの考え方を取りまとめる。宇宙開発戦略本部を司令塔とし、世界 的な宇宙利用の拡大に対応した円滑な審査を可能とする体制を整備する。

(海洋)→海洋基本計画及び海洋開発等重点戦略に基づき、複数年度を視野に入れた各省庁横断的な予算を十分に確保し、新技術の社会実装・産業化・国際展開を推進する。準天頂衛星システムとの連携を含めた自律型無人探査機(AUV)の研究開発や利用実証の支援、海洋情報の産業利用に向けた「海しるビジネスプラットフォーム」の構築、南鳥島周辺海域でのレアアース生産に向けた研究開発、管轄海域保全のための地形照合システムの整備、北極域研究船「みらいU」の建造等を予見可能性を持って強力に進める。海洋政策の司令塔機能の抜本的な強化に向け、万全の体制を確保する。

(4)科学技術の振興・イノベーションの促進→我が国の経済成長の原動力たる科学技術・イノベーション力を強化し、熾烈な国際競争 を勝ち抜くため、官民が連携して大胆な投資を行うとともに、標準の戦略的活用を図るなど、研究開発成果の社会実装を加速する。このため、新たな産業の芽となるフュージョンエネルギーや量子、経済社会を支える基盤的な技術・分野であるAI、バイオ、マテリアル、半導体、Beyond 5G(6G)、健康・医療等について、分野を跨いだ技術の融合による研究開発、産業化、人材育成を俯瞰的な視点で強力に推進するとともに、グローバルな視点での連携を強化し、市場創出等に向けた国際標準化などの国際的なルールメイキングの主導・参画や、G7を始めとした同志国やASEAN・インドを含むグローバル・サウスとの国際共同研究、人材交流等を推進する。また、令和の時代の科学技術創造立国の実現に向けた長期的ビジョンを持った国家戦略として、次期科学技術・イノベーション基本計画に係る検討を年内に開始する。 イノベーションの持続的な創出に向け、国際卓越研究大学制度による世界最高水準の研 究大学の実現と地域の中核・特色ある研究大学の機能強化に向けた取組を着実に進め、これら研究大学群が我が国全体の研究力向上を牽引するとともに、戦略的な自律経営の下で、優秀な若手研究者等をひき付ける研究環境の整備や、知財ガバナンス改革を含む研究成果の展開力強化を行う取組を促進する。国立研究開発法人については、国家戦略に基づく研究開発の中核を担う存在として、その機能強化を進め、特に研究成果の早期の社会実装や国家的重要課題への機動的な対応に向けた人材の確保・育成や研究セキュリティ・インテグリティの一層の強化を図る。 急速な社会変化への対応を見据え、価値創造の源泉たる人への投資を加速し、イノベー ション人材の育成を強化する。DXハイスクール事業の継続的な実施等による初等中等教 育段階における探究的・文理横断的・実践的な学びの推進や理数系教育の推進、情報教育 の強化・充実とともに、成長分野への学部再編等や半導体等の先端技術に対応した高専教 育の高度化・国際化を始めとする大学・高専・専門学校の機能強化を図る。また、AIの活用等による英語教育や国際交流の強化を含む教育の国際化を進めるとともに、「トビタテ!留学JAPAN新・日本代表プログラム」の拡充検討や世界トップレベル大学の理系博士課程への派遣を始め官民一体での留学生の経済的支援策の充実、在外教育施設の特色ある教育活動の充実のための機能強化等を通じ、ダイバーシティに富んだグローバル人材の育成を抜本的に強化する。くわえて、産学官の共創を促進し、経済社会ニーズに対応した大学院改革や博士号取得者の幅広い活躍の場(官公庁を含む。)の創出につながる取組や処遇向上等を進め、多様なフィールドで活躍する博士人材を中長期的に世界トップ水準並みに引き上げるとともに、イノベーション創出に向けた地域や産業界の学び直しニーズを踏まえつつ、産業界・個人・教育機関によるリカレント教育エコシステムの創出に向けた取組を加速する。

(5)資産運用立国→家計の現預金が投資に向かい、企業価値向上の成果が家計に還元され、更なる投資や消費につながるインベストメント・チェーンを実現する。このため、「資産運用立国実現プラン」に基づき、国内・海外の金融・資産運用会社の新規参入や業務拡充を通じたスタートアップ等の成長分野への資金供給を強化する観点から、国家戦略特区制度も活用しつつ金融・資産運用特区を推進するなど、資産運用業の改革を進める。運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通原則を定めるアセットオーナー・プリンシプルの策定、加入者のため の企業年金の運用の見える化等により、アセットオーナーシップの改革を推進する。 新NISAの手続の更なる簡素化・合理化等及びその活用、金融経済教育推進機構の下での金融経済教育の充実、金融機関における顧客本位の業務運営の確保、「Japan Weeks」開催等を通じた国際金融センター実現に向けた情報発信の強化、有価証券報告書の株主総 会前の開示に向けた環境整備等のコーポレートガバナンス改革の実質化等を推進する。iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて、 2024年中に結論を得るとともに、手続の簡素化など加入者・受給者の負担軽減に取り組む。 銀証ファイアウォール規制65の在り方について、検討を行う。

4.スタートアップのネットワーク形成や海外との連結性向上による社会課題への対応 (1)スタートアップの支援・ネットワークの形成→イノベーション創出や生産性向上の牽引役であり、新技術の社会実装による社会課題解決の担い手でもあるスタートアップが絶え間なく生み出され、成長していくエコシステム を構築する。 スタートアップを担う人材の育成や国内外のネットワーク構築のため、若手人材の発掘・ 育成、女性起業家の支援、アントレプレナーシップ教育の充実、起業家の海外派遣等に取り組む。スタートアップの海外展開を促すため、海外での展示会への参画、グローバル・ サウスへの展開等を支援する。海外からの投資を呼び込むため、「スタートアップ育成5か年計画」に基づく取組の海外への発信を強化する。地方でのスタートアップの活性化のため、地方企業と大都市圏の人材のマッチング、拠点都市におけるスタートアップのエコ システム形成の取組を強化する。世界最先端のスタートアップ創出拠点として、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の具体化を進める。そのフラッグシップ拠点は、海外トップ大学との有機的連携や優秀な研究者の招へい、交換プログラム等による最先端の研究機能を備え、インキュベーション、知財・法務等の面での支援も行う。同拠点をハブとして、内外のスタートアップ間の連携を強化することにより、グローバルネットワークを構築する。 公共調達を通じてスタートアップを支援する。スタートアップが有する高度かつ独自の新技術を行政の調達ニーズに合わせて随意契約を可能とする仕組みの活用を促進する。地方公共団体を含め社会課題に直面する行政とその解決に資する新技術・サービスを有するスタートアップのマッチング機会を拡充する。研究開発の社会実装を促進するSBIR制度を推進する。 スタートアップが、そのスタートアップに伴走する事業会社と連携を進める中で、当該事業会社から長期購買確約契約(オフテイク契約)を獲得できるよう、支援することにつ いて検討する。 ディープテック分野の研究・事業開発に対し、支援段階や内容、方法の充実を図る。非上場株式の流通活性化、官民ファンドの出資機能の強化など、レイターステージを含む成長段階に応じて、資金が円滑に供給される環境を整備する。エンジェル税制における再投 資期間の延長について、検討する。 出口戦略の多様化に向け、IPOに加え、M&Aの活性化を図る。大学や大企業に加え、 スタートアップも参画する新たなオープンイノベーションを推進する。スタートアップの M&Aを促進する観点から、のれんの非償却を含めた財務報告の在り方を検討する。 企業の参入・退出の円滑化やスタートアップ育成の観点から、規制改革や知的財産の保護・活用を推進する。経営者の判断により早期の事業再構築を進めることができるよう、多数決によって金融負債の整理を進めることができる法案の早期提出を目指す。 「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」を基に、インパクトコンソーシアム等で議論を行い、投資の促進につながるデータ整備や評価手法の確立など、社会的起業家(インパクトスタートアップ)等への支援を強化する。インパクト市場 拡大のため、公的機関と民間機関が連携し、エクイティ投資の取組を推進していく。

(2)海外活力の取り込み↓
(国際連携と対内・対外直接投資等の推進)
→自由で公正な経済圏の拡大やルールに基づく多角的貿易体制を維持・強化する。高いスタンダードの経済連携協定であるCPTPPをより開放的かつ先進的なものとするため、 新規加入への対応や協定の一般見直しを主導し、もって経済的利益及び地域・世界の繁栄と安定に資するものとする。RCEP協定の透明性のある履行の確保、IPEFを通じたインド太平洋地域での経済連携の促進、WTO体制の強化、EPAの拡大等に取り組む。 貿易の拡大に向け、法令改正を含む国内基盤整備や貿易プラットフォームの活用・データの標準化等により、貿易DXを推進する。日本企業の海外展開を政府一体で促進するため、現地の実情に応じた資金支援策等の周知、在外公館等を活用した支援の強化、国際開発金融機関との連携を通じた現地企業との協調案件の組成促進、2030年を見据えたインフラシステム海外展開戦略の見直し、国際標準化に係る国家戦略の新規策定、租税条約ネットワークの拡充等に取り組む。特に、東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米等のグローバル・サウスとの面的な連結性の向上を目指し、オファー型協力70等のODAや公的金融も活用した日本企業の進出支援、産業協力や拠点整備を通じた第三国経由での輸出促進、 官民フォーラム等の枠組みの構築、信頼できる有志国とのデジタル公共基盤の構築、エネ ルギー・通信・交通等の分野におけるプロジェクトの実証・実装支援、水循環・水防災分 野における技術協力、スマートシティの案件形成支援、国際環境の変化を踏まえた貿易保 険のリスク対応能力の強化、環境負荷低減と生産性向上を両立させる農林水産技術の普及、TICADを通じたアフリカ支援等に取り組む。 ウクライナ復興に向け、スタートアップを含む日本企業の現地の活動を支援する。 2030年までに対日直接投資残高100兆円という目標の早期実現を目指す。「海外からの人 材・資金を呼び込むためのアクションプラン」及び「対日直接投資加速化に向けた優先プログラム」に基づき、東南アジアや南アジア等の高度若手人材の確保に向けた、現地大学 との連携強化や在留資格制度の在り方等に関するニーズ調査及びそれを踏まえた措置の検 討、世界的な研究者の招へいや奨学金配分の重点化等による優秀な留学生の受入促進に加 え、海外と国内企業の出資を含む協業の促進、これらの取組の海外への周知・広報等に取 り組み、これらの取組についてフォローアップする。
アジア諸国を始めとするインド太平洋地域における健康格差の是正や海外活力の取り込 みを通じた我が国の医療・介護産業の成長の観点を踏まえ、国際保健に戦略的に取り組む。 WHOや世界銀行等の協力を得て人材育成・知見収集を行う世界的な拠点「UHCナレッ ジハブ」の日本への設置、ERIAと連携した外国医療人材の育成、医療インバウンドを 含む医療・介護の国際展開、ワクチンアライアンス及びストップ結核パートナーシップへの貢献、気候変動に強靱かつ低炭素で持続可能な保健医療システムの構築を目指した気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH)の取組の促進、インパクト投資を始めとする民間資金の呼び込み等を進める。 金融システムの強化に向け、金融安定理事会(FSB)等における規制・監督の在り方や新たなリスク対応に係る国際的な議論に貢献する。

(コンテンツ産業の海外展開)→アニメ・音楽・放送番組・映画・ゲーム・漫画等について、「コンテンツ産業活性化戦 略」77を官民連携して推進する。 政府の司令塔として、「コンテンツ産業官民協議会」と「映画戦略企画委員会」を設 置するとともに、一貫的で強力な支援を行うため、文部科学省及び経済産業省の関連する施策をクリエイター支援基金に統合する。 コンテンツ産業について、国際見本市・映画祭への出展など、制作会社が行う海外展開の支援、クリエイターを目指す学生等に対する留学支援を行う。 制作会社が自ら資金調達をして行う作品の制作支援、VFX等の高度なデジタル技術 を活用した海外制作会社による大規模映像作品のロケ撮影の誘致を推進する。 コンテンツ産業のクリエイターが安心して持続的に働けるよう、制作現場の労働環境や賃金の支払の面での環境整備を進める。公正取引委員会等の関係省庁が連携し、クリエイターに係る取引適正化に向け、2024年内を目途に、音楽・放送番組の分野における実演家と事務所との間の取引等の実態調査を行い、その結果を踏まえて、取引適正化指針作成に 着手する。 「新たなクールジャパン戦略」に基づき、web3等の新たな技術を活用したビジネスモデ ルの構築の支援、優れたクリエイターの発掘の支援、プロデュース人材やマネジメント人材の育成、海賊版対策等に取り組む。

(外国人材の受入れ)→「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」等に基づき、マイナンバーカードと在留カードの一体化、認定日本語教育機関の体制整備・活用、生活日本語のモデルカリキュラムを活用した地域の日本語教育や外国人児童生徒の教育の体制整備、オンラインによる学習機会の確保等に取り組む。入管DXの一環としての円滑・厳格な審査に向けた電子渡航認証制度導入の準備、迅速・確実な難民等の保護・支援及び多角的な送還手法を通じた送還忌避問題の解決に、関係機関と連携して取り組む。 育成就労制度については、必要な体制整備、受入れ見込数・対象分野の設定、監理支援機関等の要件厳格化に関する方針の具体化等を行う。特定技能制度については、受入れ企業と地方公共団体との連携の強化を含め、適正化を図る。最低賃金及び同一労働同一賃金の遵守の徹底等を通じて、適正な労働環境を確保する。

(3)大阪・関西万博の推進→未来社会の実験場である 2025 年大阪・関西万博の開催に向けて、各国・国際機関の参加・出展の確保、会場建設、災害時の対応を含めた安全確保、予算の適切な執行管理を進めるとともに、いのち輝く未来社会のデザインというテーマの下、モビリティ、エネルギー・環境、デジタル、ライフサイエンス、宇宙等の社会課題の解決につながる技術の実証・ 実装・発信を進める。我が国と万博参加国の間でこどもや若者の交流を行うこと等により、 全国的な機運醸成に取り組む。万博の来場者を地方に誘客するよう取り組む。 2027 年国際園芸博覧会に向けて、着実な準備を進める。

5.地方創生及び地域における社会課題への対応
(1)デジタル田園都市国家構想と地方創生の新展開
→ 急速に進行する少子高齢化・人口減少を克服し、住民が豊かさと幸せを実感できる持 可能な地域社会を構築するためには、新技術を徹底活用して地域の社会課題を解決し、東京一極集中の是正や多極化を図るとともに、地方から全国への成長につなげていく必要がある。このような認識の下、「地方創生10年の取組と今後の推進方向」を踏まえ、人口減少、東京一極集中、地域の生産年齢人口の減少や日常生活の持続可能性の低下等の残された課題に対応するため、女性・若者にとって魅力的な地域づくり等地域の主体的な取組を、 伴走支援を含めて強力に後押しし、国民的議論の下、強い危機感を持って地方創生の新展開を図る。デジタルの力を活用して地方創生を加速させるとともに、行政区域にとらわれず暮らしに必要なサービスが持続的に提供される地域生活圏の形成や地方と東京の相互利 益となる分散型国づくり等を進め、デジタル田園都市国家構想を国土形成に展開する。 地域社会のニーズに合わせ、先端技術の社会実装等に取り組むモデル地域を創出するため、スーパーシティ、デジタル田園健康特区、連携“絆”特区等を活用しながら、制度・ 規制改革や施策間・地域間連携、デジタル田園都市国家構想交付金による効果的な取組への支援の重点化をパッケージ化して支援する。5G利活用等の優良事例を支えるサービス・ システムの効果的・効率的な横展開、光ファイバ、5G、データセンター等のデジタル基 盤の全国での整備、デジタル人材育成等を推進する。

(2)デジタル行財政改革→ 急激な人口減少等を見据え、利用者起点で行財政の在り方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持・強化等を実現すべく、「デジタル行財政改革取りまとめ2024」に基づき取組を実行する。 教育、交通、医療・介護、子育て、福祉相談、防災等の各分野において、自動運転の社会実装等サービスの持続可能性と利便性向上に向けた規制・制度の見直しやシステムの整備を推進する。デジタルを活用して、全国の移動の足不足の解消への道筋をつけるという 観点から、規制改革推進会議における議論を踏まえ、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用可能とする。このため、全国の移動の足不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行い、各時点での検証結果の評価を行う。並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、内閣府及び国土交通省の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進める。 「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」に基づき、国・地方が共通デジタルサービスを利用できるよう、今夏から国・地方公共団体間の連絡協議体制を整備し、縦割りの弊害を排して政府横断的な推進体制の下で各府省庁がデジタル庁・総務省と連携し、主体的に業務見直しとシステム構築を行うとともに、デジタル庁を中心に必要な専門人材を確保しつつ、初期開発や移行・普及支援、ベース・レジストリなどのデジタル公共インフラの整備、地方への普及支援等を推進する。同時に都道府県に公共サービスDX推進のハブ機能を形成し、都道府県は域内基礎自治体を支援するとともに、国は、専門人材の採用支援を行う。また、各府省庁の情報システム経費の「見える化」による効率化を行う。そして、重要分野の改革推進のため、中長期的KPIの設定とロジックモデルの構築等により政策の進捗モニタリングと改善を行う。また、基金の点検・見直しの横断的な方針やその結果に基づいて、基金全体の見直しを引き続き進め、資金の有効活用の観 点から余剰金の国庫返納や成果目標の改善を含めEBPMの手法を前提としたPDCAの 取組を推進する。あわせて、予算事業全体について、行政事業レビューと予算の連携を強化し、システム化・オープン化を進める。

(3)地方活性化及び交流の拡大
(持続可能で活力ある国土の形形成と交通の「リ・デザイン」)
→持続可能な国土形成に向け、各種サービス機能の集約拠点や地域生活圏の形成と国土全体の連結強化等を進め、コンパクト・プラス・ネットワークの取組を深化・発展させる。 持続可能な地域づくりに向け、都市の再生・国際競争力強化や人中心のコンパクトで緑豊かなまちづくり等に取り組むとともに、ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に向けた地域活動、グリーンインフラ等を推進する。地域公共交通について、交通DX・G X、多様な関係者との連携・協働、ローカル鉄道の再構築、路線バスの活性化、自家用有 償旅客運送を含む地域の自家用車や一般ドライバーの活用など「リ・デザイン」の取組を 加速化し、省力化の促進、担い手の確保等に取り組む。デジタル田園都市国家構想の実現にも資する幹線鉄道の地域の実情に応じた高機能化に関し、更なる取組を進める。また、 地域の持続性にも直結する課題である買物環境の確保について、地域の実情に応じた買物拠点施設の整備を含め、地方公共団体の主体的な取組を支援するとともに、優良事例の周知・横展開を行う。 我が国の国際競争力強化のため、高規格道路、整備新幹線、リニア中央新幹線、都市鉄道、港湾、空港等の物流・人流ネットワークの早期整備・活用、モーダルコネクトの強化、 航空・海運ネットワークの維持・活性化、造船業の競争力強化等を推進するとともに、担い手の確保・育成に取り組む。くわえて、基本計画路線及び幹線鉄道ネットワークの地域 の実情に応じた諸課題について方向性も含め調査検討を行う。リニア中央新幹線については、財政投融資による支援を踏まえ、全線開業に係る現行の想定時期の下、適切に整備が進むよう、環境・水資源の状況や建設主体の財務状況を厳格にモニタリングし、必要な指導及び技術的支援を行うとともに、名古屋以西について、駅の整備に関する検討の深度化など、整備効果が最大限発揮されるよう、沿線自治体と連携して駅周辺を含めたまちづくりを進める。同時に、東海道新幹線の輸送余力を活用した東海地域の利便性向上を図り、 地域にもたらす経済効果の最大化を目指す。 物流の持続的成長を図るため、物流拠点・ネットワークの機能強化、モーダルシフトや 物流DX・標準化等による効率化、商慣行の是正、荷主・消費者の行動変容、改正物流法 等の執行体制の構築等の抜本的・総合的な対策を一体的に進める。
(個性をいかした地域づくりと関係人口の拡大)→個性をいかした地域づくりに向け、沖縄振興・北海道開発と、過疎地域や半島、離島、 奄美、小笠原、豪雪地帯等の条件不利地域対策に取り組む。強い沖縄経済の実現に向けた観光の質向上や脱炭素化、沖縄科学技術大学院大学の起業支援等の産業振興、北部・離島 等の定住環境整備、普天間返還も見据えた基地跡地の先行取得と那覇空港等との一体的な利用、教育・医療・福祉が融合したこどもの貧困対策・Well-being拠点設置に向けた取組、 平和学習の充実等の沖縄振興策を国家戦略として総合的に推進する。「北海道総合開発計画」に基づき、食・観光・ゼロカーボン北海道を担う生産空間の維持・発展、デジタル産 業の集積促進、北方領土隣接地域の振興を更に地域一体で進める取組等を推進する。ウポポイの充実等アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現する。 人の流れを創出・拡大するため、若者の地方移住を促す取組を強化するとともに、地方 拠点強化税制の活用による企業の地方移転、産学官金連携による地域密着型企業の立ち上げ、地域おこし協力隊等93の地域の人材確保の取組等を促進する。関係人口の拡大や二地域 居住・多拠点生活等の多様なライフスタイルの推進に向け、サテライトオフィス等の基盤 整備等を行う。

(持続可能な観光立国の実現)→2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人・消費額15兆円を目指し、戦略的に取り組む。 地方を中心としたインバウンド誘客に向け、我が国固有の温泉・旅館・食・歴史などの 観光資源・文化資源の磨き上げ・連携を図りつつ、特別な体験の提供、アドベンチャーツーリズム等の地域の多様な観光コンテンツ造成、ローカルガイドを含む観光人材の育成、 高付加価値な観光地づくり、国立公園・国定公園・国民公園や公的施設の魅力向上、空港 ・CIQ・二次交通等の受入環境整備、クルーズの再興と拠点形成、消費税免税制度の見直し・適正利用、戦略的なプロモーション、伝統的酒造りの魅力発信、MICE誘致・開催、厳格なカジノ規制を含むIR整備、デジタルノマドビザの活用促進、アウトバウンド・ 国際相互交流の拡大等を推進する。 持続可能な観光地域づくりに向け、宿泊施設・観光施設の改修等を計画的・継続的に進め、観光地・観光産業の再生・高付加価値化を促進する。観光DXや観光地・観光産業における業務の効率化・省力化、外国人材活用等による総合的な人材不足対策に取り組む。 オーバーツーリズムの未然防止・抑制や観光地のマネジメント体制構築等を促進する。 国内交流拡大に向け、ワーケーションやユニバーサルツーリズム等の推進により、需要の平準化や新たな交流市場拡大を進める。

(4)農林水産業の持続可能な成長及び食料安全保障→食料安全保障の強化や環境と調和のとれた食料システムの確立を新たな柱に位置付けるとともに農業の持続的な発展や農村の振興を図るため、基本法が四半世紀ぶりに改正されたことを受け、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進められるよう、2024年度中に基本計画を改定し、施策を充実・強化するとともに、それを確実に進めるための 体制を確保し、農林水産業の収益力向上の実現を通じた所得の向上を図る。 食料安全保障の強化に向け、食料自給率その他の新たな目標設定や農林水産業・食品産業の生産基盤の強化とともに、安定的な輸入と備蓄を確保しつつ、水田の汎用化・畑地化を含め輸入依存度の高い食料・生産資材の国内生産力拡大等の構造転換を推進する。食料供給基盤強化も念頭に海外需要に応じた農林水産物・食品の輸出を促進する。食料供給困難事態に備えた基本方針策定等のほか、コスト指標作成等に係る協議を進め、食料の合 理的な価格の形成の制度化等食料システムの持続性確保のための法制度について次期通常国会への提出を目指す。買物困難者、経済的困窮世帯のこども等への食料提供を円滑にするため、「食品アクセスの確保に関する支援策パッケージ」に沿った取組を推進する。 みどりの食料システムの確立に向け、クロスコンプライアンスの実施や有機農業等の先進的な取組への後押し等により環境負荷低減の取組を進める。 農業の持続的な発展に向け、地域計画を踏まえた担い手の育成・確保と農地の集積・集 約化や土地改良事業、サービス事業体の育成・活動の促進とともに、農地の総量確保と適正・有効利用や食品産業と連携した農業法人の経営基盤強化、スマート技術の開発と生産方式の転換や実装加速化、経営安定対策、家畜疾病対策、女性活躍等を進めるほか、人口減少に対応した適切な用排水施設等の保全管理のための土地改良法制について次期通常国会提出を目指す。農村の振興に向け、中山間地域等の農地保全や粗放的利用対策、農村関係人口の増加に資する地域産業振興、農福連携、鳥獣対策、棚田地域の振興等を進める。 森林の循環利用ができる経営体育成と集約化等を促進する法制度の次期通常国会提出を目指す。林道等基盤整備や再造林、国産材転換、木材利用拡大、花粉症対策等を進める。 着実な水産資源管理と操業形態の転換、養殖業の成長産業化、漁業者の人材育成・経営安定、漁船等の生産基盤整備、海業の全国的な展開等を進める。

次回も続き(第2章)「6.幸せを実感できる包摂社会の実現」からです。

こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回) [2024年07月20日(Sat)]
こども家庭審議会児童虐待防止対策部会(第4回)(令和6年6月 25 日)
議題 (1)制度改正を要する事項 (2)ヤングケアラーに関する改正法の施行等について
児童虐待防止対策部会(第4回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/44670211/
◎参考資料2 令和6年子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律の新旧対照表(ヤングケアラー関係)→要保護児童対策地域協議会関係部分の抜粋。↓
○児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)(抄)(第四条関係)【公布日、令和七年四月一日及び令和八年四月一日施行】  参照。


◎参考資料3 こどもまんなか実行計画 2024
○目 次のみ。↓

T はじめに
1 こども大綱の閣議決定、こどもまんなか実行計画の策定
2 こどもまんなか実行計画に記載する施策の範囲と改定頻度
3 こどもまんなか実行計画策定までの流れ
U こども施策に関する重要事項
1 ライフステージを通した重要事項
(1)こども・若者が権利の主体であることの社会全体での共有等
(2)多様な遊びや体験、活躍できる機会づくり
(3)こどもや若者への切れ目のない保健・医療の提供
(4)こどもの貧困対策
(5)障害児支援・医療的ケア児等への支援
(6)児童虐待防止対策と社会的養護の推進及びヤングケアラーへの支援
(7)こども・若者の自殺対策、犯罪などからこども・若者を守る取組
2 ライフステージ別の重要事項 
(1)こどもの誕生前から幼児期まで
(妊娠前から妊娠期、出産、幼児期までの切れ目ない保健・医療の確保)
(こどもの誕生前から幼児期までのこどもの成長の保障と遊びの充実)
(2)学童期・思春期 
(こどもが安心して過ごし学ぶことのできる質の高い公教育の再生等)
(居場所づくり)
(小児医療体制、心身の健康等についての情報提供やこころのケアの充実)
(成年年齢を迎える前に必要となる知識に関する情報提供や教育)
(いじめ防止)
(不登校のこどもへの支援)
(校則の見直し)
(体罰や不適切な指導の防止)
(高校中退の予防、高校中退後の支援)
(3)青年期
(高等教育の修学支援、高等教育の充実)
(就労支援、雇用と経済的基盤の安定のための取組)
(結婚を希望する方への支援、結婚に伴う新生活への支援)
(悩みや不安を抱える若者やその家族に対する相談体制の充実)
3 子育て当事者への支援に関する重要事項
(1)子育てや教育に関する経済的負担の軽減
(2)地域子育て支援、家庭教育支援
(3)共働き・共育ての推進、男性の家事・子育てへの主体的な参画促進・拡大
(4)ひとり親家庭への支援
V こども施策を推進するために必要な事項
1 こども・若者の社会参画・意見反映
(1)国の政策決定過程へのこども・若者の参画促進
(2)地方公共団体等における取組促進
(3)社会参画や意見表明の機会の充実
(4)多様な声を施策に反映させる工夫
(5)社会参画・意見反映を支える人材の育成
(6)若者が主体となって活動する団体等の活動を促進する環境整備
(7)こども・若者の社会参画や意見反映に関する調査研究
2 こども施策の共通の基盤となる取組
(1)「こどもまんなか」の実現に向けたEBPM
(2)こども・若者、子育て当事者に関わる人材の確保・育成・支援
(3)地域における包括的な支援体制の構築・強化
(4)子育てに係る手続き・事務負担の軽減、必要な支援を必要な人に届けるための情
報発信
(5)こども・若者、子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
3 施策の推進体制等
(1)国における推進体制
(2)数値目標と指標の設定
(3)自治体こども計画の策定促進、地方公共団体との連携
(4)国際的な連携・協力
(5)安定的な財源の確保
(6)こども基本法附則第2条に基づく検討


◎参考資料4 経済財政運営と改革の基本方針 2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜           令和6年6月 21日
第1章 成長型の新たな経済ステージへの移行
1.デフレ完全脱却の実現に向けて
→ 我が国経済は、現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている。本年の春季労使交渉では、1991年以来33年ぶりの高水準の 賃上げが実現し、足元の企業の設備投資は史上最高の水準にある。こうした前向きな動き を中小企業・地方経済等でも実現し、二度とデフレに戻らせることなく、「コストカット」 が続いてきた日本経済を成長型の新たなステージへと移行させていくことが、経済財政運営における最重要課題となっている。 岸田内閣は、これまで、「新しい資本主義」を掲げ、「成長と分配の好循環」及び「賃金と物価の好循環」の実現に向け、日本銀行と連携し、適切なマクロ経済運営を行うとともに、官民連携による賃上げや社会課題の解決を成長につなげる投資の促進に向けた取組 などを進めてきた。こうした「新しい資本主義」の考え方は、新たな経済ステージへの移 行に当たっての基盤となるものである。これらにより、30年間上がらなかった賃金や物価 が動き出し、企業の成長期待や投資の見通しも高まっている。今は、日本経済への「期待」 を現実のものとしていくとき。 現状、為替が円安基調で推移しており、また、物価上昇が賃金上昇を上回る中で、消費 は力強さを欠いている。海外経済の下振れによるリスク等も残っているが、今後は、景気 の緩やかな回復が続く中で、賃金上昇が物価上昇を上回っていくことが期待される。 新たなステージへの移行のカギとなるのは、賃上げを起点とした所得と生産性の向上で ある。まずは、春季労使交渉における力強い賃上げの流れを中小企業・地方経済等春季労使交渉以外の分野でも実現し、物価上昇を上回る賃金上昇を達成し、定着させる。安定的な物価上昇の下で、賃上げに支えられた消費の増加及び投資の拡大が、企業収益を押し上 げ、その成果が家計に還元され、次の消費の増加につながる。企業はその収益を原資として成長分野に更に投資を行うことによって、企業の生産性と稼ぐ力が強化される。成長分 野への円滑な労働移動も可能となり、新たな成長を生み出す好循環が実現する。 あわせて、社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向け、官民が連携して投資を行う。グリーン、デジタル、科学技術・イノベーション、フロンティアの開拓、経済・エネ ルギー安全保障等の分野において、長期的視点に立ち、戦略的な投資を速やかに実行していく。こうして人材や資本等の資源を成長分野に集中投入することによって、経済全体の 生産性を高め、日本経済を「成長型の新たな経済ステージ」へと移行させていく。 本年の春季労使交渉では、労務費転嫁のための指針が周知されたこと等もあり、労使交渉の結果、力強い賃上げの流れが生み出された。これに加え、本年6月から実施している 定額減税等によって、可処分所得を下支えし、物価上昇を上回る所得の増加を確実に実現する。そして、この流れを来年以降も持続させるため、あらゆる政策を総動員して賃上げ を後押しし、国民一人一人の生活実感を高めていく。このため、重層的な取引構造となっている業種を含め、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が行われるよう、官民双方で 取組を更に強化するとともに、企業の稼ぐ力を強化することによって、来年以降、物価上昇を上回る賃上げを定着させていく。 賃上げについては、労務費の転嫁円滑化に加え、商慣行の思い切った見直しを含め、業種・事業分野の実態に応じた価格転嫁対策に取り組むほか、医療・福祉分野等におけるきめ細かい賃上げ支援や最低賃金の引上げを実行する。あわせて、三位一体の労働市場改革 を進め、全世代を対象とするリ・スキリングの強化に取り組む。個々の企業の実態に応じたジョブ型人事(職務給)の導入を促進するとともに、雇用政策の方向性を、雇用維持か ら成長分野への労働移動の円滑化へとシフトしていく。 企業の稼ぐ力については、人手不足への対応として、業績改善にもつながるデジタル化 や省力化投資の取組を支援するとともに、生産性の持続的な向上に向けて、中堅・中小企 業の設備投資、販路開拓、海外展開等の取組を後押しする。GX、経済安全保障など、社会課題の解決に向けた官民連携の投資、デジタル技術の社会実装、宇宙・海洋等のフロン ティアの開拓、海外からの人材・資金の呼び込み等の取組によって、成長分野における国 内投資を持続的に拡大し、経済全体の生産性を向上させる。 日本銀行は、本年3月19日、それまでのマイナス金利政策やイールドカーブ・コントロ ール等を変更し、金融政策は新しい段階に入った。安定的な物価上昇率の下での民需主導 の持続的な経済成長の実現に向け、政府は、引き続き、日本銀行と密接に連携し、経済・ 物価動向に応じた機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。 政府は、競争力と成長力強化のための構造改革に取り組むとともに、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じ て適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価 安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。 こうした取組によって、長期にわたり染み付いた「デフレ心理」を払拭し、社会全体に、 賃金と物価が上がることは当たり前であるという意識を定着させ、デフレからの完全脱却、 そして、経済の新たなステージへの移行へとつなげていく。 経済財政諮問会議においては、今後とも、賃金、所得や物価動向を含む経済・財政の状況、金融政策を含むマクロ経済政策運営の状況、経済構造改革の取組状況等について、定期的に検証していく。

2.豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会に向けて→足元の人手不足の大きな要因でもある人口減少は、2030年代に加速することが見込まれており、現状のまま生産性上昇率が高まらず、労働参加の拡大や出生率の向上も十分でないという前提に立てば、我が国の潜在成長率は長期にわたりゼロ近傍の低成長に陥りかねない。 将来的に人口減少が見込まれる中で長期的に経済成長を遂げるためには、生産性向上、 労働参加拡大、出生率の向上を通じて潜在成長率を高め、成長と分配の好循環により持続的に所得が向上する経済を実現する必要がある。これらを通じて、少子高齢化・人口減少 を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を実現していくことをミッションとして掲げ、官民挙げて総力を結集し経済成長のダイナミズムを起こし、これまでの延長線上にない、熱量あふれる日本経済の新たなステージへの移行を確かなものとしていかなければいけない。 経済・財政・社会保障の持続可能性の確保を図るには、人口減少が本格化する2030年代 以降も、実質1%を安定的に上回る成長を確保する必要がある。その上で、更にそれより も高い成長の実現を目指す。このため、今動き始めているDX、GXを始めとする投資の 拡大、欧米並みの生産性上昇率への引上げ、高齢者の労働参加率の上昇ペース継続や女性 の正規化促進など、我が国の成長力を高める取組が必要である。こうした経済においては、 2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現の下で、2040年頃に名目1,000兆円程度の経済 が視野に入る。 人口減少が本格化する2030年度までが、こうした経済構造への変革を起こすラストチャンスである。このため、本基本方針第3章を「経済・財政新生計画」として定め、これに 基づき、以下に述べる「新たなステージを目指すための5つのビジョン」からバックキャストしながら、今後3年程度で必要な制度改革を含め集中的な取組を講じていく。

(社会課題解決をエンジンとした生産性向上と成長機会の拡大)→人口減少を機会と捉え、DX、新技術の徹底した社会実装、フロンティアの開拓等によ りイノベーションを促進するとともに、成長分野への人材や資金の流入を加速させること により、生産性を向上させて供給力を高めていく。また、脱炭素、経済安全保障、ヘルスケア等の生活の質向上、人口減少・高齢化といった社会課題解決を通して需要を開拓し、 次世代技術や新しいビジネスモデルを用いた付加価値の高い解決策を生み出すことで新たな市場を創出・拡大し、民需主導の経済構造を構築していく。こうした需給両面での成長 を支えるため、官民挙げて積極果敢な国内投資を行い、企業部門を貯蓄超過から投資超過 へとシフトさせるとともに、新技術の社会実装を担うスタートアップを始め、ソーシャルビジネス、NPO等の新しいプレイヤーの活躍を支えるエコシステムを形成する。

(誰もが活躍できるWell-being が高い社会の実現)→需要の創出に加え、家計が可処分所得の継続的な増加を通じて成長の恩恵を実感できるよう、構造的な賃上げを社会に広げ定着させるとともに、全世代型社会保障制度を構築していく。意欲のある人が年齢・性別にかかわらず、「人への投資」などを通じて、自由で柔軟に活躍できる社会を構築する。さらに、若者が安心して結婚・出産・子育てに取り組めるよう若年世代の所得向上を図るとともに、健康意識の向上を図り、自らのキャリア設 計の下で希望に応じて働くことで生涯所得を拡大させ、潜在的な支出ニーズを顕在化させていく。こうした「賃金と物価の好循環」や「成長と分配の好循環」の拡大・定着を通じ て、希望あふれるWell-beingの高い社会の実現を目指す。

(経済・財政・社会保障の持続可能性の確保)→高齢化率は継続的に上昇し、医療費や介護費への影響が大きい75歳以上や85歳以上の人口は長期にわたって段階的に増加する一方、生産年齢人口は減少が見込まれる。こうした中で、経済・財政・社会保障を一体として相互に連携させながら改革を進め、経済社会の持続可能性を確保していく。 上述した持続的な経済成長や成長と分配の好循環の実現は、財政や社会保障の給付と負担のバランスの改善に寄与する。社会保障もまた、健康で生涯活躍できる社会の実現、セーフティネット機能による暮らしの安心確保を通じた消費の押し上げ、保険料負担の上昇の抑制による可処分所得の拡大への寄与など、成長と分配の好循環を支える重要な役割を担い、給付と負担のバランスの確保は財政健全化にも欠かせない要素である。財政についても、EBPMによるワイズスペンディング(効果的・効率的な支出)を徹底しつつ、官民連携による投資促進等の成長力強化を図るとともに、財政の信認を確保していくことは、 民需主導の経済成長を支える重要な基盤となる。 以上の方向性に沿った改革を進め、人口減少が深刻化する2030年代以降も、実質1%を 上回る経済成長を実現するとともに、これまでと同様に医療・介護給付費対GDP比の上 昇基調に対する改革に取り組み、一定幅でのPBの黒字基調を維持していくことができれ ば、長期的な経済・財政・社会保障の持続可能性が確保される。こうした長期のあるべき 姿からバックキャストして、今後の中期的な経済財政運営を進めていく。

(地域ごとの特性・成長資源をいかした持続可能な地域社会の形成)→2050年にかけて、都市部では高齢人口が増加する一方、地方部では人口減少が深刻化するなど、人口動態の変化の現れ方は自治体や地域ごとに異なる。また、老朽化により更新時期を迎えるインフラ・公共施設が一斉に増加するとともに、人口減少の更なる進展に伴って、担い手不足や一人当たりでみた公共サービス維持のコスト増が顕在化し、個々の自治体だけでは持続可能性を確保できない地域も出現する可能性がある。こうした中で、国全体の急速な人口減少に歯止めをかける少子化対策と地域の人口減少や東京一極集中に対応する地方創生の取組を政府一丸となって強力に推進して、人口の自然減・社会減に対応し、地域の特性や魅力をいかした自律的な地域社会を創出していく。公共サービスやイン フラ維持管理の広域化・共同化を進めるとともに、DXや新技術の社会実装により地域機能やサービスの高度化を図り、新しい生活スタイルへ移行させていく。

(海外の成長市場との連結性向上とエネルギー構造転換)→国際情勢の不確実性やエネルギー・資源制約の高まり等に対処し得る国際競争力の強化と経済安全保障の強靱化の必要性が高まっている。こうした中で、人口減少下で資源に恵まれない我が国が持続的な経済成長を実現するため、成長市場との連結性を高め、海外の人材・資金を積極的に呼び込み、我が国の投資拡大やイノベーション向上につなげていく。 また、エネルギー自給率の大幅な向上によりエネルギー安全保障を確保し、脱炭素とコスト削減の両立により国内産業の稼ぐ力を強くするエネルギー構造に転換していく。我が国は、世界全体の課題である気候変動対策などの分野において、先端を切りひらき、その解決に貢献していく。

(ビジョン達成に向けた政策アプローチ)→これらのビジョンを達成するため、以下に掲げる5つの政策の方向性に沿って、デフレ 完全脱却の実現に向けた足元の政策対応から一気通貫で、包括的かつ分野横断的な政策アプローチを集中的に講じることにより、速やかに新たなステージに引き上げ持続可能な経済社会への軌道に乗せていくとともに、成長の恩恵を国民に着実に還元していく。 @ 新技術の社会実装によって社会課題の解決を経済成長に結び付けていく観点から、人的投資、研究開発投資、企業の新陳代謝の向上等を通じて付加価値生産性を高める。 くわえて、社会課題と新技術をマッチングする機会の拡大や、政府調達や規制改革による一体的な支援を通じ、スタートアップによる新技術の社会実装を加速する。 A 性別や年齢にかかわらず意欲のある人が生涯活躍できる社会を実現するため、全世代型リ・スキリングや若年期からの健康管理を促す全世代型健康診断等のプロアクティブケア、働き方に中立的な社会保障制度の構築を進める。また、構造的な賃上げの定着に加え、能力に応じた若年世代の待遇改善や、仕事と子育ての両立支援、女性活躍、 男女賃金格差の是正、ジェンダーギャップ解消等を推進し、若年世代の安心と結婚・ 出産・子育ての希望を高め、その希望がかなう結果として出生率が向上する社会を構 築する。 B EBPMによるワイズスペンディングを徹底しつつ、将来の成長につながる分野において、官民連携の下で民間の予見可能性を高める中長期の計画的な投資を推進するとともに、歳出改革に取り組み、金利のある世界に備え財政の信認を確保する。社会保障を持続可能なものとするため、応能負担の徹底を通じて現役世代・高齢世代などの給付・負担構造を見直し、国民の安心につながる効率的で強靱な医療・介護の提供体制を実現するなど、全世代型社会保障制度の構築を進める。 C 地域における新技術の社会実装や、地域ごとの実情に応じた少子化対策を進めるため、 モデル地域を形成し、規制・制度改革や施策間・地域間連携等を通じて先駆的な取組の実践と横展開を進める。また、広域での住民の意見集約の下での都市圏のコンパクト化や、東京一極集中の是正等による強靱な国土構造の形成を推進するとともに、地域経済の活性化や広域連携、自治体DX等により地方行財政基盤を強化する。 D 高い成長が見込まれる、いわゆるグローバル・サウス等の海外活力を取り込むため、 モノ、カネ、ヒトの観点からグローバル戦略を抜本的に強化。また、脱炭素・低 コスト・安定供給を両立させるエネルギー需給構造を実現するため、我が国の強みを いかした革新的エネルギーの技術開発とその社会実装・海外展開を推進する。

(国民意識の変革と行動喚起)→日本経済を新たなステージに移行させ、中長期のミッションを達成していくためには、 我が国が直面する人口減少がもたらす不可避的な課題とそれを解決するビジョンについて、 世代を越えて個人、組織、地域社会が議論を通じて広く共有し、国民意識の変革や国民を巻き込んだムーブメントを巻き起こしつつ、一人一人が社会づくりにコミットして行動に移すことが重要となる。こうした行動が積み重なり、やがて大きな社会変革の動きにつな がり、「国民が希望を創り、ともに実現する国」や「世界一暮らしやすく、働きやすい国」 へと導かれる。今こそ日本経済が潜在的に有する活力を集結するときであり、過去の常識 の殻を勇気と熱意をもって打ち破り、「これまで」ではなく「これから」の経済社会を築 く好機を逃してはならない。このため、本基本方針に示された中長期の政策運営の基本的 考え方や政策アプローチについて、関係省庁と連携しながら積極的に発信し、国民、民間企業、自治体等の具体的な行動へとつながる効果的な展開を図る。

次回も続き「第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現
〜賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上〜」
からです。

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