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第57回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会 [2024年05月31日(Fri)]
第57回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(令和6年3月25日)5/31
議事 (1) 疾病ごとの個別検討(新規の疾病追加)について (2) 疾病ごとの個別検討(診断基準等のアップデート)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39139.html
◎資料1-1指定難病検討委員会における新規の疾病追加(令和5年度実施分)に関する検討について
〇 新規の疾病追加(令和5年度実施分)に関して、難治性疾患政策研究事業の研究班から 情報提供のあった疾病について、第54回・第55回・第56回指定難病検討委員会で検討した結果、以下の4疾病については、指定難病へ追加することが妥当であるとされた。
・LMNB1 関連大脳白質脳症 ・原発性肝外門脈閉塞症
・出血性線溶異常症
・ロウ症候群
また、以下の3疾病については、研究班から追加情報を求めた上で、改めて検討することが妥当であるとされた。
・PURA関連神経発達異常症
・極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素欠損症
・乳児発症 STING 関連血管炎

〇 上記7疾病に関して、第 54 回・第 55 回・第 56 回指定難病委員会において指摘された 事項等を受けて、研究班が修正した診断基準等について、第 57 回指定難病検討委員会に おいて、新規に追加する指定難病の診断基準等として妥当であるか検討する


◎資料1−2指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(第 54 回〜第 56 回の議論を受けて修正した個票)
○LMNB1 関連大脳白質脳症
→1.概要⇒ LMNB1 関連大脳白質脳症は、中枢神経系の大脳白質を病変の主座とする神経変性疾患である。本症は Autosomal Dominant Adult-Onset Demyelinating Leukodystrophy (ADLD)とも呼ばれることがある。常染色体 顕性(優性)遺伝形式をとるが、孤発例も存在する。1984 年にアイルランド系アメリカ人の家系が最初に報告 されたが、世界各地において発症を認める。LMNB1 関連大脳白質脳症は、遺伝学的検査による診断が可能 となる以前は本症の確定診断が困難であったが、原因遺伝子が同定されて以降、確定診断例が蓄積してい る。 2.原因⇒LMNB1 重複変異あるいは LMNB1 のエンハンサー領域の欠失が 同定されている。いずれの場合も中枢神経系の LMNB1 発現量は増加しており、LMNB1 タンパクの産生増加が 疾患の原因と考えられている。3.症状⇒ 常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。発症年齢は平均 47.5 歳(35〜61 歳に分布)、40 歳・50 歳代に発 症が多い。発達に異常はなく、発症前の社会生活は通常正常である。死亡時年齢は 58.7 歳(45〜75 歳に分 布)である。初発症状は自律神経障害や錐体路徴候が多いが、認知機能障害で発症する例もある。主症状 は自律神経障害、錐体路徴候、失調、認知機能障害である。発熱や感染症の合併などにより一過性に症状 増悪を来すことがある。 4.治療法⇒原因が不明であるため根本的な治療法はない。症状に応じた対症療法が行われる。 5.予後⇒ 緩徐進行性の経過である。発症から死亡までの年数は平均 12 年(1〜20 年に分布)である。

○PURA関連神経発達異常症→1.概要⇒5q.31.3 領域にある PURA 遺伝子のヘテロ接合性の病原性変異を原因とする重度の知的および及び運 動発 達の遅れを特徴とする先天異常症候群である。他に筋緊張低下、低体温、傾眠、摂食障害、吃逆 過多、無呼吸やてんかん、非てんかん性の異常運動(ジストニアなど)、視覚障害を認める。PURA 遺伝子 は全身の細胞で DNA の複製の調節に関与しており、特に中枢神経の正常発達に不可欠と考えられている。ほかに、先天性心疾患、尿路奇形、骨格異常、内分泌異常などを合併することもある。多臓器にわたる 症状は小児期以降も軽快せず、成人期以降も持続する。 2.原因⇒ 5q.31.3 領域にある PURA 遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントないしは同領域の染色体微細欠失を 原因とする。 3.症状⇒ 重度の精神発達遅滞、筋緊張低下、てんかんを認める。眼振や斜視、無呼吸発作・低換気、先天性心 疾患、哺乳不良・摂食障害、嚥下障害、胃食道逆流、便秘など。骨格では、側弯や股関節脱臼などを認め る。 4.治療法⇒対症療法が中心となる。早期からのリハビリテーションや療育の参加は重要。摂食障害や哺乳障害など には経管栄養も考慮する。また、逆流や誤嚥性肺炎などを繰り返す場合には胃ろう造設も考慮する。てんかんに対しては抗てんかん薬を用いる。無呼吸や換気障害では、呼吸モニターを行う。 5.予後⇒合併するてんかんなどの神経症状及びおよび無呼吸発作や低換気などの呼吸障害、気道感染などが 予後を左右する。成人期以降は、栄養管理や関節拘縮、側弯の進行、てんかん発作の変化、気道感染に 注意する。

○極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素欠損症→1.概要⇒ 極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素 (very long-chain acyl-CoA dehydrogenase; VLCAD) 欠損症は脂肪酸 代謝異常症の代表的な疾患の一1つ。本疾患ではミトコンドリアでの脂肪酸 β 酸化が障害されるためエネルギー需要の多い脳や、脂肪酸β酸化が盛んな心臓、骨格筋、肝臓などが障害されやすい。発熱 や運動などのエネルギー需要が増大した時や、下痢・嘔吐・飢餓などのエネルギー摂取が低下した際に重篤な低血糖や横紋筋融解症などを来すきたすことが多い。脂肪酸代謝異常症の一群の中でも、成人患者が多く報告されている。 VLCAD 欠損症は常染色体潜性(劣性)遺伝疾患で、その臨床像は幅広い。発症時期によって症候が異 なる傾向がある。新生児期もしくは乳児期早期から重度の心筋症や低血糖をきたし、生命予後の改善が困難である症例から、乳幼児期に重度の低血糖や Reye 様症候群、乳幼児突然死症候群(SIDS)様症状で発症する症例、幼児期以降から成人期に発症し、横紋筋融解症や筋痛、筋力低下が中心となる症例もある。 本疾患は新生児マススクリーニング(NBS)の対象疾患であるが、NBS では発見されない症例もある。 NBS 発見例のなか中には、これまでの発症例では見られない病的バリアントを持つ患者が発見されるようになった。このような患者がいつ頃、どのような症状で発症するのかは明らかでない。いずれの病型においても、現時点では根本的な治療はなく、飢餓を避けながら特殊治療ミルクである必須脂肪酸強化 MCT フォーミュラーや、自費で購入している MCT(中鎖脂肪酸)オイルやパウダーの摂取といった食事・生活指導 や、運動制限による代謝不全発作の予防が試みられているが症候のコントロールは困難である。 我が国における NBS からの結果では、9.3 万人に 1 人の発見頻度と報告されている。 2.原因⇒ VLCAD をコードする遺伝子である ACADVL 遺伝子の異常による。遺伝子型と表現型のある程度の相関 が指摘されている。新生児期発症型ではナンセンス変異やフレームシフトなど残存酵素活性をもたない変異が多く、残存酵素活性をもつミスセンス変異は乳幼児期以降に発症する場合が多いが、特に筋症状を中心として、その発症や進行の機序は十分に解明されていない。また、p.C607S に代表される NBS 開始後に 高頻度に発見されるバリアントについても病態における意義が十分に解明されていない。 3.症状⇒本疾患の臨床像は幅広い。新生児期もしくは乳児期早期から発症する場合は、重度の心筋症や低血糖がみられる見られる。乳幼児期は重度の低血糖や Reye 様症候群、SIDS 様症状で発症する事が多い。幼 児期以降から成人期には横紋筋融解症や筋痛、筋力低下などの骨格筋症状を中心に発症する事が多いが、心筋症やそれにともなう伴う不整脈がみられる見られる症例もある。筋症状や心筋症状のコントロールは、各種の治療を行っていてもしばしば困難である。 4.治療法⇒ 根治的な治療法は確立しておらず、食事指導・生活指導により異化亢進のエピソードを回避すること、骨格筋、心筋への過度の負荷を避けることを原則とする。食事療法では、必須脂肪酸強化 MCT フォーミュラーや MCT オイルの使用、長鎖脂肪酸の制限が推奨されている。薬物治療としては L-カルニチン投与、ベザフィブラート投与などが行われることがあるが、それらの効果は限定的である。その他は対症的な治療に とどまり根本的な治療はない。特に筋症状や心筋症状については治療にも関わらずコントロールが困難であることも多い。 5.予後⇒新生児期発症型はしばしば救命が困難である。乳幼児期に低血糖や Reye 様症候群として発症する場合、 迅速かつ適切な治療が行われない場合は生命予後・神経学的予後ともに不良である。乳幼児発症型の症 例が次第に筋型の表現型を呈することはしばしば経験される。近年、成人診断例の報告が散見され、成人期においても運動や飢餓を契機に横紋筋融解症やミオパチー、筋痛発作、心筋症などを来すことが報告されている。治療中であっても骨格筋や心筋への負荷を避けるために、立ち仕事や肉体労働が出来ず、就労が困難な症例もしばしば経験される。治療を継続しない場合、成人期においても心筋症などの心筋障害を来すことも報告されている。飲酒、妊娠、外科手術なども代謝不全の誘因となりえる事が知られており、 生涯にわたる経過観察および及び治療が必要である。

○乳児発症 STING 関連血管炎→1.概要⇒自己炎症疾患は、自然免疫の制御異常による過剰な炎症性サイトカインの産生を特徴とする疾患で、様々な組織や臓器病変を呈する。2011 年に遺伝性自己炎症疾患として、T型インターフェロノパチーの概念が提唱された(1)。乳児発症 STING 関連血管炎(Stimulator of interferon genes(STING)-associated vasculopathy with onset in infancy: SAVI)はT型インターフェロノパチーに分類され、発症年齢は新生児期から成人期まで様々だが、通常乳児期早期から発症する。乳児期早期から全身性の炎症、皮膚血管炎、間質性肺疾患を特徴とする。2014 年に STING をコードする STING1 遺伝子の機能獲得変異が原因であることが明らかになった (2)。本疾患は、乳児期早期からの症状に対して治療介入が求められるが、従来の免疫抑制薬や副腎皮質ス テロイドによる治療効果は限定的であり、呼吸器合併症に関連して致命的な経過をとることが多い。現在、新たな治療法が開発されている。 2.原因⇒インターフェロン(IFN)遺伝子刺激因子(Stimulator of interferon genes:STING)は、STING1 遺伝子によって コードされるタンパクで、T型 IFN シグナルの活性化に介在する。STING は通常、ウイルスや細菌由来の二本 鎖 DNA を細胞質内で感知するセンサーの補助因子として作用する。細胞がウイルスの侵入やサイトカインの刺激を受けると、STING を介してT型 IFN が産生され、周辺の細胞では IFN 誘導性遺伝子(IFN-stimulated genes:ISGs)の転写が促進され、抗ウイルス活性が誘導される。乳児発症 STING関連血管炎では、STINGの 機能獲得変異によって I 型インターフェロン産生が亢進する。STING の恒常的な活性化によって血清インターフェロンαが上昇すると、T細胞では STAT1 のリン酸化が亢進し ISGs の転写が誘導される。乳児発症STING 関連血管炎の大半は STING1 のヘテロ接合性機能獲得変異が原因となるが(2)、ホモ接合性変異によって、 慢性的に STING が活性化する症例も存在するため(7)、遺伝子型と表現型についてさらなる検討を要する。 3.症状⇒ 乳児発症 STING 関連血管炎では、一般的に乳児期早期から全身性の炎症が遷延し、様々な臓器が障害される。乳児期から間質性肺疾患を発症し、肺線維症や肺気腫を合併することがある。間質性肺疾患は本疾患の約 85%にみられ、生命予後に影響する重篤な合併症である。皮疹は、約 80%に合併し、手指や足指など指 趾先端に紅斑や紫斑がみられ、潰瘍や指趾壊疽、爪欠損を伴うことがある。また、耳や鼻、頬部など顔面に 紅斑や紫斑が現れ、中央部が潰瘍化することもある。T型 IFN の持続的な過剰産生のため微熱を繰り返し、 高熱を伴うこともある。約半数の症例でみられるが、症状は多様であり、発熱のトリガーや熱型などの詳細はわかっていない。関節炎は、約 35%の症例でみられ、5 歳あるいはそれ以前の早い時期に発症する。また、そ の他の症状として、肺炎や皮膚感染症などの感染症は約 26%の頻度で報告されており、臓器障害あるいは全 身性の免疫異常、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による医原性など複数の原因が疑われるが、詳細な機 序は不明である。自己免疫との関連が示唆される症状として、それぞれ 10%未満の頻度で自己免疫性甲状腺 炎、腎炎、筋炎がみられる。肝炎や胆管炎などの肝胆管異常が約 4%で報告されている。
4.治療法⇒現時点で、SAVI に対する治療法は確立されていない。副腎皮質ステロイドや免疫調節薬、免疫グロブリン療法、アスピリンなどによる治療は、無効あるいは部分的な改善にとどまる。JAK 阻害薬(Baricitinib)は、細胞 内で STAT1 のリン酸化を抑制し、ISGs の転写を低下させる分子標的薬である。本剤によって、発熱発作の軽 減、皮膚所見の著明な改善、間質性肺疾患の疾患活動性の低下が報告されている。 5.予後⇒発症月齢の中央値は約 8.5 ヶ月であり、生涯にわたり治療を要する。間質性肺疾患により、在宅酸素療法や 呼吸器管理が必要になることもある。


○原発性肝外門脈閉塞症→1.概要⇒ 肝外門脈閉塞症とは、肝門部を含めた肝外門脈の閉塞により門脈圧亢進症に至る症候群をいう(分類として、原発性肝外門脈閉塞症と続発性肝外門脈閉塞症とがあるが、続発性は除外する)。小児の 門脈圧亢進症のうち肝硬変によらない門脈圧亢進症として最も頻度が高い。 2.原因⇒原発性肝外門脈閉塞症の病因は未だ不明であるが、血管形成異常、血液凝固異常、骨髄増殖性疾 患の関与が推定されている。 3.症状⇒重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、 出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害などの症候を示す。小児においては成長障害をきたしている例が 多く、鼻出血を契機に診断されることがある。 4.治療法⇒閉塞した門脈を根本的に開通させる方法はない。予後を最も左右するものは、消化管静脈瘤出血である。出血例に対しては内視鏡的止血術(硬化療法、結紮術)を行い、止血困難な場合には緊急手術も考慮する。未出血の予防例でも易出血性の食道胃静脈瘤に対しては、内視鏡的治療、または予防手術を考慮する。しかし、手術を行う場合は、血行動態を検討して術式を選択することが重要。 側副血行路によって肝内門脈血流が保たれていることも多く、安易に手術を施行すると肝への門脈 血流が無くなることがあるため注意を要する。 5.予後⇒3〜7 年生存率は 90〜98%、10 年生存率は 69〜86%と報告されており、比較的生命予後は良い。消 化管静脈瘤出血のコントロールが肝要である。

○出血性線溶異常症→1.概要⇒遺伝性素因による出血性線溶異常症では、線維素溶解(線溶)制御因子であるプラスミノゲンアクチベータイ ヒビター-1(PAI-1)、α2-プラスミンインヒビター(α2-PI、α2-アンチプラスミン:α2-AP と同一)および及びトロンボモジュリン(TM)/トロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)のいずれかの先天的機能不全、あるいはプラスミノ ゲンアクチベータ(PA)の先天的活性増強により出血傾向あるいは止血不全をきたす。侵襲あるいは月経時の少量の失血後の予期せぬ大出血が特徴であり、欠損因子によっては遷延する出血とともに筋肉・関節内出血や臓器出血なども認める。 なお、原因不明の出血症状を呈する線溶活性促進病態において、PAI-1 低値とともにその活性不全が疑われるにもかかわらず遺伝子異常が指摘されない病態もある。 2.原因⇒PAI-1、α2-PI、TM/TAFI のいずれかの単一遺伝子変異により線溶抑制活性不全が生じ、重篤な出血をきたす。いずれも常染色体潜性遺伝形式をとり、ホモ接合体では過度の線溶促進により止血血栓が早期に溶解されて出血をきたす。ヘテロ接合体では各因子の血中濃度は低下するが重篤な出血症状は認めない。 3.症状⇒ PAI-1 欠損症では、月経時に超大量出血を認める。その他、流産、外科治療後の後出血や創傷治癒遅延などを認める。α2-PI 欠損症では、後出血のほか、歯肉出血から関節内出血、骨髄内出血と幅広い重症度を示す。 TM 異常症では、繰り返す皮下・筋肉内血腫、卵巣出血や外科侵襲後の出血を認める。 いずれの病態でも線溶活性の促進による出血傾向を疑う一般凝血学検査所見として、理論上は血小板数・プロトロンビン時間(PT)・活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)・フィブリノゲンは基準値内であると考えられるが、出血病態の程度によりこれらの凝血学検査所見に異常を認めることもある。 4.治療法⇒ 治療法は確立されていない。出血時あるいは出血予防としてトラネキサム酸・新鮮凍結血漿を用い、TM 異常症ではトロンボモジュリンアルファ(保険適用外)が投与される。 5.予後⇒出血時にはトラネキサム酸による線溶抑制と新鮮凍結血漿投与、TM 異常症ではトロンボモジュリンアルファ(保健保険適用外)の投与などによる、出血のコントロール状況が予後を左右する。患者数が限られており長期予後は明らかとなっていない。

○ロウ(Lowe)症候群→1. 概要⇒先天性白内障、中枢神経症状(精神運動発達遅滞)、Fanconi 症候群(低分子蛋白尿、近位尿細管性アシドーシス、低リン血症など)を 3 主徴とする X 染色体連鎖型遺伝疾患であり、oculocerebrorenal syndrome of Lowe (OCRL)<眼脳腎症候群>とも呼ばれる。腎障害は進行性であり、末期腎不全に至る。 2.原因⇒X 染色体に存在する OCRL 遺伝子異常を原因とする X 染色体連鎖型遺伝疾患である。OCRL 遺伝子がコードする蛋白は phosphatidylinositol (4,5) bisphosphate 5 phosphatase であり、この酵素蛋白の活性低下により、基質である phosphatidylinositol (4,5) bisphosphate が蓄積すると、細胞骨格のリモデリングや膜輸 送に異常を来すと考えられている。その結果、近位尿細管における再吸収機構が障害され、Fanconi 症候 群を呈すると考えられるが、眼症状や中枢神経症状等を起こす機序については不明である。 3.症状⇒ 先天性白内障、精神運動発達遅滞、Fanconi 症候群を呈する。50%の症例に緑内障を認める。低分子蛋 白尿は必発である。Fanconi 症候群によって低リン血症が続くと、くる病になる。その他、多尿、近位尿細管 性アシドーシス、汎アミノ酸尿、腎性糖尿、高カルシウム尿症、腎石灰化などを呈する。強迫的な行動異常を呈することが多く、痙攣の合併も多い。また歯列の異常、歯肉増殖、下顎の発育不全、咬合異常を認め る。血清 CK 値が高値となることが多い。腎障害は進行性であり、30〜40 代で末期腎不全に至ることが多 い。女性保因者の診断に水晶体の白濁の有無が有用である。 4.治療法⇒ Fanconi 症候群に対する対症療法が中心となる。すなわち、代謝性アシドーシスや低リン血症、低カリウ ム血症の補正を行う。末期腎不全に至った場合は、透析または腎移植が必要となる。低カルニチン血症に対して、カルニチンの補充を行う。白内障に対しては生後早期の手術が必要である。精神発達遅滞や成長 障害に対しては、積極的な経管栄養や言語療法、作業療法が勧められる。歯列の異常に対しては日常的な口腔ケアが必須であり、咬合を含めた積極的な歯列矯正が考慮される。 5.予後⇒ 腎機能による。末期腎不全に至った場合は、透析または腎移植が必要となる。

次回も続き「資料2−1指定難病の診断基準等のアップデート案について情報提供のあった疾病(一覧表)」からです。

労働基準関係法制研究会 第5回資料 [2024年05月30日(Thu)]
労働基準関係法制研究会 第5回資料(令和6年3月25日)
議題 労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39057.html
◎参考資料1 「時間外労働・休日労働に関する協定届」の集計結果について
○「時間外労働・休日労働に関する協定届」の集計結果
→本集計結果は、2022年1月1日〜同年12月31日までに労働基準監督署において受理した36協定届(※)を集計・分析したもの。 集計項目毎に当該集計項目に係る記載がないものは、それを除いて集計。⇒業種分類(16)と、16の 対象となる事業あり。
○通常の延長時間(1か月)→1か月当たりの通常の延長時間は、「45時間以内」の割合が高い。(運輸交通業については「45時間超」の割合が高 い。)
○通常の延長時間(1年)→「360時間以内」の割合が高い。(運輸交通業については「360時間超え」の割合が高 い。)
○特別延長時間(1か月)→「60時間を超え、80時間以内」の割合が最も高い。
○特別延長時間(1年)→「360時間を超え、720時間以内」の割合が最も高い。
○特別条項の適用回数→「6回」の割合が最も高い。
○特別の事情→「顧客等の都合による仕様変更への対応、納期のひっ迫」の割合が最も高い。(運輸交通業、接客娯 楽業については「季節的要因等による受注・一般顧客の集中による業務の繁忙」、通信業は「機械の故障等 トラブルへの対応」の割合が最も高い。)
○労使手続→限度時間を超えて働かせる場合の労使手続きは、「通告」の割合が最も高い。
○協定当事者の選出方法→「労働者代表(挙手)」による割合が最も高い。
○健康福祉確保措置→健康福祉確保措置は、「@面接指導の実施」の割合が最も高い。(通信業については「F相談窓口の設置」の割合が 最も高い。)


◎参考資料2 プラットフォーム労働における労働条件改善に関する指令案(EU)
○欧州委員会は2021年12月、プラットフォーム労働における労働条件を改善し、EUのデジタル労働プラットフォームの持続可能な成長を支援するため、新たな指令案を提案。2024年3月11日、EU労働社会相理事会で同指令案が合意された。今後、協定文は全ての公用語で最終 決定され、正式に採択される予定。採択の正式な手順が完了した後、加盟国は指令の規定を国内法に組み込むまでに2年の猶予が与えられる。(令和6年3月12日時点)


・背景@:EUにおけるプラットフォーム労働の拡大→ ✓ 域内のプラットフォーム経済による収益は約200億€(2020年) ✓ EUで500以上のプラットフォームが存在 ✓ プラットフォームで働く者は2800万人(推計)。2025年には4,300万人となる見込み
・背景A:従事者の雇用地位の実態 ✓ 大半は本来の自営業者とみられる ✓ 他方で、550万人(約2割)は労働者の可能性 ✓ 雇用上の地位をめぐり、加盟国で多数の訴訟が発生
⇒⇒指令案の目的→大丸2 プラットフォーム労働従事者に対する正しい雇用上の地位と権利の保障 大丸2 アルゴリズム管理(※)の公平性・透明性・説明責任の確保 大丸2 プラットフォーム労働の透明性・トレーサビリティの確保、法 執行の改善 ※電子的手段等の自動化されたシステムを使用して、労働の遂行の 監視や、労働成果の質の評価等の管理を行う仕組。

0.定義
「デジタル労働プラットフォーム」
:以下(a)〜 (d)の要件をすべて満たすサービスを提供する事業者。→ (a)顧客に対し、Webサイトやモバイルアプリケーションなどの電子的手段を通じて、遠隔地からサービスを提供する事業を行うもの(部分的なものを含む) (b)サービス提供についての、顧客からの注文に応じて提供されること (c)作業がオンラインで行われるか特定の場所で行われるかに関係なく、代金と引き換えに人が行う作業を組織化する事業であること (d)作業従事者の組織化に自動化された監視システムまたは意思決定システムが使用されていること ※資産の活用または共有を主な目的とするサービスのプロバイダー、または専門家ではない個人が商品を再販できるようにするサービスのプロバイダーは含まれない。 「プラットフォーム労働者」:プラットフォーム作業を行う者のうち、加盟国の判例法を考慮して、加盟国で施行されている法律、労働協約、または慣行によって定義される雇用契約を結んでいるか、または実態上雇用関係があるとみなされる者。

1.自動監視システムまたは意思決定システムによる個人データの処理の制限→デジタル労働プラットフォームは、システムを使用して、プラットフォームで作業を行う人の感情的・心理的状態の個人データ、プライベート会話に関連した個人データ 等を処理してはならない(第7条(1))

2.雇用関係の法的推定→・デジタル労働プラットフォームと、そのプラットフォーム作業を行う者との間の契約関係は、欧州司法裁判所の判例法を考慮し、各国内法、労働協約、加盟国で有効な慣行に従って、支配と指揮を含む要素が見いだされる場合、法的に雇用関係であると推定される(第5条(1))。 ・法的推定に異議がある場合、挙証責任はプラットフォーム側に課される (第5条(1))。 ・加盟国は、プラットフォーム作業を行う者の利益となる手続の円滑化のため、雇用の法的推定(プラットフォームによる反証可)を確立するものとし、加盟国は、その法 的推定が侵害されないことを保障するものとする(第5条(2))。・ プラットフォーム作業を行う者の雇用上の地位の正確な決定が問題となっているとき には、法的推定はあらゆる行政または司法上の手続に適用されるものとする。法的推 定は、税制、刑事および社会保障の事項には適用されないものとする(ただし、加盟 国の国内法により適用可)(第5条(3))。

3.自動的なモニタリング又は意思決定システムによる管理→・加盟国は、デジタル労働プラットフォームに対し、プラットフォーム作業従事 者や、プラットフォーム労働者の代表者、及び権限のある国内当局に、自動監 視又は意思決定システムの使用(当該システムが監視、監督、評価するデータ 等)を通知することを義務付けること(第9条(1))。・アルゴリズム管理の個々の決定の影響等を定期的に労働者の代表の関与のもと で監督・評価すること、そのための人員の配置(第10条(1)(2))。 ・アルゴリズム管理による決定に対する異議申立てが可能(第11条(2))。

4.プラットフォーム透明性の改善による法執行の確保→・(雇用関係にある場合)プラットフォームは雇用主として加盟国の法律に定め られた規則・手順に従って、プラットフォーム労働者が実施した仕事を管轄官 署に申告すること(第16条)。 ・ 就業者数、一般契約条件、平均活動時間、1人あたりの平均週労働時間、活動 からの平均収入、契約関係にある仲介者等の必要な情報を管轄の国内当局に提供すること(情報を少なくとも6ヶ月ごとに更新)(第17条(1)〜(3))。

○(出所)欧州連合日本政府代表部「EUの雇用社会政策の現状と最近の動向について」(2022年7月)(https://www.eu.emb-japan.go.jp/files/100423573.pdf)、欧州連合HP及び
「Provisional agreement on the platform work directive」
https://data.consilium.europa.eu/doc/document/ST-7212-2024-ADD-1/en/pdf)を基 に、厚生労働省労働基準局労働条件政策課において作成。

次回は新たに「第57回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会」からです。

労働基準関係法制研究会 第5回資料 [2024年05月29日(Wed)]
労働基準関係法制研究会 第5回資料(令和6年3月25日)
議題 労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39057.html
◎資料2 労働時間制度等に関する実態調査について
○調査目的:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の附則及び附帯決議に基づき、労働時間制度等の見直し及び労働基準法等の改正を検討する際の基礎資料を得るため、 労働時間制度等の実態を把握すること。事業所調査・労働者調査 その他参照。
・調査期間:令和6年夏頃(予定)


○調査項目(案)【事業所調査】→日本標準産業分類及び事業所母集団データベース(令和4年次フレーム)を踏まえて、 業種及び事業所規模に偏りが生じないように抽出のうえ、既存の統計調査では取得することができない数値等につ いて把握することを目的に作成。
⇒「属性」「割増賃金」「労働時間」「年次有給休暇」「フレックスタイム制」「勤務間インターバル」「事業場外みなし労働時間制」「テレワーク」「つながらない権利」「副業・兼業」「人事労務関係書類の保存」の「カテゴリー」への「 調査項目(案)」一覧表。

○調査項目(案)【労働者調査】→調査対象事業所に雇用されている労働者のうち、勤続1年以上の者から抽出した上で実施。調査項目については、 既存統計では取得することができない数値等を把握することを目的に作成。⇒「属性」「労働時間制度等」「年次有給休暇」「勤務間インターバル」「健康管理」「テレワーク」「副業・兼業」の「カテゴリー」への「 調査項目(案)」一覧表。


◎資料3 これまでの論点とご意見について
○論点として考えられること(労働時間制度)

1 働き方改革関連法において導入・改正された制度の評価等に関する論点→ @〜Dまで。D 勤務間インターバルは、設定改善法において努力義務となっているが、普及状況等を踏まえて、どのように考えるか。
2 累次の改正を経てできあがった現行制度について、現在及び今後の働き方の変化を見据えた制度の意義に関する論点→ @〜Cまで。@ 時間外・休日労働の上限規制がある中で、法定労働時間の意義は何か。日・週・月・年の各労働時間規制の意義は何か。
3 制度全体の建て付けに関する論点→ @〜Aまで。A 仕事と生活の調和の観点から、労働基準法における労働時間制度において対応すべき点はないか。

○労働時間制度関係のご意見まとめ(第1回研究会)
・働き方改革関連法において導入・改正された制度の評価等→4点あり。長時間労働是正のため更なる取組が必要だが、健康確保の点で、勤務間インターバル制度の導入を検討する時期に来ている。
・現在及び今後の働き方の変化を見据えた制度の意義→4点あり。
・制度全体の建て付け→4点あり。労働基準関係法制の趣旨として、健康確保の観点が第一にあるが、近年ではケア労働や生活時間の確保という要請も高まっている のではないか。その際、罰則、行政監督、割増賃金規制など抑制の仕組みが実効的に機能しているのか、過剰な規制になっていな いか検討が必要である。また、自由で自律的な制度を考えるときに、本当に望まれているのか、実際には選ばざるをえない状況な のかを考えなければならない。ケア労働との両立等からそうせざるを得ないケースである場合に、そこから健康への影響が出るのではないか。

○労働時間制度関係のご意見まとめ(第2回研究会)→働き方改革関連法において導入・改正された制度の評価等@➁B↓
【時間外・休日労働の上限規制、長時間労働者に対する健康確保措置】
→3点あり。労働時間の絶対上限については、導入時には労使が合意した実現可能な時間とせざるをえなかったが、引き下げるときにも同様なのか。 現在の上限規制の時間は労働条件としても低すぎて、スタンダードな働き方では家庭生活と両立できず、そういう観点から見直しが必要。
【年次有給休暇の時季指定義務、時間単位年休】→3点あり。• 年休の5日の時季指定義務は罰則付きにしたのが現場で効いている。年休制度の趣旨に照らして時季指定義務の日数を延ばして、計画 的な年休取得を罰則付きで促していくべき。年休は、年度当初から完全消化を目指して業務体制を組んで、休暇を取るべき。
【裁量労働制・高度プロフェッショナル制度の導入後の状況、管理監督者】→3点あり。管理監督者は本人の同意なく一方的に決められる状況であり、制度趣旨を踏まえて適正な人たちを管理監督者としていくことも重要。 裁量労働制・高プロなど受け皿が多様化した中で、管理監督者について、制度創設当初を維持するのか、労働時間制度全体的として合 理的な制度となるためにはどうするかが問題。
勤務間インターバル】→7点あり。職場の中でインターバルや健康福祉確保措置など働き方の改善の仕組みを自発的に議論する場があるとよいのではないか。
○労働時間制度関係のご意見まとめ(第2回研究会)→現在及び今後の働き方の変化を見据えた制度の意義@➁B↓
【法定労働時間】
→3点あり。労働時間規制について、ワーク・ライフ・バランスの観点から8時間、40時間が基本という見解については、経済学者としては疑問。 キャリアや人的資本の形成も重要であり、健康確保の部分は絶対に守るとした上で、ワーク・ライフ・バランスはよく考えるといった 切り分けが必要。
【法定休日、年次有給休暇】→6点あり。• 法定労働時間・休日はリフレッシュのほか、労働で蓄積した疲労回復のために定めがある。疲労回復の程度は休養のタイミングと量に 依存するため、労働時間・休息のタイミングについて目安としてのルールが必要。
【割増賃金、副業・兼業】→7点あり。• 雇用で副業・兼業を認めると労働基準法違反にならないように実務上回すのは難しく、業務委託でのみ認めている会社が実態として多 いが、実態が本当に業務委託かはわからない。 • 労働時間の通算は、本来国が責任を持って行うべき。労働者の自己申告に頼らずに労働時間を把握する仕組みの構築を検討すべき。労 働者に申告義務を課すことも検討する必要がある。
【テレワーク、フレックスタイム制】→2点あり。フレックスタイム制と通常勤務の組み合わせについて、検討の価値はある。理想的な制度を作って利用範囲を絞っている現状があるの で、悪用されない仕組みを考えるのもあり得る。制度のシンプル化から離れることになる点に留意。
【つながらない権利】→諸外国におけるつながらない権利については、義務化するのではなく、労使で話し合いをするという制度設計がなされている。労契法 上でデフォルトルールを定める方法もあり、労働基準法と労働契約法の接続の問題で議論されるべき。
【その他】→労働基準法の規制は、最長労働時間規制、労働時間からの解放の規制、割増賃金規制の3つがあり、それぞれがどういう趣旨目的でど ういう管理(規制)をすべきかということが提起されている。 多様な働き方と規制は両立も相反もする。最も大事なのは労働者のヘルスリテラシー・マネジメント能力を高めること。加えて、業界 や社会がヘルスリテラシーについてどう取り組んでいくか考え、事業者にどのような義務を課すべきか検討する必要がある。

○労働時間制度関係のご意見まとめ(第2回研究会)
・制度全体の建て付け
→3点あり。情報開示の強化が必要。現行法上でも情報開示項目が定められているが、選択的になっているものが多い。残業など労働条件に関わる 重要な点は必須化するとともに、求職者等が情報を一覧で分かるような仕組みを構築することが必要ではないか。

○論点として考えられること(労働基準法の事業、労働者)
1 労働基準法の事業→@ 労働基準法の適用単位について、どのように考えるか。 A 労働基準法の適用単位が事業(場)単位であることの意義は何か。 B 現代において、事業(場)単位を労働基準法における全ての手続において維持することの意義は何か。 C 労働基準法の「使用者」の範囲をどのように考えるか。例えば、本社の人事部において人事労務管理の企画を 行っている企業の場合、当該人事部は、当該企業の1事業場の使用者となり得るのか。 D 労働基準法の「労働者」の意思表明の方法をどのように考えるか。
2 労働基準法の労働者→@ 労働基準法の労働者の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)をどのように考えるか。 A 労働基準法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法等の「労働者」を同一に解釈する意義は何か。 B 家事使用人について、時代の変化を踏まえて、労働基準法を適用することについてどのように考えるか。

○事業、労働者関係のご意見まとめ(第1回研究会)
・「事業(場)」について
→4点あり。労働基準法の規制の名宛人は使用者だが、一法人だけを見ていては実態にあわない。グループ単位の経営が広がっている中で、事業 場単位、企業単位だけでなく、グループ企業への目配りも考えないといけないのではないか。
・「労働者」について→6点あり。労働者性については、形態が異なっていても、実質的に同じことをやっている場合にどうするか。あまりにも規制が強まると請負労 働にしようという動きにつながると思うので、そのバランスも考慮しながら考えないといけない。
○事業関係(労使コミュニケーション除く)のご意見まとめ(第3回研究会)
・事業の概念→6点あり。⇒• 労働安全衛生の分け方から考えると、「人」の管理は企業単位、「場所」が重要なファクターであれば事業場単位、「物や行動」に 起因するものは事業場単位がすっきりするが、原則は事業場を単位とすべきではないか。企業の労務管理で発生している問題と、場 所で生じている問題は監督の実行性と関連しているのでそれぞれ切り分けて考えるべき。空間的な区切り方以外に、項目毎にそれぞ れどういう単位で選択するのが望ましいかを議論するのが良いのではないか。 • そもそも事業場単位は監督のためなのか、最低基準のためなのか、あるいは新しい政策を実施する上で実効的な単位はどこかという 観点から検討すべきなのかを考えるべき。
・使用者の概念→・アルゴリズム管理について、どのように人間が管理して、どういう責任を誰が負うのかという観点から検討すれば、労働基準法上の使用者として、罰則の実行行為者として誰が責任を負うのか認定できるのではないか。アルゴリズムを用いた場合の最終責任は、事 業主や会社がとるのではないか。 •アルゴリズムが出した結果に基づき決定するのは現場であるという考え方は変わらないが、設計者・開発者の責任についてどう考えるか。アルゴリズムで、違法な命令をした場合、誰に帰責性があるかは難しい課題。

○労働者関係のご意見まとめ(第3回研究会)
・現行の労働基準法の労働者性の判断基準等@➁
→7点あり。労働者性の判断の在り方を詰めて考えたうえで、どういう形で制度化するのかが課題。労基法の規定はシンプルで、昭和60年研究 会報告をもって裁判所等で労働者性が判断されているが、この基準の位置づけは何なのか。本研究会の議論をもって労働者概念を アップデートするので良いのか問題意識がある。欧米ではデジタル化により労働者性の裁判所の判断が揺れ動いているが、法律上の 定義を改正している例はない。諸外国の情勢や監督署の判断を踏まえて専門家の研究会で判断基準をまとめ、監督行政の通達・指針 とする等の対応が現時点でできることとして重要ではないか。
・労働者災害補償保険法や労働安全衛生法等の「労働者」を同一に解釈する意義@➁→7点あり。・労働者性は労組法だけ概念が異なっているが、労働安全衛生法は一人親方に特別な配慮規定を置いていたり、労働契約法の安全配慮義 務については労働者でなくても信義則に基づいて拡張適用されたりしている。リスク管理の問題や継続契約の問題など、それぞれの対 象の射程が変わってくる点を視野に入れつつ、適用対象を同一の労働者としてよいかを議論していくべき。• フリーランスもハラスメントや出産育児に対する一定の配慮等は必要だが、労働者と同じ規制を敷けばいいわけではない。多様な労働 者がいる中で、最もふさわしい保護等の在り方について、考えていくべき。
・家事使用人→• 家事使用人については、労働基準法制定当時の労働実態に鑑みると家族の一員として当然に捉えられていたため除外されていると理解。 現状は異なるので、労働基準法を適用する方向が望ましいのではないか。 • 私家庭に労働基準法上の使用者義務や労災保険法の災害補償責任を負わせることは、履行の観点から妥当であるか、考える必要がある。

○論点として考えられること(労使コミュニケーション)
・労使コミュニケーション
→@ 集団的な労使コミュニケーションの意義と課題をどのように考えるか。 A 事業場の「過半数」代表の意義は何か。例えば、企業の特定の労働者のみ対象となることが想定される制度につ いて、特定の事業場の全労働者の「過半数」の代表が協定の締結者となっていることについて、どのように考え るか。 B 労働組合がない事業場における過半数代表者の選出には、どのような課題があるのか。例えば、労働者自身が過 半数代表者に就任するメリットと負担について、どのように考えるか。 C 労働組合がある事業場とない事業場では、どのような違いがあるか。 D 各協定等や就業規則の導入後にモニタリングを行うことについて、例えば、以下の点についてどのように考える か。( a. モニタリングに適した制度 b. モニタリングに必要な体制 c. 当該体制を担う労働者の選出の方法)

○労使コミュニケーション関係のご意見まとめ(第1回研究会)
・集団的・個別的労使コミュニケーションの意義等
→6点あり。働き方が多様化し一律の規制が妥当しなくなってきた中で、多様な現場に合わせるため、各国では法律の基準を労使の合意によって柔 軟化させるデロゲーションといった仕組みが採用されており、日本では過半数代表との合意でできるとしている。これが公正に運用さ れているのか、国の設定する法規範をどう現場に合わせていくかという論点がある。発想の視点を個人に置き、個人がどう働きたいか サポートしていくことが今後の労働施策として重要である。
・過半数代表者のあり方→6点あり。労働者が多様化する中で、過半数代表者が意見をどのようにとりまとめるのか、昔より難しくなっている。過半数が推したからと いって少数の方の意見をどこまでくみ取るかは重要な課題である。任期を定めて選出する実態もかなりある中で、どう望ましいルー ルを作るのか。任期を仮に認めたとして、過半数代表者を選出するときにどう選出するのか、どういった点についてどのような発言 が求められるのか議論しないといけない。

○労使コミュニケーション関係のご意見まとめ(第3回研究会)
・事業(場)単位と労使コミュニケーション@➁→10点あり。企業単位でみると過半数組合ではないが事業場では過半数組合という 組合が積極的に現場の労使関係を支えていることは確かにあるが、そういうものを阻害しない形でどういう労使コミュニ ケーションの制度を構築するかが大切。事業場単位で分断化され、ノウハウ等のない事業場において労働者の意見が反映さ れず、実質的な労使コミュニケーションが果たされていない例がある。企業全体で働く人の意見をどのように集約していく か、多様な働く人の意見が反映されやすい労使コミュニケーションを企業単位に変えるときにどう集約・凝縮していけるか。 企業レベルで集約して、企業単位から一人の代表を選ぶのではなく、色んなところから複数の労働者を入れて企業全体で組 織と企業で話し合う場を作っていくことが重要。現在の形骸化している日本の実態をどう考えていくのかという観点から制 度設計を考えるべきではないか。 労働基準法の意思表明について、過半数代表者は、集団の代表 である一方個人でもあり、集団的な意思表明なのか個人的な意思表明か課題。過半数代表者は過半数労働組合と同じ役割 を担うが、集団の意見集約のプロセスが保証されていないのがポイント。

○労使コミュニケーション関係のご意見まとめ(第4回研究会)
・デロゲーションの担い手である過半数代表者の在り方について@〜➅↓

【「過半数」について】→諸外国の法制をみると、代表者は、必ずしも過半数の労働者の代表者ではなく色々な選択肢がありうる。過半数であるかどうかよりも 民主制をどう担保するかが重要。例えば労基法第24条1項の賃金通貨払い原則の例外は労働協約方式が認められていて「過半数」の 要件は入ってないが、民主制が担保されている。
【過半数代表者のなり手】→2点あり。過半数代表者は、集団でも自発的でもない存在であり、自発性に任せきれない問題をどう考えるかが重要。元々は労働組合という自発 性に端を発する制度を強制してでも導入すべきという価値を労基法上生み出せるのか。促進することでとどめるのか、労基法上何らか の義務づけの契機を持ち込むべきなのか、姿勢を再考すべき。過半数代表者の負担軽減や時間確保と併せて教育することで、義務が自 発に変わることを期待したい。
【過半数代表者の選出・役割について】→6点あり。• 過半数代表者は任期付きにすべき。役割を明示して選ぶことが必要であり、任期中の意見募集や集約の手段、過程などについて公表さ れるべき。本来手続の都度選出するのが原則かと思うが、1回限りで選ばれた時に役割を十分に理解し、判断してもらうことは困難で あり、真にふさわしい過半数代表者の育成のためにも一定の期間の任期が必要。労基則6条の2には「法に規定する協定等をする者を 選出することを明らかにして実施される手続き」とあるが、この「協定等」は36協定など個別名をあげる必要があるのか抽象的で良 いのか。任期付きにするとなると多少緩やかにせざるを得ないと考える。過半数代表者が役割を果たすための教育の仕組みを整備する ことが重要であり、任期制はそれに則していると考える。任期を設けるというのは、民主制を担保する観点から非常に大切。・選任手続を開始することや、誰が選任されたかという結果の周知についてはどう考えるか。
【過半数代表者の意見集約について】→2点あり。• 労基則の過半数代表者の規定は、使用者側から見た過半数代表者についての選出や取扱の話がメインで、過半数代表者側に着目して、 その在り方すなわち権利義務を定めた規定は殆ど無い。任務を理解して、合意に至るまでと意見を集約するのかがブランクなので、ど う規制するかが課題。
【過半数代表者への教育、支援】→3点あり。過半数代表者について、研修や教育などの育成体制を担保することが必要。その際、過半数代表にどの程度判断させて責任を担わせる のかも考えることが必要。企業内か企業外か、企業単位なのか、どこがそういったところの教育を担うかが非常に重要になってくる。 労働者の教育や過半数代表者の育成も大切な課題であり、何かを「話し合って決める」という労働者側の意識がかなり低いのではない か。労働者代表とはここまで可能ということが何か明示されていると選出の助けになるかもしれない。使用者側に有利な者が選出され るのを防ぐという観点からも、過半数代表者は会社が育てるものではない。過半数代表者の役割や簡単な内容、何を行わなければなら ないか、労基法の概要を学ぶことができる簡単なテキストなどがあると良いと思う。
【その他】→6点あり。現状上手く機能していない過半数代表者の制度を、主に中小企業においてどのように運用していくか考えていく必要がある。フランス では、国際競争力を高めるために、中小企業でも「社会経済委員会」を創設させることで労使コミュニケーションを加速させていくと いうイニシアティブを、政治主導で作っていった。日本においても、小規模な事業場にどのような労使コミュニケーションの基盤を作 らせ、そこにどの程度の組織機能を担わせられるか、現実的に可能な制度を検討する必要。上記のような制度を導入させるためには、 専門家のサポートが必要。また、労働者のための労働者代表ではなく、企業のルールを作っていくための労使の話し合いの場として、 労使委員会が考えられる。中小企業でも導入できるようにハードルを低くして整備していくべき。労使委員会や過半数代表者の活動と、 労働組合の活動は、実質的に重なることもある。労使委員会を法的にどう位置づけ、組合の活動はどう位置づけられるかを整理しなが ら検討することが必要。委員会方式に関しても、ヨーロッパの例をみても、結局組合がないところは機能していない。これから制度作 るときにどういう形であれば機能するのかは考えなければならない。助言体制で外部の専門家を採り入れる話もあったが、誰よりもそ れがふさわしいのは労働組合かもしれない。• 過半数組合があれば何の問題もないのかというと疑問がある。組合員は大丈夫だと思うが、組合員以外の利益がどの程度反映されてい るのか、取り込まれているのか実態踏まえて考えていくべき。
・その他労使コミュニケーションについて@➁→9点あり。• 集団的な労使コミュニケーションが機能するときに、法律など制度レベルと事実上の問題の2段階がある。事実上のレベルでの労働 者の集まりに着目して、うまく使用者に意見を伝えることができるのではないか。自発的であるが緩い集団が、職場のことをみんな で真剣に考え、うまく労働者の意見を集約し、また、企業と労使コミュニケーションを取ることも可能なのではないか。• 労働法の様々なルールが、正規・非正規の不合理な格差になっていないか、就業規則の変更に合理性があるか、解雇が権利濫用にな らないかなど、非常に抽象的。こうした規範の適用にあたって、企業が十分にコミュニケーションをした上で決めたルールに基づい て解雇をした場合には、裁判所はその判断を結構尊重しているが、組合がない企業で妥当的なルールではあったが使用者が一方的に ルールを決めていたような場合には、裁判所はかなり厳しく判断し、解雇権の行使は権利濫用と判断している。外に行くこと(exit) による解決を望む労働者もいるが、そうではない労働者の管理として十分な労使コミュニケーションを取ることが法的安定性につな がるという側面はある。

次回も続き「参考資料」からです。

労働基準関係法制研究会 第5回資料 [2024年05月28日(Tue)]
労働基準関係法制研究会 第5回資料(令和6年3月25日)
議題 労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39057.html
◎資料1 労働時間制度等に関するアンケート調査について(クロス集計等)
【労働者アンケートから、特例措置に関するアンケート】結果です。

○特例措置 労働時間制度等に関するアンケート調査 概要 (特例措置対象 事業場調査・労働者調査)
→週の法定労働時間が44時間の特例措置対象となっている特定業種かつ10人未満の労働者を 使用する事業場の労働時間等の実態を把握すること。事業場調査、労働者調査。 調査手法などその他あり。
※1:特例措置対象事業場:労働基準法第40条並びに労働基準法施行規則第25条の2及び第25条の3に基づき、1週の法定労働時間が44時間となっている、商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業のうち、 常時10人未満の労働者を使用する事業場
※2:本資料は、PwCコンサルティング合同会社実施の「労働時間制度等に関するアンケート調査」の速報値を基に、 厚生労働省労働基準局で作成
※3:本調査については、ウエイトバック集計は行っていない

○特例措置 (事業場) 基本属性(所属する企業全体)→所属する企業全体の事業場数は、多い順に、「11〜20か所」が24.8%、「6〜10か所」が22.6%、「1〜5か所」が 14.0%となっている。 特例措置対象となっている事業場が所属する企業全体について、従業員規模は、「100〜299人」が41.9%と最も多く、次い で、「500〜999人」が17.5%、「50〜99人」が13.3%となっている。
○特例措置 (事業場) 基本属性(事業場)@→事業場の主たる業種は、多い順に、 「小売業」が40.1%、「卸売業」が39.9%、「保健衛生業」が14.8%、「倉庫業」が 2.3%、「理美容業」が1.5% 、「接客娯楽業」が1.4% 。 事業場で最も多い職種は、「販売の職業」が57.7%と最も多く、「専門的・技術的職業」が19.6%、「事務的職業」が9.4%、 「サービスの職業」が7.0%。 事業場の人数は、「5人」が18.8%と最も多く、「1人」から「9人」まで分散している。 回答した事業場そのものが本社である割合は5.8%で、本社以外の営業所や店舗等は93.9%となっている。
○特例措置 (事業場)クロス集計 基本属性(事業場)A→ 回答した事業場そのものが本社である割合は5.8%で、本社以外の営業所や店舗等は93.9%となっている。
○特例措置 (事業場) 労働時間制度→ 労働者に適用している労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が57.3%と最も多くなっており、次いで「変形労働時間制」が36.0%、「事業場外みなし労働時間制」が8.2%、「フレックスタイム制」が6.7%となっている。 36協定の本社一括届出制度については、「利用している」が82.8%となっており、8割以上の事業場が、法定労働時間が週 40時間であると想定される本社と同一の内容の36協定を締結している。
○特例措置 (事業場) 労働時間(所定労働時間・総労働時間)→1日あたりの所定労働時間は、「7時間〜8時間未満」が39.9%、「8時間〜9時間未満」が53.9%。 1週あたりの所定労働時間は、「35時間超40時間以下」が84.0%、8割以上の特例措置対象事業場の週所定労働時間が40時間以下となっている。 1日あたりの総労働時間(残業や休日出勤などを含めた総労働時間)の平均は、「8時間〜9時間未満」が54.0%と 最も多く、次いで、「9時間〜10時間未満」が14.7%、「7時間〜8時間未満」が13.9%等となっている。 1週あたりの総労働時間の平均について、「35時間超40時間以下」が39.4%と最も多く、次いで、「40時間超44時間以下」 25.8%、「44時間超60時間以下」が19.8%等となっている。また、60時間超は、4.8%となっている。
○特例措置 (事業場)クロス集計 業種別労働時間@(所定労働時間)→1日の所定労働時間について業種別にクロス集計すると、nが小さいため一概に比較することはできないが、1日の所定労働 時間は、理美容業以外の業種では「7時間」と「8時間」が多い。一方で、理美容業については、「8時間」と「9時間」が多い。 1週の所定労働時間について業種別にクロス集計すると、nが小さいため一概に比較することはできないが、1週の所定労働 時間は、 理美容業以外の業種では「週40時間以下」が75%以上。一方で、理美容業は、「40時間超44 時間以下」が80.0%、「44時間超60時間以下」が13.3%となっている。
○特例措置 (事業場)クロス集計 業種別労働時間A(総労働時間)→1週の総労働時間について業種別にクロス集計すると、nが小さいため一概に比較することはできないが、 1週の総労働時間について、卸売業、小売業、保健衛生業及び接客娯楽業では「60時間」以上と回答する事業場があるが、理美容業及び倉庫業では「60時間」以上と回答する事業場はない。
○特例措置 (事業場) 所定休日・休日労働→1週あたりの平均所定休日数については、1週あたりでみると「2日」が88.3%が最も多い。 1月あたりの平均所定休日数は、多い順に、「8日」が35.4%、「9日」が30.7%、「10日」が17.8%。 1月あたりの休日労働日数の平均は、「0日」が74.6%と最も多く、次いで「1日」が12.6%となっている。
○特例措置 (事業場) 労働時間(割増賃金が発生する週労働時間の基準等)→「40時間」が52.8%、「40時間未満で特定の時間数」が30.1%、8割以上の特例措置対象事業場が、週40時間以内の特定の時間数で割増賃金を支払っている。 労働時間短縮のために取り組んでいることについては、「実際の労働時間等の把握」が68.6%と最も多く、次いで、「仕事の 内容・分担の見直し」が51.9%、「適正な人員の確保」が41.1%となっている。
○特例措置 (事業場) 法定労働時間を週4 0時間とすることによる支障の有無@→「特に支障はない」事業場が83.5%。 「支障がある」14.7%の事業場の理由は、「人手不足のため総労働時間を削減できないから」が65.1%と最も多く、次いで 「お客様の利便性のため店舗等の営業・診療時間を短縮できないから」が46.7%。 「特に支障はない理由」については、「すでに所定労働時間が週40時間以内に収まっているから」が69.5%と最も多い。
○特例措置 (事業場) クロス集計 法定労働時間を週4 0時間とすることによる支障の有無A→本社・支社別、従業員規模別にクロス集計すると、本社・支社 別ではいずれも「特に支障はない」が80%以上、従業員規模はいずれの規模であっても「特に支障はない」が 75%以上。 一方で、割増賃金の支払い週労働時間数別にクロス集計すると、割増賃金を週44時間未満から支払っている事業場の75%以上が「特に支障はない」と回答している一方で、割増賃金を週44時間から支払っている事業場の60.8%が「支障がある」と回答している。
○特例措置 (事業場) クロス集計 法定労働時間を週4 0時間とすることによる支障の有無B→業種別にクロス集計すると、nが小さいため一概に比較することはで きないが、理美容業は「支障がある」と回答した割合が86.7%。その他の業種は「特に支障はない」が75%以上 となっている。
○特例措置 (事業場) クロス集計 法定労働時間を週4 0時間とすることによる支障の有無C→週の法定労働時間を40時間にすることへの支障について1週の所定労働時間別にクロス集計すると、「支障がある」と回答した事業場のうち、所定労働時間が「40時間超44時間以下」が25.0%、「44時間超60時間以下」が9.9%となっており、「特に支障はない」と回答した事業場と比べると高くなっている 。
○特例措置 (事業場) クロス集計 法定労働時間を週4 0時間とすることによる支障の有無D→、「支障がある」と回答した 事業場のうち、総労働時間が「40時間超44時間以下」「44時間超60時間以下」 と回答した割合はそれぞれ23.0%。32.2%となっており、「80時間超」と回答した割合についても7.9%と比較的高くなっている。

○特例措置 (労働者) 基本属性→年齢は、「20-29歳」が2.7%。「30-39歳」が12.9%、「40-49歳」が31.2%、「50-59歳」が36.2%、「60-64歳」が11.4%、 「65歳以上」が5.6%。性別は、「男性」が55.9%、「女性」が44.1%。 就業形態は、「正規の職員・従業員」が90.7%。 職場の事業は、多い順に、「小売業」が31.7%、「卸売業」が28.4%、「保健衛生業」が25.4%、「接客娯楽業」が8.5%、 「理美容業」が4.0%。 事業場の人数は、「1〜2人」が12.3%、「3〜4人」が32.4%、「5〜7人」が31.1%、「8〜9人」が24.2%。
○特例措置 (労働者) 適用されている労働時間制度、手待ち時間→適用されている労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が62.5%と最も多く、次いで、「フレックスタイム制度」が6.0%、「変形労働時間制」が4.4%等となっている。 手待ち時間(指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状 態で待機等している時間)の発生時間については、「0時間」が80.5%となっている。 手待ち時間の過ごし方については、「何もしていない・休憩時間として自由に過ごしている」が48.2%、「雑務等」が 47.7%、「自己研鑽」が12.8%となっている。
○特例措置 (労働者) 実労働時間等→割増賃金の発生する週労働時間数は、「週40時間未満で特定の時間数」が19.3%、「週40時間」が26.0%、「週40時間超44時間未満の範囲で特定の時間数」が14.5%、「週44時間」が8.8%となっている。一方、「わからない」労働者も31.4% いる。 1日あたりの平均的な実労働時間(残業や休日出勤などを含めた総労働時間)は、「8時間以上9時間未満」が 37.2%と最も多く、「6時間未満」「6時間以上7時間未満」「7時間以上8時間未満」の合計は45.8%となっている。 1週あたりの平均的な実労働時間は、「35時間以上40時間未満」が21.3%、「40時間以上45時間未満」が35.6%、 「45時間以上50時間未満」が14.0%となっている。
○特例措置 (労働者) クロス集計 業種別労働時間→一部業種についてnが小さいため一概に比較はできないが、他の業種に比べて理美容業は、1日当たりの実労働時間を9時間以上、1週あたりの実労働時間を45時間以上と回答する労働者の割合が高くなっている。
○特例措置 (労働者) クロス集計 割増賃金を支払い始める週労働時間→業種によってはnが小さいため一概に比較するこ とはできないが、「わからない」の回答を除くと、ほとんどの業種について、週40時間以内で割増賃金を支払い始めている ところが多いと考えられる。
○特例措置 (労働者) クロス集計 手待ち時間→一部業種についてnが小さいため一概に比較はできないが、映画・演劇業を除いた業種について、8割前後の労働者は手待ち時間が0時間となっている。

○特例措置 (労働者) 休日勤務→平均休日勤務日数については、「0日」が74.9%となっている。 休日勤務1回あたりの平均勤務時間について、長い順に、「7時間超8時間以下」が17.9%、「3時間超4時間以下」が 10.4%、「4時間超5時間以下」が7.6%となっている。
○特例措置 (労働者) クロス集計 特例措置対象事業場であることの認識等について@→「あなたの職場の1週の法定労働時間が、他の業種・規模の事業場よりも長いことについて知っていましたか。」については、 「知っていた」が25.3%、「知らなかった」が74.7%となっている。 「あなたの職場の1週の法定労働時間が、他の業種・規模の事業場よりも長いことについてどのように考えますか。」について、「他の事業・規模の事業場に合わせてほしい」の回答は、労働者全体では36.7%となっているが、1週の法定労働時間が長いことを知っていた労働者に限ってみると44.7%となっている。
○特例措置 (労働者) クロス集計 特例措置対象事業場であることの認識等についてA→割増賃金の発生する週労働時間数について、「40時間未満で特定の時間数」が19.3%、「週40時間」が26.0%、「週40時間 超44時間未満で特定の時間数」が14.5%、「週44時間」が8.8%、「わからない」が31.4%となっている。 割増賃金を支払い始める時間と特例措置対象事業場であることの認識をクロス集計すると、割増賃金を支払い始める週労働 時間数が長くなるほど「他の業種・規模の事業場に合わせてほしい」と回答する割合が高くなるものの、大きな差はみられ ない。
○特例措置 (労働者) クロス集計 特例措置対象事業場であることの認識等についてB→1日及び1週の平均実労働時間別に、1週の法定労働時間が長いことに対する認識をクロス集計すると、それぞれ平均労働時 間が1日8時間以上または1週40時間以上を超えると、「他の業種・規模の事業場に合わせてほしい」と回答する割合が、他と 比較して高い傾向がある。
○特例措置 (労働者) クロス集計 特例措置対象事業場であることの認識等についてC→業種別に1週の法定労働時間が長いことを知っていたかをクロス集計すると、一部でnが小さいため一概に比較することはで きないが、その他の商業を除く全ての業種で、「知っていた」と回答した労働者は30%以下となっている。 業種別に特例措置に対する認識についてクロス集計すると、保健衛生業では「他の業種・規模の事業場に合わせてほしい」と 「今のままでよい」が半数程度ずつであったが、その他の業種では「今のままで良いと回答した労働者が過半数を超えている。

次回も続き「資料2 労働時間制度等に関する実態調査について」からです。

労働基準関係法制研究会 第5回資料 [2024年05月27日(Mon)]
労働基準関係法制研究会 第5回資料(令和6年3月25日)
議題 労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39057.html
◎資料1 労働時間制度等に関するアンケート調査について(クロス集計等)
【企業アンケートから労働者のアンケート】結果です。


○一般労働者 基本属性→年齢は、「19歳以下」が1.7%、「20-29歳」が16.8%、「30-39歳」が20.7%、「40-49歳」が25.8%、「50-59歳」 が19.9%、「60-64歳」が7.2%、「65歳以上」が7.9%。性別は、「男性」が53.6%、「女性」が46.4%。 就業形態は、「正規の職員・従業員」が62.0%、次いで「パート」が18.7%。 契約の期間の定めについては、「有期契約」が31.0%、「無期契約」が69.0%。
○一般労働者 主な職業、適用されている労働時間制度→多い順に、「事務的職業」26.1%、「専門的・技術的職業」22.1%、「サービスの職業」11.0%等。 適用されている労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が62.7%と最も多く、次いで「フレックスタイム制」が 12.3%、「変形労働時間制」が5.6%となっている。
○一般労働者 仕事の裁量、労働時間の管理・報告→裁量が与えられていると思うかについては、「仕事の手順」に関しては「そう思う」が20.8%、「どちらかといえばそう思う」が39.7%、「仕事の時間配分」に関しては「そう思う」が20.5%、「どちらかといえばそう思う」が39.9%、 仕事の手順と仕事の時間配分に関する裁量の認識は同程度となっている。 労働時間の管理方法については、多い順に、「事業場で、タイムカード・ICカード等で打刻する」が33.9%、「勤務管理システムに自己申告で労働時間を入力する」が28.4%、「管理や報告はしていない」が27.2%となっている。
○一般労働者 所定労働時間・残業時間→1週の所定労働時間は「35時間超40時間以下」が40.2%と最も多くなっている。 直近3か月の、1か月あたりの平均残業時間については、「0時間」が32.3%、「1〜10時間」が34.4%、「11〜20時間」が 11.7%。なお、81時間以上の回答の合計は、5%となっている。 労働者自身にとって適切だと考える1か月あたりの残業時間は、「0時間」が31.1%、「1〜10時間」が41.8%、 「11〜20時間」が14.8%となっており、20時間以下の回答の合計が、87.6%となっている。
○一般労働者 労働時間(残業時間の認識@)→現在の残業時間数について、「ちょうどよい」と考える労働者は48.5%。 残業時間の長さについて、「減らしたい」、「やや減らしたい」の合計が26.1%、「増やしたい」、「やや増やしたい」の合 計が10.9%となっており、減らしたいと考えている労働者の方が増やしたいと考えている労働者よりも多い。 残業時間を減らしたい理由は 「自分の時間を持ちたいから」が57.2%、残業時間を増やしたい理由は「残業代を増やしたいから」が67.5%、残業時間がこのままでよい理由は「今の生活リズムを変えたくないから」が54.2%となっている。
○一般労働者 労働時間(残業時間の認識A)→残業時間を「減らしたい」「やや減らしたい」と回答した労働者に聞いた、残業時間を減らすことにより残業代が減少するこ とに対する認識については、「残業代が減ってもよいので、残業時間を減らしたい」が55.9%、「残業代が減るならば、残業 時間は減らしたくない」が20.3%。 残業時間を削減するために有効な措置については、多い順に、「人手不足を解消する」が35.3%、「業務の簡素化、効率化を進める」が28.5%、「業務分担が偏らないようにする」が27.7%等となっている。
○一般労働者 クロス集計 労働時間(残業時間の認識B)→健康状態への不安別に残業時間に対する認識をクロス集計すると、健康状態に「不安を感じる」者は、他の者と比べて、残業 時間が「多い」と考える割合が高い。 健康状態への不安別に残業時間を減らしたいかについてクロス集計すると、健康状態に「不安を感じる」者は、他者と比べて、 残業時間を「減らしたい」と考える割合が高い。
○一般労働者 クロス集計 労働時間(残業時間の認識C)→1月当たりの平均残業時間別に健康状態への不安をクロス集計すると、残業時間が40時間を超えると、健康状態に「不安を感じる」と「やや不安を感じる」と回答する者の合計割合が高くなっている。
○一般労働者 労働時間(深夜労働@)→「深夜労働を実施したことはない」が61.5%、「仕事が終わらないから」が 17.1%、「シフト勤務が必要など、業務命令があるから」が15.2%、「自ら深夜の時間帯に働くことを選択しているから」が 8.4%。 自ら深夜の時間帯に働く理由については、多い順に、「深夜に働く方が、賃金が高いから」が43.6%、「海外とのやりとりの 必要性や交代制等により深夜に働くことが業務の性質上必要であるから」が40.4%、「育児・介護等により日中は業務時間が 取れないため」が20.4%等となっている。
○一般労働者 クロス集計 労働時間(深夜労働A)→「変形労働時間制」「専門業務型裁 量労働制」「企画業務型裁量労働制」「高度プロフェッショナル制度」「時間管理なし」等で深夜労働を行ったことがある 正社員の割合が半数以上。 また、深夜労働を行ったことがある者の職種を分析したところ「専門的・技術的職業」の割合が最も高く24.3%となっている。
○一般労働者 クロス集計 労働時間(深夜労働B)→適用労働時間制度別に深夜労働を行う理由についてクロス集計すると、「時間管理なし」では「仕事が終わらないから」が 最も多く63.3%。 また、研究開発従事者については、「自ら深夜の時間帯に働くことを選択しているから」が最も多く73.3%となっている。
○一般労働者 クロス集計 労働時間(フレックスタイム制)→フレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度について、「あってもよい」の回答は、労働者全体では35.4%。 フレックスタイム制の適用有無別にフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度の必要性についてクロス集計した ところ、フレックスタイム制適用者については、「あってもよい」と回答する割合が58.5%と半数以上を占める。
○一般労働者 テレワーク(実施の有無や労働時間の管理方法)→テレワークを行うことが「ある」と回答した者は全体の22.6%。 テレワーク中の上司等からの指示は、「業務の目的、目標、期限等の基本事項のみ指示される」が48.5%と最も多い。 テレワーク中の労働時間管理方法は、始業・終業時間については、多い順に、「勤務管理システムに自己申告で入力」が 44.0%、「スマートフォン等の使用ログで管理」が37.6%、「上司にメール等で報告」が22.1%等。中抜け時間については、始業・終業時間の管理方法と傾向は変わらないが、「報告していない」が21.6%となっている。
○一般労働者 テレワーク(中抜け時間)→「中抜け時間が発生しない」と回答した者は48.5%。中抜け時間が発生する場合、「15分未満」「15分以上30分未満」「30分以上1時間未満」の合計が39.9%。 中抜け時間の取扱いについては、「中抜け時間の有無にかかわらず1日の労働時間分勤務したものと取り扱っている」が 36.4%と最も多く、次いで、「賃金から差し引かれる又は中抜け分だけ労働時間を延長している」が25.3%、「特に決まって いない」が23.0%となっている。 テレワーク中に中抜け時間が発生する労働者の中抜け時間の報告頻度については、「1日分まとめて報告」が27.8%と最も多く、次いで「発生した際に都度報告」が15.7%、「1週間分まとめて報告」が14.9%となっている。
○一般労働者 テレワーク(労働時間管理の認識)→テレワーク中の中抜け時間を厳格に管理されることについてどのように考えるかについては、「既に厳格管理されているので 問題ない」が30.2%、「現在厳格に管理されていないが管理されるべきである」が23.0%となっている一方、「勤務管理システム等に入力することとなり面倒」が28.9%、「自分が働きやすい時間に働けなくなり困る」が20.9%。 テレワークに関する労働時間管理のルールについては、「満足している」が48.0%となっている一方、「特段取り決めがない」が11.0%。
○一般労働者 クロス集計 テレワーク(適用労働時間制度別@)→「フレックスタイム制」適用 者のテレワークを行うことがあると回答した割合が最も高く、62.1%。 雇用形態別にテレワークを行うことがあるかについてクロス集計すると、「正規の職員・従業員」及び「嘱託」でテレワー クを行うことがあると回答した労働者は30%を超えている。一方で、「パート」である労働者のうちテレワークを行うこと があると回答した労働者は3.4%と最も少なくなっている。
○一般労働者 クロス集計 テレワーク時の残業時間の認識→残業時間に対する認識について、テレワークの実施有無別にクロス集計すると、「多い」「やや多い」と回答した割合の合計 は、テレワークを行うことはない労働者よりもテレワークを行う労働者の方が高い。 同様に、残業時間を減らしたいか否かについてテレワークの実施有無別にクロス集計すると、「減らしたい」「やや減らした い」と回答した割合の合計は、テレワークを行うことはない労働者よりもテレワークを行う労働者の方が高くなっている。
○一般労働者 勤務間インターバル@→「すでに導入されている」が10.8%、「これから導入してほしい」が22.3%である一方、 「導入の希望はない」が66.9%。 勤務間インターバル制度の導入を希望しない労働者の希望しない理由については、多い順に、「休息時間は時間単位年休の取得で確保できているため」が20.3%、「前日の終業時刻に合わせて翌日の始業時刻を変更することが難しいから」が19.5%、「繁忙期には休息時間を確保しづらいから」が18.8%等となっている。
○一般労働者 クロス集計 勤務間インターバルA→勤務間インターバルの「導入希望はない」と回 答した者の残業時間は「少ない」と感じている場合が相対的に多い。 勤務間インターバル制度の導入希望別に1月の平均残業時間をクロス集計すると、勤務間インターバルの「導入希望はない」と回答した者の残業時間が「0時間」である割合が38.2%となっており、その他と比較して高い。
○一般労働者 年次有給休暇@(時季指定義務)→「企業が年5日指定するままでよい」が24.8%、「自らの希望に合わせて自由に取得したいので、企業側で指定する義務を廃止すべき」が20.9%、「企業側で指定する日数を年6日以上に増やすべき」が 18.6%、「企業側で指定する日数を年4日以下に減らすべき」が2.9%。 時季指定される日数を増やすべきと理由については、「指定された方が休みやすいから」が64.3%と最も多い。 時季指定される日数を減らすべきと回答した者の理由は、「年次有給休暇の取得日は自らで指定したいから」、「病気や体調不良に備えて年次有給休暇を温存したいから」がそれぞれ41.9%ずつ。
○一般労働者 年次有給休暇A(残日数、取り残す理由)→年次有給休暇の残日数は「5日以下」が11.2%、「6〜10日」が14.2%、「11〜15日」が12.3%、「16〜20日」が 10.6%、「21日以上」が21.1%、「わからない」が30.7%。 年次有給休暇を取り残す理由は、「病気や急用のために残しておく必要があるから」が27.9%が最も多く、次いで、「休むと職場に迷惑がかかるまたは仕事に支障が出るから」が21.7%、「休みたい時期に休めないから」が19.8%。 また、年次有給休暇を「取り残すことはない」の回答は27.8%となっている。
○一般労働者 年次有給休暇B(時間単位年休)→時間単位年休を「活用したことがある」者は22.1%、「制度がない」「制度があるかを知らない」がそれぞれ 31.0%、「制度はあるが活用したことはない」が15.9%。 時間単位年休の1回の平均活用時間は、1〜4時間が81.3%。時間単位年休の活用理由としては、自分の通院、 治療等が46.0%、通院・治療以外の自分の都合が44.3%、育児・介護の都合が19.6%。 時間単位年休の取得可能日数について、「上限を拡大すべき」が25.9%、「今のままでよい」が34.1%となっている。
○一般労働者 クロス集計 年次有給休暇C(時間単位年休)→時間単位年休を 活用したことがある労働者ほど「上限を拡大すべき」と回答する割合が高いものの、「今のままでよい」と回答する割合が 最も多く43.0%となっている。
○一般労働者 クロス集計 年次有給休暇D(残業時間・健康状態)→年次有給休暇の残日数別健康状態の不安及び健康状態の不安別年次有給休暇の残日数をそれぞれクロス集計すると、残日数 差での大きな傾向はみられない。
○一般労働者 クロス集計 年次有給休暇E(残業時間・健康状態)→年次有給休暇の残日数別に1月の平均残業時間についてクロス集計すると、残日数が少ないほど残業時間も比較的少ない割 合が高くなっている。
○一般労働者 健康面、健康確保措置→ 健康面については、「全く不安を感じない」が13.5%、「ほとんど不安を感じない」が36.8%、「やや不安を感じる」が 35.9%、「不安を感じる」が13.8%となっており、不安を感じない労働者と感じる労働者が約半数ずつとなっている。 職場で実施されている健康確保措置については、「健康診断」が38.2%と最も多くなっており、次いで、「代償休日・特別な 休暇の付与」が17.2%、「残業時間が一定を超えた場合の医師による面接指導」が15.7%等となっている。一方、「特段の措 置は実施されていない」は37.7%となっている。
○一般労働者 勤務時間外の連絡→「勤務時間外や休日に連絡はなかった」が56.1%と最も多い一方、「出社せず通信機器等で対応した」が23.4%、「出社してまたは取引等に出向いて対応した」が8.9%。また、勤務時間外の社内連絡 について、「できれば対応したくないが、やむを得ない」が8.2%、「対応したくない」が38.0%となっている
○一般労働者 クロス集計 つながらない権利→休日の業務連絡への対応状況別に時間外の業務連絡に対応したいかどうかについてクロス集計すると、「対応しなかった」「勤務 時間外や休日に連絡はなかった」と回答する労働者のうち、時間外の業務連絡に「対応したくない」と回答する割合は、いずれも 65%を超えている。 一方で、「出社してまたは取引先等に出向いて対応した」「出社せずに通信機器等で対応した」 と回答した労働者のうち、 時間外の業務連絡に「できれば対応したくないが、やむを得ない」と回答する者の割合はいずれも50%を超えている。

○一般労働者 労働組合への所属等→「組合があり、加入している」28.8%、「組合があるが、加入していない」が16.9%、「組合がなく、加 入していない」が46.3%。 組合への印象は「よく分からない」が34.7%と最も多く、次いで、「自分には関係がない」が18.1%、「労働条件や職場環境 改善に取り組んでいる」が17.6%等となっている。 会社側と労働条件等を交渉する際に頼るものについては、「そもそも交渉することがない」が43.4%と最も多く、次いで、 「頼れる存在はいない・知らない」が15.8%、「社内の労働組合」15.7%等となっている。
○一般労働者 クロス集計 労働組合の加入別組合への印象(前ページの逆クロス)→加入している労働者ほど「労働条件や職場環境改善に取り組んでいる」「労働者に役立つ情報を提供してくれる」「自分が困ったときに頼れる」等の回答割合が高い。 一方で、加入している場合であっても、最も回答割合が高いのは、「経営側の言いなりである」となっている。
○一般労働者 クロス集計 労働組合の加入状況別労働条件等について交渉する際に頼るもの→「労働組合があり、加入している」者に限ると、「社内の労働組合」が34.2%と最も高い。 また、「労働組合がなく、加入していない」「労働組合がなく、社外の労働組合に加入している」者のうち、「そもそも交渉することがない」と回答する者はそれぞれ53.3%、53.7%と半数を超えている。
○一般労働者 求職・転職の際に企業に提供してほしい情報→「賃金」が59.0%と最も多く、次いで「雇用形態(正社員、パー ト・アルバイト、契約社員等)の種類・割合」が46.1%、「勤務場所」が45.8%等となっている。
○一般労働者 働き方改革の影響 →働き方改革に伴う収入・モチベーション・残業時間・メンタル面それぞれの影響について、4項目全てにおいて、「特段影響 はなかった」が約8割を占めている。

次回も続き「特例措置に関するアンケート結果】」からです。

労働基準関係法制研究会 第5回資料 [2024年05月25日(Sat)]
労働基準関係法制研究会 第5回資料(令和6年3月25日)5/25
議題 労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39057.html
◎資料1 労働時間制度等に関するアンケート調査について(クロス集計等)
○(一般) 労働時間制度等に関するアンケート調査 概要 (一般 企業調査・労働者調査)
→(調査目的)2024年4月に働き方改革関連法の施行から5年となることを踏まえ、労働時間制度等に関する現状の課題・傾向等を把握すること。企業調査、労働者調査などあり。
○(一般企業)基本属性@→従業員規模⇒「1〜9人」が50.4%、「10〜49人」が36.5%、「50〜99人」が6.7%、「100〜299人」が 4.6%、300人以上の回答の合計が1.8%となっている。 業種⇒多い順に、「教育、学習支援業」が13.1%、「建設業」が12.8%、「製造業」が12.5%、「不動産業、物 品賃貸業」が10.8%、「サービス業(他に分類されないもの)」が9.9%等となっている。
○(一般企業)基本属性A→自社の労働者で最も多い職種については、「専門的・技術的職業」が29.0%と最も多く、次いで、「事務的職業」が17.0%、 「生産工程の職業」が10.3%等となっている。
○(一般企業) 【 回答対象事業場に関する問 】対象事業場(最も多い職種が最も多く所属する事業場)の属性→企業全体の中で最も多い職種が最も多く所属する事業場の従業員規模については、多い方から「10〜29人」が28.2%、「2 〜4人」が20.3%、「5〜9人」が19.6%。 労働組合の有無について、労働組合がない事業場が89.3%。 各事業場における労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者の人数は「0 人」が56.8%、「1〜4人」が17.9%、「5〜10人」が2.3%となっている。
○(一般企業) 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務→労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者については、「0人」が62.0%と なっており、「1〜5人」は21.7%。 労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者のうち、直近1か月当たりの実労働時間(残業や休日出勤などを含めた総労働時間)が最長の者が働いている時間は、「161〜180時間」が21.3%、「181〜200時 間」が14.4%等となっており、181時間以上の回答の合計は21.2%となっている。
○(一般企業)【回答対象事業場に関する問 】3 6協定→「36協定を締結し、特別条項も締結している」が35.2%、「36協定を締結しているが特別条項は締結していない」が27.8%、「36協定を締結していない」が30.1%。 特別条項を締結している場合の特別延長時間は、「45時間超80時間以下」が34.3%と最も多い。 限度時間を超えた労働者に対する健康確保措置は、多い順に、「健康診断」が34.9%、「代償休日・特別な休暇の 付与」が28.0%、「特段の措置を定めていない」が22.0%等となっている。
○(一般企業) 【回答対象事業場に関する問 】 各労働時間制度適用者の有無→多い順に、「1年単位の変形労働時間制」を適用している労働者がいる事業場が 21.3%、「管理監督者」を適用している労働者がいる事業場が20.8%、「フレックスタイム制」を適用している労働者がい る事業場が17.7%等となっている。
○(一般企業) クロス集計【 回答対象事業場に関する問 】変形労働時間制・フレックスタイム制の導入有無別支障等→変形労働時間制、フレックスタイム制、それぞれについて、導入して支障に感じる事項及び導入していない場合の理由は、対象労働者の有無にかかわらず「特にない」が最も多い。 対象労働者がいない場合の理由として、変形労働時間制、フレックスタイム制ともに、「労務管理が煩雑である」、「社内コ ミュニケーションに支障がある」の順に割合が高くなっている。
○(一般企業) クロス集計 変形労働時間制→変形労働時間制の導入有無別で変形労働時間制導入にあたっての支障をクロス集計したところ、導入していない企業について、導入 している企業と比較すると、「労働者の生産性が下がる」及び「社内コミュニケーションに支障がある」の項目を選択した割合が高 くなっている。
○(一般企業) フレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度→フレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度は必要だと思うかについて、「必要である、ある方がよい」が23.7%、「不要である、ない方がよい」が18.1%、「どちらでもよい、わからない」が55.7%となっている。
○(一般企業) クロス集計 フレックスタイム制@→フレックスタイム制を適用している場合「必要である、ある方がよい」が47.1%、「どちらでもよい、分からな い」が44.2%。テレワークを行う労働者の有無別でフレックスタイム制の導入にあたっての支障をクロス集計すると、テレワークをしている労働者がいる場合、「特にない」29.9%で最も多い。なお、テレワークを行っている労働者がいない場合についても、「特にない」が最も多く39.3%。
○(一般企業) クロス集計 フレックスタイム制➁→業種別でフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度が必要かどうかについてクロス集計すると、一部業種でnが少ないため一概に比較はできないが、「必要である、ある方がよい」と回答する割合が高いのは、「情報通信業」であり、比較 的低いのは「製造業」、「建設業」、「運輸業、郵便業」。
○(一般企業) クロス集計 フレックスタイム制B→職種別でフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度が必要かどうかについてクロス集計すると、「必要である、ある方がよい」と回答する割合が比較的低いのは、「建設・採掘の職業」や「生産工程の職業」であり、それぞれ13.0%、 13.8%となっている。
○(一般企業) 事業場外みなし労働時間制(労働時間の管理の方法)→「営業等の外勤の労働者」「出張時の労働者」「テレワーク(※)の労働者」について、事業場外みなし労働時間制を適用し ている企業はそれぞれ31.1%、36.7%、23.9%。 事業場外みなし労働時間制の対象となっている場合の労働時間管理方法は、「営業等の外勤の労働者」「出張時の労働者」「テレワーク(※)の労働者」について、「勤務管理システムに自己申告で入力」が最も多く、それぞれ35.0%、35.4%、 40.1%となっている。
○(一般企業)【回答対象事業場に関する問 】労働時間を算定しがたい場合・テレワーク時の労働時間制度→テレワークを行っている労働者がいない割合は64.3%で最も高く、テレワークを行っている場合に当該労働者に適用している労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が16.8%、「フレックスタイム制」が4.8%、「事業場外みなし労働時間制」が2.0%。 テレワークを行っている労働者がいる事業場に限定して、適用している労働時間制度をみると、「通常の労働時間制度」が最も多く、69.4%となっており、次いで「フレックスタイム制」が19.7%、「事業場外みなし労働時間制」が8.2%等となっている。
○(一般企業)【回答対象事業場に関する問】適用労働時間制度別テレワーク時の労働時間管理方法→テレワークを行う労働者について、適用されている労働時間制度ごとに労働時間の管理方法をクロス集計すると、中抜け時間 と始業・終業時間のいずれも、管理している場合は、どの労働時間制度であっても「勤怠管理システムに自己申告で入力」が 最も多くなっているが、企画業務型・専門業務型裁量労働制、変形労働時間制等については、4割以上が「管理していない」 となっている。
○(一般企業) クロス集計 テレワーク中の労働者について、労働時間が算定しがたい場合A→「労働の状況を自己申告させているが、その真偽を確認することができないとき」が30.4%、「該当するときはない(PC、スマートフォン等 で労働時間を確認できる)」が20.4%、「始業・終業が自由であり、労働の状況を確認できないとき」が12.6%となってい る。
○(一般企業) 勤務間インターバル@→「勤務間インターバルを導入していない」企業が54.4%、次いで「十分なインターバルを取れるよう終業時刻を固定している」が23.3%、「フレックスタイム制を用いずに、前日の終業時刻に合わせて、始業時刻を遅らせてインターバルを取らせている」が6.7%等となっている。
○(一般企業) クロス集計 勤務間インターバルA→ほぼ全ての職種で「勤務間インターバルを導入していない」と回答す る割合が最も高く、次いで「十分なインターバルを取れるよう終業時刻を固定している」が多くなっている。
○(一般企業) クロス集計 勤務間インターバルB→フレックスタイム制の他に、専門業務型・企画 業務型裁量労働制で「フレックスタイム制と併用して労働者にインターバルを取らせている」と回答する割合が高くなってい る。
○(一般企業) 年次有給休暇→ 時間単位年休の上限日数が年5日であることについて、「ちょうどいい」が70.1%、「増やした方がよい」が19.6%、「減ら した方がよい」が6.4%。
○(一般企業) 【回答対象事業場に関する問 】 年次有給休暇(時季指定、残日数)→「労働者の取得に委ねて年5日取得できている」が56.6% と最も多く、次いで、「年度初めに労使協定に基づく計画年休制度により年5日を指定している」が13.0%、「労働者の意見を聞いた上で使用者が年5日を指定している」が12.7%。「労働者の意見を聞いた上で使用者が年5日を指定している」と回答した12.7%の事業場のうち、時季変更権を行使したこ とがある事業場は13.5%。 年次有給休暇の残日数は「5日以下」が30.9%、「6〜10日」が27.6%。
○(一般企業) 【回答対象事業場に関する問 】 年次有給休暇(時間単位年休)→時間単位年休を「導入している」事業場は39.9%、「導入していない」事業場は54.5%。 導入している企業のうち、時間単位で取得できる休暇の上限日数は「6日以上」が45.3%と最も多く、特別休暇等により年5日を超える時間単位年休の取得を可能としている企業が4割以上。 時間単位年休を導入していない理由については、「半日単位または1日単位でまとまった休暇を労働者に取らせたいから」が 41.2%と最も多く、次いで「労働者のニーズがないから」が25.9%、「労務管理が煩雑だから」17.7%となっている。
○(一般企業) 制度変更等におけるヒアリング→労働条件や社内での取り決め、職場環境について検討する際、社内の誰の意見を聞くことが多いかについて、「役員」が 46.6%と最も多く、次いで、「労働者の過半数を代表する労働者代表」と「個別・少数の労働者」がそれぞれ27.1%等。 特定の職種やポジションの労働者に関する労働条件やルール等を検討する際、当該労働者の意見を聞くかについて、「必ず聞いている」が34.6%、「検討する内容によっては意見を聞く場合がある」が51.3%、「聞いていない」が8.0%となっている。
○(一般企業) クロス集計 組合組織率別、労働条件等の検討の際に誰の意見を聞くことが多いか→過半数労働組合が組織されている企 業に限ると、過半数労働組合が53.6%と最も多い。過半数には達していない組合がある場合には「労働者の過半数を代表する労働 者代表」が半数を占めており、組合がない場合には「役員」が最も多く47.5%である。

○(一般企業) (参考)ウエイトバック集計について→業種⇒ 単純集計 ウエイトバック。
○(一般企業) ウエイトバック集計 基本属性@→従業員規模については、「1〜9人」が51.1%、「10〜49人」が35.9%、「50〜99人」が6.9%、「100〜299人」が 4.8%、300人以上の回答の合計が1.4%となっている
○(一般企業) ウエイトバック集計 基本属性A→自社の労働者で最も多い職種については、「専門的・技術的職業」が20.6%と最も多く、次いで、「事務的職業」が15.4%、 「生産工程の職業」が10.2%等となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計【 回答対象事業場に関する問 】 対象事業場(最も多い職種が最も多く所属する事業場)の属性→企業全体の中で最も多い職種が最も多く所属する事業場の従業員規模については、多い方から「10〜29人」が26.3%、「2 〜4人」が22.4%、「5〜9人」が21.0%。 労働組合の有無について、労働組合がない事業場が91.5%。 各事業場における労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者の人数は、「0 人」が57.5%、「1〜4人」が18.3%、「5〜10人」が2.0%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務→「0人」が60.6%と なっており、「1〜5人」は23.6%。 労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者のうち、直近1か月当たりの実労働 時間(残業や休日出勤などを含めた総労働時間)が最長の者が働いている時間は、「161〜180時間」が21.3%、「181〜200時 間」が14.4%等となっており、181時間以上の回答の合計は21.2%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 【回答対象事業場に関する問 】36協定→「36協定を締結し、特別条項も締結している」が33.9%、「36協定を締結しているが特別条項は締結していない」が28.7%、「36協定を締結していない」が30.5%。 特別条項を締結している場合の特別延長時間は、「45時間超80時間以下」が34.3%と最も多い。 限度時間を超えた労働者に対する健康確保措置は、多い順に、「健康診断」が34.9%、「代償休日・特別な休暇の付与」が28.0%、「特段の措置を定めていない」が22.0%等となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 【回答対象事業場に関する問 】 各労働時間制度適用者の有無→多い順に、「管理監督者」を適用している労働者がいる事業場が19.9%、「1年単位の変形労働時間制」を適用している労働者がいる事業場が19.5%、「フレックスタイム制」を適用している労働者がい る事業場が16.0%等となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 フレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度→「必要である、ある方がよい」が22.4%、「不要である、ない方がよい」が18.7%、「どちらでもよい、わからない」が56.3%と。フレックスタイム制の適用者について見ると、「必要である、ある方がよい」が47.1%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 事業場外みなし労働時間制(労働時間の管理の方法)→「勤務管理システムに自己申告で入力」が最も多く、それぞれ35.0%、35.4%、 40.1%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 【 回答対象事業場に関する問 】 営業等外勤や出張労働者について、労働時間を算定しがたい場合→「該当するときはない(PC、スマートフォン等 で労働時間を確認できる)」が36.0%と最も多く、次いで「労働の状況を申告させているが、その真偽を確認することがで きないとき」が29.1%、「始業・終業が自由であり、外回り等で労働の状況を確認できないとき」15.5%等となっている
○(一般企業) ウエイトバック集計 【 回答対象事業場に関する問 】 テレワーク時の労働者に適用している労働時間制度→テレワークを行っている労働者がいない割合は66.0%で最も高く、テレワークを行っている場合に当該労働者に適用してい る労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が14.9%、「フレックスタイム制」が3.8%、「事業場外みなし労働時 間制」が2.3%。テレワークを行っている労働者がいる事業場に限定して、適用している労働時間制度をみると、「通常の労働時間制度」が最も多く、69.4%、次いで「フレックスタイム制」が19.7%、「事業場外みなし労働時間制」が8.2%等となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 テレワーク中の労働者について、労働時間が算定しがたい場合@→無回答を除き、「該当するときはない(PC、スマート フォン等で労働時間を確認できる)」が42.7%と最も多く、次いで「労働の状況を自己申告させているが、その真偽を確認 することができないとき」で41.6%等となっている。

○(一般企業) ウエイトバック集計 勤務間インターバル→勤務間インターバルの導入状況について、「勤務間インターバルを導入していない」企業が52.7%となっており、次いで「十 分なインターバルを取れるよう終業時刻を固定している」が23.7%、「フレックスタイム制を用いずに、前日の終業時刻に合 わせて、始業時刻を遅らせてインターバルを取らせている」が7.1%等となっている。

○(一般企業) ウエイトバック集計 年次有給休暇→年5日の時季指定義務を運用するに当たって、育児休業取得や休職等の事情がある労働者に関して、取得時季の設定が困難ケースがあるかについて、「ある」の回答は8.5%。 労働者が取り残したまま時効をむかえた年次有給休暇の取扱いについては、「そのまま消滅としている」が64.7%と最も多い。 また、「消滅分に対する補償(金銭的補償を含む)をしている」は6.1%。 時間単位年休の上限日数が年5日であることについて、「ちょうどいい」が70.2%、「増やした方がよい」が18.2%、「減ら した方がよい」が8.0%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 【回答対象事業場に関する問 】 年次有給休暇(時季指定、残日数)→「労働者の取得に委ねて年5日取得できている」が55.5% と最も多く、次いで、「労働者の意見を聞いた上で使用者が年5日を指定している」が13.0% 、「年度初めに労使協定に基 づく計画年休制度により年5日を指定している」が12.3%。 「労働者の意見を聞いた上で使用者が年5日を指定している」と回答した13.0%の事業場のうち、時季変更権を行使したこ とがある事業場は13.5%。 年次有給休暇の残日数は「6〜10日」が29.6%、 「5日以下」が29.4%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 【回答対象事業場に関する問 】 年次有給休暇(時間単位年休)→時間単位年休を「導入している」事業場は38.2%、「導入していない」事業場は56.1%。 導入している企業のうち、時間単位で取得できる休暇の上限日数は「6日以上」が45.3%と最も多く、特別休暇等により年 5日を超える時間単位年休の取得を可能としている企業が4割以上。 時間単位年休を導入していない理由については、「半日単位または1日単位でまとまった休暇を労働者に取らせたいから」が 41.2%と最も多く、次いで「労働者のニーズがないから」が25.9%、「労務管理が煩雑だから」17.7%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 勤務時間外や休日の社内連絡に関するルール→「特段ルール等は整備しておらず、現 場に任せている」が36.8%と最も多くなっている。一方、「勤務時間外や休日には、災害時等の緊急連絡を除いて連絡しないこととしている」が29.4%、「翌営業日に対応が必要など、急を要する業務に関する連絡のみ認めている」が27.1%等、勤 務時間外や休日の社内連絡に関するルールを決めている企業もある。
○(一般企業) ウエイトバック集計 副業・兼業→「副業・兼業を認めており、実際に副業・兼業を行っている労働者がいる」が 26.6%、「副業・兼業を認めているが、副業・兼業を行っている労働者がいることは認識していない」が32.9%。 「副業・兼業を認めており、実際に副業・兼業を行っている労働者がいる」企業が行っている労働者の健康管理については、 「副業・兼業先における労働時間を、労働者の自己申告により把握している」が36.7%と最も多い。 「副業・兼業を認めていない理由」は、「本業(貴社)での労務提供に支障が生じる懸念があるから」が79.6%と最も多い。
○(一般企業) ウエイトバック集計 情報開示→「ホームページ等の一般公開されうる媒体で開示」している情報は、多い順に、「勤務場所」が 38.2%、「試用期間の有無」が27.4%、「賃金」が25.1%等。 また、「ホームページ等の一般公開されうる媒体で開示」している割合が10%未満となっている「留学や研修の機会」、「会社におけるキャリアパス(標準的な昇進等)」、「将来の配置転換・出向の有無・範囲・頻度」、「副業・兼業を労働者に認めているか否か」「労働災害の発生件数」についても、約3割程度以上の企業は、企業内の労働者には開示している。
○(一般企業) ウエイトバック集計 制度変更等におけるヒアリング→労働条件や社内での取り決め、職場環境について検討する際、社内の誰の意見を聞くことが多いかについて、「役員」が 47.5%と最も多く、次いで、「個別・少数の労働者」が28.6% 、「労働者の過半数を代表する労働者代表」が25.5%等。 特定の職種やポジションの労働者に関する労働条件やルール等を検討する際、当該労働者の意見を聞くかについて、「必ず聞 いている」が36.5%、「検討する内容によっては意見を聞く場合がある」が49.2%、「聞いていない」が8.5%。
○(一般企業) ウエイトバック集計 人事労務管理関係書類の保存について→多い順に、「紙でファイリングして保存している」が47.7%、「書類によって 紙と電子を使い分けている」が40.6%、「電子データで保存している」が21.4%。 「紙でファイリングして保存している」または「書類によって紙と電子を使い分けている」と回答した企業について、紙で保 存している理由は、「これまで紙で保存してきたから」が75.1%となっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 【回答対象事業場に関する問 】 人事労務管理関係書類の保存年限→各事業場における人事労務管理関係書類の保存年限については、「労働者名簿及び賃金台帳」「雇入れや解雇に関する書類」「災害補償関係書類」「年次有給休暇管理簿」「労働保険関係書類」の5項目全てにおいて、「10年超」と回答した割合が高くなっている。
○(一般企業) ウエイトバック集計 働き方改革に伴う影響→働き方改革に伴い、「収益」「労働者の残業時間」「労働者のモチベーション」「労働者のメンタル」「労働者の採用状況」 それぞれについてどのような影響があったかと考えるかについて、全ての項目について「特段影響はなかった」と考える割合 が65%以上。 働き方改革に伴い、「良い影響があった」と回答する企業が最も多かった項目は、「労働者の残業時間」となっている (21.1%)。

次回も続き「【企業アンケート結果に続いて労働者、特例措置のアンケート】結果」です。

第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料 [2024年05月24日(Fri)]
第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料(令和6年3月22日)
議事 (1)外国人介護人材の訪問系サービスなどへの従事について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38935.html
◎参考資料3 育成就労制度の創設等に係る法案について
○改正法の概要(育成就労制度の創設等)
→技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況に鑑み、就労を通じた人材育成及び人材確保を目的とする新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設し、育成就労計画の認定及び監理支援を行おうとする者の許可の制度並びにこれらに関する事務を行う外国人育成就労機構を設けるほか、1号特定技能外国人支援に係る委託の制限、永住許可の要件の明確化等の措置を講ずる。(公布の日から原則3年以内に施行(注1)) (注1)準備行為に係る規定は公布即施行。

・入管法↓
1.新たな在留資格創設
→技能実習の在留資格を廃止。「育成就労産業分野」(特定産業分野のうち 就労を通じて技能を修得させることが相当なもの)に属する技能を要する業務に従事すること等を内容とする「育成就労」の在留資格を創設(注2)。(注2)さらに、一定基準に適合する企業の外国事業所の職員が技能等を修得するための「企業内転勤2号」の在留資格を創設。
2.特定技能の適正化→特定技能所属機関(受入れ機関)が1号特定技能外国人の支援を外部 委託する場合の委託先を、登録支援機関に限るものとする。
3.不法就労助長罪の厳罰化→外国人に不法就労活動をさせる等の不法就労助長罪の罰則を引上げ。(拘禁刑3年以下又は罰金300万円以下→5年以下又は500万円以下 ※併科可)
4.永住許可制度の適正化→永住許可の要件を一層明確化し、その基準を満たさなくなった場合等の取消事由を追加。ただし、特段の事情がない限り、在留資格を変更して引き続き在留を許可。

・育成就労法 (技能実習法の抜本改正)↓
1.育成就労制度の目的・基本方針
→法律名を「外国人の育成就労の適正な実施及び育成
就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に改める。育成就労制度は、育成就労産業分野において、特定技能1号水準の技能を 有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とする。政府は基本方針及び分野別運用方針を定めるものとし、分野別運用方針において、各分野の受入れ見込数を設定するものとする。
2.育成就労計画の認定制度→育成就労計画の認定に当たって、育成就労の期間が3年以内(注3)であること、業務、技能、日本語能力その他の目標や内容、受入れ機関の体制、外 国人が送出機関に支払った費用額等が基準(注4)に適合していることといっ た要件を設ける。 転籍の際には、転籍先において新たな育成就労計画の認定を受けるものとし、当該認定は、@やむを得ない事情がある場合や、A同一業務区分内であ ること、就労期間(1〜2年の範囲で業務の内容等を勘案して主務省令で規定)・技能等の水準・転籍先の適正性に係る一定の要件(注5)を満たす場合 (本人意向の転籍)に行う。
3.関係機関の在り方→監理団体に代わる「監理支援機関」については、外部監査人の設置を許可要件とする。監理支援機関は、受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する業務に関わらせてはならないものとする。 外国人技能実習機構に代わる「外国人育成就労機構」を設立。育成就労外 国人の転籍支援や、1号特定技能外国人に対する相談援助業務を追加。
4.その他→季節性のある分野において、派遣形態による育成就労の実施を認める。制度所管省庁が地域協議会を組織することができるものとし、地域の実情を踏まえた取組について協議を行うものとする。施行までに技能実習生として入国した者は、施行後、現段階から次の段階までの資格変更(例:号→2号、2号→3号)を一定の範囲で認める。
(注3)主務省令で定める相当の理由(試験不合格)がある場合は、最大で1年の延長可。 (注4)詳細な要件は、主務省令で定める。
(注5)詳細な要件は、主務省令で定める。具体的には、 ・ 同一機関での就労期間については分野ごとに1年から2年の範囲で設定すること ・ 技能等の水準については、技能検定試験基礎級等及び分野ごとに設定するA1〜A2 相当の日本語能力に係る試験への合格 ・ 転籍先が、育成就労を適正に実施する基準を満たしていること を要件とすることを予定している。

○制度見直しのイメージ図→「見直し後」⇒・キャリアアップの道筋を明確化 ・労働者として適切に権利保護 ・関係機関の要件等を適正化 → 魅力ある制度で「選ばれる国」へ。
育成就労(原則3年・転籍の制限緩和(注4)・ブローカー対策等も適切に) ⇒特定技能1号(5年・対象となる職種・分野が原則一致(注1)・業務を拡大、特定技能1号 水準の人材を育成・地域に根付き共生できる制度に→長期間産業を支える人材を確保)⇒特定技能2号(制限なし)
(注1)育成就労制度の受入れ対象分野は特定産業分野と原則一致させるが、国内での育成になじまない分野は育成就労の対象外。
(注2)特定技能1号については、「試験ルート」での在留資格取得も可能。
(注3)永住許可につながる場合があるところ、永住許可の要件を一層明確化し、当該要件を満たさなくなった場合等を永住の在留資格取消事由として追加する。
(注4)転籍の制限緩和の内容→「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化するとともに、 手続を柔軟化。
以下を要件に、同一業務区分内での本人意向による転籍を認める。
・ 同一機関での就労が1〜2年(分野ごとに設定)を超えている
・ 技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験への合格
・ 転籍先が、適切と認められる一定の要件を満たす

○制度見直しの背景と概要@→・外国人材がより一層重要に⇒各産業分野が生産性向上や国内人材確保のため最大限努力したとしてもなお人手不足となる ことは避けられず、特に地方経済・地方産業において、外国人材がより貴重な労働力になっ ていくことは確実。
・国際的な人材獲得競争の激化→今後の国際的な人材獲得競争において我が国の外国人材の確保が困難になるおそれがあり我が国経済、特に地方経済・地方産業の深刻なリスクに。
○制度見直しの背景と概要A→・技能実習制度の目的と実態のかい離の指摘⇒技能実習制度から「育成就労制度」へ。 ・長期にわたり産業を支える人材の確保が困難(実習修了後は帰国するのが制度上の原則。)⇒長期にわたり産業を支える人材を確保(外国人が地域に根付き、共生できる制度に)>
○制度見直しの背景と概要B→外国人にとって魅力を感じにくい現行制度(キャリアパスが不明瞭などその他あり)⇒外国人に魅力のある制度で「選ばれる国」へ(キャリアアップ明確化など、本人意向による転 籍を認める。)


◎参考資料4 訪問系サービスなどへの従事について(第4回検討会資料1)
1.これまでの経緯及び現行の取扱い
○現行の外国人介護人材の従事可能な業務の範囲について(在留資格毎の経緯)
→・外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会から「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会報告書〜EPA介護福祉士の就労範囲に訪問系サービスを追加するに当たっての必要な対応について〜」(平成28年10月28日)が報告され、訪問系サービスを認めることについて、受入機関等に対して、一定の留意を求めつつ、適当とされた。 ・現在は、同報告に基づき発出した通知により、EPA介護福祉士については、受入機関等に対して、「問系サービスを提供するEPA介護福祉士に対する訪問介護の基本事項や生活支援技術、利用者、家族や 近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式等の研修の実施」「緊急事態発生時の対応マニュアルの作成及びEPA介護福祉士への研修の実施」「EPA介護福祉士が正確かつスムーズに適切な記録作成ができるようチェックシート方式による簡略化や文字の色分けによる優先順位・緊急度の区別等の工夫」「数回程度又は一定期間のサービス提供責任者等による同行訪問等の必要なOJTの実施」 等の一定の留意を求めつつ、国際厚生事業団に相談窓口を設けた上で、訪問系サービスの従事を認めている。 ・また、その後、平成29年9月から施行された在留資格「介護」においては、介護福祉士取得者であり、専門的技能や日本語能力等を有しており、特段、外交上の配慮を要することないことから、制限を設けておらず、 訪問系サービスの従事を認めている。
○在留資格別の外国人介護人材の訪問系サービスの取扱いについて→外国人介護人材の訪問系サービスの従事については、介護福祉士の資格を有する在留資格「介護」及びEPA介護福 祉士は認められているが、EPA介護福祉士候補者・技能実習・特定技能は、介護職が1対1で介護サービスを提供する という業務内容の特性を踏まえ、認めていない

○技能実習「介護」における固有要件について→できなかったのが、平成29年9月、介護職種に固有の要件を告示。平成29年11月、対象職種に介護を追加。
○(参考)E PA介護福祉士が訪問系サービスを提供するに当たっての留意事項→EPA介護福祉士が訪問系サービスを提供するに当たって受入れ機関等が留意すべき事項について(平成29年1月12日) (職発0112第4号/社援発0112第4号/老発0112第4号厚生労働省職業安定局長、厚生労働省社会・援護局長、厚生労働省老健局長通知)より一部抜粋⇒平成29年4月1日から、経済連携協定(EPA)に基づき介護福祉士候補者として入国し、介護福祉士の国家資格を取得した者(以下「EPA介護福祉士」)の就労範囲に利用者の居 宅においてサービスを提供する業務(以下「訪問系サービス」)を追加することとされた。ついては、EPA 介護福祉士が訪問系サービスを提供するに当たって受入れ機関 等が留意すべき事項を下記のとおりまとめたので、ご了知願いたい。1から6までの事項の実施状況については、第二にある とおり、公益社団法人国際厚生事業団(以下「JICWELS」)が、巡回訪問を通じ確認する予定である。

2.現在の取組み状況・検討会のご意見等
○外国人介護人材確保の関連予算事業
→事業内容(令和5年度)⇒拡充・新規予算あり。
○国際厚生事業団による巡回訪問・相談受付の実績推移→「EPA介護福祉士(候補者)受入施設等への巡回訪問施設数(直近5か年)」「EPA介護福祉士(候補者)受入施設等からの相談件数(直近5か年)」 参照のこと。
○巡回訪問等で把握した訪問系サービス従事に当たっての主な課題と対応→多くの問題は外国人特有の問題ではないことが明らかであるが、コミュニケーションの問題やハラスメント等の相談があげられていた。国際厚生事業団の助言のもと、現場の対応あり。
○外国人介護人材を受け入れている訪問介護事業所へのヒアリング→(事業所等からのヒアリング結果)※ 事務局でまとめたもの 参照。
○外国人介護人材の訪問系サービスの従事に関する主なご意見(第1回検討会)→9意見あり。人権擁護、適切な在留管理の観点から、訪問系サービスは従事できないことになっているが、訪問入浴介護 は、3人体制で1人の利用者を訪問するので、外国人介護人材の従事を認めてもよいのではないか。
○訪問系サービスにおける外国人介護人材の受入れについて→40〜41%。
○外国人介護人材の受入れが可能と想定される訪問系サービスの種別→「訪問入浴介護」「訪問介護」「小規模多機能型居宅介護」の順など。
○外国人介護人材を訪問介護において受け入れるうえで必要と考える要件→「外国人介護職員が、利用者と問題なく意思疎通を行うだけの会話力を有する」「事業所内のバックアップ体制を整えておく」の順。その他あり。
○外国人介護人材を訪問系サービスにおいて受け入れる場合の適切な実務経験年数→1〜3年以上あり。
外国人介護人材を訪問系サービスにおいて受け入れる場合の適切な日本語能力→「N3相当」が多く、次に「N2相当」。

3.訪問系サービスを取り巻く状況
○訪問介護の概要
→「訪問介護」とは、訪問介護員等(※)が、利用者(要介護者)の居宅を訪問し、入浴・排せつ・食 事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供するものをいう。 介護福祉士、実務者研修修了者(450h)、介護職員初任者研修修了者(130h)、通院等乗降介助も。
○訪問介護の基準→訪問介護員等 常勤換算方法で2.5以上。サービス提供責任者 介護福祉士、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧1級課程修了者。・訪問介護員等のうち、利用者の数40人に対して1人以上。管理者 常勤で専ら管理業務に従事するもの。・訪問介護の提供に必要な設備及び備品を備え付けていること
○訪問介護の報酬→指定訪問介護の介護報酬のイメージ(1回あたり) 参照。
○訪問入浴介護の概要・基準→訪問入浴介護とは、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅 において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、居宅における 入浴の援助を行うことによって、利用者の身体の清潔の保持、心身機能の維持等を図るもの。必要となる人員・設備等の参照。
○訪問入浴介護の各加算の報酬→指定訪問入浴介護・指定介護予防訪問入浴介護の介護報酬のイメージ(1回あたり)参照。
○定期巡回・随時対応型訪問介護看護の概要→「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは、 ・定期巡回訪問、または、随時通報を受け利用者(要介護者)の居宅を介護福祉士等が訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護、調 理・洗濯・掃除等の家事等を行うとともに、看護師等による療養上の世話や診療の補助を行うもの(訪問看護を一体的に行う場合)。または(他の訪問看護事業所と連携し訪問看護を行う場合)。
○定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基準→職種・資格等・必要な員数等 の一覧。
○夜間対応型訪問介護の概要→夜間において、定期巡回訪問、または、随時通報を受け利用者(要介護者)の居宅 を訪問介護員等が訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護等の提供を行うものをいう。(夜 間における訪問介護サービスの提供のみを想定したサービス類型)。
○夜間対応型訪問介護の基準→職種・資格等・必要な員数等 参照。
○介護職員数の推移→介護保険給付の対象となる介護サービス事業所、介護保険施設に従事する職員数。(平成12から令和3年の推移)
○第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について→・2023年度には約233万人(+約22万人(5.5万人/年)) ・2025年度には約243万人(+約32万人(5.3万人/年)) ・2040年度には約280万人(+約69万人(3.3万人/年)) となった。 ※()内は2019年度(211万人)比。国においては、@介護職員の処遇改善、A多様な人材の確保・育成、B離職防止・定着促進・生産性向上、C介護職の魅力向上、D外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組む。
○介護分野における人材確保の状況と労働市場の動向 〜有効求人倍率と失業率の動向〜→介護関係職種の有効求人倍率は、依然として高い水準にあり、全職業より高い水準で推移している。
○都道府県別有効求人倍率(令和5年7月)と地域別の高齢化の状況→介護分野の有効求人倍率は、地域ごとに大きな差異があり、地域によって高齢化の状況等も異なる。75歳以上人口は、都市部では急速に増加し、もともと高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加する。各地域の高齢化の状況 は異なるため、各地域の特性に応じた対応が必要。
○離職率・採用率の状況(就業形態別、推移等)→介護職員の離職率は低下傾向にある。
○介護関係職種別の年齢階級別構成割合及び平均年齢→介護関係職種全体の平均年齢は50.0歳、65歳以上の構成割合は14.2%。 訪問介護員の平均年齢は54.7歳、65歳以上の構成割合は24.9%となっている。
○介護サービス事業所における従業員の不足状況@→介護サービス事業所における人手不足感は、訪問介護員、介護職員(施設等)とも、令和4年度で上昇。離職率は改善傾向にあるが約9割の事業所が「採用が困難である」ことを不足している理由として挙げている。
○介護サービス事業所における従業員の不足状況A→○ 職種別に見ると、訪問介護員・介護職員は他の職種と比べて「大いに不足」「不足」している事業所が多い。
○訪問介護員の人手不足の現状→介護サービス職員の有効求人倍率⇒施設介護職員と比較、訪問介護員の有効求人倍率が高くなっており、2022年度時点で15.53倍となっている。
○第8期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込み→令和5(2023)年度 推計値、令和7(2025)年度 推計値、令和22(2040)年度 推計値 あり。
○訪問介護の事業所数・利用者数等→利用者数は、年々増加。 請求事業所数は、令和2年以降微増。 1事業所あたりの利用者数は、微増減を繰り返しているものの概ね横ばい。
○訪問介護サービスの実績と今後の見込量等→令和22年(2040年)には、令和3年の事業所 数よりも加えて約5千事業所の整備が必要。また、生産年齢人口の減少が進む中、必要となる訪問介護員数は約3万2千人確保が必要。(すで に実績がサービス見込み量を超えているので、さらに必要となる可能性がある。) 他方、事業所数、1事業所あたり訪問介護員数(常勤換算)については、近年はほぼ横ばいで推移しており、現状から比較するとサービスの供 給量が大きく不足していく可能性がある。
○訪問介護 ケアマネジャーから紹介のあった方へのサービス提供を断った理由→ケアマネジャーから紹介のあった方へのサービス提供を断った理由をみると、「人員不足により対応が難しかったため」が 90.9%と最も多く、次いで、「訪問先までの移動時間が長く、対応が難しかったため」(27.3%)となっていた。 また、「看取りや認知症、難病等により自事業所では技術的に対応が難しかったため」は4.0%だった。
○介護職員初任者研修の概要→1〜4までの参照。
○(参考)外国人介護人材が初任者研修を受講等によりキャリアアップを目指す事例 〜有限会社ウエハラ:年次ごとにカリキュラムを組み立て、介護福祉士国家試験までの学習をサポート〜→介護福祉士国家資格の取得を希望する特定技能の外国人介護職員に対し、年単位のカリキュラムを立て支援を実施。 事業所のシステムとして日本語や国家試験対策の勉強を支援するとともに、初任者研修・喀痰吸引等研修・実務者研修を法人内で実施し、受講させる仕組みを整備。 施設内においては、業務時間内での授業の実施や添削指導によるフォローアップを実施するとともに、登録支援機関による 定期的な面談・相談受付を行うことによりメンタルヘルスケアを行っている。介護技術やコミュニケーションスキルの向上に。
○(参考)外国人介護人材が初任者研修を受講等によりキャリアアップを目指す事例 〜海外介護士育成協議会(のぞみグループ):監理団体としての入国前後のシームレスな教育支援の実施〜→技能実習生の入国前に日本語のコミュニケーション能力を上げるため、160時間の介護研修を実施。 入国後、2か月間の集団講習を実施。そのなかでコミュニケーション能力を高める日本語教育と、介護職 員初任者研修を実施。 さらに、就労開始後も個々の能力や希望に応じて、介護技能評価試験や介護福祉士国家試験に向けた対策 プログラムを提供している。

4.検討の方向性について
○検討の背景(1)→(これまでの経緯等)4点あり。
○検討の背景(2)→(現在の取組状況等)4点あり。
○検討の方向性→6点あり。なお、技能実習については、制度趣旨である技能等の移転による国際協力の推進を図ることとの関係や、今後、人材確保 と人材育成を目的とする新たな制度を創設する方向で検討されていることを踏まえ、その取扱いについて新たな制度の趣旨 を踏まえた上での検討を行うことについて、どのように考えるか。


◎参考資料5 外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 開催要綱
1 趣旨・目的
→技能実習制度は、「「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する 法律案」に対する附帯決議」(平成 28 年 10 月 21 日衆議院法務委員会)等において、 技能実習制度の対象職種への介護の追加後3年を目途として、その実施状況を勘案して、必要があると認めるときは、検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされている。 また、令和4年 11 月 22 日に設置された「技能実習制度及び特定技能制度の在り方 に関する有識者会議」が令和5年5月 11 日にとりまとめた中間報告書では、技能実習 制度と特定技能制度が直面する様々な課題を解決した上で、国際的にも理解が得られる制度を目指すとされ、中間報告書で示した検討の方向性に沿って具体的な制度設計 について議論を行った上、令和5年秋を目途に最終報告書を取りまとめるとされている。 このような状況を踏まえ、学識経験者など介護サービス関係者を参集し、技能実習 「介護」及び特定技能「介護」における固有要件等について必要な検討を行う。
2 検討事項→ 技能実習「介護」、特定技能「介護」における固有要件について 等
3 構成員→ 検討会の構成員は、別紙のとおりとする。
4.その他→(1)本検討会は、厚生労働省社会・援護局長が開催し、庶務は、厚生労働省社会・援 護局福祉基盤課福祉人材確保対策室において行う。 (2)本検討会には、座長を置き、構成員の互選により選出する。座長は、本検討会を統括する。 (3)本検討会は、必要に応じ、構成員以外の有識者等の出席を求めることができる。 (4)本検討会の会議、資料及び議事録は、原則として公開とする。 ただし、座長は、公開することにより、個人の権利利益を害するおそれがあると 認めるときその他正当な理由があると認めるときは、非公開とすることができる。この場合においては、少なくとも議事要旨を公開する。 (5)この要綱に定めるもののほか、本検討会の開催に必要な事項は、座長が厚生労働 省社会・援護局長と協議の上、これを定めるものとする。

○(別紙)外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 構成員名簿→16名。
オブザーバー:公益社団法人国際厚生事業団  外国人技能実習機構  一般社団法人シルバーサービス振興会(介護技能実習評価試験 試験 実施機関)



○外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakai_225506_00001.html
○第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会
令和6年3月22日(金)13:00〜15:00
○外国人介護人材の受入れについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28131.html

次回は新たに「労働基準関係法制研究会 第5回資料」からです。
第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料 [2024年05月23日(Thu)]
第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料(令和6年3月22日)
議事 (1)外国人介護人材の訪問系サービスなどへの従事について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38935.html
◎資料1 訪問系サービスなどへの従事について
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課 福祉人材確保対策室
○検討の方向性
1.訪問介護等
(ケアの質について)↓

訪問介護は、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本、従事する訪問介護員等に対し、介護職員初任 者研修等の研修修了や介護福祉士資格を義務付ける等、有資格者に限定。外国人介護人材の訪問系サービスの実施の可否を検討するに当たっても、こうした枠組みを前提としつつ、利用者に対するケアの 質を担保していかなければならない。
訪問系サービスでは、 利用者の個々人の身体状況や居宅での生活実態等に即した対応が求められるため、利用者によって手順や方法が異なり、標準化しに くい支援であるということができる。 また、介護は、コミュニケーションを前提として業務を行う対人サービスであり、利用者等と適切にコミュニケーションを行うため、日本語によるコミュニケーション能力が不可欠。特に訪問系サービスでは、利用者やその家族の生活習慣等に配慮しつつ、 家族のほか、ケアマネジャーなどといった多職種と連携しながら支援を行うことが求められる。利用者の意向等を踏まえつつ、支援 を行うことについては、語学力と現場でのコミュニケーション能力は必ずしも一致するものでなく、サ責の指導等も受けつつ、現場 での経験をつみながらレベルアップしていく側面もある。
実際、介護福祉士資格を取得した外国人介護人材が訪問系サービスに従事している事業所に対してヒアリングした際も、例えば、 ・ 利用者の特性(性格や障害の有無等)等も踏まえ、サ責の意見等も参考にしながら、訪問先を判断すること ・ 新人の訪問介護職員には、新規利用者のサービスには入らず、事業所の先輩職員が担当している利用者について同行研修なども行いながら、サービスを引き継ぐこと ・ 調理については、味付けの違いなど文化の差が生じるが、利用者と一緒に取り組んだり、事業所で日本食の味付け研修を実施す るなどしていること ・ サ責による同行訪問も、外国人介護人材が積み重ねでスキルが身につくこと等も踏まえつつ、状況に応じて期間を設定すること ・ 業務上で困った内容があれば、訪問先又は訪問先から事業所に戻った際等に報告・相談できる体制を整備し、必要に応じてサ責 等から助言・指導を行うことや、定期的な研修(ケーススタディ)を実施すること など事業所としての工夫がさまざまなされていた。

(キャリアアップ)↓
また、受入事業者へのヒアリングからもわかるように訪問系サービスに従事したい外国人介護人材も一定数いることから、日本人と同様に、訪問系サービスを含む多様な業務を経験し、キャリアアップに繋がるようにすることは、外国人介護人材にとって、我が 国で長期間就労する魅力が向上することにも繋がりうるものと考えられる。
先進的な受入事業者においては、介護職員初任者研修、実務者研修の受講などを組み込む形で、外国人介護人材のキャリアアップ、 国家資格取得に向けた人材育成の取り組みがなされており、外国人介護人材が多様な業務を経験しながらキャリアアップし、日本で 長期間働くことができるように事業者が中心となって関係者と連携しつつ、支援していくことも重要である。 そのため、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにするとともに、 介護福祉士の資格取得に向けた国家試験の受験・合格の後押しや就労環境の整備等の様々な支援について、多様な主体が連携して取 り組むべきである。
なお、アジア諸国においても、今後、高齢化が見込まれることから、日本における訪問系サービスでのキャリアは、今後母国に帰った後もその概念やサービス内容等が役に立つこともあるといった意見が出された。地域共生社 会や地域包括ケアシステムの実現を目指す我が国の介護・福祉サービスをアジア諸国に広めていく上でも、その核となる訪問系サー ビスに従事してもらうことは重要である。
訪問介護等については、有資格者である訪問介護員等の人材不足が深刻な状況であり、また、訪問介護員等の高齢化も進んでいるところ、必要なサービスを将来にわたって提供できるように対応していくといった視点も重要。 このような状況も踏まえつつ、積極的に外国人介護人材を受け入れ、その希望等も踏まえながら、訪問系サービスを含む多様な業 務を経験してもらうことが必要になってくる。 この際、外国人介護人材を単なる日本人の穴埋めの労働力として受け入れることは適切ではなく、外国人介護人材のキャリアパス 等にも十分留意しつつ、事業所によるきめ細かな支援が求められる

 以上を踏まえると、外国人介護人材の訪問系サービスの従事については、日本人同様に介護職員初任者研修を修了した有資格者等 であることを前提に、ケアの質や権利擁護等の観点から、以下のとおり、事業者に対して一定の事項について遵守を求め、当該事項 を適切に履行できる体制・計画等を有することを条件として従事を認めるべきであり、国においては、適切な指導体制の確保やハラ スメント対応等の観点から、受入事業者の遵守事項の履行体制の確保の確認や、相談窓口の設置、受入環境整備等を行うことが重要である。
【事業者に求める措置】↓
(遵守事項) ↓

@ 受入事業者が行う外国人介護人材への研修については、EPA介護福祉士の訪問系サービスで求める留意事項と同様に、訪問介護 の基本事項、生活支援技術、利用者、家族や近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのコミュニケーションスキルを 含む)、日本の生活様式等を含むものとすること。 A 受入事業者は、訪問系サービスの提供を一人で適切に行えるように、一定期間、サ責等が同行する等の必要なOJTを行うこと。 回数や期間については、利用者や外国人介護人材の個々状況により、受入事業者により適切に判断する。 B キャリアアップに向けた支援が重要になるところ、受入事業者等は外国人介護人材の訪問系サービスを実施する際、外国人介護 人材の意向等を確認しつつ、外国人介護人材のキャリアパスの構築に向けたキャリアアップ計画を作成すること。C ハラスメント対策の観点から、受入事業所内において、 ・ ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化 ・ 発生したハラスメントの対処方法等のルールの作成・共有などの取り組みや環境の整備 ・ 相談窓口の設置等の相談しやすい職場環境づくり ・ 利用者・家族等に対する周知 等の必要な措置を講ずること。 D 外国人介護人材の負担軽減や訪問先での不測の事態に適切に対応が行えるように備える観点から、介護ソフトやタブレット端末 の活用による記録業務の支援、コミュニケーションアプリの導入や日常生活や介護現場での困りごと等が相談できるような体制整 備など、ICTの活用等も含めた環境整備を行うこと。
【国が行う取り組み】↓
@ 受入事業者への遵守事項を含めた適切な指導体制の確保の観点から、巡回訪問等実施機関について、必要な体制強化を進めながら、提出された書類に基づいて、受入事業者への巡回訪問等を行うこととし、外国人介護人材の雇用管理状況、OJT等の実施状況、 ハラスメント対策の対応状況、キャリアアップ支援の実施状況等、前述の遵守事項が適切に実施されているかどうか、事業管理者 やサ責等から、確認すること。 A ハラスメントを防ぐなど、人権擁護の観点から、第3者による母国語による相談窓口を設けること。あわせて、相談内容やその 対応結果を分析し、相談窓口の質の向上を行うこと。 B キャリアアップ支援の観点から、外国人介護人材が受入事業所で働きながら、介護職員初任者研修を修了しやすくするため、地 域医療介護総合確保基金事業等を活用しながら、研修等の受講支援や資格取得支援の取り組みを促すこと。あわせて、介護職員初 任者研修を修了しやすい環境整備を行うとともに、事業所等の好事例、課題を収集すること。

2.訪問入浴介護→ 制度上、介護職員初任者研修等の修了が求められていない訪問入浴介護については、複数人でのサービス提供が必要なサービス であり、現行認められている施設系サービスと同様、比較的適切な指導体制を確保しやすいが、こうした体制等を確保した上で、 外国人介護人材が、職場内で実務に必要な入浴等の研修等を受講し、業務に従事することとする。
3.その他→外国人介護人材の業務の在り方については、各在留資格の制度趣旨・目的に基づき検討され、各在留資格制度の関係法令等により 施行がなされてきたところ、訪問系サービスなどへの従事においても、今後、具体的な制度設計が進められていくことになるが、こ れまでと同様に、制度趣旨・目的等を踏まえつつ、準備ができ次第、順次施行することが考えられる。その中で、技能実習制度については、令和6年2月9日の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」で政府方針(技能実 習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応)を決定した。これを踏まえて、3月15日に は「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が 閣議決定された。同法律案では、新たに創設される育成就労制度は、原則3年以内の施行とされていることから、この状況にも留意する必要がある。
現行の技能実習制度では、「本国への技能移転」という制度趣旨に基づき、技能移転の対象となる技能実習生の業務範囲を、必須 業務、関連業務及び周辺業務に区分して規定しており、 ・ 必須業務として、どの技能実習生も実施する身体介護業務を位置付け、 ・ 関連業務及び周辺業務として、身体介護以外の支援等、必須業務に関連する技能の修得に係る業務等を位置付けている。 この点に関する見直しの方向性については特に留意する必要があり、仮に、現行の技能実習制度の下で、訪問系サービスなどへの従事に関して、具体的な制度設計を進める場合には、移転すべき技能等既存の制度との整合性について、一定の整理を行う必要があ る

≪参考資料≫
○在留資格別の外国人介護人材の訪問系サービスの取扱いについて→介護福祉士の資格を有する在留資格「介護」及びEPA介護福 祉士は認められているが、EPA介護福祉士候補者・技能実習・特定技能は、介護職が1対1で介護サービスを提供する という業務内容の特性を踏まえ、認めていない。
○介護職員初任者研修の概要→1〜4 参照。
○第4回検討会の主な意見(1)(2)→16意見あり。「検討の方向性」で示された内容で議論を進めていただきたい。訪問入浴介護は複数名でサービス提供、訪問介護は初任者研修の受講、事業所に よる教育、サポート体制を考慮しながら是非進めてほしい。EPA介護福祉士で求められている研修などの留意事項や、キャリアを大事にするという 考え方を大前提に受入を行うことが、訪問介護の人材不足の状況への対応にも資する。事業者の裁量として、サービス提供責任者やケアマネジャー が適切に判断することが適当。できるだけ早期に実現いただきたい。


◎参考資料1 海外からの外国人介護人材の戦略的な獲得に向けて→海外からの外国人介護人材の戦略的な獲得に向けて(取組と課題の整理)
1.基本認識→・外国人介護人材についても、質と量の両面を確保できるように取組を 強化していくことが必要。・介護分野では、介護保険制度の下で、他国に先駆けて質の高い介護サービスの提供環境が構築されるとともに、介護福祉士を始めとする介護職員のキャリアパスを整備してきた。 ・世界的な人材獲得競争の中で、こうした強みを活かしつつ、介護分野の人材確保を進めるため、海外現地への働きかけや 定着支援を、より戦略的に進めていく。

2.現在の取組
(1)海外現地への働きかけ→・特定技能「介護技能評価試験」「介護日本語評価試験」の実施。海外に向けた日本の介護についてのPR。帰国後のネットワーク構築(国際厚生事業団の独自事業)(EPA候補生の帰国後のネットワークを構築するためのイベントを実施。昨年度ベトナム、今年度インドネシア・フィリピン・ベトナムで開催。)
(2)定着支援→・介護福祉士国家試験に向けた学習支援。介護人材が働きやすい職場環境の構築支援(介護福祉士の資格取得支援やメンタルヘルスのケアのために介護事業者にかかる経費の助成。介護事業者がeラーニングシステムなどの支援ツールの導入に要する費用の助成)。

3.主な課題と対応の方向性 ※令和5年12月20日開催「海外からの介護人材の戦略的受入れのための有識者意見交換会」や令和5年度老人保健 事業推進費等補助金事業「海外における外国人介護人材獲得に関する調査研究事業」で得られた知見に基づき整理。
(1) 海外現地 への働きかけ→・経済発展や地域・対象層等に応じた募集アプローチが必要 →ベトナム・フィリピンは地方部で募集するなど工夫が必要。ベトナムでは認知症など高齢化に対する問 題意識が高まっている。ミャンマーは日本に親和的な環境から増加傾向。インドネシアやインドは人口 規模等から今後の受入れ拡大が期待。 ・日本の介護分野での就労機会や日本の介護の考え方を知ってもらうこと等が必要。 特に新興国では、日本へ送出しルートの確立が課題 →送出しを担う職業紹介事業者が少ない、親族の経験談など身の回りの情報で行先国が左右される等。 ・介護技術や日本語について現地で入国前に学習できる環境が必要 →学習内容や学習期間、費用負担のほか、教育機関との連携等を考慮。 ・やむを得ず帰国する場合でも、現地の介護産業で就労するなど活躍の場が確保されていれ ば、日本での就労インセンティブとなる。 ・日本の介護技術を標準化し、アジア諸国で普及していくことが、帰国後の活躍の場や、 日本人職員の海外の介護施設への派遣にも繋がるのではないか ※資格の相互承認も検討課題。
(2) 定着支援→・安心して働ける就労・生活環境の整備が重要【事業者、関係団体、地方自治体】。 ・介護現場の多様なキャリアパスを示すことや、介護福祉士国家試験の資格取得に向けた 試験対策・学習支援、国家試験を受験しやすい環境の整備が必要【国、関係団体、事業者】。 ・受入れ側が外国人介護人材のイメージを持てるよう工夫が必要【国、職業紹介事業者】 →手間とコストをかけて受け入れた海外人材は定着しやすいとの声もあるが、特に受入れ実績の少ない新 興国の人材は、イメージが持ちにくい傾向。
⇒⇒引き続き、外国人介護人材の受入れに関わる有識者からご意見をいただくとともに、 海外現地での説明会の開催など戦略的な掘り起こしの強化、関係者のネットワーキングなど、 海外人材の獲得力の強化のための方策を検討する。


◎参考資料2 介護福祉士国家試験の検証に資するデータの分析報告書
◎【概要】介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析に関する検討会
○ 介護を必要とする方の急速な増加が見込まれる中、
2040年(令和22年)度末までに新たに約69万人の介護人材の確保が必要とされている。また、認知症高齢者や高齢単身世帯の増加等に伴う複雑化・多様化する介護ニーズへの対応が求められており、高い専門性を有する介護人材の確保育成が喫緊の課題。介護分野で唯一の国家資格であり介護の高い専門性を有する介護福祉士の重要性に鑑み、介護福祉士資格取得を目指す受験者が一層受験しやすくなる仕組みを 検討することは重要である。
○ 介護福祉士国家試験(以下「国家試験」)の受験生は徐々に減少している。
○ 実務経験3年と所定の研修を受講する実務経験ルートでの受験者が8割以上を占めており、介護の現場で働きながら資格取得を目指す状況
にあるが、就労と試験に向けた学習の両立が課題との声がある。受験者数も実務経験ルートについては平成30年度の85,196名をピークに令和4年度では68,769名と逓減。 また、外国人介護人材については、在留期間に制約があるため、受験機会が限られているといった声がある。 一般に外国人の国家試験の合格率は、日本人を含めた全体の合格率と比較すると低い傾向にあることを踏まえると、外国人介護人材にとっても限られた 受験機会の中で就労と試験に向けた学習の両立は課題と考えられる。
○ 本検討会では、過年度の試験結果を用いて、受験者の属性や得点分布などのデータの整理や、科目ごとの得点状況、いくつかの科目のグループ(以下 「パート」という。)を仮定し、パート別に判定した場合の合格状況などを検証し、検証結果を踏まえた提言をとりまとめた。 ※なお、検証に用いたデータやその結果については、過年度の試験結果を用いたものであり、国家試験の機密性確保の観点から非公表とする。

1 受験しやすい仕組みの考え方→受験のための学習への取り組み易さ、受験者の利便性の両側面から受験しやすい仕組みの導入を検討することが必要。受験しやすい仕組みの導入によって、介護福祉士の知識及び技能が低下するものではあってはならない
2 受験しやすい仕組みとしてのパート合格→パート合格を導入することにより、例えば、2回目以降の受験時に不合格パートの学習に注力できるようになるなど、一人ひとりの状況に応じた学習を後押しすることが可能となり、より受験しやすい仕組みとなることが考えられる。
3 受験方法→受験者及び運営面の負担を踏まえると、複数科目をまとめたパートで合否判定を行うこと。また、1日間で全科目の試験を実施し、初受験時は全員が全科目を受験、再受験時に はパート合格したパートの受験は希望制とし、受験申込時に受験者に選択させることが望 ましい。
4 分割パターン→各科目の出題数、合格基準及び学習における科目のつながりを踏まえながらパート設定を行うことが望ましい。 受験のための学習への取り組み易さを確保しつつ、受験者の利便性・運営面の負担も考慮すれば、3分割ないしは2分割とすることが望ましい。更に、学習への取り組み易さをより重視するのであれば再受験のための学習時に注力すべき科目が特定されることから3分割がより適切。
5 合格基準→合格基準の見直しにより万が一にも合否の判定に誤りがあることはあってはならず、運営の視点からも複雑すぎないものとする必要性を考慮すべき。 全科目に対する合格基準は、現行と同様、問題の総得点の6割程度を基準として問題の難易度で補正した点数以上かつ試験科目群すべてにおいて得点があることことを合格基準とすべき。 パートごとについては、全体の合格基準点を全科目を受験した受験者の平均得点の比率で按分 することにより、合格基準を設けることが望ましい。
6 運営面への配慮→導入にあたっては、指定試験機関である(公財)社会福祉振興・試験センターと十分な調整 を行うこと。


○介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析 報告書
令和6年3月  介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析に関する検討会
はじめに↓

・・・(略)・・・・本検討会においては、上記のような状況の中で、介護福祉士の重要性に鑑 み、介護福祉士資格取得を目指す受験者が一層受験しやすくなる仕組みを検 討するため、国家試験結果に係るデータについて、令和5年7月から令和6年2月にかけて、3回にわたり議論を重ね、検証の内容を整理した。この検 証の結果を踏まえ、厚生労働省は、介護福祉士国家試験の在り方について必 要な検討を行ったうえ、指定試験機関である公益財団法人社会福祉振興・試 験センター(以下「試験センター」という。)と連携しつつ、受験者層も踏ま えた国家試験の受験しやすい実施方法等に見直すことが必要である。
1 検証内容
2 受験しやすい仕組みの考え方
→【提言】⇒受験のための学習への取り組み易さ、受験者の利便性の両側面から受験 しやすい仕組みの導入を検討することが必要。その際、国家試験は介護福 祉士としての知識及び技能を担保するものであるため、受験しやすい仕組 みの導入によって、介護福祉士の知識及び技能が低下するものであっては ならない。
3 受験しやすい仕組みとしてのパート合格→【提言】⇒パート合格を導入することにより、例えば、初年度に不合格パートがあっ た者について、次年度は不合格パートの学習に注力できるようになるなど、 一人ひとりの状況に応じた学習を後押しすることが可能となり、より受験 しやすい仕組みとなることが考えられる。
4 受験方法→【提言】⇒受験者及び運営面の負担を踏まえると、単科目ではなく、複数科目をま とめたパートで合否判定を行うこと。また、1日間で全科目の試験を実施し、初受験時は全員が全科目を受験、再受験時にはパート合格したパートを受験するか否かは受験者の希望制とし、受験申込時に受験者に選択させ ることが望ましい。
5 分割パターン→【提言】⇒各科目の出題数、合格基準及び学習における科目のつながりを踏まえながらパート設定を行うことが望ましい。 受験のための学習への取り組み易さを確保しつつ、受験者の利便性・運 営面の負担も考慮すれば3分割ないしは2分割が望ましい。その中で、学習への取り組み易さをより重視するのであれば、再受験のための学習時に 注力すべき科目が特定されることから3分割がより適切ということがで きる。
6 合格基準→【提言】⇒合格基準及び難易度補正の考え方においては、合格基準の見直しにより 万が一にも合否の判定に誤りがあってはならず、運営の視点からも複雑すぎないものとする必要性を考慮すべき。 全科目に対する合格基準を見直す必要はなく、現行と同様に、問題の総得点の6割程度を基準として問題の難易度で補正した点数以上かつ試験 科目群すべてにおいて得点があることを合格基準とすべき。 パートごとの合格基準は、全体の合格基準点に対し全科目を受験した受 験者の平均得点の比率で按分することにより、合格基準を設けることが望 ましい。
7 運営面への配慮→【提言】導入にあたっては、試験センターと十分な調整を行うこと

おわりに →○ 少子高齢化が進展する中、介護を必要とする方の急速な増加が見込まれる とともに複雑化・多様化する介護ニーズへの対応が求められている。本検討会では、高い専門性を有する介護人材の確保育成が喫緊の課題であることを 踏まえ、介護人材のすそ野を広げる観点から、介護福祉士を目指す方々が非常に重要であると考え、介護福祉士資格取得を目指す受験者が一層受験しやすくなる仕組みを検討した結果、パート合格の導入が望ましいとの結論を得た。合わせて、パート合格の導入にあたり留意すべき点などを、検討会の提言として取りまとめた。 ○ 世界に先駆け、介護分野の国家資格として創設され、日本の介護福祉制度の発展を支えてきた介護福祉士の重要性を再認識し、また、介護福祉士を目 指す方々の志を大切にし、受験に向けた学習を試験制度からも後押しできるよう、本検討会の提言を真摯に受けとめ、介護福祉士国家試験の在り方について必要な検討が行われることを期待したい。 ○ また、介護福祉士の資格が社会の期待に応え信頼されるものであるためには、試験の在り方を定期的に検討し、試験制度の不断の見直しを行う必要性 があることに留意願いたい。 ○ なお、議論を進めるなかで、 ・ 養成施設ルートの受験者の多くが合格する中で、養成施設ルートの受 験者にもパート合格を導入するメリットはあるか。 ・ 全体の合格率が8割を超える中で、パート合格を全体に導入すること は必要か。 ・ 在留資格により受験機会が限られる外国人受験者にのみ導入することも検討できるのではないか。 ・ 国家試験の受験機会は日本人、外国人によらずに全員に公平にあるべ きではないか。 といった意見があった。パート合格の導入を検討する際に参考にされたい。

○(別紙)【2分割】【3分割】【4分割】例あり。
○(参考資料)介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析に関する検討会 開催要綱
○(別添)介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析に関する検討会構成員名簿


次回も続き「参考資料3 育成就労制度の創設等に係る法案について」からです。

第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年05月22日(Wed)]
第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年3月22日)
議事 @ 第二期計画中間検証の準備に関するワーキング・グループにおける検討について(報告) A 成年後見制度の利用の促進に関する取組状況等について(報告) B 令和6年度における中間検証の進め方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38137.html
◎参考資料9 各委員提出資料
○第15 回 成年後見制度利用促進専門家会議  委員意見   弁護士 水島俊彦
第1 意見要旨 ↓
1 社会福祉法制のあり方並びにこれに付随する意思及び選好を尊重する支援を受けて意思決定をする 仕組み(以下「支援付き意思決定制度」又は「意思決定支援制度」という。)づくりに向けて、所管部局である社会・援護局のみならず、認知症の人の支援を担う老健局、障害者の支援を担う障害部を含め、厚生労働省を挙げて一体的に、かつ、専門家会議委員の希望者も参画する形で集中的に議論できる 場を早急に形成すべきこと
2 身寄りのない人等の支援にあたって、実質的に意思決定支援が確保される体制の構築を進めるとと もに、全国の自治体において実行可能とするための法制化及び仕組みを整備すること
3 成年後見制度の改正を見据えて、新たな権利擁護支援施策を充実させるとともに、「意思決定サポ ーター(フォロワー)」をはじめとした地域で意思決定支援に積極的に関与する担い手の育成と活動の 場を早急に整えるべきこと


第2 意思決定支援制度づくりに向けた横断型の議論の場の形成をすべきこと
1 第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第二期計画」という。)の重要業績評価指標(KPI) には、以下の記述がある。

制度等の見直しに向けた検討等: 総合的な権利擁護支援策の充実:日常生活自立支援事業の実施体制の強化、新たな支援策の検討等を踏 まえ、福祉の制度・事業の必要な見直しの検討(令和4年度から令和8年度)
2 成年後見制度(民法)の見直しの検討に関しては、成年後見制度の在り方に関する研究会により、 今後の基本民事法制としての法定後見制度の位置づけも含め、障害者権利条約や同委員会による勧告 も踏まえた現在の検討状況が整理された。そして、同研究会報告を受けて、先般、法務大臣から法制 審議会に対して成年後見制度の見直しについて諮問がなされたところである。また、同研究会の報告 書中においては、「第二期基本計画における基本的な考え方を踏まえると、法定後見制度の見直しを検 討するに当たっては、本人の権利擁護支援として検討される法定後見制度以外の方策も見据えなが ら、両者が一体となって総合的な支援としての権利擁護支援を実現していくという観点が必要である と考えられる。」(報告書13 頁)との指摘がなされている。
このような点から、上記KPI(新たな支援策の検討等を踏まえ、福祉の制度・事業の必要な見直し の検討)の達成に向けた取組みを早急に進めていく必要がある。そこで、厚生労働省にあっては、社 会福祉法制のあり方及びこれに付随した意思決定支援の確保、浸透のための仕組みづくりに向けて、 成年後見制度利用促進に関する所管部局である社会・援護局のみならず、認知症の人の支援を担う老 健局、障害者の支援を担う障害部を含め、厚生労働省を挙げて一体的に、かつ、専門家会議委員の希 望者も参画する形で集中的に議論できる場を早期に形成すべきである。 なお、その議論に当たっては、基本計画上の「意思決定支援の確保(同17 頁)」及び「意思決定支 援の浸透(基本計画18 頁)」を全うするためにも、意思決定支援の普及啓発のみならず、障害者権利 委員会による総括所見第28 項(b)「必要としうる支援の段階や様式にかかわらず、全ての障害者の 自律、意思及び選好を尊重する支援を受けて意思決定をする仕組みを設置すること」も意識した施策 の検討がなされなければならない。

第3 身寄りのない人の支援に当たって、意思決定支援が適切に確保される体制を構築し、それが実行可 能となるような社会福祉法制及び仕組みを整備すること
1 第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第二期計画」という。)第二期計画17頁(6)に は、以下の記述
がある。 ・国は、身寄りのない人等への生活支援等のサービスを誰もが安心して利用することができるよう、運営の透明性や信頼性の確保の方策、地域連携ネットワーク等との連携方策、意思決定支援を確保する方 策、市民後見人養成研修の修了者等地域住民を含めた様々な主体が参画する方策等を検討する必要がある。
2 第14 回専門家会議(2023 年3 月29 日)でも発言したとおり、現在、障害者権利委員会からの勧告 に対する対応の視点からも、成年後見制度を含む代行決定制度中心の社会から、支援付き意思決定を 中心とした制度への具体的な転換が求められているところである。そのための一つの取組として、持 続可能な権利擁護支援モデル事業(テーマ2:簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組)がなされているものと認識しているところ、第15 回専門家会議における厚生労働省 の提出資料(27、28 頁)において「支援の狭間に落ちることのないよう」「意思決定支援を確保しながら」「本人に寄り添った意思決定の支援」との記述があるので、今一度、意思決定支援が確保されてい る状態とはどのようなことを指すのか、私見を述べたい。
3 まず、障害のある人の法的能力の行使は、本人の自律に関わる重要な人権であり、権利条約第 12 条において保障されている。そして、同第 19 条では、チョイス&コントロール(自己選択と管理 (主導権の確保))を基盤とした、障害のある人の自立した生活及び地域社会への包容が保障されている。これらの点を総合的に捉えたとき、意思決定支援は、本人の意思決定に関わる社会的障壁としての障害を除去し、支援付きの意思決定の権利を実質的に保障するために不可欠な手段であると考えられる。 わが国においても、権利条約の批准国として、意思決定支援の仕組みを確保しなければならない法 的義務があるから、意思決定支援の確保を前提とする本事業の設計においては、障害者権利条約、国連の勧告などを意識した制度設計が必然的に求められるところである。とりわけ権利条約第12 条第4 項の観点からすれば、このような支援付き意思決定の仕組みを構築するに当たっては、その濫用を防 止するための適当かつ効果的な保障、すなわちセーフガードを確保することが必須であるともされて おり、セーフガードが適切に設けられていない仕組みのままでは、意思決定支援を十分に確保したと はいえない。
4 意思決定支援に関わる者の基本的な姿勢は、国の各種意思決定支援ガイドラインの研修等でも触れられているように、客観的な最善の利益ではなく、本人の心からの希望を探求する姿勢が重要である とされている。しかしながら、実務では、中立的な立場を維持する必要があるファシリテーターや、 一定の利害関係を有する家族、介護・福祉サービス提供事業所職員、本人の法的保護の観点から代行 決定を行う権限を有する成年後見人等や自治体職員が、本人の側に立ち続けることは、立場上、困難であることが多い。特に、一定のリスクが見込まれる場合には、本人以外の全ての「支援者」が反対の立場に回った結果、本人が孤立する状態に置かれることもある。そのような場合においても本人の 側に立ち続け、たとえ代行決定が必要と考えられる局面においても、本当にそのような決定で良いの か疑問を投げかけ、本人の心からの希望や選好、価値観が決定に最大限反映されるよう訴え続ける存 在、すなわちアドボケイトの機能を備えた人材の育成とそれらを持続可能な形で支える仕組みと実践 が、意思決定支援の充実及び確保のためには必要不可欠である。また、専門職のみがアドボケイトを 担うという仕組みのままでは持続可能なものとは言い難く、このようなサービスを必要としている 人々のニーズに十分に応えることは難しい。このような観点から、権限・権力を持たない「弱い(緩やかな)立場」であることの利点を活かし、本人の側に100 %立って、本人の意思決定を支持・応援する「支持者」としての市民、すなわち「意思決定フォロワー(以下「青のフォロワー」という。)」 の存在が重要であり、これからの地域共生社会の実現及び権利条約に基づく国連勧告を履践するうえ でも不可欠な人材であると考えられる。
5 さらに、本人及び青のフォロワーを支える仕組みとして、権利擁護支援委員会(以下「緑の委員会」)及び権利擁護支援専門員(意思決定支援担当)の重要性についても、再度強調しておきたい。
豊田市モデルの実践を踏まえると、青のフォロワーが本人と共に活動するにつれて、本人自身が自らの 声を積極的に上げていくような変化もみられるところであるが、ときには本人の意思と生活基盤サー ビス事業者(以下「赤の事業者」という。)やその他の支援者の見解とが対立するような場面が生じうることも予測される(これまで抑制されてきた本人の心からの希望が現れた結果であり、このような 現象は、むしろ「健全な対立」として評価されるべきものである。)。このような場面では、青のフォ ロワーは本人の声を更に大きくすることを通じて、支援者による対応や改善を促すことができるかも しれない。しかし、支援者が本人の声を無視したり、対応を拒絶したり、赤の事業者による関係性の 濫用が現に生じているような場面では、本人と同じ「権限のない立場」のフォロワーのみでは対応に 限界もあると言わざるを得ない。そこで、本人やフォロワーにとって武器や防具となりうる存在、すなわち、緑の委員会体及び権利擁護支援専門員が必要となる。 豊田市の実践を例に挙げると、緑の委員会から派遣された権利擁護支援専門員(意思決定支援担当) が、アドボケイトの立場として、青のフォロワーとの定期面談を実施している。定期面談では、青のフォロワーから提出された実施報告書を基に活動を振り返り、青のフォロワーの悩みを共有しながら 今後の方策についてともに考えるなど、対話を通じて、青のフォロワーとして本人の側に立つ姿勢が維持されるよう促している。そして、青のフォロワーとの対話を通じて発見された本人の社会的障壁 や赤の事業者による対応上の課題について、緑の委員会(合議体)にフィードバックし、今後の対応 を検討することとしている。 また、先ほど挙げたような赤の事業者による関係性濫用の疑いや本人との意見対立が生じた場合に は、緑の委員会(合議体)として、@権利擁護支援専門員(金銭管理担当/意思決定支援担当)による調査報告を依頼する、A両者の建設的な対話を促すため協議の場を設ける、B合意に至らない場面では、委員会としての勧奨(本モデルにおける各主体の役割や意思決定支援ガイドライン等に照らし て相当とされる行動の促し)を行う、C勧奨行為に沿わない行動を赤の事業者が取り続ける場合や別 の権利擁護支援策による対応が必要とみられる場合には、豊田市に適切に権限(赤の事業所に対する 本モデルからの排除通告、虐待防止法に基づく介入、成年後見制度に係る首長申立等)を行使するように促す、といった行動を取ることも検討されている。 このようなけん制の仕組みがあるからこそ、青のフォロワーとともに行動する本人の声が事業者に受 け入れられやすくなるのであり、一見すると権限のない「弱い立場」であるはずの青のフォロワー が、本人にとっては力強い存在となり、また、赤の事業者にとっても本人への対応のあり方を見直す 強い動機付けになるものと考えられる。現在は、緑の委員会自体に独自の法的権限が与えられている わけではないため対応には限界があるものの、今後の社会福祉法制の改正に当たっては、赤の事業者 を含めた支援者による関係性の濫用に対する対抗措置も含めた法的権限等、準公共性のあるアドボカシー組織として必要な権限、機能を持ち合わせた組織として位置づけられるべきであろう。特に、将 来的に身元保証サービスを提供する団体やこれらの団体の持つ機能を代替するような支援を行う団体 が赤の事業者として参入することも想定した場合には、本人の意思決定に対する影響力は極めて大きくなるため、より強いけん制の仕組みが意思決定支援の確保の観点から求められる。

第4 「意思決定サポーター(フォロワー)」をはじめとした地域で意思決定支援に積極的に関与する担い手の育成と活動の場を早急に整えるべきこと
1 第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第二期計画」という。)には、以下の記述がある。
⇒・ 国は、全国各地で市民後見人が育成され、育成された市民後見人が本人の意思決定支援などの幅広 い場面で活躍できることを促進するため、各地における市民後見人の育成・活躍状況やその課題も踏ま え、養成研修カリキュラムの見直しの検討(意思決定支援や身上保護等の内容を含めることの検討) や、その他の推進策を進める必要がある。 ・ 各地域においては、上記の国の対応状況も踏まえつつ、養成研修カリキュラムの見直しや、養成研 修修了者の活動の受入れ先の拡大等権利擁護支援の取組に参画できる体制づくりを進めることが重要である【基本計画9頁イ(A市民後見人の育成・活躍支援:具体的な取組)】。 ・ 地域住民への意思決定支援の浸透は、市民後見人の果たす役割も大きい。このため、国は、市民後 見人養成研修修了者が、地域で行われている身寄りのない人等への生活支援等のサービス提供の際に行 われる意思決定支援に参画できる方策を検討する必要がある【基本計画12頁A3ポツ目】。

2 上記に関する厚生労働省の取組みとしては、令和4年度老人保健事業推進費等補助金 (老人保健 健康増進等事業分)市民後見人養成研修カリキュラム及び市民後見人の活躍促進に関する調査研究事 業(受託:特定非営利活動法人地域共生政策自治体連携機構)が挙げられるところ、同事業報告書 (令和5年3月)で実施したアンケート概要(同報告書11 頁から14 頁)においては、市民後見人の 活躍の場として、いわゆる家庭裁判所から選任を受けた市民後見人、法人後見支援員、日常生活自立 支援事業の生活支援員以外にも、認知症サポーターや傾聴ボランティア等を含めて様々な地域活動に 参加している人がいることが判明している。また、現在地域活動を行っていない人においても、市民 後見人等以外の活動として、認知症の人に関わる活動や、病院の付き添いや買い物支援などの生活支 援、障害者や外国籍の人のサポートをしたいなど、様々な意欲があることがうかがわれる。 また、先に触れた豊田市のように、持続可能な権利擁護支援モデル事業(テーマ2:簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組)と市民後見人の活躍支援を連動させ、従来の カリキュラムを意思決定支援をメインに据えた研修に再構成し、意思決定サポーター(豊田市では「意思決定フォロワー」と呼ぶ。)やその他の地域活動参画する市民も巻き込んで研修受講につなげて いけるような工夫をしている地域もある(同報告書6頁から7頁)。

市民後見人養成研修修了者等が、法人後見支援員、日常生活自立緯線事業の生活支援員に加え、先 に触れた「意思決定サポーター(フォロワー)」をはじめとして、地域で意思決定支援に積極的に関与 することを希望する人の活動の場を早急に整えていくためには、例えば、社会・援護局、老健局、障害部、医政局で所管する権利擁護支援に係る人材育成にかかわる施策のうち、地域の中で本人の意思 決定支援に関与することが期待される人材を整理し、これを市民後見人の活躍支援の場の例示として 都道府県、市町村に情報提供するなど、厚生労働省内でも積極的に連携を図って対応することが望まれる。特に、第3で述べた通り、意思決定フォロワーについては、意思決定支援の充実、確保を図る 上で必要不可欠な人材であり、本人及びフォロワーを力強く支える緑の委員会及び権利擁護支援専門 員(意思決定支援担当)の仕組みと併せて、そのような活動に参加を望む市民が活躍できる場をつくり、かつ、あまねく全国で実施できるような環境整備のあり方についても検討すべきである。 また、このような市民後見人等の活躍の場の多様化に併せて、厚生労働省の「令和5 年度成年後見制 度利用促進施策に係ると取組状況調査」の質問事項(市民後見人の養成及び活動状況)における選択肢についても、法人後見支援員、日常生活自立緯線事業の生活支援員に限定するのではなく、「意思決 定サポーター(フォロワー)」をはじめ、関連する地域活動も選択肢に挙げて、アンケートを実施すべ きである。 以上

次回は新たに「第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料」からです。

第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年05月21日(Tue)]
第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年3月22日)
議事 @ 第二期計画中間検証の準備に関するワーキング・グループにおける検討について(報告) A 成年後見制度の利用の促進に関する取組状況等について(報告) B 令和6年度における中間検証の進め方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38137.html
◎参考資料9 各委員提出資料
○令和 6 年 3 月 22 日 第 15 回成年後見制度利用促進専門家会議 意見書
特定非営利活動法人尾張東部権利擁護支援センター センター長 住田 敦子
1.総合的な権利擁護支援策の検討ワーキンググループ「総合的な権利擁護支援の検討に関 すること」について
テーマ1 「地域連携ネットワークにおいて、民間企業等が権利擁護支援の一部に参画する 取組」のモデル事業に参画する静岡県、京都府での共通の目的として過疎地における担い手 不足の解消が挙げられます。
テーマ2 「簡易な金銭管理を通じ地域生活における意思決定を支援する取組について」→ 民法改正の議論と併せて、後見制度の利用を終了した方の必要性に応じて、簡易な金銭管 理や意思決定支援が地域の中で提供されるような仕組みは重要であると考えます。


2 運用改善等に関するワーキンググループ 「適切な報酬算定に向けた検討と報酬助成 の推進等に関すること」について
1)成年後見制度利用支援事業の運用について 資料2−2 16頁(参考)「成年後見制度に係る申立費用や報酬助成の状況」では、申立て 費用及び報酬助成を整備している自治体は、高齢者関係1628自治体(93.5%)、障害者関係 1636自治体(94.0%) となっています。 しかし、第4回の本ワーキンググループ(令和5年7月27日)での専門職団体からのご報告 のとおり、成年後見制度利用支援事業要綱の見直しがされていても、実際の運用では、収入、 資産等の助成要件が自治体によって異なっているため結局、助成対象とならない場合も多 くあることが明らかになりました。市町村の考え方や財政力の差異によって助成対象者が 異なることのないよう、助成の在り方や国による予算措置の検討が必要と考えます
2)成年後見制度利用支援事業における報酬助成の対象者について
報酬助成対象者に、成年後見人等監督人や、任意後見監督人への助成の対象を広げること も必要と思われます。   資力が乏しい方が安心して信頼す る親族に頼むことのできる任意後見制度となるよう報酬助成の拡大が望まれます。                                                                                                                                               

3.地域連携ネットワーキング「対応困難事案に関すること後見人等に関する苦情への適切な対応について」→ 後見人等への相談、苦情が中核機関に持ち込まれた場合には、双方からの聞き取り、ケー ス会議等で解決することは多くありますが、それらの対応について専門職団体、家庭裁判所、 行政、地域の複数の中核機関等と共にそれらを振返り、評価、検証することが必要と考えま す。多職種による振返りによって、中核機関では気づかなかった点の指摘や助言を頂くこと や、専門職団体では相談や苦情の内容を共通課題として会員の質の向上につなげるなど、ネガティブな捉え方ではなく、改善すべき点も含めよりよい後見事務に繋げるための取組と して重要と考えます。


○第二期成年後見制度利用促進基本計画中間検証年に向けての意見
公益社団法人 日本社会福祉士会 理事 星野 美子
意見の趣旨

第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下、「基本計画」)は、来年度の中間検証を経て計画期間後半に入る。「基本計画」には柱の一つとして、「成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実」が掲げられている。 前段の「成年後見制度等の見直しに向けた検討」は、「本人にとって適切な時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき」との「基本計画」の方針をふまえ、「成年後見制度の在り方に関する研究会」(公益社団法人商事法務研究会)で約 2 年にわたる論点整理が行われ、報告書がまとめられた。これを受けて、来年度から法務省法制審議会部会において民 法改正に向けた議論が開始され、「基本計画」期間内での民法改正を目指すことになると承知している。民法改正に向けての具体的なスケジュールが示されつつある現状において、後段の「総合的な権利擁護支援策の充実」は、厚生労働省の「持続可能な権利擁護支援モデル事業」等が実施されているものの、一部取組みに積極的な自治体を除き多くの自治体では認識も乏しい状況であり、「基本計画」期間内におけるゴールが現時点では不明確といわざるを得ない。 民法改正で包括的な代理権の付与等が見直されることや、必要性・補充性といった観点から成年後見制度の利用期間が設定されることを想定すれば、成年後見制度を利用しなければ権利が擁護できないと判断される事案はこれまで以上に厳密な精査・検討が見込まれることが予想される。成年後見制度の改革と成年後見制度以外の権利擁護支援策の充実は相互補完的な関係であり一体的に改革しなければ「基本計画」の目標が達成できない。「総合的な権利擁護支援策の充実」について、「基本計画」期間内に検討すべき課題を改めて確認したうえで、工程を明確にして計画的に取り組む必要がある。このような問題意識のもと、 検討を要する課題について本会としての整理を試みたので、意見として提出するものである。

1.民法改正と連動した権利擁護支援体制の構築に向けた福祉分野における支援策の課題 (1) 厚生労働省「持続可能な権利擁護支援モデル事業」の検証をふまえた事業化の検討
令和 4 年度・5年度に実施された「持続可能な権利擁護支援モデル事業」について、将来 的に「総合的な権利擁護支援策」の新規メニューに組み込むのであれば、2 か年のモデル事業の検証をふまえ「基本計画」期間内で検討すべき事項を整理する必要がある。全国どの地域でも実施可能な事業とするためには、法的根拠を明確にした事業化の検討が必要である(2(4)B参照)。
モデル事業のうち「簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組」については、対象者や支援内容等が日常生活自立支援事業と重複する面もあるため、両事業 の目的と役割分担を明確にする必要がある。同取組では、「日常的金銭管理サービス」を行う事業者等(赤)と「意思決定サポーターによる社会生活上の意思決定支援」(青)、両者を監督、後方支援する「監督・支援団体」(緑)の三者による役割分担が想定されている。三 者の役割が発揮され取組全体が機能するためには、「監督・支援団体」による支援機能が重 要になるものと想定され、専門職団体としても関与できるものと考える。
(2) 日常生活自立支援事業の課題解決に向けた事業の再編強化の検討
「基本計画」では「総合的な権利擁護支援策の充実」の第一番目に「成年後見制度と日常 生活自立支援事業等との連携の推進及び同事業の実施体制の強化」があげられており、地域 により待機者が生じていること、利用者数にばらつきがあること、成年後見制度への移行に課題があることが指摘されている。 日常生活自立支援事業は、地域によって対象者を在宅居住者に限定していたり、本人の資産状況によって対象外とするところもある。居住実態によって対象とならないような地域 の場合、入所や入院となると、他の支援策がないため必要性を十分検討されないままに安易に法定後見制度につながったり、あるいは本人の理解力や契約能力を十分検討しないままに施設や病院での金銭管理となっている実態もまだ多い。また、日常的金銭管理の方法とし て、モデル事業実施地域等一部の地域ではキャッシュレス対応の取組みが進んでいるが、多 くの地域では日常生活自立支援事業においてこのような新たな仕組みを取り入れることが できていないばかりではなく、キャッシュカードの使用もできないことが多く、本人にとっ ても大変使いづらい状況になっていると言わざるを得ない。 日常生活自立支援事業の利用者が統計からも増えているとはいえず、それはこの事業の 人員体制や予算の在り方だけではなく、上記のような実態もあると考える。キャッシュレス の仕組みを一つの例として、本人に丁寧な説明を行うことで本人自身が希望する支援の選 択肢が広がれば、対象者にとって有益であるとともに、この事業が必要な人に届くことにも つながるのではないか。 「基本計画」では、国は「地域を問わず一定の水準で同事業を利用できる体制を目指す」 とある。日常生活自立支援事業は成年後見制度と利用者が重なることもあり、利用者のニーズを丁寧に確認することなく、どちらの方策を利用するかという検討になったり、法定後見 はハードルが高いのでまずは日常生活自立支援事業から、という間違った理解も定着している。もちろん、両者が有機的に連携して展開してきた経緯も多くあるので、今後益々その 重要性は高まるものと考えられる。現在事業の実施主体は都道府県社会福祉協議会及び指定都市社会福祉協議会で、委託を受けた市区町村社会福祉協議会等(基幹的社協)が実施しているが、事業の実施体制の在り方や、ニーズに対応するための事業の拡大及び継続性を担保するための財源の確保など、事業の在り方を抜本的に見直す必要がある。 また、日常生活自立支援事業は社会福祉法の第二種社会福祉事業である「福祉サービス利 用援助事業」の一形態であり、多様な主体が「福祉サービス利用援助事業」に参画できるよう、見直しに際し考慮する必要がある。 これら見直しの如何により、根拠法である社会福祉法第二条 3 項十二号「福祉サービス 利用援助事業」、及び同法第八十一条「都道府県社会福祉協議会の行う福祉サービス利用援 助事業等」の改正が必要となると考える。(2(4)@A参照)
(3) 権利擁護支援のニーズアセスメントと適切な支援策へのつなぎ、モニタリング体制の構 築に向けた中核機関の機能強化
権利擁護支援は誰もが必要になる可能性があるものであり、判断能力の程度や財産の多 寡、身寄りの有無、住む地域に関わらず、必要なときに適切な支援が受けられる体制整備が 求められる。意思決定支援を基本に据えて、権利擁護支援のニーズをアセスメントし、成年後見制度を含む権利擁護支援策の選択肢から適切な支援につなぐとともに、適宜モニタリングを行い不足している社会資源の開発につながるよう、相談支援体制と調整機能が欠かせない。 地域において多様な社会資源とのネットワークを構築し、ニーズに応じた調整機能を果 たす要となるのは中核機関であり、「基本計画」の目標にもある通り全国の市町村への設置 と機能強化が欠かせない。そのためには、中核機関の機能と設置(設置主体、人員配置、予算措置等)に関する法的根拠を明確にする法制化が必須である(2(3)(5)参照)。中核機関 に求められる4つの機能について、公的責任として担うべき部分(例えば個人情報の取扱い 等)と民間事業所に委託できる機能とに類別化することが必要である。これまで議論されて きた中核機関に求められる機能はソーシャルワーク機能に他ならず、こういった機能を果たすためには、成年後見制度を含めた権利擁護支援に精通した社会福祉士の配置が望ましい。 また、都道府県には市町村の中核機関をバックアップするとともに、広域的な調整機能が求められる。都道府県及び都道府県社会福祉協議会に求められるこのような機能が法的根 拠に基づくものとなるよう法制化が必要である。
(4)苦情等への対応の機関
対応困難事案への対応について、試行事業が実施されたが、そこで明らかになったの は、後見人等に対するさまざまな意見は苦情だけではなく、改善要望であったり、意見であったりするものも多く、早い段階からキャッチした機関が関係機関と情報を共有し、後見人等だけではなく、支援チームとして対応を検討できる仕組みづくりであった。対応方 法としては、後見人等の交代だけではなく、後見人等が支援チームの一員として自身の事 務の在り方を見直すことにもつながると考える。さらに、民法改正の議論を見据えれば、 今後は、成年後見制度の利用を終了するということも十分に考えられる。 家庭裁判所は解任や辞任事由に該当する状況になっていないので手が出せないとするのではなく、中核機関で把握した状況をタイムリーに情報として受け取っておく必要がある。第二期計画においては、後見人等が選任された後の「支援チームの自立支援」として、後見実務の見直しをチームで行えるよう支援することが中核機関の機能として求められている。ここには当然ながら、候補者を推薦する職能団体も一緒になって対応を検討することが大事であり、さらに地域連携ネットワーク協議会を活用して、地域全体の課題としても捉え直す必要がある。 このような機関間の連携を推進していくためには、関係者の運用に関わる努力だけに委 ねるのではなく、法的根拠に基づいて実施できるシステムを構築する必要がある。 例えば介護保険制度における国保連や、福祉サービスに関わる運営適正化委員会のような、権利擁護支援(後見制度を含む)に関わる第三者的苦情等受付機関を都道府県に設置(既存の機関に機能を追加)する方法も考えられる。これまで社会福祉士会ではぱあとなあという後見人等を担う会員を構成メンバーとする部署で、共通の認識をベースとして会員支援と会員に対する市民からの意見要望苦情に対応する仕組みをつくりあげている。地域によって具体的な動き方には差異があるが、これまでの経験則を活かして、中核機関や 第三者的機関にしっかりと関わっていくことが可能と考える。 権利擁護支援の大事なひとつの方策である成年後見制度(とりわけ、本人に代わって代 行決定ができる制度であるがゆえに)が本人にとってどのような影響を及ぼすのかを真摯 に考えれば、早急に仕組みを作り上げるべきである。

2.権利擁護支援体制の基盤を整備するための法整備等の検討
(1)社会福祉法による権利擁護支援策の限界

社会福祉における権利擁護支援策を全国どの地域でも実施するためには、社会福祉法の 社会福祉事業として位置づけ、実施責任を明確にする基盤整備が重要である。基盤を盤石なものにし、ニーズに対応できるよう事業を充実、拡大することは、国の責務である。 社会福祉事業に位置づけることは、事業の対象者と支援内容を明確にすることであるが、 公的財源を充当する事業を無制限に拡大することは難しい。事業による支援の優先性の判 断が求められ、ニーズはあるが事業の対象にはならないという事態が起こり得ることも想 定しなければならない。事業の枠組みを明確にする基盤整備は、同時に対象者を選別し、一 定の線引きを余儀なくされるというジレンマと直面することでもある。 また、多様な権利擁護支援ニーズ(保健医療、住まい、就労、教育、司法、金融等)の全てに社会福祉事業で応えることは不可能であり、社会福祉法の守備範囲を超えたニーズへ の対応は各法制度との連携が求められる。 このように社会福祉法における基盤整備は喫緊の課題であると同時に、限界があること を視野に入れ、多様な権利擁護支援ニーズに対応するための支援策は関係機関が横断的に、 かつ総合的に検討する必要がある。
(2)福祉事業者の意思決定支援義務、資質向上義務の明文化
「基本計画」では、権利擁護支援の共通基盤となる考え方として「意思決定支援」が位 置付けられ、各種ガイドラインの整備や研修が行われている。 社会福祉法は「社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項」(同法第 一条目的)を定める基本法であり、当然のことながら「意思決定支援」は福祉サービス提 供における共通的基本事項となるものと考える。同法第五条「福祉サービスの提供の原則」 には「利用者の意向を十分に尊重し」という文言があるが、これを更に具現化する基本的支援姿勢として「意思決定支援義務」と支援力の「資質向上義務」を明示することを提案したい。 「基本計画」に基づき、意思決定支援にかかる各種ガイドラインに共通する基本的な意 思決定支援の考え方について整理がなされ、保健、医療、福祉、介護、金融等の幅広い関 係者や地域住民に浸透するよう研修等で活用することが推奨されている。 しかし、そもそもの「意思決定支援の共通理解」がなされているとは言い難い状況であ る。そのために「意思決定支援」を法律に基づいたものとして整理することが必要である。 国が示している5つのガイドラインについて、必ずしも共有とはされていない根源的な考え方について、法律におとしこむべきことが求められるのではないだろうか。例えば、「ベストインタレストは代行決定であること」や、「結果よりもプロセス重視であること」、「意思決定支援を尽くした上での代行決定であること」などである。 こういった「意思決定支援義務」、「資質向上義務」をどの法律に明文化するのかは難しい議論と感じる。まずは、(3)で述べる成年後見制度利用促進法の改正でそれを盛り込む ことが可能かどうかの検討を求めたい。合わせて社会福祉法の条文にも明文化の検討を求めたい。既存の法律で整理が難しいのであれば、(5)で述べる共管法の検討も求められる。 福祉関係者は率先して研修等に取り組むべき関係者であり、社会福祉法に「意思決定支援義務」等が明示されることで、取り組みが進むことが期待できる。また「意思決定支援」 が法的に明文化され、この考え方が浸透することで、福祉サービス事業者による虐待等の 不適切な関わりの抑止につながることも期待したい。
(3) 「成年後見制度の利用の促進に関する法律」(成年後見制度利用促進法)の改正
成年後見制度利用促進法が施行されたことから国の取組みがここまで進んできた。この 法律の果たしてきた役割は大きいと実感するとともに、法律の名称が、法律の内容に合致 しているか、改めて問いたい。この法律の名称を聞いた市民あるいは専門職であっても、 「成年後見制度の利用者を増やすこと」や「首長申立をどんどん進めること」と勘違いすることが多いと感じる。この法律は大事な法律なので、第1条の目的を丁寧に説明し、法律の名称を説明しなければならないのが現状である。この法律の中身が一目瞭然、理解で きる名称「権利擁護総合支援法(仮称)」への変更を提言したい。 予定されている民法改正による成年後見制度の改革と連動して、成年後見制度利用促進 法も改正が必要となると考える。同法第三条基本理念の第1項では「意思決定の支援が適切 に行われる」ことを、同条第 3 項では「家庭裁判所、関係行政機関(法務省、厚生労働省、 総務省その他の関係行政機関をいう。以下同じ。)、地方公共団体、民間の団体等の相互の協力及び適切な役割分担の下に」必要な体制整備を行うことが規定されている。同法の骨格に は(5)で述べる共管法の要素が既に含まれていることから、共管法として整備しなおすことも視野に入れて、改正の検討をすることも可能ではないかと考える。「意思決定支援」や中 核機関設置の法的根拠となる条文を新設するなど、権利擁護の総合支援法として機能する よう、再編強化を検討することを提案したい。
(4) 「社会福祉法」の 2025 年改正で検討すべき事項
@ 第二条 3 項十二号「福祉サービス利用援助事業」の対象者 現行法では、「精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者」を対象としてい る。「精神上の理由」という規定は、福祉関係者のみならず社会一般的に医学モデルを前 提としていると捉えがちであるため、障害者権利条約をふまえた社会モデルを基調とした捉え方にわれわれが認識を改めることが求められる。 2(1)で述べたように社会福祉の対象者をどのように考えるかは、かなり大きなパラダイ ムシフトとなるため、慎重な検討が求められると考える。 また「無料又は低額な料金で」とあり、低所得者を対象とした福祉事業とも読める。財産の多寡に関わらず、誰もが利用を必要とする可能性があり、事業の継続性を担保するう えでも費用負担の在り方の検討とともに条文を見直すべきである。 A第八十一条「都道府県社会福祉協議会の行う福祉サービス利用援助事業等」の実施主体 1(2)で述べた日常生活自立支援事業の根拠条文で、実施主体は都道府県社会福祉協議会 (指定都市社会福祉協議会)である。「都道府県の区域内においてあまねく福祉サービス 利用援助事業が実施されるため」という目的があるものの、都道府県社会福祉協議会が市 町村社会福祉協議会に委託をして実施する事業形態は、地域のニーズに対応することが 難しい面もある。地域の実状に応じて、市町村社会福祉協議会が実施できることの検討と ともに条文を見直すべきである。また、実施主体の見直しと合わせて、事業実施に伴う財 源を明確化することも検討が必要である。 B「持続可能な権利擁護支援モデル事業」の根拠条文の新設 1(1)で述べた「持続可能な権利擁護支援モデル事業」を「新規福祉事業」として位置付 けるのであれば、社会福祉法に条文を新設することが妥当と考える。2025 年の改正で組 み込むことを視野にいれて、早急に検討を進める必要がある。 「福祉サービス利用援助事業」「日常生活自立支援事業」の見直しと連動して、「権利擁 護総合支援事業」としてモデル事業で示されたメニュー以外の支援メニューも明示する ことが必要である。
(5) 司法と福祉の連携を図るための法務省と厚生労働省の共管法の整備
成年後見制度(民法他関連法制)の管轄は法務省、成年後見制度以外の福祉分野の権利擁 護支援策の管轄は厚生労働省である。権利擁護支援体制を構築するためには、両者が連携す る必要があり、円滑な連携に必要となる事項の法的根拠を明確にするために、既存の法律の改正では対応できない部分があるとしたら、共管法を整備することを提案したい(下図参照)。 法的根拠を明確にすることが必要な事項としては、@適切な制度の利用につなぐための アセスメントとモニタリングの実施、Aそのために必要な情報を共有する仕組み、B中核機 関の機能、設置運営等、C意思決定支援の在り方、D後見報酬の在り方(3参照)、E苦情 等への対応などが想定される。 また、司法分野においてもソーシャルワーク機能が求められることから、社会福祉専門職 の配置、例えば家庭裁判所におけるソーシャルワーク機能の充実に向けての社会福祉士の 配置や活用なども併せて検討することを提案したい。

3.後見報酬の負担と助成の在り方
後見報酬の改訂については、意思決定支援や身上保護を重視したものとして最高裁判所 より新たな定期報告の書式が提示されるなど、財産管理に偏らない評価として見直しが進 むことが期待されている。その動向と連動しながら、後見報酬の負担の在り方、助成の在り 方を検討する必要がある。 「基本計画」では、成年後見制度利用支援事業が市町村により実施状況が異なるため、全国どの地域でも必要な人が成年後見制度を利用できるよう同事業の実施内容を早期に検討し、助成について必要な見直しを含めた対応を早期に検討することとしている。成年後見制度利用支援事業の現状を把握し、必要な見直しを進めることはもちろんであるが、同事業で 後見報酬を助成する仕組みには限界がある。市町村の取組みに委ねるような対応は見直すべきであり、国が成年後見制度利用支援事業のあるべき水準を示し、市町村が実施できるような財源の確保をすべきである。しかしそのためには現状の後見報酬の負担の在り方では 限界が容易に予想されるため、利用する人の報酬の負担の在り方について、抜本的な見直し が求められる時期にきていると考える。 後見報酬の負担の在り方については、後見報酬のどの程度までを本人負担とすることが 妥当かを検討する必要がある。後見制度を必要とする人の多くは、介護保険や福祉サービスを利用する人と重なっており、後見報酬だけが全額自己負担であることから、制度の利用を躊躇したり、使いたくないという感覚になっていることが少なくない。全国どこに居住していても同じ権利擁護の支援が受けられるセーフティネットが機能するためには、社会全体 でどのように権利擁護支援を必要とする人を支え合うのか、真の地域共生社会の実現のた めに、私たち一人一人が他人事ではなく我が事として考え、社会保障の一環として後見報酬 を社会的に負担する仕組みを導入することの検討を提案したい。 成年後見制度が大きく変わろうとしている時代のなかで、民法改正の前に、社会福祉関係 者が取り組むべき課題は大きいが、本会も都道府県社会福祉士会とともにそれぞれの地域 にしっかりと関与する職能団体であり続けるとともに、一人ひとりの社会福祉士がそれぞ れの立場・役割を果たすことを改めて認識したい。             以上

次回も続き「参考資料9 各委員提出資料・委員意見」からです。

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