成年後見制度利用促進専門家会議 第2回地域連携ネットワークワーキング・グループ [2022年11月20日(Sun)]
成年後見制度利用促進専門家会議 第2回地域連携ネットワークワーキング・グループ(令和4年10月31日)
≪議事≫(1)有識者等による報告 (2)最高裁判所による報告 (3)意見交換 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28698.html ◎資料1 地域連携ネットワークワーキング・グループA検討項目 1 論点 →対応困難事案に関すること 2 検討事項(第二期基本計画抜粋)→国及び専門職団体は、このような(中核機関が関係者と認識を共有できな い)事案に関して、市町村・中核機関が関係機関・関係団体と連携しながら 対応できるようにするための方策を検討する。(P46) 3 今回の検討項目→専門職団体や家庭裁判所に寄せられる後見人等に関する対応困難な相談の内容及びその対応について 機関間の連携方策について (参考)検討スケジュール等(案)↓ <令和4年度> 第1回ワーキング・グループ(令和4年9月2日)→中核機関や市町村に寄せられる後見人等に関する対応困難な相談の内容及びその 対応について 第2回ワーキング・グループ(令和4年10月31日)→専門職団体や家庭裁判所に寄せられる後見人等に関する対応困難な相談の内容 及びその対応について→機関間の連携方策について 第3回ワーキング・グループ(令和5年1月30日)→後見人等に関する相談に関する中核機関・市町村・専門職団体・家庭裁判所の役 割及びこれに応じた対応フロー等の整理について <令和5年度> 第4回ワーキング・グループ(令和6年1月頃)→中核機関や市町村、専門職団体による試行結果及び裁判所における取組状況につ いて <令和6年度> →中間検証 ◎資料2 有識者等報告資料「社会福祉士会における後見人等選任後の相談対応 について」(公益社団法人日本社会福祉士会 理事 星野美子 氏) ○社会福祉士会について→47都道府県が独立した法人格をもつ、連合体組織 =正会員は日本社会福祉士会と47都道府県社会福祉士会 →名称独占の国家資格のため、任意加入となる。 会員数:44,766入会率:16.54%(2022年8月末) ・ぱあとなあ(成年後見人等受任者)名簿登録者数:8,196名(2021年2月)→ 受任件数: 28,726件(2021年2月) ○都道府県社会福祉士会への 緊急アンケートの実施(期間:9月2日〜9月末日まで) ・後見人等の選任後の相談事案について→「誰から・どのような内容」は@〜B参照。 ・社会福祉士会で対応できるもの→「どのような内容・対応」は@〜B参照。 *昨今増えているのは、会員からの辞任の相談 ・他機関と連携して対応したもの→「どのような内容 ・対応」は@〜C参照。 ・対応が困難で継続しているもの →「どのような内容・対応」は@〜B参照。 ○情と情報提供や意見要望等を 峻別して対応する仕組み ・会は、法人として監督人に選任されない限り、会員に対する監督機 能はないが、名簿登録を行う職能団体として、さまざまな観点から 会員への支援やサポートを行っている ・社会福祉士会は会員が倫理綱領・行動規範に沿った活動をしていな い場合、苦情申立ができるように仕組みを整えている。 ・被後見人等本人に明らかな不利益が生じている場合は、苦情申立が できることを案内し、事実調査を行い、処分が出された場合、公表。(公表内容は都道府県士会の規程による) ・苦情申立に至らない段階から中核機関(家裁も入った地域連携ネッ トワーク)と連携し、さまざまな視点から検討できる体制整備に専 門職団体として参画していく → プレイヤー(受任者)からコーディネーター(地域連携 ネットワークへつなぐ)へ → ミクロの実践(個別課題)からメゾの実践(地域課題)へ ○専門職団体としての今後の取組予定→苦情への対応に至る前の取組が重要。後見人等が選任された後の相談体制を考える前提として、選任時 の状況や選任前の制度の必要性の判断がどのように行われたのか ・ 関係者からの相談が全く入ってこない県士会も。また、 会員の後見業務への支援⇒「解決できない課題はない」と回答している県士会もある。会員の後見業務支援につ いてのニーズキャッチをするためには、県士会の相談体制を 強化する必要があると考えている ・ 候補者の推薦をするだけではなく、市町村・中核機関が行う制度の必要性の検討をする会議に関与をして、後見人等と現 場の支援者の「すれ違い」を解消していけるような助言をす る人材育成することが、ぱあとなあに求められる機能である と考えている ・これまでと同様、さらに意思決定支援にかかる研修を都道府 県単位で実施していく ○他機関への希望 家庭裁判所→これまで以上に意見交換や情報交換の場をもつとともに、個別案件への対応について、意 思決定支援を踏まえた実情を理解していただ きたい(こちらも伝えるためのスキルアップ が求められると認識) 中核機関等→ 支援検討のための仕組みづくりや検討会議の場へ、第三者としての福祉専門職の参加要請 をしてほしい。 専門職団体→これまで以上に事例検討会や研修等、地域で 協働できる体制を(特に選任後のモニタリン グについては専門職団体が率先して働きかけ る必要性が大きい)。苦情申立の受付・機関について→ 既存の仕組みを活用しながらさらに第三者性を担保した苦情受付窓口の設置を(市町村単位または都道府県単位 そこに専門職団体が協力する) ○苦情となった個別案件の対応だけではなく、苦情となる前の体制づくりを意識した 家庭裁判所・自治体との連携例↓ 【選任の現状】→候補者の推薦は申立前に関係機関から入る割合が約9割(ほぼ推薦通りに選任がされる)、家庭裁判所に一任とされ、家庭裁判所から推薦依頼がくるものが約1割。【課題】→候補者の推薦に時間がかかること。結果として推薦できなかったり、社会福祉士が適任と家裁が判断しても、他団体や他の専門職に依頼することに なった案件が複数存在することについて、家裁よりぱあとなあに課題の共 有と対応方法を検討したいという申し入れがあった ○【協議検討内容と今後の取組に向けて】 ・そもそも申立てに至る前の後見制度の必要性はどう判断されたのか ・速やかに審判を出したい家裁と、候補者推薦を丁寧に行いたいぱあとなあの思いのすりあわせ → 順番に推薦する、誰でもいいから推薦するということになっていいのか。 → 無理に受任した結果としてミスマッチングから開始後の苦情に至る場合もある。 ・社会福祉士に求められる事案の特徴の共有(すぐに課題解決が難しい身上保護の課題) ・推薦前に本人情報シートの内容を開示できないか(家裁:今後の検討課題) ・社会福祉士会として、申立前の段階から地域の検討支援会議等に参加できるよう重点的に取り組む 地域を選定し、中核機関等と協議をしていく ・中核機関で入り口の相談や、支援チーム形成支援に先進的に取り組んでいる自治体(中核機関)の 情報を、東京都や東京家裁が中心となって、ブロックごとに開催される連携会議で報告を求めていく ↓ ↓ ↓ 第二期基本計画を受け、後見人の柔軟な交代や追加選任等、本人にとって必要な支援につなげられるた めの情報共有や意見交換を今後も継続していく。 ◎資料3 有識者等報告資料「リーガルサポートにおける司法書士後見人選任後の相談事案・対応困難事案について」(公益社団法人成年後見センタ ー・リーガルサポート 副理事長 西川浩之 氏) ○後見人選任後の相談事案について→「誰から」「 どのような内容」で、1〜6まで参照。 ○リーガルサポートにおける後見人選任後の相談受付体制→全国の50支部において 地域活動を行っており、 各支部において 相談を受け付け。 ○相談事案、特に対応困難事案への対応について→役員・委員による相談者からの聴き取りにより、概ね次の3種類に分類⇒(1) 情報提供者の主張は、明らかに成 年後見制度の目的とは相容れない ような主張、成年後見制度への理 解が十分でないことによる誤解に 基づく意見、筋違いのクレーム等 だった。 相談事案、特に対応困難事案への対応について 役員・委員による相談者からの聴き取りにより、概ね次の3種類に分類できる (2) 後見人の裁量の範囲内の行為だ としか言いようのないものだっ た。 (3) 後見人の事務の在り方に疑問 を抱かざるを得ない(or 疑問を 抱く余地のある)ものだった。 ○相談事案、特に対応困難事案への対応について→(1)〜(3)いずれの場合も↓ (a)情報提供者・相談者の理解・納得が得られ、課題が解決するケースもあれば、(b)情報提供者・相談者の理解・納得が得られず、課題が解決に至らないケースも。 (b)の場合には、情報提供者・相談者に対して、他の取り得る 手段を紹介することも…。例えば、無料の法律相談、司法書士会の 紛議調停、法務大臣への懲戒申立て。 ○事例紹介(実際の事例をアレンジしたものを紹介します)↓ (1) 明らかに成年後見制度の目的とは相容れないような主張、相談者・情報提供者の 成年後見制度への理解が十分でないことによる誤解に基づく意見、筋違いのク レームのようなものだった。⇒対応の結果・・・(A)〜(C)参照。Aの不満が会員の説明不足(不十分)に起因すると思われる場合。 (2)後見人の裁量の範囲内の行為だとしか言いようのないものだった。⇒対応の結果・・・(A)〜(C)参照。 (3)後見人の事務の在り方に疑問を抱かざるを得ない(or 疑問を抱く余地がある) ものだった。⇒@〜D参照。 ・これらのほとんどは、後見事務の方針について、支援者間に意見の相違があるケースであり、甲の 後見事務の在り方に疑問を抱く余地のあるパターン。 仮に会員甲の言い分にもっともな部分があったとしても、チーム支援に支障が生じているのも事実。⇒(ア) ・「辞めてほしい」「辞めさせてほしい」という主張がされることもあるが、明らかな不正が判明し ている場合等、解任事由(不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由)があると 思われる場合でない限り、会員に対して辞任(許可の申立て)を促すことは難しい。⇒(イ)【甲が後見事務の経験が浅い会員である場合】 ○家庭裁判所との連携→家庭裁判所・中核機関との連携がうまくいった例 参照。 ⇒LSは、会員からの業務報告により、会員が受託している後見等事件の概要を把握している。これにより会員の受託事件の管轄裁判所や受任経路(依頼元・申立人の属性等)が確認できるため、早期に家 庭裁判所及び中核機関に連絡をとることができた。 また、このケースでは、会員と連絡をとることができたため、会員の同意を得て、LSから家庭裁判所 及び中核機関に連絡をすることができた。 家庭裁判所及び中核機関においても、後見事務が滞ることを回避するため、速やかに情報を共有し、 遅滞なく後任の後見人が選任された。 ○家庭裁判所との連携→家庭裁判所・中核機関との連携がうまくいかなかった例 参照。 ⇒家庭裁判所からの情報提供により、関係者への対応の困難さに起因する会員自身の心身の疲弊と業務遅滞の事実を確 認することができ、会員に一定の助言等を行ったが、それ以上の支援・介入は難しく、その後(LS支部から見れば突 然)会員が解任されたとの情報に接することになり、結果的に後見事務に空白期間が生じてしまった。 当該会員は他にも何件かの事件の後見人等に選任されており、全ての事件において任務を解かれることとなったため、 他の後見等事件にも少なからぬ影響を与えることになった。 * 司法機関(中立公平な立場の判断機関)である家庭裁判所には、後見人と関係者との利害関係・人間関係の調整機 能を期待することは難しいかもしれない。しかし、だからこそ、専門職団体や中核機関等の関係機関との早期の連 携により、専門職団体等が後見人と関係者の間に入って、両者に対して一定の働きかけをしたりして利害関係・人間 関係の調整をすることができれば、解任という事態は避けられたのではないか。 ○リーガルサポート(支部・本部)が現在行っている苦情対応↓ 【支部】会員に対して苦情の申出があった場合の対応→ @ 苦情申出人・会員の双方から支部担当者が事情を聴取 A 苦情申出人に誤解・誤認識がある場合は、支部担当者から苦情申出人に説明 B 会員に非がある場合は、支部担当者から会員に指導⇒⇒ 支部から本部に「苦情受付シート」提出 。 【本部】支部から提出された「苦情受付シート」に基づき、 @ 支部の対応を確認・必要に応じて本部から支部に助言 A 支部から寄せられた苦情情報を集約(ex. ヒヤリハット事例) → 事例検討会、研修等の機会を通じて会員に提供 ○当法人がこれまでに行ってきた意思決定支援に関する研修等↓ @(R2年度実施)後見人等候補者名簿登載者の名簿登載更新時の必修研修(120分) 「意思決定支援をふまえた後見実務の実際」(R2.11.17収録) 講師:水島俊彦 弁護士、藤江美保 司法書士、西川浩之 司法書士 *令和3年3月支部にDVD配付・令和3年7月オンデマンド研修配信済み A 令和3年度 指定研修(名簿登載・更新時の必修研修)(120分) 「『意思決定支援を踏 まえた後見事務のガイドライン』の策定・公表と専門職後見人 に期待される役割」(R3.4.25実施・収録) 講師:西川浩之 司法書士、安藤千晶 社会福祉士 *令和3年7月に支部にDVD配付・令和3年7月オンデマンド研修配信済み B 令和3年度「意思決定支援連続研修会」〔R3.7月〜11月・全5回〕(合計510分) ア「権利擁護としての意思決定支援」講師:上山泰 新潟大学法学部教授(90分) イ「意思決定支援と代行決定」講師:水島俊彦 弁護士(90分) ウ「『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン』の解説」(90分) 講師:西川浩之 司法書士 エ「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインにおけるプロセスの実際@ (意思決定支援)」(120分) ☆ディスカッション(グループワーク)形式 オ「同A(代行決定)」(120分)☆ディスカッション(グループワーク)形式 *国研修に参加できない会員に対する基礎的な研修の実施と本法人における意思決 定支援研修制度の在り方を検討するために東京支部と本部の共催で実施 (R3年度中に支部にDVD配付・ア〜ウはオンデマンド研修配信済み) C 意思決定支援シンポジウム(R3.1月〜3月収録・R3.3月〜6月配信)(合計230分) 基調講演1「『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン』策定の目的について」(20分) 講師:木村匡彦 最高裁判所 事務総局 家庭局 第二課長 基調講演2「意思決定支援に関する厚生労働省の取組」(40分) 講師:松ア俊久 厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 成年後見制度利用促進室 室長 基調講演3「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインを読み解く」(70分) 講師:水島俊彦 弁護士 パネルディスカッション 「後見事務における意思決定支援〜『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライ ン』の実務への定着を目指して〜」(100分) 登壇者:住田敦子 社会福祉士・西尾史恵 弁護士・星野美子 社会福祉士・岸川久美子 司法 書士(パネリスト) 水島俊彦 弁護士(アドバイザー)・西川浩之 司法書士(コーディネーター) ○専門職団体としての今後の取組予定→【支部】相談窓口の充実。【支部】関係者(市民や関係機関)からの相談に柔軟に対応できる体制作り。【支部】事例検討会等の機会の確保 → 相談事案・対応困難事案等への対応に関する会員の意識の向上を図る。【本部】事例検討会等で取り扱う事例の素材を提供する。【本部】後見人選任後の相談事案・対応困難事案等への対応としての会員のフォロー体制の構築の検討。【支部・本部】関係機関との連携体制の構築 ○他機関への希望↓ ・市町村・中核機関における相談窓口・相談体制の拡充→3点あり。市町村・中核機関にも協議 に加わってもらい、第三者的な立場からの助言、支援、指導等を求めるよう教示 することがあります。専門職後見人から相談があった場合にも、各機関において 対応する体制の拡充を御検討いただければ幸いです。 ・家庭裁判所とのLS支部との連携方法の確立→2点あり。 ・家庭裁判所とのLS支部との連携方法の確立→3点あり。家庭裁判所(ex. 家事調停)には、司法的機能のほかに、人間関係調整 機能があると言われています。法改正により後見監督事件においても家庭裁判所 調査官等による人間関係調整機能を発揮する仕組みが創設されれば…と思います。 次回も続き「資料4 有識者等報告資料」からです。 |