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成年後見制度利用促進専門家会議 第2回地域連携ネットワークワーキング・グループ [2022年11月20日(Sun)]
成年後見制度利用促進専門家会議 第2回地域連携ネットワークワーキング・グループ(令和4年10月31日)
≪議事≫(1)有識者等による報告 (2)最高裁判所による報告 (3)意見交換
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28698.html
◎資料1 地域連携ネットワークワーキング・グループA検討項目
1 論点 →対応困難事案に関すること
2 検討事項(第二期基本計画抜粋)→国及び専門職団体は、このような(中核機関が関係者と認識を共有できな い)事案に関して、市町村・中核機関が関係機関・関係団体と連携しながら 対応できるようにするための方策を検討する。(P46)
3 今回の検討項目→専門職団体や家庭裁判所に寄せられる後見人等に関する対応困難な相談の内容及びその対応について   機関間の連携方策について


(参考)検討スケジュール等(案)↓
<令和4年度>
第1回ワーキング・グループ(令和4年9月2日)→中核機関や市町村に寄せられる後見人等に関する対応困難な相談の内容及びその 対応について
第2回ワーキング・グループ(令和4年10月31日)→専門職団体や家庭裁判所に寄せられる後見人等に関する対応困難な相談の内容 及びその対応について→機関間の連携方策について
第3回ワーキング・グループ(令和5年1月30日)→後見人等に関する相談に関する中核機関・市町村・専門職団体・家庭裁判所の役 割及びこれに応じた対応フロー等の整理について
<令和5年度>
第4回ワーキング・グループ(令和6年1月頃)→中核機関や市町村、専門職団体による試行結果及び裁判所における取組状況につ いて
<令和6年度> →中間検証


◎資料2 有識者等報告資料「社会福祉士会における後見人等選任後の相談対応 について」(公益社団法人日本社会福祉士会 理事 星野美子 氏)
○社会福祉士会について
→47都道府県が独立した法人格をもつ、連合体組織 =正会員は日本社会福祉士会と47都道府県社会福祉士会 →名称独占の国家資格のため、任意加入となる。 会員数:44,766入会率:16.54%(2022年8月末)
・ぱあとなあ(成年後見人等受任者)名簿登録者数:8,196名(2021年2月)→ 受任件数: 28,726件(2021年2月)
○都道府県社会福祉士会への 緊急アンケートの実施(期間:9月2日〜9月末日まで)
・後見人等の選任後の相談事案について→「誰から・どのような内容」は@〜B参照。
・社会福祉士会で対応できるもの→「どのような内容・対応」は@〜B参照。
 *昨今増えているのは、会員からの辞任の相談
・他機関と連携して対応したもの→「どのような内容 ・対応」は@〜C参照。
・対応が困難で継続しているもの →「どのような内容・対応」は@〜B参照。

○情と情報提供や意見要望等を 峻別して対応する仕組み
・会は、法人として監督人に選任されない限り、会員に対する監督機 能はないが、名簿登録を行う職能団体として、さまざまな観点から 会員への支援やサポートを行っている
・社会福祉士会は会員が倫理綱領・行動規範に沿った活動をしていな い場合、苦情申立ができるように仕組みを整えている。
・被後見人等本人に明らかな不利益が生じている場合は、苦情申立が できることを案内し、事実調査を行い、処分が出された場合、公表。(公表内容は都道府県士会の規程による)
・苦情申立に至らない段階から中核機関(家裁も入った地域連携ネッ トワーク)と連携し、さまざまな視点から検討できる体制整備に専 門職団体として参画していく → プレイヤー(受任者)からコーディネーター(地域連携 ネットワークへつなぐ)へ → ミクロの実践(個別課題)からメゾの実践(地域課題)へ

○専門職団体としての今後の取組予定→苦情への対応に至る前の取組が重要。後見人等が選任された後の相談体制を考える前提として、選任時 の状況や選任前の制度の必要性の判断がどのように行われたのか
・ 関係者からの相談が全く入ってこない県士会も。また、 会員の後見業務への支援⇒「解決できない課題はない」と回答している県士会もある。会員の後見業務支援につ いてのニーズキャッチをするためには、県士会の相談体制を 強化する必要があると考えている
・ 候補者の推薦をするだけではなく、市町村・中核機関が行う制度の必要性の検討をする会議に関与をして、後見人等と現 場の支援者の「すれ違い」を解消していけるような助言をす る人材育成することが、ぱあとなあに求められる機能である と考えている
・これまでと同様、さらに意思決定支援にかかる研修を都道府 県単位で実施していく
○他機関への希望 家庭裁判所→これまで以上に意見交換や情報交換の場をもつとともに、個別案件への対応について、意 思決定支援を踏まえた実情を理解していただ きたい(こちらも伝えるためのスキルアップ が求められると認識)
中核機関等→ 支援検討のための仕組みづくりや検討会議の場へ、第三者としての福祉専門職の参加要請 をしてほしい。 専門職団体→これまで以上に事例検討会や研修等、地域で 協働できる体制を(特に選任後のモニタリン グについては専門職団体が率先して働きかけ る必要性が大きい)。苦情申立の受付・機関について→ 既存の仕組みを活用しながらさらに第三者性を担保した苦情受付窓口の設置を(市町村単位または都道府県単位 そこに専門職団体が協力する)
○苦情となった個別案件の対応だけではなく、苦情となる前の体制づくりを意識した 家庭裁判所・自治体との連携例↓
【選任の現状】→候補者の推薦は申立前に関係機関から入る割合が約9割(ほぼ推薦通りに選任がされる)、家庭裁判所に一任とされ、家庭裁判所から推薦依頼がくるものが約1割。【課題】→候補者の推薦に時間がかかること。結果として推薦できなかったり、社会福祉士が適任と家裁が判断しても、他団体や他の専門職に依頼することに なった案件が複数存在することについて、家裁よりぱあとなあに課題の共 有と対応方法を検討したいという申し入れがあった
○【協議検討内容と今後の取組に向けて】
・そもそも申立てに至る前の後見制度の必要性はどう判断されたのか
・速やかに審判を出したい家裁と、候補者推薦を丁寧に行いたいぱあとなあの思いのすりあわせ → 順番に推薦する、誰でもいいから推薦するということになっていいのか。 → 無理に受任した結果としてミスマッチングから開始後の苦情に至る場合もある。
・社会福祉士に求められる事案の特徴の共有(すぐに課題解決が難しい身上保護の課題)
・推薦前に本人情報シートの内容を開示できないか(家裁:今後の検討課題)
・社会福祉士会として、申立前の段階から地域の検討支援会議等に参加できるよう重点的に取り組む 地域を選定し、中核機関等と協議をしていく
・中核機関で入り口の相談や、支援チーム形成支援に先進的に取り組んでいる自治体(中核機関)の 情報を、東京都や東京家裁が中心となって、ブロックごとに開催される連携会議で報告を求めていく
   ↓  ↓  ↓
第二期基本計画を受け、後見人の柔軟な交代や追加選任等、本人にとって必要な支援につなげられるた めの情報共有や意見交換を今後も継続していく。


◎資料3 有識者等報告資料「リーガルサポートにおける司法書士後見人選任後の相談事案・対応困難事案について」(公益社団法人成年後見センタ ー・リーガルサポート 副理事長 西川浩之 氏)
○後見人選任後の相談事案について→「誰から」「 どのような内容」で、1〜6まで参照。
○リーガルサポートにおける後見人選任後の相談受付体制→全国の50支部において 地域活動を行っており、 各支部において 相談を受け付け。

○相談事案、特に対応困難事案への対応について→役員・委員による相談者からの聴き取りにより、概ね次の3種類に分類⇒(1) 情報提供者の主張は、明らかに成 年後見制度の目的とは相容れない ような主張、成年後見制度への理 解が十分でないことによる誤解に 基づく意見、筋違いのクレーム等 だった。 相談事案、特に対応困難事案への対応について 役員・委員による相談者からの聴き取りにより、概ね次の3種類に分類できる (2) 後見人の裁量の範囲内の行為だ としか言いようのないものだっ た。 (3) 後見人の事務の在り方に疑問 を抱かざるを得ない(or 疑問を 抱く余地のある)ものだった。
○相談事案、特に対応困難事案への対応について→(1)〜(3)いずれの場合も↓
(a)情報提供者・相談者の理解・納得が得られ、課題が解決するケースもあれば、(b)情報提供者・相談者の理解・納得が得られず、課題が解決に至らないケースも。 (b)の場合には、情報提供者・相談者に対して、他の取り得る 手段を紹介することも…。例えば、無料の法律相談、司法書士会の 紛議調停、法務大臣への懲戒申立て。
○事例紹介(実際の事例をアレンジしたものを紹介します)↓
(1) 明らかに成年後見制度の目的とは相容れないような主張、相談者・情報提供者の 成年後見制度への理解が十分でないことによる誤解に基づく意見、筋違いのク レームのようなものだった。⇒対応の結果・・・(A)〜(C)参照。Aの不満が会員の説明不足(不十分)に起因すると思われる場合。
(2)後見人の裁量の範囲内の行為だとしか言いようのないものだった。⇒対応の結果・・・(A)〜(C)参照。
(3)後見人の事務の在り方に疑問を抱かざるを得ない(or 疑問を抱く余地がある) ものだった。⇒@〜D参照。
・これらのほとんどは、後見事務の方針について、支援者間に意見の相違があるケースであり、甲の 後見事務の在り方に疑問を抱く余地のあるパターン。 仮に会員甲の言い分にもっともな部分があったとしても、チーム支援に支障が生じているのも事実。⇒(ア)
・「辞めてほしい」「辞めさせてほしい」という主張がされることもあるが、明らかな不正が判明し ている場合等、解任事由(不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由)があると 思われる場合でない限り、会員に対して辞任(許可の申立て)を促すことは難しい。⇒(イ)【甲が後見事務の経験が浅い会員である場合】

○家庭裁判所との連携→家庭裁判所・中核機関との連携がうまくいった例 参照。
⇒LSは、会員からの業務報告により、会員が受託している後見等事件の概要を把握している。これにより会員の受託事件の管轄裁判所や受任経路(依頼元・申立人の属性等)が確認できるため、早期に家 庭裁判所及び中核機関に連絡をとることができた。 また、このケースでは、会員と連絡をとることができたため、会員の同意を得て、LSから家庭裁判所 及び中核機関に連絡をすることができた。 家庭裁判所及び中核機関においても、後見事務が滞ることを回避するため、速やかに情報を共有し、 遅滞なく後任の後見人が選任された。
○家庭裁判所との連携→家庭裁判所・中核機関との連携がうまくいかなかった例 参照。
⇒家庭裁判所からの情報提供により、関係者への対応の困難さに起因する会員自身の心身の疲弊と業務遅滞の事実を確 認することができ、会員に一定の助言等を行ったが、それ以上の支援・介入は難しく、その後(LS支部から見れば突 然)会員が解任されたとの情報に接することになり、結果的に後見事務に空白期間が生じてしまった。 当該会員は他にも何件かの事件の後見人等に選任されており、全ての事件において任務を解かれることとなったため、 他の後見等事件にも少なからぬ影響を与えることになった。
* 司法機関(中立公平な立場の判断機関)である家庭裁判所には、後見人と関係者との利害関係・人間関係の調整機 能を期待することは難しいかもしれない。しかし、だからこそ、専門職団体や中核機関等の関係機関との早期の連 携により、専門職団体等が後見人と関係者の間に入って、両者に対して一定の働きかけをしたりして利害関係・人間 関係の調整をすることができれば、解任という事態は避けられたのではないか。

○リーガルサポート(支部・本部)が現在行っている苦情対応↓
【支部】会員に対して苦情の申出があった場合の対応→ @ 苦情申出人・会員の双方から支部担当者が事情を聴取 A 苦情申出人に誤解・誤認識がある場合は、支部担当者から苦情申出人に説明 B 会員に非がある場合は、支部担当者から会員に指導⇒⇒ 支部から本部に「苦情受付シート」提出 。
【本部】支部から提出された「苦情受付シート」に基づき、 @ 支部の対応を確認・必要に応じて本部から支部に助言 A 支部から寄せられた苦情情報を集約(ex. ヒヤリハット事例) → 事例検討会、研修等の機会を通じて会員に提供

○当法人がこれまでに行ってきた意思決定支援に関する研修等↓
@(R2年度実施)後見人等候補者名簿登載者の名簿登載更新時の必修研修(120分)
「意思決定支援をふまえた後見実務の実際」(R2.11.17収録) 講師:水島俊彦 弁護士、藤江美保 司法書士、西川浩之 司法書士 *令和3年3月支部にDVD配付・令和3年7月オンデマンド研修配信済み
A 令和3年度 指定研修(名簿登載・更新時の必修研修)(120分) 「『意思決定支援を踏
まえた後見事務のガイドライン』の策定・公表と専門職後見人 に期待される役割」(R3.4.25実施・収録) 講師:西川浩之 司法書士、安藤千晶 社会福祉士 *令和3年7月に支部にDVD配付・令和3年7月オンデマンド研修配信済み
B 令和3年度「意思決定支援連続研修会」〔R3.7月〜11月・全5回〕(合計510分) ア「権利擁護としての意思決定支援」講師:上山泰 新潟大学法学部教授(90分) イ「意思決定支援と代行決定」講師:水島俊彦 弁護士(90分) ウ「『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン』の解説」(90分) 講師:西川浩之 司法書士 エ「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインにおけるプロセスの実際@ (意思決定支援)」(120分) ☆ディスカッション(グループワーク)形式 オ「同A(代行決定)」(120分)☆ディスカッション(グループワーク)形式 *国研修に参加できない会員に対する基礎的な研修の実施と本法人における意思決 定支援研修制度の在り方を検討するために東京支部と本部の共催で実施 (R3年度中に支部にDVD配付・ア〜ウはオンデマンド研修配信済み)
C 意思決定支援シンポジウム(R3.1月〜3月収録・R3.3月〜6月配信)(合計230分) 基調講演1「『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン』策定の目的について」(20分) 講師:木村匡彦 最高裁判所 事務総局 家庭局 第二課長 基調講演2「意思決定支援に関する厚生労働省の取組」(40分) 講師:松ア俊久 厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 成年後見制度利用促進室 室長 基調講演3「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインを読み解く」(70分) 講師:水島俊彦 弁護士 パネルディスカッション 「後見事務における意思決定支援〜『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライ ン』の実務への定着を目指して〜」(100分) 登壇者:住田敦子 社会福祉士・西尾史恵 弁護士・星野美子 社会福祉士・岸川久美子 司法 書士(パネリスト) 水島俊彦 弁護士(アドバイザー)・西川浩之 司法書士(コーディネーター)

○専門職団体としての今後の取組予定→【支部】相談窓口の充実。【支部】関係者(市民や関係機関)からの相談に柔軟に対応できる体制作り。【支部】事例検討会等の機会の確保 → 相談事案・対応困難事案等への対応に関する会員の意識の向上を図る。【本部】事例検討会等で取り扱う事例の素材を提供する。【本部】後見人選任後の相談事案・対応困難事案等への対応としての会員のフォロー体制の構築の検討。【支部・本部】関係機関との連携体制の構築

○他機関への希望↓
・市町村・中核機関における相談窓口・相談体制の拡充→3点あり。市町村・中核機関にも協議 に加わってもらい、第三者的な立場からの助言、支援、指導等を求めるよう教示 することがあります。専門職後見人から相談があった場合にも、各機関において 対応する体制の拡充を御検討いただければ幸いです。
・家庭裁判所とのLS支部との連携方法の確立→2点あり。
・家庭裁判所とのLS支部との連携方法の確立→3点あり。家庭裁判所(ex. 家事調停)には、司法的機能のほかに、人間関係調整 機能があると言われています。法改正により後見監督事件においても家庭裁判所 調査官等による人間関係調整機能を発揮する仕組みが創設されれば…と思います。

次回も続き「資料4 有識者等報告資料」からです。

第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年11月19日(Sat)]
第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年10月31日)
≪議事≫(1)子どもの貧困への対応について (2)居住支援のあり方について (3)支援を担う体制づくり及び人材育成等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28862.html
◎資料4 委員提出資料
◎大西委員  施設における支援機能の強化・充実について

・現在、全国救護施設協議会では個別支援計画に基づく支援を推進。救護施設が行う地域移行等に向けた支援をさらに充実し、利用者 の自己実現と自立を支えるため、個別支援計画作成の制度化、福祉事務所との連携強化が重要と考える。さらに、たとえば個別支援計画作成の習熟やスーパービジョンの実施等、職員の確保・育成や支援の質の向上のための取り組みもお願いしたい。
・救護施設では、就労経験が無い利用者等に対する就労意欲の醸成に関する支援、就労に向けた生活習慣の確立に向けた支援、ハローワーク等 への同行、就労後のフォローアップ等、就労への意識づけから職場定着まで段階的な支援を行っている施設もある。たとえば就労を支援する職員の配置等、就労支援施策の強化はこれらの取り組みを後押しするものになると考えられる。
○地域共生社会の実現をめざす(地域移行・地域定着支援の過程)
・個別支援計画作成の制度化によるフィードバックと連携の強化→利用者と支援者で作成していたものに福祉事務所が加わることで、本人 の自立と自己実現に向けた道筋を総合的にデザインすることができる。
・アセスメント機能の活用→被保護者等が一時的に救護施設を利用することで、課題と目標を的 確にアセスメントでき援助方針や指導援助の実効性を高められる
・通所事業の拡充(地域枠)による 地域の被保護者等への支援→他制度での支援になじまない方等が地域で安心して生活するためのセーフティネットとして機能することができる
・就労支援の強化へ。


◎奥田委員  奥田知志(NPO 法人抱樸)
1, 生活困窮者自立支援法における居住関係(一時生活支援事業)の改正時期について再検討。
→住宅セーフティネット法改正に合わせ、生活困窮者自立支援法における居住支援(一時生 活支援事業)関係の改正を延期すべき。居住支援は「物件確保」と「ケア」が一体的に行われることが原則。基本的には「物件確保」は 国交省施策、「ケア」は厚労省施策が担当。 しかし、生活困窮者自立支援法改正は 2023 年。住宅セーフティネット法の改正は 2024 年とされている。さらに全世代型社会保障に関する議論の中でも「すまい保障」の議論が現在進んでいる。五月雨式に施策を打ち出すのではなく一体的に実施すべき。 一体的実施に関して既存の「三省協議会」がキチンと機能することが重要。
2, 居住支援の対象者がホームレスを含む「居住困難者」であることを自治体が理解するための方 策が必要である。同時に、すべての基礎自治体が「居住支援事業」を実施できるようにする。→自治体の「『一時事業』実施しない理由」は、「対象者なし」が 55%。しかし、「一時事業」未実施自治体で「住まいの不安定新規相談あり」86%となっており、ほぼ、すべての自治体で「居住 支援」ニーズが確認されている。しかし、「一時」事業を実施している自治体は、36%に留まっている。 すべての自治体で「居住支援事業(一時事業等)が必要。今後、その方向に向かうた めの方策が必要。小規模自治体においては、広域実施が出来る体制を整える。
3,事業名称の変更と事業の枠組みについて→現在一体的に実施されている「一時生活支援事業」と「地域居住支援事業」を選択可能にすることは賛成。 しかし、両事業は、本質的には一体的であるべき。両事業の統一性を表現するために統合 的名称を「居住支援事業」とし、その中に上記二事業を位置付ける。 「ホームレスがいない」ことが「地域居住支援事業のみの選択」と思われるが、この「ホームレス がいない」の根拠をどこに置くかは問題。(A・B 自治体のホームレス実態調査・ホームレス保護申請人数2019・2020年あり)。
さらに、ホームレス未経験で「今日行き場がない人」は、今後増えると思われる。例えばホテ ルやネットカフェでしのいでいる人など。それらの状態の人に対応できるのは、「一時生活支援 事業」となるので、やはり、本来は、一体実施されることが望ましい。その受け皿としては、公的シェルターが望ましいが、ホテル、無低、日住、福祉施設の空き部屋などの活用が考えられる。これらの費用の確保は全自治体で確保すべき。このことについて は、広域実施の仕組みを推奨することも検討する。
4,自立相談事業に居住支援専門員を配置する→居住支援法人への委託を可能にする。居住に関する相談窓体制の拡充
5,地域居住支援事業の拡充→現在の事業内容@〜B記に加え以下の事業内容も付加する⇒居住に関する支援計画・社会資源への繋ぎ・居住関係団体等との連携ステージ構築・社会参加支援と地域づくり―サードプレイス。
6,自立相談支援員に対する居住支援に関する研修実施→国研修等に居住支援のカリキュラムを加える
7,生活困窮者・ホームレス自立支援センターの拡充→改修補助。「ホームレス仕様」から「居住支援仕様」へ。
8,住まいの困りごと相談窓口(すまこま)の体制強化→体制拡充。そもそも生活困窮者制度が知られていないことも問題。「住まいの相談」に限らず困窮制度に 関する情報発信の事業を「すまこま」が担い、情報を届けると同時に相談者に対して近隣の自 立相談窓口を紹介・つなぐという、二つの機能を持たせてはどうか。
9,一時生活支援事業の拡充 ☞現状の事業内容(生困法 3 条 6)→宿泊場所の供与、食事の提供その他当該宿泊場所において日常生活を営むのに必要な 便宜として厚生労働省令で定める便宜を供与。一時生活支援事業において現金給付も検討すべき。日常生活は社会参加が前提。社会生 活を営む費用の確保。就職活動などにも当然費用は必要となる。
10,住居確保給付金の拡充→ 恒久化。条件緩和―特に収入基準が低すぎる(厳し過ぎる)。手前で助けるのが原則。
11,生活保護窓口に居住支援専門員の配置と CW 研修に居住支援研修実施→今後の保護増加・転居指導に対応するための体制を強化する。 居住支援に関する業務を居住支援法人に委託できるようにする。 ☞CW の研修に居住支援に関するカリキュラムを入れる。
12,生活保護申請期間中の居住等の確保→保護申請期間中は一時生活支援事業を利用できることになっているが、「一時」実施自治体は 36%に過ぎない。これでは、保護申請中に野宿状態、あるいは野宿になる可能性がある。す べての自治体で保護申請期間の「一時生活支援事業」利用を可能すること。 未実施自治体においては、保護制度の中に一時生活支援事業に当たる事業を創設する。
13,日常生活支援住居施設の拡充→「日住」を新規に創設するための「立ち上げ補助金」の創設。「支援費(委託費)」の定期的見直し体制。地域の「民賃」に暮らす被保護者に対して日常生活支援が必要な人にアウトリーチ型の支援 が出来るようにする―「ソフト型日住」の創設。日住の強みは、日常生活支援にある。必ずしも運営者が「住居施設」を持たなくてもソフト提供体制があれば「民賃」でも実施可能。     以上。


◎参考資料1 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法 律等の一部を改正する法律案(概要)
・改正の趣旨
→@障害者等の地域生活の支援体制の充実、A障害者の多様な就労ニーズ に対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進、B精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備、C難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の 充実及び療養生活支援の強化、D障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベースに関する規定の整備等の措置を講ずる。
・改正の概要(赤枠のみ)→2.障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進【障害者総合支援法、障害者雇用促進法】 @ 就労アセスメント(就労系サービスの利用意向がある障害者との協同による、就労ニーズの把握や能力・適性の評価及び就労開始後の配慮事項等の整理)の手法 を活用した「就労選択支援」を創設するとともに、ハローワークはこの支援を受けた者に対して、そのアセスメント結果を参考に職業指導等を実施する。
・施行期日→令和6年4月1日(ただし、2@の一部は公布後3年以内の政令で定める日)
○参考:就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等
・現状・課題→障害者の就労能力や適性等については、必ずしも質が担保されていない面がある。就労を希望する障害者のニーズや社会経済状況が多様化している中で、障害者が働きやすい社会を実現するため、一人一人の障害者 本人の希望や能力に沿った、よりきめ細かい支援を提供することが求められている。
・見直し内容→就労選択支援の創設(イメージは下図→「新たなサービス(就労選択支援)参照)」⇒障害者本人が就労先・働き方についてより良い選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力 や適性等に合った選択を支援する新たなサービス(就労選択支援)を創設する(障害者総合支援法)。 ハローワークはこの支援を受けた者に対して、アセスメント結果を参考に職業指導等を実施するものとする(障害者雇用促進法)。  就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用⇒企業等での働き始めに勤務時間を段階的に増やしていく場合や、休職から復職を目指す場合(※)に、その障害者が一般就労中 であっても、就労系障害福祉サービスを一時的に利用できることを法令上位置づける(障害者総合支援法)。 (※)省令で規定。  雇用と福祉の連携強化⇒ 一般就労への移行・定着支援をより一層推進するため、市町村や障害福祉サービス事業者等の連携先として、障害者就業・生活 支援センターを明示的に規定する(障害者総合支援法)。


◎参考資料2 自殺総合対策大綱(概要)
○「自殺総合対策大綱」のポイント
→自殺対策基本法が成立した平成18年と、コロナ禍以前の令和元年の自殺者数を比較すると男性は38%減、女性は35%減、これまでの取組みに一定の効果が考えられる。(平成18年:32,155人→令和元年:20,169人)。自殺者数は依然として毎年2万人を超える水準で推移しており、男性が大きな割合を占める状況は続いているが、更にコロナ禍の影響で自殺の要因となる様々な問題が悪化したことなどにより、女性は2年連続の増加、小 中高生は過去最多の水準となっていることから、今後5年間で取り組むべき施策を新たに位置づける。
1 子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化→5項目あり。令和5年4月に設立が予定されている「こども家庭庁」と連携し、子ども・若者の自殺対策を推進する体制を整備。
2 女性に対する支援の強化→妊産婦への支援、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた女性の自殺対策を「当面の重点施策」に新たに位置づけて取組を強化。
3 地域自殺対策の取組強化→地域の関係者のネットワーク構築や支援に必要な情報共有のためのプラットフォームづくりの支援。
4 総合的な自殺対策の更なる推進・強化→新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進。 ➤ 国、地方公共団体、医療機関、民間団体等が一丸となって取り組んできた総合的な施策の更なる推進・強化。

○「自殺総合対策大綱」の概要→第 2 自殺の現状と自殺総合対策における基本認識⇒新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進(新)→「自殺への影響について情報収集・分析」「ICT活用を推進」「女性、無業者、非正規雇用労働者、ひとり親、フリーランス、児童生徒への影響 も踏まえた対策」
・このほかにも「第 3 自殺総合対策の基本 方 針」「第 4 自殺総合対策における当面の重点施策」「第5 自殺対策の数値目標」「第6 推進体制等」あり。

○参考:自殺総合対策大綱(抄)(令和4年10月14日閣議決定)
第3 自殺総合対策の基本方針
2.関連施策との有機的な連携を強化して総合的に取り組む
<地域共生社会の実現に向けた取組や生活困窮者自立支援制度などとの連携>
→制度の狭間にある人、複合的な課題を抱え自ら相談に行くことが困難な人などを地 域において早期に発見し、確実に支援していくため、属性を問わない相談支援、参加 支援及び地域づくりに向けた支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」の実施 など、地域共生社会の実現に向けた取組を始めとした各種施策との連携を図る。 地域共生社会の実現に向けた施策は、市町村での包括的な支援体制の整備を図ること、住民も参加する地域づくりとして展開すること、状態が深刻化する前の早期発見 や複合的課題に対応するための関係機関のネットワークづくりが重要であることなど、 自殺対策と共通する部分が多くあり、両施策を一体的に行うことが重要である。 加えて、こうした支援のあり方は生活困窮者自立支援制度においても共通する部分 が多く、自殺の背景ともなる生活困窮に対してしっかりと対応していくためには、自殺対 策の相談窓口で把握した生活困窮者を自立相談支援の窓口につなぐことや、自立相 談支援の窓口で把握した自殺の危険性の高い人に対して、自殺対策の相談窓口と協 働して、適切な支援を行うなどの取組を引き続き進めることなど、生活困窮者自立支援 制度も含めて一体的に取り組み、効果的かつ効率的に施策を展開していくことが重要 である。

次回は新たに「成年後見制度利用促進専門家会議 第2回地域連携ネットワークワーキング・グループ」資料からです。

第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年11月18日(Fri)]
第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年10月31日)
≪議事≫(1)子どもの貧困への対応について (2)居住支援のあり方について (3)支援を担う体制づくり及び人材育成等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28862.html
◎資料3 支援を担う体制づくり及び人材育成等について
○生活困窮者自立支援における都道府県や中間支援組織等に よる自治体支援について
【現状と課題】
→平成30年改正により、市等の職員に対する研修等の事業を行うことが都道府県の努力義務とされた。これを受けて創設された「都道府県における市町村支援事業」により、市町村への支援として、@市町村の支援従事者に対する人材養成研修の実施、A市町 村が各種事業を効果的・効率的に実施するための体制整備への支援、B相談員同士が市域を超えて困難事例に関する意見交換やケース検 討等を行う場の構築等を行っている。 しかし、「都道府県研修の開催」や「任意事業実施促進の働きかけ」は多くの都道府県が行っている一方で、支援員に向けた支援である「スーパーバイズ」 や「多職種も含めたネットワークづくり」は実施率が低調。国ではノウハウが十分に蓄積されていない都道府県をサポートしたり、市町村に直接ノウハウの伝達・助言等を行ったりするため、都道府県・市町村に専門スタッフを派遣し、事業実施上のノウハウ伝達や困難ケースへの対応に関する助言(自治体・支援員向けのコンサ ルティング)を行っている。就労準備・家計改善の事業実施に向けた支援を中心に、令和元年〜3年度で延べ141自治体に支援を実施。こうした中、一部の地域においては、民間組織等を中心とした支援者ネットワーク(いわゆる中間支援組織)が構築され、支援員同士の 情報共有や、ノウハウ支援、支援員向けのスーパーバイズ等の幅広い活動が行われている。平成30年改正において、福祉事務所を設置していない町村を対象に、生活困窮者からの相談に応じるなど一次的な相談支援を実施するた めの事業を創設したが、実施町村数は令和3年度実績で880町村中40町村と低調。町村の一次的な相談支援の実施上の課題⇒支援員の確保や、材育成等が挙げられている。
【考え方】→人が人を支える生活困窮者自立支援制度において、各種事業を担う支援員は、法の理念に基づく支援を支える重要な基盤であることか ら、支援員の質の向上はもとより、バーンアウトを防ぐことが重要。そのため、国の自治体コンサルや都道府県による支援の実施ととも に、支援員同士のネットワークを推進すること等により、支援員に向けた支援を強化することが必要。 福祉事務所未設置町村は、相談窓口へのアクセスを容易にする観点から、引き続き一次的な相談窓口の設置を推進する必 要がある。
【論点】→支援員に向けた支援を強化する観点から、例えば中間支援組織による支援や自治体コンサルティングの活用を推進してはどうか。 福祉事務所未設置町村における一次的な相談窓口の設置を推進するためには、どのような方策が考えられるか。

○生活困窮者自立支援における人材養成研修のあり方について
【現状と課題】
→現在の人材養成研修では、主に自立相談支援事業の初任者を対象として、国による研修(前期研修)と都道府県による研修(後期研修) を実施しており、国研修・都道府県研修の受講後、都道府県から修了証が発行。都道府県研修は、その細かな内容は都道 府県の裁量に委ねられており、また、ブロック別研修(国事業)による代替も可能。このほか、国においては、就労準備支援 事業及び家計改善支援事業の従事者に対する研修、都道府県研修の企画立案を行う都道府県職員向けの研修、孤独・孤立等の社会問題へ の対応を学ぶ個別テーマに関する研修、生活困窮者自立支援制度の体制整備に向けた自治体担当者研修を実施。平成30年改正⇒市等の職員に対する研修等の事業を行うことが都道府県の努力義務とされたことを受け令和2年度から人材養 成研修の一部を都道府県に移管、令和3年度に修了証発行要件に関わる都道府県研修を実施した都道府県は約57%たぢけ。
【考え方】→市等の職員に対する研修等の事業の実施は都道府県の努力義務、都道府県 が研修に取り組みやすい環境を整備すること等により、都道府県研修の実施をより一層推進することが必要。一方で、「法の理念等の制度の基盤となる内容⇒今後も国が責任をもって実施すべき」といった意見もあることから、人材養成研修における国と都道府 県の役割についても整理が必要。 現行の研修体系⇒自立相談支援事業、就労準備支援事業及び家計改善支援事業の支援員・従事者のうち、主に初任者を 対象とした研修が実施されているが、人が人を支える困窮制度において、支援を担う人材の質の向上は必要不可欠であることから、現任者を対象とした階層別の研修や他の任意事業の従事者に対する研修も必要。
【論点】→都道府県研修⇒例えば国において標準的な研修内容や教材等を作成するなど、都道府県研修の実施を推進する方策を講じてはどうか。 法の理念等、制度の基盤となる内容については国研修が担い、都道府県研修では参加型の研修を実施するという国と都道府県の役割のあ り方について、どのように考えるか。  現任者を対象とするステップアップ研修や、一時生活支援事業や子どもの学習・生活支援事業の従事者を対象とする研修を新たに設けて はどうか。

○生活保護制度における都道府県等の役割のあり方等について
【現状と課題】↓
(都道府県等の役割)
→生活保護制度上、都道府県は、福祉事務所を設置していない町村部で保護の実施機関として自ら保護の実施に当たるほか、医療機関の指 定・指導等や、各種研修の実施等、様々な役割を担っている。 前回の法改正では、都道府県が、域内の市町村に対して、保護に関する事務の適正な実施や事業の効果的かつ効率的な実施のために、必 要な助言等の援助を行うことができる旨の規定を創設した。加えて、予算事業として、都道府県が管内福祉事務所に対して、広域的な立 場から、生活保護関係職員に対する巡回指導や人材育成に取り組む「都道府県等による生活保護業務支援事業」を創設した。
(人材養成研修)→職員の業務遂行能力を高めるため、多くの福祉事務所が、都道府県(市)本庁が実施する新任職員・現任職員向け研修会や、厚生労働省の生活保護担当ケースワーカー全国研修会を活用。査察指導員やケースワーカーの各種研修への参加状況⇒都道府県(市)本庁が行う研修会や福祉事務所内での研修会への参加率が高い。 ケースワーカーの育成に関し、福祉事務所では、他法他施策も含む知識習得や、援助の原則(寄り添い、受容・傾聴、信頼関係づくり、権利尊重)、業務への取り組み方(報連相、相談しやすい組織、情報共有、指導体制)等が重視されている一方で、業務が忙しく育成する時間がない等の課題を抱えている。 こうした点を踏まえ、これまで、厚生労働省では、都道府県や福祉事務所での研修に資するよう、相談援助に関する基本的考え方と技術 を中心とした新任ケースワーカー向けの研修素材などを作成してきた。
【考え方】→都道府県による市町村に対する援助のあり方等⇒特に医療扶助・健康管理支援の分野での取組を深めていく必要があり、その他の分野についても、福祉事務所未設置町村との関係も含め、検討を進める必要。ケースワーカー等のレベルアップを通じて業務の質と効率を高めるためには、研修等の充実を図ることが有効と考えられる。同様に、救 護施設等保護施設や、日常生活支援住居施設でも、支援の質の向上が求められていると考えられる。 生活困窮者自立支援制度との連携強化を図る観点から、研修等の実施により、両制度の関係者同士で相互理解を深めることが重要 であると考えられる。
【論点】→都道府県による市町村への援助やケースワーカー等に係る研修等について、効果的・効率的な実施のため、引き続きどのような取組が必 要と考えられるか。

○居住地特例について
【現状と課題】
→生活保護制度では、ケースワーカーによる訪問調査等を通じて被保護者の生活実態を把握し、必要な助言・指導を行うことにより保護 の決定・実施を行う必要から、被保護者の居住地又は現在地を所管する福祉事務所が保護の責任を負うのが原則。 一方、被保護者が、保護施設や特別養護老人ホーム等の日常生活上の世話・生活指導を受ける施設に入所する場合、施設所在地を所管 する自治体に財政負担が集中しないよう、入所前の居住地又は現在地を所管する実施機関が保護の実施責任を負うという居住地特例を 講じている。 前回の法改正では、有料老人ホームや軽費老人ホームのうち介護保険の住所地特例の対象となっているものを居住地特例の対象とする よう制度を見直したが、これまで居住地特例の対象となっていた、日常生活上の世話・生活指導を受ける各種施設に同視しう る施設として、自ら日常生活上の支援サービスを実施する(特定施設入居者生活介護を行う)場合に限って、まずは居住地特例の対象 として加えることとした。このため、有料老人ホームや軽費老人ホームに入所する場合の、生活保護の居住地特例の対象範囲と、介護保険の住所地特例の対象範 囲との間には、引き続き差異がある状況である。
【考え方】→居住地特例の対象について、地域の公平な負担の観点、実務を行う上でのわかりやすさの観点を踏まえると、遠方の施設に入所した際 の訪問調査の負担が課題にはなるものの、介護保険制度の住所地特例の対象範囲と平仄を合わせて、対象範囲を特定施設入所者全体に まで更に拡大することが適当と考えられる。
【論点】→居住地特例について、介護保険制度の住所地特例の対象範囲と平仄を合わせて、対象範囲を特定施設入所者全体にまで更に拡大するこ とが適当ではないか。

○生活保護の効果的・効率的実施について
【現状と課題】
→ケースワーカー数はここ10年で約4千人増加し、1人当たり担当世帯数は減少の一方で、80世帯/人を超える状態は継続しており、経験年数3年未満のケースワーカーは全体の6割にのぼっている。 現状、生活保護世帯が抱える課題は多岐にわたり、また複数の課題を抱える場合も多いため、多くのケースワーカーが、援助 方針の策定を含む具体的な相談援助の局面を中心に、様々な負担や困難さを抱えている状況。特に、他法他施策や関係機関と の連携に当たり、必ずしも充分な協力が得られていないという課題を感じているケースワーカーも多い。 ケースワークの質の向上と負担軽減を両立させる観点から、また、福祉事務所として、業務負担を軽減し、本来のケースワーク業務 に充てられる時間を確保しやすくするため、嘱託職員等の雇用による業務分担や、ICT等の機器を活用した事務処理等、各種の取 組や工夫を行っている。こうした取組に対し、国としても、雇い上げ経費の補助やデジタル化の試行的取組の補助等の必要な支援を 実施している。 マイナンバー情報連携による情報照会を生活保護申請時や収入認定時に利用することで、事務の省力化が期待できることから、これまで、厚生労働省から自治体に対しては、情報連携を行うことによる業務上の利点等を示した通知を発出し、取組を促してきた。そ の一方で、福祉事務所の中には、必要なシステム改修を行ったにもかかわらず、情報連携自体の理解が不十分であること等を理由に、 情報照会を全く実施していないところが存在するなど、自治体によって習熟や活用の度合いに違いが生じている状況にある。
【考え方】→関係機関と連携しながら計画的に支援に取り組むための仕組みづくりとして、現在当部会で検討している事項(被保護者の援助に関 する計画の作成、関係機関との間で支援の調整や情報共有を行うための新たな会議体の設置)は、ケースワークに必要な専門的知識 を外部から取り入れ、支援に活用することにより、支援の質を高めることができるとともに、結果としてケースワーカーの業務負担 の軽減につながり、生活保護の効果的・効率的実施にも資する面がある。同様の観点から、「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」(令和3年度社会福祉推進事業)を 踏まえ、当部会での議論も経た上で、家庭訪問に関する取扱いを見直す旨の通知を、本年7月26日付けで発出。マイナンバー情報連携等、ICT等を活用した事務負担軽減策を進める必要。
【論点】→マイナンバー情報連携がより積極的に活用されるよう、これまで厚生労働省が発出した通知等の内容を分かりやすく整理した上で、 福祉事務所に対して改めて周知を図るとともに、域内の自治体での情報照会の実施状況の把握や、情報照会に関する研修を実施する などの支援を行うよう、都道府県に対して改めて周知を図ることとしてはどうか。

○生活保護の不正受給対策について
【現状と課題】
→これまで、生活保護の不正受給対策として、福祉事務所の調査権限の拡大や不正受給に係る返還金の上乗せ、不正受給に係る返還金や資 力がある場合の返還金の保護費との調整等、各種の制度見直しを講じてきた。また運用上も、不正受給の未然防止・早期発見に向け、 年金加入状況の把握や課税調査の徹底を図ってきた。これらの取組も背景に、不正受給の件数及び金額は近年減少傾向にある。 不正受給の内容の多くは、稼働収入の無申告や過少申告が占める一方で、悪質性の高い事案の類型の一つとして、複数の福祉事務所で 保護を受給する不正行為がみられる。こうした事例があると回答した自治体(県・指定都市・中核市)は約4割に上る。 こうした複数の福祉事務所で保護を受給する不正事案の発生を未然に防止するため、約8割の自治体(県・指定都市・中核市)で、住民 票の所在地が実際の居住地とは異なる場合に、住民票所在地の自治体に保護受給の有無の確認を行うなど、各自治体において様々な取組 がなされているとみられるが、自治体によって、取組の度合いには違いがあると考えられる。
【考え方】→複数の福祉事務所で保護を受給する不正事案は、社会的な関心も引きやすいことを踏まえると、制度の信頼性を確保する観点から、業務 の負担にも留意した上で、一定の対策を講じる必要があると考えられる。 ICT等の活用は、生活保護の効果的・効率的実施のみならず生活保護費の不正受給の未然防止・早期発見を図る観点からも重要。
【論点】→複数の福祉事務所で保護を受給する事案を防止するため、業務の負担にも留意しつつ、住民票上の住所地と異なる自治体で保護申請が あった場合、状況に応じて住民票所在自治体に保護受給確認をすることについて、どのように考えるか。 マイナンバー情報連携がより積極的に活用されるよう、これまで厚生労働省が発出した通知等の内容を分かりやすく整理した上で、福祉 事務所に対して改めて周知を図るとともに、域内の自治体での情報照会の実施状況の把握や、情報照会に関する研修を実施するなどの支 援を行うよう、都道府県に対して改めて周知を図ることとしてはどうか。(再掲)

≪参考資料≫
○生活困窮者自立支援制度における都道府県による市町村支援事業
→@市町村の支援従事者に対する人材養成研修の実施 A市町村が各種事業を効果的・効率的に実施するための体制整備への支援 B相談員同士が、市域を超えて困難事例に関する意見交換やケース検討等を行う場の構築   等の事業を行う。⇒期待される効果として→研修実施や市域を越えた相談員のネットワーク構築等により、従事者の資質向上や困難ケースに直面した際 のバーンアウト対策が図られる。 都道府県主導による任意事業の実施促進により、各市町村で提供される支援メニューが充実。
○生活困窮者自立支援に関する自治体・支援員向けコンサルティングの実施→困窮法一部改正法において「都道府県による市町村支援事業」が努力義務化されたことに伴い、都道府県が主体となって管内 市町村に支援することとなるが、ノウハウが十分に蓄積されていない都道府県においては、引き続き国としてのサポートが求められ、また、必要に応じて国として市町村へ直接ノウハウの伝達・助言等を行うことも考えられる。 そのため、各自治体の抱える困難事例や専門的助言が求められる事項に関し、専門スタッフを派遣しコンサルティングを行 う。また、全国の支援員が利用できる情報共有サイトを運営し、支援員同士が情報共有をしたり意見交換できる機会を設ける。
○生活困窮者自立支援に関わる支援者同士の連携等について→主に都道府県域で、情報共有や相談員同士のネットワークづくり、社会資源の共有等の多様な取組が進んでいる。
○現行の生活困窮者自立支援制度における研修体系→国研修は、共通課程と職種別の研修から構成され、国研修・都道府県研修の受講後、都道府県より修了証が発行 される(資格要件ではない)。 ※ 就労準備支援事業従事者・家計改善支援事業従事者においては、都道府県研修参加は修了証発行要件ではない。 この他、国においては、都道府県職員を対象とした「都道府県研修企画立案のための研修」や、行政職員や支援 者を対象とした「テーマ別研修」、「体制整備に向けた自治体担当者研修」を実施している。
○都道府県の役割(制度上の位置づけ等)→生活保護法では、都道府県は、福祉事務所を設置していない町村部において、保護の実施機関として自ら保護の実施 に当たるほか、様々な役割を担っている。平成30年改正では、都道府県の援助に関する規定が創設された。
○職員の業務遂行能力を高めるために活用している研修機会(福祉事務所長向けアンケート)→職員の研修機会として、都道府県(市)本庁が実施する新任職員・現任職員向け研修会や、厚生労働省の生活保護担 当ケースワーカー全国研修会を活用している割合が高い。
○生活保護における居住地特例について→ケースワーカーによる訪問調査等を通じて被保護者の生活実態を把握し、必要な助言・指導を行うことにより保護の 決定・実施を行う必要があることから、被保護者の居住地又は現在地を所管する実施機関(福祉事務所)が保護の実施責任を負うのが原則。 一方、被保護者が日常生活上の世話・生活指導を受ける施設に入所する場合には、施設所在地を所管する自治体に財政負担が集中しないように、入所前の居住地又は現在地を所管する実施機関が保護の実施責任を負うという居住地特例を講じている。
○生活保護ケースワーカー数等の状況→生活保護の実務を担うケースワーカーは、平成23年から約4千人増、1人当たり担当世帯数は減少。 ケースワーカーの配置は、社会福祉法の標準数(※)を踏まえて必要な交付税措置を行うとともに、自治体に対する 指導監査において必要な人員体制を確保するよう助言指導。 ※ ケースワーカーの配置は、社会福祉法において市部80世帯に1人、郡部65世帯に1人を「標準」として定められている。
○被保護世帯が抱える課題(1.福祉事務所へのアンケート、2.ケースワーカーへのアンケート)→被保護世帯の抱える課題は多岐にわたり複数の課題を抱える世帯も多い。⇒1.新型コロナウイルス感染症の影響により生活保護の申請につながった代表的なケースの特徴(回答のあった448例について集計)。2.担当経験があり支援に困難さを感じたケースの割合(ひきこもりなど)   参照のこと。
○ケースワーカーが負担や困難さを感じる業務(1.2.ケースワーカーへのアンケート)→現状、ケースワーカーの多くが、他法他施策や相談援助に関する知識等の不足を背景に、業務負担を感じており相談援助の実施の局面を中心に困難を抱えている。⇒1.業務負担を感じる理由  2.ケースワーク業務の援助段階別に感じる困難さ (困難さを感じる割合が70%以上のもの)  参照のこと。
○今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究結果概要(令和3年度生活困窮者準備支援事業費等補助金(社会福祉推進事業分))(事業実施主体: PwCコンサルティング合同会社)↓
・業務負担軽減に関する基本的な考え方
生活保護に関わる業務の見直し⇒要保護者の生活状況や困難な状態をよりよく理解し、より適切な支援や助言を 行うという、「ケースワーク」の質向上の観点から議論する必要。 → ケースワーカーの物理的な負担の軽減よりも、ケースワークに必要な専門的な知識を外部から取り入れ、ケースワーカーが自信を持って安心して業務にあたり、質の高いケースワークにつながることを目指すべき。 特に、専門的な知識を要する問題や多様な問題が複雑に絡んでいる課題を解決するためには、福祉事務所以外の他機関との連 携によって、それらの機関が有する専門性を統合し支援に活用されることが望ましい。 それにより本来のケースワーク業務に充てられる時間を確保しやすくなり、生活保護における支援の質を高めることができる とともに、結果的にケースワーカーの業務負担の軽減にもつながると考えられる
・生活保護に関わる業務の負担軽減方策の全体像方策として、直接雇用(正規職員の増員、会計年度任用職員の活用)を増やすという考え方等がある。 関係機関等との連携を適切に行うための会議体等を制度上明確に位置付けることも必要と考えられる。 定型的な業務はICT等を活用し業務の効率化を図ることも必要であり、国を挙げて推進すべき。生活保護に関わる業務の外部委託は、こうした方策を検討してなお業務負担の軽減が十分でないと判断される場合の手段、 また、外部機関が保有する知見を活用する方が質が高まると考える場合の手段として位置づけられるべきである。

○生活保護業務におけるマイナンバー情報連携の取組状況@→マイナンバー情報連携を用いて情報を取得したことがある福祉事務所は、全体の約6割。取得情報は年金関係 情報が最も多く、課税関係情報が続く。他自治体での保護受給歴を取得したと回答した自治体も存在。 利用場面については、申請時と毎月の収入認定業務で情報連携が使われていることが多く、その他課税調査 時、年金額改定時や返還金等が発生した際にも利用されている。
○生活保護業務におけるマイナンバー情報連携の取組状況A→情報連携を行っていない理由としては「システムの使い方が分からない」が最多、次いで「情報連携が必要となる場 面が少ない」との回答。 また、利用し始めるきっかけを質問したところ、「マニュアルの整備」が最多。その他、「改修費用の補助」や「端 末の導入」等の回答があがっている。 ※ 年金関係情報に特化した情報照会マニュアルは既に厚労省において作成・各自治体に配布済み。
○不正受給の状況→不正受給件数及び金額は、ここ数年は減少傾向にある。 内容の約6割は稼働収入の無申告や過小申告。
○複数の福祉事務所で保護を受給する不正行為の防止について→複数の福祉事務所で保護費を受給する不正行為の事例があると回答した自治体は、回答数の40.3%。 住民票の所在地が実際の居住地とは異なる場合に、住民票所在地の自治体に保護受給の有無の確認を行う等の対応を したことがある自治体は、回答数の81.4%。
・3.重複受給事案の例→郡部福祉事務所において保護申請・開始となった被保護者について、被保護者の姉に扶養能力調査を行ったところ、隣の市福祉事 務所からも扶養能力調査が行われており、隣市において保護受給中であることが判明。  ある市から生活保護を受給しているにもかかわらず、別の市に生活保護を申請し、生活保護費を不正に受給した疑いで逮捕。

次回も続き「資料4 委員提出資料」からです。

第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年11月17日(Thu)]
第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年10月31日)
≪議事≫(1)子どもの貧困への対応について (2)居住支援のあり方について (3)支援を担う体制づくり及び人材育成等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28862.html
◎資料2 居住支援のあり方について
○生活困窮者一時生活支援事業等について
【現状と課題】
→新型コロナウイルス感染症の拡大により、性別や年代を問わず住まい不安定に関する相談が増加。令和4年の実態調査で確認された ホームレスは約3,500人。このほか、知人宅やネットカフェなど様々な場所を行き来している不安定居住者が一定数存在。 生活困窮者一時生活支援事業⇒自立相談支援事業の巡回相談等により住居に不安を抱えた生活困窮者へのアウトリーチを実施、衣食住に関する支援を行う「一時生活支援事業(シェルター事業)」と、これに加えて一時生活支援事業のシェルター退所者 や居住に困難を抱える低所得者に対して、入居支援や訪問による見守り等を行う「地域居住支援事業」を実施。シェルター事業の実施率は令和3年度で約4割(332自治体)、そのうち地域居住支援事業を実施している自治体は50自治体。 シェルター事業の未実施自治体に今後の実施意向を調査したところ、過半数が「実施しない」又は「未定」と回答。その理由は、「事業の利用者が見込まれない」との回答が多かった。一方で、未実施自治体⇒「住まい不安定」や「ホームレス」 に関する新規相談が多く見られている。また、地域居住支援事業の実施自治体⇒令和2年度では計約2,500人に対して支援を行 い、「社会的孤立の防止」や「就労に向けた効果的な支援」といった効果が見られている。 コロナ禍を契機に、不安定居住者に対する緊急一時的な居所の確保のニーズも顕在化したが、シェルター事業を含む既存事業では受 入れが困難な場合があることから、現在、各自治体や民間団体等による独自の取組が行われている状況。
【考え方】→「住まい」は就労をはじめとする自立の前提であり、生活の基盤そのもの、生活困窮世帯⇒社会経済や心身の状況が一変する ことで直ちに「住まい不安定」につながることから、生活困窮世帯に対する居住支援の強化が必要。シェルター事業及び地域居住支援事業 の未実施自治体においても潜在的ニーズが窺えることから、全国的な事業の実施を推進することが必要。 住まいに課題を抱える生活困窮者は、特に地域社会から孤立した状態にある傾向が強いことを踏まえ、見守り支援等を行う地域居住 支援事業は、より実施を推進するとともに、支援内容の一定の標準化や支援員の質の担保が求められる。現在のシェルター事業の対象者は、住居を持たず収入・資産が一定以下の生活困窮者、住居があっても様々な要因 により緊急一時的な居所確保を必要とする場合や、収入・資産を確認できる書類を必ずしも持ち合わせていない場合などが想定されること から、これらの者に対する相談機関等と連携した一時的な支援が必要。
【論点】→生活困窮者一時生活支援事業の実施を努力義務化することについてどのように考えるか。 その際、シェルター事業の実施にかかわらず地域居住支援事業の実施を可能にするとともに、現行のシェルター事業の対象とならない生活困窮者に対する、緊急一時的な居所確保の支援の必要性についてどのように考えるか。

○生活困窮者住居確保給付金について
【現状と課題】
→離職等により経済的に困窮した者が就労によって自立するため、まずは求職活動の基盤でもある居住の場を確保することにより、就職を容易にすることを目的として、家賃相当額を支給するもの(参考資料P10)。 現行では、離職・廃業した場合の支給対象者を「離職・廃業後2年以内の者」としており、支給要件である収入の算定にあたり、定期的に支給される各種手当⇒児童扶養手当・児童手当等の特定の使途・目的のために支給されているものも含め一律収入として いる。 コロナ禍⇒経済情勢の変動等を踏まえ、休業等に伴う収入減少等により住居を失うおそれが生じている方を新たに支給対象として恒久化したほか、@職業訓練受講給付金との併給を可能とする、A休業等に伴う収入減少等の場合にも再支給を行う、B求職活動要件の 緩和を認めるなどの様々な特例措置を講じた(参考資料P11)。平成27年度〜令和元年度は約4,000〜7,000件/年で推移していた支 給決定件数は、令和2年度は約135,000件/年、令和3年度は約46,000件/年にまで急増し、生活困窮者の生活の下支えとして大 きな役割を果たした。
【考え方】→コロナ禍において講じてきた様々な特例措置⇒いずれ元の姿に戻していくことが原則である一方、特に効果的なもの、必要なものについては、本来の制度目的等も踏まえつつ、そのあり方について検討することが必要。 その他、現行の支給要件等についても、多様化している居住支援のニーズや制度目的等に照らして機能強化を図るなど、必要な見直しを検 討することが必要。
【論点】→住居確保給付金の見直しにあたっては、以下の点が検討対象となり得る。コロナ禍における対応や、本来の制度目的等を踏まえ、ど のような方向性が考えられるか。
<コロナ禍における特例>→休業等に伴い収入減少により受給している者(特に自営業者等)への求職活動要件について、地方公共団体が設ける公的な無料職業紹介の窓口への求職申込みについて、休業等に伴う収入減少により受給をした者への再支給について、職業訓練受講給付金との併給について。 <その他の支給要件等>→支給対象者の「離職・廃業後2年以内の者」の要件について、収入の算定のあり方について(例えば児童扶養手当等)。

○生活保護における居住支援等のあり方について@保護施設について
【現状と課題】→救護施設を含めた保護施設は、最後のセーフティネットとして、精神疾患や身体・知的障害のある者、アルコール等の依存症のある 者、DVや虐待の被害者、ホームレスなど、様々な生活課題を抱える入所者に対する多様な支援の実践を担っている。 様々な課題を抱える入所者を計画的に支援するため、救護施設をはじめ保護施設は、入所者に対する個別の支援計画を定めているところがある。また、支援の質を高める観点から職員等への研修が行われているところがある。さらに、支援に係る施設機能 の強化のため、介護職員や看護師等の専門職を増員する場合は施設事務費が加算される仕組みになっている。 利用者の状態の違いによっては、他の施設と比較して入所期間が長く、入所者の高齢化が進んでいる。また、入所者本 人の日中活動も施設内に限られることが多く、施設外での就労や求職活動の取組が少ない場合もあり、結果として、現在の施設に継 続入所する見込みが総じて高い状況。主に施設退所者を対象とした生活指導として通所事業を実施する際に、地域で居宅生活を営む被保護者も支援するこ とができる仕組みになっているが、対象者数は事業全体の定員の3割を超えない範囲にとどめることが条件となっている。
【考え方】→入所者が抱える様々な生活課題に柔軟に対応し、可能な方については地域移行を更に推進することが重要。このため、施設の機能や目的に応じて、福祉事務所のケースワーカーを始めとする関係機関とも連携しつつ、計画的な支援に取 り組む環境を整える必要があり、入所者の状態像に応じた支援やその機能の充実を検討していく必要がある。 • 地域共生社会の実現に向けて、救護施設等は、地域に居住する生活保護受給者等に対する支援の一翼を担うことも期待されており、 救護施設等の持つ多様な支援機能の活用を図ることが適当。救護施設等⇒精神疾患や依存症等の対応が難しいケースへの支援を実践している中、より専門性の高いスキルが求められており、更なる資質向上の取組が必要。
【論点】→入所者の地域移行を進める等の観点から、救護施設等の入所者ごとに支援計画の作成を制度化することについてどう考えるか。その 際、福祉事務所と情報共有を図る仕組みとすることが必要ではないか。また、入所者の地域移行を進める観点から、例えば施設にお ける地域での就労等に向けた支援を促すことについてどう考えるか。 救護施設等による地域の生活保護受給者等への支援を充実させるため、どのような取組が必要と考えられるか。 • 救護施設等の入所者が抱える課題等に適切に対応する観点から救護施設職員等への研修の実施等、支援の質を向上させる取組を充 実させることについてどう考えるか。

○生活保護における居住支援等のあり方について A無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設、居宅移行支援について
【現状と課題】
→無料低額宿泊所⇒前回の法改正で、いわゆる貧困ビジネス対策として、事前届出制の導入、最低基準の導入、改善命令の 創設等、法令上の規制を強化した。無届の事業者に対しては、届出を勧奨するとともに、調査によって不当な行為が発見された場合 に事業の制限や停止を命ずることにより、悪質な事業者に対する規制を行うことが可能となっている。 一方で、届出義務自体に罰則はなく、無料低額宿泊所に該当していると考えられる事業者が届出義務を履行しない場合に取りうる措 置は、通常、被保護者の受入停止や、現に入居している被保護者への転居指導の実施等にとどまっている。 単独での居住が困難な生活保護受給者に対し、必要な日常生活上の支援を提供する施設として、前回の法改正で、日常生活支援住居施設を創設。令和2年10月の施行後、本年4月時点で施設数は120ヶ所まで増加した一方で、未設置の県もある等、都道府県ごとの設置状況にはばらつきがある。また、新制度の導入にあたって支援の質を確保する観点等から、令和3年度から国の委託事業として生活支援提供責任者等への研修事業を実施。無料低額宿泊所入居者や生活困窮者の居宅移行等に向けた支援事業として、居住不安定者等居宅生活移行支援事業を実施。実施自治体数は34自治体(令和3年度)にとどまっている。
【考え方】→無料低額宿泊所について、利用者の保護や事業運営の更なる適正化のため、不当行為による事業の制限・停止命令に到る手前で、無 届の事業者に対する届出義務の履行の確保を強化する必要。日常生活支援住居施設⇒制度施行後間もない状況を踏まえ、引き続き、支援の質の向上や制度理解を促進する取組が重要。 安定した住まいは、被保護者等本人が日常生活や社会生活を営む上での基盤となるものである、より多くの被保護者が、地域での居宅移行等に向けた継続的な支援を受けられるよう、支援に関する地域の社会資源の有効な活用等の 観点から、生活困窮者自立支援制度との連携を検討する必要がある。
【論点】→無料低額宿泊所⇒事前届出制の実効性の確保を図るため、届出義務違反に罰則を創設する等の対策を講じることについてど のように考えるか。 日常生活支援住居施設⇒支援の質の向上や制度理解を促進するため、引き続き、研修の機会を確保することについてどのよ うに考えるか。また、その際の都道府県の役割についてどう考えるか。 地域での居宅移行等に向けた継続的な支援を行う事業⇒より多くの被保護者が支援を受けられるようにする等の観点から、 任意事業として新たに法定化するとともに、当該事業に代えて、生活困窮者一時生活支援事業の地域居住支援事業の中で被保護者も 支援できるようにすることについてどう考えるか。

○一時生活支援事業と生活保護制度との関係→生活困窮者自立支援制度における一時生活支援事業⇒居住場所の確保までの間は、生活保護を申請・決定された者も利用が可能。

≪参考資料≫
○生活困窮者
一時生活支援事業の概要→巡回相談等により、路上生活者や終夜営業店舗等にいる住居に不安を抱えた生活困窮者へアウ トリーチを実施、一定期間内に限り、衣食住に関する支援を行う。その際、自立相談支援機関と連携の上、課題の評価・分析を実施し、就労支援等を行う。 地域居住支援事業⇒一時生活支援事業のシェルター退所者や居住に困難を抱える者であって地域社会から孤 立した状態にある低所得者に対して、一定期間、入居支援や訪問による見守り等を行う。 こうした取組を通じて、住居に不安を抱えた生活困窮者の安定した居住を確保する。
○緊急一時的な居所確保のニーズ等→不安定居住者に対する緊急一時的な居所の確保⇒コロナを契機に支援ニーズが顕在化したが、既存施設 による受け入れが困難な場合があることから、現在、各自治体や民間団体等が独自に取り組んでいる状況。
○生活困窮者住居確保給付金→離職・廃業や休業等により、住居を失うおそれが生じている方等に対して、住居確保給付金を支給することにより、安定し た住まいの確保を支援。
○生活困窮者住居確保給付金に関するコロナ禍の対応→新型コロナウイルス感染症拡大による経済情勢の変動等を踏まえ、休業等に伴う収入減少等により住居を失うおそれが生じ ている方を新たに支給対象としたほか、住居確保給付金の再支給や職業訓練受講給付金との併給など様々な措置を講じた。
○生活困窮者住居確保給付金の支給実績の年度別推移(平成 2 7 年度〜令和3年度)→令和2年度は約135,000件、令和3年度は約46,000件に急増。また、特例措置である再支給決定件数について、令和2年度は約5,000件、令和3年度は34,000件と なり、生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たした。
○生活保護法に基づく保護施設の規定及び現状等→「救護施設」「更生施設」「医療保護施設」「授産施設」「 宿所提供施設」の現状等。
○保護施設入所者の状態像→「年齢」は、「65歳以上」が多くなっており、救護施設は、54.5%と半数以上。「入所期間」は、救護施設の場合、「10年以上」が34.8%。「日中活動」は、救護施設の場合、「施設内での日中活動」が94.5 %、宿所提供施設の場合、「転居先探し」が60.9%とそれぞれ多い。 「1年後の居住の場所」は、救護施設の場合、「現在の施設に継続入所」が82.9 %、更生施設及び宿所提供施設の場合、「地域移行」が最 も多い。

○地域移行に向けた各種事業
・救護施設居宅生活訓練事業→入所している被保護者が円滑に居宅生活に移行できるよう、施設において居宅生活に向けた生活訓練を行う、訓練用住居(アパート、借家等)を確保しより居宅生活に近い環境で実体験的に生活訓練により、居宅生活への移行を支援する。
・保護施設通所事業→原則として保護施設退所者を、保護施設に通所させて指導訓練等を実施し、又は職員が居宅等へ訪問して生活指導等を実施することで、居宅 で継続して自立生活が送れるよう支援、保護施設からの退所の促進と受入のための有効活用を図る。

○保護施設の機能強化に係る加算等→費目(指導員加算費など8種あり)毎に、設定の要件、対象施設の施設強化加算。
○貧困ビジネス対策と単独での居住が困難な方への日常生活支援 (令和2年4月施行)→見直し内容など規制の強化⇒無料低額宿泊所等の基準の創設など。
○日常生活支援住居施設について→生活保護受給者のうち、食事や洗濯等の家事、服薬等の健康管理、日常の金銭管理、人とのコミュニケーション等、日常生活を送る上での課題を有する者が地域の中で安定して暮らしていくためには、住まいそのものの確保のみならず、その者の課題に応じた生活上の支援を行うことが必要。 改正生活保護法に基づき、単独での居住が困難な生活保護受給者に対する日常生活上の支援について、適切な支援体制を確保した日常生活支援住 居施設に委託する仕組みを創設し、支援の実施に必要な経費を負担する。
○無料低額宿泊所等の実施状況等→生計困難者のために無料又は低額な料金で利用させる施設(社会福祉法第2条第3項第8号)であり、事業を開始する前に都道府県 知事等へ届け出なければならない。箇所数:649箇所、入所者数18,152人 ※令和4年4月1日時点。
・日常生活支援住居施設 箇所数:120箇所、入所者数2,267人 ※令和4年4月1日時点。
○(参考)他の施設系事業における規制について
・有料老人ホームを設置しようとする者に事前届出が義務づけられており、当該届出をせず、又は虚偽の届出をしたときには、30万 円以下の罰金に処される。
・保育所の設置者(認定こども園の認可を受けたものを除く。)は、事業の開始の日から1ヶ月以内の届出が義務づけられており、当 該届出をせず、又は虚偽の届出をしたときには、50万円以下の過料が科される。
○無料低額宿泊所の届出について→無届の無料低額宿泊所に対し、自治体が現地調査(56.6%)や電話連絡(62.3%)を行い届出勧奨を実施するものの、届出に至らないケース がある。届出に至っていない理由として、無料低額宿泊所であるという認識がありながら届出が行われていないとの回答が最も多く挙げられた (50.0%)。 無届の無料低額宿泊所に届出勧奨を実施するに当たっての課題としては、無届施設や無届施設の疑いがある施設に関する情報収集をすることが 難しいとの回答(58.5%)、届出に強制力が無いとの回答(47.2%)が挙げられた。

○日常生活支援住居施設管理者等資質向上研修費→日常生活支援住居施設⇒令和2年度から施設の認定及び生活支援の委託が開始、本人の状況や生活課題等を把握し本人の抱えている課題等を踏まえた支援目標や支援計画の策定が求められる。 これらの一連の支援業務⇒標準的な実施方法や支援を行う上での視点や留意点等を示し全国の日常生活支援住居施設における支援業務の標準化を図る とともに支援の質の向上を図る必要がある。 支援の標準化⇒令和2年度の調査研究事業(社会福祉推進事業:一般社団法人居住支援全国ネットワーク)において、研修カリキュラム及び研修テキストの開発を進めた。 令和4年度においても引き続き、本研修を実施することにより、日常生活支援住居施設の管理者及び生活支援提供責任者等の資質向上を目指す。 研修カリキュラム等の内容(案)参照。
○日常生活支援住居施設による支援の充実に向けて→令和3年度の調査研究事業により、日常生活支援住居施設での支援の充実についてその必要性が示されている。⇒「研修等を通じた制度等の普及啓発」「アセスメント能力・モニタリング能力」「福祉事務所の参画」「福祉事務所と団体の相互理解の促進」の項目 参照。
○居住不安定者等居宅生活移行支援事業→令和2年度第2次補正予算⇒生活困窮者と生活保護受給者の住まい対策を一体的に支援する「居宅生活移行緊急支援事業」を新設。 支援対象者の狭間を無くすとともに、居住の確保とその後の安定した住まいを継続的に支援することを可能とし、長期化すると見込まれる居住不 安定者に対する支援を実施(令和2年度第2次補正予算「居宅生活移行緊急支援事業」から継続的な実施が可能な仕組み)。

次回も続き「資料3 支援を担う体制づくり及び人材育成等について」からです。

第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年11月16日(Wed)]
第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年10月31日)
≪議事≫(1)子どもの貧困への対応について (2)居住支援のあり方について (3)支援を担う体制づくり及び人材育成等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28862.html
◎資料1 子どもの貧困への対応について
○子どもの学習・生活支援事業について
【現状と課題】
→学習支援、生活習慣・育成環境の改 善に関する助言等の支援(生活支援)、進路選択等の教育・就労に関する相談等の支援を実施。本事業の令和3年度の実施率は約6割、人口10万人未満の自治体での実施率が低い。学習支援は 全ての自治体で行われている一方、生活支援は約7割、教育・就労に関する支援は約5割の実施率に留まる。中学生が過半数を占め、高校生以上は1割程度。これらの世代に対する本事業の支援効果⇒参加した中学3年生の高校進学率や高校生の中退率が全世帯平均値に近い実績となっている。 小中学校や行政機関内の他部局等と連携している自治体が多い一方、 児童相談所等の専門機関や、フードバンク、民間団体と連携している自治体は少ない。また、本事業の関連事業として、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づく「ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業」や社会 教育法に基づく地域学校協働活動の一環として実施される「地域未来塾」があり、自治体はこれらの事業を地域の実情に応じて組み 合わせながら実施している。
【考え方】→子どもの学習・生活支援事業を入口とし、子どもだけではなく世帯全体への支援につなげるとの本事業の趣旨を踏まえると、学習支援に加 えて生活支援も行うことが重要。その際、過疎地域に住む子どもや成長過程で必要な体験の機会が乏しい子ども、ヤングケアラー等、生活困窮世帯の子どもが置かれる状況は様々であることを踏まえると、自治体が様々な課題に対応しながら事業を実施するための支援も必要。現在は参加者数の大半を小・中学生が占めているが、高校生以上の世代⇒特に、中退防止・進路選択等の観点から、相談支援を 更に推進することが必要。子どもや保護者の多様なニーズに対し包括的な支援を行うため、専門機関や関係団体との連携をより 一層強化することが必要。
【論点】→世帯全体への支援につなげる観点から、子どもや保護者に対する相談支援や自立相談支援 事業の利用勧奨といった生活支援も、学習支援と一体的に行うよう求めてはどうか。また、様々な課題への自治体の対応を評価す るための仕組みを構築する方策が必要ではないか。 高校生への切れ目のない支援や、専門機関や関係団体、関連する他制度との連携を更に推進するため、例えばガイドラインを作成し好事例 を横展開するなどの方策が必要ではないか。

○生活保護受給中の子育て世帯全体への支援について
【現状と課題
】→生活保護受給中の子育て世帯に対して現在、子どもの学習・生活支援事業が、生活困窮者自立支援制度の事業として実施。 • 生活保護世帯の子どもは、一般世帯と比べ、家庭で勉強を行う環境や、学習意欲、教師や友人との関係、将来の進学に向けた意識等の面で課題を抱えており、より早期から支援者が関わりを持つことで、より高い支援効果が期待できると考えられる。また、保護者自身も、周囲 の地域との関わり合いに乏しい傾向があり、必要な情報や支援が行き届きにくいという課題を抱えているが、生活保護世帯では、保護者の 教育への意識が高いほど、子どもの学習態度が改善する傾向がある。 一方、福祉事務所は、支援に際し、子どもとの接触が難しい、子どもの将来の自立に向けた取組の必要性について保護者と認識を共有でき る程度にまで信頼関係を構築する時間的余裕がケースワーカーにない、専門性が不足している等の課題も。 このため、自治体によっては、自立支援プログラムにおける個別支援プログラムや、子どもの学習・生活支援事業の活用により、教育支援 を行う職員を配置した上で、訪問等による子育て世帯全体への支援を実施しているところもある。学習支援費⇒平成30年度に運用が見直され、クラブ活動費用の実費支給による給付として、被保護者からの申出により給付す る仕組みとなったが、受給実人数は、教育扶助受給人員数全体の9.1%に。また、福祉事務所の中には、学習支援費に関す る事前の案内を行っているところと行っていないところがあり、前者の方が、受給実人数の比率が高くなっている。
【考え方】
→大学等への進学を含む進路選択に向けた環境の改善を図ることは、貧困の連鎖防止の観点から重要。特に生活保護世帯の場合は、訪問等のアウトリーチ型の手法により、進学先を含む進路選択に向けた環境を直接把 握した上で、早期から支援者が介入し、子どもの教育に関する保護者や子どもの理解や意識を喚起することが効果的。 ケースワークによる支援を補い、質の向上を図る観点から、当該分野の専門知識や経験を有する職員が支援に参画することは重要。また、こうした取組が全国的に広がっていくよう、事業実施を促していく必要がある。学習支援費の更なる活用を図るため、福祉事務所から学習支援費の支給対象世帯に対して制度の活用に向けた周知が適切に行われるよう改 めて徹底するとともに、支給対象となり得る子育て世帯等に対する制度の事前の周知・広報にも積極的に取り組む必要がある。
【論点】→生活保護世帯の子ども及びその保護者に対し、世帯の状況に応じて、ケースワーカーによる支援を補うために、訪問等により、学習環境の 改善、進学先を含む進路選択、奨学金の活用などに関する必要な情報の提供及び助言を行う事業を実施することをどのように考えるか。 子ども向けの居場所への参加促進など、子どもの学習・生活支援事業等との緊密な連携を図る必要があるのではないか。

○生活保護受給世帯の子どもが高校卒業後に就職する場合の対応について
【現状と課題】→大学等への進学を支援するため、前回(平成30年)の法改正で進学準備給付金を創設。これにより、子どもが高 等学校等を卒業し大学等に進学する際、新生活の立上げ費用として一時金が給付される(自宅通学10万円、自宅外通学30万円)。
一方、高等学校等を卒業後に就職する場合は、就職地までの移送費や、就職支度金(上限32,000円)が支給されるほか、本人の就職に伴 い世帯全体で保護が廃止された場合は、就労自立給付金が支給される(3万円〜15万円(単身2万円〜10万円))。 しかし、就労自立給付金は、現行制度上は、世帯を単位として保護廃止の決定の際に支給されることから、就職後に世帯から転出して独立 生計になり、新生活を立ち上げる場合は、就労自立給付金が支給されない。 また、保護廃止前の就労収入額を積み立てるという算定方法を踏まえると、仮に就労自立給付金の支給要件を満たす場合でも、ほとんどの 場合で、支給額は最低給付額にとどまるものと見込まれる。
【考え方】→本人の希望を踏まえた選択に基づいて高等学校等を卒業した後に就職することは、被保護者の自立の助長の観点から重要との指摘も。 このため、大学等に進学する場合に進学準備給付金が支給されることとの間の均衡を図る観点から、高等学校等を卒業後に就職し、本人が 一人暮らしのために世帯から独立する場合の新生活の立ち上げ費用に対する支援を検討する必要。また、本人を含む世帯全体で保護が廃止される場合も、同様に支援を検討する必要がある。
【論点】→進学準備給付金との均衡を図る観点から、生活保護受給世帯の子が、本人の希望を踏まえた選択に基づいて高等学校等を卒業した後に就職 し、一人暮らしのために世帯から独立したり、世帯全体で保護が廃止されるような場合に、新生活の立ち上げ費用を補うため、高卒就職者 であれば初任給を得ることができるという点にも留意しつつ、一時金を支給できるようにすることについて、どのように考えるか。

○大学等への進学の支援について
【現状と課題】
→生活保護世帯の大学等進学率は39.9%(令和3年)、近年増加傾向にあるものの、全世帯平均を下回る状況が続いている。 こうした点を踏まえ、大学等への進学を支援するため、前回(平成30年)の法改正では進学準備給付金を創設するとともに、世帯分離を して大学等に通う場合に住宅扶助を減額しない措置や、被保護者家計改善支援事業を新たに実施した。 加えて、文部科学省の修学支援新制度が令和2年度から開始、生活保護受給世帯出身者を含む低所得世帯を対象に、授業料の減免の他に、給付型奨学金による生活費の支給が行われており、さらに今年度には家計急変の際に随時申請を認める範囲が拡大された。 また、高校生のアルバイト収入などを学習塾の費用や大学の入学料などに充てる場合は、収入認定を行わない措置が設けられている。この中には、受験料や交通費、宿泊費も含まれている。 生活保護制度⇒一般世帯でも、@高等学校卒業後、大学等に進学せずに就職する者や、A奨学金やアルバイトなどで自ら学費や 生活費を賄いながら大学等に通う者がおり、これらのバランスを考慮すると、生活保護費を受給しながら大学等に就学することを最低生活保障の対象として認めることは困難との考え方を採っている
【考え方】→生活保護を受給しながら大学等に進学すること⇒大学進学後の生活費の支援は生活保護世帯及び一般世帯に共通する課題あることを踏まえ、生活保護の枠組みにとらわれず、修学支援新制度等の教育に関する政策の中で幅広く検討する必要がある。 更に、この点については、一般世帯にも奨学金やアルバイト等で学費・生活費を賄っている学生もいる中、一般世帯との均衡を考慮する必 要があること、仮に認めた場合に相当数が保護の対象となる可能性があること、大学等に進学しなくとも活躍できる機会は多くあること等 を踏まえ、慎重に検討する必要があるとの意見があった。一方、コロナ禍で困窮した大学生⇒一時的に生活保護を利用可能とすべきではないか、との意見もあった。 一方で、本人の自立助長のための手段の一つとしての大学等への進学を支援する観点からは、本人の進学に向けた意欲等に早期から働きか けるための子育て世帯全体への支援が重要と考えられる。 また、家計面では、大学等への進学までの間に必要となる各種費用を進学前から予め準備しやすくするため、被保護者家計改善支援事業を 活用した支援が有効と考えられる。これに加え、各種費用を収入認定の際に除外する範囲について、引き続き検討する必要がある。
【論点】→生活保護世帯の子どもの大学等への進学の支援についてどのように考えるか。 生活保護世帯の子ども及びその保護者に対し、世帯の状況に応じて、ケースワーカーによる支援を補うために、訪問等により、学習環境の 改善、進学先を含む進路選択、奨学金の活用などに関する必要な情報の提供及び助言を行う事業を実施することをどのように考えるか(再掲) 。 大学等への進学を更に支援する観点から、高校生のアルバイト収入等に関する収入認定除外の範囲を見直すことをどう考えるか。

≪参考資料≫
○子どもの学習・生活支援事業→令和4年度予算にて生活習慣・環境改善加算額を400万円増額⇒将来を考えるきっかけとなる職業体験や体験学習、保護者への進路相談会の開催など、より手厚い生活支援 を行い、保護者も含めた世帯全体への支援の充実を図る。
○子どもの学習・生活支援事業の支援体系→生活保護部局や学校等と連携し生活保護世帯を含む生活困窮世帯に対し子どもの学習・生活支援事業の周 知を行い、事業の参加を促す。 自治体⇒子どもの学習・生活支援事業により、学習支援のほか、集団行動を学ぶ体験学習や将来を考えるきっかけとなる職業体験、子どもと保護者に対する相談等を実施。支援⇒地域の子ども食堂や企業、専門職等と連携して実施。こうした取組を通じて把握した子どもの家庭が抱える課題等⇒必要に応じて学校や自立相談支援機関と連携・情報共有を行う。
○子どもの学習・生活支援事業の実施状況→6割程度から伸びが鈍化。人口10万人未 満の自治体、特に人口3万人未満の小規模自治体の実施率が低い。
○子どもの学習・生活支援事業の支援効果→参加した中学3年生のうち、高校進学した者は98.9%(令和2年度)であり、全世帯平均値に近い実績
である。
○子どもの学習・生活支援事業と関係機関・関係団体との連携→「小学校・中学校」「教育委員会」「行政機関(他部局・他部署・他機 関)」がいずれも70%を超えている一方で、「児童相談所・児童家庭支援センター」「食料・教材等支援関係団体 (フードバンク等)」などは30%未満であった。
○生活保護世帯の子どもが家庭で勉強を行う環境の状況→一般世帯の子どもと比べて、「自宅で勉強をすることができる場所」、「自分専用 の勉強机」がない割合が高くなっており、家庭(養育)環境に差があることがうかがえる。
○子どものいる生活保護世帯の保護者と周囲の人との関わり→生活保護世帯の保護者は、「地域行事への参加」「近所の人との会話」⇒「よくある」、「ときど きある」が低く、周囲との関わりあいが少ないことがうかがえる。また、「まったくない」の割合も高い。
○福祉事務所に聞いた今後特に重要と考えられる取組内容
→子どもに対する支援として重要⇒「学習支援の充実」が最も多いが、「自立へ向けた意識 付け」、「進学支援」も次いで多い。 保護者に対する支援として重要⇒「教育・啓発、意識改革」が64%で最多。 福祉事務所での取組として重要⇒「関係機関、社会資源との連携」が65%で最多。
○福祉事務所に聞いた子育て世帯への支援の課題→自治体における子育て世帯への支援の課題⇒「保護者との信頼関係構築・対応が難しい」、「子ども との接触・対応が難しい」、「ケースワーカーの専門性の不足・時間的余裕がない」が主なものとなっており、 現状の支援体制での対応の限界がみてとれる。
○保護者の教育に対する考え方と子どもの学習態度との関連性→小学生・中学生・高校生のいずれにおいても、保護者が「勉強してよい成績をとること」を「とても重視している」又は「重視している」と回答した 場合の子どもの方が、勉強時間が長い傾向が見られる。
○子どもの支援にかかる専門的な役割を担う職員等の配置
→ケースワーカーのほかに、生活保護世帯の子どもの支援にかかる専門的な役割を担う職員などが配置されていると回答した福祉事 務所は23.3%。配置状況別の支援体制に関する状況をみると、いずれの点も、特段配置されていない福祉事務所に比べて、配 置ありの福祉事務所では、「あてはまる」又は「まああてはまる」の回答割合が高くなっている。
○自立支援プログラム策定率(令和2年度実績)→経済的自立に関するプログラムを策定している自治体数及び策定プログラム数は894自治体(全福祉事務所(906 自治体)に占める割合:98.6%)、2,578プログラムとなっている一方で、子どもの健全育成に関するプログラムを 策定している自治体数及び策定プログラム数は経済的自立に関するものと比べ少ない状況(252自治体、485プログ ラム)。
○生活保護世帯における高校生に対する支援
・高校卒業後就職した者への支援→引っ越し代等⇒移送費 ・就職支度費 (32,000円以内)。
・大学等進学者への支援→一時金⇒進学準備給付金 一人暮らし:30万円 同居:10万円 (個人単位)。
○就労自立給付金について(生活保護法第55条の4第1項)→生活保護から脱却すると、税・社会保険料等の負担が生じるため、こうし た点を踏まえた上で、生活保護を脱却するためのインセンティブを強化するとともに、脱却直後の不安定な生活を支え、再度保護に至ることを防止すること が重要。 このため、保護受給中の就労収入のうち、収入認定された金額の範囲内で 別途一定額を仮想的に積み立て、安定就労の機会を得たこと等により保護廃止 に至った時に就労自立給付金を支給。⇒「制度概要」「<イメージ図>」参照。
○生活保護世帯における高校生に対する支援→保護費を減額しない取扱い  参照。
○高等学校等、大学等進学率の推移→R3年度⇒高等学校等進学率(生活保護世帯)93.7%。大学等進学率(生活保護世帯) 39.9%。
○高等教育の修学支援新制度について (実施時期:令和 2 年 4 月 1 日 ) ※大学等における修学の支援に関する法律(令和元年5月10日成立)→【支援対象となる学校種】大学・短期大学・高等専門学校・専門学校。【支援内容】@授業料等の減免 A給付型奨学金の支給。【支援対象となる学生】住民税非課税世帯 及びそれに準ずる世帯の学生。【財源】少子化に対処するための施策として、消費税率引上げによる財源を活用。
○高等教育の修学支援新制度(授業料等減免・給付型奨学金) 〜生活保護世帯の出身者・社会的養護を必要とする者の場合〜
→1〜3の参照。

次回も続き「資料2 居住支援のあり方について」からです。

第1回社会保障審議会年金部会 [2022年11月15日(Tue)]
第1回社会保障審議会年金部会(令和4年10月25日)
≪議事≫(1)部会長・部会長代理の選出 (2)「年金財政における経済前提に関する専門委員会」(案)の設置 (3)年金制度の意義・役割とこれまでの経緯等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_221025doc.html
◎参考資料1 社会保障審議会関係法令・規則
○厚生労働省設置法(平成 11 年法律第 97 号)(抄)↓

(社会保障審議会)
第七条 社会保障審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。→ 一〜四まで。 2 前項に定めるもののほか、社会保障審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他社会 保障審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
○社会保障審議会令(平成 12 年政令第 282 号)(抄)→(所掌事務)第一条、(組織)第一条の二、(委員等の任命)第二条、(委員の任期等)第三条、(部会)第六条、
(議事)第八条→審議会は、委員及び議事に関係のある臨時委員の三分の一以上が出席しなければ、会議を 開き、議決することができない。 2 審議会の議事は、委員及び議事に関係のある臨時委員で会議に出席したものの過半数で決し、 可否同数のときは、会長の決するところによる。 3 前二項の規定は、分科会及び部会の議事に準用する。
(雑則) 第十一条。

○社会保障審議会運営規則(平成 13 年1月 30 日社会保障審議会決定)(抄)→(会議) 第一条、(審議会の部会の設置)第二条、(諮問の付議)第三条、(分科会及び部会の議決) 第四条、(会議の公開)第五条、(議事録)第六条、(委員会の設置)第八条、(準用規定) 第九条、   (雑則) 第十条 この規則に定めるもののほか、審議会、分科会又は部会の運営に必要な事項は、それぞれ 会長、分科会長又は部会長が定める。


◎参考資料2 社会保障審議会年金部会における議論の整理(令和元年 12 月 27 日社会 保障審議会年金部会)
T はじめに
1 これまでの年金制度改革の経緯
→現在の公的年金制度の財政フレームは、2004(平成 16)年の年金制度改正 により導入された。社会経済情勢の変動に応じて、5年ごとの財政再計算の際に、人口推計や将来の経済見通し等の変化を踏まえて、給付内容や保険料水準を見直してきた。最終保険料率が 25%を超えるという見通しが示され、若い世代にとっては、将来の給付水準も保険料水準も見通しにくく、年金制度に対する不安につながっているという意見が 強かった。 そこで、2004(平成 16)年の年金制度改正⇒給付と負担の見直し方法 を改め、保険料の引上げを極力抑制しつつ将来の保険料負担の上限を固定し、 その保険料上限による収入の範囲内で給付水準を自動的に調整するという、 新しい給付と負担の見直しの方法を導入。@保険料水準の引上げスケジュールと将来の保険料の上限を固 定し、A基礎年金の国庫負担を2分の1へ引き上げることとした。さらに、B 財政の均衡を図る期間を概ね 100 年とした上で、その期間内で積立金の運用 収入と元本を活用することとした。この@〜Bにより、財源の枠組みが固定さ れた。その上で、C年金の給付水準⇒財政均衡期間である概ね 100 年間で年金財政が均衡する水準まで自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド調整)とした。これにより、長期的な年金財政の枠組みが構築され、年金 制度に対する将来への不安の解消を図った。 その後、2009(平成 21)年の財政検証と 2012(平成 24)年の社会保障と税 の一体改革を受け、基礎年金国庫負担2分の1の恒久化、被用者年金制度の一 元化、500 人超企業における短時間労働者への被用者保険の適用拡大等の制度改正が行われた。 そして、これらを踏まえて行われた社会保障制度改革国民会議の 2013(平 成 25)年8月の報告書⇒@マクロ経済スライドの見直し、A短時間労働 者に対する被用者保険の適用拡大、B高齢期の就労と年金受給の在り方、C高 所得者の年金給付の見直しが、今後の年金制度の課題として設定され、これら の課題は、2013(平成 25)年 12 月 13 日に公布された社会保障制度改革プロ グラム法にも規定された。 2014(平成 26)年の財政検証は、社会保障制度改革国民会議報告書や社会 保障制度改革プログラム法において規定された課題の検討に資するため、一 定の制度改正を仮定したオプション試算(マクロ経済スライドの見直し、被用 者保険の更なる適用拡大)を初めて実施し、本部会では、このオプション試算 を参照しながら、課題に対応するための制度改革の議論を行った。 その結果、2016(平成 28)年 12 月には、500 人以下の企業で働く短時間労 働者も労使合意により厚生年金への任意加入を可能とする被用者保険の適用 拡大の促進、マクロ経済スライド調整の見直し、賃金変動に合わせた年金額改 定(賃金スライド)の徹底等を行う年金改革法(平成 28 年年金改革法)が成立した。
・平成 28 年年金改革法は、将来世代の給付水準を確保するため、マクロ経済 スライドについて、現在の高齢世代に配慮しつつ、できる限り早期に調整を終 える観点から、名目下限措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で前年度 までの未調整分を調整するルール(キャリーオーバー制)を 2018(平成 30) 年4月から導入するとともに、賃金・物価スライドについて、支え手である現 役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金変動が物価変動を下回 る場合には賃金変動に合わせた改定をする考え方を 2021(令和3)年4月か ら徹底することとした。これは、長引くデフレ経済下でマクロ経済スライドに よる調整が発動しないこと等により生じた課題に対応するためのものであり、 社会保障制度改革国民会議報告書の課題@に対応している。法的措置による 特例水準の解消や最近の経済の回復基調等もあり、2015(平成 27)年度に初 めてマクロ経済スライドが発動し、2018(平成 30)年度に生じたキャリーオーバー分が、2019(令和元)年度の2度目のマクロ経済スライド発動とともに 解消した。

2 平成 28 年年金改革法成立後の検討→平成 28 年年金改革法成立後、2018(平成 30)年4月から再開した本部会で は、上記のようなこれまでの年金制度改革のレビューからスタートし、社会保 障制度改革国民会議報告書の課題であるA短時間労働者に対する被用者保険 の適用拡大、B高齢期の就労と年金受給の在り方、C高所得者の年金給付の見 直しに向けた議論を開始した。 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大⇒2012(平成 24) 年8月に成立した年金機能強化法の規定により、2019(令和元)年9月末まで に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとされている。また、 近年は、高齢者雇用の進展や働き方の多様化に向けた動きが生じており、こうした社会の変化は、正社員への適用を中心として構築されてきた社会保険制 度において、短時間労働者への適用拡大の必要性を高めるものとなっている。 以上を踏まえ、2018(平成 30)年 12 月より、「働き方の多様化を踏まえた 社会保険の対応に関する懇談会」(保険局長及び年金局長が開催)において、 適用拡大に伴う関連データや動向の検証、関係者からのヒアリング等による実 態把握、更なる適用拡大に伴う諸課題の分析・整理が行われ、2019(令和元) 年9月 20 日の議論のとりまとめが、本部会にも報告。 また、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元年6月21日閣議決定) 等の各種閣議決定・政府決定にも、働き方の多様化や高齢期の長期化・就労拡 大に応じた年金制度を構築する観点から、短時間労働者への被用者保険の適 用拡大、年金受給開始時期の選択肢の拡大、在職老齢年金制度の在り方の検討 が、課題として盛り込まれている。
・本部会では、短時間労働 者への被用者保険の適用拡大、高齢期の就労と年金受給の在り方等、年金制度 において改革を進めるべき事項について、2018(平成 30)年4月から 2019(令 和元)年 12 月までの 15 回にわたり、精力的に議論を行った。

3 2019(令和元)年財政検証→2019(令和元)年は、5年に1度の財政検証を行う年、同年8月 27 日に財政検証結果が公表され、本部会で報告を受けた。2019(令和元)年財政 検証は、新しい将来推計人口と幅広い経済前提の設定に基づき試算を行うだけでなく、2014(平成 26)年財政検証とともに行ったオプション試算の有用 性を踏まえ、今回も更に充実させたオプション試算を行うべき、という意見が 具体的な追加のオプションの要望とともに本部会に出されたことも踏まえ、被用者保険の更なる適用拡大、保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択 肢の拡大等、制度改革を実施した場合を仮定したオプション試算を実施した。 この財政検証の結果からは、以下の点が明らかになった。 @ 経済成長と労働参加が進むケース⇒現行の年金制度の下でも、引き続き、所得代替率 50%の給付水準を今後概ね 100 年間にわたり確保できるこ とが確認できた。したがって、経済成長と労働参加を促進することが、将来 の年金の水準確保のためにも重要であると言える。 A オプション試算Aとして行った被用者保険の更なる適用拡大では、適用 拡大を 125 万人、325 万人、1,050 万人の3つのケースで試算を行い、対象者の規模が大きいほど所得代替率や基礎年金の水準確保に効果が大きいこ とが確認できた。 B オプション試算Bでは、基礎年金の加入期間の延長、在職老齢年金制度の見直し、厚生年金の加入年齢の上限の引上げ、就労延長と受給開始時期の選 択肢の拡大について試算を行い、就労期間・加入期間を延長することや、繰下げ受給を選択⇒年金の水準確保に効果が大きいことが確認で きた。

4 今後の方向性→ 以上のような、社会経済の変化や年金制度の現状についての確認や 2019(令和元)年財政検証結果を踏まえ、本部会では、これらの結果等を前提として、 年金制度についても、働き方の多様化・高齢期の長期化という今後の社会経済 の変化を見越した制度改革を行うことが必要、という共通認識に達した。 そこで、本部会では、2019(令和元)年財政検証結果を踏まえ、⇒「多様な就労を年金制度に反映する被用者保険の適用拡大」「就労期間の延伸による年金水準の確保・充実」を2つの大きな柱とし、業務運営改善関係の見直し等の課題も含めて、今後の 年金制度改正について、2019(令和元)年9月より議論を行った。 この結果、本部会では、検討項目全体を貫いて今後の年金制度改革の基本に 置くべき考え方として、概ね次の様な方向性を共有した。↓
@ 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大→被用者による支え合いの仕組みとしての被用者保険に加入するのが基本であること、厚生年金の適用により将来の年金を手厚くできることが期待されること、社会保険制度の適用の仕方によって働き方や企業 の雇い方、経営条件などに影響をできるだけ与えないことが望ましいこと から、被用者として働く者には被用者保険を適用するという基本的な考え方に立つ必要がある。ただし、具体的な適用拡大は、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧に進める必要がある。
A 高齢期の就労と年金受給の在り方→基礎年金創設時と比べると、今日まで 65 歳の平均余命は5年程度伸長しており、将来人口推計では、今後さらに3年程度伸長することが仮定されて いる。また、65 歳を迎えた人が 90 歳に達する確率は、1950(昭和 25)年生 まれで男性の3割以上、女性の約6割であるところ、1990(平成2)年生ま れでは男性の4割以上、女性の約7割になる見込みである。医学的見地から も、高齢期の健康状態が若返り、就労意欲が高い状況を踏まえると、年金制 度において、より多くの人がこれまでよりも長く多様な形で働く社会とな ることを展望した上で、高齢期の経済基盤の充実のために行っておくべき 制度的な対応を今の段階から図っておくことが重要である。 こうしたことから、在職老齢年金制度の在り方の見直し及び在職定時改 定の導入、年金受給開始時期の選択肢の拡大を行うとともに、今後、必要と なる財源確保の在り方も検討した上で、平均寿命の伸長、就労期間の延伸等 に対応した被保険者期間(保険料拠出期間)の延長等、残された課題につい ても議論を続けていくべきである。
○ 以下、これまでの本部会における議論に沿って、上記の方向性等を踏まえた 今般の年金制度改革の具体的内容、さらにはそれ以降の年金制度改革の目指 すべき方向性を整理。


U 今般の年金制度改革
1 短時間労働者等に対する被用者保険の適用拡大
2 高齢期の就労と年金受給の在り方
3 その他の制度改正事項及び業務運営改善事項

V 今後の年金制度改革の方向性
1 被用者保険の適用拡大
2 高齢期の就労と年金受給の在り方
3 年金制度の所得再分配機能の維持
4 その他→今回行う制度改革⇒働き方の多様化、高齢期の長期化に対応する観点から、 主に老齢年金を射程とした改革となっている。しかし、公的年金制度⇒障害年金・遺族年金についても、社会経済状況の変化に合わせて見直しを 行う必要がないか検証し、その結果に基づいた対応についての検討を進めていく。 また、働き方の多様化、高齢期の長期化が進む中、老後の所得保障や退職後 の生活設計の情報に対するニーズは高まっている。年金制度⇒広報媒体の多様化や世代の特性も踏まえつつ、様々な媒体を適切に用いた周知を 行いながら、正しい情報を正確に伝え、関係者の理解を得ていくことが重要。その際、地域や事業所における年金委員の活用も図っていくべき。 これに関連して、年金に関して様々なウェブサイトがあることで、かえって 知りたい情報にアクセスすることが難しいとの指摘もあったことから、2019 (平成 31)年4月、厚生労働省ホームページ上に、ライフイベントごとに必要な年金情報が整理されたサイトである「年金ポータル」が開設、引き続き広報の充実・強化に取り組むとともに、戦略的な広報展開を 検討すべき。 また、2019(令和元)年財政検証でも、世帯類型ではなく一人当たりの賃金 水準によって所得代替率が決まることやその水準がどのようになるかを示し ているが、このように、モデル年金以外の所得保障の状況についてもイメージ できるようにわかりやすく示す工夫を重ねていくことが今後とも重要。 高齢期の生活は多様であり、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や、働き方の希望、収入・資産の状況なども様々である。公的年金制度に関する関 心内容として「自分が受け取れる年金はどのくらいか」が最も高くなっており、 制度自体の広報・周知に加えて、個々人の老後の公的年金の支給額等がいくら となるか若い頃から見通せるようにすることが、老後生活や年金に対する不 安を軽減するためにも重要。次期制度改正で、高齢者が自身の就業状況 等に合わせて年金の受給開始時期の選択肢を 60〜75 歳までに拡大することも 踏まえれば、その必要性は一層高まる。 こうした観点から、これまでも「ねんきんネット」による年金見込額試算の充実などが取り組まれているが、さらに、公的年金、私的年金を通じて、個々 人の現在の状況と将来の見通しを全体として「見える化」し、老後の生活設計 をより具体的にイメージできるようにするための仕組みを検討すべき。 さらに、個別の制度の仕組みや個々人の状況の情報提供にとどまらず、誰も が人生を歩んでいく上で避けることのできないリスク(年金制度の場合は稼 得能力の喪失)に対して、社会全体で連帯して備える社会保障制度という大きな枠組みの中で、貯蓄ではなく保険の考え方を基本に構築されている年金制度の意義や位置付けを理解してもらうことも重要であり、子どもの頃から生 涯を通じた年金教育の取組を進める必要がある。 最後に、公的年金制度の在り方については、様々な意見があるが、国民全体 の幸福、我が国全体の発展に資するような改革が何かを十分に検討し、今後も、 将来世代のための改革の議論を続けていくことが重要である。

次回は新たに「第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」からです。

第1回社会保障審議会年金部会 [2022年11月14日(Mon)]
第1回社会保障審議会年金部会(令和4年10月25日)
≪議事≫(1)部会長・部会長代理の選出 (2)「年金財政における経済前提に関する専門委員会」(案)の設置 (3)年金制度の意義・役割とこれまでの経緯等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_221025doc.html
◎資料1 「年金財政における経済前提に関する専門委員会」(案)の設置について
1.設置の趣旨→ 令和6年までに行う公的年金の財政検証における経済前提等について、社会保障 審議会年金部会における審議に資するため、専門的・技術的な事項について検討を 行う専門委員会として、年金財政における経済前提に関する専門委員会(以下「委 員会」という。)を設置する。
2.委員会の構成→ 経済、金融その他年金財政等に関し識見を有する者により構成する。
3.運営等→(1) 委員会に委員長を置く。委員長は委員の中から互選により選任する。 (2) 委員長は、委員会の事務を掌理する。 (3) 委員会の会議及び議事録は公開とする。ただし、委員長は、公開することに より公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときその 他正当な理由があると認めるときは、会議及び議事録について、その全部又は 一部を非公開とすることができる。 この場合には、委員長は、非公開とした部分について議事要旨を作成し、こ れを公開するものとする。 (4) 委員会の庶務は、厚生労働省年金局数理課が行う。 (5) (1)〜(4)に定めるもののほか、委員会の運営に必要な事項は、委員長 が定める。


◎資料2 年金制度の意義・役割とこれまでの経緯等について
≪公的年金制度の役割、機能≫↓
○公的年金制度が整備された背景
→かつては、親と同居して農業や自営業を一緒に営む人が多く、自分で親を養っていた。経済成長の過程で、親と別居して都市で働く人が多くなったため、自分で親を養うことが難しくなっていっ た。こうした社会変化の中で、社会全体で高齢者を支える公的年金制度が整備。⇒ 公的年金制度によって、親の扶養のための費用の負担が軽減。→【家族をめぐる代表的な変化】参照。
○公的年金制度は、「仕送り」を社会化したもの→日本を含め先進各国の公的年金制度は、いずれも、現役世代が納めた保険料をその時々の高齢者の年金給付に充てる仕組み(=賦課方式)を基本とした財政方式。将来の高齢化の進展に備え相当程度の積立金を保有し、その活用により、 将来世代の保険料水準が高くなりすぎないよう配慮している。
○公的年金は、予測できない将来に備える生涯にわたる「保険」→参照のこと。
○公的年金制度の機能→貧困の予防・救済、所得再分配、経済の安定・成長。
○公的年金の所得再分配機能→厚生年金制度は、2階建て構造(1階部分が定額)であるため、保険料や国庫負担による所得再分配機能 を持つ。 (賃金水準が1/2になれば、保険料は1/2になるが、基礎年金額は賃金の多寡で変わらないため、年金額は1/2よりも大きい。)

≪これまでの経緯≫
○主な年金制度改正(年表)→制度の創成⇒制度の充実⇒高齢化への 対応へ。
○昭和60年の年金制度改正 〜基礎年金の導入〜→【昭和60年改正前】とその後へ。
○「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日)の概略→公的年金の財政フレームの見直し⇒平 成 1 6 年改正後→長期的な年金財政の枠組みが構築され、年金制度に対する将来への不安の解消へ。
○平成16(2004)年改正による年金制度における長期的な財政の枠組み→保険料の引上げが終了したことで、基礎年金国庫負担の2分の1への引上げと合わせ、収入面では、財政フレーム は完成をみている。
○「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日)の概略
○社会保障・税一体改革関連法成立(平成24年)までの経緯
○社会保障・税一体改革関連法成立後、社会保障制度改革国民会議報告書 (平成25年8月6日)で取り上げられた課題
○マクロ経済スライドの発動時期による所得代替率への影響
○公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第114号)の概要
○年金額の改定ルールの見直し(平成28年改正法)
○「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日)の概略
○令和2年改正法検討時の年金部会開催状況
○「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日)の概略
○給付水準の調整終了年度と最終的な所得代替率の見通し(2019(令和元)年財政検証) − 幅広い複数ケースの経済前提における見通し(人口の前提:出生中位、死亡中位) −
○2019(令和元)年財政検証の結果について< 経済:ケースV 人口:中位 >
○2019(令和元)年財政検証の結果について <経済:ケースX 人口:中位>
○オプション試算の内容
○2019年財政検証オプション試算結果(オプションA)
○オプションB(保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択)の全体像
○2019年財政検証オプション試算結果(オプションB)

≪令和2年年金制度改正法とその施行状況≫
○年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
→「改正の趣旨: 長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため」「改正の概要」→1〜5まで。「令和4(2022)年4月1日施行」
○被用者保険の適用拡大に係る見直し→短時間労働者への適用拡大⇒50人超規模の企業まで適用するスケジュールを明記。具体的には、2024年10 月に50人超規模の企業まで適用することとし、その施行までの間にも、できるだけ多くの労働者の保 障を充実させるため、2022年10月に100人超規模の企業までは適用する。
○在職定時改定の導入→【見直し内容】(令和4(2022)年4月施行)⇒65歳以上の者⇒在職中であっても、1年間の保険料納付実績を年金額に反映させる改定を定時に行う。(毎年1回、10月分から)
○在職老齢年金制度の見直し→【見直し内容】(令和4(2022)年4月施行) 60〜64歳の在職老齢年金制度(低在老)について、支給停止の基準額を28万円から、現行の65歳以上の 在職老齢年金制度(高在老)と同じ「47万円」に引き上げる。
○受給開始時期(繰上げ・繰下げ受給制度)の選択肢の拡大について→公的年金の受給開始時期は、原則として、個人が60歳から70歳の間で自由に選ぶことができる。65歳より早く受 給を開始した場合(繰上げ受給)には、年金月額は減額(最大30%減額)となる一方、65歳より後に受給を開始し た場合(繰下げ受給)には、年金月額は増額(最大42%増額)となる。 今回の改正で、この受給開始時期の上限を、70歳から75歳に引き上げる。75歳から受給を開始した場合には、年 金月額は84%増額となる。(令和4年4月施行)

≪今後の検討課題≫
○「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日)の概略
【議論の視点】
→公的年金制度が長期にわたり老後生活の基本を支えるという役割を果たすには、社会経済や労働市場の変化に対応した制度の在り方について、雇用政策とも連携しながら今後とも検討を進める必要。  5年に1度財政検証を行う公的年金制度にはPDCAサイクルが組み込まれている。このサイクルにおいて、 オプション試算は社会経済の変化に対応した改革志向の議論を進めていく上で必要不可欠なもの。今後とも、課題に対応した内容の充実も含めて、オプション試算を重視した改革論議を進めていくべき。
1 被用者保険の適用拡大→本来は、企業規模要件を撤廃し、50人以下の企業に対しても被用者である者には被用者保険を適用すべきであり、今回の50人超規模までの適用拡大により生じる影響の検証を行った上で、更なる適用拡大を どのように進めていくか議論すべき。個人事業主の事業所の適用業種についても、今回追加された士業以外の業種への適用を引き続き検討すべき。さらに、各業界の任意包括適用の活用を促す取組状況を適宜聴取・把握していく必要がある。 兼業・副業も含め、適用基準を満たさない就労を複数の事業所で行う者に対する保障の在り方や、フリーランス・ギグワーク・請負型で働く者などが増加する中、制度的には個人事業主であっても実態は雇用に近い働き方をしている者への保障の在り方についての問題が提起されている。 第3号被保険者制度→まずは、被用者保険の適用拡大を進め、被用者性が高い人については被 用者保険を適用していくことを進めつつ、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んで いくことが必要、この方向性に沿った対応を進めていく必要がある。
2 高齢期の就労と年金受給の在り方→高在老を含めた高齢期の年金と就労の在り方⇒引き続き検討を進めていく必要。 就労の長期化を年金制度に反映することにより、長期化する老後生活の経済基盤の充実が図られるよう、 今後の高齢期の就労の変化を念頭に、高齢期の就労と年金の在り方について検討を進めていくことが求め られる。  高齢者雇用⇒より多様な形での就業機会の確保が進められる中、就労と年金の組合せの選択がより多様で柔軟にできるよう、引き続き検討を続けるべき。
3 年金制度の所得再分配機能の維持→再分配機能を維持⇒基礎年金のみを受給する者だけでなく、厚生年金の受給者にとっても、その高齢期の経済基盤 を充実させるために非常に重要。被用者保険の適用拡大を、今回の適用拡大以上に、さらに 徹底して進める必要あり。マクロ経済スライドの効果⇒引き続き、その状況の検証を行うべき。 今後は、基礎年金の所得再分配機能を維持する更なる方策として、保険料拠出期間の延長についても、必要となる財源確保の在り方も検討した上で、就労期間の長期化等の高齢者の雇用実態等も踏まえて検討すべき。 基礎年金が、厚生年金と国民年金の被保険者が公平に拠出して支える仕組みであることを踏まえつつ、報 酬比例部分と基礎年金のバランスを確保して基礎年金の所得再分配機能を維持していくため、どのような 方策が可能か、引き続き検討するべき。
4 その他→障害年金・遺族年金についても、社会経済状況の変化に合わせて見直しを行う必要がないか検証し、その結果に基づいた対応についての検討を進めていくべき。 広報媒体の多様化や世代の特性も踏まえつつ、様々な媒体を適切に用いた周知を行いながら、正しい情報を正確に伝え、関係者の理解を得ていくことが重要。 平成31年4月、厚生労働省ホームページ上に、ライフイベントごとに必要な年金情報が整理されたサイト「年金ポータル」が開設された、引き続き広報の充実・強化に取り組むとともに、 戦略的な広報展開を検討すべき。 モデル年金以外の所得保障の状況についてもイメージできるようにわかりやすく示す工夫を重ねていくこ とが今後とも重要。 公的年金、私的年金を通じて、個々人の現在の状況と将来の見通しを全体として「見える化」し、老後の 生活設計をより具体的にイメージできるようにするための仕組みを検討すべき。 個別の制度の仕組みや個々人の状況の情報提供にとどまらず、誰もが人生を歩んでいく上で避けることの できないリスク(年金制度の場合は稼得能力の喪失)に対して、社会全体で連帯して備える社会保障制度 という大きな枠組みの中で、貯蓄ではなく保険の考え方を基本に構築されている年金制度の意義や位置付 けを理解してもらうことも重要であり、子どもの頃から生涯を通じた年金教育の取組を進める必要がある。

○年金改正法の附則の検討規定(第3〜5項は衆議院における修正により追加)→(検討) 第二条 →第3・4・5項の参照。

○令和2年年金改正法 附帯決議(比較参照のこと。)↓
衆議院厚生労働委員会(令和2年5月8日)→9項目。
参議院厚生労働委員会(令和2年5月28日)→12項目。

次回も続き「参考資料1 社会保障審議会関係法令・規則」からです。

第4回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2022年11月13日(Sun)]
第4回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和4年10月24日)11/13
≪議事≫(1)子ども・子育て一般施策等への移行等について (2)障害児通所支援の調査指標について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28748.html
◎参考資料4 保育所等訪問支援の効果的な実施を図るための手引書
平成29年3月  一般社団法人 全国児童発達支援協議会
はじめに
→ 1保育所等訪問支援の重要性 2本手引書の基本的性格(1) 手引書の対象@〜B (2) 手引書の作成にあたっての留意点@〜D  3本手引書の作成にあたって重視したこと  4 その他
第1章 理論編
T 保育所等訪問支援とは
1 保育所等訪問支援の根拠法令は何ですか?【法的位置付け】
(1)保育所等訪問支援は「児童福祉法」に基づくサービスです
(2)児童福祉法の理念に則り、子どもにとって最善の利益を考慮します
2 なぜ、今必要とされているのでしょうか?【事業の成り立ち】
(1)保育所等訪問支援はインクルージョンの実現が目的です
(2)通所支援の課題に対応する未来志向型の事業です
3 保育所等訪問支援は何のために行うのでしょうか?【事業の理念、目的】
(1)子どもの成長・発達を願う保護者の権利として提供されるサービスです
(2)保育所等訪問支援は、普段通所している場所での集団適応を支援するサービスです
4 どのような人が利用するのでしょうか?【申請者と対象児】
(1) 申請者は保護者です
(2) 利用者は保育所等に通所していて、集団生活に専門支援が必要な子どもです
(3) 訪問支援に対する子どもの意向を確認
5 どこで行うのでしょうか?【訪問支援の場所】
(1)保育所や幼稚園、認定こども園、教育機関など通所して集団生活を送る施設です
6 誰が訪問支援を行うのでしょうか?【人員配置基準:訪問支援員の資格】
(1)児童指導員や保育士、作業療法士などのリハ職員、心理担当職員などです
(2)訪問支援員は、障害児支援に関する知識や相当の経験が必要です
7 どのような設備が必要ですか?【設備基準】
(1)保育所等訪問支援を行うための相談室などが必要です
8 どのような支援をするのでしょうか?【支援内容】
(1)子どもへの「直接支援」とスタッフへの「間接支援」を行うサービスです
(2)保護者への丁寧な報告が必要です
9 訪問支援の頻度や時間、期間ぐらいですか? 【実施形態】
(1)標準的には、2週間に1回程度の訪問頻度を想定しています
(2)標準的には、直接支援及び間接支援合わせて 2 時間〜半日程度です
(3)支援の継続は半年から 1 年ごとに見直します
10 保育所等訪問支援の効果は何ですか?【事業効果】
(1)子どもには自己肯定感が、訪問先には支援力が高まり移行後の支援に継続性が保たれます
(2)保護者には、子どもの育ちへの安心感と施設への信頼感が高まります
11 他の巡回・派遣型の事業との違いは何ですか?【訪問支援の独自性と連携の重要性】
(1)他の巡回・派遣型事業の特徴と保育所等訪問支援との違い
@ 保護者の依頼に基づかない巡回・派遣(保育所等訪問支援は保護者申請に基づきます)
A 施設等への間接支援が中心(保育所等訪問支援は子ども本人への直接支援も行います)
B 取り組みに地域差が生じやすい(保育所等訪問支援は義務的経費)
(2)他の巡回・派遣型事業と保育所等訪問支援の業務を整理し、役割分担することが必要です
12 都道府県及び市町村行政の役割は何ですか?【行政責任と協力】
(1)行政には保育所等訪問支援等の提供体制整備の責任があります
(2)行政組織内の横の連携を図ります
(3)訪問先機関に事業の理解を求め、協力を依頼します
13 報酬はどうなっていますか?【報酬体系】→ @ 基本部分

第2章 スタートアップ編
T 開設準備【ステップ1】
1 事業実施の決定 →(1)他の保育所等訪問支援事業所への視察 (2)地域の実情の把握 (3)事業実施の決定
2 法人格と定款の整備→(1)法人格の取得
3 事業理念の確立→ (1)何のためにやるのかの理念の確立
4 サービス提供体制の確立→(1)職員体制の決定(訪問支援員等の確保)@〜B
(2)訪問支援するためのルールの決定 @〜Dまで。(3)訪問支援の手順等の決定@〜C。(4)書類の整備  (6)設備・備品の準備(相談室等の整備)
5 保育所等訪問支援実施に向けた地域関係機関への地ならし→(1) 日頃からの関係機関との連携を大切にする (2) 市町村や(自立支援)協議会、訪問先機関の長会への事業周知
6 指定申請に向けた準備→(1)地域の行政や関係機関への相談 (2)都道府県等
指定担当者への事前協議 (3)都道府県等への指定申請
7 報酬請求システムの構築
U 開設後〜地域にまだ保育所等訪問支援が浸透していない段階【ステップ2】
1 保育所等訪問支援の「基本」を掴む (1)手持ちの限られた範囲内でスタートする
こと(2)訪問先での支援を知ること(3)保育所等訪問支援の実践を蓄積すること
(4)保育所等訪問支援の実践を見える化すること
2 保育所等訪問支援事業所同士の連携の強化(連絡会等の組織化と学び)
3 保育所等訪問支援の潜在ニーズの掘り起こし
4 保育所等訪問支援の地域関係機関への周知と受け入れ依頼→(1)制度周知・普及に関する市町村の関与度の確認 (2)市町村関係部署、訪問先機関の長会等への広範周知と訪問先への個別的対応
V 地域に保育所等訪問支援が認識され、本格的に展開する段階【ステップ3】
1 保育所等訪問支援の「対応力」「総合力」をつける→(1) 対象の拡大や訪問支援の
提供のあり方を見直す(2)保育所等訪問支援の実践を活かすこと(3)保育所等訪問支援の新たな課題に対応していくこと(4)平成 30 年度児童福祉法改正に向けた準備(社会的養護施設への訪問支援)
2 保育所等訪問支援の地域関係機関への周知の継続→(1)制度周知・普及の働きかけ
は毎年ルーチン化して継続する

第3章 実践編(相談から訪問支援、再評価の流れに沿って)
T 保育所等訪問支援の流れの実際→@〜Gまであり。
U 相談の経路ごとの受け付けの流れの実際→@〜Cまであり。
 V 障害児相談支援事業所との連携・協働→図3:担当者間の連絡調整を重視した計画相
談のプロセス 参照。
W アセスメント]
1 保育所等訪問支援におけるアセスメントとは
2 アセスメント項目→ @情報収集する内容(ア.子どもに関すること 【発達面の把握】
【生活の様子】【訪問支援先での生活の様子】【子どもの意見】、イ.保護者に関すること 【子どもに関すること】【訪問先施設に関すること】、ウ.訪問支援先に関すること 【先生からの聴取】【訪問先の環境】<物理的環境><人的環境>)。A得た情報 をまとめること B検討し、決定すること
X ニーズの把握→1 保護者のニーズ 2 子どもの発達ニーズ3 訪問先の支援ニー
ズ 4 各ニーズのすり合せや調

Y 個別支援会議(事前連絡会議)の開催
Z 保育所等訪問支援計画書(個別支援計画書)の作成→ 1訪問先での支援目標、支援
内容の合意 2保育所等訪問の個別支援計画の様式について 3 具体的な個別支援計画の作成について(【総合的な支援の方法】【ニーズ】【訪問頻度】【解決すべき課題】【支援目標】【援助内容】、【評 価】と【今後の取り組み】
[ 訪問支援の実際→ 1 訪問日の調整  2訪問支援内容の検討@〜C、3支援の記録
   4 訪問先への報告 5 欠席時の対応
\ 保護者への事後報告
] 保護者への実績記録票の確認・押印
Ⅺ 個別支援計画に基づくモニタリング
Ⅻ 訪問頻度と終了のポイントおよび支援の引き継ぎ

第4章 事例集
T 知的障害を伴う自閉症スペクトラムAさんの支援→ 1 支援対象 2 保育所等訪問
までの流れ@〜D。3 保育所でのアセスメント(1)A君の様子@〜D、(2)保育所の環境。 4 支援の方針(1) 総合的な支援方針(2) 支援目標@〜B。  5 訪問支援内容(1)支援経過 【1か月目】【2か月目】(2)給食場面における変化(3)姿勢保持における変化(4)その他の変化(表情)(排泄)。 6 まとめ→保育所等訪問支援計画書あり。

U 自傷行為・他害のある自閉症スペクトラム B さんの支援→1支援対象 2保育所等訪
問までの流れ@〜Fまであり。 3 アセスメント(1)〜(3)まで。4 支援の方針
(1)(2)、
5 訪問支援内容(1)支援経過(【1か月目】【2か月目】【3か月目】【4か月目】)
6 まとめ

V 保育園に通う重度重複障害児への支援→ 1 支援対象 2保育所等訪問支援までの流れ@A、3 アセスメント(1)(2) 4 総合的な支援方法 5 支援目標(保育園における C 君の課題)@〜B、 5 支援内容(1)〜(4)まで。  6 支援経過(1)個別対応による支援@〜Cまで。(2)生活場面での支援@〜Bまで。 7 C 君の集団場面での変化〜保護者や担任の先生と確認できたこと@〜Cまで。 8 C 君の保育所等訪問支援をふりかえり@〜Bまで。

W 通常学級において、離室や授業の妨げとなる行動の多さに対応した事例→1支援対象
2 保育所等訪問までの流れ @〜B、3 アセスメント→(1)小学校の環境(2)校内におけ
る支援状況@〜B、(3)D さんの様子 @〜C 4 総合的な支援の方針  5支援目標@〜
B、6 支援内容(【修復期】【獲得期】【安定期】) 7 支援結果 8 まとめ

第5章 各種様式例→個別支援計画(開始時)様式あり。


◎参考資料5 障害児通所支援の調査指標関係資料
○給付決定において勘案すべき事項(障害児通所給付費等の通所給付決定等について (平成24年3月30日障発0330第14号)(抜粋))
< 第三 通所給付決定の際勘案すべき事項その他の基本事項 >↓

@ 障害児の障害の種類及び程度その他の心身の状態→当該障害児の身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳に記載されている障害の状況又は疾病名のみに着目するのではなく、障害があるがゆえに日常生活を営むのに支障をきたしている状況等を含めて勘案。「その他の心身の状態」を勘案する場合とは、通所による支援よりも入所による支援や医療機関への入院が適当である場合等を想定。 このような場合に当たるのではないかと考えられるときは、市町村は、申請者の同意を得て当該障害児の主治医等の医療機関に問い合わせるほか、申 請書に健康診断書の添付を求めることにより確認を行うこととなる。 A 障害児の介護を行う者の状況→保護者の有無、年齢、心身の状況及び就労状況等を勘案、入所による支援が適当か、通所による支援が適当か等を判断することを想定。 なお、当該事項は、保護者がいる場合に障害児通所給付費等の支給を行わないという趣旨ではない。 B 障害児の保護者に関する障害児通所給付費の受給の状況。 C 障害児の保護者に関する障害児入所給付費の受給の状況。 D 障害児に関する介護給付費等の受給の状況。
E 障害児に関する保健医療サービス又は福祉サービス等の利用の状況→市町村は、申請されたサービス以外のサービスの利用状況を踏まえ、通所給付決定により当該障害児が全体としてどのようなサービスを受けながら 生活することになるのかを把握した上で、通所給付決定を行う。 また、支給の要否や支給量⇒地域社会への参加・包容(インクルージョン)の観点から地域における保育所等の一般施策での受入体制等 も踏まえた上で、通所給付決定を行う。 F 障害児又は障害児の保護者の障害児通所支援の利用に関する意向の具体的内容→障害児の保護者が受けようとするサービスの内容、利用目的等、具体的にどのような利用の意向があるのかを勘案して、通所による支援が適当か判 断することを想定。 G 障害児の置かれている環境 障害児通所支援を利用するにあたって、当該障害児が住んでいる住宅の立地や交通手段の状況を勘案すること等が想定されている。 H 障害児通所支援の提供体制の整備の状況→ 障害児通所給付費等の通所給付決定を行う⇒実際に当該障害児が当該障害児通所支援を利用できる見込みがあることが必要のことから、本事項を勘案することとする。利用の見込みは、障害児の保護者からの利用予定事業者を聴き取るほか、障害児の保護者からの求めに応じ、 あっせん・調整、要請を行うなどにより判断することとなる。

○給付決定において勘案すべき事項(障害児通所給付費等の通所給付決定等について
(平成24年3月30日障発0330第14号)(抜粋))
< 別表 5領域11項目の調査の調査項目 >
→「項目@〜D」まで「区分(全介助・一部)」があり、 それによって「判断基準」となる。

○「児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の在り方に関する研究」概要
1.本研究の背景・目的→児童発達支援・放課後等デイサービスに用いられている加算の該当を判定する指標について、その判定をする際の解釈⇒障害支援区分の判定に用 いる認定調査員マニュアルを参考としている。認定調査員マニュアルは基本成人の方の状態像を想定していることから、乳幼児期・学童期への解釈、判定を行うには、乳幼児期・学童期の障害児の状態像をイメージしづらい点もあり、自治体において判定にバラツキがあることが指摘されている。そのため、乳幼児期・学童 期に適し、また、自治体で判定する際において理解しやすく、バラツキの少ない新たな指標案を作成することを目的。
2.概要→@領域策定チーム:新たな指標案を作成するための領域の策定・整理等を行った。 A項目検討チーム:策定された領域に応じて、具体的項目案の作成等を行った。 B調査分析チーム:実態調査等の実施・分析を担当。
3.調査研究の結果及び効果→現行指標の使用実態につき実態調査を行った。 現行指標の反省及び、種々の理念、有識者の意見等を踏まえ、さらに現場の意見を反映させた、多角的かつ発達的にとらえつつ、生活における支援の要点 が把握できる形での項目の選定を行った。6領域90項目の具体的項目に整理され、さらにダイジェスト版として23項目の抽出を行った。思春期にはさらに3項 目を加える形に整理された。 抽出・整理された項目⇒事業所及び自治体にトライアルと、ヒヤリングを行い、課題と意見を集めることができた。

○令和3年度 障害者総合福祉推進事業 児童発達支援・放課後等デイサービスの 指標の在り方に関する研究
・言語・コミュニケーション 2項目(1〜2)→言語・コミュニケーション 編
・人間関係・社会性 8項目 (3〜10)→人間関係・社会性 編、認知・行動 編(6〜10)
・医療的配慮 2項目 (11〜12)→医療的配慮 編
・感覚・姿勢・運動 5項目 (13〜17)→感覚・姿勢・運動 編
・健康・生活 3項目 (18〜20)→健康・生活 編
・児童期・思春期のコミュニケーション3項目(21〜23)→中学生以上のチェック【児童期・思春期必要ポイント3項目】一覧表


次回は新たに「第1回社会保障審議会年金部会」からです。

第4回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2022年11月12日(Sat)]
第4回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和4年10月24日)
≪議事≫(1)子ども・子育て一般施策等への移行等について (2)障害児通所支援の調査指標について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28748.html
◎参考資料1 第3回障害児通所支援に関する検討会における団体ヒアリングの主な意見
T「児童福祉法等の一部を改正する法律」施行後の児童発達支援センターの方向性→No1〜
7まで。↓

・全国肢体不自由児者父母の会連合会(3意見)→児童発達支援ガイドライン⇒日常生活における基本的な動作の指導、知識・技能の付与、集団生活への適応訓練、 その他の便宜を提供するものと既に示されているので、今後の児童発達支援センターの役割を明確にすることについて アセスメントを具体的に遂行できるものを検討して提出していただきたい。
・日本ダウン症協会(4意見)→@乳幼児に対する発達支援についても専門性を高めること、A障害のある子の出生後早期に児童発達支援センターにつな げる仕組みを構築すること、B保健所や女性健康支援センターと連携し、発達支援にかかる情報を保健所や女性健康支援セ ンターに提供することを強く望む。

U 児童発達支援事業・放課後等デイサービスの「総合支援型(仮称)」と「特定プログラム特化型(仮称)」の方向性等について→No1〜5まで。↓
・全国肢体不自由児者父母の会連合会(4意見)→発達障害の子どもたちにピアノや絵画の指導をすることで、既に子どもたちの特性を理解していなければ、そういった支 援はかなわない。子どもたちの個別指導計画が発達支援にかなっているものであれば、ピアノであろうが絵画であろうが有 効な手段として認めていくべきものであろう。
・日本ダウン症協会(1意見)→特定プログラム特化型(仮称)の具体的な方向について、言語療法を就学以降も必要なお子さんに対して継続できることを。

V 子ども・子育て一般施策の移行等について→No1〜5まで。↓
・障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会(2意見)→一般の学校では空き教室などを利用して学童が運営されているケースがあるが、特別支援学校でも校内に放デイを設置 していただく必要があると考えている。
・全国肢体不自由児者父母の会連合会(3意見)→保育所等訪問支援について、併行通園をしている場合でもモニタリングをしていけば、まだ十分な発達が得られていない なということが分かっていく。モニタリングが良好となる評価が出るまで、定期的な訪問指導は必要なのではないか。

W 障害児通所支援の調査指標について→No1〜3まで。↓
・全国肢体不自由児者父母の会連合会(3意見)→発達に課題がある子どもの背景には、家族からのアプローチの幼さが大きく影響していることがあり、子どもの発達を支 援するためにも、そういった家族背景の指標もしっかりと取り入れたものをつくらないといけないのではないか。
X 障害児通所支援の質の向上について→No1まで。↓
・全国肢体不自由児者父母の会連合会(1意見)個別支援計画を立てて個別の療育を実践していくのであれば、その内容に従った自己評価や保護者の評価表に改めて いかなければ実際の事業所等の評価にはつながらないのではないか。

○その他→No1〜7まで。↓
・障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会(3意見)→家族や企業の努力だけでは限界があり、国の様々な制度に親の就労支援の視点を反映していただきたい。
・全国肢体不自由児者父母の会連合会(2意見)→ ガイドラインで示されている既に検討していくべき内容が実践できていないことに尽きるので、そういったものをしっか りと実践できるように具体化できるマニュアルを作成していただきたいというのが総じての結論。
・日本ダウン症協会(2意見)→個別の支援計画が作成されているが、これらの計画が関連性を持ち、継続的に整合的に作成され、障害児者が生涯にわ たって、成長に合わせた継続的な支援を受けることができる仕組みの構築が必要。


◎参考資料2 第3回障害児通所支援に関する検討会団体ヒアリング追加質問・回答 →前述の「資料2 障害児通所支援の調査指標についての主な検討事項(案)、第3回 障害児通所支援に関する検討会 団体ヒアリング追加質問・回答」の再掲です。↓
○ 井上構成員より各団体への質問
○ 金丸代理人(日本相談支援専門員協会)より障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会への質問
○ 金丸代理人(日本相談支援専門員協会)より日本ダウン症協会への質問


◎参考資料3 子ども・子育て一般施策等への移行等の現状について
○保育所等訪問支援
→事業の概要⇒保育所等を現在利用中の障害児、又は今後利用する予定の障害児が、保育所等における集 団生活の適応のための専門的な支援を必要とする場合に、訪問支援を実施することにより、保 育所等の安定した利用を促進。児童発達支援センター 事業の保育所等訪問支援となる。
・提供するサービス→障害児が集団生活を営む施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援等を実施。 @障害児本人に対する支援(集団生活適応のための訓練等) A訪問先施設のスタッフに対する支援(支援方法等の指導等)。  援は2週に1回程度を目安。障害児の状況、時期によって頻度は変化。  訪問支援員は、障害児施設で障害児に対する指導経験のある児童指導員・保育士(障害の特性に応じ専門的な支援が 必要な場合は、専門職)を想定。
・対象者→保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校、認定こども園その他児童が集団生活を営む施設に通う障害児であって、当該施 設を訪問し、専門的な支援が必要と認められた障害児(平成30年度から、乳児院及び児童養護施設に入所している障害児を 対象に追加)。
・サービス内容→保育所等を訪問し、障害児に対して、障害児以外の児 童との集団生活への適応のための専門的な支援その他必 要な支援を行う。
・人員配置→ 訪問支援員・ 児童発達支援管理責任者 1人以上 ・ 管理者。
・報酬単価(令和3年4月〜)あり。
○保育所等訪問支援の現状→令和2年度の費用額は約22億円、障害福祉サービス等全体の総費用額の0.08%、 障害児支援全体の総費用額の0.4%。 平成24年度の新制度開始時に新規事業の創設。増加傾向、児童発達支援、放課後等デイ サービスと比較すると小規模。

○保育所等訪問支援の支援対象の拡大(H30〜)→乳児院や児童養護施設の入所者に占める障害児の割合は3割程度となっており、職員による支援に加えて、発達支援に関する 専門的な支援が求められている。(乳児院:28.2%、児童養護施設:28.5%/平成24年度) ○ このため、保育所等訪問支援の対象を乳児院や児童養護施設に入所している障害児に拡大し、障害児本人に対して他の児童 との集団生活への適応のための専門的な支援を行うとともに、当該施設の職員に対して障害児の特性に応じた支援内容や関わり 方についての助言等を行うことができることとする。

○児童発達支援ガイドライン(平成29年7月24日付 障発0724第1号 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)→イ 移行支援(ア)ねらい (イ)支援内容 参照。↓
・現行、移行支援や関係機関との連携における報酬上の評価
・移行支援の現状について(令和3年 報酬改定検証調査より:回答1,126事業所)

○障害児保育の概要→「地方交付税により措置」から保育所等における障害児の受入及び保育士等の配置の実態を踏まえ、400 億円程度から880億円程度に拡充。⇒個別算定 (障害児数算定)へ。障害児保育担当職員数⇒42,852人(R3.4.1時点)。
<障害児の受け入れ推進のための国の補助>→【運営費】@〜Bの参照。
○放課後児童クラブにおける障害児の受入れ推進について
<障害児受入れクラブ数及び障害児数の現状及び推移>→令和3年⇒それぞれの調査開始時と比較して、障害児受入れクラブ数が約3.8倍・障害児数が約5.4倍に増加。

○児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部改正について→児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和 23年厚生省令第63号)等について⇒@ 児童福祉施設における児童の安全確保のための計画策定の義務化 A 児童福祉施設における業務継続計画策定等の努力義務化 B 保育所と児童発達支援事業の併設を可能とするため、設備及び人員の専従規定の緩和 C 保育所における看護師等のみなし配置に関する乳児の在籍人数要件の見直し @、Aについては、児童自立生活援助事業所や放課後児童健全育成事業所など児童福祉施設以外の 施設等についても、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)、放課後児童健全育成事業の 設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)において同様の改正を実施予定。 • @、A、Bについては家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令 第61号)において同様の改正を実施予定。 • 各改正事項については、追って留意事項等をお示しする予定。
・改正スケジュール(予定)→本年8月中旬〜9月中旬 パブリックコメント実施中。 本年10月上旬以降 公布。 令和5年4月 施行。

○Bインクルーシブ保育について→保育所と児童発達支援事業の併設を可能とするため、設備及び人員の専従規定の緩和を行う。⇒保育所と児童発達支援事業所が同一施設で保育・療育を行う場合(イメージ)→現行制度で実施可能な場合、保育所及び児童発達支援事業所 の設備運営基準の見直しが必要な場合あり。
○(参考)地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会 取りまとめ (令和3年12月20日)概要(抜粋)→保育所と児童発達支援との一体的な支援(インクルーシブ保育)を可能とす るための規制の見直し⇒検討を速やかに開始すべきもの。 参照。

≪インクルージョンの推進について≫
○放課後児童クラブにおける障害児の受入れ推進について
→再掲のため。<障害児受入れクラブ数及び障害児数の現状及び推移><受入れの状況> 令和3年5月1日現在(厚生労働省調)参照。
○障害児の受け入れに伴う補助事業について→「障害児受入推進事業(放課後児童クラブ支援事業)」「障害児受入強化推進事業@障害児に対する支援 A医療的ケア児に対する支援」「放課後児童クラブ障害児受入促進事業」参照。 障害児の受入数による加配職員のイメージもあり。
○放課後児童クラブ運営指針(抜粋)→第3章 放課後児童クラブにおける育成支援の内容
2.障害のある子どもへの対応→(1)障害のある子どもの受入れの考え方 (2)障害のある子どもの育成支援に当たっての留意点 あり。参照のこと。

○関係法令(抜粋)
・障害者基本法(昭和45年法律第84号)→(目的) 第1条
・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)→(事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第8条
・発達障害者支援法(平成16年法律第167号)→(放課後児童健全育成事業の利用) 第9条 市町村は、放課後児童健全育成事業について、発達障害児の利用の機会の確保を図るため、適切な配慮をするものとする。
・医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年法律第81号)→(保育所の設置者等の責務) 第6条の2、(保育を行う体制の拡充等) 第9条の3。

次回も続き「参考資料4 保育所等訪問支援の効果的な実施を図るための手引書」からです。

第4回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2022年11月11日(Fri)]
第4回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和4年10月24日)
≪議事≫(1)子ども・子育て一般施策等への移行等について (2)障害児通所支援の調査指標について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28748.html
◎資料1 子ども・子育て一般施策等への移行等についての主な検討事項(案)
○主な検討事項(案)_@
→T-1.児童発達支援センターに求められる中核機能が発揮されるための人材配置、地域の事業所に対する相談・援助等の在り方についてどう考えるか。
・「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理(令和3年12月16日)(P7より抜粋)→B 地域のインクルージョン推進の中核としての機能を。
・「障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書(令和3年10月20日)(P6、7より抜粋)→児童発達支援センターを中心に地域の障害児通所支援事業所全体の質の底上げが図られていくよう、地域の障害児通所支援事業所が参加する研修や支援困難事例の共有・検討・市町村や地域の自立支援協議会の子ども部会との連携等、実施を促進する仕組みを併せて検討していくことにより地域社会に障害児支援の意義や専門性を伝えていく役割必要。
・「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理(令和3年12月16日)(P7、8より抜粋)→「児童発達支援」について、障害種別にかかわらず、身近な地域で必要な発達支援を受けられるようにするという障害児通所支援の理念をさらに 進めるため、「福祉型」と「医療型」に区別せずに一元化する方向とし、全ての児童発達支援事業所において肢体不自由児以外も含めた障害児全般 に対する支援を行うべきである。

○主な検討事項(案)_B→V-1.保育所等訪問支援について、支援の実態等を踏まえ、より適切な評価の在り方、支援の標準的な期間等について、 どう考えるか。
・「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理(令和3年12月16日)(P10より抜粋)→保育所等訪問支援について、児童発達支援センターが地域のインクルージョンを推進する中核機関として果たす役割の重要性を勘案しつつ、改めてより適切な評価の在り方等を検討する必要。さらに、個々の支援対象施設等の状況を十分に踏まえ、支援の終了の目安となる標準的な期間の在り方を併せて検 討する必要がある
○V-2.事業所による移行支援・併行通園に関して、支援の実態等を踏まえ、これらが効果的に実施されるための、適切な評価の 在り方やプロセスの整理等についてどう考えるか。
・「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理(令和3年12月16日)(P9、10より抜粋)→児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて、個々の通所する障害児について移行支援が効果的に実施されるため、保護者等の意向の把握から保育所 等への定着支援に至る一連のプロセスを効果的な標準的手法としてまとめ、わかりやすく提示することを検討する必要。そうしたインクルージョン推進のための具体的なプロセスは、一定期間にわたり継続的に行われるべきことを踏まえ、適切な評価の在り方を検討する必要。さらに、併行通園等の実現に関して市町村には、保育所等の関係者に向けて、インクルージョン推進の意義と保育所等訪問支援の目的・内容、児童発達 支援事業や放課後等デイサービスによる移行前後のサポートの状況や好事例などの理解・普及を図ることなど、大きな役割が期待される。市町村との連携の在り方を含め、児童発達支援事業・放課後等デイサービスにおいてインクルージョンを推進するための具体的なプロセスについて整理・提示していくことを検討する必要。この際には、学校との連携の視点も重要。なお、現状の障害児通所支援の状況等を踏まえれば、こうした併行通園や移行の支援の取組が積極的に行われるように制度の在り方を検討する必要があるが、本来的な「インクルージョン」の推進とは地域社会への参加・包摂を進めることであることから、年少期より、障害の有無に関わらず、子ども達が様々な遊びな どの機会を通じて共に過ごし、それぞれの子どもが互いに学び合い、成長することができる社会の実現を目指して、こうした取組も進められる必要がある。

○V.子ども・子育て一般施策への移行等について
(1) 児童発達支援センターの地域のインクルージョン推進の中核としての機能(※機能B)
→(検討の視点の例)⇒児童発達支援センターに、地域のインクルージョンを推進するための中核機関としての役割を求める場合、具体的にどのような役割や取組を求めることが考えられるか。  役割分担・連携体制として、児童発達支援センターは、地域の中核機関として地域の保育所や児童発達 支援事業所等と連携し、地域全体の一般施策への移行に関する後方支援を進め、一方、個々の事業所は、 児童発達支援センター等と連携しつつ、自事業所に通所する個々の障害児について移行支援を行う方向性 が考えられるがどうか。その場合、連携の効果的な方策についてどう考えるか。   地域のインクルージョンを推進する体制整備は、市町村や都道府県等が中心となって進めていくことが 考えられるが、児童発達支援センターとの効果的な連携や方策についてどう考えるか。   児童発達支援センターの設置がされていない地域については、どのような対応が考えられるか
・「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理(令和3年12月16日)(P7より抜粋)→児童発達支援センター⇒当該センター以外の施設との役割・機能の違いが明確でないため、多様な障害等への専門的機能を強化し、児童発達支 援事業所等に対する助言その他の援助を行う機関として、以下のような機能・役割を担うべきであることを明確化すべき。 @ 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能 A 地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(児童発達支援センターが障害児通所支援事業所に対し、支援内容等への助言・援助等を行う機能) B 地域のインクルージョン推進の中核としての機能 C 地域の障害児の発達支援の入口としての相談機能 また、こうした役割・機能を総合的に果たすため、「児童発達支援センター」は、「保育所等訪問支援」や「障害児相談支援」としての指定を併せて有す ることを原則とする方向で検討する必要がある。
・「障害児通所支援の在り方に関する検討会」報告書(令和3年10月)(P25より抜粋)→インクルージョンの推進に関する地域の中の役割分担・連携体制⇒児童発達支援センター→地域の中核機関として保育所等からの要請を受けて行う保育所等訪問支援を積極的に活用して、地域全体の一般施策側の後方支援を進め、児童発達支援・放課後等デイサービスの個々の事業所→市町村や児童発達支援センター等と連携しつつ、自事業所に通所する個々の障害児について状態や希望を踏まえながら移行支援(併行通園等の事例提供・提案や実現・継続のサポート)を行っていくという方向性が考えられる。


◎資料2 障害児通所支援の調査指標についての主な検討事項(案)
○第3回 障害児通所支援に関する検討会 団体ヒアリング追加質問・回答(1)
○井上構成員より各団体への質問
→発達障害者支援法⇒家族同士の支援の促進が明記され、親による親のための支援としてペアレントメンターの養成と活用が推進されてきた。 医療的ケアを要する子ども、身体障害のある子ども、ダウン症のある子どもさんの親御さんにおいても、親の会に入っていない方も増えているのではと思います。 こうした方でさまざまな支援サービスを知らずに地域で孤立している方もいると思います。 私は発達障害以外の障害においてもペアレントメンターの活動が広がっていき、特に児童発達支援センターを起点にして家族支援のお話会のようなものが開催でき、そのうち何人かは親の会に繋がっていってもらうようなシステムはどうかと考えています。 児童発達支援センターでは家族支援の機能の強化が言われていますが専門家による支援に合わせてそれぞれの障害に応じてメンターが協力して関わる仕組みについ てどのように思われますでしょうか。
・障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会の回答→親同士のつながりのきっかけを作ってくださる支援はありがたい。親が共に働いていると平日の日中に参加するのは厳しく、週末や祭日などにも会合を開いていただ けると参加しやすいです。育児休業中に児童発達支援センターで週に1度、親子で2時間のグループ療法に通ったときに一緒になった親たちとは今でも交流が続いていま す。地域で生きていく家族同士支え合っています。地域にある児童発達支援センターが、家族ぐるみで参加できるイベント(親御さん向け、子ども向けに 別のプログラムを用意)があると、孤立を避けられるのではないかと思います。
・全国肢体不自由児者父母の会連合会の回答→当会でも、全国7つのブロックでそうした療育セミナー研修会を開催していますが、ここでも参加される年齢層はずいぶん高くなっています。滋賀県での当会 の活動でも、療育懇談会を開催してもなかなか若い世代の参加は得られません。少しでも情報を共有していただければと願い、会報誌を各特別支援学校に無料配布をし ています。参加が少ない根本はどこにあるのか模索し続けています。ご提案していただいたペアレントメンターの活動は本当に必要であると思います。核家族どころか、障 害のある子を授かった家族は孤立家族と言っても過言ではありません。一般的な子育ての知識さえも得にくいのが現状です。また、障害のある子供を授かった瞬間に、親 も様々ないわれなき中傷を受けたり、また、子育て鬱に陥ったりする家族もあり、家族内病理も存在します。日本の社会構造がまだまだ女性に厳しいこともあり、多くの家庭 では母親の療育負担が大きくなっています。当会の全国大会でも、そのことをテーマにシンポジウムを開いたこともあります。是非ご検討を進めていただきますようお願い 申し上げます。
・日本ダウン症協会の回答→発達がとてもゆっくりなのでそれなりに療育は絶対必要です。そのような場合、健常 児と同じで、生後5日で退院、自宅に戻り我が子の「ダウン症」が受容ができないで悩んでいる母親をサポートできる体制が必要です。現在ならではのことですが、出生前 診断が進んだことで、どうして検査を受けなかったのかと非難される場合もあります。産んでよかった、生まれてきて良かった。思えるような環境が必要と思います。それで なくても、「我が子にダウン症があります」といつ言おうか、いつ外に連れ出すか、はとても悩みます。また、ネットサーフィンを繰り返し、間違いではないけれどマイナスな情 報で心配が膨らみ今目の前にいる赤ちゃんと向き合うことができない母親もいます。このようなことがないように「児童発達支援センター」がまずは支えになる連絡できる場 所として存在し、そのうえで親の会がメンターの1役を担うことは可能だと考えます。
○稲田構成員より全国肢体不自由児者父母の会連合会への質問→「児童発達支援ガイドライン」の各項目で打ち出された内容が、現状では十分理解・実践されていないことから、より具体的なマニュアル化したものがあればよいとのお考えに大変注目しております。 ガイドラインに沿ったアセスメントというお話がありましたが、ガイドラインに記載されています適応行動や行動上の問題の低減につながるためのアセスメントも含め、具体 的なお考えがございましたらご意見を伺わせていただきたく思います。
・回答→支援センター等(医療機関も含め)の専門家は、検査数値や障害診断名にとらわれていることが多く、子供の些細な言動に触れないでいるのではないかと感じています。例えば、子供たちに「自分の考える帽子を作ろう」と いった創作授業において、帽子のひさしの形状や機能面を重視した作品には高評価をあたえ、帽子のひさしに電車の模型を乗せ、ひさしそのものがレールである作品を、 これは帽子じゃないね。といった評価を下すという事例を経験しています。指導者が既成概念にとらわれていて、子供の多様性に気が付いていないのではないかと思います。一つの事例ではありますが、指導者の固定概念が強い、ステレオタイプの指導経験が子供の多様性を摘んでいることをよく見聞きします。肢体不自由児の関わりにお いては、子供たちの自主性を重んじ、自由に触れあえる機会の提供が必要です。また、家族の病理が存在する場合は、遠慮なく家族への助言ができる環境が必要です。 虐待予防のためにも、家族内病理を明らかにしておくべきです
○金丸代理人(日本相談支援専門員協会)より障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会への質問→相談支援専門員としては、医療的ケア児等のご家族の就労を保障していく支援を考えていく場合、お子さんの成人期以降のご家族の就労保障にも結びつけていくために、 移動支援、在宅介護、行動援護のサービスを重視し、市町の支給の上限を超える支給量を確保しながら、必要であれば残業にも対応できるようにしているケースを個人的 にもいくつも経験してきました。そのような選択肢についてはどう考えますか。
・回答→非常にありがたい。学校卒業後は放デイに相当する場所がなくなり、生活介 護などの事業所が終わる16時前後以降、過ごす場所がなくなるのも大きな悩み。放課後等デイサービスや学童にお迎えに行っていただいた後、親が残業で遅くなる時に、子と公園などに立ち寄って時間調整していただくこともできる移動支援は「肝」の支援なので、共働きが増えている現在の家族のニーズにマッチした運用を全国で同じようにしていただ きたいです。在宅介護も、家の中だけでなく、子と気分転換に散歩に出られるようにするなど、弾力運用していただけると、利用しやすいです。下校時の時間帯はかぶるので、人手 の確保も非常に苦労しています。
○ 金丸代理人(日本相談支援専門員協会)より全国肢体不自由児者父母の会連合会への質問→「支援計画で明らかにした支給量を保障してほしい」といったご発言があったと記憶しておりますが、具体的にどのようなケースで支援計画(支援計画とは、おそらくは障害 児支援利用計画を指すと思いますが)で明らかにしたにもかかわらず、どのサービスの支給量を保障できなかったのか、思いつく範囲で良いので教えていただきたいです。

・回答→私たちの会員から支給 量の減算での訴えは特にございません。むしろ、事業所への減算返戻があるのではないでしょうか。個々の子供の利用計画が丁寧に作成され、その支援を実践できる事 業所への適切な指導をしていただくことが肝要かと思います。また、今後成人の総合支援法サービス支給量のような報酬体系になろうものなら、標準支給量等の設定をさ れないことを切に望みます。
○ 金丸代理人(日本相談支援専門員協会)より日本ダウン症協会への質問→「出生前から児童発達支援センターが関わっていくことをのぞんでいる」といったご発言があったかと思いますが、現状の遺伝相談などの体制に何らかの問題を定義され ているのだと感じました。具体的にどのような関与が新たに必要だと感じていらっしゃるのかを教えていただきたいです。
・回答→意見書に「出生前検査を受検した妊婦及びそのパートナーが、障害児・者に関する様々な医療・福祉サービスに関する情報を出生前から容易に入手できるよう環境の整備が必要である。」と書かせていただきました。遺伝相談をされる遺伝カウンセラーの方が少なく、これから多くの方が検査を望まれる時一人一人に多くの時間をかけられ ないこのような理由もあると感じます。今後は各地域に出⽣前コンサルト⼩児科医が置かれるようでそこでも相談を受けられるようですが、地域ごとに違う福祉サービスの 内容まで伝えることはできないと感じています。産み育てていくために少しでも心配をなくすための支援、また出生前検査を受けないで出産される方に対しても、その時に悩 むことなく児童発達支援センターに相談すれば何とかなる、ワンストップで子育てを応援してくれる、そのような場になってほしいと思い書かせていただきました。 現在ですと生まれてすぐは保健師が対応、療育の場の詳しい情報を伝えてくれるわけでもなく、母親が何らかの手段を取りながら必死で見つけて自分で連絡を取ります。 そこで、「まだ早いから6ヶ月頃になったら、また電話をください」と言われることもあります。不安で仕方がない時期だからこそ、正しい情報を伝えてもらえる・支援してもらえ る、誰もがつながることができる場として児童発達支援センターがあってほしいと願います。 余談かもしれませんが、療育につながるまでの間に、赤ちゃん体操のようなスキンシップを取れることを一緒に行ってくださるだけで母親は安心できると考えます

次回も続き「参考資料1」からです。